2020年1月15日 (水)

空の青さを知る人よ

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:長井龍雪
脚本:岡田麿里
原作:超平和バスターズ
キャラクターデザイン:
製作:清水博之、川村元気、斎藤俊輔(以上、企画・プロデュース)、小田桐成美、尾崎紀子(以上、プロデューサー)
音楽:横山克
主題歌:あいみょん「空の青さを知る人よ」(OP)「葵」(ED)
声の出演:金室慎之介/しんの(13年前の慎之介)…吉沢亮、相生あかね…吉岡里帆、相生あおい…若山詩音、新渡戸団吉…松平健、中村正道…落合福嗣、中村正嗣…大地葉、大滝千佳…種﨑敦美、番場…上村祐翔、阿保…吉野裕行 他

 

 

  〈夢を諦めてしまった大人たちへのメッセージ〉

 

 

 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」の監督・長井龍雪、脚本家・岡田麿里、キャラクターデザイン&総作画監督・田中将賀が再結集した、オリジナルストーリーの長編アニメーション映画。

 

 

 山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、二人きりで暮らしてきたのだ。あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして、ある男の名前が発表された。金室慎之介。あかねのかつての恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人。高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。それを知ったあおいの前に、突然“彼”が現れた。“彼”は、しんの。高校生時代の姿のままで、過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。思わぬ再会から、しんのへの憧れが恋へと変わっていくあおい。一方で、13年ぶりに再会を果たす、あかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる…。

 

 

 超平和バスターズによる"秩父3部作"はアニメ版を観たのはこれが初めてである(前2作はTVドラマ・映画で実写版を鑑賞)。世代的には、3部作の中では一番ハマる作品なのかもしれない。

 

 

 話自体は既視感がある、とてもベタなものだが、自分を含め、夢を諦めてしまった今の大人たちにはグッと突き刺さる青春映画。と、同時にちょっと懐かしい気持ちにもさせてくれる良作である。特に若い2人が飛翔するクライマックスは、アニメならではの演出で、爽快感が抜群だ。残念なのは、音楽映画でもあるのに、ラストでバンドの演奏が無かったこと。折角バンドが組める構成にしているのにこれは勿体ない。あいみょんの曲でも、劇中印象的に流れるゴダイゴの名曲「ガンダーラ」でもいいから演奏してほしかった。

 

 

私の評価…☆☆☆☆

 

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2020年1月 5日 (日)

マレフィセント2

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ヨアヒム・ローニング
脚本:リンダ・ウールヴァートン、ミカ・フィッツァーマン=ブルー、ノア・ハープスター
音楽:ジェフ・ザネリ
主題歌:ビービー・レクサ「You Can't Stop the Girl」
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):アンジェリーナ・ジョリー(深見梨加)、エル・ファニング(上戸彩)、ミシェル・ファイファー(五十嵐麗)、キウェテル・イジョフォー(竹田雅則)、サム・ライリー(阪口周平)、エド・スクライン(星野貴紀)、ハリス・ディキンソン(小野賢章)、イメルダ・スタウントン、ジュノー・テンプル、レスリー・マンヴィル(この3人の吹き替えは福田彩乃が一人三役で担当)、ロバート・リンゼイ(内田直哉)、ワーウィック・デイヴィス(魚建)、ジェン・マーリー(永宝千晶)、デヴィッド・ジャーシー(伊藤健太郎)、ジュディス・シェコーニ(鷄冠井美智子)、MIYAVI(MIYAVI)、ヨン・カリュー

 

 

  〈これじゃ、作らなかった方がマシ〉

 

 

 ディズニー・アニメーションの名作「眠れる森の美女」に登場するヴィランの物語を実写映画化した「マレフィセント」の第2作。前作に引き続き、美しき魔女・マレフィセントをアンジェリーナ・ジョリーが演じ、オーロラ姫役をエル・ファニングが務める。

 

 

 マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)が“真実の愛”を見つけ、オーロラ姫(エル・ファニング)が永遠の眠りより目覚めてから数年後。オーロラ姫はフィリップ王子(ハリス・ディキンソン)からプロポーズされ、2人は結婚することに。しかし結婚式当日、フィリップ王子の母イングリス王妃(ミシェル・ファイファー)の策略によってオーロラ姫に危機が迫り、彼女を救出しようとするマレフィセントの“究極の愛”が試される。

 

 

 本年もよろしくお願いします。昨年11月と12月に観ていてまだ、感想書けていない映画があるので、そちらを先にUPしていきます。

 

 

 前作でちゃんと完結しているのに、余計なものを作ってしまった。

 

 

 前作も、確か喜べるような点数をつけていなかったと思うが、前作での出来事でマレフィセントとオーロラの信頼関係は強いものになったはずなのに、今回のオーロラは全くマレフィセントを信じていない。これでは前作でマレフィセントがオーロラへの愛に気付き助けたことはなんだったのかと思ってしまう。

 

 

 また、後半はダークフェイと呼ばれる妖精と王国の戦いになるのだが、王国は妖精を消し去る粉を開発して妖精を大量虐殺するにもかかわらず、すぐに和解。戦いが終わった直後にオーロラとフィリップの結婚式を挙げて仲睦まじくしている。これじゃ明らかに不自然だ。

 

 

 要するに、前作よりも展開が雑なのだ。戦争映画っぽくもあるが、本当に戦争なんかやってしまったら、終わった途端にノーサイドにはならないだろう。ファンタジーとはいえ、ここまで現実離れしてしまうと、観ていて呆れてしまった。

 

 

私の評価…☆☆

 

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2019年12月31日 (火)

今年観た映画のベスト3

 まだ、11月、12月に鑑賞した映画の感想を書いていないが、今年観た邦画と洋画、各々のベスト3を挙げておこう。

 

 

 まず邦画。①「名探偵コナン 紺青の拳」②「キングダム」③「HELLO WORLD」  「名探偵コナン 紺青の拳」は、原点回帰の一方で新機軸などマンネリ回避の苦労も見られる作品。シリーズ初の女性監督を迎えるなど、新鮮味を保とうとする努力が垣間見える。「キングダム」は、予告編を観た段階から期待していた映画。原作エピソードの取捨選択が良く、テンポ良く進む脚本が秀逸だった。まだ、原作の序盤にすぎないので、続編の発表を待ちたいところだ。「HELLO WORLD」は「ソードアート・オンライン」シリーズで知られる伊藤智彦監督による近未来の京都が舞台のSFアニメ。正直序盤は退屈だったが、中盤から段々と面白くなった。 京都に住んでいる者だから分かる面白味があったのも、ここに挙げた理由のひとつである。

 

 

 そして洋画は、①「ジョーカー」。②「アベンジャーズ/エンドゲーム」。③「トイ・ストーリー4」。まず「ジョーカー」は、今年前半に「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」を観たときは、もう今年はそれを超える映画は出てこないと思っていた。まさか、こういうのが来るとは… という感じである。恐らく、アカデミー賞でも話題になることは間違いない。そして、「アベンジャーズ/エンドゲーム」は、マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)シリーズ第22作目にして最大の山場を迎えた映画。これまでの21作品をずっと追いかけてきた人のためにあるようなもので、ファン冥利につきる内容であった。「アベンジャーズ」としては、一旦完結するが、これで"卒業"するはずだったシリーズ開始当初からのメンバーのうち、アイアンマンのロバート・ダウニーJrは、アイアンマンの本来敵キャラであるブラック・ウィドウの若き日(とはいっても、演じるのは同じスカーレット・ヨハンソン)を描く「ブラック・ウィドウ」に同役で出演が決まっており、クリス・ヘムズワースに至っては、再契約で「マイティ・ソー」の続編製作が決定している。まだまだ、ブームは続きそうな気配である。「トイ・ストーリー4」はウッディー自身の物語を描いたもの。元々、前作で人間側からみた話としては完結していたのだが、それならオモチャ側からの事を描かなければならないのでは? ということになり作られたもので、実質完結編ともいえる映画だった。

 

 

来年も、話題作や人気作品の続編がたくさん公開される。一番楽しみなのが大好きなシリーズの"007"最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」(4月10日公開予定)。6代目ボンド=ダニエル・クレイグの最終作ともいわれているが、007の称号を女性がもつことになるとも噂されるなど、どうなっているのか楽しみだ。
キャストは変わるが2003年版の続篇となる「チャーリーズ・エンジェル」(2月21日公開)や、「トップガン/マーヴェリック」(夏公開予定)等も楽しみ。そして、自分が好きなジャンルのミュージカルも、年明け早々に「キャッツ」(1月24日公開)があるし、年末にはスティーヴン・スピルバーグ監督による名作リメイク「ウエスト・サイド・ストーリー」があるので、全部観られるかどうかは分からないが、来年も観たい映画は公開初日から積極的に観に行くようにしたい。 来年もとりあえずは100本以上の鑑賞を目指すつもりである。今年もこのブログを見て下さり、ありがとうございました。来年も、よろしくお願いします。

 

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2019年12月27日 (金)

クロール -凶暴領域-

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督・製作:アレクサンドル・アジャ
脚本:マイケル・ラスムッセン、ショーン・ラスムッセン
共同製作:サム・ライミ、クレイグ・J・フローレス
製作総指揮:ジャスティン・バーシュ、ローレン・セリグ、グレゴリー・ルヴァスール
音楽:マックス・アルージ、ステフェン・スム
出演:カヤ・スコデラリオ、バリー・ペッパー、アンソン・ブーン、ホセ・パルマ、ジョージ・ソムナー、エイミー・メトカーフ、モリファイド・クラーク、アナマリア・セルダ、サヴァンナ・スタイン 他

 

 

  〈日本じゃ考えれないアホみたいな話〉

 

 

 「死霊のはらわた」や「スパイダーマン」シリーズで知られるサム・ライミが製作を、「ピラニア3D」などのアレクサンドル・アジャが監督を務めるシチュエーションスリラー。

 

 

 大学競泳選手のヘイリー(カヤ・スコデラリオ)は、疎遠になっていた父(バリー・ペッパー)が、巨大ハリケーンに襲われた故郷フロリダで連絡が取れなくなっていることを知り、実家へ探しに戻る。地下で重傷を負い気絶している父を見つけるが、彼女もまた、何ものかによって地下室奥に引き摺り込まれ、右足に重傷を負ってしまう…。

 

 

 オーソドックスな動物パニック映画で、そこにプラスして超大型ハリケーンからも、難を逃れるという、時節柄よく公開できたよな(笑)という映画である。

 

 

 基本的に、自由形("crawl"にはもうひとつ“腹這いになって進む”という意味があり、タイトルはその2つの意味を掛けている)の泳者であるヒロイン(「メイズ・ランナー」シリーズのカヤ・スコデラリオ)と、そのスポ根クソコーチ(=親父)が、ハリケーンによる洪水で人家に迷いこんだ数匹のワニを相手に、思いっきりケガしながらも、生き残りをかけて戦う、という話。ドサクサに紛れて隣の店に略奪を試みるコソ泥一家や、ヒロインの姉の元カレ警備員はあっさり餌食になる(製作がサム・ライミなのでエグい!)ので、このメイン二人は生き残れるんだろうなと、中盤辺りから薄々感じてしまうが、 2人とも脚や腕に大出血するほどの大ケガしているのに、ずっと水に浸かったままで大丈夫なのかとか、途中からそのケガが消えてる(ストーリーの都合上、どうでもよくなってる)やん(笑)とか、思いっきりツッコめる映画になっている。上映時間1時間27分は、この手の映画としては、ちょうど良い長さかも。

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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蜜蜂と遠雷

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:石川慶
原作:恩田睦「蜜蜂と遠雷」
製作:佐藤善宏、石黒裕亮、加倉井誠人
製作総指揮:山内章弘
音楽:篠田大介
出演:松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、臼田あさ美、ブルゾンちえみ、福島リラ、眞島秀和、片桐はいり、光石研、平田満、アンジェイ・ヒラ、斉藤由貴、鹿賀丈史 他

 

 

  〈クラシック好きなら堪らないのではないか〉

 

 

 2017年に史上初となる直木賞&本屋大賞のW受賞を成し遂げた、恩田陸の同名小説を映画化。若手の登竜門とされるピアノコンクールを舞台に、才能あふれる4人の男女の挑戦と成長を描く。

 

 

 「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」というジンクスをもち、近年高い注目を浴びる芳ヶ江国際ピアノコンクール。ピアノの天才達が集うこのコンクールの予選会に、若き4人のピアニストが現れる。7年前の突然の失踪から再起を目指す元・天才少女、英伝亜夜(松岡茉優)。“生活者の音楽”を掲げ、最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石(松坂桃李)。人気実力を兼ね備えた優勝大本命、マサル(森崎ウィン)。今は亡き“ピアノの神”からの「推薦状」を持つ謎の少年、風間塵(鈴鹿央士)。熱い“戦い”を経て、互いに刺激し合い、葛藤し、成長を遂げ<覚醒>していく4人―。その先に待ち受ける運命とは…。

 

 

 原作は未読で、映像化は難しいといわれていたらしいが、思っていたよりもシンプルですっきりとした映画だった。

 

 

 なにより、ピアノ演奏のシーンが素晴らしい。勿論、ピアノを弾く手のアップのシーンはプロのピアニスト(河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央)による吹き替えというのは分かっているが、顔が見えるくらいに寄った画では役者本人が演じていて、本当に弾いているようにちゃんと見えるのだから大したものだ。

 

 

 因みに昔、アメリカ映画で「愛情物語(原題:「The Eddy Duchin Story」)」(1956年/ジョージ・シドニー監督)という、1930年代から1940年代にかけて活動し、若くして急性骨髄性白血病のため夭折した天才ピアニスト=エディ・デューチンを描いた映画があった。映画ではピアノの音はカーメン・キャバレロが吹き替えたが、この役を演じたタイロン・パワーは、映画の中で演奏された名曲「トゥー・ラブ・アゲイン」を、一通り弾けるようになるまで猛特訓したという。

 

 

 まさか本作では、そこまでのことはやっていないと思うが、四者四様の奏でられる旋律が心地良い。月の光の連弾のシーンの描写は特に見事。音楽に比重をおいた分、ドラマが薄くなってしまったのは残念だが、心が癒されるのには充分であった。

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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2019年12月26日 (木)

ジョーカー

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本・製作:ゲイリー・ドーベルマン
共同脚本:スコット・シルヴァー
原作(キャラクター創作):ボブ・ケイン、ビル・フィンガー、ジェリー・ロビンソン
共同製作:ブラッドリー・クーパー、エマ・ティリンガー・コスコフ
製作総指揮:マイケル・E・ウスラン 他
音楽:ヒドゥル・グドナドッティル
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ホアキン・フェニックス(平田広明)、ロバート・デ・ニーロ(野島昭生)、ザジー・ビーツ(種市桃子)、フランセス・コンロイ(滝沢ロコ)、ブレット・カレン(菅生隆之)、ビル・キャンプ(高岡瓶々)、シェー・ウィガム(山岸治雄)、グレン・フレシュラー(ボルケーノ太田)、リー・ギル(越後屋コースケ)、マーク・マロン(唐沢龍之介)、ダグラス・ホッジ(田中美央)、ダンテ・ペレイラ=オルソン 他

 

 

  〈今年一番の衝撃作〉

 

 

 DCコミックス「バットマン」シリーズの悪役として知られるジョーカーの誕生秘話。コメディアンを夢見る青年が、狂気に満ちた悪のカリスマへと変貌していく様を、原作にはないオリジナルストーリーで描きだす。

 

 

 「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー(ホアキン・フェニックス)。都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母(フランセス・コンロイ)を助け、同じアパートに住むソフィー(ザジー・ビーツ)に秘かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる〈悪のカリスマ〉ジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる…!

 

 

 いろんな意味で凄い映画。今年前半に「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」を観たときは、もう今年はそれを超える映画は出てこないと思っていたが、そうではなかった!

 

 

 このキャラクターを使って、格差社会や人種差別を描くと、こうなるのか。原作とはキャラ設定が若干異なるので、原作ファンは戸惑うかもしれないが、本作にも人気コメディアンでバラエティー番組の司会者という役で出演しているロバート・デ・ニーロの「キング・オブ・コメディ」や、「タクシードライバー」にインスパイアされているので、下手をすれば触発されて、事件をおこす奴が現れてもおかしくないなと思った。恐らくラスト5分の衝撃的なオチは、そうならないように、ああいうようにせざるを得なかったのだろう。そこをカットすると、彼は単なる暴動の扇動者(所謂、アブナイだけの奴)になってしまう。

 

 

 気分が落ち込んでいるときに観ると、自分自身がジョーカーになってしまいそうになる。そういう意味でも、これはアブナイ映画なのかな、と思った。

 

 

私の評価…☆☆☆☆☆

 

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記憶にございません!

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:三谷幸喜
製作:石原隆、市川南
音楽:荻野清子
出演:中井貴一、ディーン・フジオカ、石田ゆり子、小池栄子、斉藤由貴、吉田羊、田中圭、寺島進、濱田龍臣、有働由美子、梶原善、藤本隆宏、迫田孝也、ROLLY、後藤淳平(ジャルジャル)、宮澤エマ、市川男女蔵、小林隆、飯尾和樹、小澤雄太、阿南健治、近藤芳正、栗原英雄、川平慈英、天海祐希、山寺宏一、木村佳乃、山口崇、草刈正雄、佐藤浩市 他

 

 

  〈久々に安定した三谷流のコメディ〉

 

 

 「ラヂオの時間」などで知られる脚本家、三谷幸喜の映画監督8作目となるオリジナル作品。国民から嫌われ、史上最低の支持率を叩き出した総理大臣が記憶喪失になったことから巻き起こる騒動を描いたコメディ。

 

 

 病院のベッドで目が覚めた男(中井貴一)。自分が誰だか、ここがどこだか分からない。一切の記憶がない。こっそり病院を抜け出し、ふと見たテレビのニュースに自分が映っていた。演説中に投石を受け、病院に運ばれている首相。そう、なんと、自分はこの国の最高権力者だったのだ。そして石を投げつけられるほどに… すさまじく国民に嫌われている! 部下らしき男が迎えにきて、官邸に連れて行かれる。

 

 

「あなたは、第百二十七代内閣総理大臣。国民からは、史上最悪のダメ総理と呼ばれています。総理の記憶喪失は、トップシークレット、我々だけの秘密です」

 

 

 真実を知るのは、秘書官3名のみ。進めようとしていた政策はもちろん、大臣の顔と名前、国会議事堂の本会議室の場所、自分の息子(濱田龍臣)の名前すら分からない総理。記憶にない件でタブロイド紙のフリーライター(佐藤浩市)にゆすられ、記憶にない愛人(吉田羊)にホテルで迫られる。どうやら妻(石田ゆり子)も不倫をしているようだし、息子は非行に走っている気配。そしてよりによってこんな時に、アメリカ大統領(木村佳乃)が来日! 他国首脳、政界のライバル、官邸スタッフ、マスコミ、家族、国民を巻き込んで、記憶を失った男が、捨て身で自らの夢と理想を取り戻す! 果たしてその先に待っていたものとは…!?

 

 

 最近の三谷作品はイマイチ面白くない物が続いていたが、これは久々に楽しめた。この人の場合は舞台劇出身なので、シナリオの中身が、映画としてはこぢんまりとしたものになってしまい、盛り上がりに欠けてしまうのは相変わらずだったが、主演の中井貴一はじめ脇役陣も充実していて、安心して楽しめる。

 

 

 せっかく政治を題材にしたコメディなので、もっとトンデモな政策を発動したりして欲しかったのだが、さすがに製作にテレビ局が絡むとそこまではできなかったのか。後味はスッキリしていたので、それだけでも良しとしよう。

 

 

私の評価…☆☆☆★

 

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2019年12月25日 (水)

惡の華

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劇場:TOHOシネマズ二条

監督:井口昇
脚本:岡田麿里
原作:押見修造「惡の華」
製作:永田芳弘、涌田秀幸
音楽:福田裕彦
主題歌:リーガルリリー「ハナヒカリ」
出演:伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨、飯豊まりえ、北川美穂、佐久本宝、田中偉登、松本若菜、黒沢あすか、高橋和也、佐々木すみ江、坂井真紀、鶴見辰吾 他

 

 

  〈誰にでもある(?)思春期のダークサイド〉

 

 

 押見修造による同名コミックを、「覚悟はいいかそこの女子。」の井口昇の監督と伊藤健太郎の主演により実写化。

 

 

 山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男(伊藤健太郎)は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和(玉城ティナ)は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった…。仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…。

 

 

 前に観た洋画の「HOT SUMMER NIGHTS」同様、これもかなりビターで痛い青春映画。

 

 

 若者の“心の闇”を、男性側だけでなく女性側にも踏み込んで描く意欲作である。中学生や高校生が抱える心の葛藤や、後先考えず突き進んでしまう行動と衝動、全ての人々に共通する話ではないが、少なからずこういう時期を経験して大人になっていくのかもしれない。

 

 

 伊藤健太郎・玉城ティナ・秋田汐梨・飯豊まりえというメイン4人の演技も良く、特に玉城ティナのある意味振り切った演技が、キャラクターにハマっていて良かった。ああいうハーフ美少女が、あそこまで感情剥き出しの演技をすると、妙な不気味さが出る。11月公開予定の「地獄少女」(こちらも深夜TVアニメの実写版)でもヒロインを務める。既に観ているので後々、感想書きます(一体、いつになるのだろう? 笑)。

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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2019年12月22日 (日)

アナベル 死霊博物館

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劇場:MOVIX京都
監督・脚本・原案:ゲイリー・ドーベルマン
原案:ジェームズ・ワン
製作:ジェームズ・ワン、ピーター・サフラン
製作総指揮:マイケル・クリア
音楽:ジョセフ・ビシャラ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):マッケナ・グレイス(川井田夏海)、マディソン・アイズマン(瀬戸麻沙美)、ケイティ・サリフ(庄司宇芽香)、パトリック・ウィルソン(咲野俊介)、ヴェラ・ファーミガ(小林さやか)、スティーヴン・ブラックハート、スティーヴ・コールター、ポール・ディーン、ルカ・ルーハン 他

 

 

  〈正に「死霊館」版「ナイト・ミュージアム」〉

 

 

 ジェームズ・ワンが監督を務め、シリーズ化されたホラー「死霊館」に登場する、呪いの人形“アナベル”の恐怖を描いたシリーズ第3弾。超常現象を研究するウォーレン夫妻の自宅に封印されたアナベルの呪いが解かれたことで、一家は恐ろしい現象に見舞われる。

 

 

 超常現象研究家ウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ)の家に、強烈な呪いを持つ一体の人形が運び込まれた。その人形の名は、アナベル。アナベルは地下の“博物館”で、他の呪われし品々とともに厳重に封印された。

 

 

 夫妻が仕事で家を空ける、ある日。娘のジュディ(マッケナ・グレイス)は年上の少女のメアリー(マディソン・アイズマン)、ダニエラ(ケイティ・サリフ)の3人で一夜を過ごすことに。しかし、ダニエラが“警告 決して触るな“と書かれた博物館に勝手に入り込み、アナベルの封印を解いてしまう。それは、少女たちの想像を絶する悪夢のはじまりとなった。史上最強の呪いの力を持つアナベルが、数々の悪霊たちを呼び覚まし、呪われし品々を従え、少女たちに襲いかかる…!

 

 

 「死霊館」シリーズのスピンオフ・シリーズ3作目。時系列的には「死霊館」1作目のオープニング直後くらいの時代設定で、1969年頃の話としているらしい(「死霊館」本編では設定の都合上、“アナベル事件”は実際の発生時期と違う1971年に変更されている)。「死霊館」では主役は超常現象研究家ウォーレン夫妻だが、本作ではその娘ジュディが主人公。因みに「死霊館」の方では、「ワールドウォーZ」でブラピの娘役だったスターリング・ジェリンズが演じていたが、本作では「gifted」の名子役マッケナ・グレイスが好演。まだ13歳なのですが、存在感ありますな。 

 

 

 本作は“やってはいけないことをやるから、最悪な目に遭う”という戒めが、ちゃんと描かれているので、王道のホラー映画として楽しめる。でも、ウォーレン夫妻は奥さんの方も亡くなられたのか(ラストに追悼文あり)… じゃ、旦那はとっくに亡くなられているし、あの実在するアナベル人形は今、誰が管理しているのだろう? 封印する神父はいるみたいだが…。

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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2019年12月18日 (水)

HELLO WORLD

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:伊藤智彦
脚本:野崎まど
キャラクターデザイン:堀口悠紀子
製作:武井克弘(企画・プロデュース)、馮年
音楽:2027Sound(OKAMOTO'S、Official髭男dism、Nulbarich、OBKR、Yaffle、STUTS、BRIAN SHINSEKAI)
主題歌:OKAMOTO'S「新世界」、Official髭男dism「イエスタデイ」、Nulbarich「Lost Game」
声の出演:堅書直実(かたがき なおみ)…北村匠海、カタガキナオミ/先生(せんせい)…松坂桃李、一行 瑠璃(いちぎょう るり)…浜辺美波、カラス…釘宮理恵、勘解由小路三鈴(かでのこうじ みすず)…福原遥、千古恒久(せんこ つねひさ)…子安武人、徐依依(シュー・イーイー)…寿美菜子 他

 

 

  〈"京都人"ならハマる人は多いかも〉

 

 

 「ソードアート・オンライン」シリーズで知られる伊藤智彦監督による近未来の京都が舞台のSFアニメ。未来やテクノロジーへの深い造詣を持つ伊藤のほか、脚本に「正解するカド」の野崎まど、キャラクターデザインに「けいおん!」の堀口悠紀子と実力派スタッフが集結。

 

 

 京都に暮らす内気な男子高校生・直実の前に、10年後の未来から来た自分を名乗る青年・ナオミが突然現れる。ナオミによれば、同級生の瑠璃は直実と結ばれるが、その後事故によって命を落としてしまうと言う。「頼む、力を貸してくれ。」彼女を救う為、大人になった自分自身を「先生」と呼ぶ、奇妙なバディが誕生する。しかしその中で直実は、瑠璃に迫る運命、ナオミの真の目的、そしてこの現実世界に隠された大いなる秘密を知ることになる…。

 

 

 今年大ヒットしているあのアニメ映画のような、セカイ系のお話だが、作中で言及しているように、H・G・ウエルズ等のSF小説や映画を理解していないと、少々難解か。正直、序盤は退屈である。主人公の10年後の自分と称する男の素性が判ってくる中盤からだんだん面白くなっていくのだが、“ラスト1秒で、ひっくり返る”のキャッチコピー通り、ラストに二重のオチがあって、話がちゃんとまとまっているのは見事。

 

 

 伏見稲荷大社や出町柳など、京都の名所が描かれているが、主人公の通っている高校が「堀川高校」(最寄りのバス停が「堀川蛸薬師」!)だったり、“中央”ではなく何故か北図書館が描かれていたり(笑)、京都に住んでいる者だから分かる面白味があった。作画監督が、元京アニ社員で「けいおん!」の堀口悠紀子なので、どことなく京アニっぽいのも見所である。

 

 

私の評価…☆☆☆★

 

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