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2010年2月

2010年2月27日 (土)

京都みなみ会館からRCSが撤退へ!

 約20年間にわたって京都のアート系映画館「みなみ会館」で興行を続けてきたRCSが3月14日をもってみなみ会館から撤退するということです。ただし映画館自体は閉館ではなく経営母体が変わるということで、翌15日から3月いっぱいは「休映」。4月1日より“映画館直営”で再開とのこと。


 よってRCSの会員証はみなみ会館では使えなくなるみたいですが、映画館としては存続するということで、1日平均5本以上の映画を1スクリーンで上映して「1スクリーン・シネコン」の異名を持つ(?)この映画館。経営が変わって上映形態がどうなっていくのか、要注目。

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パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
監督:クリス・コロンバス
出演:ローガン・ラーマン、ブランドン・T・ジャクソン、アレクサンドラ・ダダリオ、ピアース・ブロスナン、ショーン・ビーン、ユマ・サーマン 他


 《クライマックスの戦いは圧巻!》


 今年はバンクーバーで冬季オリンピックが開催されているが、このオリンピックとはギリシャ神話でゼウスの神殿のあったオリンポス(オリンピア)の名前を冠している。それに合わせたかのように、この映画は公開された。原作は第5巻まであり今回は第1巻「盗まれた雷撃」の映画化。ちなみに続編製作も既に決まっており、第2巻「魔海の冒険」の映画化は2012年、つまりロンドン・オリンピック開催(予定)の年に公開される予定である。


 元々この原作小説は原作者が難読症の息子に神話を読み聞かせていた事がきっかけで、その神話をもとに新しい話を創作したもの。だから舞台は現代のアメリカだったり(何でオリンポス十二神がエンパイア・ステートビルにおるんやというツッコミが聞こえてきそうだが)と、一瞬神話とは全く関係なさそうな、キャラクターだけ借りたようなものに見えそうだが、要所で神話の展開に合わせており、少しでもギリシャ神話を知っていれば、なお楽しめる映画になっている。


 例えばメドゥーサ(演じるユマ・サーマンがいい!)は目を見ると石にされてしまうため、神話ではペルセウスが鏡のように磨かれた盾を利用し退治したが、現代ではこれがピッカピカボディーのiPhoneになる。さすがに神話のように切られた首から落ちる血からペガサスが生まれてくることはなかったが、キャラクターの相関や、ある程度のストーリー展開は、神話の設定にうまい具合に合わせている。


 だからこの話の最も重要な点である稲妻を盗んだ本当の犯人は、ギリシャ神話を知っていれば判ってしまうし結末も見えてしまうので、ここでは書かないが、この“犯人”と翼の付いたサンダルならぬ運動靴を履いた主人公のクライマックスの戦いはCGをふんだんに使っているとはいえ、圧巻の一言につきる。さすが「ハリー・ポッター」シリーズ1&2作目の監督、あのクイデッチのシーン以上に見事な空中戦が展開される。


 さて、先に書いたようにこの映画は1作目の配収如何に関係なく第2巻の映画化が決まっているが、やはりそういうふうに作っていくならちゃんと5作まで作っていってほしい。続巻があるのに興行不振で白紙に戻ってしまった「ライラの冒険」や「エラゴン」の続編企画の二の舞にだけはなってほしくない。なるべくオリンピック・イヤーに合わせて作ってね(笑)。


私の評価…☆☆☆★

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2010年2月25日 (木)

〈午前十時の映画祭〉裏窓

〈午前十時の映画祭〉裏窓
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェームズ・ステュアート、グレース・ケリー、レイモンド・バー、セルマ・リッター 他


 《リメイクもされた名作サスペンス》


 この映画、実は現在パブリック・ドメイン(つまり知的財産権が消滅している)となっているため、質は悪いがワンコイン等の格安DVDで観ることができる。でもまぁ、せっかくこうやってきれいな映像を観ることができるのだから、この機会に映画館で観なきゃ! もう済んだところもあるかもしれないけどこれを読んでくださっている皆さんの街でも、このイベントをやってない地域でもきっとこれから上映されますよ。


 ちなみにこの映画1度TVドラマとしてリメイクされていて、そちらは事故で半身不随となったクリストファー・リーブが設定を少し変えて主演、ダリル・ハンナがヒロインを演じている。ダリル・ハンナ…やっぱりグレース・ケリーとは比べものにならないなぁ(笑)。また最近ではシャイア・ラブーフ主演の「ディスタービア」なんていう、あたかも「裏窓」をパクったかのような映画もあったっけ、あれはあれで面白かったけど(実際に“盗作疑惑”で訴えられた)。


 さて映画の方はクライマックス以外、カメラが主人公の住むアパートの一室からほとんど出ない、いわば舞台劇のような感じのものになっている。つまり映画的な派手さはないのだが、その分入念に作り込まれたストーリーで観せる。ヒロインのグレース・ケリーが主人公の意向を無視して犯人と思しき人物の部屋に侵入する場面などは実にスリリングだ。


 主人公が五体満足な状態じゃないのも映画を面白くさせている。このへんはシナリオの上手さで、特にこういうサスペンスやアクション映画の場合は主人公の動きを制限させるという意味での、所謂“手枷足枷”を付けさせた方が、敵にたいして圧倒的不利な条件を持つことになり、それを克服するかたちで話を終幕へ持っていかせることにした方が、普通に話を進ませるより圧倒的に面白くなる。この映画の場合は何の理由説明なしに片足を骨折して車椅子生活。この片足ってのもミソで、だからあのラストのオチも生きてくるわけだ。


 主人公の設定が新聞記者というのも絶妙。設定が現代となったリメイク版ではどういうふうにやったのか未見なのでわからないが、オリジナル版では双眼鏡の他に小道具としてカメラのフラッシュを目潰しとして使っている。カメラの性能が今より劣っている時代、フラッシュも今のものより強力だったわけで、主人公にとっては“命”のようなもので、自らを守るのである。このへんもシナリオの力であり、やはりサスペンス映画はシナリオが上手くないと面白いものはできない。この映画はそのいいお手本なのである。


私の評価…☆☆☆☆

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2010年2月21日 (日)

抱擁のかけら

抱擁のかけら
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、ルイス・オマール、ブランカ・ポルティージョ、ホセ・ルイス・ゴメス、ルーベン・オチャンディアーノ、タマル・ノバス 他


 《様々な愛のかたち》


 この監督の映画って僕は「ボルベール 帰郷」ぐらいしか観たことないので、映画の中の監督らしい部分っていうのがイマイチ分かりづらいのだが、確かにこの映画もそんなに難解ではない。だが、この監督が同性愛者であるが故に独特な感性で描いているため、自分も含めて“異性愛”の人から観ると、ちょっと違和感の残る部分があるのは否めない。


 確かに“異性愛”の人も楽しめるようにいろんな“愛”のかたちを描いているが、それ自体が特に目新しいものではなく、特に盛り上がるところもクライマックスのほんの一瞬を除いて無いに等しいので、久々に映画の途中でうっかり居眠りしそうになった。同じ回の上映を観た他の人たちも、上映後、首を傾げながら出ていく人が多かった。劇中劇として作られた映画とは裏腹に、邦題も内容にそぐわないしこの映画自体はつまらないものになった。


 ただ、ペネロペ・クルスは魅力的。ハリウッド作出演時と違ってのびのびとやっている感じがあるし、相変わらず脱ぎっぷりもいい(笑)。ペネロペファン向けという感じ。


私の評価…☆☆

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2010年2月16日 (火)

バレンタインデー

バレンタインデー
監督:ゲイリー・マーシャル
出演:ジェシカ・アルバ、キャシー・ベイツ、ジェシカ・ビール、ブラッドレイ・クーパー、エリック・デイン、パトリック・デンプシー、ヘクター・エリゾンド、ジェイミー・フォックス、ジェニファー・ガーナー、トファー・グレイス、アン・ハサウェイ、カーター・ジェンキンス、ジョー・ジョナス、アシュトン・カッチャー、テイラー・ロートナー、シャーリー・マクレーン、ブルックリン・プルー、クイーン・ラティファ、エマ・ロバーツ、ジュリア・ロバーツ、ブライス・ロビンソン、ジョージ・ロペス、テイラー・スウィフト 他


 《観るのがピッタリなのはこの時期だけのコメディ》


 一応主演なのに目立った場面があまりないジェシカ・アルバをはじめ若手人気スターが大挙出演した恋愛群像劇。同じようなものでクリスマスの恋愛劇を描いた「ラブ・アクチュアリー」という映画が以前あったが、あちらは一部を除いて殆どのカップルがうまくいったのに対し、こちらは成功失敗入り乱れての展開、最後にはとんでもないカップルまで一組できてしまう。


 当然、「ラブ〜」に比べてリアル感はあるが、その分まとまりが悪くなったのは仕方ないところか。この辺は、いかにも映画的なフィクションにするか現実的な話にするかのバランス面で、観る側の好みによって好き嫌いがあると思うが、僕は「ラブ・アクチュアリー」のような展開の方が映画としては好きだ。


 この映画の楽しみはもう一つ、それはキャスティングの妙味。アン・ハサウェイ(「プリティー・プリンセス」)とジュリア・ロバーツ(「プリティー・ウーマン」)はゲイリー・マーシャル監督の映画繋がりだし映画の中でも結構重要な目立つ役で出演しているし、ジュリア&エマ・ロバーツは実の親戚同士(エマはジュリアの姪)。テイラー・ロートナーと、これを書いている現在、来日中のテイラー・スウィフトは偶然ながら同じ名前で(エンディングのNG集でこれに関する爆笑シーンあり)、本作の共演がきっかけで映画を地でいくような熱愛が発覚(現在は破局し“友人関係”に)。そして監督とは親友で監督の映画には必ず出演しているヘクター・エリゾントが大女優シャーリー・マクレーンの夫役で今回も出演、そのシャーリー・マクレーンは、観る観客側にとっても、多分本人にとっても“サプライズ”な演出が劇中にあるので、これから御覧になるかたは楽しみにしていただきたい。


私の評価…☆☆☆★

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2010年2月15日 (月)

〈午前十時の映画祭〉明日に向って撃て!

〈午前十時の映画祭〉明日に向っ
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス、ストローザ・マーティン、ヘンリー・ジョーンズ、ジェフ・コーリー、ジョージ・ファース、クロリス・リーチマン、ドネリー・ローズ 他


 《アメリカン・ニューシネマの傑作》


 TOHOシネマズ二条での〈午前十時の映画祭〉第2週は先週の「スティング」に続きニューマン&レッドフォード共演の「明日に向って撃て!」を上映。でも、これも好きだけど僕はアウトローものの映画はこれよりもどちらかというとウォーレン・ビーティとフェイ・ダナウェイの「俺たちに明日はない」の方が、DVDでは先にリリースされて、もちろん先に観ている(「俺たちに〜」は2000年、「明日に〜」は2001年)せいもあるのだが好きなんだよね(笑)。「俺たちに明日はない」もまた、どこかで上映してほしいな。


 ブッチとサンダンスという実在した列車銀行強盗を描くのだが、先にデリンジャーを主人公にした「パブリック・エネミーズ」を観たときにも思ったんだが、昔のああいう犯罪って、なんてのんびりしてたんだろうなと、大らかな時代もあったんだなぁと。全体的にコメディ調になっているせいもあるんだけど、スペインの銀行を襲った時にスペイン語が分からなくて(というよりキャサリン・ロス扮する教師に教えられても覚えられなかった)妙なやりとりが続くうちに時間経っちゃうんだもんなぁ。今、あんなことやってたらすぐ警察来ちゃうもんね。


 B・J・トーマスが歌う名曲「雨にぬれても」が流れる中、“新しい馬”=自転車にブッチと乗り、牧場を駆けるシーンは名場面の1つですが、そのヒロインを演じたキャサリン・ロスは確かに美人なんだけど、この人に関しても、僕はこの映画よりもダスティン・ホフマンの恋人役を演じた「卒業」の方が印象深いんですよ。


 それにしても驚くのは、レッドフォードの姿が昔と比べてみると今もさほど変わらないことである。そりゃ確かに少しは老けているが、年齢を聞くと若々しく見える。


 余談ではあるが、当初はレッドフォードはキャスティングされておらず、最初の段階ではサンダンスがポール・ニューマンで、ブッチ役はスティーブ・マックイーンが演じることになっていた。権利関係を2人で折半していたからだが、恐らく20世紀FOXが配給権を得た事でマックイーンが降りたのだろうと思う(マックイーンはワーナー所属)。この2人は後に「タワーリング・インフェルノ」で顔をあわせることになるのだが、もしこの映画で共演していたら、映画のイメージはどう変わっていたのかな?


私の評価…☆☆☆☆

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2010年2月11日 (木)

パラノーマル・アクティビティ

パラノーマル・アクティビティー
監督:オーレン・ペリ
出演:ケイティー・フェザーストン、マイカ・スロート、マーク・フレドリックス、アンバー・アームストロング、アシュリー・パーマー


 《久々に骨太なホラー! 当然モキュメンタリーだが(笑)》


 まさかこのブログを見ている人の中には、この映画は実話だと思っている人はいないだろうと思うが、この映画は架空の話である。フィクションをあたかも本当にあったかのようなドキュメンタリーとして描く、通称モキュメンタリーという手法で作られた映画だ。本作はこの監督の家を使って7日間で撮影され、後はパソコンを使って監督自身が編集した、何ともお手軽な映画である。


 昔からこの手法で描かれた映画はあって、特にグロ映画なんかに多かった(あまりにリアル過ぎて逮捕者が出た「喰人族」とか)のだが、近年この手法で作られ大ヒットした「ブレアウイッチ・プロジェクト」以降、この手の映像がインターネットでのバイラル映像を中心によく作られるようになり、去年暮れに公開されたミラ・ジョヴォヴィッチ主演の「フォース・カインド」も、(このブログの「フォース・カインド」の項では敢えて触れていないが)実はこの手法で作られたフィクションである。


 まあ大抵の人はそんなこと頭に入れずに観に行くのだろうし、実話だと思い込んだ方が恐怖感が増すのだが、よくよく考えてみれば冒頭のメッセージからして「嘘」というのが分かる。超常現象とはいえ凄惨な事件が写っているビデオを警察が貸すわけはないだろうし、実際に「本物」として撮影したとならば、撮った人物が逮捕されてもおかしくないからだ。


 ただ、低い評価をくだした「フォース〜」と違って本作は良い出来。女性の身の回りに得体の知れない者が蠢く緊張感や恐怖感と、その次にくるそこからの緩和が絶妙な間隔で仕掛けられており、徐々にその振れ幅が大きくなっていってクライマックスでその緊張感がMAXに達し、一気に終幕へと傾れ込むという、面白娯楽映画の王道を行くような作りがなされている。そういった作り方を上手くやっている映画は、ホラーに限らずどんなジャンルのものでも面白いのだ(最近観た中では「パーフェクト・ゲッタウェイ」がこれに当てはまる)。最終的にUFOの仕業というとんでもない“飛び道具”を用意し一気にシラケさせた「フォース〜」と違い、終始ありそうであったら怖いという展開にしたのも、いいなと思った1つの理由だ。


 なお、本作はドリームワークスによるリメイクは見送られたものの、続編製作の話があるようだ。「ブレアウィッチ〜」の続編大コケの例もあるのでやめておいた方がいいと思うのだが、やるのなら1作目のテイストは壊さないで作ってほしい。


私の評価…☆☆☆☆★

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2010年2月10日 (水)

50歳の恋愛白書

50歳の恋愛白書
監督:レベッカ・ミラー
出演:ロビン・ライト・ペン、アラン・アーキン、マリア・ベロ、モニカ・ベルッチ、ジュリアン・ムーア、キアヌ・リーヴス、ウィノナ・ライダー、マイク・バインダー、シャーリー・ナイト 他


 《コメディなのにマイナス要素多すぎで笑えない》


 この映画既に観た人は、これを見て驚くかもしれないが、実はこれコメディ映画である。ただ困ったことにあまりにも内容が暗すぎて笑えないのだ。


 単純に熟年夫婦の不倫が描かれるだけなら、普通にコメディとして楽しめるだろう。でもこの映画、それ以外にいろんな問題ネタを詰め込み過ぎるのだ。まず主人公からして問題だらけ。父親は自己中心的だし母親はドラッグ中毒、そんな親に嫌気がさして家出し助けを求めた先の叔母はレズ、そこも、ある事件がきっかけで出ることになり主人公自身も麻薬と性交に溺れていく… それだけではない。主人公は後に初老の男性と年の差結婚をするが、その男性が主人公の親友と不倫しているのが発覚! この女がダメダメ女で発覚したとたん精神崩壊(あ、だからこの役ウィノナ・ライダーなのか!)。旦那もショックなのか発作起こして死亡と、もうここまでくるとトンデモなのを通り越して、いくらなんでもありえない展開である。


 どうです? 笑えないでしょ。要するにいろんなものを詰め込みすぎるのだ。もう少しシンプルな展開なら、普通のコメディあるいはブラック・コメディとして楽しめたかもしれないが、大分欲張りすぎた。ラストには少し救いがあるが、それまでが強烈に暗いのでインパクトがなく逆に締まりのないものになってしまった。


私の評価…☆

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2010年2月 9日 (火)

〈午前十時の映画祭〉スティング

〈午前十時の映画祭〉スティング
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・ショウ、チャールズ・ダーニング、レイ・ウォルストン、アイリーン・ブレナン、ディミトラ・アーリス 他


(写真:日本初公開時のチラシ(多分) リバイバルの時のものはこれより若干バックの色が薄い)


 《“騙し”の映画の傑作》


 これ書くと、ひょっとしたら自分がすんでいる地域がある程度分かってしまうかもしれないが、この企画、TOHOシネマズ二条での1本目はこの映画だ。DVDでもまだジュエルケースで出ていたいた時に買っているのだが、敢えてスクリーンで観たかったので観にいった。


 犯罪映画やコメディでラストのドンデン返しに観客まで騙される映画は数多いし、最近では「パーフェクト・ゲッタウェイ」なんかがこれに当てはまるんだろうけど、この「スティング」ほど気持ち良くキマっている映画は他にないと思う。「スティング」とは“ぼったくる”ことを意味するが、この映画はぼったくり映画ではない(笑)。十分お金払って観る価値はある。


 1936年のシカゴを舞台に詐欺で日銭を稼ぐ1人の若者が、親同然の師匠を殺害したギャングに復讐するために伝説的な賭博師と協力し、得意のイカサマで相手組織を徐々に追い詰めていく様を軽快に描いたコメディ。「明日に向って撃て」の主演コンビよもう一度ということで、ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードが再共演を果たしているが、実は当初の予定では、フッカー役はレッドフォードではなくジャック・ニコルソンだった。当時はニコルソンも今のような強面イメージではなかったとは思うのだが、やはりイメージ的にレッドフォードの方がいい。そして悪役のロバート・ショウが、歩く時に足を引きずりながら演技しているが、これは当時ショウ本人が足首を負傷していた影響でキャラクター設定を変えたからである。こちらの方がよりギャングらしい凄味が出ており、作品を面白くさせた。


 そして、この映画を語る上で欠かせないのが、やはり音楽。有名なテーマ曲「エンターテイナー」は1902年にスコット・ジョップリンによって作曲された、ピアノのためのラグタイム楽曲を、この映画音楽を担当したマーヴィン・ハムリッシュがアレンジしたものである。オリジナル版が発表された時にはほとんど話題にもならなかったらしいが、この映画で使われたことによって、つまりオリジナルから70年経って脚光を浴びることになり、ラグタイム復興のきっかけとなった。今でもこのメインテーマや挿入曲は度々CM等で使われていることが多く(最近では挿入曲が昨年スズキ自動車「ラパン」CM曲として流れていた)、誰もが1度は耳にするスタンダードナンバーになっている。


 この映画、ロバート・ショウ以外のキャストと脚本家以外のスタッフを一新した続編があるのだが、日本では劇場公開予定があったにもかかわらず、その前に上映していた「フラッシュダンス」の大ヒットロングランにより押し出される格好で未公開になってしまった。大ヒット映画には続編がつきものだが、やはりこの映画は完成度が高いから、続編なんて公開してもコケただろう。


 最近はビジュアル重視でこういうドラマ重視の映画が少ないように思う。自分としてはできればこういうドラマ性が高くて上映時間も適度な長さの映画を観たいのものなのだが。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2010年2月 4日 (木)

パーフェクト・ゲッタウェイ

パーフェクト・ゲッタウェイ
監督:デヴィッド・トゥーヒー
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ティモシー・オリファント、キエレ・サンチェス、スティーヴ・ザーン、マーリー・シェルトン、クリス・ヘムズワース 他


 《隠れた快作の登場(但しB級テイスト)!》


 この映画、一応日本ではミラ・ジョヴォヴィッチ主演というかたちで上映されているが、チラシやポスターのデザインを見たイメージだけで決めつけて観ると、とんでもない事になってしまう。


 そう、この映画の“メイン・キャスト”はチラシにも描かれている6人であり、ミラはその1人にすぎない。


 もちろんミラとスティーヴ・ザーンが扮する1組のカップルが中心となって話は進んでいく、途中までは… ところがハネムーン先の島で1組のカップルによる殺人事件が起きてから状況が一変、事態はとんでもない方向に向かっていくのだ。


 とにかくこの映画、監督の演出もさることながら、脚本が上手い。殺人事件発覚の前後にタイミングよく2組のいかにも胡散臭いカップル(クリス・ヘムズワースとマーリー・シェルトン=ヒッチハイカー、ティモシー・オリファントとキエレ・サンチェス=現地ガイド)を出現させ、いやが上にもサスペンス感を煽りたてる。ただ、その中でも映画を観ている観客にあまり気付かれないように、さり気なく“仰天のクライマックス”に繋がる伏線を張り巡らせ、スティーヴ・ザーン扮するミラの夫が映画脚本家の設定なので、名作映画の裏ネタ等の話を会話の中に盛り込み、観客の気を適当に逸らしながら、最後の最後にとんでもない“大ドンデン返し”を見せるわけだ。もう一度言っておく。ミラはメイン・キャスト6人中の1人なのである。ほとんどのお客さんは、この映画の巧妙な仕掛けにたぶん、騙される。結末に不満がないわけではないが、この際それは些細なことと目を瞑ってもいい。とにかく異色のサスペンス映画として、面白かった。


 あと余談だが、ミラってホント脱ぎっぷりのいい女優だ。普通人気が出れば段々露出は控えめになっていくものなのに、この映画でも後ろ姿ではあるが、ポンッポン脱いでいる。無論、デビュー作の「ブルー・ラグーン」の頃とは体付きが違ってきてはいるが… そんなあっけらかんとしたところが彼女の魅力でもあるし、そこが人気のあるところなのかな? 彼女の次回作の予定となるのは「バイオハザード4」。このシリーズも次は3Dとなる。アリスが飛び出すのか(笑)。それよりもそっちは「エラゴン」続編が白紙になったシエンナ・ギロリー扮するジル・バレンタインの復活を期待したいところだが。


私の評価…☆☆☆☆

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2010年2月 2日 (火)

ミレニアム ドラゴン・タトゥの女

ミレニアム ドラゴン・タトゥの
監督:ニールス・アルデン・オプレウ
出演:ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、スヴェン・バーティル・タウベ、マリカ・ラーゲルクランツ、レナ・エンドレ、ビョーン・グラナート、イングヴァル・ヒルドヴァル、ピーター・アンダーソン 他


 《聖書について詳しいか、原作ファンでないと少々難解》


 まずこの映画、ポスターやチラシ等でヒロイン=ノオミ・ラパスの顔がクローズアップされているためこの女性が主人公と思われがちだが、そうではない。主役はミカエル・ニクヴィスト扮する男性の雑誌編集者である。タイトルの「ミレニアム」はその雑誌の名前だ。


 原作は元々5部作の予定で製作が進められていたが、第1部「ドラゴン・タトゥの女」が出来上がった直後に作者の1人が急逝。結局第3部までということになり、当初第1部「ドラゴン・タトゥの女」のみが映画化され、あとの第2、第3部はTVドラマ化される予定だったが、第1部の成功によって急遽、後の話も映画用に編集されてドラマよりも先行して公開される運びとなった。尚、TVドラマ版はスウェーデンで今年2月から放送される予定になっている。そして原作が全世界でベストセラーになっているというところから、満を持して日本でもようやく公開されたわけである。


 さてその第1部だが上映時間が2時間半強と少々長い。話のテンポもハリウッド調でないのは新鮮だが、ハリウッド映画で見慣れているとかなり遅く感じられるので、少々退屈である。話自体も明るいものではなく、ヒロインには暗い過去があってトラウマになっていたり、そのせい(?)で虐げられる場面も多く、性的倒錯者が出てきて強姦されたり(最後はやり返すが)かなり醜い描写があるので、そういうのが苦手な人にはお薦めできない。女性が虐げられるのは3部作全部に共通することらしいので、完全映画化が決まったかたちとなった本シリーズは、後々の作品にも同様の場面が数多く出てくる事になるのかもしれない。


 そして、ヒロインである女性捜査官の容姿がワイルド過ぎて“捜査官”の姿としてはかなり異様である。このへんは本国でも賛否両論渦巻いたらしいが、この役をノオミ・ラパスが好演したことで、出演部分がかなりインパクトのある映像になった。映画を観る前にラパス本人普段の姿の写真を観たが、この役柄とは全くイメージの違う美人さんだ。


 そういう訳でこの映画は、よほど聖書に詳しいか、原作を熟読している人でないと、少々話についていくのがキツい映画なのかもしれない。自分自身相当目が疲れた。


私の評価…☆☆☆

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ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー
監督:中村義洋
出演:堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、貫地谷しほり、相武紗季、ソニン、大森南朋、柄本明、香川照之、永島敏行、濱田岳 他


 《ラストがイマイチ消化不良》


 最近は映画の製作に地上波民法テレビ局が必ずといっていいほど絡むのだが、これは一切絡んでいない。まぁ、首相暗殺という題材のせいかもしれないが。


 原作ではケネディ暗殺時間がモチーフとなっていて、それを日本に置き換えているので、今の日本じゃあり得ない首相公選制が存在するかたちで描かれているが、映像化するうえで原作ファン以外に不自然に思われるのを嫌ったのか、映画ではその設定は薄れた。


 アメリカのTVドラマで映画にもなった「逃亡者」と構図が似ていて、こちらでも主人公と周りの協力者との絆や友情が描かれているが、やはりそうなると2時間ちょいという映画の時間の中では限界があり、あまり深く掘り下げられていない感があった。この点においては、映画版の「逃亡者」にも言えていることなので仕方がないなぁと思う。


 ただ、最後に“片腕の男”が現れ劇的なクライマックスが訪れた「逃亡者」とは違い、こちらは些か消化不良。捕まらないからいいというものではない。詳しくはネタバレになるのでここには書かないが、人との繋がりや絆だけで辛うじて生き延びようとする、あれじゃ主人公が可哀相ではないか? 悪も裁かれたとはちょっと言えないし、皮肉と言えば皮肉なのだが、マスコミの報道の仕方によって人生が左右される、誰にもその可能性はあるんだよねということを作り手は言いたかったのかな、と観終わったあと、ふと思った。


 あと、あのEDテーマ何とかならんかったんかね(笑)。斎藤和義氏にゃ悪いがこの映画にあの曲が合っているとは思えない。どうせならビートルズの「ゴールデンスランバー」をそのまま流すか、カバーして劇中流れたのを使えば良かったんじゃないの?


私の評価…☆☆☆★

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