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2010年6月

2010年6月22日 (火)

サバイバル・オブ・ザ・デッド

サバイバル・オブ・ザ・デッド
監督:ジョージ・A・ロメロ
出演:アラン・ヴァン・スプラング、ケネス・ウエルシュ、デヴォン・ボスティク、リチャード・フィッツパトリック 他


 《「バイオハザード」の影響? 巨匠のゾンビにも少々変化が》


 ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督の「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」の続編という事だが、前作の設定より6日後で、生き残りキャラが出ているというだけで、話としては完全に別物となっているため、前作を観ていなくても一応楽しめるようにできている。ただ、そういった関係で今回は何のきっかけもなくゾンビが出現し、前作の回想も1分程度で簡潔に語られるだけなので、より作品を楽しみたい人は、前作を観てからこれを観た方がいいだろう。


 さて、昨今のゾンビ映画といえば、「28日後…」や「バイオハザード」シリーズなどのようにやたらと走り回る奴やある程度の知能を待った奴など、進化したゾンビが描かれる事が多いのだが、元祖ロメロ版ゾンビはいたって鈍いのが特徴。本作でもそれは踏襲されていて、集団で“うぁ〜”と声をあげながらノロノロと襲ってくる姿は、どことなくユーモラスなのだが、さすがのロメロ監督も「バイオハザード」に影響されたのか? 「バイオハザード」と比べれば他愛ないが知能を身につけたゾンビが登場し、「バイオハザード3」よりも原始的な方法でゾンビを調教しようとするオッサンまで出てくる。


 この手の映画のお約束通り人間キャラは、主人公と準主役は残して殆どゾンビの餌食となり死ぬかゾンビ化するのだが、根本的な解決無しで、主人公含む傭兵達が島から引き揚げるからラストはいったいどうなるのかと思ったら、なるほどそうきたか。啀み合いや恨みというものは、恐ろしい! ゾンビなんて醜いのは外見だけ。本当に醜いのは人間の心。ロメロ監督がゾンビ映画を通して一貫して伝えているメッセージが、今作にもちゃんと描かれていた。


私の評価…☆☆☆

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2010年6月20日 (日)

FLOWERS

FLOWERS
監督:小泉徳宏
出演:蒼井優、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、鈴木京香、広末涼子、真野響子、塩見三省、三浦貴大、大沢たかお、河本準一、長門裕之、井ノ原快彦、平田満、駿河太郎 他


 《映画というよりは超長尺のプロモーション・ビデオ》


 この映画、チラシ等の宣材が出る前から主演女優6人の顔触れからして某化粧品会社が絡んでいるなと思ったら、何のことはない案の定その通りだった。映画の中でわざとらしいタイアップはしていないが、日テレが過去の番組素材を貸し出しているという事もあって、その会社がスポンサーとなっている日テレの番組で、露骨なまでの宣伝をやっている。


 「娘と母、父と母、夫と妻、姉と妹、母と子」をテーマに昭和初期から現代を4つに分け、それぞれの時代を生きた女性たちを描くのだが、テーマ自体が漠然としたものなので、映画も何が描きたいのか分かりづらいものになってしまった。一応オムニバス形式ではあるものの、ある1つの繋がりを見せるために、各年代のエピソードの区切りがはっきりと付けられておらず、昭和11年の話からいきなり現代に飛んだかと思うと30年代に行ったり50年代に行ったり11年に戻ったりと非常にややこしい展開となってしまう。せめて時系列通りに描けなかったものか。


 エピソードごとに観ると結構面白い部分もあるだけに惜しいのだ。蒼井優のエピソードはもう画面を観れば一目瞭然の小津作品風で構図までそっくりだし、田中麗奈のエピソードはクレイジー・キャッツ映画風で長門裕之や河本準一とのセリフのやりとりが楽しい。時系列通りに描かれていれば各年代を観るのに頭の中で切り替えができて、すんなり楽しめるのだが、途中で切り替わると逆にそれぞれがバラバラに見えてしまい、結果としてまとまりが悪くなるのだ。各パートごとに印象的なセリフもこの女優達が喋るのだが、強調されていないからか悲しいくらいに際立っていない。せめて、そういうところだけでも強調されていれば、少しはメリハリの効いた映画になったとは思う。


 せっかくいい俳優や音楽、「ALWAYS 三丁目の夕日」のスタッフによる、どこか懐かしい映像加工と、見所はいっぱいあるのに、完成した映画がこの程度とは… 寂しい。


私の評価…☆☆

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2010年6月16日 (水)

アイアンマン2

アイアンマン2
アイアンマン2
監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、スカーレット・ヨハンソン、ミッキー・ローク、サム・ロックウェル、サミュエル・L・ジャクソン、ポール・ベタニー(J.A.R.V.I.S.の声)、ジョン・ファヴロー、ジョン・スラッテリー、クラーク・グレッグ、レスリー・ビブ、スタン・リー 他


 《マーベル・ヒーロー集大成「アベンジャーズ」への準備着々と進行中》


 このところ、自社が抱えるコミックヒーローを主人公にした実写映画を連続してヒットさせ、ライバルの「DCコミック」よりも勢いづいている「マーベルコミック」であるが、その最新作であり、現在実写映画として製作が進められている「アベンジャーズ」でもメイン・キャラクターの1人となっている「アイアンマン」。これはそのシリーズ第2弾である。


 前作でも、「アベンジャーズ」関連としてS.H.I.E.L.D.長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)がちょっとだけ出ていたが、今回やはり出番が多くなり、同じく「アベンジャーズ」絡みでブラック・ウィドー(スカーレット・ヨハンソン)も登場。ペッパー役のグウィネス・パルトロウと「Wヒロイン」というかたちで描かれていて、さらに今後製作が決定している「アベンジャーズ」関連作品、「キャプテン・アメリカ」と「マイティ・ソー」(共に来年公開予定)に繋がる伏線が、ストーリーのあちらこちらにちりばめられている。つまりアイアンマンとともに「アベンジャーズ」ビック3(キャプテン・アメリカとソーを加えてそう呼ばれている)出現を予感させることによって、当初から3部作の構想となっている(らしい)アイアンマンのパート3と2012年公開予定の「アベンジャーズ」に彌がうえにも期待を膨らませるような展開となっている。


 役者のハマりっぷりも楽しい。主役のトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)はやんちゃな社長っぷりがさらに増して、ちょっとテングな(笑)前社長になっているし、社長業を任される事になるペッパーともさらに親密になっている。3作目に向けて恋から愛へと発展していくのだろうな、これは。そして、前作に出演したテレンス・ヤング降板を受けるかたちで登場したドン・チードルが扮するもう1人のアイアンマン(=ウォーマシーン)とトニーとの軽妙なやりとりも、作品を面白くさせている。今後作られる「3」も非常に楽しみだ。


 尚、前作同様長いエンドロールの後に、重要なお楽しみ映像が流れるので見逃さないように(自分が観た回ではそれを知らずにエンドロール途中で退席する人の多い事… 損してますよ!)。あのハンマーはマイティ・ソーの武器「ムジョルニア」!? おっと、これ以上は言ってはいけないね! 劇場でお確かめあれ。


私の評価…☆☆☆☆

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2010年6月15日 (火)

告白

告白
監督:中島哲也
出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃、芦田愛菜、山口馬木也、高橋努、新井浩文、黒田育世、山田キヌヲ 他


 《松たか子の怪演に、ゾクッときた》


 この映画は少年法の問題点などのデリケートなものが含まれているため、「R−15」指定である。つまり中学生はそのままでは観ることができない。確かに中学生の殺人場面や発狂場面が、決してオブラートに包んだような描き方ではなくかなり衝撃的に描かれているため、「映倫」としてはこの処置は妥当なのだろうが、内容からすればこれは「命の重さ」というものをきっちりと描いていると同時に、悪い事をすれば必ずそれは自分にとって悪い事となって返ってくるという「戒め」がちゃんと描かれているので、一般料金を払って(或いはサービスデー等を利用して)ごまかしてでもいいから、是非とも中学生に観てもらいたい映画だ。かなり前に深作欣二監督の「バトルロワイアル」が公開された時も思ったのだが、製作側が中学生に観てほしいために作った映画が「R指定」となって、学生が観られなくなってしまうのは「一部に模倣する奴がいるから」という理由があるにせよ寂しすぎる。ちなみに「バトルロワイアル」はオリジナル版か特別編のどちらのバージョンになるかは分
からないが、3D映画となって再公開される事になった。当時「R指定」の“壁”で観たくても観られなかった人は、今度は確実に観られるので観に行ってください。


 さて、本編の感想の方に話を戻そう。原作ではほとんど主人公による独白形式で話が進んでいくのだそうだが、映画の方でも冒頭から20分くらいは主演=松たか子の独壇場。もう、とにかく喋りまくる。普通あれだけの長セリフが続くと最悪な場合話が弛んでしまう事があるのだが、やはりこの人演技力が相当あるのだ、時折タイミングよく入る生徒達の合いの手のようなセリフと相まって、実にテンポ良く話が進み、観ているこちら側を作品の中にグイグイ引き込んでくれる。犯人である生徒2人を追い詰めていく顔の表情は、思わずこちらもゾクッときた。


 しかし“群衆心理”ってやつは怖いもの。この女教師は犯人に復讐するために、あるウイルスを給食の牛乳に混ぜるのだが、冷静に考えればそのウイルスは液体に混ぜた時点で死滅するもの。でもそのウイルスの名前を聞いただけで周りがパニックになれば、それだけで入れられた者はあたかも感染したような衝撃を与えられるのだ。この生徒2人はそのあと奈落の底に突き落とされたような“転落人生”を歩まさせられる訳だが、この生徒達の役は実際にも13〜14歳の子役が吹き替えなしで演じているのだ(ちなみに「バトルロワイアル」では当時高校生以上の役者が中学生を演じた)。いわば殺人や人生の狂わされ方を擬似体験している訳であり、役者へのケアがちゃんとできているのかとか、そっちの方が心配になった。


 今年観た中では今のところ衝撃度ナンバーワンの映画。原作とはラストが少し違うという事なので、見比べてみるのもいいかも。


私の評価…☆☆☆☆

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2010年6月 9日 (水)

リアル鬼ごっこ2

リアル鬼ごっこ2
リアル鬼ごっこ2
監督:柴田一成
出演:石田卓也、吉永淳、三浦翔平、蕨野友也、渡辺奈緒子、永島敏行 他


 《前作の続きというのに、主役以外の全キャストが交代したので、変な違和感あり》


 全国の「佐藤」さんを集めて鈴木という名の「王様」がゲーム(=鬼ごっこ)を仕掛け、鬼に捕まった「佐藤」を殺していくという、斬新かつ単純な設定がウケて、製作された第2弾。


 1作目の時に原作とはストーリーが大幅に変更され「パラレルワールド」の世界を持ち込んだ事で、続編が簡単に作られるようにしてしまったのが、今回は裏目に出てしまっている。原作には整合性を欠いている部分が多々あるので、自由に創作しやすいのかもしれないが、まず前作の続きということだから、少なくとも同じキャラクターは同じ役者が引き続いて演じるべきである。だが本作は主役の石田卓也以外は全てキャスティングが変わってしまった。確かに1作目にレジスタンスのメンバーとして出演していた谷村美月や大東俊介、松本莉緒といった俳優は今や売れっ子となったためにオファーできなかったのだろう。でも大東俊介や松本莉緒はともかく、劇中でもかなり重要な役割となる主人公の妹役の谷村美月の降板は痛い。今回キャスティングされたほとんど無名に近い新人の吉永淳がかなり頑張ってはいるが、当然顔も似てないし演技プランも違うわけで、1作目の印象が強く残っている人には違和感が残る筈だ。


 そして「パラレルワールド」による“弊害”はもう1つ。主人公が親譲りの“ある力”を持ってしまった事により、無限にあるとされる「パラレルワールド」を自由に行き来できるようになってしまった。おいおい、これでは永久に話が終わらなくなってしまうではないか(笑)。ピンチになったら別の“ワールド”に飛びゃいいんだから。


 てなわけでまだまだ続くかたちでラストのオチへ。あれなら次はSF時代劇か? とにかく続編やるのだったら同じキャストでやってほしい。


私の評価…☆☆★

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2010年6月 5日 (土)

座頭市 THE LAST

座頭市 THE LAST
監督:阪本順治
出演:香取慎吾、石原さとみ、反町隆史、倍賞千恵子、加藤清史郎、中村勘三郎、仲代達矢、高岡蒼甫、工藤夕貴、岩城滉一、原田芳雄、豊原功補、ARATA、ZEEBRA、寺島進、宇梶剛士、柴俊夫、大富士 他


 《脚本のツメが甘いのか、消化不良》


 権利関係者曰く、「映像化はこれが最後」との触れ込みだが、実際には2017年で著作権が消滅するため、現行のままではそれ以降、誰でも「座頭市」を作る事ができるようになる。完成披露の時に主演の香取慎吾が冗談で「続編」を口走っていたが、続編でなくても強ち冗談ではなくなるかもしれない。


 ただ、この作品に限っていえば、僕は不出来な部類に入ると思う。作品は意外とまともに作っているし、もちろん香取クンをはじめ役者の皆さんはきっちり演技をなさっているので、その点では文句はない。問題は脚本にあると思う。


 このシリーズは差別表現が問題になる事が多いのだが、それは本質的なものではない。むしろそういった差別や偏見に立ち向かっていく人間の姿を描いていかなければならない。この点については細心の注意をはらいながらもちゃんと描いている。ちなみに今回は「按摩」や「百姓」といった職業や階級に関する差別表現は多くみられるものの、「め○ら」「○っかち」といった顰蹙をかってしまうような障がい者差別言葉は、日本盲人協会が監修を勤めていることもあり一切喋られていない。


 ただ、このシリーズは勧善懲悪であるその前に、「人間の業」や「人情」もきっちり描かれている、つまり宿命や情がある上で敵味方に別れての斬り合いがあるのが魅力なのだが、これがどうにも中途半端なのだ。いろいろ詰め込みたいのは分かるが、もう少しバランスをとって整理すればいいものになっていたかもしれない。市が発狂者に刺されるくだりも何だか取って付けたような感じで後味が悪い。


 悪ボス役に仲代達矢のような大ベテラン役者を持ってきたのはいいが、他の役者とのバランスがとれているとはとても言えない。1人だけ演技レベルが違いすぎるので、見方によっては何だか1人だけ浮いているように見える。ここは中ボス役の豊原功補が大ボス役で十分つりあいが取れていたはずだ。


 結局この映画は脚本も配役の配分もどことなくチグハグ。監督や役者の力量だけでいいものができるとは限らないのである。


私の評価…☆☆

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2010年6月 1日 (火)

〈午前十時の映画祭〉ローマの休日

〈午前十時の映画祭〉ローマの
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘプバーン、グレゴリー・ペック、エディ・アルバート、ハーコート・ウィリアムズ、マーガレット・ローリングス、パオロ・カルリーニ、トゥリオ・カルミナティ、ハートリー・パワー 他


 《アラ探しもできる、ラブコメ映画のお手本》


 今回上映されるバージョンは2003年に公開された「デジタル・ニューマスター版」である。これはなぜそう分かるのかというと、スタッフ・ロールの脚本のところにダルトン・トランボの名が印されているから。実はこの人、“赤狩り”でハリウッドを追われているんですね。でも暫くは自分の名を匿してアメリカ映画の脚本を書いていたため、この映画でもオリジナルでは別人の名でクレジットされているんだけど、本人の没後、アカデミー賞が謝罪の意を込めて賞を送ったのを期に、「製作50周年記念版」(つまり本作)として復刻する際に、改めて本人の名でクレジットされたのです。


 この映画は何といってもヘプバーンの魅力にある。役柄に照らし合わせていえば、王女たる気品と、新聞記者とのデートの最中にみせる茶目っ気。この相反する2つが同居したような役を、新人らしく実に初々しく演じた。相手役のグレゴリー・ペックも格好いい。哀愁漂う切ないラストは、映画史に残る名場面だ。


 さて、そんな名作映画だが、知っている人も多いとは思うが、スタッフであるスクリプター(記録係)の大チョンボによる迷場面がある。ヘプバーンが理髪店で髪を切った(所謂、ヘプバーンカット)後の教会の場面。グレゴリー・ペックと会話を交わすところでカットが細かく分かれるのだが、よく見れば画面後方の時計の針が大幅に進んだり遅れたりしている(笑)。ヘプバーンが持っているジェラートも減り方(溶け方?)がものすごく早い(笑)。食べている場面を挟んでいないのに一瞬にしてコーンまで無くなっている。編集の妙でよく観ていないと分からないが、ちょっとお粗末(笑)。でも、映画ファンなら必見の名作には違いない。


私の評価…☆☆☆☆☆

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