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2010年7月 5日 (月)

〈午前十時の映画祭〉雨に唄えば

〈午前十時の映画祭〉雨に唄えば
〈午前十時の映画祭〉雨に唄えば
監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
出演:ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナー、ジーン・ヘイゲン、ミラード・ミッチェル、シド・チャリシー、リタ・モレノ、ダグラス・フォーリー 他


 《サイレントからトーキーへ、映画史の移り変りをコミカルに描くミュージカル映画の傑作》


 僕は、「雨に唄えば」よりもジーン・ケリー主演映画なら「巴里のアメリカ人」をスクリーンにかけてほしかったんだけど(もし、2年目やるんならお願いします)… この映画、何年か前に京極弥生座(現・新京極シネラリーベ)でイベント上映された時は、ニュー・プリントではなくかなり状態の悪い(中心部分が緑色に焼けた)フィルムが上映されて憤慨していたんだが、今回晴れてニュー・プリントでの上映で観ることができて、非常に嬉しい。僕は映画音楽が好きで、音楽映画やミュージカルなんかも好きで、フレッド・アステアやジーン・ケリーの映画なんか観るとそれだけでたまらなく楽しくなる。この映画ジーン・ケリーとドナルド・オコナーの息のあったセリフの掛け合いやダンスはもちろん楽しいのだが、テレビか何かで最初に観た時に、僕はデビー・レイノルズの可愛らしさに目を奪われてしまった。ちなみにデビー・レイノルズの娘はキャリー・フィッシャー(「スターウォーズ〜」のレイア姫)である。可愛らしさは… 遺伝していないなぁ(苦笑)。デビーは最
近の映画ではニア・ヴァルダロスとトニー・コレットが共演し日本でも5年くらい前に公開された「コニー&カーラ」という、現代版「お熱いのがお好き」みたいな内容の映画に舞台女優役で特別出演していたが、かなり太られたものの、相変わらず可愛らしい“お婆ちゃん”になっておられ(現在78歳)、嬉しくなったのを覚えている。


 物語は映画が無声(サイレント)からトーキーへと移行する時代の、当時実際にあったとされるてんやわんやの大騒動をコミカルに描いたもので、今より性能が悪い集音マイクの無駄音拾い(さすがに心音までは拾えないだろうが)や悪声俳優の吹き替え(サイレントでは二枚目俳優として売っていたダグラス・フェアバンクスは顔に似合わぬカン高い声で人気が下降した)など、当時の業界人の苦労が偲ばれる。


 一番有名なのはやはりジーン・ケリーがどしゃぶりの雨の中「Singin' in the rain」を歌う場面だろう。実はこの曲はこの映画のオリジナルではなく、後にMGMの名プロデューサーとなるアーサー・フリードが作詞した既成の曲を使ったもので、MGM黎明期のレヴュー映画「ブロードウェイ・メロディー」(本作はこの映画にオマージュを捧げている)、また別の映画ではジュディー・ガーランドも歌っている。その辺のところはMGMのアンソロジー映画「ザッツ・エンターテインメント」でもちゃんと映像として収録されていて、DVDでも発売されている(僕もパート1〜3+特典ディスクの初回限定BOXを持っている)ので、興味ある人はそちらも観てほしいし、後々ここにもアップしていこうかなと思っている。


 あと、デビーの他に出ている2人の女優も印象深い。1人は悪声女優リナ役のジーン・ヘイゲン。実は彼女自身は悪声ではない。あの声はあの役のためにワザとやった声で、ラストシーンで彼女が歌う「Singin' in the rain」は映画の上では後ろでデビー扮するキャシーが吹き替えているので、デビー・レイノルズの声だと思っている人が殆どだろうが、実はジーン・ヘイゲン本人の声である! たぶんこの人がいなかったらこの映画は成り立たなかったと思えるくらい悪女に撤しているのだ。そしてもう1人は「ブロードウェイ・メロディー」場面でのジーンの相手役で“500万ドルの脚線美”シド・チャリシー。本作での出番は少ないが、彼女は先頃日本でも今村ねずみ&湖月わたるで舞台化されたフレッド・アステアとの共演作「絹の靴下」や「バンド・ワゴン」、ジーン・ケリーとの共演作「ブリガドーン」(全てDVD発売中)など、面白いミュージカル映画にたくさん出ておられるので、今後こういった映画が再びスクリーンにかかる事を望む。


 この映画のメインキャストのうち、ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、シド・チャリシーは既にもうこの世にいない。最近はミュージカルでもこういうクラシックなダンス中心のものは少なくなり、ロックやニュー・ミュージックのものが多くなっている。それはそれで悪くないが、たまにはこういうクラシック・ミュージカルの「新作」を観てみたいものだ。


私の評価…☆☆☆☆☆

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