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2010年8月

2010年8月31日 (火)

〈午前十時の映画祭〉ブリット

〈午前十時の映画祭〉ブリット
監督:ピーター・イェーツ
出演:スティーブ・マックイーン、ロバート・ヴォーン、ジャクリーン・ビセット、ドン・ゴードン、ロバート・デュヴァル、サイモン・オークランド、ノーマン・フェル、ジョーグ・スタンフォード・ブラウン、ジャスティン・タール 他


 《後の刑事もの映画を変えた、エポック・メイキング作》


 型破りな刑事と言えば、「ダーティー・ハリー」シリーズのハリー・キャラハン刑事や、「フレンチ・コネクション」シリーズのポパイ刑事を思い浮べる人も多いと思うが、そういった映画が作られるきっかけとなった映画が、この「ブリット」である(こういうタイプの元祖と呼ばれる映画はもっと古くからあるらしいのだが)。


 やっぱりどの出演作でもマックイーンは格好いい。実は彼は生きていれば今年80歳。50歳で肺癌(正確には中皮腫)で亡くなっているので今年は没後30年にあたる。同い年となるクリント・イーストウッドの活躍を見ていると、マックイーンも生きていれば、渋い俳優になっていただろうなぁと、親父と同じ道を歩む息子の姿を見てもそう思う。


 ラロ・シフリンによる音楽も、いかにもなサイケデリックさで好き。つい最近までフジテレビ系「すぽると」の番組内BGMとして使われていたので、聴いたことあるという人も多いと思うが、ちょっと「ルパン三世」っぽい(笑)。たぶん「ルパン〜」がコレをイメージしたのかな。


 そんな格好いい映画、マックイーン自身が危険なアクションも殆ど自分でこなしているという点でも、ホントにリアリティー溢れる快作なのだが、その映画史を変えるきっかけとなった、サンフランシスコの坂を利用した、猛スピードによる車のチェイスが、よく見るとちょっと変。逃げる殺し屋の車と追うマックイーンの車の壮絶な場面は、同じ道を4回も周回しているのだ。巧みな編集によって一見分からないようにはなっているが、結果マックイーンの車は4度殺し屋の車を追い抜いているようにも見えてしまう。それだけではない、殺し屋の車は走行中にタイヤのホイール(カバーかな?)が外れている。車のことはよく分からないが、あれでよく走れたものだと思った。


 まぁそんなアラ探しもできてしまう本作だが、前述の刑事もの映画の他に現在の「ジェイソン・ボーン」シリーズなどに通ずるカーアクション映画へのエポック・メイキングとなったのも事実。マックイーン好きな人にも、車好きな人にもお薦めの映画だ。


私の評価…☆☆☆☆★

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2010年8月26日 (木)

今敏監督、膵臓ガンで死去

 昨日の深夜にネットのニュースサイトで知ったのだが、アニメ映画「パプリカ」の今敏監督が膵臓ガンで亡くなられた。


 この監督の代表作「パプリカ」を観たとき、これはもう、よほど想像力が豊かでないとこんな映像描けないのではと思っていて、次回作も期待していたんだが… 「耳をすませば」の近藤喜文監督が亡くなられた時も衝撃的だったのだが、まだまだ40代、これからなのに…


 ご冥福をお祈りします。

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2010年8月25日 (水)

ぼくのエリ 200歳の少女

ぼくのエリ  200<br />
 歳の少女
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、ペール・ラグナー 他


 《美しい少年少女の恋は、恐ろしくも哀しく、切ない》


 昨今、人間とバンパイアの恋愛ものがハリウッド映画で人気だが、これはそれより少し前の2008年にスウェーデンで作られた、人間の少年と、バンパイアの少女の初恋物語。


 クラスメイトにイジメを受けても何も抵抗できない弱い少年と、少年の部屋の隣室に越して来たが自らバンパイアである事を受け入れ、殆ど夜にしか行動しない、精神的に強い少女。互いに孤独感や疎外感を持つこの2人が惹かれあうのに、また互いに足りないものを補い合うのに時間はかからなかった… 


 一応この映画はホラーなので、全体的に暗い雰囲気で話は進んでいくのだが、後味は悪くない。何だか「小さな恋のメロディ」のホラー版という感じで、爽快感さえ漂う。何より子役2人が素晴らしいのだ。主演のカーレ君はともかく、ヒロイン役のリーナ・レアンデションが、本当に撮影当時12歳なのか? と思うほどかなり大人っぽく、きれいな目をしていて、思わず吸い込まれそうになった。


 恐らくこの映画、海外で映画賞を受賞しながら日本での公開が“お蔵入り”になっていたのは、バンパイアという設定とはいえ、12歳の少女が大人を殺す場面があるのと、一瞬だけだがヒロインの陰部が露になる(「映倫」がつまらないモザイク処理をしている。他愛ないシーンなのに)からなのか。しかし、そんなこと関係なくこの映画の質はいい。CG全盛の時代にあえてそれを使わず、このスタッフ達は吸血のシーンなどをやってのけた。最先端の技術を使わなくても、演出の工夫でこんなに質の高い映像が撮れるのだ。この映画は既にハリウッド・リメイクが決まっている(「クローバー・フィールド」のマット・リーヴス監督、「ザ・ロード」のコーディ・スミス・マカフィ、リメイク版「悪魔の棲む家」のクロエ・モレッツ共演)が、オリジナル版の独特な雰囲気を醸し出す事が再現できるのか(恐らくできないだろうが)、公開が待たれるところだ。


私の評価…☆☆☆★

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2010年8月24日 (火)

劇場版 怪談レストラン

劇場版 怪談レストラン
劇場版 怪談レストラン
監督:落合正幸
出演:工藤綾乃、森崎ウィン、剛力彩芽、冨田佳輔、さくらまや、田中卓志・山根良顕(アンガールズ)、片桐はいり、村松利史、長友光弘(響)、西村雅彦 他

アニメパート・声の出演:アコ…白石涼子、ショウ…優希比呂、レイコ…浅野真澄、お化けギャルソン…平田広明 他


 《現代版「学校の怪談」》


 この映画は50巻に及ぶ児童文学シリーズをテレビアニメ化を経て実写映画化したものだが、テレビアニメ版と同じキャストで製作された短編エピソードを引き継ぐかたちで実写部分が作られており、実写部分では映画オリジナルのキャラクターが主人公になっている。お化けギャルソンはさすがにそのまま実写CG化できなかったのか、“擬人化”してキャラクターが変わり、見るからに不気味な(笑)闇のギャルソン(=西村雅彦)になった。


 ただキャラクターが変わったとはいえ、それぞれのキャラクターの性格や位置付けはアニメ版と似せており、原作やアニメファンはもちろん、初めて観る人にも、わりととっつきやすい作風に仕上げていた。


 落合監督といえば、映画では「感染」など“Jホラー”の作品で知られているが、この映画はやっぱりお子さまも相手にしなければならないホラー。必然的に「学校の怪談」風の味付けである。でも、大人が観るポイントがないのかといえば、そうではない。今回子供たちが戦う相手“死神”は、ある人間の悪しき心が凝り固まったもの。それに対して主人公は、最近の子供には薄れがちな、仲間達との連帯感、団結力を「怪談レストラン」で鍛練し、挑んでいく。


 主演の工藤綾乃は国民的美少女コンテスト優勝者で、恐らくこれが演技初経験だろう。監督の演技指導がいいのか“棒読み”ではなかったが、まだまだ荒削りだ。だが、経験をつめばルックスも可愛くスタイルもいい(中学2年生で身長168cm)ので、上手に磨けば間違いなく“大化け”するだろう。


私の評価…☆☆☆★

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2010年8月23日 (月)

〈午前十時の映画祭〉パピヨン

〈午前十時の映画祭〉パピヨン
監督:フランクリン・J・シャフナー
出演:スティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン、ヴィクター・ジョリー、ドン・ゴードン、アンソニー・ザープ、ロバート・デマン、ウッドロー・パーフリー、ビル・マミー、ジョージ・クールリス、ラトナ・アッサンウィリアム・スミザーズ、ヴァル・エイヴァリー、グレゴリー・シーラ、ヴィクター・テイバックマイルズ・ワトソン、ロン・ソブル、バーバラ・モリソン、ドン・ハンマー 他


 《実録脱獄ものの傑作》


 本作は、数ある“脱獄もの”映画の中でも特に傑作といわれる1本である。ただ、最後の最後でトンでもないアラ探しができる(後述)映画でもある。


 胸に蝶の刺青をしていることで“パピヨン”と呼ばれた男が、無実の罪で終身刑となったものの、脱獄に成功し、後にベネズエラ市民権を取得した、原作者アンリ・シャリエール自身の伝記小説を映画化したもので、原作者自身の実体験に基づいた、非常に過酷でリアルな人間模様が描かれる。


 ただ、単に過酷なムショ暮しを描くだけでは暗くて面白くない映画になってしまう。そこでマックイーンとホフマンの会話など随所にコミカルなセリフや動作を入れ、囚人同士に生まれる奇妙な友情や、表向きは善人でなきゃならない者の恥部をも浮き彫りにしていく。最後まで“ここを抜け出して生き抜く”事を貫き通すため、何度も失敗しては独房へ入れられ、時にはゴキブリまで食う羽目にあうような極限の状態に追い込まれながらも、決して諦めない主人公の姿は、痛々しくも逞しい。


 そしてラスト、監獄島からの脱出についに成功、椰子の実を入れた麻袋を浮き袋代わりにし、海に飛び込んだマックイーン。解放感に浸った主人公が“自由”へと「船出」していく感動的なシーンだが、よーく見るとサメが泳ぎ回る海中で、映画のスタッフが立ち泳ぎをしながら、浮き袋を必死で支えているのである(笑)。ひっきりなしに足を動かし決して軽くないマックイーンの体を持ち上げているのだ。本当だったら名場面になるべき部分なのに… 今だったらCGで簡単に消せてしまえるのだが、昔の映画ならではの迷場面である。


私の評価…☆☆☆☆★

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2010年8月22日 (日)

ベスト・キッド(2010)

ベスト・キッド(2010)
ベスト・キッド(2010)
監督:ハラルド・ズワルト
出演(吹替版声優):ジェイデン・スミス(矢島晶子)、ジャッキー・チェン(石丸博也)、タラジ・P・ヘンソン(斉藤貴美子)、ハン・ウェンウェン(うえだ星子)、ワン・ツェンウェイ(川島悠美)、役者名不明(高山みなみ) 他


 《懐かしいヒット作の良質なリメイク》


 本作は今から26年前に公開された「ベスト・キッド」のリメイク版である。ただ武術が空手からカンフーに変わり、舞台もアメリカから北京に変わった。キャストも若返りしているので、オリジナル版とは全く違った感じが漂ってくる。オリジナル版から踏襲されている設定は、「引っ越した先で陰湿なイジメに合った少年が、風変わりな師に出会い、イジメを克服していく」ことのみだ。


 僕は26年前はまだ小学生だったのでオリジナル版をスクリーンで観た事はないが、テレビの地上波で何度も放映されているし、VHS等で借りたりして何度か観ている。リメイク版は設定こそ違うものの、希薄になった人間関係のなかで育まれる師弟愛や可愛いヒロインとの関係(オリジナル版のヒロインはエリザベス・シュー)、服を脱いで掛ける、取る、着る(オリジナル版は「ワックスかける、ワックス拭き取る」)という生活密着型練習方法が出てくるし、オリジナル版の師匠ミヤギの口癖だった「フォーカス(集中しろ)!」というセリフが、リメイク版の師匠ハンの口から発せられると、もうタイムスリップしたかのように非常に懐かしくなってしまった。


 主演のジェイデン・スミスはさすがにウィル・スミスの息子だけあって身のこなしがいい。徐々に上達していくカンフー・アクションがさまになっている。しかし何といっても師匠ハン役のジャッキー・チェンである。彼ももう56歳だが、こんな枯れた演技、というか役は初めてなのではないか? しかもこれが場の雰囲気に合っていてなかなかイイのだ。オリジナル版のパット・モリタは一見普通のオッサンだったが、やっぱりジャッキーは枯れていてもオーラが出まくり(笑)だった。


 ちなみにオリジナル版1作目は「ロッキー」のスタッフが作っていたので、試合の場面が非常に迫力があった。ただ、クライマックスに練習もしていないような超必殺技「鶴拳」が突如炸裂し、観る側の失笑をかった。本作も「鶴拳」ではないが、最後は必殺技だった… ただ、より自然な“うっちゃり”技なので、これは良。清々しいラストに大拍手なのである。


私の評価…☆☆☆☆★

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2010年8月17日 (火)

魔法使いの弟子

魔法使いの弟子
魔法使いの弟子
監督:ジョン・タートルトーブ
出演(吹替版声優):ニコラス・ケイジ(大塚明夫)、ジェイ・バルチェル(山崎樹範)、アルフレッド・モリーナ(石塚運昇)、テレサ・パルマー(声優名不明)、モニカ・ベルッチ(五十嵐麗)、アリス・グリーク(一条みゆ希)、グレゴリー・ウー(声優名不明)、トビー・ケベル(桐本琢也)、ニコール・インガー、オマー・ベンソン・ミラー、ジェームズ・A・スティーヴンズ、ジェイク・チェリー、ペイトン・リスト 他


 《演出が少々古臭いが、ディズニーらしい映画》


 この映画のモチーフになっているのは、その昔ディズニーが世界で初めてステレオ録音で製作した映画「ファンタジア」で、ミッキーマウスが演じた“魔法使いの弟子”のパートが元ネタである。製作者の話では現代の子供達に「ファンタジア」の世界を見せたかったということで、全体的に見てもそのパロディー(いやオマージュか)がたくさん詰まった楽しい映画に仕上がっている。


 ただ「ファンタジア」は日本では戦後だいぶたってから公開されたものの、戦前の映画である。魔法陣を描く場面は何だか「鋼の錬金術師」みたいな感じではあったが、魔法でいろんな物が変わる場面は、今の映画というよりも、一昔前のSFXファンタジーのような、僕からするとちょっと懐かしい雰囲気がした。


 役者もそれぞれがピッタリとハマっていていい。「ナショナル・トレジャー」の製作スタッフなのでニコラス・ケイジが主演なのかなというのはあるのだが悪くはなく、弟子役のジェイ・バルチェルはこのブログ前項の「ヒックとドラゴン」でもヒックの声を演じており、どことなくひ弱なキャラが板についている。アルフレッド・モリーナは「スパイダーマン2」で演じていたドック・オクのような、どことなく憎めない悪役を怪演しているし、モニカ・ベルッチはニコラス・ケイジを誑かす悪女(?)を、40歳を過ぎてもますますセクシーな容姿で演じている(なぜか殆ど無表情だが)。


 残念ながら全米ではヒットはしているものの期待された程の興収ではないらしく、続編製作は全世界の興収成績に委ねられる事になりそうだが、物語が完結しているとは言い切れない終わり方になっているので、是非とも続きは観てみたいものだ。


私の評価…☆☆☆★

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2010年8月16日 (月)

ヒックとドラゴン 3D

ヒックとドラゴン 3D
ヒックとドラゴン 3D
監督:ディーン・デュボア
出演(吹替版声優):ジェイ・バルチェル(田谷隼)、ジェラルド・バトラー(田中正彦)、アメリカ・フェレーラ(寿美菜子)、クレイグ・ファーガソン(岩崎ひろし)、ジョナ・ヒル(淺井孝行)、クリストファー・ミンツ=プラッセ(宮里駿)、T・J・ミラー(南部雅一)、クリスティン・ウィグ(村田志織) 他


 《原作を大改編! でも結果的に快作に》


 日本では興行的には「借りぐらし〜」と「トイ・ストーリー3」の影に隠れるかたちとなってしまったが、アメリカでは大ヒットをかっ飛ばしている本作。原作には続刊があるため、映画も3年後の公開を目指して続編を作る事がすでに決定している。


 この映画、内容を大幅には変えない程度だが大胆に原作を改編している。最も大きく異なるのは、原作ではヒックとトゥースレスの友情に重点が置かれているのか、バイキングとドラゴンとは敵対関係ではない。ところが、映画やドラマでは主人公と対立するキャラクターとの構図をはっきりさせておかないと、物によっては面白くないものになる事が多い。特に子供や家族向けの映画では、善と悪くらいはハッキリさせておいた方が、観ている側にも分かりやすくなる(カウボーイ人形とピンクの熊とか、小人と人間とか)。


 で、原作とはそういう相違点がありながらも、身体的特徴(バイキングらしくない体形のヒックと歯無しのドラゴン)や欠損(ドラゴンは尾鰭を半分失い、ヒックは最終的に片足を失う)を抱えた、いわゆる社会的弱者が、種を超えた友情で難関を突破していくのは映画も一緒。その姿に感動を憶えるのだ。大改編をしてしまった事が本作では吉と出たが、恐らくこれに影響される続編がどうなっていくのか、不安ではあるが非常に楽しみでもある。


 ちなみに、本作のドラゴンの飛行シーンは3Dで観ると奥行とスピード感が凄い。さすがにジブリアニメの「紅の豚」や「魔女の宅急便」を参考にして描いただけのことはある。このシーンを観るだけでもお得感十分の映画です。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2010年8月10日 (火)

〈午前十時の映画祭〉羊たちの沈黙

〈午前十時の映画祭〉羊たちの
監督:ジョナサン・デミ
出演:ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン、テッド・レヴィン、アンソニー・ヒールド、ブルック・スミス、ダイアン・ベイカー 他


 《ハロー、クラリス。子羊の悲鳴は止んだかね?》


 この映画、約19年前に公開された時も確かスクリーンで観ている。当時は、主演のジョディ・フォスターが結構好きで、それで観に行ったらその主役を(いろんな意味で)食う役者(=アンソニー・ホプキンス しかも合計たった10分そこそこの出演である)に衝撃を受けて家に帰った記憶があるのだが、今、改めて観てみると、合計5作映像化されたシリーズ(本作の前に「刑事グラハム」、後に「ハンニバル」、「刑事グラハム」2度目の映像化「レッド・ドラゴン」、「ハンニバル・ライジング」)の中でも、やはりこの「羊たちの沈黙」の出来が突出しているのである。


 もちろん、アンソニー・ホプキンス演じる強烈なキャラクター、ハンニバル・レクターが作品の出来の強力なアシストになっているのは間違いないのだが、彼はこの映画では本来ほんの脇役にすぎないのだ。あくまでも本筋は連続少女誘拐殺人の犯人(これまた強烈な性倒錯者でインパクト大!)を捕らえる事なのである。そんなところにまだ訓練生である主人公クラリスを仏帳面で送り込む上司も怖い(スコット・グレンが好演)。後々の作品も同じ面子を揃えていれば、この作品をたとえ超えられなくてもそこそこの評価が得られただろうに、続編「ハンニバル」ではジョディ・フォスターが本人のワガママで降板したのが痛い。ジュリアン・ムーアも頑張ってはいたのだが。


 写真としてこのブログに貼り付けたチラシデザインは秀逸で、クラリスの口元に、この映画のキーポイントとなる背中にドクロの模様を持つ蛾が描かれているのだが、そのドクロに注目。よーく見ると、裸になった数人の人間が横たわっているのを真上から写した状態で描かれているのだ。映画のなかで惨殺される人を表している。チラシやポスターのデザインは、映画の大まかな内容を1枚に表すものなので、他の映画でもこういう“発見”をする事によって、また違った見方ができる。あっ、だから「もう一度、スクリーンで観たかった」って思えるんだ!


私の評価…☆☆☆☆★

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2010年8月 3日 (火)

映画評論家・今野雄二さん自殺か

 映画評論家の今野雄二氏が自宅で首を吊って死亡していたらしい。


 以前はテレビの深夜番組などで見かけたりしていたのだが、そういえば最近テレビでも見かけないし、映画雑誌でも記事を見ないなあと思っていた。インターネットでは今年の春頃までコラムを担当していたようだが。


 記事を漠然と見ているだけでは、なぜなのかという動機が見えてこないが、ご冥福をお祈りします。

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2010年8月 2日 (月)

ソルト

ソルト
ソルト
監督:フィリップ・ノイス
出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、ダニエル・オルブリフスキー、アンドレ・ブラウアー 他


 《アンジー姐さん、無理し過ぎです》


 この映画は当初トム・クルーズ主演で3年ほど前から企画されていたものだが、トムが降板し主役を女性に変えて製作されたものである。普通のホームドラマのようなものならこの場合、設定を多少いじくるだけで、殆ど変更を加えることなく主人公を“性転換”させても何の問題もないだろう。


 ところがアクションものとなると、当然男と女では体力や運動能力に差があるから、運動神経のいい男性ならやれるアクションでも女性だとちょっと無理なのでは? と思えるものも出てしまう。本作でも主演が変わった時点でそれはあったはずで、もちろん色々と変更はしているはずなのだが、本筋を変えてはいけないせいなのか、どう考えても女性には体力的にもキツいだろうと思われるアクションが多いのだ。


 その点だけで考えれば、あまりこの映画にリアリティーはないのだが、女性にとってはそんなにハードなアクションでも、このアンジェリーナ・ジョリーやミラ・ジョヴォヴィッチあたりの女優が演じると、不思議とさほど違和感を感じない。


 肝心の内容の方は、主人公の設定上の都合もあってか、どっちつかずな尻切れトンボになっているのが痛い。もちろん最初から前後編ありで作っているのならあの結末でもいいだろう。ところが、どこを調べてみてもそんな事は書いていないから、あれではスッキリしない。結局はアンジーのファンのためだけの映画だった。


私の評価…☆☆☆

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ジェニファーズ・ボディ

ジェニファーズ・ボディ
監督:カリン・クサマ
出演:ミーガン・フォックス、アマンダ・セイフライド、ジョニー・シモンズ、J・K・シモンズ、エイミー・セダリス、アダム・ブロディ 他


 《「JUNO」の脚本家による学園ホラー》


 「JUNO」でアカデミー賞を受賞したディアブロ・コディーの新作脚本を、「イーオン・フラックス」のカリン・クサマが監督、人気若手美人女優のミーガン・フォックスとアマンダ・セイフライドのW主演で描く、ちょっと懐かしい雰囲気も漂う学園ホラー。


 聞くところによるとこの脚本家はかなりのホラー好きらしく、この映画も“自分にとって一番の恐怖とは何か”を突き詰め、結果として「思春期の女の子達誰もが心に抱く“残忍性”」というものを描こうとしたという事だが、そんなものが描かれるのは導入部だけで、ミーガン・フォックス扮するジェニファーが、あるバンドのヤリチン男(ドラマ「the O.C.」のアダム・ブロディ!)に“何か”をされ「お化け」と化してからは、何かトンでもない方向へと話が向かっていく。


 要するにコレ、アカデミー賞脚本家の作品と期待して観ると思わぬ肩透かしを食らわされるワケで、これから観る人はどちらかというと主演2人の魅力を観るつもりで観た方がいい。もちろん怖さも十分にあるとは思うので、オカルト映画ファンも納得はいく出来だとは思う。ネットでこの映画を検索してみると、何やらミーガン・フォックスのオフショット・ヌードや劇中のセクシー画像ばかり出てくるが、映画の中ではミーガンが「フライトナイト」みたいな「お化け」になってからは、アマンダ・セイフライドもグラマーな肢体をちょっぴりさらけ出して、ミーガンに負けず劣らずの(なんてったって元モデルである)美しさを魅せているので、男性ファンは(本質ではないが)そういうところに注目して観るのもいいと思う。


 えげつなくグロい場面もあるが、ツッこめる部分も多々あるので、デートムービーには適しているかも。美しいなと思っていた彼女が悪魔に変貌してしまったら、アナタどうします?


私の評価…☆☆☆★

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