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2010年9月

2010年9月29日 (水)

THE LAST MESSAGE 海猿

THE LAST MESSAGE 海猿
THE LAST MESSAGE 海猿
監督:羽住英一郎
出演:伊藤英明、加藤あい、佐藤隆太、加藤雅也、吹石一恵、三浦翔平、濱田岳、時任三郎、香里奈、勝村政信、鶴見辰吾、石黒賢 他


 《前作で止めときゃよかったのに》


 これに関しては、なぜ作ったのかその意図がイマイチ分からない。せっかく前作のラストが主人公とヒロインの結婚式という、これ以上ない最高のハッピーエンドだったのに。それに比べりゃ今回のエンディングは平凡で、クライマックスの絶体絶命な場面でもタイミングよく酸素ボンベが出てくるので、早いうちから主人公が助かるのが分かってしまい興醒めしてしまった。


 ま、東宝にしてみれば、今の映画はアメリカ映画からの3Dブームだし(僕はアナログの3Dがそうであったようにすぐ廃れると思っているのだが)、“日本初のデジタル3D映画”は東映に先を越されてしまったので、“日本初のデジタル3D長編映画”を焦って作ってしまったに相違ないのだろうが、何も一旦終わったはずの「海猿」で無理矢理やる必要はなかった。ちなみに今回は2Dで観ている。


 しかも脚本が、シリーズ最初から携わっている福田靖氏である。別に福田氏に文句はないが、この人、今大河ドラマ「龍馬伝」の脚本も書いているのである。もちろんアシスタントが何人かはいるのだろうが、それでもメインシナリオを担当しているわけだからかなり多忙なはずで、よく他の仕事を引き受けられたものだ。結果、大河とこちらとどっちに比重を置いているかは一目瞭然なのである。


 実際、話の設定においても日本の排他的水域内に於ける、日韓ロ共同プロジェクトによる海底プラントなんて、利権絡みの事を考えれば実際実現する可能性はゼロに近い。実現したとしてあんなことになったら、もっと混乱するだろう。そういう意味においてもあまりリアリティーがないこの映画。もう作らないでいいのでは。


私の評価…☆★

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2010年9月28日 (火)

〈午前十時の映画祭〉ワイルドバンチ

〈午前十時の映画祭〉ワイルドバ
監督:サム・ペキンパー
出演:ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ロバート・ライアン、エドモンド・オブライエン、ウォーレン・オーツ、ベン・ジョンソン、ジェイミー・サンチェス、エミリオ・フェルナンデス、ストローザ・マーティン、L・Q・ジョーンズ、アルバート・デッカー、ボー・ホプキンス 他


 《バイオレンス・アクションのお手本とも言うべき、西部劇の傑作》


 時代に取り残された無法者たちの滅びの美学を描く映画というのは「明日に向かって撃て」や「俺たちに明日はない」、近年でも「スカーフェイス」や最近の「パブリック・エネミーズ」など、よく現代劇で描かれるが、これはそれを西部劇で、当時としては過激なバイオレンス描写たっぷりに描いたものである。


 今回この映画祭で上映されているのは145分のディレクターズ・カット版。西部劇というジャンルに引導を渡す「最後の西部劇」と呼ばれるほど、完成度が高い映画で、強盗団VS鉄道会社が雇った囚人たち(つまりどっちもアウトロー)というわかりやすい構図と単純明快なストーリーで楽しめる。


 印象深い場面はたくさんあるが、なんといってもクライマックスの壮絶な大銃撃戦だろう。6台のマルチカメラを使い11日間ぶっ通しで撮影された、後に「デス・バレエ(死のバレエ)」と呼ばれるようになるこの場面は、ペキンパーお得意のバイオレンス描写と相まって見応えがあり、後のアクション映画に影響を与えたというのも分かる気がした。また所々スローモーションを効果的に用いているのも特色の1つで、これも後々のアクション映画のお手本となっている。


 ラストに流れるテーマ曲も印象的。イタリア民謡「ラ・ゴロンドリーナ」をアレンジしたものという事だが、どこかで聴いたことあるなと思ったら、昔、中学生の時によく聴いていたラジオの「全国歌謡ベストテン」(当時のDJは高島忠夫)で、アレンジはかなり違うがテーマ曲として使われていた曲だった。何だかとっても懐かしくなった。


私の評価…☆☆☆☆

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2010年9月26日 (日)

×ゲーム

×ゲーム
監督:福田陽平
出演:荒木宏文、菊地あやか、仲川遥香、三上真史、千代将太、加藤翔、相島一之、鶴見辰吾 他


 《昔、いじめられっ子だった奴等の壮絶な復讐》


 「リアル鬼ごっこ」の山田悠介原作の小説を、今人気の若手ユニット「D-BOYS」と「AKB48」のメンバーの中から4人キャスティングして製作。なので演技云々というより、過激な“イジメ返し”を観る映画。


 と、いうことで「バトル・ロワイヤル」みたいなバイオレンスや、「リアル鬼ごっこ(当然1作目)」のような派手なアクションがあるかなと思ったら、全然そうではなかった。


 主人公が小学生の時、ある人物がいじめられる時に考えられた「×ゲーム」。同窓会のわずか3日後、その時の恩師が不可解な自殺を遂げた後から、主人公の身辺に謎の女が出没、そこから恐怖の「×ゲーム」が始まる。


 昔イジメた側がし返され拷問のような罰を受ける場面はコミカルに作ってあるはずなのだが、役者達の演技の拙さもあってか笑えない。「椅子に画鋲」や「牛乳一気飲み」などは、イジメでなくても自分達が悪戯でよくやったものだが。


 カンのいい人なら途中でそのトンでもない結末が薄々見えてしまうのも欠点か。結局この映画も「悪人」同様、最初から100%“善人”はいないのだ。


 もちろん現実を描こうとすれば、現実の世界に完璧な善人などいないのだから、この描き方でいいのだが、これは空想世界を描く映画なのだから、そういう映画で全てが善人じゃないような描き方をすると、話が暗い方向にしかいかなくなる。もう少し明るい映画を観たいものだ。


 役者の選び方も些か安易である。いくら人気があるからといっても、もう少し選択肢は無かったのか? 菊地あやかだけはホラー映画なんかで使えそうな感じがするが、後はあまりやる気がスクリーンから伝わってこなかった。まさに「これを観るのも“罰ゲーム”」である。


私の評価…☆☆

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2010年9月21日 (火)

ゾンビランド

ゾンビランド
監督:ルーベン・フライシャー
出演:ウディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、アビゲイル・ブレスリン、エマ・ストーン、アンバー・ハード、マイク・ホワイト、ビル・マーレイ 他


 《ホラーなのに笑える、B級おバカ度高い映画》


 スイマセン、地元関西での公開が終わってから書いております。まだこれから公開される地域の人はスクリーンで、もう公開終わっちゃったよっていう人はDVDを待ちましょう。ネタ枯れ感ありありの「バイオハザード」シリーズと違って、こっちは少々お下劣感はあれど、非常に楽しいホラー・コメディー。オープニング場面などこっちを3Dでやったほうが面白いんではないかと思うほどだった。


 未知のウイルスがアメリカ中に蔓延。感染者は“生ける屍”と化し、アメリカは“ゾンビランド”となっていた。そんな中、主人公の引きこもり青年は、ホラー映画の“お約束”を参考に、自ら生き残るためのルールを作り、なんとかゾンビの魔の手から逃れていた。ある日、廃墟と化した町から逃げ出して「ゾンビのいない楽園」に向かうこととなった主人公は、ひょんな事から無敵のマッチョ男、そして2人の姉妹に出会う… 。


 最初から街中がゾンビだらけになっている設定なので、オープニング・クレジットからお下劣極まりない映像(「バイオハザード4」よりもこの映像を3Dにするべきだ)になっているのだが、無敵のゾンビハンター=ウディ・ハレルソンが出てくるあたりから、おバカ映画のノリになっていく。また、前述のとおり主人公のとる行動がそのまま過去のホラー映画におけるオマージュとなっているので、この手のホラーファンには絶対にウケるはずだし、この2人が、後に珍道中を共にするハメになる美女姉妹2人にはからっきし弱く、すぐ騙されるのも笑える。


 最終的にゾンビがいない土地に向かうというのも、何かのゾンビ映画であったような話だが、本作ではそれがロサンゼルス郊外にある遊園地である(笑)。一刻も早く向かわないといけないのに、ビバリーヒルズのハリウッドスター邸(「ゴーストバスターズ」のアノ人ん家でご本人登場!)で「ゴーストバスターズ」ごっこをするノーテンキさも、この手の映画らしいところだ。で、結局その遊園地もゾンビ集団を呼び寄せる事となり、ザコなゾンビ達がリメイク版「13人の刺客」のごとく一撃でヤられていくのだが、このゾンビ集団が結構イイ動きをして、なかなか画面を賑わせていて、やっぱり楽しいホラーになっていた。


 この映画、アメリカで大ヒットした事により、同じスタッフとキャストで続編の製作が決まった。監督の意向では3D映画になりそうだが、当初のテイストがだんだん失われていった「バイオハザード」シリーズみたいにならないでほしい。


私の評価…☆☆☆★

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2010年9月18日 (土)

悪人

悪人
監督:李相日
出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、塩見三省、池内万作、光石研、余貴美子、井川比佐志、松尾スズキ、山田キヌヲ、韓英恵、中村絢香、宮崎美子、永山絢斗、樹木希林、柄本明 他


 《祝・深津絵里、モントリオール映画祭最優秀主演女優賞受賞、でも…》


 この映画のタイトルは「悪人」ではあるが、描かれているのは全て根っからの悪人ではない。人間は100%の善人や100%の悪人というのはいない。全ての人間の心には善と悪が同居して、そのバランスで成り立っているものと僕は考える。この映画に出てくる登場人物も根っからの悪人ではなく、ほんの些細なことで心の中の悪い部分が顔を出す。


 二股をかける女、些細なことからその女を絞め殺しす主人公、ナゼかそんな主人公に尽くす女、二股かけられたが本気で愛しておらず捨ててしまうチャラ男、老人を騙す薬剤師ならぬヤクザ医師、それに騙される主人公の祖母、主人公と疎遠になってしまった母、殺された娘を思うあまりに捨ててしまったチャラ男の方に怒りをぶつける父…


 要するにこの映画の登場人物は皆“だめんず”なのである。そんな中でもまぁ一番まともな役をヌードも辞さない体当たりで(ただし大事な部分は完全に隠しているが)演じているのが深津絵里で、この度モントリオール映画祭で最優秀主演女優賞を獲得しているのだが、観たところ、こんなこと言うと怒られるかもしれないが、別に賞を獲るような突出していい演技をしているようには見えないのだ。むしろ、他が抑えたいい演技をしているから、主人公ら他の“だめんず”から見れば全く違う目線であるヒロインが際立っているだけに過ぎないからかもしれないが。


 そういう意味で言えば、やっぱり若手の満島ひかりや岡田将生の頑張りが光っている。特に満島ひかりは僕は「Folder5」の時から知っているのだが、本当に女優としての芽が出たんだなぁと思った。


 映画は予告編だけ観ると何やら重苦しい話でとっつきにくい感があったのだが、意外にストーリーは希薄。役者はかなりいいので、もう少しストーリーを作り込んでほしかった。


私の評価…☆☆☆☆

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2010年9月13日 (月)

バイオハザード4 アフターライフ

バイオハザード4 アフターライ
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演(吹替版声優):ミラ・ジョヴォヴィッチ(本田貴子)、アリ・ラーター(岡寛恵)、ウェントワース・ミラー(東地宏樹)、ショーン・ロバーツ(立木文彦)、スペンサー・ロック(声優名不明)、ボリス・コジョー(楠大典)、ケイシー・バーンフィールド(小林沙苗)、キム・コーツ(梅津秀行)、中島美嘉、シエンナ・ギロリー(湯屋敦子) 他


 《新機軸で原点回帰も新鮮味はナシ》


 人気ホラー・シリーズの第4作。シリーズも回を重ねると、1作目の時のようなインパクトは薄れていく。それでもやはり、ファースト・シーンで日本人初のアンデッド感染者役となるワイルド系美女=歌手・中島美嘉がちょいメタボなオッサンをガブっとやるのを観ると、一気に作品世界へと引き込まれる。


 前作で示唆されていたとおり、今回の舞台は東京から始まる。前作迄で強くなりすぎたアリスが自身のクローンとともにアンブレラ社の従業員相手にどっちが正義なのかわからないような大殺戮を展開していくのだが、さすがにこれはやりすぎである。で、あるきっかけでアリスはそれまで得た超能力を全て失ってしまう。要するに、シリーズを続ける上で肥大していった設定を、シナリオ上で何の無理もなく一瞬で整理してしまったのである。主人公がシリーズ中最弱の状態なのだ。いってみればこれが新機軸なのだが、シリーズ映画では常套手段ともいえる手法で、あまり新鮮味はない。


 しかも、せっかく作ったその設定が殆ど活かされていない。と、いうのもアリスは最弱なはずなのに、ウジャウジャいるアンデッドらや、シリーズ中たぶん最強のアンデッド犬と戦っても傷一つ負わないのだ。改造なんかされなくたって強いではないか(笑)。せっかく作った設定が何の意味も無い。


 本作は、「アバター」と同じく撮影時から3Dカメラを使って撮影されているが、そういう立体感よりも高感度ファントムカメラを使ったスローモーション映像を多用し、そちらの方の映像の凄さが目立つ。これは今後の3D映画はもとより2D映画でも多用されるのではないか。


 そして「2」でゲーム版そっくりに演じて好評だったジル・バレンタイン(シエンナ・ギロリー)が本作で復活! あの時とは全く違う姿で出ているので、最後までくまなく観ていないとわからないとは思うが、ファンの人は探してみてください。なお、このシリーズは今後、続編が作られてもミラ・ジョヴォヴィッチ自身は降板をほのめかしている。シリーズ自体も公開日等詳細未定ながら、出演者を一新するかたちで「バイオハザード・ビギンズ」なるリブート企画があるようだ。今後の展開に注目しよう。


私の評価…☆☆☆

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2010年9月11日 (土)

十三人の刺客(2010)

十三人の刺客(2010)
十三人の刺客(2010)
監督:三池崇史
出演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、古田新太、高岡蒼甫、六角精児、波岡一喜、石垣佑磨、近藤公園、窪田正孝、伊原剛志、松方弘樹、光石研、阿部進之介、内野聖陽、吹石一恵、岸部一徳、平幹二朗、松本幸四郎、斎藤工、谷村美月、稲垣吾郎、市村正親 他


 《オリジナル版が“傑作”なら、今回は“怪作”に近い》


 1963年に東映が工藤栄一監督と片岡千恵蔵主演で大ヒットさせた集団抗争時代劇の傑作を、今度は東宝が三池崇史監督で豪快にリメイクした。


 この映画、現時点で日本では一般公開されていないので(9日試写会にて鑑賞)、あまり詳しいところまでは書かないでおくし、旧作もあえて観ないで鑑賞しているのだが、まぁやはり三池監督らしい、従来の時代劇の形式に拘らない、ハチャメチャな仕上がりとなっていて、これはこれで実に面白い。もちろんオリジナルの東映版を過去に観ている人は、あまりのハチャメチャっぷりに戸惑う人もいるだろうけど。


 特に皆が心配しているのは、たぶんSMAPの稲垣吾郎が演じる悪役・松平斉韶だろう。本人の普段テレビでのイメージとは真逆の、あまりの極悪非道っぷりに加えてちょっと頭がイッちゃってるキャラなのだが、なかなか頑張ってやってのけている。はっきり言って強烈! 脚本家含むスタッフか稲垣自身が、殺人映画「スナッフ」の日本版を狙い東映京都が製作した「徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑」に出てくる長崎奉行・高坂主膳(汐路章)をモデルに役作りしているとしか思えないのだ。


 「徳川女刑罰絵巻〜」はその内容ゆえ日本では放送もDVD化もできない封印作品(海外版DVD「SHOGUN'S SADISM」は発売されている)。詳しい解説は天野ミチヒロ著「放送禁止映像大全」に載っているが、高坂主膳がキリシタンに拷問を繰り返す見世物映画で、激化した拷問で杵で足を叩き潰された男性の血塗れの足を見ながら

「(キリシタンでも)やはり赤いなぁ」

と呟く場面があるのだが、この映画の稲垣吾郎扮する松平斉昭も、何の罪もない人を弓矢で射ぬいて殺した挙げ句に吐くセリフが、

「山猿の骨は固いのう!」

だもんなぁ(笑)。とにかく前半は、これはホラーかと思うほど、残酷描写が目立つ。数少ないが出てくる女優さんもどうしてこんなに醜くなるのかと思うほど醜い(マシなのは吹石一恵ぐらい)。名前は分からないが、“五体不満足”になるほど切り刻まれる上に舌まで切られ、それでも生還する女を熱演する女優がかなり印象に残った。


 後半は何といっても50分に及ぶ日本映画最長(たぶん)の大チャンバラ場面。その数13人対200人以上!チャンバラ以外の大仕掛けもアトラクションのようなノリで楽しめるし、画面上「斬って、斬って斬りまくれ!」と敵のザコを斬り尽くしても、すぐに大勢のザコがまたやってくるのは、「いったい何人おるねん!」とツッコミ入れたくなるほどだ。普通は50分もテンションアゲアゲのアクションが続くと、観ている側もさすがに疲れるのだが、そこはタイミングよく息抜き的なコメディー場面が入るので、テンポも崩れず楽しい映画となった。なお、この後半も首チョンパなど凄惨な場面が多い。ホラー嫌いな人は、心して観るように!


 ところで、この映画、旧作も観てみたくなった。インターネット配信で観られるようなので、観てみようかな。


私の評価…☆☆☆☆★

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2010年9月 6日 (月)

〈午前十時の映画祭〉大脱走

〈午前十時の映画祭〉大脱走
監督:ジョン・スタージェス
出演:スティーブ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ドナルド、ドナルド・プレザンス、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ジョン・レイトン、ハンネス・メッセマー、デヴィッド・マッカラム 他


 《有名なテーマ曲とともに、本当に何度も観たい名作》


 これはもう、本当に文句のつけどころがない、戦争映画の傑作。ちなみに今回はサウンドがドルビーSR(公式HP参照)という事なので、恐らくマスターフィルムは、約7年前に公開された「製作40周年記念デジタルリマスター版」(僕もわざわざ心斎橋の映画館まで行って鑑賞した)と思われる。


 第二次世界大戦最中の1944年にロジャー・ブッシェル少佐指揮の下、ベルリン南東のザーガンにあった連合軍の航空兵捕虜収容所から捕虜が集団脱走した史実を描いたポール・ブリックヒルの原作小説を映画化したもので、少し映画向きに脚色されているようだが、ほぼ忠実に映像化されている(原作との比較はウィキペディアなどで調べる事ができる)。上映時間172分の長尺だが、ジョン・スタージェス監督の演出、そして編集は無駄が無く、全編が見せ場といっても過言ではない。


 マックイーンは一応主演ではあるが、前半は出番が少ない。ファンにとっては不満だろうが、その分他のキャラ達の人間ドラマが楽しめる。メインキャラクターのキャラ立ちがはっきりしているので、緊迫した中でもどこかユーモラスだし、楽しい。


 尚、鑑賞したのが日曜だったためか親子連れや10〜20代の若者も多かったのだが、子供はともかくとして鑑賞後、

 「時代背景がわからずイマイチ乗れなかった」

という、若い人の意見を聞いた。まぁ、それはわからなくもないが、だからこそこういう戦争映画を他にも観て、関連する文献なども読んだりして勉強してほしいのだ。僕もあまりエラソーな事は言えないが、映画で学べる事はたくさんあり、それはそれで大事だと思う。


 この映画でも捕虜達の脱走には、捕虜個人個人の思い以外にもちゃんとした意味がある。当時のドイツ軍は強大な軍隊であり、軍が管轄である収容所の警備に人を割く事によって、戦地の兵力を削がせる必要があったからだ。捕虜は戦争中は「人質」なのだから、脱走した者は基本的に生け捕りして収容所に戻さなければならない。76人の脱走者の内50人がゲシュタポの手によって殺されてしまうが、普通に考えればこれはあってはならない事なのである。映画はラストに

 「この映画を50人の兵士に捧ぐ」

とのテロップが出される。この映画が言いたいことは、全てここに集約されているのだ。


 エルマー・バーンスタイン作曲の、今やスタンダードナンバーとなった「大脱走マーチ」とともにかぶさる、マックイーンが独房の壁にぶつける野球のボールの音が、いつまでも心に響く秀作だ。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2010年9月 2日 (木)

ルー=ガルー

ルー=ガルー
監督:藤咲淳一
声の出演:牧野葉月…沖佳苗、神埜歩未…五十嵐裕美、都築美緒…井上麻里奈、矢部祐子…植竹香菜、麗猫(レイミャオ)…沢城みゆき、川端リュウ…坂巻学、中村雄二…勝沼紀義、不破静枝…平田絵里子、橡兜次…河本邦弘、石田理一郎…青山穣、事務局長…西村知道、養父…佐藤晴男 他


 《クオリティーは高いが、SFネタとしては古い》


 京極夏彦が約10年前に発表した、この人にしては珍しい近未来SF小説をアニメ映画化したもので、タイトルの“ルー=ガルー”とは人狼を意味し、この作品では“狼のように人を狩る少女”=神埜歩未のことを指すが、物語はあくまで、ひょんな事から事件に巻き込まれていく牧野葉月の視点で描かれていく。あまり過激な描写にならないよう気を付けられてはいるが、物語の都合上この“人狼少女”が人を殺す場面もいくつかある。


 実はこの小説の近未来設定は、ある雑誌での公募によるものが反映されていて、それが映画にも活かされるかたちとなっているのだろうとは思うのだが、これがどうにも古臭い。何だか30年以上前のSF映画を観ているようだ。主人公が食する植物性をうたった“健康食品”の原料が実はトンでもない物だった… などという部分はチャールトン・ヘストン主演の「ソイレント・グリーン」だし、一部を除くが、ほぼ全ての人が監視される社会ってのも、けっこう前から描かれていた未来の世界観であり新鮮味に乏しい。唯一、主人公を含む子供たちが、管理社会の中で人との関わり合いを嫌うという設定は、近未来ではなく、実は今の若者の姿を現しているのではないかなとは思った。


 はたしてそんな奴らが、ある殺人事件に巻き込まれたら、周りにいる“仲間”を引き込んで一緒に解決に導く、なんて事ができるのだろうか? アニメや映画は一種のファンタジー世界だから一応“一件落着”な結末を迎えるが、現実に目を向ければ、最近のニュースを見てもわかるようにそんな甘いものではない。映画の中の主人公は事件解決後、管理社会の象徴である“あるアイテム”を捨て、人間関係の構築に一歩前進しようとする。現実世界の、僕の世代より下の人たちも、こうであってほしいと願いたい。


私の評価…☆☆☆

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