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2010年9月 2日 (木)

ルー=ガルー

ルー=ガルー
監督:藤咲淳一
声の出演:牧野葉月…沖佳苗、神埜歩未…五十嵐裕美、都築美緒…井上麻里奈、矢部祐子…植竹香菜、麗猫(レイミャオ)…沢城みゆき、川端リュウ…坂巻学、中村雄二…勝沼紀義、不破静枝…平田絵里子、橡兜次…河本邦弘、石田理一郎…青山穣、事務局長…西村知道、養父…佐藤晴男 他


 《クオリティーは高いが、SFネタとしては古い》


 京極夏彦が約10年前に発表した、この人にしては珍しい近未来SF小説をアニメ映画化したもので、タイトルの“ルー=ガルー”とは人狼を意味し、この作品では“狼のように人を狩る少女”=神埜歩未のことを指すが、物語はあくまで、ひょんな事から事件に巻き込まれていく牧野葉月の視点で描かれていく。あまり過激な描写にならないよう気を付けられてはいるが、物語の都合上この“人狼少女”が人を殺す場面もいくつかある。


 実はこの小説の近未来設定は、ある雑誌での公募によるものが反映されていて、それが映画にも活かされるかたちとなっているのだろうとは思うのだが、これがどうにも古臭い。何だか30年以上前のSF映画を観ているようだ。主人公が食する植物性をうたった“健康食品”の原料が実はトンでもない物だった… などという部分はチャールトン・ヘストン主演の「ソイレント・グリーン」だし、一部を除くが、ほぼ全ての人が監視される社会ってのも、けっこう前から描かれていた未来の世界観であり新鮮味に乏しい。唯一、主人公を含む子供たちが、管理社会の中で人との関わり合いを嫌うという設定は、近未来ではなく、実は今の若者の姿を現しているのではないかなとは思った。


 はたしてそんな奴らが、ある殺人事件に巻き込まれたら、周りにいる“仲間”を引き込んで一緒に解決に導く、なんて事ができるのだろうか? アニメや映画は一種のファンタジー世界だから一応“一件落着”な結末を迎えるが、現実に目を向ければ、最近のニュースを見てもわかるようにそんな甘いものではない。映画の中の主人公は事件解決後、管理社会の象徴である“あるアイテム”を捨て、人間関係の構築に一歩前進しようとする。現実世界の、僕の世代より下の人たちも、こうであってほしいと願いたい。


私の評価…☆☆☆

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