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2011年5月17日 (火)

ブラック・スワン

ブラック・スワン
ブラック・スワン
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・キュニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー、ベンジャミン・ミルピエ、セニア・ソロ、クリスティーナ・アナパウ、セバスチャン・スタン、トビー・ヘミングウェイ 他


 《一部代役による演技の部分を差し引いても、ナタリーの演技は素晴らしい》


 バレエ「白鳥の湖」の主演に抜擢され、斬新な演出により潔白なホワイト・スワンと官能的なブラック・スワンの2つを演じることになったバレリーナが、その重圧により精神を崩壊させていくスリラー。


 ナタリー・ポートマンがアカデミー賞を受賞した事で、その事を全面に押し出して宣伝されているが、よくよく考えてみれば、この映画の監督はダーレン・アロノフスキー。2000年に製作された史上最高の“鬱映画”「レクイエム・フォー・ドリーム」の監督である。この「ブラック・スワン」も「レクイエム〜」ほど鬱展開にはならないものの、やはり観ていて気持ちのいいものではなかった。


 「レクイエム〜」では僕の大好きな女優ジェニファー・コネリーが、それまでの清純なイメージをかなぐり捨てるようなコカイン中毒の女役で出演、観たくもないようなオールヌードまで披露させてファンを憤慨させた(「ホット・スポット」でさり気なく見せた巨乳ヌードとは全く別物だった)のだが、今回ナタリー・ポートマンがその“毒牙”にかかった。


 ただポートマンの場合は基本的にヌードNG女優なので、自慰シーンやミラ・キュニスとのレズシーンはあっても、大事な部分は見せていない。


 今回ナタリーはこの役を演じるにあたり、幼少時に経験のあるバレエの感を取り戻すべく約1年間特訓をしたらしいが、さすがにそんな短い期間では完璧なレベルにまでは達しなかったようで、実はバレエのシーンの一部はボディー・ダブルと呼ばれる代役が演じ、首から上だけをCGでナタリーに付け変える(「スター・ウォーズ エピソード2」のクリストファー・リーと同じ)手法で描かれている。でもこの映画はミュージカルではないのだから、ダンスの上手下手なんてどうでもいい。最初はホワイト・スワンしか表現できなかったヒロインが、精神崩壊と共に、徐々に闇の部分が顔を出しブラック・スワンを表現できるようになっていくところ、ナタリー・ポートマンの白と黒の演じ分けが実に絶妙であり、映画を観れば映画賞を総ナメしたのも納得がいくのである。


 ヒロインとは対極的な位置付けであるライバル役のミラ・キュニスも、もっと評価されていい。彼女は次回作でリブート(再構築)かプリクエル(前日譚)が描かれる予定の「トゥームレイダー3」で、ヤング=ララ・クロフトを演じる候補にあがっているという話もあり、これから大注目の女優である。世代交代で主役の座から蹴落とされる先輩プリマ役でウィノナ・ライダー、主人公の偏執的なな母親役でバーバラ・ハーシーが好演。これで全体のバランスも良くなった。


 「チャーリー」でチャールズ・チャップリンを演じた後、一時麻薬に溺れたロバート・ダウニー・Jr.や、「ダークナイト」でジョーカーを演じた後に亡くなったヒース・レジャーなど、プレッシャーがかかる重大な役を演じた後、運命を狂わせる俳優は多い(ロバート・ダウニー・Jr.はその後見事に復活したが)。この映画のヒロインも最後、ある大事なものを失ってしまう。がむしゃらに走り続けた者の最後は、儚く寂しい。


私の評価…☆☆☆★

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