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2011年9月 6日 (火)

〈午前十時の映画祭〉ダーティハリー

〈午前十時の映画祭〉ダーティハ
監督:ドン・シーゲル
音楽:ラロ・シフリン
出演:クリント・イーストウッド、ハリー・ガルディノ、アンディ・ロビンソン、レニ・サントーニ、ジョン・ミッチャム、ジョン・ラーチ、ジョン・ヴァーノン 他


 《アウトローな刑事映画の決定版》


 1970年代を代表する刑事ドラマの名作1つであり、目的を達するためには手段を選ばない、アウトロー的だが信念を貫く主人公をクリント・イーストウッドが好演し、同じ年に公開された(午前十時の映画祭では次週上映となる)「フレンチ・コネクション」とともに、後々のアクション映画に大きな影響を残した映画だ。


 勿論、この映画は娯楽映画なので、通常は刑事が持つはずがない狩猟用の銃弾(44マグナム)をハリーが扱ったり、シリーズ化された上で定番となるセリフ(「Go ahead make my day!」など)があったりするのだが、単に娯楽に撤するだけでなく、当時の世相も的確に捉えているのが特色。


 例えば、劇中で犯人が起こす愉快犯的無差別殺人や、マスコミを利用した劇場型犯罪は、当時からアメリカで問題となっていたものだし、何より異常な犯人“スコルピオ”のモデルは、この映画が製作されるたった3年前に起こった、アメリカ未解決事件史上に名高い“ゾディアック事件”の犯人ゾディアックである。ゾディアック事件自体も1970年以降、3度映画化されており、最近では事件を追う側から描いた2007年公開の「ゾディアック」(デヴィッド・フィンチャー監督 ジェイク・ギレンホール主演)が有名だ。


 また、現在の刑事ドラマではお馴染みのミランダ警告(逮捕時または取り調べ前に刑事が容疑者に言う弁護人立ち会いの権利とか黙秘権云々… というアレである)を行わなかったために、法に基づく適正手続きが行われなかったとして、容疑者が釈放されるという警察側のミスも、ミランダ警告が定められてまだそれほど年月が経っていないこの時代の話というのを表している。


 ちなみにこの映画、イーストウッドの主演で結果的には成功したが、彼は当時俳優としてのキャリアは停滞していた時で、当初主演にオファーされたのは何とフランク・シナトラだった。彼は結局断ったのだが、シナトラといえばミュージカル映画のイメージが強いので(「オーシャンと11人の仲間たち」ってのもあるが)、こんな骨太な映画にはならなかっただろう。その後もスティーブ・マックィーンやジョン・ウェイン(!)らがオファーされるもうまく行かず、イーストウッドに回ってくるのである。他のキャストなら絶対にイメージが違うものになっていただろうから、世の中わからないものだ。


 当初続編を作る気は全く無かったようで、映画は警察組織に嫌気がさしたハリーがバッヂを投げ捨てる場面で終わる。しかしシリーズは5作作られ、興行的には4作目がシリーズ最大のヒットとなっている。ストーリー的には次第に現実感からかけ離れていき、この1作目と、警察の腐敗を描いた2作目くらいまでが、良作といえるのではないかと思うが、皆さんはどう思われますか?


私の評価…☆☆☆☆

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