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2011年10月

2011年10月29日 (土)

カウボーイ&エイリアン

カウボーイ&エイリアン
カウボーイ&エイリアン
監督:ジョン・ファヴロー
出演:ダニエル・クレイグ、ハリソン・フォード、オリヴィア・ワイルド、サム・ロックウェル、ノア・リンガー、ポール・ダノ、クランシー・ブラウン、アナ・デ・ラ・レゲラ、キース・キャラダイン、アダム・ビーチ 他


 《漫画原作らしい、ごった煮映画》


 こういう西部劇とSFが入り交じった映画は、過去に「ワイルド・ワイルド・ウエスト」というのがあった。あれも変な映画だったが、ウィル・スミス主演というところで最初からコメディーと分かりきった形で観られたので面白かった。今回のこの映画は、わりと真面目に作っているのだが、それがかえって荒唐無稽な感を浮かび上がらせており、僕は大変面白く観ることができた。


 1873年のアリゾナ。記憶を失った1人のカウボーイが目を覚ますと、その手には謎めいた銀の腕輪がはめられていた。彼の正体はいったい何者なのか? そして、ある夜、西部の町の夜空に突如、青い閃光が走りだす。それは想像を絶する驚異の「敵」だった…。


 元北軍兵士達&町の大地主とその仲間&味方エイリアンVS敵エイリアン達という“多国籍軍対敵軍”という対決形式は現代アメリカならではだし、西部の大地主が最初はよそ者を嫌っているというのも西部劇では定番の設定である(ついでに地主の長男が相当なドラ息子なのも)。前半はこの現代劇と西部劇の特徴的なものが、作品の中にうまく出ていた。ダニエル・クレイグのガンマン姿は、どことなくスティーブ・マックイーンっぽくて格好いいし、性悪なはずの地主ハリソン・フォードは、やっぱりあんまりワルっぽくないが(笑)、それなりにイイ味出している。


 後半はネイティブ・アメリカンも出てきて、少々話がグダグダになるのが難点だが、極めて近代的な兵器を持っているはずのエイリアンが、ダニエル・クレイグが持つ腕輪型光線銃以外は普通の猟銃等の“アナログ”な武器ばかりの人間にコテンパンにやられたり、人間で死んだと思っていたヒロインが“実は○○○”で(なのに、かな?)、これまたアナログ的なある方法で即復活したりと、ツッコミどころ満載になるのも、なんだかなぁってな具合になる。だけどまぁ、元が漫画って事で、たまには、深い考え無しに気楽に楽しむ映画もいいなと思った次第。


私の評価…☆☆☆★

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2011年10月25日 (火)

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー 3D

キャプテン・アメリカ
キャプテン・アメリカ
監督:ジョー・ジョンストン
出演(吹替版声優):クリス・エヴァンス(中村悠一)、サミュエル・L・ジャクソン(手塚秀彰)、ドミニク・クーパー(野島裕史)、ヒューゴ・ウィーヴィング(山路和弘)、スタンリー・トゥッチ(多田野曜平)、セバスチャン・スタン(白石充)、ヘイリー・アトウェル(園崎未恵)、ニール・マクドノー(志村知幸)、JJ・フィールド(宮内敦士)、ブルーノ・リッチ(ふくまつ進紗)、デレク・ルーク(乃村健次)、トビー・ジョーンズ(佐々木睦)、トミー・リー・ジョーンズ(谷口節)、リチャード・アーミティッジ(川原慶久)、ケネス・チョイ(遠藤大智)、デイビッド・ブラッドリー(浦山迅)、スタン・リー〔カメオ出演〕 他


 《はて? この映画3Dにする必要があったのか》


 3D映画流行りの昨今、立体映画本来の飛び出る映像を楽しむものもあれば、逆に奥行を見せる映画も多いのだが、中にはそのどちらも重視していないようにみえる映画もある。この映画はその後者の方で、単純に技術的な失敗なのか、監督が最初から意図していなかったのかわからないが、この映画は3Dの特色が、全くといっていいほど活かされていない。


 時代は1942年、第二次世界大戦の真っ只中。兵士として不適格とされた病弱な青年、スティーヴ・ロジャース(クリス・エヴァンス)。だが彼の愛国心は強かった。親友のバッキー(セバスチャン・スタン)はすぐに入隊を許され最前線に向かう中、スティーヴは軍の極秘実験に志願する。その「スーパーソルジャー計画」により強靱な肉体の「キャプテン・アメリカ」として生まれ変わるのだ。


 その身体は、人間の身体能力を極限まで高めた強靱的な肉体を手にした超人。しかし、政府は彼を兵士として認めず、星条旗デザインのコスチュームを着させ、「キャプテン・アメリカ」という名の軍のマスコットに仕立てるのだ。彼は国中の人気を集めるが、兵士たちからは相手にもされなかった。そんな中、バッキーが所属する隊が全滅の危機に。実戦経験もないまま無断で仲間の救出に向かうスティーヴ。だが、彼の前に強大な敵が立ちはだかる。ナチス化学部門「ヒドラ」の支配者レッド・スカル(ヒューゴ・ウィーヴィング)が、かつてないエネルギー源で世界侵略を企てていた。彼もまたスーパーソルジャーだったが、野心を凶悪なものへ変貌させていたのだ。大軍を率いるヒドラ党に挑むキャプテン・アメリカは、果たして本物のヒーローになれるのか、そして親友を救い出すことができるのか?


 マーベルコミックのヒーローの内、パラマウント映画が権利を得ているヒーロー(アイアンマン、ハルク、ソー、キャプテン・アメリカ)に+αという形で、スーパーヒーローが集結する、来年8月公開の「アベンジャーズ」に向けて開始されたプロジェクトも本作の登場でいよいよ最終段階に入った。「インクレディブル・ハルク」でハルク役を演じたエドワード・ノートンが「アベンジャーズ」出演を固辞しハルクのみ役者が代わり、「アベンジャーズ」でお披露目されることになったため、それ以外の主要クラスは全てお披露目されたことになる。


 さて、その「キャプテン・アメリカ」だが、舞台設定を約70年前にしたせいか、かなりオーソドックスなヒーロー映画になった。敵が開発した“パワーの源”を正義の力として利用しようとするところは、日本の「仮面ライダー」や「デビルマン」に通ずるところもあるのかもしれない。そういった意味では、何も深い読みが無しでも楽しめる。ただ、それだと物語の構成として、この上映時間では主人公が「キャプテン・アメリカ」になるまでの経緯があまりにも長すぎる。ファンはヒーローの活躍が見たいのであって、誕生までの経緯は、どうでもよくはないが、あまり詳しく描いてもしょうがない。この映画は主人公がせっかく活躍している部分を端折り過ぎている。


 また、せっかく3Dなのに、立体感も奥行感も殆ど無い。これでは3D料金として余分にお金を払って観に行ったお客さんに失礼である。もう少し立体映画らしいものを見せてほしかった。


 この70年前のヒーローがどうやって現代のヒーローと出会うことになるのかは、言ってしまうとオチを言う事になるので、書かないが、この映画のエンド・ロール後に「アベンジャーズ」の予告編(勿論、ティーザーと呼ばれる「速報」)が流れるので、最期まで席を立たないように!


私の評価…☆☆☆

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2011年10月19日 (水)

「秋葉原通り魔事件」蓮佛美沙子主演で初映画化

 東京・秋葉原で17人が死傷した2008年6月の「秋葉原無差別殺傷事件」が映画化されることになった。


 蓮佛美沙子(20)主演で来年3月に公開される「RIVER」(廣木隆一監督)で、同事件を扱った作品が劇場に登場するのは初めて。恋人を失った女性役の蓮佛は、実際の事件を扱った内容に、「背筋が伸びる感覚」と話している。


 蓮佛が演じるのは、事件で“電機オタク”の恋人を失ったという設定の女性。多大なショックを受けたが、人との関わりの中で立ち直っていく姿が描かれる。凄惨な事件そのものより、大切な人間を失った心の痛みを描いていく。


 「余命1ケ月の花嫁」(2009)等の廣木監督が、「衝撃的な事件だったのに、時が経つにつれ話す人が少なくなった。映画にすることで永遠に残したかった」という意図から企画し、脚本も手掛けた。


 傷ついた女性の繊細な心情を表現する演技力と、透明感から蓮佛を起用。蓮佛は、実際の事件を演じる責任感を持って撮影に挑んだという。恋人の足跡を探して秋葉原を彷徨い、怪しげなスカウトや電機オタクら秋葉原らしいキャラとの交流の中で、生きる気力を取り戻す。


 主題歌はオードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」のテーマ曲としてもお馴染みの「Moon River」をジャズシンガーのmegが歌う。この映画はアジアを中心とした独創的な作品を上映する映画祭「東京フィルメックス」(11月19〜27日)でプレミア上映が行われ、来年3月より全国順次公開予定。


 まだ記憶に新しい分デリケートな問題もかなり含まれるだろうから、事件を直接的には描けないのだろうが、さてこの映画、公開時どういう扱われ方をするのだろうか。気になるところだ。

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一命 3D

一命 3D
一命 3D
一命 3D
一命 3D
監督:三池崇史
音楽:坂本龍一
出演:市川海老蔵、瑛太、満島ひかり、竹中直人、青木崇高、新井浩文、波岡一喜、天野義久、平岳大、笹野高史、中村梅雀、役所広司 他


 《あの事件もなく、ちゃんと予定どおり公開されていれば…》


 この映画は滝口康彦原作「異聞浪人記」の2度目の映画化作品である。本来なら、去年のちょうど今頃くらいに公開されるはずだったのだが、市川海老蔵の一連の事件のため1年お蔵入りになっていたものである。


 江戸時代の初め頃、大名家の御取り潰しにより、失業し困窮した浪人たちの間で「狂言切腹」が流行する。それは、裕福な大名屋敷で切腹を申し出れば、面倒ごとを避けたい大名側から職や金銭を貰えるからだ。そんな折、名門・井伊家を訪ねた浪人・津雲半四郎(市川海老蔵)が切腹を願い出る。家老の斎藤勘解由(役所広司)は、数か月前、同じように狂言切腹を申し出た若浪人・千々岩求女(瑛太)の無残な最期を話し、半四郎に切腹を思い止まらせようとする。だが、話を聞き終わった半四郎は、衝撃的な事実を語り始めるのだった…


 「狂言切腹」なるものが実際にあったかどうかは、定かではないが、藩をつぶされた浪人・求女のあまりにも悲惨な末路を描き、命よりも体面を重んじる武家社会の理不尽さを説く。


 大きな戦が終わった後の平和な世の中では、武士道というものは形だけのものになる。仕事を失った貧乏武士たちは、浪人となって生き長らえていくだけで精一杯。これは、現代社会に於いても通じるものがある。武士としての見栄や面子がある一方で、情けなどどこにもない矛盾。市川海老蔵の抑えた演技が、腹の底から静かに湧き立つ怒りを表現していて、映画そのものに凄味を与えている。


 瑛太と満島ひかりもかなりいいのだが、ここで公開時期がずれた故のイメージの違いが出てしまった。この2人、今年7〜9月期のテレビドラマで、今回とは全くイメージの異なる間柄の役で共演しているのだ。たまたまそのドラマは低視聴率で終わったので、違和感を感じた人は少ないかもしれないが、従来通りのスケジュールで公開していれば、また違った印象を持ったかもしれない。そして映像は、松竹時代劇独特の陰影と奥行を強調するための手段として3Dが採用されているようだが、そんなもの2Dでも十分できるはずで、何でわざわざお金をかけて3Dにしたのか疑問だ。


 ちなみに原作の設定では、半四郎は初老の浪人のはず。あれでも一応老け顔メイクのつもりなんだろうが、海老蔵の顔は全く老けていない(笑)。


私の評価…☆☆☆

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2011年10月15日 (土)

猿の惑星 創世記 <ジェネシス>

猿の惑星創世記<ジェネシス>
猿の惑星創世記<ジェネシス>
猿の惑星創世記<ジェネシス>
監督:ルパート・ワイアット
出演(吹替版声優):ジェームズ・フランコ(関智一)、アンディ・サーキス(チョー)、フリーダ・ピントー(東條加那子)、ジョン・リスゴー(阪脩)、ブライアン・コックス(稲垣隆史)、トム・フェルトン(阪口周平)、デヴィッド・オイェロウオ(落合弘治)、タイラー・ラビーン(塩屋浩三)、ジェイミー・ハリス(高瀬右光)、デヴィッド・ヒューレット(後藤敦)、タイ・オルソン(大川透)、マディソン・ベル(羽飼まり)、ジョーイ・ロッチェ(行成とあ) 他


 《誰もやりたがらなかった仕事を引き受け、下馬評を覆したスタッフに拍手!》


 本作は、1968年に製作され大ヒットの後、都合5本のシリーズが作られた「猿の惑星」の前章を描いたものである。旧作シリーズにも、1作目の2千年前を描いた「新・猿の惑星」(1971年)とそこから18年後の1991年という(当時からみた)近未来を描いた「猿の惑星・征服」(1972年)といった“前章もの”はあったが、今回は旧シリーズのそれとは全く違ったコンセプトで新たな話が創作されており、時代が進んだ今だから描ける内容となっている。


 製薬会社ジェネシスの研究所でアルツハイマーの新薬の研究に従事していた科学者ウィル(ジェームズ・フランコ)はある日、新薬AZ112を投与されたチンパンジーが驚異的な知能を示す事を発見、理事会に臨床試験の承認を求めるが、その最中にチンパンジーが暴れ、所内をパニックに陥れる事故が発生したため、研究は中止となり、実験用のチンパンジーは全て殺されてしまう。


 だが、そのチンパンジーは妊娠しており赤ん坊を出産していた。ウィルはその赤ん坊を自宅に連れ帰り、シーザーと名付けて密かに育て始める。シーザーは成長するとともに、遺伝した母親の知能が覚醒し、驚くべき知性を発揮し始める。


 ウィルは、データを元にチンパンジーでの実験を再開、より強力な治療薬を完成させるが、ある時偶然の事故でシーザーが人間を傷つけ、アニマルシェルターに強制収容されてしまう。そこでシーザーが見たものは、冷酷な監視員のドッジ(トム・フェルトン)に虐待される猿達の姿だった。


 次第に人類に対する疑念を深めたシーザーは、密かにシェルターを抜け出し、ALZ113を密かに盗みだすと、シェルターの猿達に吸引させる。結果、高度な知能を得てシーザーをリーダーに団結した猿達は、人類に反旗を翻す。その一方で、ウィルはALZ113の持つ、ある致命的な欠点にまだ気付かずにいた…


 まず、旧作との違いとして、旧作は核戦争後の地球を連想させたり、コバルト爆弾による地球滅亡を描いたりと常に戦争による影響を頭に入れたものになっていたのだが、この映画では人間のエゴによるものというのは共通していても、それは戦争ではなく、新薬の副作用やウイルスの脅威といったもので表現している点にある。普通そういった後付けみたいなものは辻褄を合わせるために無理矢理付けられているものが多いのだが、この映画が素晴らしいのはそういった無理な後付けが殆ど無いという事だ。終盤に多少ご都合主義的な部分はあるが、殆ど違和感無く観られるのである。


 一見、旧作とは何の繋がりも無いように見えるが、その役割は主人公の家の隣人が担っている。本当に恐ろしいのは“見えざる恐怖”と、ある乗り物を使えばそれが一瞬にして拡散する事であり、現代ではそれがいとも簡単にできてしまう事だ。新薬の“理由付け”といい、それが人間と猿にもたらす変化といい、その辺の脚本や演出が絶妙だ。


 本作は、企画が立った当初、誰もやりたがる人はおらず(そりゃそうだ、原作と第1作のヒットをエサに散々改変しまくったんだから)、スタッフ選びに苦労したようだが、イギリスの新進監督ルパート・ワイアット以下、地味ながらもいいスタッフとキャストが集結。特にシーザーをパフォーマンス・キャプチャーで演じたアンディ・サーキスの演技が素晴らしく、彼なくしてこの映画は成し得なかったと思う。旧作ファンへのオマージュもたっぷりで、冒頭の人間が実験用の猿を捕まえる場面は、1作目の猿が人間を捕まえる場面の逆パターンだし、仲間の内1匹のメス猿の名前が、旧作の猿の考古学者“コーネリアス”を思わせる“コーネリアン”だったり、何よりシーザーという猿の名前自体が旧シリーズの「猿の惑星・征服」に出てくる猿の主人公と同じ名前であったりと、旧作ファンも楽しめる要素がたくさんある。


 あのラストのオチでは後に人間と猿の立場が逆転していく事は示唆されていても、まだまだ旧作とは展開の違う、パラレルワールド的な続編が作られてもおかしくないが、とりあえずは旧作の続編をなかった事にしてしまうような、面白い映画を作ってくれたスタッフ&キャストに拍手を送りたい。


私の評価…☆☆☆☆★

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2011年10月10日 (月)

〈午前十時の映画祭〉大いなる西部

〈午前十時の映画祭〉大いなる
監督:ウィリアム・ワイラー
音楽:ジェローム・モロス
出演:グレゴリー・ペック、ジーン・シモンズ、キャロル・ベイカー、チャールトン・ヘストン、バール・アイヴス、チャールズ・ビックフォード、アルフォンソ・ベドヤ、チャック・コナーズ 他


 《50年以上前の映画だが、むしろ現代人に観せた方がいいのでは》


 久々に3時間近い映画を観たので、目が疲れた(笑)。


 広い西部の大地、そこを走る幌馬車。大きい地球に住む、人間というちっぽけな存在。大西部に住む少佐の娘と結婚するために東部の男、つまり西部の人間にとっては考え方が違う異質な“よそ者”がやってくる事によって、大きな変化を起こす。


 1870年代のテキサス州。ジェームズ・マッケイ(グレゴリー・ペック)は、地元有力者テリル少佐(チャールズ・ビックフォード)の娘パトリシア(=通称パット キャロル・ベイカー)と結婚するため東部からやってきた。牧場に向かう途中、少佐と敵対するハナシー家の息子達から嫌がらせを受け、水源をめぐる土地争いの事を知る。非暴力で解決しようとするよそ者を良く思わない地元民や幼き頃からパットを慕っていたスティーヴ(チャールトン・ヘストン)にも敵意を示され、マッケイは徐々に孤立していく。


 実はこれ、主人公の目線や観客のとらえ方によって、善と悪が変わる。こういうドラマなどを作る事において、本来は曖昧にしてはいけないものだと思うが、逆にそうする事において、社会の矛盾といったものを突き付けているのではないかと思う。そりゃそうだ、時代劇などのドラマだって、誰を主人公にするか、誰目線で描くかによって敵も変わるし、見方も変わる(来年のNHK大河ドラマはその好例 平清盛なんて本来は悪役で描かれる事が多いのだ)。味方であった者が敵になり、敵にも理由がある。


 これって何かに似ていないか? 最近のアメリカが関わるいろんな意味での“戦争”にこれを当てはめる事ができないか。この映画は西部劇だが主人公は(使う場面はあるものの)決して銃には頼らない。西部(アメリカ)人より東部(諸外国)人の方が賢いという設定は、何やら現代社会への痛烈な皮肉なように感じる。


 ちなみに、冒頭から繰り返し流れるテーマ曲は、今でもテレビ番組やCMなどで使われる、映画音楽のスタンダード。音楽好きならまず曲に酔い痴れよう。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2011年10月 9日 (日)

ゴーストライター

ゴーストライター
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、オリヴィア・ウィリアムズ、キム・キャトラル、ティモシー・ハットン、トム・ウィルキンソン、ジェームズ・ベルーシ、ロバート・パフ、ジョン・バーンサル、ティム・プリース、イーライ・ウォラック 他


 《フィクションではあるが、あってもおかしくない社会派スリラー》


 この映画は政治評論家で作家でもあるロバート・ハリスの同名小説を原作とする映画で、元英国首相の自伝小説の執筆を依頼されたゴーストライターが、やがて巨大な陰謀に巻き込まれていくという話である。ちなみに関東地区では8月末に公開されたが、関西地区では約1か月遅れの公開となった。


 ゴーストライターとは本来の著者に成り代わって文章を書く書き手の事であり、出版物や脚本の業界ではよくある事でもある。また、大抵そのライターの名前は公表されない。まさに“幽霊”なのだ。この映画でもユアン・マクレガーが扮するゴーストライターである主人公の名前はない。


 主人公はこの元首相の自叙伝の代筆を、破格の報酬でもって引き受けさせられるのだが、最初から乗り気ではない。それはこの元首相の身辺の事で、あまりにも胡散臭いニオイがプンプンするからで、そのイヤな予感は当たってしまうのだ。


 この元首相のモデルは実在の元首相でもあるトニー・ブレアだともいわれているが、実際原作が発表された当時、原作者とブレア元首相は友人関係だったらしく、何となく雰囲気が似ているブロスナンがキャスティングされたのも、それを意識したものなのかもしれない。


 ちりばめられた伏線が、最後一気に見事に結ばれる。名も無き者が、政治的な“闇”に深く首を突っ込みすぎると、どうなるか。ラストの一瞬でそれを端的に表してみせる、ポランスキーの手腕は見事。まさにサスペンスの王道である。


私の評価…☆☆☆☆★

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2011年10月 8日 (土)

ワイルド・スピードMEGA MAX

ワイルド・スピードMEGA
ワイルド・スピードMEGA
ワイルド・スピードMEGA
監督:ジャスティン・リン
出演(吹替版声優):ヴィン・ディーゼル(楠大典)、ポール・ウォーカー(高橋広樹)、ジョーダナ・ブリュースター(園崎未恵)、ガル・ガドット(東條加那子)、ドゥエイン・ジョンソン(小山力也)、サン・カン(三戸崇史)、タイリース・ギブソン(松田健一郎)、エルサ・パタキー(武井咲)、マット・シュルツ(相沢まさき)、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス(渡辺穣)、マイケル・アービー(志村知幸)、ジェアマリー・オソリオ(浅野まゆみ)、テゴ・カルデロン(ピストン西沢)、ドン・オマール(吉村昌広)、ホアキン・デ・アルメイダ(有本欽隆)、エヴァ・メンデス〔カメオ出演〕(日野由利加) 他


 《ラストにとんでもないオマケが》


 人気カー・アクションシリーズの5作目。ただし、こういう事を書くとややこしく思われるかもしれないが、時系列的には3作目の「TOKYO DRIFT」が一番最後になるため、この映画は「4」と「3」の間の話ということになる。


 前作で前科者のドミニク(ヴィン・ディーゼル)と、彼を脱獄させた元FBI捜査官のブライアン(ポール・ウォーカー)は、「お尋ね者」となり、追われる身に。それでも厳重に張り巡らされた捜査網といくつもの国境を越え、南米に逃れた彼らは、ブラジルの裏社会に身を隠し、持ち前の運転技で命懸けのヤマをこなしていた。しかし彼らは、逃亡生活に終止符を打ち自由を得るために、「裏社会を牛耳る黒幕から1億ドルを奪う」という、危険すぎる最後の賭けに出る。しかしそんな彼らの計画の前に、敏腕FBI特別捜査官ルーク・ホブス(ドゥエイン・ジョンソン)が立ちはだかる。


 相変わらず重力無視の高層回転クラッシュや、絶壁からの車ごとダイブ、そしてクライマックスでの2台の乗用車が巨大金庫を引きずり回す超絶チェイスで、観ているこちらを楽しませてくれる。エンドロールの注意書きもお約束である(そんな奴いねーよと思うのだが)。


 シリーズも5作目ともなると、そろそろ打ち止め感も出てくる。この映画でも一応それはあるようで、主役の2人もようやくそれなりの幸せを掴んだんだなと思ったら… 何ととんでもない“予告”がエンドロール後に用意されていた!


 もしかして次はドゥエイン・ジョンソン“主演”となるのか!? 死んだはずのドミニクの元カノは、もしかして生きている(←ちょいネタバレ)? いろんな謎を残して、シリーズはさらに続く(たぶん)。


私の評価…☆☆☆★

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2011年10月 5日 (水)

ファイナル・デッドブリッジ 3D

ファイナル・デッドブリッジ3D
監督:スティーヴン・クォーレ
出演(吹替版声優 ※公表されているキャストのみ):ニコラス・ダゴスト(杉山紀彰)、エマ・ベル、マイルズ・フィッシャー(近藤隆)、アーレン・エスカーペタ、デヴィッド・クックナー、トニー・トッド(土師孝也)、コートニー・B・ヴァンス、ジャクリーン・マッキネス・ウッド(木下紗華)、エレン・ロー、P・J・バーン 他


 《シリーズ原点回帰! 新ルールが加わっても、死ぬ運命は変わらない!?》


 予知夢をテーマにした人気ホラーシリーズ「ファイナル・デスティネーション」の5作目。主人公の悪夢から始まり、その悪夢が正夢になりかけるところを阻止、そこで一旦“死”を回避しても、別の形で夢の中で死んだ順番通りに仲間が死んでいくという、シリーズ定番の“ルール”はそのままに、今回は“現実の死を回避するには他人を身代わりにする事”という新ルールが付け加えられた。


 このシリーズは回を重ねる毎にコメディー路線になっていたのだが、今回は久々に原点に立ち戻ってシリアス調になっている。毎回犠牲者が辿る悲惨な死に様は、製作スタッフが持ち寄った複数の案から選び出されているようで、今回も体操の練習中に失敗して、体がエビ反り状にへし折られるおねーちゃんや、レーシック手術で目を焼き切られる女性など、見るからにイタい映像のオンパレードだ。


 「ファイナル・デッドサーキット 3D」以外の作品で、通して“死の番人”的な役で出演しているトニー・トッドは今回も健在。この人自身ホラー映画への出演が多いからかもしれないが、出てくるだけで恐怖感倍増である。


 さすがにここまでシリーズを重ねると、ラストまでパターンがほぼ同じというのもどうかとも思うが、新ルールでセーフとみられていたキャラまで吹っ飛ばすあの場面は衝撃的。1作目から本作までの数々の“死”の瞬間がメドレーで流れるエンドロールも楽しめる。トニー・トッドはスタッフの話として、この映画がヒットすればあと2作ほど作る用意があるとインタビューで答えていたそうだが、とりあえずアメリカではヒットしたようなので(ホント、アメリカ人ってこういう映画好きやね)、次は何が舞台になるのか楽しみである。


 尚、今回観たのは3D字幕版である。一応このブログでは映画本編に日本語吹替版があれば、自分が観たのが字幕版であっても極力吹替版の声優さんの名前も調べて書くようにしているが、今回は一部のキャストしか公表されておらず、名前が判っていても役名がはっきりしないものは省かせていただいた。声優さんの名前だけに関しては、オリヴィア役の声を担当された声優・木下紗華さんのブログに詳細が載っているので、そちらを参考に。


私の評価…☆☆☆

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2011年10月 3日 (月)

〈午前十時の映画祭〉シェーン

〈午前十時の映画祭〉シェーン
監督:ジョージ・スティーヴンス
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド、ジャック・パランス、ベン・ジョンソン、エドガー・ブキャナン、エミール・メイヤー、エリシャ・クック・Jr.、ダグラス・スペンサー 他


 《映画の冒頭で致命的なミスがあるのを皆さんお気付きだろうか?》


 僕の住んでいる地域での「午前十時の映画祭」では現在4週連続でマカロニを含めた西部劇を上映しているのだが、今回はその3週目、「シェーン」の登場だ。


 西部劇というと大抵、派手なドンパチといった拳銃アクションのイメージがあるが、この映画もアラン・ラッドの早撃ちなどそういった場面が度々あるものの、いろんな意味で“優しい”映画なのだと思う。それは、ジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)やマリアン(ジーン・アーサー)に対するシェーンの視線であったり、それを象徴するかのようなヴィクター・ヤングによる有名なテーマ曲に表れていると思うのだが、観ていて本当に優しい気持ちになれる映画である。


 映画の有名なラストシーンについて“シェーン死亡説”というのがあり、映画「交渉人」(もちろんアメリカ映画のほう)の中でも議論する場面があるのだが、確かにその前のカットで撃たれているし、ジョーイの呼びかけに全く反応しないし、向かっているのが墓地なには死を暗示しているのかもしれない。でも僕はこれはそんな単純なものではなく、シェーンはこの映画では“優しさ”の象徴でもあるのだから、人間の心が時代の変化によって荒んでいく事や、

 「あんたの時代は終わったんだ」

というセリフからも読み取れるように、古き良きアメリカ(いや、時代か?)の終焉といった意味が込められているような気がしてならなかった。


 この映画で印象的な2人を演じたアラン・ラッドはこの後、作品と役に恵まれず11年後にノイローゼと薬物の過剰摂取により50歳で死去、ブランドン・デ・ワイルドもパッとしないまま、何と交通事故で30歳の若さで亡くなってしまった。名作に人生を狂わされてしまった一例なのかもしれない。


 ところで、そんな名作にも致命的なミスがあるのをご存じだろうか? マニアの間では結構知られているのだが、映画の冒頭のシーン。のどかなワイオミングの大地、遠くから馬に乗った人影が見えてくる、シェーンが登場してくるところ。ここで画面の左上を見てほしい。何やら土埃をたてて左から右に移動しているものが見える。何とこれがロケ地の地元の路線バスなのだ! たまたまなのだとは思うが、時代設定上写ってはいけないものがしっかりフィルムに収まってしまったのである。ちなみにこの映画は、権利関係の問題が日本での配給権を持つ東北新社と本国のパラマウントとの間で拗れたため正規版DVDが出ていない(VHSは発売されている)。結果的に、著作権保護に関する裁判で日本ではパブリック・ドメイン(著作権切れ)が確定し、DVDはいくつかの会社から500円等の激安DVDとなって発売されてはいるが、これに関しても上記2社からクレームが付けられているから見つけるのは至難の業かもしれない。映画館で観られるのは貴重な事になるかもしれないので、観たい人は是非この機会にと、お薦めしておこう。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2011年10月 2日 (日)

〈午前十時の映画祭〉荒野の七人

〈午前十時の映画祭〉荒野の七人
監督:ジョン・スタージェス
原作:黒澤明、橋本忍、小国秀雄
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ユル・ブリンナー、スティーブ・マックイーン、ホルスト・ブッフホルツ、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーン、ブラッド・デクスター、ロバート・ヴォーン、イーライ・ウォラック、ロゼンダ・モンテロス、ジョン・アロンゾ、ウラジミール・ソコロフ、ヨルグ・マルティネス・デ・ホヨス、リコ・アラコス、ビング・ラッセル 他


 《黒澤映画の傑作リメイク》


 「第1回午前十時の映画祭」で「大脱走」をやったのなら、この映画をやらないわけにはいかないだろう。「大脱走」は「荒野の七人」の大ヒットを受けて、この映画のスタッフとキャストの一部が再結集して製作されたものだから。


 一応、黒澤明監督の「七人の侍」を西部劇に翻案し、今風に言うとハリウッド・リメイクしたものだが、厳密にいうとオリジナル版の設定には当てはまらないキャラがいたり、オリジナル版の複数のキャラ設定が混ざっている役があったりと、決してオリジナル版をそのままなぞった内容にはなっていない。ただ、きっちりオマージュは捧げてあり、大まかな設定やセリフなどは忠実に再現されている。


 オリジナル版がいいからというのもあるが、この映画も観ていて実に気持ちがよく楽しい。ただ、当初はユル・ブリンナーは主演ではなく監督で、主演はアンソニー・クインの予定だったらしいのだが、スタッフ間で対立があったため変更となったらしい。もしも当初の予定どおりなら、傑作になり得ただろうか? もしも当初の予定どおりなら、「大脱走」も生まれなかったかも、という事を考えると、巡り合わせの妙というものを感じざるを得ない。


 この七人の役者も次々に鬼籍に入り、今や残っているのは、メンバーの中では比較的若い方だったロバート・ヴォーンだけになってしまったのは、時の流れを感じずにはいられない。悪役のイーライ・ウォラックは、ハリウッドの現役最高齢俳優だと思うのだが(御年95歳!)、今年あの「ウォール街」の続編「ウォール・ストリート」に出演し、元気なところを見せていた。ロバート・ヴォーンもあまり映画では見かけなくなったが、日本でもNHK-BSで放送されているイギリスのTVドラマ「華麗なるペテン師たち」(現在イギリスでは第6シーズン、日本では第4シーズンまで放送済み)にレギュラー出演している。2人とも高齢だがまだまだ頑張ってほしいと思う。


私の評価…☆☆☆☆☆

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