« 〈午前十時の映画祭〉荒野の七人 | トップページ | ファイナル・デッドブリッジ 3D »

2011年10月 3日 (月)

〈午前十時の映画祭〉シェーン

〈午前十時の映画祭〉シェーン
監督:ジョージ・スティーヴンス
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:アラン・ラッド、ジーン・アーサー、ヴァン・ヘフリン、ブランドン・デ・ワイルド、ジャック・パランス、ベン・ジョンソン、エドガー・ブキャナン、エミール・メイヤー、エリシャ・クック・Jr.、ダグラス・スペンサー 他


 《映画の冒頭で致命的なミスがあるのを皆さんお気付きだろうか?》


 僕の住んでいる地域での「午前十時の映画祭」では現在4週連続でマカロニを含めた西部劇を上映しているのだが、今回はその3週目、「シェーン」の登場だ。


 西部劇というと大抵、派手なドンパチといった拳銃アクションのイメージがあるが、この映画もアラン・ラッドの早撃ちなどそういった場面が度々あるものの、いろんな意味で“優しい”映画なのだと思う。それは、ジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)やマリアン(ジーン・アーサー)に対するシェーンの視線であったり、それを象徴するかのようなヴィクター・ヤングによる有名なテーマ曲に表れていると思うのだが、観ていて本当に優しい気持ちになれる映画である。


 映画の有名なラストシーンについて“シェーン死亡説”というのがあり、映画「交渉人」(もちろんアメリカ映画のほう)の中でも議論する場面があるのだが、確かにその前のカットで撃たれているし、ジョーイの呼びかけに全く反応しないし、向かっているのが墓地なには死を暗示しているのかもしれない。でも僕はこれはそんな単純なものではなく、シェーンはこの映画では“優しさ”の象徴でもあるのだから、人間の心が時代の変化によって荒んでいく事や、

 「あんたの時代は終わったんだ」

というセリフからも読み取れるように、古き良きアメリカ(いや、時代か?)の終焉といった意味が込められているような気がしてならなかった。


 この映画で印象的な2人を演じたアラン・ラッドはこの後、作品と役に恵まれず11年後にノイローゼと薬物の過剰摂取により50歳で死去、ブランドン・デ・ワイルドもパッとしないまま、何と交通事故で30歳の若さで亡くなってしまった。名作に人生を狂わされてしまった一例なのかもしれない。


 ところで、そんな名作にも致命的なミスがあるのをご存じだろうか? マニアの間では結構知られているのだが、映画の冒頭のシーン。のどかなワイオミングの大地、遠くから馬に乗った人影が見えてくる、シェーンが登場してくるところ。ここで画面の左上を見てほしい。何やら土埃をたてて左から右に移動しているものが見える。何とこれがロケ地の地元の路線バスなのだ! たまたまなのだとは思うが、時代設定上写ってはいけないものがしっかりフィルムに収まってしまったのである。ちなみにこの映画は、権利関係の問題が日本での配給権を持つ東北新社と本国のパラマウントとの間で拗れたため正規版DVDが出ていない(VHSは発売されている)。結果的に、著作権保護に関する裁判で日本ではパブリック・ドメイン(著作権切れ)が確定し、DVDはいくつかの会社から500円等の激安DVDとなって発売されてはいるが、これに関しても上記2社からクレームが付けられているから見つけるのは至難の業かもしれない。映画館で観られるのは貴重な事になるかもしれないので、観たい人は是非この機会にと、お薦めしておこう。


私の評価…☆☆☆☆☆

|

« 〈午前十時の映画祭〉荒野の七人 | トップページ | ファイナル・デッドブリッジ 3D »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 〈午前十時の映画祭〉シェーン:

« 〈午前十時の映画祭〉荒野の七人 | トップページ | ファイナル・デッドブリッジ 3D »