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2011年10月15日 (土)

猿の惑星 創世記 <ジェネシス>

猿の惑星創世記<ジェネシス>
猿の惑星創世記<ジェネシス>
猿の惑星創世記<ジェネシス>
監督:ルパート・ワイアット
出演(吹替版声優):ジェームズ・フランコ(関智一)、アンディ・サーキス(チョー)、フリーダ・ピントー(東條加那子)、ジョン・リスゴー(阪脩)、ブライアン・コックス(稲垣隆史)、トム・フェルトン(阪口周平)、デヴィッド・オイェロウオ(落合弘治)、タイラー・ラビーン(塩屋浩三)、ジェイミー・ハリス(高瀬右光)、デヴィッド・ヒューレット(後藤敦)、タイ・オルソン(大川透)、マディソン・ベル(羽飼まり)、ジョーイ・ロッチェ(行成とあ) 他


 《誰もやりたがらなかった仕事を引き受け、下馬評を覆したスタッフに拍手!》


 本作は、1968年に製作され大ヒットの後、都合5本のシリーズが作られた「猿の惑星」の前章を描いたものである。旧作シリーズにも、1作目の2千年前を描いた「新・猿の惑星」(1971年)とそこから18年後の1991年という(当時からみた)近未来を描いた「猿の惑星・征服」(1972年)といった“前章もの”はあったが、今回は旧シリーズのそれとは全く違ったコンセプトで新たな話が創作されており、時代が進んだ今だから描ける内容となっている。


 製薬会社ジェネシスの研究所でアルツハイマーの新薬の研究に従事していた科学者ウィル(ジェームズ・フランコ)はある日、新薬AZ112を投与されたチンパンジーが驚異的な知能を示す事を発見、理事会に臨床試験の承認を求めるが、その最中にチンパンジーが暴れ、所内をパニックに陥れる事故が発生したため、研究は中止となり、実験用のチンパンジーは全て殺されてしまう。


 だが、そのチンパンジーは妊娠しており赤ん坊を出産していた。ウィルはその赤ん坊を自宅に連れ帰り、シーザーと名付けて密かに育て始める。シーザーは成長するとともに、遺伝した母親の知能が覚醒し、驚くべき知性を発揮し始める。


 ウィルは、データを元にチンパンジーでの実験を再開、より強力な治療薬を完成させるが、ある時偶然の事故でシーザーが人間を傷つけ、アニマルシェルターに強制収容されてしまう。そこでシーザーが見たものは、冷酷な監視員のドッジ(トム・フェルトン)に虐待される猿達の姿だった。


 次第に人類に対する疑念を深めたシーザーは、密かにシェルターを抜け出し、ALZ113を密かに盗みだすと、シェルターの猿達に吸引させる。結果、高度な知能を得てシーザーをリーダーに団結した猿達は、人類に反旗を翻す。その一方で、ウィルはALZ113の持つ、ある致命的な欠点にまだ気付かずにいた…


 まず、旧作との違いとして、旧作は核戦争後の地球を連想させたり、コバルト爆弾による地球滅亡を描いたりと常に戦争による影響を頭に入れたものになっていたのだが、この映画では人間のエゴによるものというのは共通していても、それは戦争ではなく、新薬の副作用やウイルスの脅威といったもので表現している点にある。普通そういった後付けみたいなものは辻褄を合わせるために無理矢理付けられているものが多いのだが、この映画が素晴らしいのはそういった無理な後付けが殆ど無いという事だ。終盤に多少ご都合主義的な部分はあるが、殆ど違和感無く観られるのである。


 一見、旧作とは何の繋がりも無いように見えるが、その役割は主人公の家の隣人が担っている。本当に恐ろしいのは“見えざる恐怖”と、ある乗り物を使えばそれが一瞬にして拡散する事であり、現代ではそれがいとも簡単にできてしまう事だ。新薬の“理由付け”といい、それが人間と猿にもたらす変化といい、その辺の脚本や演出が絶妙だ。


 本作は、企画が立った当初、誰もやりたがる人はおらず(そりゃそうだ、原作と第1作のヒットをエサに散々改変しまくったんだから)、スタッフ選びに苦労したようだが、イギリスの新進監督ルパート・ワイアット以下、地味ながらもいいスタッフとキャストが集結。特にシーザーをパフォーマンス・キャプチャーで演じたアンディ・サーキスの演技が素晴らしく、彼なくしてこの映画は成し得なかったと思う。旧作ファンへのオマージュもたっぷりで、冒頭の人間が実験用の猿を捕まえる場面は、1作目の猿が人間を捕まえる場面の逆パターンだし、仲間の内1匹のメス猿の名前が、旧作の猿の考古学者“コーネリアス”を思わせる“コーネリアン”だったり、何よりシーザーという猿の名前自体が旧シリーズの「猿の惑星・征服」に出てくる猿の主人公と同じ名前であったりと、旧作ファンも楽しめる要素がたくさんある。


 あのラストのオチでは後に人間と猿の立場が逆転していく事は示唆されていても、まだまだ旧作とは展開の違う、パラレルワールド的な続編が作られてもおかしくないが、とりあえずは旧作の続編をなかった事にしてしまうような、面白い映画を作ってくれたスタッフ&キャストに拍手を送りたい。


私の評価…☆☆☆☆★

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