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2012年1月28日 (土)

〈語り継ぎたい映画シリーズ〉ひまわり

〈語り継ぎたい映画〉ひまわり
劇場:テアトル梅田
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、ソフィア・ローレン、リュドミラ・サベーリエワ、アンナ・カレーナ、ジェルマーノ・ロンゴ、グラウコ・オノラート、カルロ・ポンティ・ジュニア 他


 《H・マンシーニの哀愁漂うテーマ曲が悲しみを誘う、反戦映画の傑作》


 この映画は先頃2年目が終了した「午前十時の映画祭」でも、当初上映予定が組まれていた物だが、権利関係で重大な問題が生じ、上映できなくなっていたものである。で、どういう経緯なのかは知らないが今回、アンプラグドという配給会社が権利を得て、デジタル・リマスターによる35ミリフィルムのニュープリントで、日本では1980年のリバイバル公開以来約30年ぶりに公開されている(大阪…1/21〜テアトル梅田 京都…2/4〜京都シネマ その他の地域は公式ホームページ参照)。


 ナポリで出会い、恋に落ちたジョヴァンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)。まもなく戦地へ行くことになっていたアントニオだが、結婚すれば休暇がもらえることを知り、2人は結婚。やがてアントニオはソ連の前線へ送られ、行方不明になる。終戦後、アントニオを諦めきれないジョヴァンナは、ソ連に彼を探しに行く。そこでジョヴァンナはアントニオの写真を見て動揺する若い主婦に出会う。その彼女は瀕死の状態で倒れていたアントニオを救ったマーリャ(リュドミラ・サベーリエワ)だった…。


 40年前の当時、世界的なスターとして人気だったソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの共演で大ヒットした、戦争で引き裂かれた夫婦の非情な運命を描く、イタリア映画界の巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督の晩年の名作。「ティファニーで朝食を」や「ピンク・パンサー」で知られるヘンリー・マンシーニの音楽は、映画を知らなくても、曲は聴いたことあるという人も多いだろう、映画音楽の名曲である。ちなみに、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニは共演作が多く、“映画における史上最高のカップル”といわれているのだが、それを誕生させたのもデ・シーカであり、1974年に亡くなる監督にとってこの「ひまわり」は、最後に2人をスクリーンに焼き付けた作品である。


 この監督は1940年に監督デビューを果たしたのだが、当時ファシズム文化への対抗として、ありのままの現実を描写するネオリアリズモと呼ばれる文化が生まれており、デ・シーカ監督もロベルト・ロッセリーニやルキノ・ヴィスコンティと並ぶネオリアリズモの巨匠と呼ばれるようになる。「ひまわり」はその時代からすればずいぶんと後の作品だが、戦争とは貧しい市民の幸せをも簡単に踏み潰すものという監督自身の思いを伺う事ができる。


 ラストにテーマ曲と共に流れる、一面のひまわり畑の中にソフィア・ローレンがいるあの有名な場面は、現在のウクライナで撮影されたものだが、当時は米ソ冷戦の真っ只中。西側諸国からソ連を撮影することは、相当困難を極めたようで、当初は許可が下りなかったが、映画の内容を知らせた後、撮影できるようになったという。現在からは想像もつかないが、当時を知ることができる貴重なエピソードだ。


 とにかく今ではイタリア映画も日本では滅多に観る機会が無いので、この映画観て損は無い。ソフィア・ローレンは老いた今でも、ミュージカル映画「ナイン」に出演するなど現役バリバリで活躍しているが、ローレンより10歳上のマストロヤンニは既に他界しており、この2人の名演は過去に共演した複数の映画でしか観ることができないので、せっかくのこの機会にぜひスクリーンで鑑賞することをお薦めする。


私の評価…☆☆☆☆☆

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