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2012年2月 9日 (木)

【未体験の映画たち2012 】幸せの行方…

【未体験の映画たち2012<br />
 】幸せの
劇場:テアトル梅田
監督:アンドリュー・ジャレッキー
出演:ライアン・ゴズリング、キルスティン・ダンスト、フランク・ランジェラ、フィリップ・ベイカー・ホール 他


 《司法の限界を鋭く抉った問題作》


 その映画が製作された本国では上映できても、日本では様々な理由で映画館での公開ができず、それでもセルorレンタルDVD扱いになるならまだマシなほうで、最悪それもできない「封印作品」となってしまう映画もある。そういう映画でも優れたものはたくさんあり、今回の特集上映「未体験の映画たち2012」は、そういった映画にスポットを当てる企画である。すでに、東京では1月から半年間、渋谷のシネコンで17本の映画が上映される事になっているが、大阪では上映劇場が単館系になるため、この映画を含む4本を2月にイブニング&レイトショー上映し、残りは順次上映ということになっている。


 そんな“映画祭”のオープニングを飾るこの映画。「ラースと、その彼女」のライアン・ゴズリングと、「スパイダーマン」シリーズのキルスティン・ダンストの共演となれば、日本でも一般公開してもおかしくない。ではなぜ公開されなかったのか? それは内容があまりにもダーク過ぎるからである。


 ニューヨークで不動産業を営む富豪一家の御曹司デイビッド(ライアン・ゴズリング)は、父(フランク・ランジェラ)の反対を押し切り、平凡な家庭の女性ケイティ(キルスティン・ダンスト)と恋に落ちる。2人は間もなく結婚し、ニューヨークを離れ自然食品の店を営み慎ましくも幸せな日々を送っていた。


 ところが、父親はそんな息子を強引にニューヨークへと連れ戻してしまう。父の仕事を手伝うことになったデイビッドは、次第に奇妙な行動が目立ち始めていくのだが、それは悲劇の序章にすぎなかった…。


 これは、アメリカの犯罪史上最も不穏な事件と呼ばれる、1982年から2001年にかけてロバート・A・ダーストという人物の周りで起こった失踪や殺人事件をフィクション化して映画にしたものだ。無実の人間が有罪と判定され問題となる映画は数多くあるが、この映画はその全く逆。どう考えても“真っ黒”な疑惑の人物が、証拠が乏しいとして“ほぼシロ”となるものであり、明らかに精神を病んでいるとみられる容疑者がその結果、今も平然と“普通に”暮らしているというところに戦慄をおぼえるのである。日本でも実際似たようなケースはあるのだろうが、映画やドラマとしては殆ど描かれない。


 何といっても、その問題となる男を演じるライアン・ゴズリングの壊れっぷりが凄い。富豪である父への反発心、父の後継ぎを任された弟に対する劣等感、幼い頃に母親の飛び降り自殺を目の当たりにした事によるトラウマなど、様々な外的要因から精神が崩壊していく不気味なさまを、見事に表現している。そういえば、このブログでもちょっと前に感想を書いた「ブルーバレンタイン」でも、ミシェル・ウィリアムズを困らせる変な男を演じていた。ラブドールを愛してしまう「ラースと、その彼女」での役といい、結構個性的な役者である。


 キルスティン・ダンストも、夫の異変に気付きながらも愛しようとする健気なヒロインを好演。僅か数秒ではあるが、意外に均整のとれた身体のヌードを初披露している(今月17日から公開の「メランコリア」がヌード初披露と謳っている媒体が多いが、それはこの映画が日本では“劇場未公開作品”扱いのためである)。次第に心が離れていき映画の後半は行方不明となるこのヒロイン、モデルとなった人物は夫に殺されているという疑惑はあるものの決定的な証拠がなく、20年以上経った今現在も“失踪中”のようである。


 こういう見応えのある映画が未公開になるのはちょっと惜しいような気がする。幸いこの映画は今年5月2日にDVDが発売される予定なので、もしレンタル店にでも置かれれば、ミステリー&サスペンス映画ファンは是非とも観て、ラストの衝撃に震え上がってほしい。


私の評価…☆☆☆☆

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