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2012年2月29日 (水)

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

ものすごくうるさくて、ありえな
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:スティーブン・ダルドリー
出演:トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ヴィオラ・デイヴィス、ジョン・グッドマン、ジェフリー・ライト、ジェームズ・ガンドルフィン、ゾーイ・コールドウェル 他


 《アメリカの人々が、今だに癒えない心の傷》


 2001年に起こった、アメリカ同時多発テロ事件を背景に、2006年に発表された同名タイトルの小説を元に映画化した話題作。


 大事な人を失った悲しみ。誰にでもいつか必ず訪れるそのことに、人は無防備だ。覚悟した別れでも受け入れがたいのに、それがあまりにも突然で理不尽な別れならなおさらだ。


 オスカー(トーマス・ホーン)と父(トム・ハンクス)は、親子であると同時に親友だった。父は少しばかり繊細で生きることに不器用なオスカーを、その個性を壊さずに導いてくれる頼もしい師でもあった。そんな2人を優しく見守る母(サンドラ・ブロック)。ところが…。


 9・11が最愛の父を奪ってしまう。オスカーは父が遺した1本の鍵に、最後のメッセージが込められていると信じ、鍵穴を探す旅に出る。鍵の入っていた封筒に書かれていた文字に従い、ニューヨーク中の「ブラック氏」を訪ね歩くオスカー。やがて謎の老人(マックス・フォン・シドー)が同行者となり、いつしかオスカーの辿った軌跡は、人と人を繋ぐ大きく暖かい輪になっていく。そしてついにオスカーは、鍵の真実とめぐり会うのだが…。


 「9・11」を描いた映画はこれまでにもあったが、ドキュメンタリー映画はともかく、こういった商業映画はどちらかというとテロ事件そのものを描いたものが殆どで、遺族のその後をこれほど直接的に描いたものはなかったように思う。


 本作ではテロ事件により愛する父親を失い、自閉的になったまだ小さい息子が、その悲しみと向き合い、立ち直るために、父の遺した鍵とその鍵を入れた封筒に書かれた「BLACK」という文字を頼りに、「ブラック氏」を訪ね歩く旅に出る。


 少年を演じるトーマス・ホーンは、この映画で本格俳優デビューした、いわば演技に関してはぺーぺーの素人なのだが、ベテラン俳優たちと堂々と渡り合える演技を見せている。途中から少年と旅の同行者になる失語症のおじいちゃんを演じたマックス・フォン・シドーは、本作でアカデミー賞にノミネートされたが、その演技はもしかしたらこの少年が引き出しているのではないかと思ったほどだ。


 実は、原作にはこのおじいさんが失語症になった理由がきっちりと書かれてあり、ドレスデン爆撃という第二次世界大戦末期に連合国軍がドイツに対して行った無差別的な蛮行と、この9・11テロの悲劇が重ね合わされているのだが、映画の方ではあまりそこは語られていなかった。バランスを考えて、あまり暗くなり過ぎないようにしたのだろうが、原作を読んだ人なら「おや?」と思った人も多いと思う。


 そして、これは少年の成長物語であると同時に、家族の再生物語でもある。それは終始何もしていないように思えた母親が、最後に見せる“一発逆転”の行動に見て取れる。子供の行動を影で見守り、時にはバレないように手助けしていたのである。自分も心に深い傷を負っているはずなのに…。


 「ママも、新しい恋をしてもいいよ!」


 これは少年がラストに母親に向かって言うセリフ。何だか、この言葉で全てが救われたような気がする。全体としては暗い映画だが、清々しい気分になれた。


私の評価…☆☆☆☆★

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