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2012年3月

2012年3月31日 (土)

SHAME - シェイム-

SHAME -<br />
 シェイム-
劇場:シネ・リーブル梅田
監督:スティーヴ・マックイーン
出演:マイケル・ファスベンダー、キャリー・マリガン、ジェームズ・バッジ・デール、ニコール・ビヘイリー 他


 《キャリー・マリガンには清純なイメージを保ってほしかった…(泣)》


 性依存症の兄と、恋愛依存症の妹の生活を描く衝撃の問題作。かなり過激な性的描写が多数描かれるため、各国で上映禁止や入場制限がかけられている。


 ブランドン(マイケル・ファスベンダー)は上司に認められる有能な会社員。外見も魅力的で、洒落たマンションに1人で暮らす彼は、仕事以外の全ての時間を“性行為”に注ぎ込んでいる。プロの女性を買い、時には行きずりの女性と駐車場で事におよび、Hなサイトを常に閲覧するという毎日を送っていた。ある日、妹のシシー(キャリー・マリガン)が突然転がり込んでくる。人との繋がりを持たずに感情を排して生きてきた彼は、愛を渇望し感情をあらわにするシシーの出現に心が乱されていく…。


 日本でもオリジナル版そのままの上映では、映倫の審査上「R18+(18歳以下入場禁止)」指定をクリアできず、過去に映画「インプリント ぼっけぇ、きょうてえ」が受けた「適用区分外」となり、上映劇場が著しく制限を受ける可能性があった(「インプリント ぼっけぇ、きょうてえ」は単館系1館のみの公開だったと思う)が、複数の男性性器露出カットに、イメージを損わない程度のボカシを入れるのを監督が妥協する事で、辛うじて「R18+」で公開されるに至った。


 とまぁ、そんなことだからエロ描写だらけの映画なのかなと思ったら、意外と真面目に作って(当たり前だが)あったので、一安心。性的倒錯した世界を描いているので、常人には理解しがたい話もいろいろ出てくるのだが、主演の2人がしっかりとした演技をしているので、変な意味ではなく映画として普通に観ることができる。


 この映画、世界の映画祭では主演のマイケル・ファスベンダーがかなり高い評価を得ているが、妹役のキャリー・マリガンも捨てがたい。いや、この妹なくしてはこの映画は成り立たない。何せ、兄に“あること”を気付かせ最終的には命懸けで意識改革をさせるキーポイントとなる人物である。それを、「17歳の肖像」などで“純”なイメージが強いキャリー・マリガンが演じるのだ。いきなりそのイメージを覆す衝撃のフル・ヌードで登場するのには驚いた。日本ではこれの次に公開される出演作「ドライヴ」でも“清純”とは真逆なイメージのヒロインを演じているが、ひょっとして今までのイメージからの脱却を狙っているのか。このシシーという役は歌手という設定でもあり、シシーの心情を歌う場面では、「ニューヨーク、ニューヨーク」が歌われる。これは同名タイトルの映画ではライザ・ミネリが陽気に歌っていたナンバーだが、シシーはいかにもけだるくスローなテンポで歌う。もちろんキャリー・マリガンの生歌であり、これがなかなか上手い。エロティックさばかりが話題となっている映画だが、この場面だけは落ち着いた感じのいいシーンになっていた。


私の評価…☆☆☆★

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2012年3月27日 (火)

松竹配給「唐山大地震」延期→事実上の中止に

 松竹株式会社は、昨年3月26日公開予定だった中国映画の話題作「唐山大地震-想い続けた32年-」を、東日本大震災により公開延期していたが、新しい公開時期に関し市場調査を実施するなど検討していたところ、震災の被害が甚大で多くの方々が未だに苦しんでおられる中、公開予定を立てる事が出来ないと判断した模様。


 現在、前売券の払い戻しを8月末まで受付中。詳細は公式ホームページ(http://sp.pia-es.jp/tozan/index.html )を参照とのこと。


 震災の影響で延期になっていた映画が次々と公開される中、この映画もいつかは… と思っていたんだが、やはり地震そのものが描かれている映画はさすがに上映できないと判断したか。


 今までは公開できなかった映画が、配給会社が変わって単館系での劇場公開にこぎつけた映画も無いわけではない(戸塚ヨットスクールを描いた「スパルタの海」など)が、震災前から話題になり観たかっただけに、DVDだけでもなんとか発売にならないだろうかと思う次第。

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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

マーガレット・サッチャー
マーガレット・サッチャー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ、アレクサンドラ・ローチ、ジム・ブロードベント、ハリー・ロイド、オリヴィア・コールマン、アンソニー・ヘッド、リチャード・E・グラント、ポール・ベントレー、ロビン・カーモーディ、ジョン・セッションズ、ロジャー・アラム、マイケル・ペニングトン、アンガス・ライト、ジュリアン・ワダム・レジナルド、グリーン 他


 《予告編からイメージして観に行くと、とんでもないことに》


 メリル・ストリープが元英国首相のマーガレット・サッチャーを演じる伝記映画。伝記映画といっても生い立ちから描くわけではなく、1982年のフォークランド紛争に至るまでの17日間を、回想を挟みながら描くものである。


 雑貨商の家に生まれたマーガレット(少女時代=アレクサンドラ・ローチ)は市長も務めた父の影響で政治家を志すが、初めての下院議員選挙に落選してしまう。失望する彼女に心優しい事業家デニス・サッチャー(青年期=ハリー・ロイド)がプロポーズする。


 「食器を洗って一生を終えるつもりはない」野心を隠さないマーガレット(メリル・ストリープ)を、デニス(ジム・ブロードベント)は寛容に受け入れる。双子にも恵まれ、幸せな家庭を築く一方で、マーガレットは政治家としての階段も昇りはじめる。失墜した英国を再建する。それは気の遠くなるような闘いだった。だが、彼女はその困難に立ち向かう。愛する夫や子供たちとの時間を犠牲にし、たった一人で闘い続けた。深い孤独を抱えたまま。


 まず、やはりなんといってもメリル・ストリープの、この役に対する完璧なアプローチに驚く。アメリカとイギリスでは議会の様子がかなり違うはずで、彼女はアメリカ人なのだが、この役を演じるにあたり、ロンドンのウェストミンスター宮殿(英国会議事堂)を訪問し、庶民院に出向き議会の様子を見学。その日予定されていたキャメロン首相とミリバンド労働党党首の討論等を見て、答弁のやり取りを体感したという。他にもサッチャーの出ている番組を何ヵ月もかけて見ては喋り方や身のこなし方の練習に励み、元首相の何人もの知人たちと会話をして人柄など内面からもリサーチを行ったらしい。さすがに役柄のアプローチに関してはあのロバート・デ・ニーロに匹敵するほど徹底している彼女である。アカデミー賞主演・助演合わせて3度の受賞はともかく、17度のノミネートはだてではない。


 惜しいのは、この映画日本では前年度のアカデミー賞作「英国王のスピーチ」に引っ掛けて宣伝してしまったために、見方によっては少々明るいイメージで見られてしまう事である。実際本編はかなりシリアス。現在のサッチャーが過去を回想する形で話が進むのだが、今のサッチャーはどうやら痴呆症を患っているようで、全盛期を知る人が観たら多分殆どの人が愕然としてしまうだろう。予告編はあまり頭の中に入れずに観た方がいいのかもしれない。


私の評価…☆☆☆★

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2012年3月22日 (木)

長ぐつをはいたネコ 3D

長ぐつをはいたネコ 3D
長ぐつをはいたネコ 3D
劇場:MOVIX京都
監督:クリス・ミラー
声の出演(吹替版声優):長ぐつをはいたネコ〔プス〕…アントニオ・バンデラス(竹中直人)、キティ〔キティー・ソフトポー(吹替版ではキティー・フワフワーテ)〕…サルマ・ハエック(本田貴子)、ハンプティ・アレクサンダー・ダンプティ…ザック・ガルフィアナキス(勝俣州和)、ジャック…ビリー・ボブ・ソーントン(辻親八)、ジル…エイミー・セダリス(津田真澄)、ナレーター…ウォルト・ドールン、ランチャー…ゼウス・メンドーサ、イメルダ…コンスタンス・マリー(山像かおり) 他


 《大抵のスピンオフ企画は、元ネタより面白くはならないが》


 大ヒットCGアニメシリーズ「シュレック2」から出ている猫の“プス”を主人公にしたスピンオフ映画。時系列的には「シュレック2」の前日譚となる。元々はOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)として企画されたものだったが、劇場用に変更されたものである。尚、邦題は「長ぐつをはいたネコ」となっているが、原題は「Puss in Boots」であり、当然ながら有名なシャルル・ペロー原作の「長靴をはいた猫」とは何の関係もない。


 長ぐつをはいたネコ、プスは永遠に富をもたらすという豆の木の種を探して、悪党ジャックとジルの後を追っていた。もう一息というところで、マスクを被った謎のネコと鉢合わせ。ダンス対決をしているところをジャックとジルに見つかってしまう。プスと互角に闘ったそのネコは、強くてセクシーなキティだった。そこに、プスの孤児院の幼なじみ、ハンプティ・ダンプティが現れ、一緒に豆を探そうと持ちかける…。


 ドリームワークスのアニメは単純に子供向けとは言えないものが多く、「シュレック」もディズニーの「美女と野獣」のアンチテーゼだったりするのだが、この映画もその傾向は強い。この映画の主人公プスは、まだシュレックたちに出会う前で、捨て猫だった彼の生い立ちと、なぜ長靴を履いているのか、なぜお尋ね者となったのかが描かれながら、伝説の金の卵を探しに行く冒険ファンタジーとなっているのだが、孤児院で親友となるハンプティ・ダンプティとの関係が複雑なのだ。物語上、完全な善役とも悪役ともいえないこのキャラクターの位置付けは、恐らく子供には理解不能だろう。


 もちろん、アカデミー賞にノミネート(惜しくも受賞は逃したが)されている事からも分かるように、アニメーションとしてのクオリティーは高く、猫独特の動きを取り入れた流麗なアクションは、今にも本当に飛び出してきそうな感じで躍動感に溢れ、僕の目を楽しませてくれた。


 大抵のスピンオフ企画は、実写も含め本元の映画と比べるとどうしても見劣りして面白くないのだが(本元より面白いのは「デアデビル」のスピンオフ「エレクトラ」ぐらいか)、この映画はアメリカで興行的にも大ヒットしているようで、続編も期待できる。続けるなら、是非クオリティーを落とさずにやってほしいところだ。


私の評価…☆☆☆☆★

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2012年3月20日 (火)

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス 3D

スター・ウォーズ エピソード1
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョージ・ルーカス
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演(吹替版声優):リーアム・ニーソン(津嘉山正種)、ユアン・マクレガー(森川智之)、ナタリー・ポートマン(坂本真綾)、ジェイク・ロイド(矢島晶子)、ペルニラ・アウグスト(鈴木弘子)、フランク・オズ(永井一郎)、イアン・マクダーミド(小林勝彦・坂口芳貞)、オリバー・フォード・デイビス(阪脩)、ヒュー・クオーシー(梁田清之)、アーメド・ベスト(田の中勇)、アンソニー・ダニエルズ(岩崎ひろし)、レイ・パーク(山路和弘)、テレンス・スタンプ(金尾哲夫)、サミュエル・L・ジャクソン(玄田哲章)、アンドリュー・セコム(麦人)、ケニー・ベイカー、ワーウィック・デイヴィス、ブロナー・ギャラガー、ソフィア・コッポラ、キーラ・ナイトレイ 他


 《1999年公開版ともBlu-ray版とも微妙に違う3D版》


 今年から「スター・ウォーズ」全6作が、時系列順に1年に1作ずつ3D化され公開されていくのだが、今回はその第1作。1999年公開版はBlu-rayリリース時に、パペット(人形)で撮影されていたヨーダがフルCGになるなど、いくつかの修正や変更が施されたが、今回上映されるのはそのBlu-ray版にさらに修正や変更が施され、未公開シーンも付け足された物で、これまでのどのバージョンとも微妙に異なるものとなっている。


 特にクライマックスのダース・モールの最期の場面は、本来1999年公開時に使いたかったものの、当時のアメリカのレーティングで「R(18歳未満入場制限)指定」を受ける可能性が高くなる事を懸念し、止むを得ずお蔵入りにしていたバージョンが今回は採用されている。


 修正や変更はあっても、ストーリー自体は変わらない。僕はこれを最初に映画館で観た時、

 「あれ、どうしたんだろうルーカス。監督の腕落ちたの?」

と思ったくらい、あんまり面白くなかったのだが、それは今回拭い去る事はできなかった。どうせ変更を加えるのならセリフの“間”とかを考えてカッティングを変えるとかをした方が、ずっとマシになったのではないか? さすがにルーカスでも、一旦作った物をそこまで変える事はできなかったのかな。


私の評価…☆☆☆

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2012年3月19日 (月)

シャーロック・ホームズ/シャドウゲーム

シャーロック・ホームズ/
劇場:TOHOシネマズ梅田
監督:ガイ・リッチー
音楽:ハンス・ジマー
出演(吹替版声優):ロバート・ダウニーJr.(藤原啓治)、ジュード・ロウ(森川智之)、ノオミ・ラパス(東條加那子)、ジャレッド・ハリス(森田順平)、レイチェル・マクアダムス(佐古真弓)、スティーヴン・フライ(銀河万丈)、エディー・マーサン(後藤哲夫)、ケリー・ライリー(園崎未恵)、ポール・アンダーソン(横島亘)、ジェラルディン・ジェームズ(野村須磨子)、ウィリアム・ヒューストン(西田紘二) 他


 《Wヒロインだと思ったら…》


 前作の大ヒットを受けて製作された続編。前作同様、コナン・ドイルの小説に登場するキャラクターを借りて、オリジナルで作られたマンガを基にストーリーが構築されているが、今回はドイルの小説「最後の事件」に影響を受けていると言われている。


 各地で連続爆破事件が発生した。謎を追う名探偵シャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニーJr.)も、あわや爆発に巻き込まれそうになる。だが、天才ホームズには分かっていた。インド、中国、アメリカ、ヨーロッパと、このところ世界中で発生している未解決の重大時間は、全て繋がっているのだ。その黒幕こそが、ジェームズ・モリアーティ教授(ジャレッド・ハリス)。知能・腕力ともにホームズと全く互角の「もう一人の天才」なのだ。高名な元大学教授で数学者にして温和な人格者であるこの男、だがその正体は良心の欠片もない「犯罪界のナポレオン」。誰も思いつけない手口で歴史を操作し、自らの手を汚さずに民衆の命を奪い、絶大な富と権力を手に入れようとしていた。ホームズはそんな悪の天才を止めようとする。


 反撃に出たモリアーティは、ホームズとワトソン(ジュード・ロウ)を抹殺すべく、ヨーロッパ中に巧妙な罠を張り巡らせる。ロンドン、フランス、ドイツ… 史上最強の名コンビは次々と遅いかかる危機を乗り越え、遂に決戦の地スイスのアルプスへ…。


 前作よりもアクションの度合いが増し、よりコミカルになった映画。ホームズの変人っぷりも増し、人物だけでなく物にも変装してしまうのには笑える。モリアーティ教授に関すること以外は前作と関連性が薄いため、前作の知識は必要ではないが、何より驚いたのは、今回てっきり前作のヒロイン=アイリーン(レイチェル・マクアダムス)と、今作の新ヒロイン=ジプシーの女(ノオミ・ラパス)のWヒロインで作られると思っていたのが、あっさり裏切られる事だ。序盤でヒロイン交代劇があるのである。


 確かにノオミ・ラパスは母国スウェーデンの映画、オリジナル版の「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」で演じたリズベット役が世界中で評価され、今回ハリウッド・デビューとなった、今ノリにノッている女優である。激しいアクションもこなせるので、今作のような勝気なヒロイン役は似合っているのだが、レイチェル・マクアダムスも、前作のアイリーン役が結構好評だったため、今作でももう少し出てほしかった。


 ちなみにこの2人は、これとは別企画であるブライアン・デ・パルマ監督の新作「パッション(仮題)」で共演することが決まっている。フランスのアラン・コルノー監督の遺作となった「Crime D'Amour」のリメイクで、非情な女性幹部と部下の権力闘争を描く映画ということで、オリジナル版ではクリスティン・スコット・トーマスとリュディビエーヌ・サニエが出ていて、リメイク版はどちらがどの役をやるのかは、まだ分からないが、こちらの方はちゃんと演技対決が観られそうで楽しみである。


私の評価…☆☆☆★

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2012年3月16日 (金)

おとなのけんか

おとなのけんか
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ロマン・ポランスキー
原作:ヤスミナ・レザ「大人は、かく戦えり」
出演:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー


 《面白いが、そんなに凝縮する必要はない》


 日本では昨年、大竹しのぶらの出演で上演された傑作舞台劇「大人は、かく戦えり」を、4人のアカデミー賞ノミネート俳優で映画化。子供の喧嘩が発端で和解のために集まった夫婦同士が、ちょっとしたきっかけで和解どころかより激しい口論に発展していく。和解のための話し合いが逆にとんでもない結果を招く国際社会への風刺をこめたブラック・コメディ。


 ニューヨーク・ブルックリンの公園で遊んでいた少年達の間で争いが起こり、少年ザッカリーに棒で叩かれたイーサンが前歯を2本折る怪我をした。ザッカリーの両親である弁護士のアランと投資ブローカーのナンシー夫妻はイーサンの家を訪問し、イーサンの両親であるマイケルとペネロペ夫妻と和解の話し合いを始める。当初、話し合いは和やかに進むが、次第に4人の話は噛み合わなくなり、険悪な雰囲気へと変わっていく。


 この作品は元々舞台版でも約90分程の、さほど長くない劇なのだが、それをさらに凝縮する形で78分にまとめあげたものだ。それもセリフを殆ど削除せず、役者のセリフ回しを早口にするなどして、よりスピーディーに見せたものである。


 確かに役者は皆曲者揃いで、話のテンポも良くコメディとしては上出来の部類なのだが、何せ4人のいがみ合いがずーっと続くわけで、観ている分には面白いが観終わったらドッと疲れた(笑)。普通は息抜きの場面があって、そこで観客も一息つけるし、ストーリーにも緩急がつくのだが、この映画にも、アランやマイケルのもとに度々かかってくる電話など、一呼吸置く場面はあるにはある。だが、これは製作者側の狙いなのか、その電話は観ている側が“イラっ”とくるような仕掛けになっているのである。


 それでもこの映画がちゃんと観られるように成り立っているのは、巧みな脚本と上手い役者のおかげ。2組の夫婦同士の言い争いが、ふとしたことがきっかけで男と女のバトルにチェンジし、やがてお互いの夫婦間に亀裂がはしってしまう展開を、殆どマイケル夫妻の部屋の中でやってしまう展開は見事という他なく、それぞれ違う性格を持った4人の役者の演技合戦も見事。特に、気分が悪くなって飲んだコーラでリバース(笑)してしまう場面を体当たりで演じたケイト・ウィンスレットには女優魂を見た(笑)。舞台版ではまさかあんな表現はしていない、映画ならではの演出と思うが、あの美人女優がああいう場面を演じる勇気に拍手を送りたい(笑)。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年3月13日 (火)

トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン PART1

トワイライト・サーガ/
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ビル・コンドン
原作:ステファニー・メイヤー「トワイライト IV」
出演:クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナー、ピーター・ファシネリ、エリザベス・リーサー、ケラン・ラッツ、ニッキー・リード、ジャクソン・ラズボーン、アシュリー・グリーン、チャスク・スペンサー、ジュリア・ジョーンズ、ブー・ブー・スチュワート、ビリー・バーク、マイケル・シーン 他


 《ヤキモキさせつつ終わる前編》


 アメリカでは絶大な人気を誇るファンタジー小説の映画化第4弾。原作はこの第4巻で完結となるが、映画ではこの完結編をじっくり描くため、都合2部構成となる。


 幾多の困難を超えて、遂にエドワードと同じヴァンパイアになり、「永遠」の生を送る決意をしたベラ・スワン。人間である間に結婚式を挙げて、狼族のジェイコブに別れを告げ、新婚旅行に旅立つ。初めての2人だけの至福の日々。しかし、事態は大きく変わる。


 ベラが妊娠。その子の成長はあまりにも早く、彼女は衰弱していく。さらに、友好関係にあったヴァンパイアと狼族は、その子供の存在をめぐり、対立していく。ベラの命が危機に瀕したとき、新たな戦いが始まってしまう。ベラとジェイコブ、さらに新しい生命の運命は…。


 今回は冒頭にエドワードとベラの結婚式があるので、上記キャスト以外にも、前作までに出てきたキャラクターが、一部を除き殆ど出演するという豪華版だ。それ故なのか、今回は日本語吹替版による上映は無い。


 この結婚式からハネムーンまでは、ストーリーがあまり進行せず、やや冗長なのだが、妊娠が発覚してから話のテンポが勢いづく。監督が「ドリームガールズ」のビル・コンドンなので、この後の話が実にスピーディーで面白い。


 ベラの命を守ることと、禁断の子の誕生をめぐりヴァンパイアと狼族の間で新たな対立が起こるなか、命の危機を脱した(?)ベラの蘇生と、カレン家の運命を握るヴォルトゥーリ族の意味深なセリフで、後編への期待を大いに膨らませつつ、“今回はこの辺で”となる。その後編は日本では今年末に公開予定だ。このシリーズは今一つ日本では盛り上がっていないが、果たしてどういう展開になっていくのか、楽しみだ。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年3月10日 (土)

戦火の馬

戦火の馬
劇場:MOVIX京都
監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮:フランク・マーシャル
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演:ジェレミー・アーヴァイン、エミリー・ワトソン、ピーター・マラン、デヴィッド・シューリス、トム・ヒドルストン、ベネディクト・カンバーバッチ、ニコラス・ブロー、ダフィット・クロス、レオナート・カロヴ、セリーヌ・バケンズ、ライナー・ボック、パトリック・ケネディ、ロバート・エムズ 他


 《スピルバーグってこんなに“見せたがり”な監督だったっけ?》


 約30年前に出版されたマイケル・モーパーゴによる児童小説と、それを元に戯曲化し2007年に上演された「軍馬ジョーイ」に基づき製作された映画。スピルバーグが第一次世界大戦の時代を映画で描くのはこれが初めてである。


 第一次世界大戦、激動のヨーロッパ。故郷から遠く離れた戦火を、必死に駆け抜けた1頭の馬がいた。その名は「ジョーイ」。数奇な運命に導かれるように彼が巡りあったのは、家族のような絆で結ばれた少年、軍馬を誰よりも大切にするイギリス人将校、ドイツ軍を脱走した幼い少年兵の兄弟、両親を亡くしたフランスの少女、そして、死と隣り合わせの戦場ですれ違う、幾多の名も無き兵士たち…。


 敵・味方の区別もない極限状態の中で、過酷な運命に立ち向かう人々との出会いと別れを繰り返しながら、ジョーイは彼らから希望を託され、やがて「奇跡の馬」と呼ばれる…。


 一応実話がモデルとされているが、この原作自体が、複数の退役軍人の話をまとめた形で書かれているため、少なくとも複数のエピソードが合わさって1つの話になっているのは間違いなく、1頭の馬が何度も命の危機を乗り越えたというのが本当なのかというのは疑わしいのだが、とにかく話が詰め込みすぎである。


 今回、映画化決定から製作に至るまでが短かったようで、そのへんを整理する暇がなかったのかもしれないが、詰め込みすぎた分、少々話が淡泊になっている感じがする。


 とはいえ、戦闘シーンはそこそこ迫力がある。第一次世界大戦ということで、軍馬中心の戦いではあるが、やはりそこは「プライベート・ライアン」などで、数々の戦争を撮った監督だ。たくさんの人や馬が銃弾に倒れていく場面は、戦争の虚しさを訴えかけるのには十分説得力がある。


 戦争映画として十分に観られる映画だが、結果としてどこを重点的に描きたかったのかがはっきり見えて来ず、テーマがぼやけてしまった。


私の評価…☆☆☆★

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2012年3月 6日 (火)

ヒューゴの不思議な発明 3D

ヒューゴの不思議な発明 3D
劇場:大阪ステーションシティシネマ
監督:マーティン・スコセッシ
出演(吹替版声優 ※現時点で判明しているもののみ):エイサ・バターフィールド(橘敏輝)、クロエ・グレース・モレッツ(山口愛)、サシャ・バロン・コーエン(村治学)、ベン・キングズレー(坂口芳貞)、ジュード・ロウ(加瀬康之)、レイ・ウィンストン(辻親八)、クリストファー・リー(長克巳)、ヘレン・マックロリー(野沢由香里)、リチャード・グリフィス(村松康雄)、フランシス・デ・ラ・トゥーア(立石涼子)、エミリー・モーティマー(高橋理恵子)、マイケル・スタールバーグ(大川透)、エミル・ラジェ、エドマンド・キングズリー 他


 《スコセッシの映画讃歌と言える、とても美しい映画》


 ブライアン・セルズニック(「風と共に去りぬ」等の名プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックは親戚にあたる)の小説「ユゴーの不思議な発明」を、マーティン・スコセッシが自身初の3Dで実写映画化。先頃発表された第84回アカデミー賞では最多の11部門にノミネートされ、作品賞や監督賞は逃したものの、技術系の部門等5部門で受賞を果たした。


 1930年代のフランス・パリ。父を火事で失ったヒューゴ・カブレは駅の時計台に隠れ住み、駅の時計のネジを巻いて毎日を過ごしていた。独りぼっちのヒューゴの唯一の友達は、亡き父の遺した壊れたままの「機械人形」。その秘密を探るうちに、ヒューゴは機械人間の修理に必要な「ハート型の鍵」を持った少女・イザベルと、過去の夢を捨ててしまった老人・ジョルジュに出会う。そして、ヒューゴは機械人間には、それぞれの人生と世界の運命をも変えてしまう「秘密のメッセージ」が隠されている事を知る。機械人間に導かれて、ヒューゴの世界を修理するための冒険が始まる…。


 もうオープニングのシークエンスから映画に引き込まれてしまった。パリの街並の俯瞰ショットからカメラがグッと駅舎に寄って、主人公の姿を写す迄の、カメラワークの流麗なこと! デジタル3Dもスコセッシのような、いわば職人監督が作るとまた一味違うものになっている。はっきりいって、あれほど奥行感のある3D映画は観たことがない。舞い落ちる雪などの情景も、ものすごく芸術的であり、まさに映画は1つの芸術である事をものがたっているようだ。


 親の死によりその形見となった機械人形と共に自分の“居場所”を求める少年と、そこに密接に関わってくる少女、そして元祖“特撮映画”といえるものをたくさん作りながらも、時代に見捨てられていった実在の魔術師メリエス、それぞれの物語を巧みに織り交ぜながら、ドキドキワクワクな映画に仕立てあげられている。


 スコセッシがこういうファミリー向けの映画を作るのは、ある意味この人らしくないとも言えるのだが、今回は逆にそれが好い方向に出ている。サシャ・バロン・コーエン扮する脚の悪い警官は、主人公にとっては一番邪魔になる存在なのだが、映画ではこの悪役にまで“花”を持たせているためなのか、殆どの特撮映画は無機質で冷たい感じがするのだが、この映画は一切そういう事が無く、“温かい”映画だった。映画に対する愛情が、とても深く感じられた。僕は公開初日に観たのだが(ここにアップするまでに時間が経ってしまった スミマセン)、観終わってロビーに出るお客さんがみんな笑顔だ。もちろんそれは観た人皆が楽しい時間を共有したからで、こんなに幸福感に包まれる映画も珍しいし、素晴らしい体験である。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2012年3月 3日 (土)

第35回日本アカデミー賞速報

第35回日本アカデミー賞が発表された。主な受賞者および受賞作は次のとおり。

▼最優秀作品賞…「八日目の蝉」
▼最優秀アニメーション賞…「コクリコ坂から」
▼最優秀監督賞…成島 出「八日目の蝉」
▼最優秀主演男優賞…原田 芳雄「大鹿村騒動記」
▼最優秀主演女優賞…井上 真央「八日目の蝉」
▼最優秀助演男優賞…でんでん「冷たい熱帯魚」
▼最優秀助演女優賞…永作 博美「八日目の蝉」
▼新人俳優賞…上地 雄輔「漫才ギャング」、高良 健吾「軽蔑」、長谷川博巳「セカンドバージン」、野見 隆明「さや侍」、熊田 聖亜「さや侍」、渡邉このみ「八日目の蝉」、桜庭ななみ「サマーウォーズ」「最後の忠臣蔵」
▼最優秀外国映画賞…「英国王のスピーチ」(ギャガ配給)
▼話題賞…[俳優部門]前田 敦子「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」[作品部門]「モテキ」

※話題賞のみ、ニッポン放送「オールナイトニッポン」リスナーの投票で決定。


 ちょっと寂しい話だが、去年の松竹配給の中では邦画の実写映画で唯一のヒットとなった「八日目の蝉」が作品賞ほか10部門で受賞の快挙。このところ松竹映画は興行的には不振続きで、他のメジャー配給会社である東宝や東映に、収益の面で大差を付けられていたのだが、関係者はこれで大いに溜飲を下げたに違いない。もうちょっと混戦になるかと思ったが、結構一方的な結果になった。僕はこの映画は観ていないので、「最後の忠臣蔵」が絡んでほしいなと思っていたが、この映画の公開は一昨年の暮れである。賞の選考まで期間が空き過ぎたのが不利となったか。

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2012年3月 1日 (木)

ヤング≒アダルト

ヤング≒アダルト
劇場:TOHOシネマズ梅田
監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コーディ(「JUNO/ジュノ」)
出演:シャーリーズ・セロン、パトリック・ウィルソン、パットン・オズワルト、エリザベス・リーサー、コレット・ウォルフ 他


 《大人になりきれない大人の、人生見つめ直し物語》


 シャーリーズ・セロンがイタいアラフォーを演じるヒューマン・ドラマ。


 美しくて才能もあるのに、やることなすことが、とんでもない。とてもじゃないが30代の、いい年こいた大人の女性とは思えない。そう、彼女の心はティーンの頃のまま。


 ミネアポリスに住むメイビス(シャーリーズ・セロン)は、自称作家、でも実はゴーストライターで、37歳にしてバツイチで彼氏ナシ。心の友はアルコールで、唯一の理解者は愛犬のポメラニアン。執筆中のヤングアダルト(少女向け)小説シリーズは人気凋落で終了間近、でも新作の予定もナシ。見栄っぱりな彼女には、「自分が思う現実」と「他人から見た事実」の間に落差があった。そんなメイビスが、ひょんな事から妻子のいる高校時代の元カレ・バディ(パトリック・ウィルソン)とヨリを戻すために帰郷し、大騒動を巻き起こす。


 果たして、真実から逃れられなくなったメイビスが、たどり着いた境地とは?


 タイトルの“ヤングアダルト”とは一般的には少女向けの小説を意味するもので、日本ではジュブナイル小説などと呼ばれるものがこれに当たるのだが、もう1つの意味として、思春期から20歳前迄の、“周囲から大人と認められない時期”のことも指す。映画のタイトルにはこの2つの意味が掛け合わせてあるのだ。映画の主人公は37歳のリッパな大人だが、周囲に対して起こす行動が短絡的で子供っぽい。しかもちょっとタカビーで“イヤな女”である。


 ところがそんなキャラクターを演じるシャーリーズ・セロンが実に上手い。1.5リットルのペットボトルのコーラを一気飲みしてゲップするとか、本人のイメージとは正反対のダメ女キャラを気持ち良く演じている。最初はイヤな女に見えていても、話が進むうちにだんだん応援したくなってしまう。ディアブロ・コーディの脚本としては「JUNO/ジュノ」に比べるとあまり良くないのだが、これは僕のような男性よりもやはりタイトルどおり女性向けの映画。主人公と同世代くらいの女性なら共感できる部分はたくさんあるだろう。


私の評価…☆☆☆

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