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2012年5月

2012年5月30日 (水)

メン・イン・ブラック3 in 3D

メン・イン・ブラック3 in <br />
 3D
メン・イン・ブラック3 in <br />
 3D
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:バリー・ソネンフェルド
音楽:ダニー・エルフマン
出演(吹替版声優):ウィル・スミス(江原正士)、トミー・リー・ジョーンズ(谷口節)、ジョシュ・ブローリン(谷口節)、エマ・トンプソン(高島雅羅)、アリス・イヴ(北西純子)、ジェマイン・クレメント(中田譲治)、マイケル・スタールバーグ(三ツ矢雄二)、ニコール・シャージンガー(東條加那子)、デヴィッド・ラッシュ(糸博) 他

〔カメオ出演〕レディー・ガガ、ジャスティン・ビーバー、ティム・バートン


 《前作までのバカバカしさは控えめに》


 人気シリーズ、10年ぶりまさかの続編。


 地球上のエイリアンを監視する極秘組織「MIB」のエージェント「J」(ウィル・スミス)と「K」(トミー・リー・ジョーンズ)のコンビは、今日も奇想天外なエイリアンの暴走を阻止すべく奔走していた。ある日、「J」は単独で事件を追う「K」を不審に思い、その真相を問い詰めるも全く取り合ってもらえない。翌日、不信感を募らせた「J」は「K」を探すが、どこを探しても「K」の姿がない。さらにMIBの上司(エマ・トンプソン)からは、「Kは40年前に亡くなった」という理解不能な発言が飛び出す。混乱する「J」。何者かが過去を書き換えたのか?


 そして、時を同じくしてエイリアンの侵略が一斉に始まり、地球は未曾有の危機に陥る…。


 果たして「K」の身に何が起こったのか? そして、黒幕は一体誰なのか? 全ての謎を解き明かし、地球の危機を救うため、「J」は40年前の世界にタイムスリップを試みる…。


 これは前作までを好きか嫌いかで評価が分かれる映画だと思う。というのも、今作は“なぜ、「K」は「J」に対して仏頂面なのか?”という、その理由が「K」の過去に、「J」が密接的に関わる形で描かれるために、前作までのおバカなノリが影を潜め、結構まともに作られているからだ。人間ドラマ重視のためか、敵キャラのエイリアンもおツムが悪く、あまり強くない。


 脚本段階でキャラクターも整理されたのか、その他のエイリアンキャラも、さほど多くないため、やはり前作までと比べると、どうしても地味に見える。


 とはいえ、このシリーズのお楽しみの1つである、有名人のカメオ出演は今回もあり、レディー・ガガなどが、映画の中で一瞬だけ出ていたり、あと、さすがに10年も経てば出られないだろうと思っていたシリーズの人気者、エージェント「F」ことパグ犬フランクが、思ってもいなかった形で“出演”していたりと、シリーズならではの楽しみ方は、ちゃんとできるように作られていた。


 ただ、あのような感動的なクライマックスだと、1作目での2人の出会いが茶番のようになってしまう。後付けだから仕方ないかもしれないが、そのあたりは複雑な思いに駆られた人も、少なくないだろう。


私の評価…☆☆☆★

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2012年5月29日 (火)

フェイシズ(2011)

フェイシズ(2011)
劇場:シネ・リーブル梅田
監督・脚本:ジュリアン・マニア
製作総指揮:ミラ・ジョヴォヴィッチ
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジュリアン・マクマホン、サラ・ウェイン・キャリーズ、マイケル・シャンクス、デビッド・アトラクチ、セバスチャン・ロバーツ、マリアンヌ・フェイスフル 他


 《“強い女”なイメージの女優が演じる“弱い女”》


 相貌失認―それは、脳への外傷性あるいは精神的ショックにより、顔の判別がつかなくなる症状。殺人現場に偶然居合わせ、犯人に襲われた挙げ句、逃れようとした際に頭頂部を強打、相貌失認となり顔の判別がつかなくなった上に、その犯人に付け狙われる恐怖を描く。ちなみに1968年にも同名邦題のジョン・カサヴェテス監督による映画が製作されているが、全く別物である。


 女性ばかりを狙った5件の殺人事件。殺しては死姦し、泣く… シリアルキラーの名は“涙のジャック”。手がかりは無い。そして起きた6件目の犯行。恋人と順風満帆な生活を送っていた小学校の女性教師アンナ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、はからずもその目撃者となってしまう。“涙のジャック”に追いかけれ川に落ち、それでも一命を取り留めるが、目撃したはずの犯人の顔が思い出せない。アンナは橋から落ちた時に頭を打ち、そのショックで人の顔が判別できない(=相貌失認)ようになってしまっていた。


 アンナは必死に記憶を呼び起こそうとするも、捜査は一向に進まない。家族や恋人の顔さえわからなくなったアンナに忍び寄る“涙のジャック”の影…。そして、アンナの身の回りで7人目、8人目と被害者が続出していく…。


 実際にある“相貌失認”という症状に着目して、映画の題材にしたのはいいアイデアだが、それを生かしきれているかというと、少々疑問だ。


 相貌失認という症状は実際にあるものの、症例自体が極端に少なく、当然個人差もあるため、まだその実態が解明しきれていないのである。映画の題材として持ち込むのは、勿論ありだが、描き方はそれなりに慎重でなければならない。映画では、徐々にある程度判別できていくような描かれ方がされているが、時間経過を表すショットが殆ど無いため、かなり不自然な感じがする。


 やがて主人公は、対象物の身体的特徴で判別をつけていくことができるようになるが、口のまわりについた血糊が髭のように見えて、敵か味方かの判別ができるという描写はちょっと強引すぎる。


 ただ、主人公が今、見た相手からちょっと目を離して、すぐまた同じ相手を見た時にコロコロと相手の顔が変わる演出は、別の役者を使っているのかCGなのかはわからないが、映画を観ているこっちまで意図的に混乱させる斬新な手法なので、見方を変えれば結構面白い。ミラが恐怖に怯える些かオーバー気味の演技も、こういった主人公目線の映像を見せられれば、もし自分がそうなったら同じ反応をみせるだろうなと思えてくる。


 時間的な都合だったのか、ラストが端折り過ぎているのも残念。そりゃまぁ少しは希望を持たせるべきなのだろうが、かなり強引な話の持っていき方には唖然とした。全体的に見せ方が粗い映画。


私の評価…☆☆☆

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2012年5月26日 (土)

ダーク・シャドウ

ダーク・シャドウ
ダーク・シャドウ
劇場:MOVIX京都
監督:ティム・バートン
音楽:ダニー・エルフマン
出演(吹替版声優):ジョニー・デップ(平田広明)、エヴァ・グリーン(深見梨加)、ベラ・ヒースコート(本名陽子)、ミシェル・ファイファー(高島雅羅)、クロエ・グレース・モレッツ(白石涼子)、ガリー・マクグラス(矢島晶子)、ヘレナ・ボナム=カーター(高乃麗)、ジョニー・リー・ミラー(清水明彦)、ジャッキー・アール・ヘイリー(佐々木睦)、レイ・シャーリー(台詞なしのため吹き替え無し)、イヴァン・ケイ(楠見尚己)、クリストファー・リー(家弓家正)、アリス・クーパー(本人役・歌唱のみのため吹き替え無し)、ジョナサン・フリッド、ララ・パーカー、デヴィッド・セルビー、キャスリン・リー・スコット〔以上4名はTV版オリジナルシリーズの俳優で今回カメオ出演している〕 他


 《フランスの美人女優・エヴァ・グリーンの怪演に注目!》


 ティム・バートン監督と、主演のジョニー・デップが、8度目のタッグを組んだ映画。


 時は1750年。ジョシュアとナオミのコリンズ夫妻は幼い息子バーナバスを連れて、アメリカに新天地を求めて、英国から船出をする。メイン州の港についた彼らは、町の名も「コリンズポート」となるほどに水産業で成功を収める。20年後、成長してコリンズ家の屋敷「コリンウッド」の主となったバーナバス・コリンズ(ジョニー・デップ)は、膨大な資産と権力を受け継いでいるうえに、根っからのプレイボーイでやりたい放題。だが、ジョゼット・デュプレ(ベラ・ヒースコート)と恋に落ちたため、関係を持っていた召使のアンジェリーク・ブシャール(エヴァ・グリーン)を捨てたことが恐ろしい結果を招いてしまう。実は名実ともに魔女だったアンジェリークは、バーナバスを死よりも残酷な運命に陥れる。彼女は彼をヴァンパイアへ変異させ、埋めてしまうのだ。それも生きたまま…。


 それから200年程が経ち、バーナバスは偶然に掘り起こされて、とんでもなく変わってしまった1972年に蘇る。そこはバーナバスにとって、まさに見知らぬ世界だったが、世界のほうにとっても、彼は珍客のようなものだった。コリンウッドに戻ったバーナバスは、かつて繁栄の象徴だった一族の屋敷が廃墟のように荒れ果て、落ちぶれた末裔たちは、それぞれ暗い秘密を抱えながらなんとか食いつないでいるような状況であることを知る。


 バーナバスが信頼して正体を明かしたのは、一族の女家長で未亡人エリザベス・コリンズ・ストッダード(ミシェル・ファイファー)だけだったが、彼の奇妙かつ時代錯誤な行動に、屋敷に居ついている精神分析医ジュリア・ホフマン博士(ヘレナ・ボナム=カーター)は疑惑の目を向ける。だが、それが自分にどんな災いをもたらすのか、彼女には知る由もなかった。さて、かつての栄光よ、再び!…とばかりに、家業と家名の復興に乗り出したバーナバスだったが、その前に立ちはだかる者がいた。それは、アンジーという名でしられるコリンズポートの女実業家(エヴァ・グリーン)。そして彼女はバーナバスの古い“知り合い”に驚くほど似ていたのだ…


 コリンウッドで暮らすバーナバスの末裔は、エリザベスの反抗期真っ最中の娘キャロリン・ストッダード(クロエ・グレース・モレッツ)、エリザベスのろくでなしの弟ロジャー・コリンズ(ジョニー・リー・ミラー)、ロジャーの10歳にしては早熟な息子デヴィッド・コリンズ(ガリー・マクグラス)。さらに長年辛抱強く屋敷の手入れをしてきた使用人のウィリー・ルーミス(ジャッキー・アール・ヘイリー)、そしてエリザベスが新たに雇い入れたデヴィッドの家庭教師ヴィクトリア・ウィンタース(ベラ・ヒースコート=2役)もいる。そして不思議なことに、ヴィクトリアは、バーナバスの生涯の恋人ジョゼットにそっくりだった…。


 同じ監督・主演コンビでも、これだけ続くとちょっと新鮮味という点では欠けてくるのだが、ジョニデの顔面白塗りコスプレも、何だか板に付いちゃった感があるし、ブラック・コメディとしてなかなか楽しめる。


 この監督の映画は、結構女優がいろんな意味で“イタい”めにあわされる事が多く、この映画にも出ているミシェル・ファイファーは「バットマン・リターンズ」で、監督の奥さんでもあるヘレナ・ボナム=カーターは「スウィニー・トッド」で、それぞれ映画の中でこっ酷い目にあわされているのだが、今回この2人はおとなしい方だ。


 それでは今回は誰がそんな目にあわされているのか(勿論いい意味で)というと、クロエ・グレース・モレッツとエヴァ・グリーンである。


 まずクロエちゃんは、これまでもビッチなコミック・ヒロイン(「キック・アス」)や女ヴァンパイア(「モールス」)など、現在15歳にしては過激な役柄が多いのだが、本作でも一見普通の人間だが、最後にとんでもない怪人(ヴァンパイアとは人気を二分する、最近ではヴァンパイアの敵として描かれる事が多いあのキャラクター)に変身する。あんなに可愛いコをあんなものに変身させるとは…。ちなみに彼女、この後もしばらくヘンな役が続く。リメイクが決定した「キャリー」の、オリジナル版ではシシー・スペイセクが演じた超能力少女や、タイトル未決定の新作ホラーでは何とゾンビ役(!)等々… ここまできたら女フランケンと半魚人(人魚でもいい)もやってホラーキャラクター全制覇してもらいたい。普通の役も観たいけど(笑)。


 そして、エヴァ・グリーンである。この映画は彼女がいなければ完成し得なかっただろう。元々、「キングダム・オブ・ヘブン」(2005年・リドリー・スコット監督)で初めて見た時から、表現力抜群の女優さんだなとは思っていたが、いやはやここまでやってくれるとは思わなかった。ジョニー・デップとのアクロバティックなラブ・シーンも笑えるが、終盤の壊れっぷりが最高だ。フランスからハリウッドに来て大成した女優はあまりいないと思うが、彼女なら英語も流暢だし、イケるかも。好きな女優が1人増えたかな、こりゃ。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年5月23日 (水)

恋と愛の測り方

恋と愛の測り方
恋と愛の測り方
劇場:MOVIX京都
監督:マッシー・タジェディン
出演:キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントン、エヴァ・メンデス、ギョーム・カネ、ステファニー・ロマノフ、グリフィン・ダン、クリセル・アルメイダ、スコット・アツィット、スティーヴ・アントヌッチ、ダニエル・エリック・ゴールド、レイ・リトケ、シェリル・アン・レイザー 他


 《上手な“二股”の付き合い方?》


 大切なパートナーがいても、もし他に惹かれてしまう異性が現れたら、または忘れられない昔の恋人と再会してしまったら、どうしますか? この映画は、誰もが陥ってしまいそうな恋愛のテーマを丁寧に描いた、お洒落なラブ・ストーリーである。


 ニューヨークに住む結婚3年目の若い夫婦。ある晩、夫のマイケル(サム・ワーシントン)は日頃から惹かれあっている同僚ローラ(エヴァ・メンデス)との出張に行くことに。妻のジョアンナ(キーラ・ナイトレイ)は、夫がローラに惹かれているという疑いを以前から持っており、夫にそれとなく問いかけるが釈然としないまま、2人は離ればなれに。マイケルが誘惑と必死に闘う一方、ジョアンナは偶然、元彼のアレックス(ギョーム・カネ)に出会ってしまい食事をすることに…。


 確かに雰囲気的にはお洒落な話だとは思う。だがこの映画、キャスティングが少しズレていないか? はにかんだ笑顔がとても可愛いキーラ・ナイトレイや、セクシーなエヴァ・メンデスは、いかにも男が惹かれそうなイメージの女優なので分かるが、いい人過ぎるギョーム・カネはまだいいとしても、サム・ワーシントンにこういう恋愛ものは似合わない気がする。勿論、企画当初はこのキャスティングではなかったかもしれないし、サム・ワーシントンといえば「アバター」や「タイタンの戦い」など、どちらかというと男臭いアクション俳優のイメージがあるからかもしれないが、とにかく主演俳優が1人浮いてしまっているように感じる。


 ストーリーも、殆ど起伏がなく、終始平行線のままである。夫と妻それぞれの“二股”が発覚して一悶着あれば、話として面白くなったかもしれないが、お互いが“一線を越えないこと”を条件に、二股を認めあっているような設定では、仕方がないか。


 つまりこの映画はキーラ・ナイトレイかエヴァ・メンデスのファンなら観て楽しめるかもしれないが、それ以外なら、特に観る必要はないかも。僕はキーラ・ナイトレイはどちらかというと好きなので、劇中の彼女のとびっきりの笑顔に星半分加点して↓に。


私の評価…☆☆☆

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2012年5月22日 (火)

テルマエ・ロマエ

テルマエ・ロマエ
テルマエ・ロマエ
劇場:TOHOシネマズ二条
原作:ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」
監督:武内英樹
出演:阿部寛、上戸彩、市村正親、北村一輝、宍戸開、勝矢、竹内力、笹野高史、キムラ緑子、外波山文明、飯沼慧、岩手太郎、木下貴夫、いか八朗、神戸浩、長野克弘、内田春菊、管登未男、森下能幸、蛭子能収、松尾諭、路井恵美子、桜井千寿、小野寺文哉、小野寺慶之 他

声の出演:飯塚昭三、関口厚、笠松伴助、山像かおり、石田圭祐、楠見尚己、城山堅、竹田まどか、松井茜、大原康裕、鍛冶直人、亀田住明、真田五郎、清水明彦、千田美智子、高塚慎太郎、田中宏樹、外山誠二、藤川三郎、藤側宏大、宮崎敦吉、薬丸夏子 他


 《お風呂を通じた古代ローマと現代日本の異文化交流》


 人気コミックを実写映画化。イタリアでの上映も決定した。


 古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、生真面目すぎる性格が時代の変化に合わず、失職してしまう。落ち込む彼は友人に誘われて訪れた公衆浴場で、突然現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまう。そこで出会ったのは漫画家志望の山崎真実(上戸彩)ら「平たい顔族(=日本人)」。日本の風呂文化に衝撃を受けたシリウスは古代ローマに戻って、そのアイデアを使い大きな話題を呼ぶ。タイムスリップを繰り返すルシウスは、浴場技師としての名声をローマで得ていくのだが…。


 原作は未見だが、やっぱり阿部寛はこういうコメディが似合うよなと思った。原作は、ルシウスが古代ローマと現代日本を行ったり来たりするだけらしいのだが、それだけでは映画になり得ないので、映画オリジナルとして上戸彩扮する漫画家志望の女性を登場させている。役名から察する通り原作者を狂言回しとして使っているわけで、この2人を軸に話が進んでいく。


 監督が実写版「のだめカンタービレ」の監督なので、吹き替えの使い方や、面倒臭くなって途中から全部日本語になる手法は似ているなとは思ったが、ストーリーが面白いので、さほど気にすることなく観ることができた。


 ただ、狂言回しである真実が、結構深いところまでストーリーに関わるためか、ラストがああいう締め方になっているということは、原作とは全く違う結末になっているということだ。一応、続編への伏線はたくさん残されているが、もし作るとなれば、どういう形で話が進むのか、楽しみなところではある。


私の評価…☆☆☆☆★

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2012年5月18日 (金)

貞子 3D

貞子 3D
貞子 3D
劇場:TOHOシネマズ二条
原作:鈴木光司「エス」
監督:英勉
出演:石原さとみ、瀬戸康史、橋本愛、高橋努、染谷将太、高良光莉、山本裕則、田山涼成 他


 《続編というより、スピンオフに近い》


 人気ホラー映画シリーズの第5作。ただし、話としては前作までと繋がりが無く、時代設定や世界観が異なる。ストーリーも基本的には貞子のキャラクター設定のみを活かしたオリジナルなので、実質的にはスピンオフといっていい。


 鮎川茜(石原さとみ)が教師を務める女子高で、ある動画が噂となる。それは最初、ニコニコ動画で生放送され、その生放送を見ていた者は全て同じ時刻に死亡し、サイトの管理者も同じく死亡した。放送後に削除されたはずの動画には今もゲリラ的にウェブ上にアップロードされている。そんな中、飛び交う噂に熱中し動画探しに夢中になっていた茜の教え子が、突然謎の死を遂げる。


 本格的に捜査を開始した警察は一連の不審死を一様の自殺と断定するも、ベテラン刑事の小磯(田山涼成)は、死の影に「呪いの動画」が存在することを突き止める。そして捜査線上に、最初に生放送を行った柏田清司(山本裕則)という人物が浮かび上がる。


 茜と茜の恋人の安藤孝則(瀬戸康史)は、同僚・榎木(染谷将太)から「呪いの動画」の詳細を聞かされる。それは動画自体が生きていて、誰かを探しているのだ。そして、「お前じゃない…」という言葉が聞こえると、死を迎えるのだという。孝則は茜と同様に半信半疑だったが、呪いの魔の手は、茜と孝則に迫りつつあった…。


 生っちょろいラブストーリーにホラーというのは、果たして合うのだろうか? この映画は一応人気ホラーシリーズの最新作だが、全っ然怖くない。監督が「ハンサム★スーツ」など、コメディを得意とする人なので、どことなくコメディタッチなのだ。


 日本映画屈指のお化けキャラクター・貞子も、シリーズ初期の頃のインパクトや恐怖感が薄れた。まぁ、これは見慣れてしまったせいもあるが、今回この役をやっているのが、新人モデルの橋本愛ちゃんである。彼女は確かに若くて可愛いのだが、前作「リング0 バースデイ」の時の仲間由紀恵や、TVシリーズでの木村多江のような美しさとは、ちょっと異質な感じがするのだ。


 過去の色々なホラー映画にオマージュを捧げる形で、似たような場面を挿入するのは別に構わないが、やり過ぎはいけない。ダリオ・アルジェント(「フェノミナ」等)や「スパイダーマン」以前のサム・ライミ、ジョージ・A・ロメロの映画にオマージュを捧げた(?)場面がたくさんあり、ファンはそれなりに楽しめるとは思うが、貞子の化身が茜に襲いかかる時に、「学校の怪談」に出てくる“妖怪テケテケ”になるのには、さすがに笑ってしまった。


 結局コメディ映画が得意な監督はホラー映画を撮っても、本格的な恐怖映画にはなり得ない。アメリカの人気ホラーシリーズが、回を追う毎にコメディっぽくなっていったように、このシリーズも同じ道を辿るのか。一世を風靡した“Jホラー”も、そろそろ曲がり角に来ているのかもしれない。


私の評価…☆☆★

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2012年5月16日 (水)

幸せの教室

幸せの教室
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:トム・ハンクス
出演:トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、セドリック・ジ・エンターテイナー、タラジ・P・ヘンソン、ググ・バサ=ロー、ウィルマー・バルデラマ、ブライアン・クランストン、パム・グリア、ラミ・マレック、マリア・カナルス=バレッラ、リタ・ウィルソン、ジョージ・タケイ、サイ・リチャードソン、デイル・ダイ、イアン・ゴメス、マルコム・バレット、ニア・ヴァルダロス、ジョン・セダ 他


 《トム・ハンクス自身の経験から生まれた映画》


 トム・ハンクスが監督として評価を得た「すべてをあなたに」(1996年)以来、15年ぶりにメガホンをとったハートフル・コメディ。共同製作・共同脚本にも名を連ねている。


 学歴を理由に巨大スーパーをリストラされたラリー・クラウン(トム・ハンクス)は、再就職のためのスキルを身につけようと、短期大学に入学する。その大学でスピーチを教えるメルセデス・テイノー(ジュリア・ロバーツ)は、結婚生活の破綻からアルコールに走り、教師としての情熱を見失っていた…。初めてのキャンパスで年齢も境遇も違う様々な人々と出会い、充実した毎日を送り始めるラリー。そんなラリーとの交流を通して、自分と向き合い始めるメルセデス。果たして2人はこの教室で、幸せな未来を見つけることができるのか…?


 この映画は、トム・ハンクス自身が短期大学に通った経験から着想を得たという。ここに出てくるコミュニティ・カレッジとは、アメリカの大学システムの1つで18歳以上であれば、誰でも入学できる。入学試験は無いが、学生は目的を持ってクラスを選び単位を取得する。ラリーは経済学とスピーチクラスを選び、リストラ後の再就職に役立てようという考えだ。今の時代、主人公と同じ境遇に立たされている人も多いだろうが、これはそういった人たちへの応援歌のように思える。


 主人公のような超プラス志向の人間などそうはいないが、逆にそういった人がいるから、周りが感化されて、どんどん良い方向に向かっていくのも事実。映画の中では年の離れた学生たちとも順応し、やる気を失ったアル中女性教師をも再起させる。


 トム・ハンクスとジュリア・ロバーツは以前、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」で共演しており、今回も息の合ったコンビネーションをみせている。ちなみにトム・ハンクスといえば、最近は結構真面目な作品にも出ているが、元々はTV番組「サタデーナイトライブ」出身のコメディアン。本作にもクスッと笑わせる場面が随所にあり、派手ではないが爽やかな余韻を残す、気持ちのいい映画になった。


私の評価…☆☆☆★

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2012年5月13日 (日)

Black & White

Black&White
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:マックG
出演(吹替版声優):リース・ウィザースプーン(松本梨香)、クリス・パイン(神奈延年)、トム・ハーディ(鶴岡聡)、ティル・シュヴァイガー(てらそままさき)、チェルシー・ハンドラー(深見梨加)、アビゲイル・スペンサー(木下紗華)、ジョン・ポール・ラッタン、アンジェラ・バセット、ローズマリー・ハリス 他


 《これは刑事ドラマ? それともラブコメ?》


 2人のCIA捜査官による恋の鞘当て。


 アメリカ中央情報局(CIA)の凄腕コンビ、FDR(クリス・パイン)とタック(トム・ハーディ)は、闇商人の取引現場ん押える極秘任務でターゲットを逃走させてしまい、謹慎処分になってしまう。暇を余していたタックはローレン(リース・ウィザースプーン)という女性とデートをすることに。


 一方、FDRはレンタルビデオ店でナンパ。思い通りにならない美女の登場に夢中になってしまう。だがなんと、その女性はローレンだった。


 紳士的なタックとロマンチストなFDR、ローレンの心は揺れ動き、ついに二股をかけてしまう。ところが、とある出来事でFDRとタックはお互いの恋人が同一人物だと分かってしまう。ローレンを我がものにするべく、それぞれ「重要任務」と偽って精鋭チームを招集。2人がCIAの諜報部員だと知る由もないローレンの影で、宿命のライバルは史上最大の恋の戦争バトルをおっぱじめようとしていたが…。


 監督が映画版「チャーリーズ・エンジェル」シリーズのマックGなので、軽いタッチの映画にはなっているが、華麗なアクションを見せたかと思えば、中盤は悪者そっちのけで、ヒロインを奪い合うラブコメ展開になってしまう。クライマックスになってようやくその悪者がヒロインを巻き込んで、面白くなるのかと思ったら、あっけない幕切れに。


 う〜ん、何だかアクション部分もコメディ部分も、勢いだけはあるのだが、どっちも中途半端。コメディ部分はヒロイン役がリース・ウィザースプーンだから何とか保っている感じだが、もう少し早く事件に巻き込まれる展開にしたほうが、面白くなったと思う。「キューティ・ブロンド」シリーズ等で“コメディの女王”と呼ばれた彼女も、少し薹(とう)が立ってきた。


 それでもリースはまだまだキュートだから、良い方だ。問題はそれを奪い合う男2人。元々この役はクリス・パインとトム・ハーディではなく、出演作目白押しのサム・ワーシントンとブラッドレイ・クーパーかセス・ローゲンが予定されていた。ところが3人ともオファーを断ったため、クリス・パインとトム・ハーディに回ってきたのだ。つまり当初のキャスティングよりちょっとだけ若くなっているのだが、その分リースとの釣り合いが取れなくなってしまった感がある。


 前にも書いた事だが、複数のキャスティングが二転三転した映画は、大概その組み合わせが合わず、コケてしまう場合が多い(もちろん奇跡的に成功する場合もあるが)。この映画も最初のキャスティングどおりなら、そこそこ形になったとは思う。


 邦題も問題。原題は「This Means War」で“これは戦争だ”という、こちらもワケの分からん意味になるのだが(笑)、邦題も何だかなぁという感じだ。2人の役割が“凸凹コンビ”だとか、性格が正反対というなら、意味的に通じるかもしれないが、映画を観ている限りでは、そんな感じは一つも無い。苦しみ紛れに付けたものなのだろう。もうちょっといいタイトルは無かったのかな。


私の評価…☆☆

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2012年5月10日 (木)

劇場版名探偵コナン 11人目のストライカー

名探偵コナン  11<br />
 人目の
名探偵コナン  11<br />
 人目の
監督:静野孔文
総監督:山本泰一郎
声の出演:江戸川コナン…高山みなみ、毛利蘭…山崎和佳奈、毛利小五郎…小山力也、工藤新一…山口勝平、鈴木園子…松井菜桜子、阿笠博士…緒方賢一、灰原哀…林原めぐみ、吉田歩美…岩居由希子、円谷光彦…大谷育江、小嶋元太&高木渉…高木渉、目暮十三…茶風林、白鳥任三郎…井上和彦、佐藤美和子…湯屋敦子、千葉刑事…千葉一伸、山村ミサオ…古川登志夫、赤木英雄…辻谷耕史、比護隆佑…櫻井孝宏、榎本梓…榎本充希子、山森慎三…千葉繁、中岡一雅…東地宏樹、榊良輔…中村大樹、本浦圭一郎…井上倫宏、真田貴大…吉野裕行、松崎幸司…稲葉実、本浦知史…雪野五月 他

ゲスト声優:桐谷美玲(日売新聞カメラマン・香田薫役)、足立梨花(レポーター役・本人は女優であり現Jリーグ特命PR部女子マネージャー)、宮根誠司、三浦和良、遠藤保仁、楢崎正剛、中村憲剛、今野泰幸(以上、本人役)


 《アクションを重点においた快作》


 GW恒例の人気TVアニメの劇場版シリーズ最新作。今回は“Jリーグ発足20周年”を兼ねたイベントムービーでもある。


 毛利探偵事務所に突然かかってきた脅迫電話。小五郎の目の前で路上の自動車が爆発する。「青い少年と青いシマウマ、上からの雨…」謎の暗号を解読すれば、次の爆破は止められる。犯人からの挑戦に応え小五郎と蘭は、米花市内を駆け回るが、一向に手がかりは見つからない。一方、その時、江戸川コナンは、灰原や少年探偵団たちとともに大好きなサッカー観戦を楽しんでいた。ライバルのガンバ大阪を相手に大活躍の東京スピリッツ。試合も佳境に入ったその時かかってきた蘭からの電話でコナンは脅迫電話のことを知る。独りその場でコナンは暗号解読に乗り出すが、誰にも止めることが出来ない恐るべき真実を知る…。


 前回の劇場版から監督が変わり、それまでとは少し違った趣になってきているが、今回もこれまでと比べ、よりアクションが多く、見応えのあるものになっている。今回は前述のようにイベントムービーでもあるので、謎解きというよりはサッカーの試合に「ブラックサンデー」のような大がかりなパニックシーンを絡めたという印象が強い。


 そして監督が変われば演出も若干変わってくる。前作よりも今作の方がそれは如実に出ていて、作品のイメージを変えない程度の変わりようというものは、うまく見せれば新鮮なもの。例えば、これまでは必ずといっていいほど蘭が事件に巻き込まれ、命をも狙われるというところをコナンが助ける… ということがほとんど“お約束”として描かれていたが、本作に於いてはストーリーの都合上か、蘭や園子が窮地にたたされる場面は無い。逆にコナンがピンチに陥るも、誰も手が出せないという、緊迫感を煽る場面が多くあり、そういったビジュアル面でチビッ子たちを楽しませてくれる。


 そして大人の方はビジュアル面よりもストーリーの方で楽しませるという趣向になっている。実は最近のディズニーや、ドリームワークスのアニメにこの傾向があり、「ティンカーベル」シリーズや、「シュレック4」には、リーマン・ショック後のアメリカ社会が裏テーマとして描かれていて、大人はそちらの面で心を動かされた結果がヒットに結び付いているのだが、この「コナン」の場合、そこまでの深いテーマは無いものの、ストーリー自体は完全に大人向け刑事ドラマにシフトしても(つまりそのまま「相棒」シリーズ等に転用しても)問題なく観られるものだと思う。特に、脚本家が一番強調して言いたい事であろう、クライマックスで真犯人に対して言うコナンのセリフに、サッカーファンだけでなく、大人ならグッとくるものがあるはずだ。


 ちなみにそのセリフはとても子供が言えるセリフではなく、高校生でも言える奴は少ないと思うのだが(笑)。年齢設定が変わらないキャラクターでも、やっぱり年月が経つと少しは成長するんですかね(笑)。鑑賞した皆さんはどう感じましたか? 本編後にはお馴染みの“来年の予告”も登場。来年は豪華客船が舞台なのかな…?


私の評価…☆☆☆☆★

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2012年5月 8日 (火)

タイタンの逆襲 3D

タイタンの逆襲 3D
劇場:T・ジョイ京都
監督:ジョナサン・リーベスマン
出演(吹替版声優):サム・ワーシントン(藤真秀)、リーアム・ニーソン(津嘉山正種)、レイフ・ファインズ(土師孝也)、ダニー・ヒューストン(辻親八)、エドガー・ラミレス(土田大)、ビル・ナイ(大塚周夫)、トビー・ケベル(落合弘治)、ロザムンド・パイク(林真里花) 他


 《前作以上に中身の無い映画》


 2010年に製作されたリメイク版「タイタンの戦い」の続編。1962年にも同じ神話を基に同名邦題の映画が公開されていたようだが、全くの別物である。


 神々の力が弱まったことで、「冥界」に封印されていた巨神クロノスの覚醒が始まり、地上にも異変が起こり始めた。続々と出現する魔物たちに逃げ惑う人々。クロノスが完全復活を遂げる時、人類は滅亡し、世界は終焉を迎える。勝ち目のないこの戦いに立ち上がったのは、「人の心」と「神の力」を併せ持つ男ペルセウス。愛する息子を守るため、囚われた父ゼウスを救うため、仲間とともにクロノスの眠る「タルタロスの牢獄」を目指す。そこは、人類がまだ足を踏み入れたことのない禁断の地。未知なる脅威と衝撃を秘めて今、「冥界」で戦いが始まる。


 ストップモーション・アニメの技法を使ったレイ・ハリーハウゼンの傑作「タイタンの戦い」(1981年)を僕はビデオで観たことがあるのだが、それをリメイクした前作は確かによくできてはいるものの、オリジナル版に遠く及ばない映画だった。これはそのリメイク版の続編。オリジナル版に続編は無いので、今度はこっちが“オリジナル”となる。


 今回もまた魔物との戦いに重点がおかれるわけだが、その魔物がキメラにしろクロノスにしろ、とにかくデカい(笑)。あれだけデカいとさすがにスクリーン映えするので映画として観ると迫力は十分なのだが、動きが単調に見えてしまう故か、戦いの面では面白みが無く、何故か今回のラスボス的存在なはずのクロノスが、出番が少ないうえ、あっけなく倒されてしまう展開にはガッカリした。


 ドラマとしても、何をどう描きたいのかサッパリ分からない。魔物退治にお供として、あまり関係ないのについていくアンドロメダ王女の動機が不明瞭だし、たいして役にたってないどころか、迷路の場面では足手纏いになっている。演じるロザムンド・パイクは「ダイ・アナザー・デイ」の悪役ボンド・アクトレスだが、何だか普通のおばさんぽくなっちゃって、イマイチ魅力的ではない。啀み合っていたゼウスとハデスが、急に打ち解け合ってクロノス退治に共闘するのも、なんだかなぁというような感じだ。


 魔物の造形自体は前作同様、ハリーハウゼンの作品を踏襲しているので、こちらについては文句は無いが、それならばオリジナル版「タイタンの戦い」のような面白い映画を作ってほしかった。


私の評価…☆

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2012年5月 6日 (日)

【未体験の映画たち2012 】キリング・フィールズ 失踪地帯

【未体験の映画たち2012<br />
 】キリン
劇場:テアトル梅田(当初1週間限定の予定のところ好評につき続映中 京都はみなみ会館で5/26より上映)
監督:アミ・カナーン・マン
製作:マイケル・マン
出演:サム・ワーシントン、クロエ・グレース・モレッツ、ジェフリー・ディーン・モーガン、ジェシカ・チャスティン、ジェイソン・クラーク、アナベス・ギッシュ、シェリル・リー、スティーヴン・グレアム 他


 《実在する犯罪多発地域でおきた実話》


 テキサス州に実在する犯罪多発地域(キリング・フィールズ)を舞台に、実際にあった複数の事件を基に映像化。「コラテラル」等のベテラン監督マイケル・マンが製作を担当し、彼の娘であるアミ・カナーン・マンが監督したクライム・サスペンス。


 マイク(サム・ワーシントン)はテキサス州にある田舎町の殺人課の刑事。少々荒っぽい性格である彼の相棒は、ニューヨークから転属してきたブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)。少女失踪事件を捜査中の2人だったが、未だ有力な手がかりが掴めていない状況だった、そんな彼らを嘲笑うかのように、次々と少女たちを狙った新たな事件が発生する。さらにブライアンが気にかけ面倒を見ていた心に傷を持つ少女、アン(クロエ・グレース・モレッツ)が事件に巻き込まれる。なんとかアンを救い出そうとするブライアンだったが…。


 都会から少し離れた田舎町という場所は、都会と違って少し寂れ、時としてその荒廃した雰囲気が、独特の恐怖感を醸し出す場合があり、特にテキサスという場所は、西部劇の舞台になる一方で、「テキサス・チェーンソー」などホラー映画のロケにも使われるなど、どこか不気味な雰囲気がある。


 そういった場所には、必ず人の目が行き届かない、いわば“闇”の部分があり、それがここの場所における“犯罪多発地域”なのである。ちなみに昔「キリング・フィールド」という映画があったが、あちらは同じ実話でもカンボジア内戦におけるクメール・ルージュ(一般的にポル・ポト派と呼ばれる)による大量虐殺を描いたものであり、本作とは無関係だ。


 最初から最後まで救いようがないくらい暗い話で、クロエ・グレース・モレッツ他、役者たちも演じる上でテンションを上げるのに大変だったそうだが、それでも最後までしっかりと観られる映画になったのは、「コラテラル」等、社会派で硬派な映画を撮り続けるマイケル・マンだからか。監督を実の娘に譲った事によって、クロエ・グレース・モレッツ扮する被害者女性の目線にたって表現することにも成功している。


 残念なことに、「アバター」のサム・ワーシントン、「ヒューゴの不思議な発明」のクロエ・グレース・モレッツという若手人気俳優が出ているにもかかわらず、日本では公開劇場数が少ない。作品の内容は確かに暗いし、万人向けでは無いが、決してつまらない映画ではないだけに、もうちょっと皆の目に触れる機会があってもいいのではないかと思うのだが。やはりこのての映画はスクリーンにかけにくいのかな?


私の評価…☆☆☆☆

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2012年5月 2日 (水)

ジョン・カーター 3D

ジョン・カーター3D
ジョン・カーター3D
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:アンドリュー・スタントン
出演(吹替版声優):テイラー・キッチュ(宮内敦士)、リン・コリンズ(林真里花)、サマンサ・モートン(東條加那子)、マーク・ストロング(藤真秀)、キーラン・ハインズ(楠見尚己)、ドミニク・ウェスト(咲野俊介)、ジェームズ・ピュアフォイ(坂詰貴之)、ダリル・サバラ(中山優馬)、ポリ・ウォーカー(定岡小百合)、ブライアン・クランス(金尾哲夫)、トーマス・ヘイデン・チャーチ(関貴昭)、ウィレム・デフォー(石井康嗣)、ジョン・ファヴロー〔カメオ出演〕 他


 《ウォルト・ディズニー生誕110年記念作としては、陳腐》


 本作は「ターザン」で有名なエドガー・ライス・バローズによる古典SF小説「火星のプリンセス」を原作とする映画である。


 1881年のニューヨーク。ジョン・カーターという名の大富豪が謎の失踪を遂げる。愛する妻と娘を失って以来、他人との付き合いを絶ってきた彼は、甥のエドガー・ライス・バローズに一冊の日記を残す。そこには想像を絶する彼の体験談が記されていた。


 生きる意味を失っていたジョンは、ある不思議な現象によって未知なる惑星「バルスーム」に迷い込む。地球を凌駕する高度な文明を持ったこの星は、全宇宙を支配しつつある「マタイ・シャン」によって滅亡の危機に瀕していた。バルスームの民たちと心を通わせるカーターだったが、かつて妻と娘を救うことができなかった無力感が、彼らと共に戦うことを躊躇させていた。だが、マタイ・シャンの無慈悲な攻撃に晒されるバルスームの惨状が、彼の中に新たな感情を芽生えさせる。それは、愛する者を二度と失いたくないという強い思いだった。


 果たしてジョン・カーターと惑星バルスームの運命は? そして、なぜ彼はエドガーに日記を残したのか?


 奇しくも、「バトルシップ」と同じテイラー・キッチュ主演作が同日公開となったが、おバカに撤してそこそこ面白かった「バトルシップ」に対して、こちらはどこか中途半端な感じがした。


 もちろん原作にはほぼ忠実な映像化なのだろうが、お話自体はSFとしてはオーソドックスなものであり、“記念作”と銘打つ程の大作感は無い。「スター・ウォーズ」や「アバター」等が、この原作の影響を受けているようだが、この映画を観た限りでは、むしろ影響を受けた映画のほうが面白いんじゃないの? と思えるほどだ。


 一応、映画は題名通りジョン・カーターが主役なのだろうけど、原作のタイトルは「火星のプリンセス」なのだから、女戦士で王女様のヒロインがメインなはずで、ヒーローとヒロインが対等に描かれていれば、それなりに観られる映画になっていたかもしれないが、少々オツムの足りないヒーローと、カッコいいお姫さまでは、どこかアンバランスだ。この映画、海外マーケットではそこそこヒットしているものの、本国や北米では大コケした。奇をてらった演出は無いが、逆にいえば平凡すぎるのであろう。


 ちなみにアンドリュー・スタントン監督といえば、「ファインディング・ニモ」や「ウォーリー」など、ディズニー&ピクサー製作アニメの名手である。同じディズニー&ピクサーアニメ出身で、実写映画を監督している人といえば、「レミーのおいしいレストラン」のブラット・バード監督が「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を監督し大成功を収めたが、アンドリュー・スタントン監督は気負いすぎたのか(?)、うまくいかなかったようである。


私の評価…☆☆★

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2012年5月 1日 (火)

アーティスト

アーティスト
アーティスト
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ミシェル・アザナヴィシウス
出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、アギー(犬)、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル、ミッシー・パイル、ペネロープ・アン・ミラー、マルコム・マクダウェル、ビッツィー・トゥロック、ベス・グラント、エド・ローター、ジェン・リリー、ニーナ・シマーシュコ、ジュエル・シェパード、ベイジル・ホフマン、ベン・カーランド、ケン・ディヴィシャン 他


 《CG全盛の時代に鮮やかに甦った無声映画》


 今年度の米アカデミー賞で、作品賞等を競った「ヒューゴの不思議な発明」同様、映画“愛”に満ち溢れた作品。当初からサイレント(無声)映画として企画されたものではあるが、映像は撮影時はカラーで撮られており、後に映像から色差(カラー)信号を抜く形でモノクロへと変更されたようである。


 1927年、アメリカ・ハリウッド。サイレント映画界きっての大スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は、共演した愛犬と共に新作の舞台挨拶で拍手喝采を浴びていた。映画館の前も大混乱で、若い女性ファンがジョージを突き飛ばしてしまう。しかし優しく微笑むジョージに感動した彼女は、大胆にも憧れのスターにキスをする。


 翌日の新聞の一面を飾ったこのキス写真に、不機嫌なのはジョージの妻(ペネロープ・アン・ミラー)。写真の彼女の名前はペピー・ミラー(ベレニス・ベジョ)といい、未来のスターを目指す新人女優だった。オーディションを受けに映画会社「キノグラフ」にやってきた彼女は、愛らしい笑顔とキュートなダンスで、ジョージ主演作のエキストラ役を獲得。撮影後、楽屋を訪ねてきたペピーにジョージは、「女優を目指すのなら目立つ特徴がないと」と、アイライナーで唇の上にほくろをつける。その日を境に、ペピーの快進撃が始まった。踊り子、メイド、名前のある役、そして遂にはヒロインに。その口元にはいつもチャーミングなほくろが描かれていた…。


 2年後、映画界にセリフのあるトーキー映画が登場。サイレント映画こそ芸術、自分は芸術家だと主張し過去の栄光に固執するジョージは、キノグラフ社のジマー社長(ジョン・グッドマン)と決別するが、数か月後、自ら監督と主演を務めたサイレント映画は大コケ。心配したペピーがジョージを訪ねるも、心を閉ざしたジョージは彼女を追い返すのだった…。


 それから1年。ペピーはトーキー映画の新進スターとして大人気を誇っていた。一方、妻に追い出されたジョージは、献身的な運転手クリフトン(ジェームズ・クロムウェル)の給料すら払えなくなり、彼を解雇、オークションで自らの成功の思い出の品々を売り払わざるをえなくなる。それを知ったペピーは、こっそりと全てを買い取りジョージの孤独な背中に涙するが、時代は容赦なく2人を引き裂くのだった。酒に溺れる毎日を送るジョージは、自分に絶望し、唯一の財産であるフィルムに火を放つ。愛犬アギーの活躍で救出されたジョージのもとへ駆けつけたのは、変わらぬ愛を抱くペピーだった。ジョージは絶望の淵を彷徨うが、ペピーには希望があった。彼女には「銀幕のスター」ジョージを復活させる、ある“名案”があったのだ…。


 この映画の舞台となっているのは1920年代の後半。というわけで、この映画自体もその時代に合わせて、当時のスクリーンサイズである、今はもう滅多にお目にかからないスタンダードサイズ(縦横比1:1.37 サイレント映画時代のスクリーンサイズは1:1.33だがそれは恐らく今は無い)で製作されている。今のシネコンにはスクリーンにこのサイズ設定が無いため、ビスタサイズの左右に黒枠が入る形で上映されている。これだけでも、徹底的なこだわりを持って作られていることが十分にわかる。しかも、カメラにズームレンズを使っていない。これも1920年代当時はまだ無かったからで、この映画を作るために300本もの無声映画を観まくって研究したという監督の、映画への“愛”が見て取れる。


 また、様々な古きよきハリウッド映画にオマージュを捧げているとあって、珠玉の名場面の宝庫である。特に、ジョージに恋するペピーが、彼のタキシードに手を通して恋心を表す場面は、本作の中でも最も印象に残る名場面だ。チャップリンの映画を意識したといわれる音楽も素晴らしい。やはりサイレント映画において音楽というものは、とても重要な役割を示しているというのがよく分かる。


 サイレントからトーキーへ、そして物語上ではある事から落ち目のジョージ(サイレントの象徴)とスターダムに伸し上がったペピー(トーキーの象徴)が再会し、ミュージカル映画の誕生へと持っていく展開には思わず唸ってしまった。いやぁ〜、アメリカの映画人がアカデミー賞に票を入れたのも、わかる気がする。本当に素晴らしい映画だった!


私の評価…☆☆☆☆☆

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