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2012年6月

2012年6月27日 (水)

愛と誠 For Love's Sake

愛と誠 For Love's Sake
愛と誠 For Love's Sake
劇場:TOHOシネマズ二条
原作:梶原一騎・ながやす巧「愛と誠」
監督:三池崇史
脚本:宅間孝行
出演:妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、伊原剛志、前田健、加藤清史郎(太賀誠の幼少期)、一青窈(特別出演)、市村正親 他


 《久々に珍作登場》


 1970年代の名作コミックが、現代に甦る。ただ、そんな前の作品を単純にリメイクやリブートしても面白くないだろうから、三池監督のことだし、直球勝負ではなく変化球でくるだろうなと思っていたら、変化球どころかミラクルボール(←40歳以上の人なら分かるでしょう)並みの豪速球かつ大暴投(笑)であった。


 名家の令嬢・早乙女愛(武井咲)は幼少期、雪山で見知らぬ少年(加藤清史郎)に助けられた。その出来事は、彼女の心に「白馬の騎士との出会い」として、強烈な思い出となり刻み込まれた…。


 11年後の1972年、新宿地下街。愛の前に現われたのは、超不良の太賀誠(妻夫木聡)。それは運命の再会だった。不幸な少年時代の復讐を胸に東京へやって来た誠は不良グループとの殴り合いのケンカの果て、上京早々少年院送りに…。運命の人との再会を果たした愛は、誠を更正させるため、両親(市村正親・一青窈)に頼み込み、名門「青葉台学園」に誠を編入させる。さらにはアパートや学費を用意し、「私は彼を立ち直らせる義務があります!私は誠さんを愛しています」宣言する…。


 愛の献身も虚しく、たちまち青葉台学園を退学処分となった誠は、不良たちの掃き溜めである「花園実業」に転入。愛も誠を追って花園実業へ、さらに一方的な想いで愛を追いかけるメガネ優等生、岩清水弘(斎藤工)も「君のためなら死ねる…!」とばかりに花園実業へ転がり込んだ。


 そんな中、スケバングループのガムコ(安藤サクラ)は、ガラの悪い女子軍団に全く怯まない誠に一目惚れ。一方、誠は静かな迫力と暗さを感じさせる女子高生、高原由紀(大野いと)と心を通わせていく。しかし由紀を一方的に愛する用心棒・座王権太(伊原剛志)は嫉妬に燃え、桁外れの破壊力で誠に大ケガを負わせるのだ…。


 この映画、一言でいうなら“和製昭和歌謡ミュージカル”とでも言おうか。出演者たちが、「激しい恋」(「愛と誠」最初の映画版で誠を演じた西城秀樹の名曲!)や「空に太陽があるかぎり」から「狼少年ケンのテーマ」まで、歌い踊る。ミュージカル場面だけでもボリウッド映画並みのボリュームがあるため、上映時間は2時間17分の長尺だが、はっきり言って苦痛だ(笑)。


 ハリウッド映画では、MGMミュージカルの黄金期から今日に至るまで、殆どのミュージカル映画はその道のプロフェッショナルな人が監督をやっているから、見せ方も分かっているし、舞台版とさほど変わらない感覚で観ることができるのだが、三池監督はミュージカル専門ではないし、パパイヤ鈴木による振り付けも稚拙に見える。何よりミュージカルナンバーが全てフルコーラスだから、必然的に長尺になり、バイオレンス場面とのバランスを悪くしている。


 逆に出演者たちは、不思議と結構ハマっている。女子生徒役はみんな実年齢が程近いキャストなのにたいして、何故か男子生徒は30〜40代の役者が演じているのだが、設定自体がブッ飛んでいるせいか、思っていたほど違和感は無い。いくら何でも伊原剛志は… とも思ったが、“オッサンにしか見えへん病”で、やり通してしまうとは! アッパレである(笑)。


 そして、武井咲はこれまであまりドラマなどでも目立った存在ではなかったし、演技についてもあまり上手いとは思わないし、このヒロイン役も演技力を必要としているものでは無いのだが、三池マジックにかかると、とても可愛らしいお嬢様をキッチリと演じている。


 オリジナル版は未見なので比べようが無いが、若年齢層向けとして、こういう何でもアリな映画を作るのは、「ビー・バップ・ハイスクール」の頃から変わらない、良くも悪くも東映の気質なんだよね、ということを痛烈に感じた映画だった。


私の評価…☆☆☆

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2012年6月22日 (金)

スノーホワイト(2012)

スノーホワイト(2012<br />
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スノーホワイト(2012<br />
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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ルパート・サンダース
原作:グリム兄弟「白雪姫」
出演(吹替版声優):クリステン・スチュワート(坂本真綾)、シャーリーズ・セロン(小雪)、クリス・ヘムズワース(椎名桔平)、サム・クラフリン(浪川大輔)、サム・スプルエル(咲野俊介)、クリストファー・オービ〔鏡の声〕(大塚明夫)、リリー・コール(小島幸子)、ヴィンセント・リーガン(大塚芳忠)、ノア・ハントリー(西凛太朗)、リバティ・ロス(林真里花)、イアン・マクシェーン(山路和弘)、ニック・フロスト(茶風林)、ボブ・ホスキンス(大塚周夫)、トビー・ジョーンズ(高木渉)、エディ・マーサン(山野井仁)、ジョニー・ハリス(佐々木睦)、レイ・ウィンストン(菅生隆之)、ブライアン・グリーソン(魚建) 他


 《主役より際立つ悪役シャーリーズ・セロン》


 グリム童話の「白雪姫」を新解釈で描いたファンタジー。3部作が予定されているが、アメリカでのヒットを受け、先頃続編の製作にGOサインが出た模様。尚、1997年にも同名タイトルで「白雪姫」が、この映画とは別の解釈で映画化されているので、一応区別しておく。僕はそれも映画館で観ているのだが、この時の魔女役シガニー・ウィーバーも、華奢な主演のモニカ・キーナより目立つ悪役だった。


 スノーホワイト(クリステン・スチュワート)は、マグナス王(ノア・ハントリー)と王妃(リバティ・ロス)に大切に育てられ、外見だけでなく、その心も清らかで美しいプリンセスだった。しかし、母亡きあと、新しい王妃に迎えられたラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)に父王を殺された彼女は、国を乗っ取られ、7年間の幽閉生活を送ることになる。やがて、王宮を脱出したスノーホワイトは森の中へ逃亡。彼女を捕らえるためにラヴェンナ女王が放った刺客のハンター、エリック(クリス・ヘムズワース)と手を組み、危険をかわしながら、逞しく生きる能力を身に付けていく…。


 一方、「スノーホワイトの心臓を口にすれば、永遠の若さと美貌が手に入る」と魔法の鏡に告げられていた女王は、あの手この手でスノーホワイトを追跡し、罪のない命と自然を破壊していく。すべては自分のせいと心を痛め、たとえ地の果てまで逃げてもラヴェンナの魔の手から逃げられないと悟ったスノーホワイトは、抵抗軍を組織し、ラヴェンナ女王を倒すべく、進軍を開始する…。


 お伽話の「白雪姫」をそのまま描いても、もはや面白くないということなのだろうか? この映画はかなり大胆なアレンジが施されている。本作のプリンセスは王子様をただただ待つだけのプリンセスではなく、自ら甲冑に身を包み、兵士へと生まれ変わった。罪もない民衆が苦しめられ、自然も破壊されているのは自分が邪悪な女王に狙われているからと知った彼女は、その女王に戦いを挑む。クリステン・スチュワートとシャーリーズ・セロンの火花バチバチの対決は見物であるが、ルックスと貫禄はシャーリーズ・セロンに軍配(笑)。いくら「トワイライト」のヒロインが綺麗であっても、177cmと長身の元モデルで、アカデミー賞受賞という、いわば実力と美貌を兼ね備えた女優にはかなわない。悲しい過去を背負ったために宿ってしまった深い心の闇、美への執着といったものは、おそらくこの人がやるからこそ説得力があり、作品の質を高めたものになったのではないかと思う。続編はオリジナルものになることはほぼ間違いないが、シャーリーズ・セロンの続投(女王復活?
)になるのか、はたまた別の強烈な悪役誕生となるのか、成り行きが気になるところである。


 ちなみに今年は9月にもう1作、“「白雪姫」もの”が公開される。9月14日公開の「白雪姫と鏡の女王」で、監督は「ザ・セル」(2000年)のターセム・シン。予告編を観た限りではコメディっぽい感じだが、こちらは白雪姫をリリー・コリンズ(歌手フィル・コリンズの娘)、継母となる女王にはジュリア・ロバーツが悪役初挑戦ということで、批評家受けは「スノーホワイト」と比べると悪いようだが、見比べてみるのも面白いかも。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年6月20日 (水)

幸せへのキセキ

幸せへのキセキ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:キャメロン・クロウ
原作:ベンジャミン・ミー
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):マット・デイモン(東山紀之)、スカーレット・ヨハンソン(佐古真弓)、トーマス・ヘイデン・チャーチ(岩崎ひろし)、コリン・フォード(本城雄太郎)、マギー・エリザベス・ジョーンズ(須藤風花)、アンガス・マクファーデン、エル・ファニング(小薗江愛理)、パトリック・フュジット、ジョン・マイケル・ヒギンズ(梅津秀行) 他


 《爽やかな感動を呼ぶ、実話ベースのお話》


 この映画はベンジャミン・ミーによる自身の回顧録を原作とし、「あの頃ペニー・レインと」(2000年)のキャメロン・クロウが共同脚本と監督を務めた映画である。


 半年前に最愛の妻を亡くしたベンジャミン(マット・デイモン)、彼の14歳の息子と7歳の娘は、いまだ悲しみと混乱の中にいた。ベンジャミンは仕事を辞めてしまい、息子は問題を起こして退学処分になってしまう。新しい場所で新しい人生を再始動しようと、ベンジャミンは郊外に家を買うが、なんとそこには閉鎖中の「動物園」というオマケがついていた!


 早速ベンジャミンは動物園の再オープンに取り組むが、慣れない事業にトラブル続出、莫大な修理費や薬代で資金も底をつく。だが、飼育員と地域の人々、亡き妻からの“贈り物”に支えられ、ベンジャミンは再び立ち向かう。妻との約束を果たすために…。


 一応、この映画はコラムニストであるベンジャミン・ミーの実話が元ではあるが、映画の公開前に放送された、フジテレビ系「奇跡体験!アンビリーバボー」によるドキュメンタリー(つまりこちらが“本当の”実話)と見比べると、相当脚色されている。


 まず映画では、動物園付きの家を購入する前から主人公の奥さんは他界しているが、実際は動物園の再建に最後まで尽力されており、再建を目前にして脳腫瘍で亡くなられるのだ。映画では再建までのプロセスが簡略化されており、その上であまり必要のないキャラクターになってしまったのだろう。


 そして、スカーレット・ヨハンソン扮する勝ち気な飼育員のリーダーとの、“友人以上恋人未満”な関係。これもオリジナルだが、これを描くことによって、話が暗くならず、単なるお涙頂戴物語ではなく爽やかな感動をもたらしてくれた。


 子供たちによるサイド・ストーリーもまずまずの出来。それにしても、エル・ファニングの13歳にしてあの色香は反則的(笑)。まあ、スカヨハの従妹役だから、あれくらいの大人っぽさが要求されたのかもしれないが、姉(ダコタ・ファニング)をも凌ぐ美貌と演技力の女優になりそうだ。


私の評価…☆☆☆

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2012年6月18日 (月)

グレイヴ・エンカウンターズ

グレイヴ・エンカウンターズ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ザ・ヴィシャス・ブラザーズ
出演:ショーン・ロジャーソン、アシュレイ・グリスコ、ホアン・リーディンガー、マッケンジー・グレイ、メルヴィン・モンデサー 他


 《自分が観た中では一番完成度が高いモキュメンタリー映画》


 最近はこういった「ファウンド・フッテージ」と呼ばれる、撮影者が行方不明になったため、埋もれていた映像が第三者によって発見され(または手に渡り)(=found)、未編集の映像(footage)があまり手を加えずにそのまま公開される形式の、モキュメンタリーと呼ばれる擬似ドキュメンタリー映画が多いが、本作はその中でも完成度が高い“ニセ”ドキュメンタリーである。


 実在する超常現象を追跡するリアリティ番組「グレイヴ・エンカウンターズ」。プロデューサーのランス・プレストンと調査隊は、1960年に閉鎖され現在は廃墟と化しているコリンウッド精神科病院にやってきた。その広大な敷地には、1895年から65年間にわたり8万人もの重度の精神障害者が入院し、過去に多くの患者が命を落としていた。そして閉鎖後の1963年に幽霊の目撃証言が報告されて以降、今もなお多数の同様の証言が寄せられている。だが実はランスたちは、超常現象など全く信じていない。番組出演者である霊能者のヒューストンも偽者で、この番組はただのヤラセ番組だったのだが…。


 「パラノーマル・アクティビティ」や「フォース・カインド」など、もうこの手のモキュメンタリー映画は出尽くしたと思っていたのだが、まだこんなのが残っていた(笑)。でもこの映画には最近のモキュメンタリーものとは明らかに違う点が1つあり、そこが映画祭などで評価されているのだと思った。「パラノーマル〜」や「フォース〜」は、ただ単純に“超常現象”を第三者の視点で見せている、ただそれだけのような感じだったのだが、この「グレイヴ・エンカウンターズ」は、“悪い事をやった人間は、たとえ主人公であっても必ず天誅が下される”という、ホラー映画の定番を、最も分かりやすい形で描いているのである。


 この映画のメインキャストとなるTVクルーは、“超常現象を検証する番組”のスタッフたちなのに、プロデューサー以下、皆その現象を信じていない。簡単にいえば、霊的なものを信用しない若者たちが、夜中に墓場で肝試しをするような感覚で、廃墟に入っていくようなものである。しかもこのプロデューサーは、現地で働く新米の清掃員の男を金で買収し、勤続十数年のベテラン従業員に仕立てあげてコメント撮りをするという、とんでもない野郎だ。面白けりゃなんでも良いというような視聴率主義のテレビ局を痛烈に皮肉っている。


 この手の映画の元祖として「食人族」(1983年・イタリア映画)という映画があるのだが、こちらも焼却されるはずのフィルムが流出したという設定で、アマゾンのある地域の原住民を取材しようとしたスタッフが、ヤラセ演出のために原住民を相手に強姦や焼き討ちなどの蛮行を繰り返した挙げ句、遂に怒った原住民によって次々と犯され殺されていくさまが描かれた。本作は別にそれにオマージュを捧げたわけでもないだろうし、題材も違うのだが、ホラー映画の描き方としてはよくできている方で、実は“最恐”といわれている予告編ほど本編は怖くないが(笑)、ホラー映画好きとしては十分満足のいく映画だった。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年6月14日 (木)

ソウル・サーファー

ソウル・サーファー
劇場:MOVIX京都
監督:ショーン・マクナマラ
原作:ベサニー・ハミルトン「ソウル・サーファー サメに片腕を奪われた13歳」
主題歌:ケイティ・ペリー「Firework」
出演:アナソフィア・ロブ、ヘレン・ハント、デニス・クエイド、キャリー・アンダーウッド、ケヴィン・ソルボ、ロス・トーマス、クリス・ブロシュ、ロレイン・ニコルソン、ジェレミー・サンプター、ソーニャ・バルモス、クレイグ・T・ネルソン、ベサニー・ハミルトン(本人=アーカイヴ映像)、アラナ・ブランチャード(本人=アーカイヴ映像) 他


 《傷害を負っても挫けなかった少女の勇気》


 サーフィンをしている最中に、サメに片腕を奪われたベサニー・ハミルトンの実話を完全映画化。アメリカでは昨年4月に公開済みだったが、劇中でスマトラ沖地震に触れているため、地震そのものの場面は無いが、日本での公開は微妙だった。全米公開から1年以上遅れたが、何とか公開にこぎつけ最悪DVDスルーだけは免れた。


 幼い頃からプロ・サーファーになることを夢見て、毎日美しいハワイの海と親しみ、母から「マーメイド」と呼ばれていた勝ち気な少女、ベサニー・ハミルトン(アナソフィア・ロブ)。その幸せな日常は13歳のある日、突然サメに襲われた日から一変する。一命は取り留めたものの、彼女は左腕を失ってしまったのだ。怒り、疑念、不安、そして悲しみ…。


 絶望の中で、サーフィンと決別し、別の道を歩もうと決めたベサニー。だが、彼女はサーフィンへの思いを捨てる事ができなかった。そして、想像を絶する厳しい特訓と、家族の支えによって、再びサーファーの頂点を目指すことを決意する…。


 このところエマ・ワトソンやダコタ・ファニングなど、'90年代生まれの女優が子役からの脱皮を絡めて活躍しているが、この主演女優アナソフィア・ロブもその1人。彼女はジョニー・デップと共演した「チャーリーとチョコレート工場」での生意気な少女ヴァイオレット役があまりにも印象に残っているのだが、その彼女も18歳。本格的な女優としての“腕”を試される時でもある。


 今回、彼女は主役ベサニーの13歳時から、困難を克服しプロ・サーファーとして復活するまでを演じるのだが、アナソフィア自身が157cmと小柄で童顔なため、さほど違和感は無い(ちなみに現在のベサニー本人は180cm近い大柄な女性である)。演技力も的確で、落ち込んだりもするけれど、基本的に前向きで負けん気の強いヒロインを、気持ちのいいくらい明るく演じている。この映画、アメリカでは批評家の評価は良くも悪くもなかったが、そこそこヒットはした。それは、殆ど出づっぱりの彼女の演技によるところが大きいと思う。サーフィンの場面も難易度の高い技はベサニーがボディーダブルを務めているが、それ以外の場面はアナソフィアが演じた。ベサニーがコーチを務め、数か月間で、立てるまでにはなったそうで、そちらの努力にも頭が下がる。


 もちろん、失った腕の部分は彼女の腕にグリーンの袖を被せてCG処理をしたものなのに、襲ったサメはハリボテという、古いんだか新しいんだか分からない特撮にツッコミを入れる向きもあるが、どちらも不自然さを感じさせない演出は見事だった。


 余談だが、ベサニーの親友アラナ・ブランチャード(こちらも後にプロ・サーファーとなる)役を演じたロレイン・ニコルソンは、名優ジャック・ニコルソンの娘である。お父さんとあまり顔は似ていないが、眉毛を吊り上げた表情などはお父さんを彷彿とさせる。今後、女優としてどういった成長ぶりを見せるのか、楽しみだ。


私の評価…☆☆☆★

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2012年6月13日 (水)

ドライヴ

ドライヴ
劇場:ユナイテッド・シネマ大津
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、アルバート・ブルックス、オスカー・アイザック、クリスティーナ・ヘンドリックス、ロン・パールマン 他


 《カンヌ映画祭で注目されたハードボイルド映画》


 これは本来今年の3月頃にロードショー公開されていたもので、観に行きたかったのだが、事情で行けず、今回大津の映画館で2週間限定公開(〜15日)される事を知って、会員証の更新ついでに観たものである。


 昼はハリウッドのスタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手「ドライバー」(ライアン・ゴズリング)。家族も友人もなく孤独に生きる男は、同じアパートに暮らす子連れの女性アイリーン(キャリー・マリガン)と出会い、互いに惹かれ合う。しかし、彼女の夫、スタンダード(オスカー・アイザック)が服役を終えて帰ってくる。


 ドライバーも一度は身を引く覚悟を決めるが、スタンダードを組織から足抜けさせるために犯行を手伝ううちに、次第にマフィアの罠に絡め取られてしまう。ドライバーは裏社会を相手に危険な闘いを仕掛けていくが…。


 全編ハードボイルド・タッチの渋い映画。どうしようもない自分を拾ってくれた恩人のための復讐と、一目惚れした女性を救うために闘いを挑んだ主人公は、逃れられない運命に巻き込まれていく。


 劇中かなり激しいバイオレンス描写が盛り込まれているが、カメラは常に主人公を優しく捉える。ライアン・ゴズリングは前にも書いたように曲者役者ゆえ、このところ変質者役が多かったのだが、今回も静と動、陰と陽をうまく使い分けており、見応えたっぷりに見せてくれる。


 アルバート・ブルックスやロン・パールマンといった、これまた渋い俳優が脇を固めるなかで、一服の“清涼剤”となるのはやっぱりキャリー・マリガン。男臭い映画の中、出番は多くないが、主人公の心だけでなく観客も癒してくれた。


 監督は、まだ日本では知名度が低いが、この映画はカンヌ映画祭で大絶賛されたということで、かなりの力量があるとみていいだろう。今後、大注目の人であることには間違いない。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年6月11日 (月)

劇場版 BLOOD-C The Last Dark

劇場版 BLOOD-C The Last Dark
劇場版 BLOOD-C The Last Dark
劇場:MOVIX京都
原作:Production I.G/CLAMP
ストーリー・キャラクター原案:CLAMP
監督:塩谷直義
音楽:佐藤直紀
主題歌:水樹奈々「METRO BAROQUE」
声の出演:更衣小夜(きさらぎ・さや)…水樹奈々、柊真奈…橋本愛、七原文人…野島健児、殯蔵人(もがり・くろと)…神谷浩史、松尾伊織…中村悠一、藤村駿…梶裕貴、月山比呂…花澤香菜、矢薙春乃…甲斐田裕子、四月一日君尋(わたぬき・きみひろ)…福山潤、網埜優花…浅野真澄、九頭(くと)…諏訪部順一 他


 《クオリティーは高いが、一見さんお断わり!?》


 昨年深夜アニメとして放送され反響を呼んだ、人気シリーズ最新作の映画版。TV版で信じていた者たちに裏切られた主人公・小夜のその後を描く。


 201X年、冬。浮島地区では七原文人の実験のために信じていた者たちに裏切られた小夜は、その復讐を果たすべく東京にいた。だがそこは世界企業セブンスヘブンを後ろ盾にした文人の実質的支配下となっていた。そして青少年たちを完全管理下におく青少年保護条例が施行され、何かの実験が行われていたのだ。そんな東京で小夜は社会を裏から支配する“塔”の秘密を暴くために活動するネットコミュニティ・サラットのメンバーに出会う。ITベンチャー・シスネット代表の殯蔵人を中心に、指揮担当の矢薙春乃、松尾伊織と藤村駿の現場担当コンビ、中学生ハッカーの月山比呂、そして地下鉄で“古きもの”に襲われたところを小夜に救われた、大切なものを失った少女・柊真奈。小夜は真奈と出会い、そしてサーラットに導かれた。利害の一致した小夜は、共に七原文人の組織“塔”に戦いを挑むことになる…。


 まずこの映画、TVアニメ版の続編であるにも関わらず、主人公らのキャラクター設定等の説明が、本編中に一切無い。つまり、観る側はTVアニメ版全12話か、先日BS11等で放送された前・後編にわたる総集編を、インターネットなど何らかの形で観ておく必要がある。しかも、TVアニメ版から6か月後という設定で、主役と悪役以外の脇役キャラが全て変わっており(“古きもの”に惨殺されたのだから仕方ないが)、TVアニメ最終話の出来事がトラウマになったのか、主人公の性格まで変わってしまっているという、ある意味トンデモな映画になっている。僕も一応TVアニメ版は全話観ているのだが、大変な“脳内変換”が必要だった(笑)。


 ただ、作品的なクオリティーは、さすがProduction I.Gである。アクションシーンから静的なショットまで、実に細やかで美しい。冒頭の、“ある重要人物”が獣人化する場面や、クライマックスでの文人が“クロノス”(まるで「タイタンの逆襲」)と化してしまう場面は特に美麗だ。


 一部このシリーズのファンの中には、制作者集団CLAMPによるシナリオ構成が、小夜という戦闘服(=制服)姿の少女が日本刀を振りかざし悪に立ち向かうというコンセプトだけを同じにして、前作までとは全く異なるイメージの物に仕上げてしまっていることに、違和感と強い不満を抱いている人もいるようだが、やはりシリーズものは全く同じパターンの物を作っていっても飽きられるだけなので、多少の変化はつけるべきだ。このシリーズは海外にもファンが多く、シリーズを気に入った“映画人”が「サッカー・パンチ」(邦題「エンジェル・ウォーズ」)という、ワケわからんけど面白い亜流作品を作るぐらいであるから、新しい“血”を入れながらも人気が衰えない限り、作り続けてほしいものだ。


私の評価…☆☆☆★

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2012年6月 5日 (火)

君への誓い

君への誓い
劇場:MOVIX京都
監督:マイケル・スーシー
出演:レイチェル・マクアダムス、チャニング・テイタム、ジェシカ・ラング、サム・ニール、ジェシカ・マクナミー、ウェンディ・クルーソン、タチアナ・マスラニー、ルーカス・ブライアン、スコット・スピードマン、サラ・カーター 他


 《強い絆で結ばれた2人の“真実”》


 今月はこの手の実録ものが、いくつか公開されるが、この映画の元ネタとなった話も、日本の情報バラエティ番組等で紹介されている。ちなみにwikipediaの日本語版でこれを検索すると(6月4日の時点で)とんでもない話が載っているのだが、イタズラの可能性があるので、それに関してはこれ以上触れないでおく。


 親しい友人たちに囲まれ、結婚式を挙げたレオ(チャニング・テイタム)とペイジ(レイチェル・マクアダムス)。幸せな新婚生活も束の間、交通事故でペイジは記憶を失う。レオと出会ってからの数年間がスッポリ空白となり、夫であるレオは彼女にとって見知らぬ人。戸惑うペイジを、切なく見つめるレオ。彼女の記憶が戻らないと悟ったレオは、出会いからやり直す決心をし、彼女に恋のアプローチを開始する。しかし、そんな2人の前にペイジの両親(サム・ニール、ジェシカ・ラング)や元婚約者(スコット・スピードマン)が立ちはだかり…。


 交通事故で怪我を負った妻の記憶から夫1人分だけの記憶が無くなる、いわば「逆行性健忘症」になってしまった実在の夫婦の話をモデルに描いた映画である。何かの拍子で記憶が戻る事ももちろんあるのだが、その可能性は少ないと考えた夫が、もう一度彼女に好きになってもらいたいと行動する姿が、観る者に感動を与える。


 レイチェル・マクアダムスは、ヒロインの若き日を演じた「きみに読む物語」など、ラブストーリーがよく似合うイメージだし、チャニング・テイタムも健気な夫を好演しているのだが、何だか余計な場面やキャスティングが多い。ヒロインの元彼は、2人の恋路の邪魔になる存在として出てくるのはいいが、物語を引っ掻き回す程のものでもないし、逆にややこしくしている感もある。ヒロインの父親の不倫話も、とって付けただけで本筋とは殆ど関係がなく、両親役もサム・ニールとジェシカ・ラングという、せっかくのいいキャスティングを活かしきれていない。もちろん実話をそのまま描いても映画的な話にはならないので、恐らくこういう部分は創作だろうし、ドキュメンタリーでない限り、こういった創作部分は必要なのだが、そこがしっかり描けていないと、映画としては物足りないものとなる。


 本編の最後に実在する2人の現在の姿が写され、一応“よかったね”みたいな感じで締め括られるが、結果としてそこが一番印象に残るようではダメ。もう少し脚本を整理すればよかったのではないだろうか。


私の評価…☆☆☆

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2012年6月 2日 (土)

サニー 永遠の仲間たち

サニー 永遠の仲間たち
劇場:T・ジョイ京都
監督:カン・ヒョンチョル
配役:イム・ナミ…ユ・ホジュン(現在)/シム・ウンギョン(高校生)
   ハ・チュナ…ジン・ヒギョン(現在)/カン・ソラ(高校生)
   キム・チャンミ…コ・スヒ(現在)/キム・ミニョン(高校生)
   ファン・ジニ…ホン・ジニ(現在)/パク・チンジュ(高校生)
   ソ・クムオク…イ・ヨンギョン(現在)/ナム・ボラ(高校生)
   リュ・ポッキ…キム・ソンギョン(現在)/キム・ボミ(高校生)
   チョン・スジ…ユン・ジョン(現在)/ミン・ヒョリン(高校生)
   ジュノ…イ・ギョンヨン(現在)/キム・シフ(青年) 他


 《観た後に同窓会をやりたくなる映画》


 韓国で大ヒットしたデビュー作「過疎スキャンダル」のカン・ヒョンチョル監督の第2作。こちらも口コミで評判をよび大ヒット。1980年代半ば頃に学生時代を過ごした人なら、きっと誰もが共感できる感動作だ。


 いつもの朝に、「タイム・アフター・タイム」のメロディーとともに目覚めるイム・ナミ(ユ・ホジュン)。完璧な夫と高校生の娘に恵まれ、専業主婦として何一つ不自由のない日々を送りながら、彼女はどこか物足りなさを覚えていた。


 ある日、入院する母を見舞った病院で、ナミは苦痛に悶える患者と出くわす。病室の入り口には「ハ・チュナ」の名札。間違いない、彼女は高校時代の仲良しグループ「サニー」のリーダー、チュナ(ジン・ヒギョン)だった。再会の喜びも束の間、ナミはチュナが余命2ヵ月のガンに冒されている事を知る。

 「ひとつ頼んでもいい?」

とナミに語りかけるチュナ。

 「死ぬ前にもう一度だけ、サニーのみんなに会いたいな…」。

出張に旅立つ夫を空港に見送った後、ナミは高校へと向かうスロープを久しぶりに歩いた。気がつけばそこは、25年前のあの時、あの場所。ナミはいつの間にか高校生だった頃の自分に戻っていた。田舎からソウルへやってきた転校生のナミ(シム・ウンギョン)は、自己紹介でつい方言が出てしまい、出だしから失敗してしまう。そんな彼女を助けてくれたのが、姉御肌のチュナ(カン・ソラ)だったのだ…。


 個性豊かな7人のメンバーは、友情の証としてグループを「サニー(輝く)」と名付け、ずっと一緒にいようと誓うが、“ある出来事”がきっかけで離ればなれになってしまう…。


 あれから25年。病に冒され、また仲間に会いたいというチュナのため、ナミは残りのメンバーを捜し始める。それはナミにとって、夢を抱き、輝いていた日々を取り戻していく旅でもあった…。


 映画は、“ある出来事”がきっかけで離ればなれになった仲良しグループ「サニー」のメンバーを、仲間の病をきっかけに、ナミが探し歩く、いわば絆の再生を描いたもの。「サニー」の全盛期である高校生時代の1980年代半ばと2011年を、当時の韓国の世相(パク・チョンヒ大統領暗殺や光州事件などの所謂「ソウルの春」と呼ばれる時代背景)を織り交ぜながら、交錯させていく。


 現代のナミが高校へと続く坂道を歩いていると、高校生のナミがひょっこりと顔を出したり、職員室へ入ろうとするとそこから高校時代に戻るという回想形式は、高畑勲監督の「おもひでぽろぽろ」と同じ手法だが、ノスタルジックな雰囲気を実によく醸し出している。


 '80年代を彩る音楽も実に効果的で、映画のタイトルとグループの名前になっている、ボニーMの「サニー」や、主人公が自分の顔がソフィー・マルソーに似ていると思い込んでいる事で、初恋の場面に頻繁に流れる、リチャード・サンダーソンが歌う「愛のファンタジー」(ソフィー・マルソー主演、'80年の大ヒット映画「ラ・ブーム」主題歌)、そしてオープニングとエンディングを飾るシンディ・ローパーの名曲「タイム・アフター・タイム」と「Girls Just Want to Have Fun」(日本では“ハイスクールはダンステリア”のタイトルで知られる)は、当時同じように学生時代を過ごした人なら、懐かしい気分でいっぱいになるはずだ(権利関係の都合か残念ながらシンディ・ローパーの曲は前者はタック&パティ、後者はグラマラマによるカヴァーだが)。


 映画はグループのメンバーたちが昔、抱いていた夢と、成功した者もいれば落ちぶれた者もいる現在のシビアな現実が描かれ、暗い方向へと進んでいくが、メンバーそれぞれが結構明るい性格だったりするので、それほどしんみりとした雰囲気にはならない。ただ、“ある出来事”でメンバーの中の最も美しい子が、顔と心に深い傷を負ってしまい、以来連絡が途絶えてしまう。さて、その子はチュナの願い通り、会いに来てくれるのか。ラストは静かな感動を呼ぶ傑作だ。


私の評価…☆☆☆☆★

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