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2012年7月

2012年7月29日 (日)

おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪
劇場:TOHOシネマズ二条
原作・監督:細田守
主題歌:アン・サリー「おかあさんの歌」
声の出演:花…宮崎あおい、おおかみおとこ…大沢たかお、雪…黒木華 大野百花(幼少期)、雨…西井幸人 加部亜門(幼少期)、草平…平岡拓真、草平の母…林原めぐみ、細川…中村正、山岡…大木民夫、韮崎のおばさん…片岡富枝、田辺先生…染谷将太、土肥の奥さん…谷村美月、堀田の奥さん…麻生久美子、韮崎…菅原文太 他


 《素晴らしき“家族愛”》


 アニメ版「時をかける少女」、「サマーウォーズ」の細田守監督が、自らアニメスタジオを立ち上げて製作した最新作。


 人間の姿で暮らす“おおかみおとこ”に恋をした大学生の花。やがて妊娠し、雪の日に女の子の、雨の日に男の子の“おおかみこども”を産む。姉弟は雪、雨と名付けられる。ところが、ある日突然“おおかみおとこ”は帰らぬ人に。遺された花は子供たちを人間として育てるか、狼として育てるか悩み、山奥の古民家に移り住む。日々成長する快活な雪と内気な雨。小学生になった2人にそれぞれ転機が訪れる。


 公開が始まって暫らく経っているので、もういろんな所で書かれているかもしれないが、宮崎駿監督とよく比較される細田監督が、細田監督なりの「トトロ」を描きたかったのではないかと思った。


 「トトロ」よりもファンタジー色は強いが、どちらも描いているのは家族愛だし、舞台となっている場所もどこか懐かしい雰囲気が漂う村(モデルは細田監督の故郷である富山県の某所)である。主人公の花が都会で偶然、人狼に出会い恋をして、やがて結婚し子供が生まれる。その子供も人狼となり、性格が対照的な姉弟は元気に成長していくが、やがて人として生きていくか、狼として山の主となり生きていくかの選択を迫られる。同級生に恋をした一方は人間として生きる決意をするが、同級生とソリが合わなかったもう一方は、狼として生きていく事を選ぶ。この2人(匹?)の生き方をそれぞれ肯定し見守っていこうとする花の姿、そして降り積もった雪の斜面を滑り落ちていく場面や、雪の上で子供を抱き抱える場面はとても躍動感があり感動的だ。


 そしてこの映画のもう1つのテーマは“外見は醜くてもいいから内面を磨け”ということ。これは逆に言えば見た目だけで差別したりするのはいけないよという事でもあるのだが、実はちょうど同じ時期に、洋画のアニメ映画で同じテーマを描いたものがあり現在公開中なので、見比べても面白いと思う。子供のいじめ問題などが再燃している昨今、子供だけでなく大人も、こういう映画は見ておいて損は無い。


私の評価…☆☆☆☆★

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2012年7月25日 (水)

怪作「何がジェーンに起こったか?」リメイクへ

「何がジェーンに起こったか?」
 ベティ・デイビスとジョーン・クロフォードという2大女優が共演した、1962年のサスペンススリラー「何がジェーンに起こったか?」(ロバート・アルドリッチ監督)がリメイクされることになった。「ウォリアーズ」「ストリート・オブ・ファイヤー」で知られるウォルター・ヒル監督がリメイク版のメガホンをとる。


 「何がジェーンに起こったか?」の主人公は、かつてベイビー・ジェーンという名で子役として活躍したジェーン(デイビス)と、美しい映画スターだったが事故で不随となったその姉ブランチ(クロフォード)。年老いた2人は古い屋敷で隠遁生活を送っていたが、ジェーンは酒に溺れて異常な行動を繰り返し、ブランチに虐待を加えるようになる。


 デイビスとクロフォードは当時、実生活でも火花を散らすライバル同士として知られており、その2人の鬼気迫る演技が大いに話題となった作品だ。


 故アルドリッチ監督の娘を含む遺族が、リメイク版の製作に関わる。キャストは未定だが、ヒル監督は「主役の2人を演じるのは、最高の俳優でなければならない。それがまず大前提だ」とコメントしている。


 ちなみにこの映画は1991年に米ABCでテレビ映画としてリメイクされ、実際の姉妹であるヴァネッサ・レッドグレーヴとリン・レッドグレーヴが共演した。


 うーん、やはりこの映画のメインの2人は、アカデミー賞受賞経験のある、ベテラン大御所女優にしか無理だと思うのだが。一体誰が演じることになるのか。続報を待ちたい。

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2012年7月24日 (火)

魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's

魔法少女リリカルなのは The MOV
劇場:MOVIX京都
監督:草川啓造
原作・脚本:都築真紀
音楽:中條美沙
主題歌:水樹奈々「BRIGHT STREAM」
声の出演:高町なのは…田村ゆかり、フェイト・テスタロッサ/アリシア・テスタロッサ…水樹奈々、八神はやて…植田佳奈、シグナム…清水香里、ヴィータ…真田アサミ、シャマル…柚木涼香、サフィーラ…一条和男、闇の書の意志/リインフォース…小林沙苗、リンディ・ハラオウン…久川綾、クロノ・ハラオウン…高橋美佳子、レティ・ロウラン…大原さやか、ユーノ・スクライア…水橋かおり、アルフ…桑谷夏子、エイミィ・リミエッタ…松岡由貴、マリエル・アテンザ…阪田佳代、アリサ・バニングス…釘宮理恵、月村すずか…清水愛、石田医師…佐久間紅美、プレシア・テスタロッサ…五十嵐麗、リニス…浅野真澄、リインフォース…ゆかな、アレックス…平井啓二、ランディ/レヴァンティン/グラーフアイゼン…柿原徹也、担任教師…中村知子、レイジングハート…Donna Burke、バルディッシュ…Kevin J England、闇の書(ナハトヴァール)/クラールヴィント…Alexandra Haefelin、デュランダル…Wayne Doster 他


 《やはりこのアニメはテーマが結構奥深い》


 一昨年の前作鑑賞後、このブログに書いたコメントの通り、観たよ(笑)! この映画、全国でたった50スクリーン程での公開なのに、公開最初の週末2日間の興収がランキング第5位となるなど、猛烈なアニヲタ(?)パワーで大ヒット中である。約1090スクリーンで公開中の「スパイダーマン」にも、動員力では決して負けていない。


 本作は前作と同じパターンで今度はTVアニメ「魔法少女リリカルなのは」シリーズ第2期を、ストーリーを再構築し新作として映画化したものだ。TV版とは細かい部分でストーリーが異なる。声優もTV版と同じ声優を起用しているが、鈴木菜穂子さんだけは引退されたので、レティ役は大原さやかさんに変わった。


 「プレシア・テスタロッサ事件」から半年。事件の最中にふれあった2人の魔法少女、高町なのはとフェイト・テスタロッサは、再開の時を迎えていた。だが、やっと訪れた平穏は唐突に破られる。襲撃者「ベルカの騎士」。死と破壊を呼ぶ「闇の書」を巡る、数奇な宿命。そして宿命の鍵は、1人の少女に手渡されていた。病を抱えて孤独に生きる少女、八神はやて。少女たちはまだ、何も知らない。遥か過去から繋がる運命も、死と破壊の宿命も…。


 女の子同士の友情や絆といったものが、人数が増えた分前作よりも色濃く描かれる。特に今回は、大人の男でも感動する場面が多々あり、隣に座った見ず知らずの20代後半と思しき男が、クライマックスで鼻水垂らして泣いていた(笑)。八神はやての病に、改竄された「闇の書」が深く関わっていると知った時、それぞれのキャラクターがそれぞれの立場から、はやてを救おうとする。はやてを守る守護騎士たちは、実質的にはこの「A's」に於いては悪役であるが、前作のフェイトと同じく根っからの悪役ではない。みんな根はいいヤツだが、はやての病を治したいと思う気持ちでとった行動が、逆にとんでもない事を引き起こしたというだけなのだ。やはりテーマが結構奥深いところまで描けていると、大人の鑑賞にも堪えうるし、上にも書いたように興行的にも強い。


 ちなみにこの作品、TVシリーズは現時点で、主人公が19歳に成長した第3シリーズ「StrikerS」まであり、こちらの劇場版も今の勢いだと恐らく作られるだろうから、大いに期待したい。原作の方は、なのはが25歳となってメインキャラクターが次世代へと引き継がれ、男の子が主人公となる第4シリーズ「魔法戦記リリカルなのはForce」と、「StrikerS」の4年後、なのはの娘(養女)ヴィヴィドが主人公となる「ViVid」が同時にリリースされており、こちらの映像化にもちょっと期待したい。


 そして今回も入場者には前作と同じく先着特典として、「リピーターカード」なるものが健在(笑)、イラスト入り声優のサイン色紙狙おうかな(もちろんフェイト=水樹奈々さんの)。90ページ超の豪華パンフレットもまた1000円と、お金が出ていくばっかりである(泣)。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年7月23日 (月)

ミュージカル「ウィキッド」を、スティーヴン・ダルドリー監督が映画化へ

ミュージカル「ウィキッド」を
 大ヒットブロードウェイミュージカル「ウィキッド」の映画化プロジェクトで、「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ダルドリー監督がメガホンをとる予定であることがわかった。


 2003年にブロードウェイで初演された「ウィキッド」は「オズの魔法使」の裏話として構成され、西に悪い魔女エルファバと南の良い魔女グリンダの知られざる友情を描いた作品。オリジナルブロードウェイ版では、エルファバ役をイディナ・メンゼル(「魔法にかけられて」)、グリンダ役をクリスティン・チェノウェスが演じた。


 米Deadlineによれば、「ウィキッド」は、ブロードウェイ版が制作される以前から米ユニバーサルで映画化が企画されていた作品で、ようやくの始動といったところだ。キャストは未定。


 なお、「オズの魔法使」の前章にあたる内容の、米ウォルト・ディズニー製作の3Dファンタジー大作「オズ・ザ・グレート・アンド・パワフル(原題)」(サム・ライミ監督)もこのほど完成。2013年3月の公開が予定されている。


 日本では劇団四季ミュージカルとして人気のこの作品、最近の劇団四季ミュージカルで映画化された作品はアンドリュー・ロイド・ウェバーの「エビータ」や「オペラ座の怪人」、そして「マンマ・ミーヤ」等、どれもヒットしているので、「ウィキッド」も期待がかかるのだが、さてどうなるか?

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2012年7月19日 (木)

「ドラゴンボールZ」劇場版で17年ぶりに復活!

「ドラゴンボールZ」劇場版で
 国民的な人気を誇った漫画をアニメ化した「ドラゴンボールZ」が、17年という空白期間を経て、18作目の劇場版として“復活”することが明らかになった。


 原作は、鳥山明氏が1984年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載をスタートし、95年までの約10年半にわたり人気を博した「ドラゴンボール」。単行本は24ヵ国語に翻訳され、全世界発行部数2億3000万部という日本を代表する漫画作品だ。


 86年からはフジテレビ系でアニメの放送が開始。「ドラゴンボール」「〜Z」「GT」と続いたシリーズは、11年間の平均視聴率が20%を超え、全世界40ヵ国以上で放送されるなど不動の人気を確立した。また、2009年には20世紀フォックスによって、ハリウッドで実写映画化されたことも(それがケチョンケチョンに貶された事も)記憶に新しい(笑)。


 今作では、原作者が初めて脚本の段階から深く製作に関わり、鳥山作品を一貫して映像化してきた東映アニメーションの最新技術によって映画化される。内容は、アニメシリーズの「〜Z」と「〜GT」の間、原作517話で魔人ブウとの戦いが終わった後、518話までの空白の10年間に何が起こったのかというエピソードを初めて描く。


 悟空は勿論、クリリン、ピッコロ大魔王、ベジータといった人気キャラクターたちが総出演。スピンオフでも番外編でもない、ドラゴンボール正史のストーリーであるだけに大きな期待が寄せられる。


 「ドラゴンボールZ」は2013年3月30日から全国で公開。


 「ONE PEACE」劇場版最新作の公開が今回は正月映画扱いになっているから、春はどうするのかなと思っていたら、こういう事だったのか。

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2012年7月18日 (水)

「宇宙刑事ギャバン」30 周年で再び銀幕に復活!

「宇宙刑事ギャバン」30<br />
 周年で
 今年で30周年を迎えた特撮ヒーロー「宇宙刑事ギャバン」の映画化が決定。「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」として10月20日から公開される。


 「宇宙刑事ギャバン」は、銀河連邦警察から派遣されたギャバンが、宇宙犯罪組織マクーの手から地球を守るため戦う姿を描いた特撮ヒーローアクション。「宇宙刑事シャリバン」、「宇宙刑事シャイダー」へと続くメタルヒーローシリーズの第1弾として、1982年から約1年にわたって放送された。従来よりもパワーアップした特撮映像や高いSF性、スケールの大きなドラマ展開など、画期的な作品として人気を博した。


 30周年を迎えた今年1月、スーパー戦隊シリーズとタッグを組んだ「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」で30年ぶりに復活し、初めて銀幕へ進出して話題を呼んだ。同作のヒットによって新たなファン層を獲得したギャバンが、TV放送当時を知る世代と、その次の世代へ向けて、スタイリッシュかつ衝撃的なヒーローとして帰ってくる。


 主演には、一条寺烈を演じる大場健二とともに、新たに十文字撃という青年役で石垣佑磨が加わる。2人のギャバンがどのようなかたちで競演するのかも注目だ。「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」やTV版「宇宙刑事ギャバン」のアクション監督を務めた金田治がメガホンをとる。


 僕もこのメタルヒーローシリーズは、結構夢中になって観ていた世代なので、これはやっぱり楽しみだ。逆にいえばネタが枯渇していると言えなくも無いが、できればギャバンだけでなくシャリバン、シャイダー、ついでに森永奈緒美(「宇宙刑事シャイダー」のヒロイン)も復活してもらいたい(笑)。

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BRAVE HEARTS 海猿

BRAVE HEARTS 海猿
BRAVE HEARTS 海猿
劇場:TOHOシネマズ二条
原作:佐藤秀峰(作者)・小森陽一(原案・取材)「海猿」
監督:羽住英一郎
音楽:佐藤直紀
主題歌:シェネル「ビリーヴ」
出演:伊藤英明、加藤あい、佐藤隆太、仲里依紗、大山連斗、三浦翔平、平山浩行、中丸新将、神保悟志、伊原剛志、矢島健一、蛍雪次朗、時任三郎、他


 《シリーズ史上最も泣ける? 映画》


 前作「LAST MESSAGE〜」で、てっきり完結と誰もが思っていたが(本当は映画1作目で終了するはずだったらしい 「笑っていいとも!」で伊藤英明が明かす)、どっこい原作の最終エピソードが残っていた。日本では実写で到底不可能と言われていたジャンボ機の海上着水による救助を描く。


 世界最大級の天然ガスプラント「レガリア」の爆発事故から2年。仙崎大輔(伊藤英明)は自ら志願し、海難救助のエキスパートであり最も危険な事案に従事する「特殊救難隊」で後輩の吉岡哲也(佐藤隆太)と共に海難現場の最前線にいた。


 嶋副隊長(伊原剛志)の指導の下、日々苛烈な任務に就いていた2人だが充実した毎日を送っていた。大輔の妻・環菜(加藤あい)は2人目の子を身籠り、吉岡にはキャビンアテンダントの矢部美香(仲里依紗)という恋人ができていた。


 そんな折、美香の搭乗するジャンボ旅客機が羽田空港を目指し飛行中、エンジンが炎上し飛行が困難な状況に陥る。様々な救助案が検討される中、総合対策室の下川救難課長(時任三郎)は、夕闇が迫り視界が悪くなる状況の中で、前代未聞の東京湾への着水を提案する。


 しかし、海上着水に成功したとしてもジャンボが浮かんでいられる時間は僅か20分。機体が沈む前に乗員乗客346名全員を助けだす事ができるのか…?


 この伊藤英明主演版(他に国分太一主演によるNHKハイビジョンドラマ版がある)は、最初の1作目から8年の歳月が流れているが映画1作目の続編にあたる連続TVドラマ版が何度も再放送されたり、映画シリーズも何度も放送されたりと、人気を持続し続けている作品である。ただ、これまで完結編と目されてきた前作が、途中から3D映画に路線変更したのが裏目に出て、ヒットはしたもののスタッフサイドは物足りない感じが強かったらしく、それも今作を製作する要因となっているようである。


 今回は、さすがに仙崎のエピソードは散々描き切っているという事もあってか、仙崎のバディである吉岡のエピソードが中心だ。吉岡の新恋人・美香は、吉岡とはともかく仙崎夫妻とも仲は良さそうだが、吉岡との結婚にはなかなか踏み切れない。彼女には男性に対する、あるトラウマがあり、それが踏み切れない理由でもあるのだが、ラスト近くまで明かされないので、観ているこっちがヤキモキさせられる。その彼女がCAとして搭乗したジャンボ機が事故に巻き込まれる事によって、吉岡との感動的なドラマが生まれるのである。仙崎ら特救隊の活躍によって乗員乗客は全て救助、美香も機体が海の藻屑となる寸前で吉岡に救助されるが、直後に体を挟まれた吉岡は機体と共に沈んでいく…。


 もちろん最終的にはハッピーエンドとなるが、ラスト約20分は絶望感が漂うため、涙腺の弱い人はハンカチの持参をお薦めする。女性なら当然、美香に感情移入すれば泣けるだろうし、男性は、殉職しているかもしれない吉岡を、諦め切れない仙崎が最後にとる行動に、男同士の友情を見る事になって泣けるのである。


 もうこれ以上、このシリーズが作られる事は無いと思うと、少し寂しいが、後輩の服部(三浦翔平)なんかを主人公にしてスピンオフを作ってみても、ちょっと面白いかな、とも思った。


私の評価…☆☆☆☆

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2012年7月16日 (月)

崖っぷちの男

崖っぷちの男
劇場:MOVIX京都
監督:アスガー・レス
出演:サム・ワーシントン、エリザベス・バンクス、ジェイミー・ベル、アンソニー・マッキー、ジェネシス・ロドリゲス、エド・ハリス、キーラ・セジウィック、エドワード・バーンズ、タイタス・ウェリヴァー、ウィリアム・サドラー 他


 《巧みな脚本で、同時進行する2つの話の緊迫感が凄い》


 何だか、今年はこの人の主演映画を結構観ている気がする、サム・ワーシントン主演最新作。


 アメリカ・ニューヨーク、高級ホテルの高層階。窓枠を越え、たった30cmの縁に立ち、飛び降りようとする男、脱獄囚ニック・キャシディ(サム・ワーシントン)。彼は、30億円のダイヤモンド横領犯として投獄されたニューヨーク市警の元警察官。まさに、落ちに堕ちた転落人生を極めた、崖っぷちの男。


 ニックは自らの要求を伝えるため、女性刑事リディア(エリザベス・バンクス)を唯一の「交渉人」に指名。彼には「ある計画」があった…。


 スクープ狙いのリポーター(キーラ・セジウィック)、交渉人、それぞれが思惑を腹に抱えた元同僚の警官たちにダイヤ王(エド・ハリス)… 陰謀渦巻く中、台風の目である「崖っぷちの男」の本当の目的が明らかになる…。


 世界的な不況で、映画製作でもスポンサー集めに窮しているのは、どこの国でも同じだと思うが、そのせいか、こういったロケ場所を限定したシチュエーション・スリラーやモキュメンタリーと呼ばれるものが多く作られるようになった。本作も、完成までに様々なトラブルがあったようで、難産の末にできたものだ。普通、製作段階でトラブル続きの映画は、完成しても物足りないものが多く、つまらない映画が多いが、この映画は練り込まれた脚本が素晴らしく、最後まで目が離せない。


 今までのシチュエーション・スリラーは、例えば「フォーン・ブース」のように、限定された1つの場所での些細な出来事から大事へと発展していくパターンが殆どだった。しかし、この映画は飛び降りを示唆する男と、その裏で進行するもう1つのシチュエーション・スリラーがあり、その2つを徐々に関連づけさせながら、主人公が何故、その行為に及んだかを描いていくのだ。1つでも十分なのに、2つも緊迫感あるエピソードを観客は同時に味わう事になるのである。作品的には小品だが、十分贅沢な映画だ。


 ここでは詳しく書かない(というより“書けない”)が、“ある計画”実行のために行う主人公の“焦らし”も秀逸。主人公がとる行動は、同時に得ダネを狙うマスコミへの批判と、道に群がる野次馬たちの群集心理の怖さをも引き出し、より一層この映画を引き立てている。


 ちなみに、サム・ワーシントンが縁に立つ、あの高層ホテルは実際にあるもので、撮影も実際のあの高さで敢行。しかもCGは一切無し! サム自身、高所恐怖症ということで、かなりリアルな表情と演技が観られます。


私の評価…☆☆☆☆★

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2012年7月10日 (火)

アメイジング・スパイダーマン

アメイジング・スパイダーマン
アメイジング・スパイダーマン
劇場:TOHOシネマズ二条
原作:スタン・リー、スティーヴ・ディッコ
監督:マーク・ウェブ
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演(吹替版声優):アンドリュー・ガーフィールド(前野智昭)、エマ・ストーン(本名陽子)、リス・エヴァンス(内田直哉)、デニス・リアリー(菅生隆之)、マーティン・シーン(佐々木敏)、サリー・フィールド(一龍斎春水[麻上洋子])、イルファーン・カーン(広瀬彰勇)、キャンベル・スコット(てらそままさき)、エンベス・デイヴィッツ(吉田美保)、クリス・ジルカ(石上裕一)、マックス・チャーリーズ(関根航)、C・トーマス・ハウエル、ジェイク・キーファー(阿久津秀寿)、ハンナ・マークス(羽飼まり)、ジル・フリント(冨永愛)、マイケル・マッシー(小島敏彦)スタン・リー〔カメオ出演〕 他


 《蝙男並みに格好よくリブートされた蜘蛛男》


 本来なら、サム・ライミ監督によるシリーズ第4弾が製作されるはずだったが、監督が降板したことでキャストも全員交代しリブート企画として生まれ変わった。


 ピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)は、ちょっとサエない高校生。両親は彼が幼いときに謎の失踪を遂げ、以来伯父夫婦(マーティン・シーン&サリー・フィールド)に育てられてきた。ある日、ピーターは父(キャンベル・スコット)の消息を探るため、オズコープ社で遺伝子を研究するコナーズ博士(リス・エヴァンス)を訪ね、実験中の蜘蛛に咬まれてしまう。翌日、ピーターの人生は激変する。蜘蛛のように自由自在に動き回れるパワーとスピード、超感覚で危険を察知する「スパイダーセンス」を身に付けたのだ。ピーターはその能力で悪と戦い、「スパイダーマン」と呼ばれるスーパーヒーローとなる。


 弁論部のグウェン・ステイシー(エマ・ストーン)に密かに想いを寄せるピーター。彼女だけがピーターの秘密を理解してくれていた。だが、グウェンの父親でニューヨーク市の警部補ジョージ・ステイシー(デニス・リアリー)が、スパイダーマンを敵とみなし逮捕状を出す。突然現われた怪物「リザード」の誕生には、ピーターが深く関わっていた。果たして、蜘蛛に咬まれたのは偶然なのか、それともリザードを生むための必然か? ピーターは両親の秘密と向き合い、自らの運命を選択するのだが…。


 監督が変わると当然作風が変わってしまうため、評価がガタ落ちしてしまうシリーズも多い(例えばティム・バートンからジョエル・シューマッカーに変わった時の「バットマン」など)が、本作は多少作風は変わっているものの、基本的な設定やストーリーは、原作にほぼ忠実で、当然リブートだからサム・ライミ監督版との繋がりは無く、前3部作を観ていない人でも楽しめる。


 監督は「(500)日のサマー」で注目されたばかりのマーク・ウェブ。超有名監督が作ったシリーズの後釜を任された形だが、見事にその重圧をはねのけた。本作はシリーズ初の3D映画として作られているが、それを意識した空間演出は見事である。特に、スパイダーマンが糸を操りながら、ターザンのように街を駆け巡るシーンは、可能な限りCGを使っておらず(背景のみ合成)、生身の俳優の演技で素晴らしい映像が作られており、この場面を観るだけでも、追加料金を払って3Dで観る価値はある。


 主人公とヒロインの組み合わせもいい。前シリーズのトビー・マグワイアとキルスティン・ダンストも悪くはなかったが、少々陰気な感があった。それに比べれば今回の2人は幾分明るい。主人公の正体バラしを散々引っ張った前シリーズとは違い、あっさり明かしてしまうが、そのことによって、好きになったピーターの身を案じるグウェンという構図がはっきりと出来上がり、案じるほどに恋が深まるという、一種の青春映画といっても過言ではないものになっている。役を演じたアンドリューとエマは、現在実生活でも熱愛が報じられていて、映画同様、成り行きが注目されている。


 この映画ラストも特徴的で、最近のアメコミものにはあまり見かけない結末を迎える。それは、本来の意味での“悪者”が、この1作には出てこない事に起因するのだが…。世界最速で公開された、日本での公開直後に発表されたが、このシリーズも最初から3部作の予定で作られているとのこと。エンド・ロールの途中で意味深な映像が流れるので、最後まで席を立たないように。余談だが日本公開版だけ、エンディング・テーマが、何故か日本人アーティストのオリジナル曲に変更されている。本来ならコールドプレイの新曲が流れるはずなのに…。DVDとBlu-rayには収録されていてほしいな。


私の評価…☆☆☆☆★

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2012年7月 7日 (土)

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 新京都編

るろうに剣心 -<br />
 明治剣客浪漫譚-
るろうに剣心 -<br />
 明治剣客浪漫譚-
劇場:MOVIX京都
原作:和月伸宏
監督:古橋一浩
音楽:朝倉紀行
主題歌:住岡梨奈「七色の風」〔前編「焔の獄(ほむらのおり)〕」、「feel you」〔後編「光の囀(ひかりのさえずり)」〕
声の出演:緋村剣心…涼風真世、神谷薫…藤谷美紀、明神弥彦…富永み〜な、相楽佐之助…うえだゆうじ、比古清十郎…池田秀一、斎藤一…成田剣、巻町操…櫻井智、志々雄真実…池田政典、駒形由美…入絵加奈子、瀬田宗次郎…日高のり子、魚沼宇水…流山児祥、沢下条張…福本伸一、四乃森蒼紫…安原義人、柏崎念至…大木民夫、新井青空…石川正明、新井梓…本多知恵子、新井伊織…松本美和、黒尉…茶風林、増髪…中尾友紀、所長…下崎紘史、重婆…又村奈緒美 他

(写真上…前編と後編別々に上映された映画館のチラシ 写真下…前・後編まとめて上映された映画館のチラシ)


 《実写版公開を前に、予習? 復習?》


 人気漫画「るろうに剣心」といえば、今年8月に佐藤健主演による実写映画版が公開されるが、その前に、テレビアニメ版の放送から15年経ったのを機に、原作・アニメ共に人気の高いエピソードである「京都編」を、同じ声優でリメイクした。話の大筋は勿論オリジナル版と変わらないが、今回は「京都編」のみのヒロインである、御庭番衆・巻町操の目線で描かれている。因みにこれは映画ではなく、セルDVD及びBlu-ray向けとして製作されたものを、一部のシネコン限定で上映しているもので、殆どの劇場が前編と後編を別々に上映しているが、MOVIX京都では前・後編まとめて上映(〜7/13迄)している。


 (前編あらすじ)明治11年初夏。大久保卿暗殺の黒幕である志々雄真実が企む「京都破壊計画」を阻止するために、京都御庭番衆の頭・翁は先代の遺児・巻町操に1つの任を与えた。かつて人斬り抜刀斎と呼ばれ明治維新を裏で支えた男、緋村剣心の探索である。操は東街道を上り、思いびと・蒼紫の消息を知るかもしれないその男を見つける。剣心もまた翁と同じ目的のため、京都に向かっていた。

 (後編あらすじ)翁が斬られるのを目のあたりにした操は、もはや自分は蒼紫を追い求めてはならないと心に決め、京都御庭番衆御頭となることを宣言し、蒼紫を倒すことを剣心に依頼する。京都大火を阻止し、さらにその奥にある志々雄の策略を未然に防がなければ。京都の防衛は薫や弥彦、そして操たち御庭番衆に任せられた。斎藤と佐之助、剣心は大阪港に向かう。そこには巨大な船「煉獄」が停泊していた…。


 8月に公開予定の実写版は、武田観柳(演・香川照之)が敵役となっている事からも分かるように原作の第1部「東京編」が描かれるのだが、今回特別上映されるこのアニメ版は、その後の話である。「東京編」と「京都編」に密接的な繋がりは殆どないので、作品を知らずに実写版を観る人は、その前にこれを観ておけば世界観は掴めるかもしれない。ただ、一応アニメ版のファン向けに作られたのか、台詞上でのキャラクター説明は省かれている。


 今回の製作にあたっては、以前の映像を使うのではなく、全てデジタルで新たに書き起こし、オリジナルと同じ声優で声も新録された。15年前のテレビアニメ版はセルアニメ(一部はCG)だった事を考えると、絵はかなりクオリティーの高いものとなっている。メイン声優の声も全く衰えておらず、観ていて気持ちがいい。


 ただやはり惜しいのは、この「京都編」自体が、原作でもかなりの部分を占めていて結構長編なため、前・後編合わせて2時間弱ではかなり端折っている感が否めず、じっくり描く部分とそうでない部分のメリハリが、もう少しあってもよかった。


 ちなみに僕はこの作品、結構好きで15年前当時ほぼ欠かさず観ていた。アニメ版は先に映画化もされており(「るろうに剣心 維新志士たちへの鎮魂歌(レクイエム)」)、こちらも映画館で観ている。8月公開の実写版も当然観に行くつもりだが、予告編では原作でも有名な、武田観柳による回転式機関砲(ガトリングガン)乱射シーンがチラッと描かれていた。仕上がりがどんな感じになっているか、非常に楽しみである。


私の評価…☆☆☆★

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2012年7月 3日 (火)

ワン・デイ 23年のラブストーリー

ワン・デイ23<br />
 年のラブストーリー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ロネ・シェルフィグ
原作・脚本:デヴィッド・ニコルズ 「ワン・デイ」
出演:アン・ハサウェイ、ジム・スタージェス、ロモーラ・ガライ、レイフ・スポール、ケン・ストット、パトリシア・クラークソンジョディ・ウィッテカー、ジェイミー・シーヴェス、ジョージア・キング、マット・ベリー、マシュー・ビアード 他


 《23年間の7月15日だけに拘った恋愛映画》


 ロンドンとパリを舞台に、男女の23年にわたる恋と友情を毎年7月15日にスポットを当てながら描くという、ちょっと変わった形のラブ・ロマンス。


 大学の卒業式に出会ったエマ(アン・ハサウェイ)とデクスター(ジム・スタージェス)はすぐに意気投合。真面目で恋に不器用なエマとデクスターの関係は、1988年7月15日=“聖スウィジンの祝日”に始まった。以来23年間、親友として一緒に旅行に行ったり、喧嘩をしたり恋の悩みを相談したりしながらそれぞれの人生を歩む。愛する気持ちを心に秘めていたエマだったが、ある年の7月15日にデクスターから他の女性と結婚することを打ち明けられる…。


 長い年月をかけて紡がれる愛を描く映画は多くあり、さほどめずらしくはないのだが、この映画は23年の中の7月15日という1日だけを切り取って、後の日々は観客の想像に任すという、恐らく今までにないパターンの映画である。


 ただ、そういうかたちをとった事によって、内容が些か薄っぺらいものになってしまった感は否めない。原作は多分、もっと濃い内容のものが描かれているのだろうが、中編以上のボリュームがある小説をそのまま映画化しようとすると、とても2時間前後では描ききれないため、映画ではあまり必要ではない部分を、脚本段階で削ぎ落とす事がよくあるが、この映画の場合は、もともと23年間のうちの7月15日という、いわば“点と線”でいう“点”の部分しか描けないという制約で作られた上に、更に凝縮されているため、1つ1つのエピソードをじっくり見せるということが、されていない。


 更にもう1つ。この映画の主演2人は美男美女であるが、映画は設定上1988年〜2011年迄を描き、その時代のトレンド等を巧みに取り入れているのはいいのだが、いかにアン・ハサウェイのような美女であれど、5年〜経てぇばぁ〜人は顔立ちも変わる〜(by中島みゆき)のが普通である。ところがこの2人、不思議な事に20年を過ぎてもなかなか年をとったように見えないのである。少しは老けさせてもいいものだが、アン・ハサウェイなんかイケてないメガネっ娘からショートヘアーでキメキメの美女に変身し、逆に若返って見えるほどだ。


 映画は思わぬところで悲劇がおき、そこからラストの感動へと繋がるはずだったのだろうが、やはり話の薄っぺらさが災いしたのか、さほど感動というものは、僕には無かった。


私の評価…☆☆☆

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