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2012年9月12日 (水)

画皮 あやかしの恋

画皮 あやかしの恋
画皮 あやかしの恋
劇場:T・ジョイ京都
監督・製作:ゴードン・チャン(陳嘉上)
原作:蒲松齢「聊斎志異」より
音楽:藤原いくろう
主題歌:〔オリジナル主題歌〕ジェーン・チャン「画心」 〔日本公開版〕倉木麻衣「儚さ」(オリジナル主題歌に中国語版とは違う意味の日本語詞を当てたもの)
出演:ジョウ・シュン(周迅)、ヴィッキー・チャオ(趙薇)、チェン・クン(陳坤)、スン・リー(孫儷)、チー・ユーウー(威玉武)、ドニー・イェン(甄子丹) 他


 《もう1つの「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」》


 2008年に中国で大ヒットした映画が、ようやく日本に上陸。実際には中国公開の翌年に「沖縄国際映画祭」で上映されているが、そこから一般公開までに約3年もかかってしまった。


 秦から漢にかけての時代、西域での合戦の時、将軍ワン・イェン(チェン・クン)は、盗賊に襲われた美しい少女シャオウェイ(ジョウ・シュン)を救い、故郷に連れ帰る。ワン・イェンの妻、ベイロン(ヴィッキー・チャオ)は、身寄りのないシャオウェイを不憫に思い、家族として迎える。だが、実はシャオウェイは、少女に姿を変えた妖魔だったのだ。ワン・イェンに恋をしたシャオウェイは、妖術を使い、彼を自分に惚れさせて、妻の座を奪おうと企む。そして同じ頃、街では心臓を抉り取られる残酷な殺人事件が連続して起こっていた…。


 この映画の原作「聊斎志異」は、清の時代の中国で書かれた、様々な怪異譚を集めた短編集であり、その中の一編は、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」として、1960年代以降何度も映像化されている。中でも1960年版をリメイクしたレスリー・チャンとジョイ・ウォン主演の1987年版は1989年に日本でも公開され大ヒットした。


 「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」はホラーではあるが、ラブストーリーの色合いが濃かった。それに対してこの「画皮」は、数ある「聊斎志異」の話の中でも、特に“怖い話”として有名なのだそうだ。もちろん、こちらも中国では何度も映画化されていて、最初の映画化が実は中国映画初のホラー映画だったようで、当時映画館でショック死する客が続出したという話もあるという。


 今回のこの映画版は、2009年度の米アカデミー外国語映画賞香港代表作品であり、スタッフが第2の「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」を作ろうとしたのか、剣の達人パンヨン(ドニー・イェン)と、パンヨンと行動を共にする降魔師シア・ビン(スン・リー)という映画オリジナルのキャラクターを登場させ、ホラーというよりは武侠アクション映画のような、ファンタジー色の強いものとなっている。また、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」が、一人旅を続ける独身男と人間の美女幽霊の恋物語だったのに比べ、この「画皮」は、妻帯者(ヴィッキー・チャオが妻役を貫禄たっぷりに演じています)である将軍に、妖魔(原作では“妖狐”)が横恋慕するという、少々生々しい話となっていて、本性を現わす妖狐になった時の姿などの視覚的な怖さも勿論あるが、それよりも女の情念という心理的な恐怖を全面に押し出して描いている。日本の江戸時代に書かれ芝居にも映画にもなっている「牡丹燈籠」によく似ているなあと思ったが、実は「牡丹燈籠」自体が中国の明
の時代の怪異譚集「剪灯新話」の翻案であり、「聊斎志異」が「剪灯新話」に強く影響を受けて書かれたのは事実のようで、好きな男の精気を吸い取っていく「牡丹燈籠」のお露さんと、人間の心臓を喰う妖魔の姿が、少しダブって見えた。


 一応、展開としてはワン・イェンとベイロンに、妖魔シャオウェイが絡む三角関係がメインだが、パンヨンとシア・ビンのもどかしい愛も描かれており、この凸凹コンビによるコメディ部分が、映画の絶妙なスパイスとなっている。妖魔としては修行中の身であるシャオウェイが、自分のせいで死んでしまったワン・イェンに対し、自ら命を絶って、心臓を喰う事で得ていた精気を解放し、好きな男を生き返らせるクライマックスは切ない。


 中国ではこの映画の大ヒット後、同じスタッフで役者を変えてテレビドラマ版も製作された(このドラマ版は日本でも今年8月までBSジャパンで放送されていた)。そして、今年の夏に「画皮2」が公開され、前作を凌ぐ大ヒットとなっている。


 この続編は現在日本公開未定のため、情報が少ないのだが、前作からジョウ・シュンとヴィッキー・チャオ、そしてチェン・クンの3人が引き続き出演しているものの、1作目とは違う役柄、つまり関連性のないオリジナル・ストーリーとなっているようである。動画サイトで確認できる予告編から推察すると、ジョウ・シュンは1作目と似たような妖魔のようだが、今度はヴィッキー・チャオも妖魔役のようで、しかもジョウ・シュンよりも格上の妖魔らしい。1作目が日本では予想外の小規模公開(泣)なので、この続編が日本でもめでたく劇場公開されるかどうかは微妙だが、両国間の政治情勢など吹き飛ばして公開してほしいものである。


私の評価…☆☆☆★

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