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2013年2月

2013年2月28日 (木)

ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀

ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀
劇場:T・ジョイ京都
監督:フィリップ・カデルバッハ
出演:マクシミリアン・ジモシニック、ローレン・リー・スミス、グレタ・スカッキ、ステイシー・キーチ 他


 《飛行船版「タイタニック」》


 豪華客船タイタニック号の沈没、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発と並び、20世紀の3大惨事の1つといわれ、今だに謎が多いドイツの硬式飛行客船ヒンデンブルグ号の爆発炎上事故を描く。本国ドイツでは3時間のTVドラマとして製作されたものだが、それを劇場公開用に110分に再編集。日本ではこちらのバージョンが公開されている。


 1937年、ドイツのフランクフルト。ツェッペリン飛行船会社の設計技師マーテン・クルーガー(マクシミリアン・ジモニシェック)は、操縦していたグライダーが湖に墜落、偶然居合わせた女性ジェニファー(ローレン・リー・スミス)に救助される。マーテンは一目で恋に落ち、その夜、アメリカ領事館のパーティで二人は再会するが、ジェニファーはアメリカの石油会社社長エドワード・ヴァンザント(ステイシー・キーチ)の娘で、ドイツ貴族の息子フリッツ・リッテンベルクという婚約者がいた。ジェニファーの母(グレタ・スカッキ)は、夫がアメリカでヘリウムの輸出解禁に向け奔走中だとスピーチ。アメリカの輸出規制のため飛行船の浮揚ガスとして爆発の危険が高い水素を使用している現状は、ツェッペリン社の会長エッケナー(ハイナー・ラウターバッハ)にとって由々しき問題だった。パーティの最中、エドワードが倒れたとの報せが届き、ジェニファーは母と翌日のヒンデンブルグ号で帰国することになる。マーテンは、父を案じるジェニファーを慰めるが、実は輸出禁止のせいで父の会社が倒産寸前だと打ち明けられる。一方、妻子の予定外のヒンデンブルグ号乗船を知り、エドワードは驚愕、直ちにエッケナーに連絡し2人を下船させるよう依頼する。ジェニファーたちを下船させろとエッケナーから命令されたマーテンはフリッツにその事をうっかり言った途端に襲われ、格闘の末、フリッツは致命傷を負い、「飛行船に爆弾が」と言い残して死んでしまう。そんな中、ヒンデンブルグ号には様々な乗客達が乗り込んでいた。秘密を抱えてドイツから離れようとするケルナー一家、ヴァンザント母娘のお目付役のツェッペリン社社長レーマン、そしてマーテンとフリッツのやりとりの一部始終を見ていた芸人ブローカー…。フリッツ殺害容疑で指名手配されたマーテンは、離陸寸前のヒンデンブルグ号に飛び乗り、身を隠しながら爆弾を探す。だが船内に潜伏していることを地上から通報され、更なる陰謀の渦中に巻き込まれていくのだった…。


 ヒンデンブルグ号の悲劇を扱った映画は、1975年に製作されたパニック映画で、ジョージ・C・スコット主演の傑作「ヒンデンブルグ」があるが、あの映画ではこの悲劇にまつわる幾つかの説の中で、当時は有力視されたナチスの陰謀による人為的爆破説を取り物語が作られていた。


 ところがある程度考察が進んだ現在では、ナチスの陰謀説だけでは不自然な点が多く(国の威信をかけて作り自国民を乗せたものを、わざわざ敵地で人為的ミスにより爆発させるようなことは、いくらナチスでもするだろうか?)、この映画ではナチスは間接的に関わっているにとどまり、新たに有力視されている、自然現象(=飛行中に蓄積された静電気が逃げなかったことによるガス引火)説を盛り込んだものとなっている。


 元が3時間あるものを約50分もカットしているせいなのか、話が詰め込みすぎる。事故に関して諸説あるならばその内の1つを取り上げるか、複数を取るにしても似通った説を描けばいいものを、全く違う2つの説を絡めるので、どう考えても無理矢理な点がたくさんあるのだ。その上、50分のシーンをカットしているのである…。それでも、その編集が上手くまとまっていればなんとかなるのだが、この映画は雑だ。濡れ衣とはいえ指名手配で一部に顔が知れ渡っている人物が、易々と船内に侵入できるように見えるのである。いくらなんでもそれは無かろう。「タイタニック」みたいに架空の恋愛話を絡めたたは良いが、「タイタニック」ほどのドラマ性も悲劇性もナシ。


 もちろんVFXによるヒンデンブルグ号のビジュアルは、ディティールも凝っていて迫力があるし、その中で繰り広げられるアクションも良い。だが、やはりズタズタにカットされた内容ではダメで、DVDやBlu-rayで出る時はやっぱり3時間のバージョンを収録してほしい。恐らく全く違う印象を持つはずだ。


私の評価…☆☆★

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2013年2月26日 (火)

チャップリン・ザ・ルーツ 傑作短編集 Aプロ

チャップリン・ザ・ルーツ
劇場:みなみ会館

上映作品:「成功争ひ」「ヴェニスにおける子供自動車競走」「メイベルの窮境」「泥棒を捕まえる人(本邦初公開)」「夕立」「チャップリンの活動狂」「タンゴのもつれ」「彼の好みの気晴らし」「恋のしごき」

監督・脚本:マック・セネット/チャールズ・チャップリン/メイベル・ノーマンド 他

出演:チャールズ・チャップリン/メイベル・ノーマンド/ロスコー・アーバックル/マック・スウェイン 他


 《喜劇王チャップリンのデビュー作から初期作品9本を上映》


 イギリス出身のチャップリンが、アメリカのキーストン映画社から「成功争ひ」で俳優デビューして、来年で100周年。それを記念して今年から様々なプロジェクトが動いているのだが、この企画もその1つ。


 チャップリンが映画製作をする上で、独立する前に俳優として雇われ、出演していた短編映画のうち、ほぼ完璧に近い状態に修復できたフィルムを63本、一挙上映するもので、今回僕が観たのはチャップリンがデビューした直後、つまりキーストン映画社時代の9作品。


 デビュー作の「成功争ひ」や、放浪紳士チャーリーが、レースを撮影するカメラを何度も横切って邪魔をする「ヴェニスにおける子供自動車競走」は、DVDでも発売されているし、NHKでも何度か放送されているので、観たことがあるという人も多いと思うが、その他は僕もちょっと観たことが無い物で、中でも特に今回は、96年ぶりに発見された「泥棒を捕まえる人」を、日本で初めて公開するということで、実はこれを楽しみに観に行ったのである。


 この「泥棒を捕まえる人」は記録などから、チャップリンのフィルモグラフィーが作られた時既に存在が確認されていたものだったのだが、映画社は潰れ著作権も有耶無耶になっておりフィルムが散逸して所在不明になっていた。


 2010年、あるフィルム収集家が闇市で膨大な量のフィルムを買った。その殆どはゴミのようなものだったのだが、1本だけよく知る人物らしき者が写っているものを発見。調べてみるとそれが「泥棒を捕まえる人」だったというワケだ。実はこれを買った人物こそ、アメリカのフィルム修復の第一人者ポール・E・ギルキ氏である。彼は早速このフィルムのデジタル修復に取り掛かり、欠損部分はあるものの何とか上映できる状態に仕上げたのだ。フィルムではなくDVDでの上映なのは時代の流れなので仕方がないが、それでも観られるというだけで貴重なものである。


 ちなみに、この映画ではチャップリンはチョイ役にすぎず、役柄も既に当時原型ができていた浮浪者チャーリーではなく、何と警官(!)役。いつもとは正反対なのだ。監督と主演は当時キーストン映画社の看板スターだったフォード・スターリング。さらには後に「黄金狂時代」などでチャップリンの引き立て役を演じることになるマック・スウェインも登場。なかなか渋い演技を見せていた。


 この映画の催しは、今まで東京・大阪・神戸・名古屋・鹿児島などで開催されて一応京都がラストになるが、その京都では3月に京都シネマで、今度は現代の弁士やベテラン人気声優の活弁による「チャップリン・ザ・ルーツ」があり、こちらの方でも「泥棒を捕まえる人」は(この映画だけ活弁は無く伴奏のみになるが)上映される。出演する弁士は澤登翠さんや山崎バニラさんなど、声優からは野沢雅子さんや近石真介さん、若本規夫さんや千葉繁さん、山寺宏一さんなど、豪華なキャストである。劇場の編成上お昼前からの上映になるようで、僕は平日観に行けないが、何とか休みの日には観に行きたいところだ。澤登翠さんの活弁は好きなので、観たいんだけどなぁ…。


私の評価…☆☆☆☆★

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2013年2月25日 (月)

第85回米アカデミー賞結果発表!

第85回アカデミー賞結果速報!
主な受賞結果です。

☆作品賞
「アルゴ」

☆主演男優賞
ダニエル・デイ・ルイス(「リンカーン」)

☆主演女優賞
ジェニファー・ローレンス(「世界にひとつのプレイブック」)

☆助演男優賞
クリストフ・ヴァルツ(「ジャンゴ 繋がれざる者」)

☆助演女優賞
アン・ハサウェイ(「レ・ミゼラブル」)

☆監督賞
アン・リー(「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」)

☆長編アニメ賞
「メリダとおそろしの森」

☆外国語映画賞
「愛、アムール」(オーストリア)

☆脚本賞
クエンティン・タランティーノ 「ジャンゴ 繋がれざる者」

☆脚色賞
「アルゴ」

☆美術賞
「リンカーン」

☆撮影賞
「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」

☆衣裳デザイン賞
「アンナ・カレーニナ」

☆編集賞
「アルゴ」

☆メイク・ヘアスタイリング賞
「レ・ミゼラブル」

☆作曲賞
「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」

☆オリジナル歌曲賞
アデル“Skyfall”「007 スカイフォール」

☆音響編集賞
「ゼロ・ダーク・サーティー」、「007 スカイフォール」(同点で2作品が受賞)

☆録音賞
「レ・ミゼラブル」

☆視覚効果賞
「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」

☆ドキュメンタリー賞
「シュガーマン:奇跡に愛された男」

☆ドキュメンタリー短編賞
「イノセンテ(原題)」

☆実写短編賞
「リッチーとの1日」

☆アニメ短編賞
「紙ひこうき」(ディズニー)


 作品賞は「レ・ミゼラブル」か「リンカーン」あたりかと思っていたんだが、「アルゴ」かぁ。


 それにしてもやはりこれはアメリカの賞。去年はフランス映画がこの祭典を賑わせたが、今年は有力候補だったオーストラリア人男優やベテランフランス人女優が落選。やはり、アメリカとイギリス以外の人が受賞するのは、難しいのか。


 とりあえず、主演男優賞以外の俳優賞はほぼ予想通り。「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイは圧巻だったし、観たばかりでまだこのブログに感想をアップしていないが、「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンスも良かった。彼女は2度目のノミネートとなるが、他の作品を観ていても演技力は抜群で、いつ受賞してもおかしくないなと思っていた。


 恐らく「アルゴ」はこれから日本では“凱旋上映”があるだろう。僕はまだ観ていないので、もし上映があったら観に行きたい。

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2013年2月21日 (木)

ダイ・ハード/ラスト・デイ

ダイ・ハード/ラスト・デイ
ダイ・ハード/ラスト・デイ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョン・ムーア
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ブルース・ウィリス(中村秀利)、ジェイ・コートニー(野沢聡)、セバスチャン・コッホ(伊藤和晃)、メアリー・エリザベス・ウィンステッド(園崎未恵)、ユーリヤ・スニギル(加藤忍)、ラシャ・ブコヴィッチ(関俊彦)、コール・ハウザー(宮内敦士)、アマウリー・ノラスコ(落合弘治)、セルゲイ・コルスニコフ(金尾哲夫) 他


 《破壊しまくる勢いだけの映画。それはそれで面白いのだが…》


 前作からは約6年ぶりとなるシリーズ最新作で、現時点ではブルース・ウィリス主演シリーズとしては最終作となる見込みである(娘と息子を主役にして続行させる気配あり)。


 ニューヨーク市警の刑事、ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)が、ボヤキ混じりにモスクワに降り立った。長らく疎遠だったひとり息子・ジャック(ジェイ・コートニー)が、異国で警察沙汰を起こしたため身柄を引き取りにきたのだ。ところがジャックが出廷するはずだった裁判所が突然爆破され、近くに居合わせたマクレーンも吹き飛ばされてしまう。その極限状況下で久々の再会を果たしたマクレーン親子は、なおも謎の武装テロ集団の執拗な攻撃を浴びる羽目に…。


 またも自分達が巻き込まれたと悟った「2人のマクレーン」は、決死の覚悟で巨悪に立ち向かっていくのだが…。


 毎回大災難に巻き込まれる“世界一運の無い男”マクレーン刑事の活躍を描くこのシリーズも、1作目の高層オフィスビルでのテロ事件から、回を重ねる毎にスケールアップし、本作では遂にアメリカを飛び出しロシアを舞台に、またひと暴れすることになった。


 このシリーズはこれまでアクションもさることながら、ストーリーも秀逸なのが、人気作となる所以だったのだが、この最新作は派手なアクションが目立ちすぎてどうもこのストーリーの部分が弱い。マクレーン親子同様、敵方にも父娘の関係があるのだが、この描き方が浅すぎるため、どんな映画にも少しはあるはずの“ドラマ性”といったものが、ちっとも感じられないのだ。


 本作のクライマックスにおけるトンデモなアクションシーンは、そのあちこちに過去シリーズ全てのオマージュが込められているのだが、観た人は分かっただろうか(一番分かりやすいのは敵のオヤジが高所から落下していく場面だろうけど)? 過去シリーズを知るファンなら、そういったものを探す楽しみがあるのだが、そうでない人が観たら詰め込み過ぎ感がいっぱいになるのは否めない。散々破壊の限りを尽くして、それが正義というのはいかにもアメリカらしいのだが、果たしてそれでいいのか(笑)。


 ちなみに僕は、今回字幕版を観たのだが、吹き替え版では前作までブルース・ウィリスの声を担当した故・野沢那智氏に代わり、野沢氏の弟子である中村秀利が担当。また息子役の声は野沢氏の実の息子で俳優の野沢聡が担当と、実に粋な配役になっている。吹き替え版が好きな人は、聴き比べてみてはいかがだろうか。


私の評価…☆☆★

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2013年2月17日 (日)

DOCUMENTARY of AKB48 NO FLOWER WITHOUT RAIN 少女たちは涙の後に何を見る?

DOCUMENTARY of AKB48
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:高橋栄樹
音楽:大坪弘人
主題歌:AKB48「After rain」
出演:AKB48(篠田 Team A、大島 Team K、梅田 Team B、研究生)、SKE48(Team S、Team KII、Team E、研究生)、NMB48(Team N、Team M、Team BII、研究生)、HKT48(Team H、研究生)JKT48(Team J)、SNH48、〔以下、特別出演〕前田敦子、城恵理子、平嶋夏海、米沢瑠美、光宗薫、増田有華

ナレーション:伊藤歩


 《去年よりもダークに描いた、人気グループの光と影》


 人気グループAKB48のドキュメンタリー映画第3弾。今回は2005年の結成から7年に及ぶ第1章の軌跡と、これからの新時代の第1歩に密着。“不動のエース”前田敦子の卒業と、念願だった東京ドーム公演を軸に、エース無き後の次期センター争いや、恋愛禁止事項を破ったために活動辞退したメンバーや、学業優先のため卒業した城恵理子、体調不良を理由に活動を辞退した光宗薫らの姿も赤裸々に描いていく。


 今回の映画は、前回2011年の活動以上に激動だったこの人気グループの昨年の活動をまとめたものである。それ故に、過去2作に比べかなりダークな内容になっている。


 だが、たとえドキュメンタリーとはいえ、映画として客に見せるためには、単調な映像を淡々と見せるだけでなく、明るく華やかな部分も必要なのだが、本作はその部分があまりにも少ない。この単調な映像を2時間も見させられるのは、ファンならともかく、そうでない人には苦痛以外のなにものでもない。終盤には衝撃の告白があるのだが、公開と同時にスポーツ紙にスッパ抜かれているようでは、ハッキリ言って興醒めだ。ほぼ同時に峯岸みなみの問題が出てきたのも痛い。本編で言っている事とやっている事が違うではないか(笑)。


 去年の第2弾を観た時にも似たような事をここで書いたかもしれないが、このグループは2期くらいまでのメンバーが何らかの形で残り、人気を保った上で後のメンバーを育てていける限りは、たぶんグループとしての人気も保っていけるだろうし、永く継続していく事も可能だろうと思う。少なくともハ○プロのような凋落っぷりは無いだろう。


 今は人気者が1人や2人抜けていっても、ちゃんとその穴埋めができる人材が揃っているこのグループ。今年はこの後どんなサプライズが待っているのか、その行く末や、如何に…?


私の評価…☆☆☆

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2013年2月15日 (金)

【ぶんぱく青春映画祭】太陽を盗んだ男(1979年)

【ぶんぱく青春映画祭】太陽を盗
劇場:京都文化博物館フィルムシアター
監督:長谷川和彦
原作:レナード・シュナイダー
音楽:井上堯之
出演:沢田研二、菅原文太、池上季実子、北村和夫、佐藤慶、伊藤雄之助(友情出演)、風間杜夫、汐路章、石山雄大、江角英明、水谷豊、小松方正、西田敏行、草薙幸二郎、戸川京子、山添三千代、鹿股裕司、香山リカ、林美雄 他


 《反天皇制に核問題と危険極まりない内容なのに、面白い!》


 この数日、自分にとって悲しい出来事があり、なかなか書く気になれなかった。これも先週に観た映画だ。


 東海村の原子力発電所が1人の賊に襲われた。警察庁長官の「盗難の事実は一切ない」という公式発表に山下警部(菅原文太)は疑問を抱いていた。その頃、中学の物理の教師、城戸誠(沢田研二)は自分の部屋で、宇宙服スタイルで原爆を作っていた。城戸は完成した原爆の強大な力で、警察に「テレビのナイターを最後まで放映しろ」と要求、連絡相手を山下警部に指名した。何故なら、東海村襲撃の下見を兼ねて生徒たち(戸川京子、山添三千代、鹿股裕司、香山リカ 他)と原発を見学した帰り、機関銃と手榴弾で武装した老人(伊藤雄之助)にバスジャックされたとき、生徒を救出し、弾を受けながら犯人を逮捕した男が山下で、教師に飽きた自分と比べ、仕事に命を張った山下に魅力を感じたのだ。犯人の第二の要求は麻薬で入国許可の下りないローリングストーンズ日本公演だった。次に城戸は原爆を作るのにサラ金から借りた50万円を返すために5億円を要求した。金の受け渡しに犯人と接触できると、山下は張り切った。金を受け取った時、警察に包囲された城戸は、札束をデパートの屋上からばらまいた。路上はパニックと化し、そのドサクサに城戸は何とか逃げ出す。やがて、城戸は武道館の屋上で山下と再会、二人は取っ組み合ううち、路上に転落、山下は即死するが、城戸は原爆を抱いたまま木の枝に引っ掛かって命拾い。タイムスイッチのセットされた原爆を抱いて街を歩く城戸。そして城戸の腕の中で、強烈な光が…。


 1976年に製作・公開されたもので、よく東宝がこんな映画上映したなぁと、今じゃ絶対作ることはできないであろう怪作だ。何せ反天皇制に核保有問題など、早々迂闊には扱えないものを含みながらも、娯楽映画としての荒唐無稽な展開も描かれるトンデモ作なのである。特に、皇居前でのバスジャックの場面などは、警察による道路使用許可がおりてないにも関わらずゲリラ撮影を敢行し、お濠に向かって手榴弾を投げ着弾させているのである。よく警察ざたにならなかったものだ。俳優たちの表情もリアル感たっぷりである。


 ちなみに、この映画は公開後の1980年代にVHSやLDが発売されていたが、この2つが廃盤となった以降は封印され、一時期視聴困難となっていた。もちろんこの映画で描かれる手法では小型の原爆は作れないようなのだが、そんなこと関係なく内容が危険すぎるからなのであろう。1999年にLDが復刻され、2001年には遂にDVDが発売されたため、置いてあるレンタル店もあるだろうから、興味のある人は是非、観て損は絶対にしない映画である。


私の評価…☆☆☆☆

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2013年2月 7日 (木)

アウトロー(トム・クルーズ主演版)

アウトロー(トム・クルーズ版)
アウトロー(トム・クルーズ版)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:クリストファー・マッカリー
原作:リー・チャイルド「ワン・ショット」
出演:トム・クルーズ、ロザムンド・パイク、リチャード・ジェンキンス、ロバート・デュヴァル、デヴィッド・オイェロウォ、マイケル・レイモンド=ジェームズ、ジェームズ・マーティン・ケリー、ニコール・フォレスター、アレクシア・ファスト、ジョセフ・シコラ、ジェイ・コートニー、ヴェルナー・ヘルツォーク 他


 《トム・クルーズ主演作の中でもかなり硬派な映画》


 リー・チャイルド原作の「ジャック・リーチャー」シリーズからの一編を映画化。なお、映画のチラシ等で“トム・クルーズ新たなシリーズ誕生”とうたっているが、現時点でこれは単なる宣伝文句であり、映画のシリーズ化が決まったわけではない。


 ピッツバーグ近郊。白昼に6発の銃弾が発射され5人が殺害された事件で、元米軍スナイパーのジェームズ・バーが逮捕された。証拠が全て揃えられ自白を強要された彼は、黙秘を続け「ジャック・リーチャーを呼べ」と紙に書いて要求する…。


 警察がリーチャーの身元を掴めない中、突然リーチャー(トム・クルーズ)が現われる。かつて軍の秘密捜査官をしていた彼は、事件のある矛盾点に気付きはじめていく。完璧に訓練された凄腕のバーが、1発でも外すわけがない。それに、証拠があまりにも揃い過ぎている…。


 リーチャーは己の正義に従い、手段を選ばず、この一見単純に見える完全犯罪の真相を炙り出していくのだった…。


 主人公は、目的のためなら手段を選ばず、自分のルールに従って、たった1人で悪に鉄槌を食らわす一匹狼。まるで「ダーティハリー」を彷彿とさせる設定だが、アクの強いイーストウッド(そういやイーストウッド主演の「アウトロー」もあったな あっちは西部劇で本作とは関係ないが)とは全く違うタイプのトム・クルーズが演じると、古くさい雰囲気の映画の中に、何か異質なものが飛び込んでいるような感覚になる。


 まぁ、それは今までのイメージに無いものとして新鮮味を与えているかもしれないが、主人公がやっていることは、情報は足で稼げとばかりに犯行現場を歩いたり、周辺の聞き込みからヒントを拾って、真相を探っていくなど、とにかく地味(笑)。最近の犯罪アクションものに目が慣れている人にとって、この映画は少々退屈なものになるかもしれない。


 加えて悪役がドイツの映画監督ヴェルナー・ヘルツォークなのだが、コイツが何ともヘナチョコで全然迫力ナシ。仲間と共にヒロインをアジトに監禁したはいいが、リーチャーにそこを急襲されると、あっさり決着がついてしまうのは、なんともはやである。


 今後これがシリーズ化されるか否かは、この映画の評価とアメリカでの成績次第だろうが、とりあえず世界的にヒットしているところを見ると、必須条件はクリアしているようだ。トム・クルーズの年齢を考えると、そう多くは作れないかもしれないが、もう少し渋味が出てくれば、似合うキャラになってくるはずなので、期待したい。


私の評価…☆☆☆

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2013年2月 4日 (月)

【映画は大映 第2弾】大魔神(1966年)

【映画は大映 第2弾】大魔神
劇場:梅田ガーデンシネマ
製作:永田雅一
監督:安田公義
特撮・特技監督:黒田義之
音楽:伊福部昭
出演:高田美和、青山良彦、二宮秀樹、藤巻潤、五味龍太郎、島田竜三、遠藤辰雄、月宮於登女、伊達三郎、出口静宏、尾上栄五郎、黒木英男、伴勇太郎、杉山昌三九、橋本力 他


 《日本スペクタクル時代劇の傑作》


 前年公開され大ヒットした、大映東京製作の「大怪獣ガメラ」に対抗すべく、大映京都が製作したスペクタクル時代劇。チェコスロバキア映画「巨人ゴーレム」(1936年・ジュリアン・デュヴィヴィエ監督)で描かれたゴーレム伝説を基に、舞台を日本の戦国時代に置き換え、民話等の伝説をも取り入れてストーリーが構成されている。


 時は戦国、丹波のある山里の城下に恐ろしい魔神の伝説があった。この魔神は武神によって山奥の岸壁に封じこまれていたが時々暴れ出ようと、地響きをたてて人心を脅かし、領民は魔神封じの祭りをして、平和を祈った。その祭の夜、城内に家老大舘左馬之助(五味龍太郎)一味の謀反が起こり、城主花房忠清(島田竜三)夫妻は討たれ、遺児忠文(二宮秀樹)と小笹の2人は近臣猿丸小源太(藤巻潤)とともに魔神封じの巫女信夫(月宮於登女)の手引きで、武神像の傍らの洞窟で成長をとげた。その間勢力を増した左馬之助は重税をかけ、領民の恨みをかった。城増築の大工事の作業員に紛れた花房の遺臣たちは、連絡のため山を降りたが、またも軍十郎(遠藤辰雄)の罠に陥り、取り押さえられた。成長した忠文(青山良彦)や小笹(高田美和)らの安否を気遣う信夫は、左馬之助を訪ね、山の神の怒りの恐ろしさを伝え、彼の暴虐なふるまいを戒めた。しかし左馬之助はかえって、山の神像を壊し、花房残党と領民の結びつきを切ると放言し反対する信夫を斬殺、軍十郎に神像破壊の命
令を下した。山に残された小笹と百姓茂助の子竹坊(出口静宏)は、忠文、小源太らが明朝処刑されるのを聞き、信夫が亡くなったのを知った。神像破壊に苛立つ軍十郎は、タガネを神像の額に打ち込んだ。傷口から鮮血が落ちたと見るや、稲妻、雷鳴、地割れが起こり、軍十郎は物凄い地割れの中に飲み込まれた。小笹らは、兄たちの命を気遣い必死に武神像に祈り続け自分の命にかえてもと大滝へ身を投げようとした瞬間、大地は震動して、神像は巨大な魔神の姿となって現われた…!


 今、梅田ガーデンシネマでは日替わりで2週間ほど「大映名作映画特集」が上映されているのだが、その中で、どうしてもスクリーンで見たかったのがコレ。デジタルリマスターではなく、恐らく普通のニュープリントなのだろうか、オリジナルプリントに起因する傷が多かったが、見るにはほぼ支障がなく、楽しむことができた。


 前述の「大怪獣ガメラ」は、実は大映京都製作「新鞍馬天狗 五條坂の決闘」(監督・黒田義之、主演・市川雷蔵)の併映作品であり、「新鞍馬天狗〜」をヒットさせるための添え物的な扱いだったのだが、会社の思惑とは裏腹に「ガメラ」がヒットし「新鞍馬天狗」は消えていく。「大魔神」はいわば「新鞍馬天狗」の弔い合戦として企画されたもので、「大怪獣ガメラ」がモノクロなのに対して「大魔神」は総天然色(イーストマンカラー)。撮影方法にも拘っており、「ガメラ」に負けてなるものか! という大映京都スタッフの気迫が伝わってくる。


 製作費は当時のお金で1億円。その殆どを特撮に費やす事になったため、有名スターは使わず、若手や大部屋俳優を起用した。その中には後に「東京警備司令 ザ・ガードマン」など、テレビドラマでも活躍する藤巻潤や、同じくテレビドラマ「京都殺人案内」シリーズで藤田まことと絶妙なやりとりを見せる遠藤辰雄(後に芸名を太津朗に改名)らの名前が見られる。でも、男性だったらやっぱり目がいくのはヒロインだ。高田美和は歌う俳優高田浩吉の娘で、御年66歳ということはこの撮影当時は18か19歳。当時から清楚な役柄が多かったらしいのだが、この映画の女性キャラはこの人が演じる小笹と、月宮於登女が演じる婆さんくらいなので、男臭い中一服のオアシスのような感じで、可愛いのである。


 この「大魔神」はヒットし(製作費がバカ高くかかったため配収1億円で収益もトントンだったらしいが)、戦国時代の設定はそのままにキャストを変えて続編も2作作られた。その後もリメイクの話が立っては消えということを繰り返していたが、2000年代に入ってからテレビドラマになっている。ただ、それは本来の設定とはかけ離れ、時代劇ではなく現代劇であった。やっぱりこの魔神が似合うのは現代ではなくチョンマゲの時代だ。次に作られるとしたらやはり時代劇でやってほしい。


 ちなみに、僕は高校卒業後、某専門学校に通っていたのだが、実は特撮・特技監督の黒田義之監督はそこの映像学科で非常勤の講師をされていた(某とか言って調べたらすぐわかるんだけど)。代表作の「妖怪大戦争」がリメイクされた少し後に、何かの講演で車椅子姿で出席されたのを、ネットか何かの写真で見たのだが、今はどうされているのかな? ちょっと懐かしく思った。


私の評価…☆☆☆☆★

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「スター・ウォーズ」旧作の3D再上映計画が中止に

 「スター・ウォーズ」6部作を3D化して再上映する計画が中止になったと、Deadlineが報じた。

 2010年9月に、ルーカスフィルムと当時の配給会社である20世紀フォックスは、全6作を3D化して再上映すると発表。12年2月に全米公開された「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス 3D」を皮切りに、「スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃」を13年9月20日、「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」を13年10月11日に全米公開する予定だった。

 しかし、昨年ルーカスフィルムを40億5000万ドルで買収したウォルト・ディズニーは、計画中止を決定。旧作の3D化よりも新3部作の製作に集中する考えだという。「エピソード1 ファントム・メナス 3D」の全米興行収入は期待外れの2300万ドルで、「美女と野獣(1991)」や「モンスターズ・インク」といったアニメの3D化の観客動員も芳しくないことから、打ち切ることを決断したようだ。

 なお、ディズニー傘下で製作されるシリーズ最新作「スター・ウォーズ エピソードVII」は、15年の公開予定。脚本は「リトル・ミス・サンシャイン」「トイ・ストーリー3」のマイケル・アーント、監督はヒットメーカーのJ・J・エイブラムスになると正式に発表されたばかりだ。


 まぁ、ほんのちょっと映像が変わっているだけで、中身が殆ど同じものを観てもしょうがないか。

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アンナ・パキン、ショーン・アシュモアら3人が「X-MEN」最新作にカムバック

 20世紀フォックスの大ヒット作「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」の続編「X-Men: Days Of Future Past(原題)」に、旧3部作に出演したアンナ・パキン、ショーン・アシュモア、そしてエレン・ペイジ(「X-MEN:ファイナル・デシジョン」のみ)がカムバックすることが明らかになった。同作のメガホンをとるブライアン・シンガー監督がTwitterで認めた。

 パキンはマリー/ローグ役、アシュモアはボビー/アイスマン役、ペイジはキティ/シャドウキャット役をそれぞれ演じた。同続編にはすでに、旧3部作からイアン・マッケラン、パトリック・スチュワート、ヒュー・ジャックマンも復帰することがわかっている。


 一方、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」のジェームズ・マカボイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルトらも続編に再結集する。同じキャラクターの若き日と老年期を演じる俳優たちが一堂に会することになるが、現在と未来が交錯した内容になるという。

 「X-Men: Days Of Future Past(原題)」は4月のクランクイン、2014年7月18日の全米公開が予定されている。


 最初にパトリック・スチュワートらの復帰が報じられた時から、ある程度予想はしていたが、やはりそうなるのか!

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