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2013年2月28日 (木)

ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀

ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀
劇場:T・ジョイ京都
監督:フィリップ・カデルバッハ
出演:マクシミリアン・ジモシニック、ローレン・リー・スミス、グレタ・スカッキ、ステイシー・キーチ 他


 《飛行船版「タイタニック」》


 豪華客船タイタニック号の沈没、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発と並び、20世紀の3大惨事の1つといわれ、今だに謎が多いドイツの硬式飛行客船ヒンデンブルグ号の爆発炎上事故を描く。本国ドイツでは3時間のTVドラマとして製作されたものだが、それを劇場公開用に110分に再編集。日本ではこちらのバージョンが公開されている。


 1937年、ドイツのフランクフルト。ツェッペリン飛行船会社の設計技師マーテン・クルーガー(マクシミリアン・ジモニシェック)は、操縦していたグライダーが湖に墜落、偶然居合わせた女性ジェニファー(ローレン・リー・スミス)に救助される。マーテンは一目で恋に落ち、その夜、アメリカ領事館のパーティで二人は再会するが、ジェニファーはアメリカの石油会社社長エドワード・ヴァンザント(ステイシー・キーチ)の娘で、ドイツ貴族の息子フリッツ・リッテンベルクという婚約者がいた。ジェニファーの母(グレタ・スカッキ)は、夫がアメリカでヘリウムの輸出解禁に向け奔走中だとスピーチ。アメリカの輸出規制のため飛行船の浮揚ガスとして爆発の危険が高い水素を使用している現状は、ツェッペリン社の会長エッケナー(ハイナー・ラウターバッハ)にとって由々しき問題だった。パーティの最中、エドワードが倒れたとの報せが届き、ジェニファーは母と翌日のヒンデンブルグ号で帰国することになる。マーテンは、父を案じるジェニファーを慰めるが、実は輸出禁止のせいで父の会社が倒産寸前だと打ち明けられる。一方、妻子の予定外のヒンデンブルグ号乗船を知り、エドワードは驚愕、直ちにエッケナーに連絡し2人を下船させるよう依頼する。ジェニファーたちを下船させろとエッケナーから命令されたマーテンはフリッツにその事をうっかり言った途端に襲われ、格闘の末、フリッツは致命傷を負い、「飛行船に爆弾が」と言い残して死んでしまう。そんな中、ヒンデンブルグ号には様々な乗客達が乗り込んでいた。秘密を抱えてドイツから離れようとするケルナー一家、ヴァンザント母娘のお目付役のツェッペリン社社長レーマン、そしてマーテンとフリッツのやりとりの一部始終を見ていた芸人ブローカー…。フリッツ殺害容疑で指名手配されたマーテンは、離陸寸前のヒンデンブルグ号に飛び乗り、身を隠しながら爆弾を探す。だが船内に潜伏していることを地上から通報され、更なる陰謀の渦中に巻き込まれていくのだった…。


 ヒンデンブルグ号の悲劇を扱った映画は、1975年に製作されたパニック映画で、ジョージ・C・スコット主演の傑作「ヒンデンブルグ」があるが、あの映画ではこの悲劇にまつわる幾つかの説の中で、当時は有力視されたナチスの陰謀による人為的爆破説を取り物語が作られていた。


 ところがある程度考察が進んだ現在では、ナチスの陰謀説だけでは不自然な点が多く(国の威信をかけて作り自国民を乗せたものを、わざわざ敵地で人為的ミスにより爆発させるようなことは、いくらナチスでもするだろうか?)、この映画ではナチスは間接的に関わっているにとどまり、新たに有力視されている、自然現象(=飛行中に蓄積された静電気が逃げなかったことによるガス引火)説を盛り込んだものとなっている。


 元が3時間あるものを約50分もカットしているせいなのか、話が詰め込みすぎる。事故に関して諸説あるならばその内の1つを取り上げるか、複数を取るにしても似通った説を描けばいいものを、全く違う2つの説を絡めるので、どう考えても無理矢理な点がたくさんあるのだ。その上、50分のシーンをカットしているのである…。それでも、その編集が上手くまとまっていればなんとかなるのだが、この映画は雑だ。濡れ衣とはいえ指名手配で一部に顔が知れ渡っている人物が、易々と船内に侵入できるように見えるのである。いくらなんでもそれは無かろう。「タイタニック」みたいに架空の恋愛話を絡めたたは良いが、「タイタニック」ほどのドラマ性も悲劇性もナシ。


 もちろんVFXによるヒンデンブルグ号のビジュアルは、ディティールも凝っていて迫力があるし、その中で繰り広げられるアクションも良い。だが、やはりズタズタにカットされた内容ではダメで、DVDやBlu-rayで出る時はやっぱり3時間のバージョンを収録してほしい。恐らく全く違う印象を持つはずだ。


私の評価…☆☆★

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