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2013年3月

2013年3月28日 (木)

クラウド アトラス

クラウド アトラス
劇場:MOVIX京都
監督:ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ
原作:デイヴィッド・ミッチェル「クラウド・アトラス」
出演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェームズ・ダーシー、ジョウ・シュン、キース・デイヴィッド、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント 他


 《複雑な構成で描かれているが、面白い一面も》


 2004年に発表された原作小説をもとに、19世紀末から文明崩壊後の異なる時代に舞台を置いた6つのエピソードを、群像劇の形式の1つである“グランドホテル形式”で描くSFドラマ映画。主要キャストは1人につき複数の人物を演じ分け、各エピソードによって主役と脇役が入れ替わる複雑な構成となっている。


 初老の男ザックリー(トム・ハンクス)には、時空を超えたいくつもの“自分”の物語があった。1849年の太平洋諸島。“彼”は医師ヘンリー・グースとして弁護士ユーイング(ジム・スタージェス)と出会う。ユーイングはホロックス牧師(ヒュー・グラント)と奴隷売買の契約を交わす。島で罹患したユーイングに、グースは無料の治療を買って出る。1936年、ユーイングの航海日誌を読む音楽家フロビシャー(ベン・ウィショー)は父親に勘当され、恋人シックススミス(ジェームズ・ダーシー)のもとを離れて、スコットランドの作曲家エアズ(ジム・ブロードベント)の家へ押し掛ける。フロビシャーはエアズの採譜者を務めながら、後に幻の名曲となる「クラウド アトラス六重奏」を作曲する。フロビシャーからの最後の手紙をシックススミスが受け取った37年後の1973年、サンフランシスコ。物理学者となったシックススミスは、人名に関わる原発の報告書をジャーナリストのルイサ(ハル・ベリー)に託そうとして殺される。原発の従業員アイザック・スミスである“彼”はルイサと恋におち、会社を裏切る決意をする。2012年のロンドンで“彼”は作家ダーモット・ホギンズとして著書を酷評した書評家を殺し、カルト的英雄となる。大儲けした出版元のカベンディッシュ(ジム・ブロードベント)はダーモットの弟たちに脅迫される。2144年、遺伝子操作で作った複製種を、人間が支配する全体主義国家ネオ・ソウル。複製種ソンミ451(ペ・ドゥナ)は密かにカベンディッシュ原作の映画を観て自我に目覚める。革命軍チャン(ジム・スタージェス)と恋におちた彼女は、自ら反乱を率いる。ソンミが女神として崇められる地球崩壊後106度目の冬の地で、進化した人間コミュニティからの使者メロニム(ハル・ベリー)が若き日のザックリーの村を訪れる。ザックリーがガイド役となり悪魔の地と呼ばれる険しい山の山頂に辿り着くと、メロニムの驚くべき使命が明かされる…。


 主要キャストは最大で1人6役(トム・ハンクス)を演じ、6つのエピソードが同時進行する。うーん、なんてややこしい映画なんだ(笑)! それで上映時間が約3時間。それだけでちょっと退いてしまう人もいると思うが、この映画は簡単にいうとヒンドゥー教や仏教思想にある“輪廻転生”を描いたものである。


 ただ、この映画の輪廻転生は1つの形として描いているだけで、宗教色はほぼ排除されている。ここで描かれる登場人物たちは、何度でも過ちを繰り返す“宿業”を体現しながら、それによって訪れる死を未来への希望へと変えていく。


 どのエピソードも見応えはあるが、特にペ・ドゥナがアンドロイド役で出てくる「ソンミ451のオリゾン」のパートは、さすがに「マトリックス」を作ったウォシャウスキー姉弟らしい、格好いい出来。ここではペ・ドゥナはソンミ451と無数のクローンを演じるのだが、この部分が全体のストーリーの大きな分岐点になるため、最も印象に残る。なぜかここには同じアンドロイド役で中国の人気女優ジョウ・シュンも出ているのだが、だったら日本人女優も誰か出てほしかったなとは思った。


 この映画、最初にも書いたように、主要キャストがエピソードごとに違うキャラを演じ分ける。誰がどういう役をやっているかはエンドロールで種明かしがあるのだが、単純に男が男、女が女を演じるだけではないのが見ていて楽しい。ハル・ベリーが演じる役は白人や男性、宇宙人(笑)とバリエーションが多く、ヒューゴ・ウィーヴィングは「マトリックス」同様ほとんどのエピソードで悪役を演じているのだが、あるエピソードでかなりガタイのイイ女性を演じており、このシーンは思わず吹き出してしまった。上映時間はかなり長いが、飽きさせる事は無い作りであるのだけは確かなようだ。


私の評価…☆☆☆☆

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2013年3月24日 (日)

キャビン

キャビン
劇場:MOVIX京都
監督:ドリュー・ゴダード
出演:クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、ジェシー・ウィリアムズ、リチャード・ジェンキンス、ブラッドリー・ウィットフォード、ブライアン・ホワイト、エイミー・アッカー、ティム・デザーン、ジョデル・フェルランド、マット・ドレイク、ダン・ペイン、ダン・シェア、マヤ・マッサー、トム・レンク 他


 《本物のネタバレ厳禁映画とは、こういう映画の事を言う》


 この映画は当初2010年に公開予定だったが、撮影後に一旦3D変換される事になり公開が1年延期、そしてさらに本来配給するはずだったMGMの経営破綻によりさらに無期限延期となり、2011年4月に配給権がライオンズゲートに移った事でようやく公開にこぎつけた映画である。アメリカでのスマッシュ・ヒットを受けて、日本でも公開する運びとなった。


 夏休みに山へ探索に出かけた大学生5人組は、小屋の地下で謎の日記を手にする。そして、そのページをめくった途端、何者かが目覚め、大学生たちは次々と殺されていく。その裏では、ある組織が大学生たちがホラー映画などによくありそうな定番の死に方をするように仕向けていた。そこには、世界を揺るがすような秘密があった…。


 「クローバーフィールド/HAKAISHA」の脚本家ドリュー・ゴダードの監督デビュー作は、やはり普通のホラーとは一味違う、ひねりの効いた“怪作”となった。これはホラー映画ファンほど騙され、楽しめる映画である。


 これほど“ネタバレ”に気を付けて書かなければならない映画も珍しい。舞台はホラー映画によく有りがちな山奥の古い小屋。あるきっかけでそこに集められた5人の若者が、惨劇に巻き込まれる。と、ここまではよくある話なのだが、その小屋を監視している連中がおり、何やら怪しいプロジェクトを実行しようとしているのである。


 本作のベースになっているのは「クトゥール神話」という事で、物語の雰囲気などは、同じものからヒントを得ていて近々リメイク版の公開が控えている「死霊のはらわた」に似ているが、本作はホラーの定番を描きながら、その中盤からあえてその定番を覆す展開を見せていく。それ故に、ホラーを見慣れた映画ファンでも先を読むのが難しく、あちらこちらに張られた伏線も、上手い具合に処理されていくので、面白いしここでそれを書いても面白さが半減してしまうので、書けないのである。


 中盤から物語の終息に向けての怒濤の展開も楽しいが、終盤にはSFホラー映画ファンには嬉しい“アノ人”が唐突に出てくる。もう、これだけでもホラーファンは大満足だ。


 これほど“楽しい”ホラー映画を観たのは「ザ・グリード」(出演:トリート・ウィリアムス、ファムケ・ヤンセン)以来である。上映期間は長くないだろうが、ホラーファンなら見て絶対に損はしない。


私の評価…☆☆☆☆

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2013年3月20日 (水)

フライト

フライト
フライト
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ロバート・ゼメキス
出演:デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、ケリー・ライリー、ジョン・グッドマン、ブルース・グリーンウッド、メリッサ・レオ、ブライアン・ジェラティ、タマラ・チュニー、ナディーン・ベラスケス、ジェームズ・バッジ・デール、ガーセル・ボヴェイ 他


 《デンゼルの映画にハズレなしと、思っていたが…》


 このところ、CGアニメ映画の監督業が続いていたロバート・ゼメキスにとっては、「ホワット・ライズ・ビニース」以来約12年ぶりの実写映画である。


 フロリダ州オークランド発、アトランタ行きの旅客機に乗り込んだウィップ・ウィトカー機長(デンゼル・ワシントン)。一流の操縦テクニックを誇る彼は、この日も激しい乱気流を鮮やかに切り抜け、機体が安定すると飛行機を副操縦士に任せて眠ってしまう。だが突然の急降下が、ウィトカーの眠りを破る。機体は制御不能、車輪を出し、燃料を捨て、あらゆる手段で速度を落とそうとするが、降下は止まらない。緊迫するコックピットでウィトカーは、機体を逆さまにする背面飛行を決行する。その後、高度は水平に保たれ、前方に草原が現れると、ウィトカーは機体を元に戻し、決死の不時着に挑むのだった…。


 アトランタの病院で目覚めたウィトカーは、パイロット組合幹事のチャーリー(ブルース・グリーンウッド)から、102人中生存者は96人だったと告げられる。高度3万フィートからのそれはまさに奇跡の着陸だった。しかし密かに付き合っていた客室乗務員のトリーナ(ナディーン・ベラスケス)が亡くなったと聞き、ウィトカーはショックを受ける。見舞いに来た友人のハーリーン(ジョン・グッドマン)が、興奮して世の中の騒ぎをまくしたてる。マスコミがウィトカーの偉業を称え、彼は一夜にしてヒーローになったのだ。


 翌朝、チャーリーに呼び出されたウィトカーは、弁護士のヒュー・ラング(ドン・チードル)を紹介される。フライト・レコーダーから、事故の真相は機体の故障だと解明されるはずなのに、なぜ弁護士が必要なのかと声を荒げるウィトカー。実は調査委員会で、ある重大な疑惑が浮上していた。事故後、乗務員全員に行われた検査の結果、ウィトカーの血液中からアルコールが検出されたのだ。それが事故の原因と特定されれば、ウィトカーは過失致死で終身刑となる。一方、10人のパイロットに挑戦させた事故のシミュレーションでは、全員が図面に激突、全乗客が死亡、ウィトカーの神の腕が証明される。だがマスコミが疑惑を嗅ぎつけ始める中、ある客室乗務員はウィトカーを命の恩人だと感謝しながらも、彼に有利な証言を断り、副操縦士はTVのインタビューで思わせぶりな発言をするのだった。


 心の拠り所だった一人息子にも罵られ、次第に追いつめられていくウィトカー。そして、全てが白日の下にさらされる公聴会の日がやってくる…。


 今までのデンゼル主演の映画はハズレが無かったが、この映画はどうだろう? この映画、予告編を見た限りでは、パニック映画のような感じがするのだが、実際パニック映画のような演出がされているのは最初の30分程で、あとの部分はアル中&ドラッグ中毒のウィトカー機長を中心とした人間ドラマである。


 デンゼルは、今年度のアカデミー賞にもノミネートされていた通り、複雑な性格を持った難役を無難にこなしているが、こんなキャラクターに共感を得る人なんているのだろうか? さすがに最後はちょっとだけ救われる場面で終わるのだが、今回は心動かされる映画ではなかった。確かに、この映画は現代のアメリカ人が抱える問題を浮き彫りにしてはいるが、ちょっと内容的に詰め込みすぎな感があり、もう少しその辺のところを絞って描けていれば良かったのではないかと思う。


私の評価…☆☆☆

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2013年3月17日 (日)

オズ はじまりの戦い 3D

オズ はじまりの戦い 3D
オズ はじまりの戦い 3D
劇場:MOVIX京都
監督:サム・ライミ
原作:ライマン・フランク・ボーム「オズの魔法使い」
音楽:ダニー・エルフマン
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジェームズ・フランコ(花輪英司)、ミラ・キュニス(小林沙苗)、レイチェル・ワイズ(甲斐田裕子)、ミシェル・ウィリアムズ(園崎未恵)、ザック・ブラフ(小森創介)、ジョーイ・キング(飯野茉優)、アビゲイル・スペンサー(石松千恵美)、ビル・コッブス(塾一久)、トニー・コックス(多田野曜平)、テッド・ライミ(宗矢樹頼)、ブルース・キャンベル 他


 《サム・ライミ流の映画“愛”》


 ライマン・フランク・ボームの原作を元に、若き日の奇術師オズの姿を描く、1939年に製作された映画「オズの魔法使い」(ヴィクター・フレミング監督、ジュディ・ガーランド主演)の前日譚。


 カンザスのサーカス一座のマジシャン「オズ」(ジェームズ・フランコ)は、その魅力と口の上手さを武器に、いつか「偉大な男」になることを夢見ていた。ある日、竜巻に飛ばされて魔法の国オズに迷い込んだ彼は、たまたま名前が同じだったために、この国の予言に残る〈偉大なる魔法使い〉だと誤解されてしまう。西の魔女・セオドラ(ミラ・キュニス)に導かれ、緑色に輝くエメラルド・シティに着いた彼は、東の魔女・エヴァノラ(レイチェル・ワイズ)から「オズの国を支配する邪悪な魔女から救って欲しい」と依頼され、この国の人々から救世主として敬われる。財宝と名声にひかれたオズは、案内役の翼の生えた猿のフィンリー(ザック・ブラフ)と共に邪悪な魔女を探す旅に出る。やがて、魔女に滅ぼされて粉々になった「陶器の町」で、ひとりだけ生き残った陶器の少女(ジョーイ・キング)を助けたオズは、南の魔女・グリンダ(ミシェル・ウィリアムズ)に出会う。果たして、彼女こそが邪悪な魔女なのだろうか…?


 元々ホラー映画で人気を得たサム・ライミ監督の映画は、旧「スパイダーマン」3部作を観てもわかるように、ごく普通の映画でもグロいとかエグいといった場面があるのだが、この映画はディズニー配給だからなのか、そういった場面がほぼ無い。また、随所に1939年版「オズの魔法使い」の映像表現を踏襲した部分があり、映画ファンを楽しませてくれる。


 1939年は、ちょうどアメリカ映画がモノクロからカラーへと変わる過渡期であり、「オズの魔法使い」のような、パートカラーと呼ばれる白黒とカラーが混在した映画も作られた。「オズの魔法使い」では、ジュディ・ガーランド扮するドロシーが暮らすカンザスの場面は白黒、嵐に巻き込まれ小屋ごと吹き飛ばされた後の、オズの国の場面はカラーで表現されているが、「オズ はじまりの戦い」でも全く同じ手法がとられている。また、「オズの魔法使い」では“オズの国”のキャラクターの一部(ドロシーが出会うカカシ、ライオン、ブリキの男と西の魔女グリンダ)は、カンザスでドロシーの近所に住む人々と同一人物が演じていたが、本作でも主要キャストではミシェル・ウィリアムズ、ザック・ブラフ、ジョーイ・キングの3人が、現実世界とオズの国のキャラを兼任しているという凝り様だ。


 何より映画ファンにとって嬉しいのは、主人公が企てる映像マジックが、映画黎明期の技術を応用したものであり、尚且つ「オズの魔法使い」でラストに登場するオズの“姿”にちゃんと繋がっていることである。確かに映像は美しいし、3人の美しい魔女が着る衣裳や姿は華やかだが、昨年アカデミー賞を争い、マーティン・スコセッシの映画“愛”を見せてくれた「ヒューゴの不思議な発明」同様、これはサム・ライミの映画“愛”である。


 ちなみに現在、もうひとつの「オズの魔法使い」前日譚ものとして、日本では劇団四季で上演されたミュージカル「ウィキッド」の実写映画化企画が進行中だ。こちらは西の魔女・セオドラから見た視点で作られたものであり、まだスタッフおよびキャストが未確定だが、楽しみにしたいところだ。そして、本作もアメリカでのオープニング週末興収がロケットスタートというヒットを受けて、早くも続編が検討され始めたようである。まさかドロシーが誕生するところまでは描かないとは思うが、果たしてどうなるか? できれば魔女役は交代しないでほしいナァ〜。


私の評価…☆☆☆☆★

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2013年3月12日 (火)

ジャンゴ 繋がれざる者

ジャンゴ 繋がれざる者
ジャンゴ 繋がれざる者
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ、レジナルド・ハドリン
出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ウォルトン・ゴギンズ、ドン・ジョンソン、ローラ・カユーテ、デニス・クリストファー、ジェームズ・ルッソ、ジェームズ・レマー、トム・ウォパット、ミスティ・アッパム、レックス・リン、クーパー・ハッカビー、ドク・デュハム、M・C・ゲイニー、ブルース・ダーン、ネッド・ベラミー、フランコ・ネロ、ジョナ・ヒル、ゾーイ・ベル、ロバート・キャラダイン、ジェームズ・パークス、トム・サヴィーニ、マイケル・パークス、クエンティン・タランティーノ 他


 《オマージュたっぷりの“マカロニ風”ウエスタン》


 クエンティン・タランティーノの映画としては、初の西部劇。アメリカの恥部ともいうべき黒人奴隷制への批判を、マカロニウエスタンスタイルで描く。


 南北戦争勃発直前のアメリカ南部。奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)が、元歯科医・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)に銃の手ほどきを受け、賞金稼ぎで荒稼ぎ。へんてこなコンビが涼しい顔して、お訪ね者を次々殺しまくる。


 ジャンゴの目的は、ただひとつ。彼の自由と妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を奪った白人に復讐し、妻を取り戻すこと。妻が農園の領主ムッシュ・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の元にいることを突き止めたジャンゴ。だが、キャンディは奴隷たちを鍛え上げ、互いに闘わせて楽しむ極悪人だった。妻を取り戻すための「生きるか死ぬか」の壮絶な戦いが始まる…。


 タイトルが「ジャンゴ」というからには、たぶんどこかで「続・荒野の用心棒」のパロディをやってくるだろうなとは思っていたが、まさかオープニングでいきなりそれをやるとは思わなかった。赤地のタイトル・ロゴにかぶさる、北島三郎もカヴァーした(映画「スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ」にて)あのテーマ曲(但し、英語訳詞版)。それだけで、映画の世界観に一気に引き込まれた。


 それにタランティーノの映画はどの映画でもキャラが立っていて、悪くいえばマンガチックでもあるのだが、俳優たちがノリノリで演技しているのが、こちらにも伝わってきて面白い。本作でも主人公とヒロイン以外ははっきり言えば変人だらけ(笑)、だがこれが逆に奴隷制批判を強烈に描く、ちゃんとした形になっている。


 ただ、オマージュやら何やらと詰め込みすぎるのがこの監督の難点でもあり、本作もそれが影響して約2時間40分の大長編になってしまった。これだけ長いとややダレそうになる部分もあり、コミカルな演出で乗り切ってはいるが、コメディ映画なら最初から最初からブッ飛ばしてそのままゴールもアリだが、そうでなければストーリー進行に緩急は大事なのである。さすがに観た後は大変な疲労感に襲われた(苦笑)。


私の評価…☆☆☆☆★

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ジャッキー・チェン、最新作の中で“アクション映画”からの撤退を表明

 アクション俳優、ジャッキー・チェンが、監督・主演映画「ライジング・ドラゴン」(4月13日公開)のエンドクレジットで「アクション超大作」からの撤退を肉声報告していることがわかった。


 ジャッキー映画おなじみのスタントMG集に引き続き、「アクション映画は危険で命がけです。これが私の最後のアクション超大作です。」と自らナレーション。世界のファンに感謝し、「引退ではないのでご心配なく」と俳優継続は明言している。


 アメリカ映画なんかでは、高齢になっても特撮やCGの力を借りてアクションをやっている俳優や、スタローンのように体づくりにまで命をかけて(笑)、アクションをやり続ける俳優もいるのだが、ジャッキーはそれを許さなかったのだろう。ドニー・イェンやアンディ・ラウなど、国際的な人気がある俳優の中では、すぐ下の世代にアクションができる俳優はいるが、ジャッキーほどのコミカルさはないと思う。撤退は寂しいが、次にこのポジションを狙える俳優が出てくる事にも、期待したい。

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2013年3月11日 (月)

「ルパン三世」銭形警部の声、納谷悟朗さん死去

 アニメ「ルパン三世」の銭形警部の声で知られる俳優の納谷悟朗(なや・ごろう)さんが、5日午前3時、慢性呼吸不全で亡くなった。83歳。葬儀は親族で行った。後日、お別れの会を開く。喪主は妻、捷子(かつこ)さん。
   
 北海道出身。立命館大学を中退後、劇団「東童(とうどう)」を経て、「テアトル・エコー」の中心的な俳優、演出家として活躍。ニール・サイモンの「サンシャイン・ボーイズ」などに出演した。

 声優としては、米テレビ映画シリーズ「コンバット」のヘンリー少尉をはじめ、チャールトン・ヘストン、ジョン・ウェイン、クラーク・ゲーブルなど大物俳優の吹き替えを担当した。

 アニメでは、銭形警部のほか、「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長としても有名。特撮番組「仮面ライダー」では悪の秘密結社ショッカーの首領の声も担当した。


 このところ、比較的若い声優の訃報が相次いでいたのだが、ちょっとこの業界、暗いニュースが最近多い気がする。納谷さんは確か胃の手術をされてから、声に張りが無くなっていたなとは思っていたが…。ご冥福をお祈りします。

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2013年3月 9日 (土)

第36回日本アカデミー賞速報

第36回日本アカデミー賞が発表された。主な受賞者および受賞作は次のとおり。

▼最優秀作品賞…「桐島、部活やめるってよ」
▼最優秀アニメーション賞…「おおかみこどもの雨と雪」
▼最優秀監督賞…吉田 大八「桐島、部活やめるってよ」
▼最優秀主演男優賞…阿部 寛「テルマエ・ロマエ」
▼最優秀主演女優賞…樹木 希林「わが母の記」
▼最優秀助演男優賞…大滝 秀治「あなたへ」
▼最優秀助演女優賞…余 貴美子「あなたへ」
▼新人俳優賞…橋本 愛(「HOME 愛しの座敷わらし」、「桐島、部活やめるってよ」、「Another アナザー」他)、二階堂ふみ(「ヒミズ」、「悪の教典」)、武井 咲(「るろうに剣心」、「愛と誠」、「今日、恋をはじめます」)、東出 昌大(「桐島、部活やめるってよ」)、染谷 将太(「ヒミズ」、「悪の教典」)、松坂桃李(「ツナグ」、「麒麟の翼」、「今日、恋をはじめます」)、チャンミン〈東方神起〉(「黄金を抱いて翔べ」)
▼最優秀外国映画賞…「最強のふたり」(ギャガ配給)
▼話題賞…[俳優部門]大島優子「闇金ウシジマくん」[作品部門]「桐島、部活やめるってよ」

※話題賞のみ、ニッポン放送「オールナイトニッポン」リスナーの投票で決定。


 今年は米アカデミー賞同様、1作品が独占する事がなく、少しバラけたなぁという感じがする。その中で、新人俳優賞が複数の作品で共通する俳優が受賞し、実力のある若手にオファーが集中している様子が伺える。


 外国語映画では2年連続で配給会社ギャガの映画が受賞(昨年度は「英国王のスピーチ」)。現在大ヒット上映中の「レ・ミゼラブル」もギャガが配給していているが、この会社は海外の良質な作品があれば、少々買い付け額が高くなっても買うという事を新聞記事か何かで見た。いってみればそれが確実に実を結んでいるわけであり、今後もその体制を維持してほしいところだ。

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2013年3月 7日 (木)

バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!

バチェロレッテ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:レスリー・ヘッドランド
製作:ウィル・フェレル
音楽:アンドリュー・フェルテンスタイン、ジョン・ノー
出演:キルスティン・ダンスト、アイラ・フィッシャー、リジー・キャプラン、ジェームズ・マースデン 他


 《悪くはないが、これでは物足りない》


 オフ・ブロードウェイで大ヒットした舞台劇を映画化。“バチェロレッテ”とは未婚の女性のことで、未婚の男性を意味する“バチェラー”から派生した言葉である。


 高校時代の同級生ベッキーから結婚が決まったことを聞かされたレーガン(キルスティン・ダンスト)は、すぐに親友のジェナ(リジー・キャプラン)とケイティ(アイラ・フィッシャー)にその旨を報告。バチェロレッテ(独身女性)の3人は、お世辞にも美人とは言えないベッキーが自分たちより先に結婚することにショックを受ける。結婚式に出席するため、3人はニューヨークに集結。結婚前夜パーティではしゃぎ過ぎて新婦のドレスを破ってしまう。結婚式まであと12時間。ドレスをなんとかするのに奔走する一方、結婚の気配がない彼氏との関係、昔の恋人との再会、行きずりの恋などそれぞれが抱える問題も絡んできて、彼女たちの大暴走はさらに加速する…。


 先日鑑賞した「世界にひとつのプレイブック」も、出てくるキャラクターがみんな心に傷を負った人たちだったが、この映画に出てくるキャラクターも、結構ブッ飛んでいる。この映画はイケてないブサイクな友人に自分よりも先に結婚されてアセる独身女3人が、結婚式の前夜に見せる一夜限りの大騒動を描く、何だか「セックス・アンド・ザ・シティ」と「ハングオーバー」を足したようなもので、男性キャラもかなりノーテンキな奴らばかりなのだが、問題は女性キャラ。特にメイン3人の女性たちで、主役のキルスティン・ダンストはしっかり者の設定なので、まだマシなのだが、他の2人はかなりイタいキャラである。本音をぶつけてベッキーを困らせてしまうわ、はしゃぎ過ぎて花嫁衣裳は破ってしまうわ、何とか式に間に合うように縫いあわせても、せっかく綺麗に仕上がったところでゲロをつけられてしまうわと、とんでもなく迷惑な人たちなのだが、根っこの部分ではしっかりベッキーを応援しているという、憎めないキャラなのだ。


 こういう映画はアメリカと日本では受け取り方が違うと思うし、もちろん男と女で感じ方も違うと思うのだが、「世界にひとつのプレイブック」を観た後では、見比べるとどうしてもこちらの方が、バカ騒ぎしているだけに見えてしまい、見劣りしてしまう。これで、主人公にも恋が芽生えたりとかといったサイドストーリーでもあれば、それなりに盛り上がるのだが、そういったものが一つも無いから、ラストも平凡。あれだけ頑張ったヒロインに何で最後ハッピーな“華”を持たせてあげなかったのだろう? 悪いラストではないが、少々不満が残った映画である。


私の評価…☆☆☆

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テレ朝「日曜洋画劇場」番組名変更へ(3/31 最新情報追記)

 テレビ朝日系「日曜洋画劇場」(日曜午後9時)のタイトルが、4月から「日曜エンターテインメント(仮題)」に変更されることが発表された。


 1967年にスタートした同番組は邦画・洋画を問わず放送してきたが、昨年からドラマやバラエティーなども放送してきたため4月から名称を一新する。


 同局は「大作映画の視聴率が獲れない」と説明し、「引き続き洋画を中心にドラマ、バラエティーも放送していくが、それぞれの比率は決めかねている」とした。


 今の映画ソフトは、放映権が地上波におりてくる前に、DVDやBS、CSで観ることができるんだから、地上波の映画番組が視聴率で苦戦するのは当たり前である。昔、映画評論家の故・淀川長治さんが解説をやっていた頃は、劇場用映画だけでなくアメリカのTVドラマのスペシャル版(「ナイトライダー」や「特攻野郎Aチーム」等)、日本ではビデオスルーされた劇場未公開映画なども放映されていたが、もはやそれも通用しなくなったということか。時代の流れとはいえ、馴れ親しんだ老舗番組の名前が消えるのは、寂しい事だ。


追記:この情報がスポーツ紙などで伝えられた後、テレ朝に視聴者からの反応があったのか、3月でこの番組名が消滅することは、ひとまずなくなったようだ。どうやら、「日曜エンターテインメント」は番組枠の名称として、その中で映画を放送する時は、「日曜洋画劇場」の番組名で放送するということで、実質不定期放送という形をとることになったようである。


 やっぱり、この番組は終ってほしくないという人は、多いんだよね!

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2013年3月 3日 (日)

世界にひとつのプレイブック

世界にひとつのプレイブック
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:デヴィッド・O・ラッセル
原作:マシュー・クイック「世界にひとつのプレイブック」
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ブラッドレイ・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー、クリス・タッカー、ジュリア・スタイルズ、アヌパム・カー、ブレア・ビー、シェー・ウィガム、ジョン・オーティス、ポール・ハーマン、ダッシュ・ミホク 他


 《心に傷を負った人たちを温かく見つめるコメディ》


 マシュー・クイックの同名小説を映画化。“プレイブック”とは、アメリカン・フットボール用語でチームの作戦全てが書かれた戦術指示書のこと。最愛の人を失い心が壊れた男女が、立ち直るためにダンスコンテストに挑戦するハートフル・コメディだ。


 妻の浮気が原因で心のバランスを崩し、全てを失ったパット(ブラッドレイ・クーパー)は、実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリをしている。そんなとき、近所に住むティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会う。ティファニーは愛らしい姿からは想像もつかない過激な発言と突飛な行動を繰り出し、パットを翻弄する。実は彼女も、夫を事故で亡くし、心に傷を負っていた。立ち直るためにダンスコンテストへの出場を決意したティファニーは、パットを強引にパートナーに任命する。こうして、2人の人生の希望を取り戻す挑戦が始まった…。


 この映画に出てくるキャラは、みんな心のどこかに傷を抱えているイタい人たちばかり。ハートフル・コメディと称される中でこういうのはちょっと珍しいのだが、それでもメインとなる4人の男女がキャラ立ちしまくっていて面白い。別れた妻との根拠のない復縁を信じて悩みまくる主人公に、夫と死別したショックで会社の同僚11人と寝たというヒロイン。主人公のパパは偏執的なアメフト狂で主人公のママはそんな主人と息子を溺愛する天然キャラである。ハッキリ言えばみんな“ダメ人間”なのだが、これが何度もキャスティング変更を繰り返して組まれたとは思えないほど、絶妙なアンサンブルなのだ。


 実は、この映画は結構難産な末に出来上がったものである。当初、デヴィッド・O・ラッセルは脚本のみの参加で、監督は映画化権を握っていた2人の名匠シドニー・ポラックかアンソニー・ミンゲラが担当する予定だった。だが、2人とも同じ年(2008年)に病で他界。ラッセルが監督を兼任する形で引き継がれたのだ。


 キャスティングも当初はヴィンス・ヴォーンと「(500)日のサマー」のズーイー・デシャネルが予定されていた。ところが、諸般の事情でこの2人の共演話は別企画へと流れ(「ザ・ファイター」)、ティファニー役に至ってはアン・ハサウェイ(「ダークナイト・ライジング」とスケジュールが重なり降板)や、キルスティン・ダンスト、ブレイク・ライヴリーにオリヴィア・ワイルド、ルーニー・マーラ、レイチェル・マクアダムス、果てはアンジェリーナ・ジョリー(!)まで候補に上がり、最終的にはジェニファー・ローレンスになるものの、当初ラッセルはティファニー役を彼女にとは全く考えていなかったのである。


 それだけの紆余曲折を経て選ばれた演者が、アカデミー賞俳優部門全てにノミネートという快挙を果たし、一番監督が考えていなかったというジェニファー・ローレンスが見事、最優秀主演女優賞を受賞したのだから、運命というものは、この映画の結末と同様、分からないものである(壇上に上がる際コケてしまうオチまでついたけど)。


 音楽は、ティム・バートン監督作品でお馴染みのダニー・エルフマン。オーケストラ・サウンドのイメージが強いが、今回はアコースティックギターとピアノというシンプルな構成のスコアが多く、映画の雰囲気と相まって実に聴き心地がいい。


 予め組まれた戦術だけが全てじゃない。人生にはハプニングやサプライズが付き物だ。諦めずに前を向いていけば、必ず良い事があるさということを、物語だけでなくアカデミー賞の舞台でも証明した映画。久々に元気になれる映画だった。


私の評価…☆☆☆☆★

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