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2013年4月

2013年4月28日 (日)

ヒッチコック

ヒッチコック
ヒッチコック
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:サーシャ・ガヴァシ
音楽:ダニー・エルフマン
原作:スティーヴン・レベロ「アルフレッド・ヒッチコック&ザ・メイキング・オブ・サイコ」
出演:アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、ジェシカ・ビール、ジェームズ・ダーシー、マイケル・スタールバーグ、ラルフ・マッチオ、トニ・コレット、マイケル・ウィンコット、ダニー・ヒューストン、リチャード・ポートナウ、ウォレス・ランガム 他


 《少年がそのまま大人になったようなヒッチコック爺さん》


 サスペンスの巨匠ヒッチコックが唯一作ったホラー映画で、最大のヒット作でもある「サイコ」。本作はこの舞台裏と同時に、ヒッチコックと脚本家である妻が迎えた、思いがけない夫婦の危機を描いていく。


 「レベッカ」や「白い恐怖」などサスペンス映画を世に送り出したアルフレッド・ヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)。1959年、彼は新作「サイコ」の製作に向かっていたが、演出や技術面であまりにも斬新な手法を用いるため、資金難などの壁にあたる。さらには彼にとって最大の理解者である妻アルマ(ヘレン・ミレン)との関係もぎくしゃくしだす。映画製作に情熱を注ぐヒッチコックと、様々な思いを抱えるアルマ。映画史に残る不朽の名作の裏側とは…。


 タイトルには「ヒッチコック」とあるが、この映画自体がテレビの「ヒッチコック劇場」を模した形をとっていて、ヒッチコックがストーリーテラーも兼ねている(このためかこの映画のTVCM用予告編では声優の熊倉一雄が吹き替えを担当している)ため、どちらかというと奥さんのアルマの方が主役っぽく感じる。


 今の若い人で、ヒッチコック作品に興味を持つ人なんて、さほどいないだろうし、映画マニアな人にとっては「サイコ」にまつわる秘話なんて、ほぼとっくに知れ渡っているものが多いから、何で今、この映画が作られる意味があるのかは疑問だが、それでもヒッチコックの子供っぽいところが見られたり(リアル中二病?)、サスペンスの巨匠の意外な一面が見られるという点では、かなり面白い映画なのではないかと思う。


 夫婦役を演じたホプキンスとヘレン・ミレンは、失礼だが特殊メイクを施してもあまり似ていない。だが、たとえ似ていなくても、それ“らしさ”を見せてしまう演技は見事だ。それに花を添えるのが、本人より魅力的(?)なジャネット・リー役のスカーレット・ヨハンソン。あのシャワーシーンの再現では本家を超える色っぽさで、まさに現代のセックス・シンボルである。劇中、映画のキャスティングでヒッチコックの“映画の恋人”であったグレース・ケリーを選ぼうとする場面がある(当然この時には引退して既にモナコ王妃になっていたため却下される)が、スカーレット・ヨハンソンは今のハリウッドの中で、1950〜60年代といった昔の雰囲気を醸し出せる、数少ない女優の1人といっていい。ヒッチコック作品に興味が無いなら、この人に注目して観るのもいいかもね。


私の評価…☆☆☆

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2013年4月23日 (火)

花咲くいろは HOME SWEET HOME

花咲くいろは  HOME SWEET HOME
劇場:T・ジョイ京都
原作・アニメーション制作:P.A.WORKS
監督:安藤真裕
音楽:浜口史郎
主題歌:nano.RIPE「影踏み」

声の出演:松前緒花…伊藤かな恵、鶴来民子…小見川千明、押水菜子…豊崎愛生、和倉結名…戸松遥、輪島巴…能登麻美子、種村孝一…梶裕貴、松前皐月…本田貴子、四十万スイ…久保田民絵、四十万縁…浜田賢二、宮岸徹…間島淳司、富樫蓮二…山口太郎、川尻崇子…恒松あゆみ、次郎丸太郎…諏訪部順一、助川電六…チョー 他


 《美しい北陸の自然を背景に描かれる、女子高生たちの青春群像劇》


 おととしの4月から2クールにわたって放送され、大反響を巻き起こしたTVアニメの劇場版。作品の舞台となった石川県金沢市はこのアニメファンの“聖地”と化し、町興しに一役買った格好となっている。尚、当初この新作はTV放送用として製作される予定だったが、製作途中で劇場用へ格上げされたようである(上映時間が長編映画に比べ66分と短いのは恐らくこのため)。


 ある日突然、母・皐月(声・本田貴子)から借金を作った恋人と夜逃げすると告げられた女子高生、松前緒花(声・伊藤かな恵)。そのまま母と別れた彼女は、祖母・スイ(声・久保田民絵)の経営する北陸の温泉旅館「喜翆荘(きっすいそう)」で働くハメに。最初は右も左も分からず失敗ばかりだった仲居の仕事もようやく慣れ始めた緒花。次第に変化していく自分に気付き始めていた。そんなある日、クラスメイトでライバル旅館「福屋」の一人娘・和倉結名(声・戸松遥)が、喜翆荘に女将修行にやってくる。その結名の面倒を押しつけられ、奔放な彼女に翻弄されっぱなしの緒花だったが、物置の中である物を見つけて…。


 富山に拠点を置くアニメ制作スタジオ「P.A.WORKS」が設立10周年を記念して、原作と制作を手がけたオリジナルアニメで、美しい北陸の四季を舞台に、突然祖母の経営する温泉旅館「喜翆荘」に住み込みで働くことになってしまう東京生まれの女子高生が、様々なカルチャーギャップに戸惑いながらも、旅館で働く同世代の友人や先輩たちと共に成長していく姿を描いた青春群像劇である。何だか今放送中の某朝ドラとテーマだけは似通っているような気もするのだが、今回はTV版では出てこなかった緒花の父・綾人が登場し、母との出会いのエピソードが語られる。


 この母と父が、何がきっかけで出会ったのかを、娘がある物を見たことで知り、考え方の違いから離れていた母との距離感を縮めていくのだが、母の青春時代と今の娘の生活を対比して話を構成する事で、より分かりやすく描かれている。


 実は、僕はこのアニメ、TV版は見ていない。だから、話についていけるかどうかは不安だったが、TV版の粗筋が主人公のセリフ等で端的に説明されていたり、キャラクターの位置付けや性格等がはっきりと描かれているので、わりとすんなり世界観に入っていけた。絵もきれいで、旅館の周囲の野山といった情景も素晴らしい出来なのだが、長引く停電を乗り切るためにたくさんの蝋燭で旅館の中と外を照らしだす場面は、特に幻想的で印象に残る。冒頭で触れたがTVスペシャルではもったいない。スクリーンで見た方が感動的だ。パンフレットが高すぎる(約30ページほどのボリュームで1,200円)のはどうにかしてほしかったけど…。


私の評価…☆☆☆☆

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2013年4月17日 (水)

アンナ・カレーニナ(2013)

アンナ・カレーニナ(2013<br />
 )
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョー・ライト
音楽:ダリオ・マリアネッリ
原作:レフ・トルストイ「アンナ・カレーニナ」
出演:キーラ・ナイトレイ、アリシア・ヴィキャンデル、ジュード・ロウ、アーロン・テイラー=ジョンソン、マシュー・マクファディン、ケリー・マクドナルド、オリヴィア・ウィリアムズ、ドーナル・グリーソン、ルース・ウィルソン 他


 《そのはかなくも美しい結末に陶酔》


 今までに何度も映像化された小説の最新映画版。過去にグレタ・ガルボやヴィヴィアン・リー、ソフィー・マルソーが演じたヒロインを、イギリスの人気女優キーラ・ナイトレイが熱演している。


 19世紀末、帝政末期を迎えているロシア。サンクト・ペテルブルグで社交界の華と謳われる美貌の持ち主アンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)は、政府高官を務める夫カレーニン(ジュード・ロウ)に愛情を持てずにいた。モスクワへ向かう中、騎兵将校のヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会ったアンナ。二人は一目見たときから恋に落ちてしまう。自制心を働かせようとするも、舞踏会で再会したときには燃え盛る情熱を止めることができなくなっていた。アンナは社交界も夫も捨てヴロンスキーとの愛に身を投じるが、それは同時に破滅へと向かうことになっていく…。


 このところヒノキ花粉アレルギーにプラスして風邪気味だった事もあり、映画は結構観ているものの、ブログに感想を書くのが遅れまくっていて、この映画も今月1日に観た映画である(汗)。


 これまで何度も映像化されたということは、もはやオーソドックスな見せ方では、恐らく観客に見向きもされない。では、どうやって見せるのか。そこでこのジョー・ライト監督は、このヒロインの人生を舞台に準えて描くという、かなり斬新な手法で描く事で、客の目を向かせることに成功している。


 ちょうどこの映画の公開と時同じくして、日本では舞台版「アンナ・カレーニナ」も上演されており、僕は当初、この舞台版を映画で作っているのかなと思っていたのだが、そうではなかった。時折ミュージカル風の場面もあるかなり独創的な演出は、観ていて新鮮で面白い。


 そして、やはりキーラ・ナイトレイはこういう時代ものがよく似合う。本作は本年度アカデミー賞最優秀衣裳デザイン賞を受賞しているが、この美しいヒロインを引き立てる豪華絢爛な衣裳と舞台セットは要注目だ。ヒロインの恋は結果的には不道徳なものになるため、悲劇的な末路を辿るが、そのラストまで僕はすっかり酔い痴れちゃった。


私の評価…☆☆☆★

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2013年4月12日 (金)

ジャックと天空の巨人 3D

ジャックと天空の巨人 3D
ジャックと天空の巨人 3D
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ブライアン・シンガー
音楽:ジョン・オットマン
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ニコラス・ホルト(ウエンツ瑛士)、エレノア・トムリンソン(平愛梨)、ユアン・マクレガー(森川智之)、スタンリー・トゥッチ(内田直哉)、エディ・マーサン(咲野俊介)、ユエン・ブレムナー(檀臣幸)、イアン・マクシェーン(佐々木勝彦)、ラルフ・ブラウン(向井修)、ビル・ナイ(ゴリ〈ガレッジセール〉)、ジョン・カーサー(佐藤せつじ)、コーネル・ジョン(真栄田賢〈スリムクラブ〉)、アンドリュー・ブルック(千原せいじ〈千原兄弟〉)、アンガス・バーネット(博多華丸〈博多華丸・大吉〉)、ベン・ダニエルズ(山里亮太〈南海キャンディーズ〉) 他


 《より映画向きにしたアレンジはいいのだが》


 日本でもよく知られているイギリスの童話「ジャックと豆の木」と、民話「巨人退治のジャック」をベースに製作された冒険ファンタジー映画。


 かつて地球には巨人が存在しており、地上で生活していた時代があった…。ある日、農家の青年ジャック(ニコラス・ホルト)は、ふとしたことから人間界と巨人界を隔てていた“禁断の扉”を開けてしまう。何百年もの間、人間たちから遠ざかられていた巨人たちは、自分たちが住んでいた地上を取り戻すために、再び人間界に足を踏み入れる。ジャックは、王国のため、王国の人々のため、そしてプリンセス(エレノア・トムリンソン)への愛のために命懸けの戦いに挑むことを決意するが、100人の巨人が襲いかかってくる。迎え撃つのは僅か300人の人間のみ。はたしてジャックたちに打つ手はあるのか…。


 イギリスの童話「ジャックと豆の木」は、青年ジャックが豆の木を上って巨人の国に行き、金の卵を産む鶏や、金銀財宝を奪ってくるというお話。ま、これだけでは話が一方的過ぎるし全然映画的にも面白みに欠けるので、もう1つの民話「巨人退治のジャック」の要素を取り入れ、より冒険映画風にアレンジしたのが本作である。


 天空にある巨人の国や、そこから下を見下ろすビジュアルは、デジタル3Dの力が発揮されており大迫力で迫ってくる。前半での天空の戦いに続いて姫を救出した後は、巨人が地上に降りて地上戦となるのだが、天空の戦いでは頭を使って姫の救出に成功した人類が、地上ではどう戦うのかは見ものだ。ちなみに巨人にはあるウィークポイントがあるのだが、これを映画の中で早く出しすぎてしまっているため、結末が薄々分かってしまい非常にあっけないラストになってしまったのは残念。


 ちなみに自分はたまたま吹き替え版を見たのだが、平愛梨だけはまだ何とかまともに聞こえるものの、ウエンツ他タレント勢は総じてヘタっぴである。客を引きたいのは分かるが、ディズニーやドリームワークスを見習って、もうちょっと鑑賞に耐えられるものを作ってほしい。


私の評価…☆☆☆

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2013年4月10日 (水)

シュガー・ラッシュ 3D

シュガー・ラッシュ 3D
劇場:TOHOシネマズ梅田
監督:リッチ・ムーア
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:ヘンリー・ジャックマン
主題歌:アウル・シティ「When Can I See You Again?」
エンディング・テーマ(全世界共通挿入曲):AKB48「Sugar Rush」

声の出演(今回は2D・3Dとも日本語吹き替え版のみの上映):“レック・イット”ラルフ…山寺宏一、ヴァネロペ・フォン・シュウィーツ…諸星すみれ、“フィックス・イット”フェリックス・ジュニア…花輪英司、タモラ・ジーン・カルホーン軍曹…田村聖子、キャンディ大王…多田野曜平 他

〈同時上映〉短編映画「紙ひこうき」


 《誰だって、ヒーローには憧れるもの》


 ディズニークラシックスとしては通算52作目のアニメーション映画。日本では2D・3Dとも吹き替え版のみの上映。


 アクション・ゲームの悪役キャラクターのラルフは、ゲームの世界の掟に反して、みんなに愛されるヒーロー・キャラになりたいと願っていた。ついに我慢が限界に達したラルフは、自分のゲームを飛び出してしまう。ラルフはお菓子の国のレース・ゲーム“シュガー・ラッシュ”に迷い込み、不良プログラムであるためレースに出場できない少女ヴァネロペと出会う。嫌われ者のラルフと仲間外れのヴァネロペは、次第に友情を育んでいく。しかし、ゲーム界の掟を犯すラルフの脱走は、ゲームの世界全体に災いをもたらすことになる。ゲームのキャラクターたちがパニックに陥っているなか、“シュガー・ラッシュ”とヴァネロペに隠された恐るべき秘密を知ったラルフは、ヴァネロペを救い、ゲーム界の運命を変えるために立ち上がる…。


 この映画は子供はもちろん、ファミコン世代の大人も(いや、むしろそっちの方が)楽しめる映画である。


 流麗な3Dで、途中からジェットコースタームービーのような展開になるのは当然楽しいのだが、小さい時にファミコンやアーケードゲームでTVゲームに親しんだ人にとっては懐かしいキャラたちが、ゲームメーカーの垣根を越えて共演するという、夢のような展開があり、恐らく今の子供以上にワクワクする人も多いだろう。また、この約40年で急激に進化したゲームのスペック格差をネタにしたギャグも盛り込まれ、子供向けというよりは大人寄りにシフトした映画といえるかもしれない。


 また劇中のゲームの世界観は「トロン」を、人間が観ていない時間のゲームのキャラたちの行動は「トイ・ストーリー」を、キャラクター達の大集合は「ロジャー・ラビット」をというふうに、ディズニーやピクサー映画の歴史をも内包したものとなっており、作り手側のセンスの良さが窺える。


 ただ、残念なのは今回字幕版の上映が無い事だ。原題(「Wreck-It Ralph」ラルフ、ぶっ壊せ)と邦題「シュガー・ラッシュ」では宣伝戦略の違いは明らかで、子供向けに振った日本での戦略は決して間違ってはいないし、ディズニー映画の場合、吹き替えの声優もきっちりオーディションで選んでいるため、吹き替え版の出来栄えも素晴らしいのだが、やっぱり元のものとは別の演出家が別人で声を当てた時点で、オリジナルとは全く別物になっているのは間違いなく、字幕版で観たかったというのが正直なところだ。恐らくDVDには原語版(主人公の声は「シカゴ」のジョン・C・ライリー)に字幕も収録されるだろう。吹き替え版とはまた違った印象になるかもしれない。


 なお、本編上映前に本年度米アカデミー賞最優秀短編アニメーション賞を受賞した「紙ひこうき」が上映される。偶然の出会いから始まるラブストーリーを、主人公が飛ばす紙ひこうきを絡めて描くものだが、新しくもどこか懐かしさを感じさせるモノクロ3Dの映像とサイレント映画ふうの演出が見事で、こちらも必見の秀作。


私の評価…☆☆☆☆★

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2013年4月 3日 (水)

ひまわりと子犬の7日間

ひまわりと子犬の7日間
ひまわりと子犬の7日間
劇場:MOVIX京都
監督:平松恵美子
原案:山下由美「奇跡の母子犬」
音楽:寺嶋民哉
主題歌:ソナーポケット「花」
出演:堺雅人、中谷美紀、でんでん、若林正恭(オードリー)、夏八木勲、草村礼子、左時枝、近藤里沙、藤本哉汰、壇れい、小林稔侍、吉行和子、イチ(柴犬) 他


 《犬好きにはたまらない》


 2007年に宮崎県で実際に起こった感動の実話をベースに、山田洋次監督のもとで20年、助監督と共同脚本を手掛けてきた平松恵美子が初めて監督した作品。


 ある冬の寒い日、母犬と生まれたばかりの子犬が宮崎県東部保健所に収容される。母犬は近寄る人すべてに激しく吠え、懸命に子犬を守ろうとしていた。


 一匹でも多くの犬を助けるため、里親探しに奔走する職員の神崎彰司(堺雅人)は、母犬の心を開かせようと奮闘する。彼は母犬がかつて人に飼われ、愛されていたはずだと確信するが、母犬は心を許さない。彰司の娘・里美(近藤里沙)は、もう一度太陽の下で生きていけるよう、母犬に「ひまわり」と名付けるが、その願いも虚しく、犬たちの命の期限は刻一刻と近づいていたのだ…。


 僕の実家にも、飼っていた柴犬がいた。その犬は生後3か月頃から家にいて、16年経った今年の2月初めに老衰で亡くなってしまった。最後の1年は認知症を患ってしまい、足元も弱ってしまって、飼っている家の者も、周りの住民も大変だったと思うが、それでも諦めず最後まで一緒に居続けた。


 映画のように止むを得ない理由で手放さなければならない場合は、非常にやるせない思いがするのだが、人間の勝手で飼えなくなったり、何らかの理由で放たれ野犬化した犬は見つかり届け出があれば保健所で保護される。その数は日本で1年間に約87,000頭。保護される期間はたった7日間で、その間に新たな里親が見つかればいいのだが、殆どの場合は見つからず、3分の2に近い約53,000頭がガス室に送られ殺処分となる。実にショッキングな数字だ。


 この映画は実際に起こった実話がベースだが、当然母犬が保健所に保護されるまでの話は、誰も知る由もないので、夏八木勲と草村礼子が扮する老夫婦に飼われている冒頭の場面は映画オリジナルなのだろう。原作者となるはずの山下由美が“原案”となっているのも、恐らくそれが原因であると思う。だがこの映画、クライマックスを除けば一番ガツンと印象に残るのは、ほぼセリフ無しのサイレント映画のような演出で描かれるこの冒頭部分である。この犬にとっては恐らく一番幸せだった老夫婦との生活を描くことによって、後々の苦難なドラマが活きてくるのだ。母犬が神崎に対して心を開くきっかけとなるキーアイテムも、ここに出てくる。


 また、もう1つのサイドストーリーとして、妻と死別したシングル・ファーザーが子育てをしながら仕事と向き合い成長していく人間ドラマも描いている。つまり主人公自身もどこか臆病になっている部分があり、犬と関わる事で子供たちとも心を通いあわせていくのだ。


 ちなみに母犬を演じるのは、「マリと子犬の物語」でマリ役を演じた“名優犬”。人間に対して普通はやらない“演技”も的確にこなす姿は、訓練の賜物という他なく、実に素晴らしい。残念ながら唯一のミス・キャストがオードリーの若林。シリアスな話の中で彼はコメディリリーフとしてキャスティングされているワケだが、途中まではうまく機能していた。だが、肝心のクライマックスでの「奇跡だ!」は余計(というより邪魔か)。僕は、そこの部分でちょっと醒めてしまった。


私の評価…☆☆☆☆

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2013年4月 2日 (火)

プラチナデータ

プラチナデータ
プラチナデータ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:大友啓史
原作:東野圭吾「プラチナデータ」
音楽:澤野弘之
主題歌:嵐「Breathless」
出演:二宮和也、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏、水原希子、和田聰宏、遠藤要、中村育二、萩原聖人、豊川悦司 他


 《いまさらこういう映像見せられてもねぇ》


 人気小説家・東野圭吾原作の小説を映画化。当初から映画化を目論んで執筆されただけに、スケールの大きな作品になった。


 「プラチナデータ」から犯人を特定する最先端のDNA捜査が可能になり、検挙率100%、冤罪率0%の社会が訪れようとしていた。


 神楽〈かぐら〉龍平(二宮和也)は警察庁の科学捜査機関「特殊解析研究所」に所属する、天才科学者。いくつもの難事件を解決してきた彼は、DNA捜査の重要関係者が殺される連続殺人事件を担当することになった。しかし、わずかな証拠からDNA捜査システムが導きだした犯人は、なんと「神楽龍平」だった…。


 全く身に覚えがない神楽は逃亡を決意。「追う者」だった彼は自ら作り出したシステムによって「追われる者」になってしまう。捜査を担当するのは、警視庁捜査一課殺人犯捜査係の辣腕刑事・浅間玲司(豊川悦司)。現場叩き上げとしてのプライドを持つ百戦錬磨の浅間は、逃げる神楽を徹底的に追い詰める。


 そして、容疑者・神楽に隠された、ある秘密を知ることになる。神楽は白か黒か? 信じられろのは科学か、自分自身か? それは人類の希望か、絶望か…。


 何かパッと見た感じ、アメリカ映画の「エネミー・オブ・アメリカ」にソックリなんだよなぁ。あれ自体もう15年前の映画だし、今更そんな映像見せられても、全然新鮮味がない。それに“二重人格”という設定にすると、話を何とでも作ることが出来てしまうので、よほど話として完成されたものを作らないと、シラケた映画になってしまう。デジタル人間である主人公とアナログ人間である“追う側”の刑事が、反発しながらも最終的には協力して真犯人を突き止めていく展開は面白いが、ネタバレ場面がかなり早い時間にくるのが致命的で、真犯人も消去法で考えればすぐにわかってしまう。主演2人の演技力で辛うじてちゃんと観られる映画にはなったが、観て得した気分には全くならなかった。


私の評価…☆☆☆

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