« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »

2013年6月

2013年6月27日 (木)

〈新・午前十時の映画祭〉燃えよドラゴン

燃えよドラゴン
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ロバート・クローズ
音楽:ラロ・シフリン
出演:ブルース・リー、ジョン・サクソン、ジム・ケリー、アーナ・カプリ、ボブ・ウォール、シー・キエン、アンジェラ・マオ、ベティ・チュン、ジェフリー・ウィークス、ヤン・スエ、ピーター・アーチャー 他


 《伝説のカンフー映画のディレクターズ・カット版をスクリーンで堪能》


 恐らくこれをなくしては、ジャッキー・チェンなどのカンフー・スターは出てこなかっただろうし、そういった意味では、カンフー映画の金字塔とも言える映画。尚、この映画には国際公開版や香港公開版など、複数のバージョンが存在するが、今回は香港公開版のみオープニングとクライマックスにあった2つの場面(計約3分10秒)をワーナー版に編入し、1998年にソフト販売された「ディレクターズ・カット版」が上映されている。


陰謀渦巻く国際都市香港から、南シナ海に浮かぶ要寒島ハンで開かれる大武術トーナメントへの招待状が世界中の武術の名人に宛てて送り出された。ロサンゼルスに住む黒人の空手の名手ウィリアムス(ジム・ケリー)、同じくサンフランシスコのローパー(ジョン・サクソン)もその招待状を手に香港へ向かった。その頃、香港に近い田舎で中国人ばかりの空手の試合が行われていた。優勝者は小林寺で仏の道と武術を勉強中のリー(ブルース・リー)という若者だった。早速彼は、秘密情報局のブレースウェートから、要寒島での武術トーナメントに出場するよう要請されるが、武術で名を挙げるよりも無名のままの修道を望むリーはそれを断った。しかし、修道僧長から、要寒島の支配者ハン(シー・キエン)もかつては小林寺の修業僧であったが、この寺で学んだ武術の知識を今は自分のために悪用していること、さらに父から、妹のスー・リン(アンジェラ・マオ)が、数年前ハンの手下のオハラに殺されたことなどを聞かされ、出場を決意した。リーはブルースウェートのもとを訪れ、
要寒島でハンが行っている麻薬製造密売の内情を探り出せとの命令を受け、まだ見ぬハンやオハラへの復讐心に燃えて、悪の要寒島へ出発した…。


 ブルース・リーが出演した映画はこの他にもいろいろあるのだが、やっぱり1番に挙げるとしたら、この映画なのだろう。先に書いた「ロッキー」と同じく、この映画もテーマ曲を聴いただけで気分↑↑になるのである。


 この映画、細かいところを見てみれば、少々不自然な場面が目につく。悪役ハンが主役のリーには少しも着目せず、ローパーばかりを気にしているのだが、実は当初主役はリーではなくローパーだったようだ。脚本の準備稿にこの設定が残っているようで、後にブルース・リーが製作に加わるようになってから、主役が交代したのである。確かにリーは中盤で妹の仇を討っていて、一応そこで役目を終えている。リーの最後の相手もウィリアムスを殺されたローパーが務めるはずだったが、本編ではあのようになっている。主役が交代したにも関わらず、ブロットをほぼ変えずに作られた、ちょっと珍しい映画なのだが、それでもさほど違和感を感じさせないのは、リーを始めとするアクションの素晴らしさであり、観ている側はそれに引き込まれていくからだ。


 この映画は日本では大ヒットしたが、日本で公開された時、既にブルース・リーは他界(享年32歳)しており、この映画がきっかけで彼の過去の作品が多数公開され、伝説となった。彼がもし生きていたら、ハリウッドはともかく香港の映画界はどうなっていただろうか?


 ちなみに、(知っている人もいるだろうけど…)この映画には、まだ無名時代のジャッキー・チェンとサモ・ハン・キンポーがチョイ役で出ている。サモ・ハンは当時から“太め”なのですぐ分かるが、ジャッキーはどこに出ているか? 初めて観る人は、探してみよう。


私の評価…☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月25日 (火)

オブリビオン

オブリビオン
オブリビオン
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本・原作・製作:ジョセフ・コシンスキー
音楽:M83
出演:トム・クルーズ、モーガン・フリーマン、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズボロー、ニコライ・コスター=ワルドー、メリッサ・レオ、ゾーイ・ベル、アビゲイル・ロウ、イザベル・ロウ 他


 《前半は良、だが最近のSF映画では常套手段となった“アレ”が描かれる後半はダメダメ》


 監督のコシンスキー自身が執筆し、出版されたグラフィック・ノベルを映画化。


 2077年、地球はスカヴと呼ばれるエイリアンの攻撃を受け壊滅。生き残った人類は、他の惑星への移住を余儀なくされるが、ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)は荒廃した地球に残り、パトロール機バブルシップで高度1,000mの上空から地球を監視している。ある日、ジャックは墜落した宇宙船で眠る美女、ジュリア・ルサコヴァ(オルガ・キュリレンコ)を発見する。目を覚ました彼女は、何故か逢ったことのないジャックの名を口にした。彼女に不思議な結びつきを感じながら、次第にあらゆる現実に疑問を抱くようになっていくジャック。だが、誰もいない筈の地球で謎の男によって拘束される。そして、2人に隠された「真実」は謎の男、マルコム・ビーチ(モーガン・フリーマン)によって明かされようとしていた。


 人類のいない地球に残されたジャックと、突如現われたジュリアとの切ない愛。しかしジュリアは何者なのか? そして、ビーチの目的は…?


 '70年代あたりのSF映画のオマージュがたっぷり詰まった映画。まぁ「2001年宇宙の旅」や「スターウォーズ」などを観て育った世代には、楽しめるかなといった感じなのだが、前半は確かに面白い。


 ところが後半は急にそれが失速する。と、いうのも昨今のSF映画では常套手段ともいえる“クローン技術”を用いているから。このクローン技術が、例えば「スターウォーズ」の、その名も“クローン・トルーパー”のような、映画全体からしたらザコキャラのようなものに使われるなら、まだいいのだが、主役にこれを使うと、その後のストーリーがいくらでも作る事ができるようになってしまい(悪しき例として「バイオハザード3」をあげておこう)、途端に味気の無いものになってしまうからだ。脚本で行き詰まってしまうと、ついついそういう安易な手を使いたくなりがちだが、できればそんな手は使ってほしくなかった。でないと、あのオチではジュリアが暮らすジャックの理想郷に、後々記憶に目覚めたジャックのクローンが、わんさかとやってくるんじゃないの(笑)?


 まぁ、でもこの監督がてがけた前作「トロン:レガシー」に比べりゃ、遥かにマシなものかも。自分が期待していたものとは、ちょっと違ったけど。


私の評価…☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月20日 (木)

県庁おもてなし課

県庁おもてなし課
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:三宅喜重
脚本:岡田惠和
原作:有川浩「県庁おもてなし課」
音楽:吉俣良
主題歌:関ジャニ∞「ここにしかない景色」
出演:錦戸亮、堀北真希、船越英一郎、関めぐみ、高良健吾、甲本雅裕、松尾諭 他


 《映画として見せるほどの題材ではない》


 高知県庁に実際にある、「おもてなし課」をモデルに創作された小説を、映画「阪急電車」のスタッフ(ということは関西テレビ製作)で映画化。


 全国が観光ブームに沸く中、高知県庁は観光促進を目的に「おもてなし課」という新部署を設立した。だが、やる気はあるが空回りする若き職員・掛水史貴(錦戸亮)を始めとするメンバーたちは、何から始めていいのかわからず戸惑うばかり。そんな様子を、地元出身の人気作家・吉門喬介(高良健吾)から「スピード感のないお役所気質」だと強烈にダメ出しされるのだった。


 掛水は、指摘された「柔軟な民間感覚」を補うべく、優秀なアルバイト・明神多紀(堀北真希)を他部署からスカウトする。2人は吉門の言う、かつて独創的な観光プランを提唱しながらも県庁を追われた伝説の元職員・清遠和政(船越英一郎)の力を借りるべく、彼を訪ねる。しかし、父を追いやった県庁を憎む、清遠の娘・佐和(関めぐみ)に追い返されてしまうのだ。


 2人は数々の壁を越え、ふるさとでの本当の「おもてなし」を見つけ出すことが出来るのか? そして掛水と多紀、すれ違ってばかりの恋の行方は? 高知に戻ってきた吉門の秘めた想いとは…?


 このところ、次々と有川浩さん原作の小説が映像化されているが、これもその1本。


 高知を舞台にした“ご当地映画”であるが、映画的な盛り上がりのない、寒々としたものになった。だいたい、高知県全体をレジャー施設化させる壮大な計画自体は面白いのだが、1つも成功しておらず、全てが中途半端。同じご当地映画でも、「綱引いちゃった」みたいにたとえ小さな出来事でも成功したもの(あるいはその明確なきっかけ)を描いておれば、計画が途上のまま物語が終わっても、少しは面白いものになっていた筈なのに。


 主人公とヒロインの恋愛模様も、何だか取って付けただけのようで薄く、結果として何にも印象に残らない。やはりこの手の題材は、映像にするならストーリーで見せるよりも、ドキュメンタリーとして見せた方が合っているのではないか? あるいはテレビドラマで十分ではないか? 人気作家だからとか人気小説だからといって便乗して作っても、何にも面白くはない。勿論、作り手側はそんなつもりは毛頭無いのだろうが、同じ作家の小説の映像化というものが、時期が重なり過ぎると、どうしてもそう思ってしまうのだ。


私の評価…☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月18日 (火)

モネ・ゲーム

モネ・ゲーム
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:マイケル・ホフマン
脚本:ジョエル&イーサン・コーエン
音楽:ロルフ・ケント
出演:コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、トム・コートネイ、スタンリー・トゥッチ、クロリス・リーチマン  他


 《年齢を感じさせないC・ディアスがキュート》


 1966年に製作された、シャーリー・マクレーンとマイケル・ケイン共演の英国製犯罪コメディ「泥棒貴族」のハリウッド・リメイク。


 美術学芸員のハリー(コリン・ファース)は、大金持ちのシャバンダー(アラン・リックマン)を相手に、モネの名画『積みわら、夏の終わり』の贋作を使った非の打ちどころのない詐欺計画を立てる。しかし、この名画の持ち主を演じるPJ(キャメロン・ディアス)は、美人ながらも自由奔放なカウガールで、騒動を巻き起こす。さらにシャバンダーが別の鑑定士(スタンリー・トゥッチ)を用意するなど、次々とハリーの想定外のことが起き、計画は思わぬ方向へと転がる…。


 一応はリメイクなのだが、詐欺という設定以外は別物といっていいくらい脚色されており、オリジナル版を知らない人でも楽しめる。オリジナル版のヒロイン=シャーリー・マクレーンは謎の東洋人といった出立ちだったが、本作のヒロインはカウガールだし、盗む物も謎の仏像からモネの絵画へ変更されている。


 一見完璧に見える計画の、ほんの小さな綻びから、予測不能な展開になるのは脚本を書いたコーエン兄弟の得意とするところで、本作でもそれは十分に発揮している。コリン・ファース扮する真面目で堅物な主人公が、予期せぬ出来事でボロボロになっていく様は、やっぱり観ていて面白いし、誰がどこから見ても嫌味な悪役なのに、どこかトボけていて笑えるアラン・リックマンもいい。


 そしてヒロイン役はキャメロン・ディアス。この人はやっぱりこういうコメディでの、弾け捲った女性役がよく似合う。もう、この手の役を得るには、少々薹が立ってきた(現在40歳)ような感はあるのだが、当初この役にはもう1人の候補がいて、それがリース・ウィザースプーン(現在37歳)だったことを考えると(ちなみにオリジナル版のシャーリー・マクレーンは製作当時31歳)、まだまだこの手のジャンルのヒロインとして、需要はあるのかなと思った。


 イギリス映画のお洒落さをちょっぴり残しながら、派手にリメイクしたアメリカ映画。もう少し邦題のセンスがよければ(原題は「GAMBIT」 意味としてはチェスなどでの“最初の一手”を指す)、観に行こうと思う人も多いのでは?


私の評価…☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月15日 (土)

クロユリ団地

クロユリ団地
クロユリ団地
クロユリ団地
劇場:MOVIX京都
監督:中田秀夫
企画:秋元康
音楽:川井憲次
出演:前田敦子、成宮寛貴、勝村政信、西田尚美、田中奏生、並樹史朗、筒井真理子、諏訪太朗、柳憂怜、青山草太、佐藤めぐみ、岩松了、朝加真由美、上間美緒、高橋昌也、手塚理美 他


 《前田敦子のトラウマ演技で鬱になる》


 日活創立100周年記念作品。このところホラー以外の映画を作る事が多くなっていた中田監督が、6年ぶりに手がけたホラー映画。


 家族と共にクロユリ団地に引っ越してきた二宮明日香(前田敦子)。老朽化の進むこの団地で、13年前から謎の死が相次いでいることを彼女は知らなかった。介護士を目指す明日香は引っ越したその夜から、隣の部屋からの不気味な音に悩まされ続ける。


 ある日、目覚ましの音が鳴り続いているのを不審に思った彼女が隣室を訪ねると、老人(高橋昌也)が独りきりで死んでいるのを見つける。明日香は老人の死を防げなかった自責の念と、その日から次々と彼女を襲う恐ろしい出来事に神経をすり減らす。


 老人が何か伝えようとしているのではないかと考えた明日香は、隣室の遺品整理に来た特殊清掃員の笹原忍(成宮寛貴)の力を借りて手がかりを探そうとするのだが…。


 これはもう、予告編のイメージとは全く違う映画。あれだけ恐怖を煽っておいて、中身はこれっぽっちも怖くない(苦笑)。


 まぁ、考えてみればこの映画の企画担当は秋元康である。彼が担当したホラー映画といえば、AKB48が今ほどの人気がまだ無かった頃に大島優子、前田敦子、小野恵令奈、野呂佳代ら当時在籍していたメンバーをほぼ出演させて作った「伝染歌」や「着信アリ」シリーズがあるが、そのどれもがホラー映画らしくなく全く怖くない(笑)。また、ホラー映画はその内容の都合上どうしても過激な、あるいは陰惨な場面が多くなる事から、たいていは映倫のレーティングが「R(一般映画制限つき 18+は18歳以下、15+は15歳以下入場禁止)」や「PG12(12歳以下は親同伴)」になるのだが、この映画は「G指定(誰でもOK!)」である。言い換えれば、チラシなどの片隅に印刷されているこのマークを見ただけで、

 「この映画は過激な場面が殆ど無いんだよね。」

 という事が分かってしまうのだ。


 この映画では、徐々に精神が病んでいく女性を前田敦子が演じている。ところが本人の熱演とは裏腹にストーリーが怖くないものだから、あっちゃん1人が浮きまくっている(笑)。なぜかW主演扱いの成宮寛貴も、当然主演っぽくない。主演がこの2人では、観客の対象が若年齢層狙いなのは一目瞭然で、このために映画を「R」や「PG」指定にするわけにはいかず、必然的に恐怖度の薄いストーリーになったのだろう。でもこれじゃ、ホラー映画として作る意味が無い。やはりホラーというからには、そこそこ怖いものを作ってほしい。


 今年は日活創立100周年で、この映画もその一環として作っているのだろうが、やっぱり本腰を入れているのは次の実写版「ガッチャマン」なのだろう。映画会社もあまり宣伝に力を入れているとは思えず、期待外れな映画であった。


私の評価…☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月12日 (水)

〈新・午前十時の映画祭〉ロッキー

ロッキー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョン・G・アヴィルドセン
脚本:シルヴェスター・スタローン
音楽:ビル・コンティ
出演:シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、バージェス・メレディス、カール・ウェザース 他


 《あのテーマ曲を聴くと、否応なく盛り上がる》


 ボクシングに生きる若者の孤独や不安、愛そして真の勝利とは何かを描いて第49回(1976年度)アカデミー賞作品賞、監督賞、編集賞を受賞したスポーツ映画の傑作。シリーズ化され当初は第3作で終わる予定だったが、2006年に公開された「〜ザ・ファイナル」で正式に完結するまで、全部で6作作られた。


 フィラデルフィアのスラム街。そこに賞金稼ぎボクサーとしてヤクザな生活をしているロッキー(シルヴェスター・スタローン)がいた。今、彼には新たな生きがいがある。ペット・ショップに勤めるエイドリアン(タリア・シャイア)に恋心を抱き始めたからだ。素朴な彼女は精肉工場に勤める兄ポーリー(バート・ヤング)と共に暮らしている。4回戦ボーイのロッキーは、今日もラフファイトぶりで勝利を収めるが、「お前のようなガムシャラなファイトぶりではゼニにならん」と、ジムを放り出されてしまう。酒場でポーリーと飲み交わすロッキー。ポーリーはロッキーの妹への好意に感謝する。数日後、人生最大のチャンスが訪れた。近づく建国200年祭のイベントの1つ、世界タイトルマッチでのアポロ(カール・ウェザース)の対戦相手がケガをしたため、代役としてロッカーが指定されたのだ。元ハードパンチャーとして鳴らしたポーリーが、かつてのジムの老トレーナーのミッキー(バージェス・メレディス)それぞれ彼の協力を申し出た。一方、エイドリアンとの愛も育っている。孤独だったロッキーの人生は一変した。愛が、人生の目的が、そして自分を応援してくれる人々がいる。ロッキーの短期間の猛特訓が始まった…。


 これはもう、何度見ても感動できて、元気になれる映画。それまでは売れない俳優だったスタローンの脚本家としての才能を開花させると共に、俳優としても一気にスターダムに押し上げた映画である。プロダクション側は当初、主演にはポール・ニューマンやロバート・レッドフォードをキャスティングする事を条件としていたが、スタローンは自分を主演とすることに固執した。結果的に低予算(約100万ドル=当時のテレビドラマ1本分に相当)で短期間(撮影期間28日)おまけにB級映画の監督(元々アヴィルドセン監督はトロマ社製作映画の常連監督だった)で作る事を余儀なくされたのだが、仮にニューマンやレッドフォードでこの映画を作っていたら、恐らく全く違うものになっていただろうし、もしかしたらここまで高い評価を得られなかったかもしれない。


 ステディカムと呼ばれる、手ブレ抑制機能付きカメラを本格導入した最初期の映画で、その効果は走り込み等の練習シーンで現われているが、このカメラを使った場面はスタッフも少人数で撮影していたため、ロードワークのシーンでスタローンを本物のボクサーと勘違いした果物屋がリンゴを投げ入れるという、台本には無いハプニングがあったり、それをそのままOKテイクとして使うという、低予算ならではの撮影エピソードもたくさんある。


 ラストシーンもその1つで、本来は興奮した観客がロッキーを担ぐ事になっていたのだが、観客のエキストラが殆ど素人で統制が保てず、想定通りの撮影ができなかったのだ。それがかえってロッキーが恋人の名を叫ぶあの名シーンになったのだから、面白いものである。ちなみにラストはもう1パターン撮ってあり、控室に戻ったロッキーが待っていたエイドリアンに会うという静かなもの(上の写真のチラシやポスターに使用された)だったそうだが、うーん、やはり余韻が残るラストにして正解である。またこのラストの評判が良かった事で、当時流行っていた陰欝なラストの多い“アメリカン・ニューシネマ”ブームに終止符が打たれた。


 後々のシリーズで、主人公とポーリー以外は死んでいった事を考えると、これはまだ苦難の始まりなんだよねという感じなのだが、僕は全部観ているはずなのに、「2」以降は「4」ぐらいしか印象に残っていない(笑)。スタンダードになったテーマ曲を含め、それだけこの第1作のインパクトが強烈なのだ。


 ところで、この「ロッキー」。映画の方はやっと完結したのだが、今年の年末に舞台化されるらしい。アメリカでもイタリアでもなくドイツで。しかも何とミュージカル(!)。歌い踊るロッキーやエイドリアン… 何だか観たいような観たくないような(笑)。日本では… たぶん上演しないだろうな(笑)。やってくれたら観に行くだろうけどね。


私の評価…☆☆☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月11日 (火)

仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z

MOVIE大戦Z
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:金田治
音楽:中川幸太郎、山下康介
主題歌:Hero Music All Stars Z「蒸着 〜We are Brothers〜」
出演:「仮面ライダーウィザード」…白石隼也、奥仲麻琴、永瀬匡、戸塚純貴、高山侑子、小倉久寛 他
「特命戦隊ゴーバスターズ」…鈴木勝大、馬場良馬、小宮有紗、西平風香、高橋直人、榊英雄 他
「獣電戦隊キョウリュウジャー」…竜星涼、斉藤秀翼、金城大和、塩野瑛久、今野鮎莉
「宇宙刑事ギャバン」…石垣拓磨、三浦力、森田涼花、大場健二、本田博太郎
「海賊戦隊ゴーカイジャー」…池田純矢

声の出演:キョウリュウゴールド…丸山敦史、グランダイン…岡田浩暉、スカイダイン…木下あゆ美、イナズマン(サナギマン)…須賀健太、仮面ライダー1号ほか…稲田徹、アカレンジャーほか…関智一、サイコロン…水樹奈々、魔王サイコ…飯塚昭三 他


 《素晴らしき東映特撮ヒーローたち》


 歴代仮面ライダー全員と歴代スーパー戦隊全員がコラボした「スーパーヒーロー大戦」から1年。今度はそれに加えて宇宙刑事もコラボする“お祭り”映画。


 かつて仮面ライダーたちと戦ったショッカーが、魔法の力を得た宇宙規模の組織「スペースショッカー」として復活した。スペースショッカーは全宇宙を征服するため、まずは地球に狙いを定める。


 一方、地球では操真晴人=仮面ライダーウィザード(白石隼也)が十文字撃=宇宙刑事ギャバンtype-G(石垣拓磨)から攻撃を受ける。戦闘の中でギャバンはウィザードに対する誤解を一応解いて双方変身を解除し、晴人は撃から衝撃の事実を教えられる。どうやら宇宙各地では魔法の力が同時多発的に暴走しており、地球はもちろん宇宙全体も破滅の危機にあるらしく、このまま事件の首魁が逮捕されなければ、銀河連邦警察は暴走の元凶地と目される地球を超次元砲で消滅させてしまうというのだ。終末のカウントダウンは刻一刻と進みつつあった。そして晴人と撃は、獣電戦隊キョウリュウジャーの桐生ダイゴ=キョウリュウレッド(竜星涼)たちと出会い、協力する事になった。


 一方、エネルギー管理局・特命部の特命戦隊ゴーバスターズの宇佐見ヨーコ=イエローバスター(小宮有紗)が見つけた小型ロボット・サイコロン(声:水樹奈々)は事件に何か関係があるのか。背後に見え隠れする、宇宙刑事シャリバンによって滅んだはずの宇宙犯罪組織マドーの影もちらつく中、仮面ライダー・スーパー戦隊・宇宙刑事たちは力を合わせ、全宇宙の平和を乱す真の巨悪に挑んでいく…。


 去年の物もそうだったが、こういう“イベント映画”は、ストーリー等は二の次で、とにかく最初から最後までほぼバトルシーンで綴っていく、観ているこっちまでテンション↑↑になる映画である。


 前作は昭和&平成の全ライダー及び全戦隊が総結集するというのが売りだったが、さすがに2度続けてそれはできないという事で、今回は登場しない戦士もいるのだが、そのかわりそこに宇宙刑事たちが加わることになった。終盤には宇宙刑事以外の“メタルヒーロー”もちょっとだけ復活して、映画を盛り上げている。また、復活した映画版の「宇宙刑事ギャバン」で久々にコム長官を演じた西沢利明氏がガンで亡くなられたため、初代ギャバンが長官に昇進している。


 また前作で、ギャバンとのコラボが判明してから、恐らくこれをやってくるんじゃないかと楽しみにしていたのが、新ギャバンと戦隊ヒーローの両方に別々のヒロイン役で出演している森田涼花の扱われ方だが、こちらの期待通りにシェリー(新ギャバン)とシンケンイエロー(侍戦隊シンケンジャー)の2役で出てくれたのは、両作のファンにとっては嬉しいところだ。


 映画の最後には次回作が一応の最終決戦であることが告げられ、また懐かしのヒーローの復活が告げられる。体の半分がスケルトンになっているあのヒーローの復活が…。できたらそのお兄さんも、父親の頭脳と弟の心でできた悪役も、変身前にハープを弾くヒロインも、武者姿の悪役も復活してほしいなぁ… なんて言ったら分かっちゃうか(笑)。とにかく楽しみだ!


私の評価…☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月 5日 (水)

L.A.ギャングストーリー

L.A.ギャングストーリー
劇場:MOVIX京都
監督:ルーベン・フライシャー
音楽:スティーブ・ジャブロンスキー
原作:ポール・リーバーマン「GANGSTER SQUAD」
出演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、エマ・ストーン、ニック・ノルティ、アンソニー・マッキー、ジョヴァンニ・リビシ、マイケル・ペーニャ、ロバート・パトリック、ミレイユ・イーノス、ホルト・マッキャラニー、ジョシュ・ペンス、フランク・グリロ、ジェイムズ・ハーバート、ハーレイ・ストロード、マックスウェル・ペリー・コットン、ルーシー・ウォルシュ、トロイ・ギャリティ、ジェームズ・カルピネロ、ジョン・ポリト、ウェイド・ウィリアムズ 他


 《曲者揃いの役者たちはいいのだが》


 1940〜50年代のロサンゼルスを舞台に、警察とマフィアの戦いを描く。当初日本では2012年12月の公開予定だったが、映画自体がコロラド州での銃乱射事件の影響で、本編の撮り直しを余儀なくされたため、全米での公開延期に伴い日本でも2013年5月に延期された。


 ロサンゼルス、1949年。ニューヨークにあるブルックリン生まれのギャングのボス、ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)は、麻薬や銃、売春など手段さえあれば何でもするという勢いでこの街を牛耳り、さらにはシカゴから西に広がる地域の賭博も仕切っている。そしてそんな彼の活動を守っているのは、彼自身が雇っている手下だけでなく、首根っこを押さえこんでいる警察や政治家たち。コーエンの勢力は、街で鍛え上げられた、極めて勇敢な刑事でさえ怖気づくほどだった。


 例外は恐らく、ジョン・オマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)とジェリー・ワーターズ巡査部長(ライアン・ゴズリング)率いるL.A.市警の「はぐれ者たち」から構成された少人数の極秘チームだけ。コーエンの帝国をぶち壊すために集められた「最強部隊」である。だがこの命がけの極秘任務をこなすには警察官の顔を捨て、ギャング顔負けの違法行為を犯さなければならない。そこでメンバーに選ばれた6人は、署内きってのはみ出し者ばかりのヤクザな男たちだった。


 たとえ勝利しても、表立って賞賛されることはない。求めるものは正義だけ。栄光なき男たちの戦いが、いま始まる…。


 少し前に「L.A.コンフィデンシャル」という映画があった。内容はフィクションだが、ミッキー・コーエン逮捕後の腐敗した警察組織を、裏社会の混乱と絡めて描いた傑作だった。本作はノンフィクションなので、「〜コンフィデンシャル」との関連性は薄いが、続けて観るとその時代性が見えてきて面白い。


 ギャング映画には古くはジェームズ・キャグニーや、「アンタッチャブル」のロバート・デ・ニーロなど、渋い俳優がつきものだが、本作もライアン・ゴズリングやジョシュ・ブローリンといった曲者俳優が勢揃いである。中でもやはりコーエン役のショーン・ペンは、怪演ともいえる迫力満点で、実際のコーエンとはルックスがまるっきり似ていない(実物はアル・カポネにそっくりである)にも関わらず、存在感抜群である。


 ただこの映画、これだけの役者を揃えておきながら、それを活かしきっていない。先に書いた事件の影響もあるだろうが、実話ベースのはずなのに、相当無茶な部分が多すぎるのだ。まぁ、警官がマシンガンを乱射する場面を真似られては、言い訳もたたないだろうが、あれだけの撃ちあいでコーエンに1発も当たらないというのはなんでだろう(笑)と思ってしまう。実話でも映画やドラマとして映像化する際は、ある程度の脚色が必要なのだが、だとしたら本作はその脚色が不出来である。せっかく活きのいい旬な役者を揃えているのに、実に勿体ないものだ。


私の評価…☆☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月 2日 (日)

〈新・午前十時の映画祭〉カサブランカ

カサブランカ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:マイケル・カーティス
音楽:マックス・スタイナー
出演:ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト、ドーリー・ウィルソン、シドニー・グリーンストリート、ピーター・ローレ、S・Z・サコール、レオニード・キンスキー、マデリーン・ルボー、ジョイ・ペイジ 他

※写真はリバイバル時のチラシ


 《美しいバーグマンに“乾杯”!》


 第二次世界大戦にアメリカが参戦した1942年に製作され、同年に公開(日本公開は1946年)された作品。


 1940年、フランス領モロッコのカサブランカでアメリカ人リック(ハンフリー・ボガート)は酒場を経営していた。


 ある夜、反ナチのリーダーとして名高いラズロ(ポール・ヘンリード)が妻イルザ(イングリッド・バーグマン)と一緒に、リックの酒場にやって来る。ラズロはリックが隠し持つパスポートを買う為にやってきたのだ。


 イルザはそこで黒人ピアニストのサム(ドーリー・ウィルソン)が弾き歌う「As Time Goes By(時のたつまま)」を聴いて涙する。イルザとリックはかつてパリで愛し合い、共にアメリカ亡命を誓い合った仲だったのだ…。


 映画の感想を書くのが遅れていて、5月に観た新作映画の感想が殆ど書けていない(汗)。どうしたらいいものか(苦笑)。


 現在は殆どのワーナー配給の映画で、オープニングの会社ロゴ表示の際に、この映画の主題歌「As Time Goes By」のメロディが流れる、そこからみてもこのワーナーという会社が、いかに大事にしているものなのかがわかる映画である。


 この映画は一応娯楽作ではあるが、戦時中に製作された事もあって、プロパガンダ色が強い。アメリカにとって敵国だったドイツ人を悪役として扱っている他、当時のフランスの親独政府であるヴィシー政権をも暗に批判し、この政権に抵抗していた「自由フランス」を支持する場面が数多く見受けられる。


 また、「君の瞳に乾杯!」など名台詞の宝庫としても知られるが、これについては本来の意味から少々外れた意訳が多く、字数制限の中で巧みに表現した今は亡き字幕翻訳家・高瀬鎮夫氏のセンスが光っている。


 それにしても、この映画のバーグマンは美しい。彼女は別名“アメリカの聖女”と呼ばれるほど容姿端麗なのだが、この映画におけるバーグマンは特別だ。リックとラズロという格好いい男2人から同時に愛されるのも納得がいく。だが、それ故に切ないラストが待っている。飛行場でのクライマックスは、幾多の困難の中、新天地に向かう希望と、“男たちの友情の始まり”を表現した名シーンである。たまには、こういう映画で世界の歴史を学ぶのもいいものだ。


私の評価…☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月 1日 (土)

死霊のはらわた(2013)

死霊のはらわた(2013<br />
 年版)
劇場:MOVIX京都
監督:フェデ・アルバレス
製作・脚本:サム・ライミ
音楽:ロケ・バニョス
出演:ジェーン・レヴィ、シャイロ・フェルナンデス、ジェシカ・ルーカス、ルー・テイラー・プッチ、エリザベス・ブラックモア、ブルース・キャンベル(カメオ出演) 他


 《オリジナル版を超える(?)“秀作”》


 1981年に公開され、スプラッター映画ブームを巻き起こし、サム・ライミの出世作となった同名タイトル映画のリメイク。オリジナル版にはあったコメディ要素がほぼ排除され、よりスタイリッシュに生まれ変わった。


 薬物依存症の妹・ミア(ジェーン・レヴィ)のリハビリのため、ミアの兄(シャイロ・フェルナンデス)や友人たち男女5名は山奥の不気味な小屋を訪れる。そこで彼らは禁断の「死者の書」を発見。「決して開けてはならない」という忠告を破った結果、邪悪な死霊を甦らせてしまう。やがて姿なき死霊に憑依され豹変したミアは、うわごとのように恐ろしい言葉を吐き続け、見るも無残な姿となって仲間たちに襲いかかっていく。閉ざされた森から出ることも助けを呼ぶこともできず、次々と死霊に取り憑かれていく若者たち。果たして彼らに生き残る術はあるのか…。


 つい最近、「キャビン」という映画が公開され、このブログでも感想を書いたが、あれはこの映画のパロディが、たっぷりと入っていた映画であった。対してこちらは“正統派リメイク”、さすがに同じ手は使えないと見たのか、オリジナル版の特徴だった笑いの部分を無くし、怖さの際立つ映画に仕立てあげた。


 32年前のオリジナル版は、製作費僅か17万ドルの16mmフィルムによる超低予算映画。対してリメイク版はオリジナル版の500倍近い1700万ドルの予算(これでもハリウッド映画の製作費としては高くないが)でシネスコの大画面である。予算がかかっていればCGも使っているようにも見えるが、実はCGは一切使われておらず、リアル感たっぷりである。


 元々がシンプルなプロット等は、変えようがなかったのか、ほぼそのままだが、主人公らが山奥の薄汚いコテージを訪れる理由付けや、過去の忌まわしい事件など、背景が綿密に描き込まれている分、一級のホラーとして観ることができる。リメイク版の致命的なところは、オリジナル版を観ていればストーリーが分かってしまっているので、展開次第では先が読めてしまうのだが、本作は先が読めても見せ方が上手く、それでいてライミへのリスペクトもたっぷり描かれているので、オリジナル版のファンもまた、新たな恐怖とある種の“痛み”を感じ取ることができるのだ。


 後半は徐々にライミ版から離れていくが、この監督の“ホラー愛”がこれでもかと描かれるため、見せ場が多く、飽きさせない作りになっている。リメイク版というものは、その殆どがオリジナル版より評価が下に見られがちだが、本作はリメイク版としては珍しい秀作だ。


 なお、エンドロールの後に、オリジナル版ファン向けのサプライズがあるので、終わったと思っても絶対に席を立たないように。ちなみに本国では作品の評価が高く、ヒットしたため既に続編の製作に取りかかっているとのこと。オリジナル版にも続編は2作あったが、さてこのリメイク版の続編は、一体どういう展開になるのか? 楽しみである。


私の評価…☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »