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2013年7月

2013年7月26日 (金)

華麗なるギャツビー 3D

華麗なるギャツビー 3D
華麗なるギャツビー 3D
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:バズ・ラーマン
原作:F・スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」
音楽:クレイグ・アームストロング
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):レオナルド・ディカプリオ(内田夕夜)、トビー・マグワイア(加瀬康之)、キャリー・マリガン(白石涼子)、ジョエル・エドガートン(てらそままさき)、アイラ・フィッシャー(東條加那子)、ジェイソン・クラーク(ふくまつ進紗)アデレイド・クレメンス(冠野智美)、エリザベス・デビッキ(小松由佳)、アミターブ・バッチャン(勝部演之)、カラン・マッコーリフ、ジェマ・ワード 他


 《タイトルだけで中身がスッカラカンな映画》


 F・スコット・フィッツジェラルドが1925年に発表した名作小説。その5度目の映像化(映画化は4度目)作品。


 その美しさも、莫大な財産も、全てが完璧な男 ―ジェイ・ギャツビー。だが、彼には“秘密”があった…。


 宮殿のような豪邸に暮らす、謎めいた男がいる。彼の名は、ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)。どこから来たのか? どうやって大富豪になったのか? 仕事は何をしているのか? いったい何のために、毎夜のように豪華絢爛なパーティーを開くのか? 誰一人その答えを知らない。


 「真実を話そう」と、ギャッビーは隣人のニック(トビー・マグワイア)に、自らの生い立ちを打ち明ける。裕福な名家に生まれ、ヨーロッパで宝石や名画に囲まれた贅沢な暮らしを送った。戦争では数々の勲章を受けて英雄となり、両親が亡くなった今は天涯孤独の身…。


 出来すぎた話に、「彼は何かを隠している」と直感するニック。やがて、耳を疑う噂と危険な人脈、そして上流社会の女性デイジー(キャリー・マリガン)との禁じられた恋が、少しずつギャツビーの華麗な仮面を剥がしていく。


 ギャッビーがこの街にやってきた、本当の目的は? 果たして、彼が人生の全てをかけた“秘密”とは?


 バズ・ラーマン監督の映画は、「ムーラン・ルージュ」や「ロミオ+ジュリエット」等、僕も何作か観ているが、この監督の映画は話の内容よりも映像や音楽に頼りきるものが殆どで、そういった意味では今作も、いい意味でも悪い意味でもこの監督の特色が出ている。映像と音楽に頼ることは、例えば「ムーラン・ルージュ」のような、ファンタジーを前面に押し出したような映画なら通用するのだが、この「華麗なるギャツビー」は、そういったファンタジー映画とは違うような気がする。


 原作が刊行された1920年代の前半は、アメリカにとって束の間の平和な時代で、空前の好景気に湧いた時代でもある。ここに出てくる謎の男ギャツビーは本来、大富豪ではなく貧しい田舎で育った平凡な男だ。彼は5年前に出会い、一時は愛し合った上流階級の女デイジーとの事が忘れられず、ニューヨークに戻ってくる。彼は裏社会の広告塔となる事で巨額の資金を得て、毎週末にクレイジーなパーティーを主催する。いつかデイジーがこの噂を聞きやって来る事を期待して。ハッキリ言やぁギャツビーのやっている事はストーカー行為なのだが、そんな偽りの姿の愛は長続きせず、やがて破綻し終焉を迎える。その姿はそのままアメリカの姿でもあり、この時のアメリカの景気もさほど長続きせず、原作刊行から4年後には世界恐慌が起きてしまうのだ。


 そう、この映画はファンタジーのようでありながらも、現実を描いたものであり、そのあたりを理解していないと、多分何を描いているのかもさっぱり分からないものになってしまう。映画を観ている人に、そこまで考えて観ている人が、はたしてどのくらいいるのだろうか(笑)? ひょっとしてこの小説は、難解なSF小説より以上に映像化するには相当難しい題材なのではないかと思う。


 主人公が撃たれてからラストに至るまでも長すぎである。もうすでにそこまで来ると、ニックが語り部になっていることは誰にでも分かる。エピローグ的な部分は必要にしても、もう少しコンパクトでも良かったのではないだろうか。


私の評価…☆☆★

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2013年7月19日 (金)

桜姫

桜姫
劇場:T・ジョイ京都
監督:橋本一
脚本:橋本一、吉本昌弘
原案:四世鶴屋南北「桜姫東文章」、山東京伝「桜姫全伝曙草」
音楽:佐藤礼央
出演:日南響子、青木崇高、徳井優、合田雅吏、野々村真、平山祐介、麻美ゆま、平間美貴、七海なな、マリエム・マサリ、星野あかり、HIRO(安田大サーカス)、クロちゃん(安田大サーカス)、周防ゆう、奥深山新、風祭ゆき、でんでん 他


 《古典歌舞伎の異色作が、変なエロ映画に変貌》


 「清玄桜姫物」と呼ばれる歌舞伎の演目の中の、代表的な作品、鶴屋南北・作の「桜姫東文章」と、それを元に、より怪奇色を強めて創作された山東京伝・作の江戸時代の伝奇小説「桜姫全伝曙草」のエピソードも取り入れて作られた映画。


 雷鳴轟く、夜。名門「吉田家」の娘・桜姫(日南響子)はワケあり稼業の男・権助(青木崇高)に襲われる。激しく抵抗しながらも、次第に初めて知る女の歓びに身も心も溶け出していく桜姫。そして、男の右腕に掘られた「釣鐘の刺青」が桜姫の目に焼き付いていた。


 無理矢理に犯されるという最悪の出会い。名前も顔も分からぬ男を運命のヒトと恋い焦がれていった桜姫は、男を捜し出すために家を飛び出してしまった。


 彼女が辿り着いた先は場末の遊廓「ぢごくや」だった。お金にがめつい宅悦(徳井優)が経営するこの遊廓。外見はボロいが、案外繁盛はしている。勝気な美女・お七(麻美ゆま)をはじめ数人の遊女が働いているが、中でも断トツの一番人気は新入りの風鈴お姫。美しくて最高の床上手。そんな噂を聞きつけ、男たちは常に行列を成す日々だ。だが実は彼女こそ、桜姫だった。


 権助に会いたい一心で、遊女にまで身を落とした姫だったが、毎晩相手をする男たちに「釣鐘の刺青をした男を探してほしい」と頼んで回っていた…。


 うーん、何とコメントしていいやら…(苦笑)。一応原作の1つとなっている「桜姫東文章」というのは、京都・清水寺の坊さんとお姫さまとの恋物語を描いた演目で、歌舞伎の中でも清玄桜姫物という1つのジャンルの中での人気の演目なのだが、いかに現代的な解釈を入れて映画化したとしても、どこをどういじくればこんなエログロ映画になるのか、よく分からない。


 出演者の中にAV女優が混じっているので、最初から裸の場面が多い事は予想がついたが、この監督の演出センスが無いのか、或いはあえてそれを狙っているのか、実に品が無い。主役の日南響子や、姐御肌的な役柄で見せ場の多い麻美ゆまなどはまだましな方だったが、これなら変なアレンジなどせず、正調「桜姫東文章」として作った方がよかったのではないか。


 それに、清玄と桜姫の恋物語のはずなのに、その清玄役がでんでんでは精力絶倫のエロジジイにしか見えない(笑)。しかも、「〜東文章」では最終的に清玄は殺され死霊となっても桜姫を想い続けるという結末になるのだが、こちらではある薬を与えられ、殆ど妖怪と化して復活する暴走っぷりである。何だか中途半端なおバカ映画を見させられた感じなのだ。


 褒めるところの少ない映画だが、主演の日南響子は頑張っていた。撮影当時19歳とは思えないほど色っぽく美しい。映画主演は2作目とあって、演技自体はまだまだ拙いが、ヌードも辞さない大胆さもあり(さすがにバストトップや陰部は小物や影で隠されていたが)、経験さえ積めば、本業の雑誌モデルよりも女優としてやっていけるのではないか、ということを感じさせた。と同時に、やたらと脱ぎっぷりのいい女優には、ならないでほしいなとも思った(笑)。


私の評価…☆☆

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2013年7月17日 (水)

ファインド・アウト

ファインド・アウト
劇場:ユナイテッド・シネマ大津
監督:エイトール・ダーリア
音楽:デビッド・バックリー
出演:アマンダ・セイフライド、ジェニファー・カーペンター、ダニエル・サニャータ、セバスチャン・スタン、ウェス・ベントリー、キャサリン・メーニッヒ、エミリー・ウィッカーシャム、マイケル・パレ 他


 《腑甲斐ない警察に翻弄されるヒロイン》


 「レ・ミゼラブル」の若手実力派女優アマンダ・セイフライド主演によるサスペンス映画。


 1年前、ジル(アマンダ・セイフライド)は何者かにより拉致・監禁されたと周囲に訴えるが、証拠が何一つ出てこなかったために、彼女が抱える心の病による虚言症として片付けられてしまう。ある日、今度はジルの妹モリー(エミリー・ウィッカーシャム)が失踪。自分の時と同様に拉致されたと確信したジルは、姿なき犯人について警察に直訴するが、まともに取り合ってくれない。ジルは誰からの助けも得られないまま、決死の覚悟でモリーの捜査に乗り出す。その捜査の先には、恐るべき真相が待ち受けていた…。


 この映画は関西では意外に短期間で公開が終わってしまったが、一応、観ているので書いておく。


 アメリカでは社会問題にまでなっているほど、数多く起こっている失踪事件。その数は年間約80万件で、日本の約8倍に値する。この映画では、怖い目にあった主人公の言う事を全く相手にしない、情けない警察の姿が描かれ、それがもとで主人公の妹まで狙われてしまうのだが、警察もそこまで手が回らないのである。


 仕方なくヒロインが孤軍奮闘するハメになるわけだが、序盤にある彼女と警察官のやりとりによって、彼女には虚言癖があるというイメージを植え付けられてしまうので、ヒロインが体験した恐怖が現実なのか虚言なのか、あるいは妄想なのかが分からず、またアマンダ・セイフライドの熱演もあって引き込まれていく。


 この映画は夜の場面が多く、しかも広大な森にヒロインが1人という描写が多い。キャストも主演のアマンダ以外はあまり名の知られていない俳優ばかりなので、暗くて地味な印象は拭えないが、ミステリアスな雰囲気や、ラスト直前まで犯人が誰なのか分からないという緊張感がたっぷりとあり、後半の展開がやや単調ではあるものの、見応えのある映画にはなっていた。


私の評価…☆☆☆★

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2013年7月12日 (金)

旅立ちの島唄 〜十五の春〜

旅立ちの島唄 〜十五の春〜
旅立ちの島唄 〜十五の春〜
劇場:京都シネマ
監督・脚本:吉田康弘
音楽:きだしゅんすけ
主題歌:BEGIN「春にゴンドラ」
出演:三吉彩花、大竹しのぶ、小林薫、早織、立石涼子、山本舞子、照喜名星那、上原宗司、手島隆寛、小久保寿人、日向丈、松浦祐也、若葉竜也、ひーぷー、普久原明 他


 《静かな感動を呼ぶ秀作》


 義務教育期限定ユニット「さくら学院」を昨年3月に“卒業”し、雑誌モデル兼女優としてソロで活動する三吉彩花の初主演作。沖縄本島の東にある南大東島を舞台に、高校進学のために島を出なければならない少女の成長を描く。


 沖縄本島から東へ360km離れたところにある南大東島。この島には高校がない。このため、島に住む高校進学希望者は島を出なければならない。民謡グループのリーダー・仲里優奈(三吉彩花)の家でも、姉・美奈(早織)と兄は進学を機に、沖縄本島出身の母(大竹しのぶ)は美奈が高校へ進学するときに一緒に島を出ており、今は蔗畑を営む父(小林薫)と二人暮らし。美奈は子供と共に島に帰ってきているが、兄は那覇で働き、母は島に戻っていない。中学3年生になった優奈の心には、滅多に会えない母への思い、父を島に1人置いていくことの悲しみ、淡い恋、南大東島にはないものへの憧れや将来への不安などが過る。様々な思いを込めて優奈は島唄を唄いきり、島からの旅立ちの時を迎える…。


 映画はオリジナル・ストーリーだが、主人公が属する民謡グループ“ボロジノ娘”は南大東島に実在する。ここに所属する娘たちは毎年、その15歳の節目毎にメンバーが入れ替わる。ボロジノ娘たちは南大東島の島唄「アバヨーイ(八丈島の方言で“さようなら”の意)」を人々の前で、家族への想いを込めて歌うのだ。


 南大東島は沖縄だが、八丈島からの開拓者によって110年前に開かれた島であり、高校設置の基準に満たないために、中学卒業前になると家業を継ぐために島に残るか、沖縄本島にある高校へ進学するかという選択を迫られるのだ。


 両親役の小林薫と大竹しのぶが素晴らしいのは勿論だが、多感な時期の少女を演じている三吉彩花が凄くいい。元々背が高く(身長171cm)雑誌モデルも務める彼女は、実年齢より大人びて見えるのか、菅野美穂や天海祐希と共演したTVドラマでは大学生の役を演じていたが、今作は現在高校2年生である本人とほぼ同じ等身大の役を感情豊かに好演している。特に、どこか頼りなさげな序盤から、クライマックスで「アバヨーイ」を歌う時の大人びた、凛とした表情に変わった時はドキッとさせられた。彼女が女優として出演した作品は、TVドラマを含めてまだ3作しか無いのだが、今後が大いに楽しみな女優である。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2013年7月10日 (水)

G.I.ジョー バック2リベンジ

G.I.ジョーバック2リベンジ
G.I.ジョーバック2リベンジ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョン・チュウ
原作:ハズブロ
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演(吹替版声優):ドウェイン・ジョンソン(楠大典)、エイドリアンヌ・パリッキ(菜々緒)、D.J.コトローナ(板倉光隆)、レイ・パーク(台詞なし)、エロディ・ユン(行成とあ)、ブルース・ウィリス(仲野裕)、チャニング・テイタム(小松史法)、ルーク・ブレイシー(土田大)、イ・ビョンホン(阪口周平)、レイ・スティーヴンソン(咲野俊介)、アーノルド・ヴォスルー(糸博)、ジョナサン・プライス(糸博)、RZA(ふくまつ進紗)、ウォルトン・ゴギンズ(根本泰彦) 他


 《前作から内容を変え過ぎた失敗作》


 ハズブロの玩具「G.I.ジョー」をモチーフに製作された2009年の「G.I.ジョー」の続編。当初は2012年6月公開予定だったが、3D化する事になり北米での公開が2013年3月に延期、この影響で日本での公開は最終的に(2度延期され)2013年6月となった。


 アメリカ大統領(ジョナサン・プライス)は、国を裏切った機密部隊G.I.ジョーの処刑命令を発令、パキスタンで極秘任務中のG.I.ジョーは大統領の陰謀にはめられ、突如襲撃を受ける。生き残ったメンバーは、デューク(チャニング・テイタム)、ロードブロック(ドウェイン・ジョンソン)ら僅か数名。G.I.ジョーは解体となり、最強の暗殺者ストームシャドー(イ・ビョンホン)が復活。テロ組織“コブラ”が再び勢力を広めていく。東京に始まり、上海、モスクワ、ワシントンDCと世界各地に脅威は波及、遂にはロンドンへ核爆弾が落とされ、世界は彼らにひれ伏すこととなってしまう。そんな中、孤立無援、絶体絶命のG.I.ジョーのメンバーは、初代G.I.ジョーであるジョー・コルトン司令官(ブルース・ウィリス)に救助を要請。新たなボスを迎えた新生“G.I.ジョー”が世界の危機に立ち向かっていく…。


 これはもう、前作を観ていないと分からないという、“一見さんお断わり”映画であると共に、最終的には前作を観た人も置いてきぼりを食らうのではないかという、トンでもな映画である。


 何せオープニングが前作ラストの直後からなので、前作を最後の最後まで観ていないと、恐らく理解不能だろうし、前作の主要メンバーを序盤であっさり死なせて、新メンバーとごっそり入れ替えるという、かなり強引な展開を見せるため、ヘタをすれば作品のファンまで離れかねない事をやってしまっている。


 荒唐無稽なアクションの釣瓶うちなので、映像を観ている分には面白いかもしれないし、ヒマラヤ山脈の絶壁でのバトルは、3Dで観ると迫力満点だが、ハッキリ言やぁ評価できるのはそこだけ。人気スターを集めてスーパーアクションを見せられるだけでは、到底満足はいかない。監督が前作から変わってしまった(前作は「ハムナプトラ」シリーズのスティーヴン・ソマーズ)ので、作風が変わってしまったという事もあるだろうが、やはり続編を作るうえでやって良い事と悪い事があり、今回は悪い事の方が多かった。


私の評価…☆★

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2013年7月 9日 (火)

リアル 完全なる首長竜の日

リアル完全なる首長竜の日
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:黒沢清
脚本:黒沢清、田中幸子
原作:乾緑郎「完全なる首長竜の日」
音楽:羽岡佳
主題歌:Mr.Children「REM」
出演:佐藤健、綾瀬はるか、中谷美紀、オダギリジョー、染谷将太、堀部圭亮、松重豊、小泉今日子 他


 《上映開始30分以内で結末が薄々分かってしまう駄作》


 第9回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作を映画化。ホラー映画が得意な黒沢清監督にとっては、今作は初めてといっていいジャンルである。


 幼なじみで恋人同士の藤田浩市(佐藤健)と和〈かず〉淳美〈あつみ〉(綾瀬はるか)。だが1年前、漫画家の淳美は自殺未遂により昏睡状態に陥ってしまう。浩市は淳美を目覚めさせるために、〈センシング〉という最新医療によって彼女の意識の中へ入っていく。「なぜ自殺したのか!」という浩市の問いに、意識の中の淳美は「首長竜の絵を探してきてほしい」と頼むばかりだった。


 首長竜の絵を探しながら、何度も彼女の意識の中へ入っていき対話を続ける浩市。そんな彼の前に、見覚えのない少年の幻想が現われるようになる…。


 「首長竜」と「少年」の謎。その謎の先に、15年前にふたりが封印したある事件があった。


 浩市は淳美を救うことが出来るのか…。そしてふたりが抱える秘密の思い出とは…。極限状態で愛し合うふたりに、驚愕の真実が待ち受けていた…。


 期待して見に行った訳ではなかったが、正直ここまで酷いものになっているとは思いもしなかった。冒頭から事ある毎に流れる“潜在意識”の中の場面は、最初から不条理な事ばかりが描かれるのだが、あまりにそれを描きすぎてしまったが為に、もう映画の上映開始から30分ほどで、ある程度の先が見えてしまうのだ。ある場面がきっかけで僕は、これはひょっとしたら「シックスセンス」系の話で、本当は男女の立場が逆で、浩市はそれに気付いていないんじゃないか? と思ったのだが、まさかそれがドンピシャと当たっているとは、思わなかったなぁ(笑)。


 これは監督の演出が悪いのか、それとも原作の約70%を改変した脚本が悪いのか? 原作の主役2人は姉弟という設定だが映画版では幼なじみの恋人同士に変更。このため、映画版は恋愛の要素が強くなっているが、この時点で原作とはもう別物だ。


 それでも主演の2人は頑張っているし、それぞれの持味も出しているが、やっぱり構成が雑多だし、活かしきれていない。終盤に出てくるCGの竜も迫力不足。そんなことなら、設定を変えてまで無理して映画化する必要はなかった。


私の評価…☆

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2013年7月 5日 (金)

10人の泥棒たち

10人の泥棒たち
10人の泥棒たち
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:チェ・ドンフン
出演(吹替版声優):キム・ユンソク(山寺宏一)、キム・ヘス(朴ろ美)、イ・ジョンジェ(平田広明)、チョン・ジヒョン(平野綾)、サイモン・ヤム(石塚運昇)、キム・スヒョン(野島健児)、キム・ヘスク(小山茉美)、オ・ダルス(小山力也)、アンジェリカ・リー(小松由佳)、デレク・ツァン(中井和哉) 他


 《裏切りあり、どんでん返しありの非常に楽しい犯罪映画》


 韓国で公開されると、これまで同国の観客動員最高記録であった「グエムル-漢江(ハンガン)の怪物-」の記録を6年ぶりに塗り替える大ヒットを記録した話題作。


 韓国を拠点に活動する窃盗団。美術館所蔵の秘宝強奪を華麗に成功させた彼らは、巨大カジノでの新しい計画を聞かされる。集結した6人はそれぞれ人生最高の仕事を夢見て香港に向かう。指定された場所で彼らを待ち受けていたのは中国窃盗団の4人組。集められた「10人の泥棒たち」のターゲットは、幻のダイヤモンド「太陽の涙」。チームでの強奪計画は、全て完璧なはずだったが…。


 最近は、映画における韓流ブームもずいぶんと下火になり、韓国映画がかかる映画館も単館系が中心となって、シネコンでは滅多にお目にかからなくなっているが、たまにこういう面白いものがかかるのは嬉しい。


 1つのお宝を複数でチームを組んで、華麗なアクションを見せつつ奪っていくというのは、米映画「オーシャンズ11」の韓国版といったところだが、こちらのグループは、仲が良いんだか悪いんだか微妙な(笑)“韓中合同グループ”。韓6:中4と、数の上でも展開の上でも常に韓国優勢に進んでいくのは笑えるが、この10人それぞれにも複雑な人間関係があり、それが役者たちによる丁丁発止なセリフのやり取りで、テンポよく語られていく、非常に楽しい映画である。


 映画としての見せ方も非常に上手く出来ていて、その微妙な人間関係からの裏切りや、どんでん返しなどが度々起こるような仕掛けがあり、次第にチームから個人同士の争いになっていく。そして、後半で10人中の1人が、窃盗犯ではなく、宝石に関わるある黒幕を逮捕するために警察が送り込んだ囮捜査官であることが、グループではなく観客に示された瞬間、いつバレるのか分からない異様な緊張感が観ている側に走るのだ。観客を飽きさせない工夫が、まさに絶妙なタイミングで仕掛けられているのである。


 僕は基本字幕派なので、吹き替えと字幕版があったら大抵字幕版を選んで観るのだが、今回は時間の都合上吹き替え版を鑑賞。この映画はセリフの多さが特徴で、字幕ではその面白さの半分も伝えられないのでは、との理由で日本語吹き替え版が作られたらしいのだが、その意味では吹き替え版を選んで大正解。人気声優さんたちも、恐らくノリノリで吹き替えられたのだろうな、ということが想像できるくらい楽しく観ることができる。


 気になったのは、この映画の内容ではなく、日本での興行形態。実はこの映画、TOHOシネマズ系限定・2週間限定・特別料金1,800円(割引その他一切無し)という、興行の面では成功が期待できないやり方での上映であった。キャストで見れば、チョン・ジヒョン以外は日本であまり知られていない俳優ばかりなので、仕方がないのかもしれないが、2週間限定はともかく、何故一律1,800円興行なのか? もしかして、突発的な公開決定で、TOHOシネマズ側も無理矢理スクリーンを空けての公開だったのか? 何れにしてもいくら映画が面白くても、これでは客は入らない。その証拠に、この事を知らずに来て座席を取ろうとして、諦めて帰った年配(シニア層?)の客が何人もいた。興行的にはもちろん失敗だろうから、2度とこういう形態は取らないだろうが、興行する側はもうちょっと客の立場にたって考えてほしい。


私の評価…☆☆☆☆★

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2013年7月 3日 (水)

グランド・マスター

グランド・マスター
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:王家衛
音楽:梅林茂
出演:梁朝偉、章子怡、張震、張晋、王慶祥、宋慧喬、趙本山、小瀋陽 他


 《王家衛(ウォン・カーウァイ)らしさが無い予告編(笑)。でも、本編は…》


 北と南に分かれ、さらに様々な流派がある中国拳法。その中でブルース・リーの師である南の福健省・詠春拳の達人、葉問(イップ・マン)と、ライバルである北の山西省の計意拳・八卦掌の使い手、宮宝森(ゴン・バオセン)の娘、宮若梅(ゴン・ルオメイ)の互いに秘めた愛を通して、中国建国以前の激動の近代史を描く。


 世界を呑み込む戦争の足音が、刻一刻と迫る1930年代の中国。北の「八卦掌〈はっけしょう〉」の宗師(グランドマスター)である宮宝森(王慶祥=ワン・チンシャン)は引退を決意し、その地位と生涯をかけた南北統一の使命を譲る後継者を探していた。候補は一番弟子の馬三〈マーサン〉(張晋=マックス・チャン)と、南の「詠春拳〈えいしゅけん〉」の宗師・葉問〈イップ・マン〉(梁朝偉=トニー・レオン)。バオセンの娘で、奥義六十四手をただ1人受け継ぐ宮若梅(章子怡=チャン・ツィイー)も、女としての幸せを願う父の反対を押し切り名乗りを上げる。だが、野望に目の眩んだマーサンがバオセンを殺害。ルオメイはイップ・マンへの想いも、父の望みも捨て、仇討ちを誓う。後継者争いと復讐劇が絡み合う、壮絶な闘いの幕が切って落とされた。八極拳〈はっきょくけん〉を極め、一線天「カミソリ」と呼ばれるなぞの男(張震=チャン・チェン)も、不穏な動きを見せている。


 動乱の時代を生き抜き、次の世代へと技と心を受け継ぐ真のグランド・マスターとなるのは誰なのか…?


 この5〜6月は、花粉症などで体調の優れない日が多く、映画は観るものの感想を書くことが億劫になってしまい、現時点で約1か月も遅れている(汗)。なるべく終了間近なものや期間限定公開のものを優先して書いていって、早く追い付きたい。


 この映画は、アクション映画と見紛う予告編だったので、

 「あれ? ウォン・カーウァイって、こんな映画撮る監督だったっけ。」

と一瞬思ったのだが、いざ観てみると、アクションの割合は少なく、やはりカーウァイらしい人間ドラマが描かれていた。


 それにしてもこの映画のカンフーアクションは、メインの2人がアクション・スターではないため、アラを目立たなくさせるようアップショットを多用してはいるものの、今までのどんなアクション映画よりもきれいで美しい。まるで風景の一部にでもなっているかのようだ。アクション指導担当が「マトリックス」のユエン・ウーピンだからなのだろうか。カンフーの型そのものが、まるで一種の芸術作品のように思えてくる。さらに驚くべきことに、CGや香港映画特有のワイヤーアクションは、全く使っていないのだ! 高速度撮影等のアナログな撮影技法のみで、今でもあんなにきれいなアクションが撮れるのかと感心した。


 音楽の使われ方も凝っていて面白い。音楽担当の梅林茂は、中国映画ではドニー・イェンやヴィッキー・チャオが出演した「画皮」の楽曲を手掛けていたが、今回はオリジナル曲よりも、他の映画などからの引用が目立つ。まぁ、李香蘭が歌う「何日君再來」は、映画が描く時代に則した選曲だし、梅林茂氏が作曲した映画「それから」のテーマも権利関係は問題ないだろうが、結構印象的な場面でエンリオ・モリコーネ作曲の「デボラのテーマ」(映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」より)や、どういう訳か久石譲作曲の「壬生の狼」(「壬生義士伝」より)が使われ、しかも映像に妙にマッチしているのが何か不思議な感覚であった。


私の評価…☆☆☆☆

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