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2013年10月 3日 (木)

許されざる者(日本版)

許されざる者(日本版)
許されざる者(日本版)
許されざる者(日本版)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:李相日
原作:ワーナー・ブラザース製作映画「Unforgiven」(邦題「許されざる者」)
音楽:岩代太郎
出演:渡辺謙、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、近藤芳正、國村隼、滝藤賢一、小澤征悦、三浦貴大、佐藤浩市 他


 《リメイクとしては成功の部類で、骨太な秀作》


 1992年にクリント・イーストウッドが監督・主演したハリウッド製西部劇「許されざる者」を、日本映画でリメイク。日本映画がハリウッド・リメイクされるのはよくあるが、その逆は珍しい。しかも、アカデミー賞受賞作が日本でリメイクされるのは初めてである。


 1880年、明治維新期の北海道。幕府軍の残党で、かつて「人斬り十兵衛」と恐れられた男(渡辺謙)が、愛する妻と出会ったことで、ようやく見つけた違う生き方。二度と刀は抜かない。それが妻との約束。しかし、妻亡き後、最北の地で幼い子供たちと極貧の生活を送るなか、昔の仲間(柄本明)が「賞金首」の話を持ってやって来る。客にズタズタに切り刻まれた女郎(忽那汐里)が、相手の男たちに賞金を懸け、敵を討ってほしいと懇願しているというのだ。


 「一緒に来てくれるだけでいい」…旧友の誘いに応じたのは、子供たちのため。しかし、その瞬間から運命は動き出す。越えてはならない一線に向かって…。


 彼らの前に立ちはだかったのは、町を治める絶対的な支配者(佐藤浩市)。賞金稼ぎに来た者たちを追い払おうとする強固な意志は、残忍な暴力となって、人斬りの過去を持つ十兵衛に襲いかかる。それでも刀の封印は解かないつもりだった。ある決定的な出来事が起こるまでは…。


 子を思うとはかくも切ないものなのか。女たちの誇りとはかくも気高く残酷なものなのか。友を弔うとはかくも凄まじい所業なのか…。


 自分のためなら二度と手にすることのなかったはずの刀を、男は再び抜き放つとき、その壮絶な光景から目を逸らすことはできない。人が火として行き着く果てに、はたして何が見えるのか…?


 大概のハリウッド・リメイクものが、オリジナルと比べて評価が落ちるように、異国のものを翻案してドラマや映画を作ると違和感が残るものが多いが、この映画はそれをあまり感じさせない。


 本作の舞台は、オリジナル版と同じ年代の北海道。このためオリジナル版で描かれた黒人差別はアイヌ差別に切り替わった。戊辰戦争を背景に和人とアイヌの対立構造や、登場人物それぞれが抱える過去などを複雑に織り込め、重厚な物語に仕上げている。


 オリジナル版の役者に比べ、こちらの年齢層がちょっと若すぎる(特に佐藤浩市)かなとは思ったが、主役を渡辺謙に据えるなら、このキャストはちょうどいいかもしれない。ベテラン勢は勿論だが、柳楽優弥と忽那汐里の若手2人が、意外といっては失礼かもしれないが、良かった。


 タイトルの“許されざる者”とは誰のことか? 善とは何か、悪とは何か。この映画の登場人物は全て何らかの“罪”を背負って生きており、またその罪な行為が連鎖することによってストーリーが進んでいく。ただ、オリジナル版よりそれが明確に描かれたことによって、ラストがオリジナル版とは全く異なる重いラストになってしまったのは、賛否両論あるところだとは思うが、“罪”に対する日米の考え方の違いもあるが、こちらの方がよりリアルで良い。たとえ、元はそれほど悪人でなくとも、1人殺せばそれは“罪”だ。たとえ拭い去ったとしても、一生背負っていかなければならないのである。久々に考えさせられる映画であったが、いやはや人の宿業というものは、誠に根深いものですねェ。


私の評価…☆☆☆☆★

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