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2013年12月22日 (日)

かぐや姫の物語

かぐや姫の物語
かぐや姫の物語
かぐや姫の物語
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:高畑勲
脚本:高畑勲、坂口理子
音楽:久石譲
主題歌:二階堂和美「いのちの記憶」

声の出演:かぐや姫…朝倉あき、捨丸…高良健吾、翁…地井武男、三宅裕司(特別出演)、媼…宮本信子、相模…高畑淳子、斎部秋田…立川志の輔、石作皇子…上川隆也、阿部右大臣…伊集院光、大伴大納言、宇崎竜童、石上中納言…古城環、御門…中村七之助、車持皇子…橋爪功、北の方…朝丘雪路、炭焼きの老人…仲代達矢 他


 《老練監督渾身の作》


 高畑勲が「ホーホケキョ となりの山田くん」以来、14年ぶりに監督を務める映画。当初は、夏に公開された宮崎駿監督の「風立ちぬ」と同時公開予定だったが、製作が遅れてしまい、秋の公開となった。


 昔々。山で竹を取り、その竹で色々な物を作って売る事で暮らす翁とその妻の媼がいた。ある日、翁が竹藪に行ってみると光り輝く不思議な竹の子を見つける。すると、その中から小さな愛らしい姫が現われた。


 ところが姫を家に連れて帰ると、人間の赤ん坊に変わってしまう。子供のいない翁と媼は、姫を天からの授かりものとして大切に育て始める。人間の何倍も速く成長する事から、村の子供たちから“竹の子”と呼ばれた姫は、やがて美しい娘となる。


 その頃、竹藪の竹から黄金や高価な反物が出てくる事が相次ぎ、姫を幸せにせよという天からの命令だと考えた翁は、姫を高い身分の男性と結婚させようと、黄金を使い都に屋敷を構える。“なよ竹のかぐや姫”と命ぜられた姫の美しさは、都で評判になり、結婚を求める者が押し寄せたが、窮屈な都の暮らしは次第に姫の心を曇らせていく…。


 わりと派手な演出が多い宮崎作品に比べ、高畑監督の作品は落ち着いて観られる物が多いのだが、本作も日本の古典文学を題材に、独自の解釈で描いた傑作だ。


 物語の元となっているのが、誰もがよく知る「竹取物語」なので、大まかなストーリーは変えようが無いのだが、原作の設定にはあるものの詳しくは書かれていない、“姫が(月の世界で)犯した罪”とは一体何なのだろうかということを、より掘り下げて描くことによって、今までの「竹取物語」の映像作品とは一味違うものとなった。


 高畑監督の作品は、TVアニメ「母をたずねて三千里」のベッピーノ一座のパートのように、オリジナル部分がよくできていて素晴らしいのだが、この映画もそういったオリジナル部分をうまく描くことによって、作品自体を昇華させている。


 アレンジといえば、この映画、かぐや姫を迎えにくる月界人の大王みたいなキャラが仏様のような形をしている。仏教思想が多分に入っているのだろうか。月を天界(または極楽浄土)と考えれば、天界人から見れば地上は穢れた地。幸せに暮らせど、何の変化ももたらさない場所で生まれ育った姫が、人や物の生死ある、つまり変化の激しい世界に憧れたとなれば、天界人にとっては“罪”なこと。その“罰”として地上に送り込まれた…と。そして、そこでの暮らしは初めは良かったが都で暮らすようになるとまた変化が無くなり楽しかった少女時代に思いを馳せる。そして、月に帰る際に地上は穢れた場所ではないという事を悟るのだが、天界人はその地上での思い出を全て消し去るという最大の“罰”でもって迎え入れる…という事で考えると、なんて深い話なんだろう! 何かあらためてこの物語の奥深さを感じずにはいられなかった。


 なお本作は翁役で、今は亡き地井武男氏が、魂を揺さぶるような渾身の演技をされている。本作は、先に音を収録してから画を作っていく「プレスコ」と呼ばれる方法で製作されており、声を録ったのが約2年前だったのでこういう形となったが、この声を聞いているだけでも涙が出てくる。実は、声を録った後でセリフが変更されたり追加されたりした部分が6ヶ所ほどあるのだが、その部分のみ三宅裕司が代役として参加しているとは知らなかった。


 企画から完成まで約8年、総製作費50億円ともいわれる本作。大ヒットしても回収できるのか心配ではあるが(笑)、日本のアニメーション界に大きな影響を残したのは確かな作品である。


私の評価…☆☆☆☆★

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