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2014年1月

2014年1月30日 (木)

黒執事

黒執事
黒執事
劇場:大阪ステーションシティシネマ
監督:大谷健太郎、さとうけいいち
原作:枢やな「黒執事」
脚本:黒岩勉
音楽:松浦晃久
主題歌:ガブリエル・アプリン「Through the ages」
出演:水嶋ヒロ、剛力彩芽、山本美月、志垣太郎、海東健、ホラン千秋、優香、丸山智己、城田優、栗原類、岸谷五朗、安田顕、大野拓朗、橋本さとし、宮川一朗太、伊武雅刀 他


 《原作ファン以外ならお薦め》


 枢やなの人気マンガを実写映画化。原作者の承諾を得て、舞台や人物設定が原作設定の120年後に変更され、オリジナルとして製作されている。


 執事の名は「セバスチャン(水嶋ヒロ)」。知識と実力、品格と容姿を兼ね備え、非の打ち所があるとすれば性格の悪さだけという、万能にして忠実な執事。仕える主人は、巨大企業の若き総帥にして、幻蜂〈げんぽう〉家当主、幻蜂清玄〈きよはる〉伯爵(剛力彩芽)。実の名は汐璃〈しおり〉であり、女であることを隠して生きる男装の令嬢で、その過去に壮絶な傷を持つ。


 二人を繋いでいるのは、命と引き換えの絶対的な主従関係。そんなただならぬ関係の二人は、伯爵家に代々伝わる女王からの密命を受ける「女王の番犬」という裏の顔を持つ。


 そして、2人は女王から大使館員の「連続ミイラ化怪死事件」の解決を言い渡された。現場に残されたのはタロットカード。時同じくして、街から次々と少女たちが失踪する出来事がおきていた。セバスチャンの調査により、二つの事件を結ぶ「黒い招待状」へと辿り着く。しかし、その招待状が示された先は踏み入れてはならない世界だった。招待状を手にした清玄は窮地へと追い込まれる。世界を巻き込む事件の黒幕の目的とは、そして事件の犯人は…?


 この映画、原作とは全く違う設定にしたことによって、原作ファンからは外方を向かれているようだが、オリジナルとして考えれば、わりとしっかりしたシナリオで作られている。


 本来日本が舞台ではないものを、無理矢理日本で実写化しようとしたのだから仕方がない面もあるが、設定も何もかも変えた結果、アニメの時のファンからも若い世代からも外方を向かれて大失敗した「ガッチャマン」に比べれば、この映画はまだ幾分かマシだ(あ、どっちも剛力出てるな)。まぁ、この映画はワーナー配給ということで、海外での公開も視野に入れているのだろう。多少は自分らの感覚とは違うものになっても仕方のないことなのかもしれない。


 役者の方は水嶋ヒロや剛力彩芽、山本美月らが注目されがちだが、一部アクションが吹き替え丸わかりなのは、どうにかならなかったのか。確かに見栄えはかっこいいが、もう少しわからないように撮影・加工するというのが技術というものだ。契約でがんじがらめになっているのはわかるが、今のハリウッドがそうであるように、極力俳優本人がアクションできるようにしてほしいところだ。そんな中、目を引いたのは優香である。彼女はドラマや映画の出演数が、キャリアの割りにはあまり多くなく、どちらかというと「志村けんのバカ殿様」などのバラエティで多く見かけるタレントというイメージであるが、この映画では強烈な悪役を、何かが取り憑いたかのように怪演している。こういう姿はこれまであまり見られなかっただけに新鮮に思えた。


 残念なのは、原作が続いているからなのか、あるいは最初からヒットすることを折り込んで作ったのか、作中の謎が解決しないまま終わることだ。何でそんな展開にしたのか、逆に謎なのだが(笑)、ラスボス的なキャラが出る前に終わってしまうのである。続編に期待ということなのかもしれないが、幸い日本でそこそこヒットしているからいいようなものの、コケたらどうするつもりだったのだろうか?


私の評価…☆☆☆★

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2014年1月24日 (金)

大脱出

大脱出
劇場:MOVIX京都
監督:ミカエル・ハフストローム
原案:マイルズ・チャップマン
出演:シルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェームズ・カヴィーゼル、エイミー・ライアン、カーティス・“50セント”・ジャクソン、ヴィニー・ジョーンズ、ヴィンセント・ドノフリオ、サム・ニール、ファラン・タヒール、カイトリオーナ・バルフェ、マット・ジェラルド 他


 《肉体派俳優2人の、老体に鞭打ったアクション》


 「エクスペンダブルズ」シリーズに続き、スライとシュワちゃんが本格共演したアクション映画。さすがに往年のキレは無いが、まだまだこの2人は元気だ。


 自ら刑務所に入獄し、脱出することで安全性を指摘するセキュリティ・コンサルタント、レイ・ブレスリン(シルヴェスター・スタローン)。世界唯一の脱獄のプロフェッショナルだ。ある日、CIAから彼のもとに、私設刑務所の脱獄依頼が舞い込む。だがそれは、彼を陥れる罠だった…。


 世界中の重犯罪者たちから恐れられ、「墓場」と異名を取るそのタンカーは、一度入れば二度と出ることが出来ない巨大な監獄。この船にブレスリンが投獄されてきた。何者かに拉致され、犯罪者の汚名を着せられたブレスリンは、自分を罠にかけた組織の陰謀を暴くため、自ら設計に関わった絶対攻略不可能なこの監獄の脱出計画を練り始める。しかしたとえハイテク・セキュリティを突破できたとしても、船外は360度に広がる大海原、逃げる場所などどこにもない…。さらに、彼の前に立ちはだかったのは、狂暴な手下たちを率いる囚人たちのボス、エミル・ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガー)だった。この男、敵か味方か…?


 最近のハリウッド映画は還暦を過ぎた俳優が、やたらと元気いっぱいなのだが、本作も60代の筋肉俳優が、脱獄不可能といわれる監獄を、所狭しと動き回る。一応、カテゴリー上はアクション映画だが、アクション色はそれほど強くない。2人の動きにエンジンがかかるのも、かなり遅い(笑)。頭脳勝負から最終的に力業へ持っていくのは少々強引(ラストの悪役の死に様は、思わず「ランボー」かよとツッコミたくなった)だが、娯楽作としては十分楽しめる。


アメリカでは興行的には振るわず、さすがにこういう肉体派アクションは飽きられている感じがするのだが、日本では週末の興行収入ランキングで初登場4位となるなど、そこそこのヒットはしているようで、まだまだ人気は衰えていない。


 考えてみりゃ、チャールズ・ブロンソンだって70代になってもガン・アクション映画(「Death Wish」シリーズ等)をやっていたんだし、この2人だってあと数年は体も動くだろうから、頑張ってもらって、僕ら映画ファンを楽しませてほしいところだ。


私の評価…☆☆☆

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2014年1月19日 (日)

トリック劇場版 ラストステージ

トリック劇場版 ラストステージ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:堤幸彦
脚本:蒔田光治
音楽:辻陽
主題歌:鬼束ちひろ「月光」
出演:仲間由紀恵、阿部寛生瀬勝久、野際陽子、東山紀之、北村一輝、水原希子、中村育二、石丸謙二郎、池田鉄洋、吉田鋼太郎 他


 《有終の美… アレ?》


 人気TVドラマシリーズの劇場版第4作で、シリーズ完結編となる。


 ある日、天才物理学者・上田次郎(阿部寛)は「村上商事」の加賀美慎一(東山紀之)から、海外の秘境ムッシュム・ラー村にあるレアアース採掘のために力を貸してほしいという依頼を受ける。採掘権は獲得したのだが、その奥地にあるヤー村に住む部族が立ち退きに応じない。彼らが信奉する呪術師(水原希子)が持つ不思議な力、未来を予知し人を呪い殺すというトリックを見破ることができれば、部族を立ち退かせることができるのだが…。


 例によって例のごとく、上田は自称超売れっ子天才美人マジシャン・山田奈緒子(仲間由紀恵)の力を借りることに。もちろん恐ろしい呪術師との対決のことはまったく伏せて、上田は奈緒子にタダで海外に行ける用事があることをほのめかす。案の定、奈緒子は初の海外旅行に心惹かれて、ホイホイとついて行く。現地では医師の谷岡将史(北村一輝)だけでなく、何故か矢部刑事(生瀬勝久)も合流。ジャングルの川を遡り、因習に閉ざされた村を目指すのだが…。


 足掛け14年続いたこのシリーズ“一応の”(笑)完結編となる。特にTVドラマ版第1作を第1回から観ている人は感涙もののラストである。


 ユルユルな雰囲気は14年経っても相変わらずで、人気映画やドラマから小ネタやパロディを仕掛けてくるのもこれまでどおり。「タイタニック」や「ライフ・オブ・パイ」、堤監督自身の作品「SPEC」から何故か映画版「金田一耕助シリーズ」まで、映画ファンとしては、何処に何が隠れているのか見つけるのが楽しい。


 完結編なんだから、最後は山田と上田が結ばれたりとか華々しく終わるのかなと思ったら、案外普通に終わるので、肩透かしを食らった気分になるのだが、矢部刑事の初代相棒・石原刑事(前原一輝)の復活(スピンオフ・ドラマ最終回での予言どおり)や、懐かしいTVドラマ初回の仲間さんのお姿(14年殆ど変わらず美しい!)など、ファンなら観て損はない1本となっている。


 ちなみに堤監督自身は、まだこのシリーズを終わらせたくないらしい。里見の書道教室で見かける作品の題字は、いつになく意味深だ。ひょっとして… まさかの… 何やねん(笑)! 気になるなぁ。


私の評価…☆☆☆★

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2014年1月17日 (金)

Wake Up, Girls! 七人のアイドル

Wake Up, Girls! 七人のアイドル
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:山本寛
原作:Green Leaves
脚本:待田堂子
音楽:神前暁、MONACA
主題歌:Wake Up, Girls!「タチアガレ!」

声の出演:島田真夢…吉岡茉祐、七瀬佳乃…青山吉能、片山美波…中山美海、久海菜々美…山下七海、岡本未夕…高木美佑、林田藍里…永野愛理、菊間夏夜…奥野香耶、松田耕平…浅沼晋太郎、丹下順子…日高のり子、近藤麻衣…加藤英美里、岩崎志保…大坪由佳、吉川愛…津田美波、相沢菜野花…福原香織、鈴木萌歌…山本希望、白木徹…宮本充、太田邦良…下野紘、アンナ…花澤香菜、カリーナ…戸松遥、真夢の母…島本須美、真夢の祖父…西村知道、真夢の祖母…定岡小百合、藍里の母…伊藤美紀、キャバクラの男…松川央樹、ラーメン屋の店主…宮崎寛務、カメラマン…橘潤二、アナウンサー…山中まどか、ボイトレ講師…慶長佑香、女生徒…古城門志帆 他


 《タツノコプロ版「アイマス」?》


 今年1月からテレビ東京系で放送されているアニメ「Wake Up, Girls!」の劇場版。仙台を舞台にアイドルユニットのサクセス・ストーリーが描かれる。主演7人の声優は一般からオーディションで選ばれ、アニメ同様に声優ユニット「Wake Up, Girls!」としてアーティスト活動を開始、まもなくCDデビューする。


 グリーンリーヴス・エンターテインメントは、仙台を拠点に活動する弱小芸能プロダクション。しかし、最後の所属タレントに逃げられたため、社長の丹下は次の手としてアイドルユニットの結成を思い立つ。丹下の無茶ぶりに渋々、街に繰り出してスカウトを始めたマネージャーの松田は、公園で1人、歌を口ずさむ少女に出会う。その素晴らしい歌声に魅せられた松田は思わず声をかけるが、彼女は“アイドル”という言葉に表情を曇らせ、逃げるように立ち去ってしまう。松田は知らなかったが、その少女こそ、かつて国民的人気アイドルユニット“I―1クラブ”のセンターを務めながらも、ある事情により脱退した島田真夢であった…。


 TVアニメの方では、ユニット結成後の話が描かれるので、この劇場版は結成前の“エピソード0”が語られる。僕の住んでいる地域では、テレビ東京系のテレビ大阪は視聴可能地域に入っているにも関わらず、建物等の関係で電波が遮られるのか映らないので、TV版は現時点でニコ動によるインターネット配信で観るしかないのだが(CS放送はAT―Xで放映)、正直こういうタイプのアニメは「THE IDOL M@STER」の成功以降多くなっており(例えば「ラブライブ」など)、今更似たようなものを観せられてもなぁという気もする。現に、TV版のネットでの評価は芳しくなく、苦戦を強いられているのが実情のようだが、劇場版の方は出来は悪くない。


 主演7人の演技が少々荒削りなのは仕方がないが、ドラマの役者が演じるよりもアニメの演技としてはあまり違和感が無いし、エイベックスがサポートしているだけあって、楽曲なんかもしっかりとしたものになっている。


 ただ残念なのはやはり、他の同じようなアニメや映画と似すぎているのだ。後にマネージャーとなる人物が、スカウト中にある女の子の歌声に聞き惚れて、オーディションに誘う場面なんて、「カノ嘘」とソックリではないか(笑)。タツノコプロが絡んでいるからといって「サービス、サービスぅ〜」なんてセリフが出てくるのも、何だかなぁ〜、という感じだし(ガイナックスはタツノコから分岐したようなもの)。もうちょっとストーリーに工夫がないと、さすがにこれだけではたとえ特別料金1,200円(前売り1,000円)であっても高く感じるのである。


 ただ、現実世界の方のWake Up, Girls!は、これからが勝負の時。楽曲自体はいいので、先の展開によってはsphereみたいに売れたらいいね。


 ノン子姉さんも、あんなオバサン役をやるようになっちゃったんだなぁ。月日の経つ早さは恐ろしや…(泣)。


私の評価…☆☆★

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2014年1月15日 (水)

永遠の0

永遠の0
永遠の0
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:山崎貴
脚本:山崎貴、林民夫
原作:百田尚樹「永遠の0」
音楽:佐藤直紀
主題歌:サザンオールスターズ「蛍」
出演:岡田准一、三浦春馬、井上真央、吹石一恵、風吹ジュン、夏八木勲、橋爪功、山本學、田中泯、濱田岳、三浦貴大、新井浩文、染谷将太、平幹二朗、上田竜也、佐々木一平、青木健、遠藤雄弥、栩原楽人 他


 《今だからこそ作らなきゃ、そして観なきゃいけない映画》


 TVの人気番組「探偵!ナイトスクープ」の構成作家としても知られる、百田尚樹の小説家デビュー作を映画化。


 太平洋戦争末期。勝利を目前にしたアメリカを大混乱に陥れた、たった一機の戦闘機。「悪魔」と呼ばれたその零戦は、米軍最強の空母艦隊による一斉射撃・百万の銃弾を潜り抜け、包囲網を突破してみせたのだ。その「悪魔」を操る操縦士は、実に意外な人物であった。宮部久蔵(岡田准一)。天才的な操縦技術を持ちながら、生還することにのみ執着し、仲間から「臆病者」と蔑まれた男だった…。


 時は2004年の現代。司法試験に落ちて進路に迷う佐伯健太郎(三浦春馬)は、祖母・松乃の葬儀の日に驚くべき事実を知らされる。実は自分の祖父・賢一郎(夏八木勲)には血の繋がりは無く、「血縁上の祖父」が別にいるというのだ。本当の祖父の名は、宮部久蔵。戦後、未亡人となった松乃と再婚した賢一郎は、健太郎のためにと、宮部の事を調べるようにすすめる。宮部久蔵は60年前の太平洋戦争で零戦パイロットとして戦い、終戦直前に特攻出撃により帰らぬ人となっていた。祖母の松乃(井上真央)は宮部と結婚してすぐに戦地に赴く事になった宮部の「生きて還る」の言葉を信じ、ひとりで愛娘・清子を出産。空母「赤城」が横浜に入港した際、一時的に帰宅した宮部と、束の間の家族団欒の時を過ごす。再び戦地に赴く時に宮部が言った「必ず還ってくる」という言葉を信じて、彼の帰りを待ち続けた。しかし松乃に待っていたのは宮部の訃報であった…。後に、賢一郎(青年期=染谷将太)と再婚。孫の健太郎や家族の前で、宮部の話をすることはなかった。


 フリーライターの姉・慶子(吹石一恵)は取材目的で祖父・宮部久蔵の事を調べはじめ、健太郎に協力を持ちかける。健太郎と慶子が出会った最初の証言者・長谷川(平幹二朗)は、「宮部は海軍一の臆病者だった」と語り、同じ飛行機乗りとして宮部に強い嫌悪感を示すのだ。宮部は天才的な操縦技術を持ちながら、敵を撃破することよりも「生還」に執着し、乱戦になると真っ先に離脱したという。「家族のもとへ、必ず還ってくる」…それは宮部の妻・松乃と娘・清子に誓った、たったひとつの約束だった。そんな男がなぜ特攻を選んだのか…。


 戦後の経済復興に大きく貢献し、現在も大企業の会長職を務める武田(山本學)は、突然訪れた健太郎に宮部の面影を見出だし、筑波海軍航空隊での宮部の様子を語って聞かせる。そこでの宮部は特攻に反対していたという。また、豪邸に住む景浦(田中泯)は、他人を寄せ付けない威圧感を身に纏っていた。「祖父は臆病者だった」という健太郎に強い不快感を示し、接見を拒否するのだが…。


 余命僅かの入院患者・井崎(橋爪功)は、健太郎と慶子と出会い、彼らに真実を語る事が、自らの使命と語る。体力が低下しているにも関わらず、2人に宮部の知られざる一面を話して聞かせるのだった…。


 これはもう、いままでの山崎貴監督作品の中でも、最高傑作といっていいのではないか。あくまでも“生きること”に拘っていた宮部久蔵が、命を懸けた戦争という狂気の中で、どのように特攻へと駆り立てられていったのかということを、現代(設定では2004年)の視点から俯瞰してみる形で描かれる。


 2時間半弱という時間に収めるために、原作から結構重要な部分が削ぎ落とされていたり、オリジナルのシーンがあったりするのは仕方がないところだが、作者が強調したいテーマはしっかり描かれていると思う。


 最初は現在と過去が殆ど繋がっていない状態。それが、宮部久蔵という人物を調べていくうちに、徐々に点と点が繋がってひとつの線になっていく。宮部が特攻を志願した理由が、戦争の悲惨さを物語っているし、命を落とした理由がその悲しみにさらに追い打ちをかける。


 先にも書いたが、この映画の現代の舞台は2004年。終戦から60年を目前に控えた時である。作中の元特攻隊員のセリフで「あと10年もすれば、ワシらの世代は殆どいなくなる…」というくだりがあるが、今年はその2014年だ。この悲惨な戦争を語る語り部が少なくなり、人々の戦争への記憶が薄れつつある今、改めて生きることの意味を考えてみてはいかがだろうか。


私の評価…☆☆☆☆★

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2014年1月12日 (日)

ハンガー・ゲーム2

ハンガー・ゲーム2
ハンガー・ゲーム2
劇場:MOVIX京都
監督:フランシス・ローレンス
原作:スーザン・コリンズ「ハンガー・ゲーム2 燃え広がる炎」
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジェニファー・ローレンス(水樹奈々)、ジョシュ・ハッチャーソン(神谷浩史)、リアム・ヘムズワース(中村悠一)、ウディ・ハレルソン(山寺宏一)、エリザベス・バンクス(坪井木の実)、レニー・クラヴィッツ(三宅健太)、スタンリー・トゥッチ(岩崎ひろし)、トビー・ジョーンズ(小室正幸)、ドナルド・サザーランド(稲垣隆史)、ウィロウ・シールズ(釘宮理恵)、フィリップ・シーモア・ホフマン(石住昭彦)、サム・クラフリン(前野智昭)、ジェナ・マローン(生天目仁美)、ジェフリー・ライト(ふくまつ進紗)、リン・コーエン、アラン・リッチソン(松本忍)、ステファニー・リー・シュルント(合田絵利)、ブルーノ・ガン(山本格)、メタ・ゴールディング、アマンダ・プラマー(衣鳩志野)、E・ロジャー・ミッチェル、マリア・ハウエル、エレナ・サンチェス、ボビー・ジョーダン、ジョン・カジノ、ポーラ・マルコムソン(金野恵子) 他


 《監督交代による心配は、半分的中》


 スーザン・コリンズのベストセラー小説「ハンガー・ゲーム」三部作の映画化第2弾。前作は世界中で大ヒットしたが、日本だけはなぜかヒットせず、今回は公開規模が大幅に縮小されている。


 独裁国家「パナム」が毎年開催する〈ハンガー・ゲーム〉。それは、12の地区から若い男女ひとりずつをプレイヤーとして選出し、全国にテレビ中継をしながら最後のひとりになるまで戦わせる究極のサバイバル・ゲーム。


 幼い妹の身代わりとして自ら志願した少女・カットニス(ジェニファー・ローレンス)は、死闘の末に生き残り、ゲームの勝者として凱旋を果たす。そんな彼女の勇気ある行動をきっかけに、国家に対する革命の動きが国中に広がろうとしている中、節目の記念大会となる〈第75回ハンガー・ゲーム〉の特別ルールが発表される…。


 それは独裁者・スノー大統領(ドナルド・サザーランド)がカットニスを抹殺すべく仕掛けた、歴代優勝者たちを戦わせる絶対絶命のゲームだったのだ…。


 ここからは新年明けてから観た映画の感想。やっと、追い付いた(笑)。


 今回は三部構成の真ん中。「スター・ウォーズ」でいえば“帝国の逆襲”のような、つまり最初から次の完結編に繋げる事が前提で作られているのは明白なので、中途半端な形で終わるのだろうなということは、最初から思っていた。


 シリーズものは、監督が変わってしまうと作風自体も変わってしまう事がよくあり、それによって評価も変わってしまう、ということは何度もこのブログで書いているが、この映画の場合作風の変化はさほど感じないまでも、前作とは明らかに話のテンポが違う。


 本作は2時間40分程の長尺なのだが、人間ドラマを多く取り入れたために、肝心のバトルが始まるまでに1時間以上もかかってしまう。もちろん、結末に向かう伏線をはるためには、独裁者の策略や、それによって再び死の危険に晒されるプレーヤーたちの心情、民衆の力による革命の狼煙、敵か味方か分からない謎の人物の存在といったものを詰め込まなければいけないのだろうが、さすがに1時間は長い。それなら後半のバトルをじっくり描いた方がよかったのではないか。


 その後半のバトルは迫力もあり、前半の経緯からプレーヤー同士がスクラムを組んで、ゲームそのものを打ち砕こうとする姿がしっかり描かれているが、劇場に貼られたポスターなどに描かれている一部のプレーヤーは、出演シーンがカットされたのか、本編中殆ど何の活躍もせず死んでいく等、かなり粗略な扱われ方がされている。確かにヒロインとスクラムを組んでいないプレーヤーは、ストーリーに深く絡まない故に、手っ取り早く整理しやすいのだろうが、人間ドラマの部分も見ようによっては結構かったるい面もあるので、できればもう少しゲームの方も、丁寧に描いてほしかった。


 次の3作目「Mockingjay(原題)」は、前・後編の2部構成となり、前編が2014年11月21日、後編が2015年11月20日に公開される予定である(どちらも全米での予定日)。日本では今作もさほどヒットしていないから、正月とかGWとは何の関係もない時(11月とか2月とか)に公開されるんだろうな。僕は楽しみだけど。


私の評価…☆☆☆★

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2014年1月 7日 (火)

ゼロ・グラビティ 3D

ゼロ・グラビティ 3D
ゼロ・グラビティ 3D
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン、ホナス・キュアロン
出演(吹替版声優):サンドラ・ブロック(深見梨加)、ジョージ・クルーニー(小山力也)
声のみの出演:エド・ハリス(岩崎ひろし)、オルト・イグナチウセン(吹き替え無し)、ファルダット・シャーマ(河本邦弘)、エイミー・ウォレン(合田絵利)、バシャール・サヴェージ(宮本崇弘)


 《この冬一番のオススメ》


 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が、彼の息子と共同で執筆した脚本を映画化。当初はユニバーサル映画で企画が進められたが、他社に売り出され最終的にワーナー・ブラザースが購入し、配給することになった。


 地表から60万メートル上空。全てが完璧な世界。そこで、誰もが予測しなかった突発事故が発生。スペースシャトルは大破し、船外でミッション遂行中のメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)の2人は、無重力空間「ゼロ・グラビティ」に放り出されてしまう。漆黒の宇宙で2人を繋ぐのは、たった1本のロープのみ。残った酸素はあと僅か。地球との交信手段も断たれた絶望的状況下で、2人は果たして無事生還することができるのか…?


 少し前に“シチュエーション・スリラー”映画なるものが、ちょっとしたブームになった事があった。それらは、棺桶の中に閉じ込められた男の話(「リミット」)や、公衆電話のボックス内に閉じ込められた男の話(「フォーン・ブース」)など、限られたスペースで起こる恐怖を描いたものだった。この映画はスリラー映画とは少し異なるが、宇宙は広くてもある意味限られた空間である。そこで災難にあった宇宙飛行士が、極限の状況下でどう生き延び生還するかを描いた、いわば究極のシチュエーション・スリラーといえよう。


 そして、この映画は単純に娯楽として楽しむ他にもう1つの見方がある。映画には主人公が最初に乗り込むものと、非難先として立ち寄る宇宙ステーションがある。それはアメリカのスペースシャトルであり、同じくアメリカの宇宙ステーション「ISS」そして中国の宇宙ステーション「天宮」なのだが、実はアメリカのスペースシャトルは現在全て退役している。「ISS」は現役で稼働中だが、「天宮」は中国が2020年頃の活用を目指して目下開発中のもの。つまりスペースシャトルと天宮はもう(そして、まだ)今の宇宙に存在しないものなのだ。映画では主人公が順にスペースシャトル→ISS→天宮と移動するため、物語と主人公の過去→現在→未来の隠喩となっている。ヒロインには過去のトラウマと現在の葛藤があり、それを克服することで未来へと繋がるという意味合いのことを、そういった別の形で的確に表現しているのだ。


 また、この映画の原題は「GRAVITY」つまり邦題とは逆の意味である。これは無重力(ZERO GRAVITY)を描く事で最終的に重力(GRAVITY)を表現するという事なのだが、そういう意味合いからすると、ラストシーンのサンドラ・ブロックは非常に凛々しく、格好良かった。


 ちなみに、僕は3Dの字幕版で観たのだが、ロシアが爆破した衛星の破片にぶつかるなどの場面で、予想外な方向からその破片が目線に入ってきてドキッとしたり、主人公目線で破片にぶつかって上下の感覚が分からなくなるような場面があったりと、なかなか楽しめて、いろんな意味で酔った(笑)。本気で作品世界にハマるなら、字幕も邪魔になってくるので、スクリーンが視野いっぱいに広がる位置で、3Dの吹き替え版を観る事をお薦めしておく。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2014年1月 4日 (土)

ブリングリング

ブリングリング
劇場:T・ジョイ京都
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
原作:ナンシー・ジョー・セールズ「ブリングリング こうして僕たちはハリウッドセレブから300万ドルを盗んだ」
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ
出演:エマ・ワトソン、ケイティ・チャン、タイッサ・ファーミガ、イスラエル・ブルサード、クレア・ジュリアン、ギャビン・ロズデイル、ジョージア・ロック、レスリー・マン 他


 《感覚麻痺状態とはまさにこのこと》


 ハリウッド・セレブの豪邸に侵入しては窃盗を繰り返すティーンの男女が巻き起こした実際の連続窃盗事件をベースに、ちょっとした事から犯罪に手を染めていく若者たちの姿と、現代社会の問題を描きだす青春ドラマ。


 カリフォルニア州カラバサス。ニッキー(エマ・ワトソン)は学校へ行かず、養女である妹サム(タイッサ・ファーミガ)、末の妹・エミリー(ジョージア・ロック)と共に、母・ローリー(レスリー・マン)の自宅授業を受けている。ローリーが教えるのは「ザ・シークレット」に書かれた『引き寄せの法則』について。


 一方、マーク(イスラエル・ブルサード)は前の学校を退学した後、1年間自主学習を続けてきた。今日が新しい学校への登校初日。周囲から「キモい」とバカにされる中、唯一優しい声をかけてくれたのがレベッカ(ケイティ・チャン)だった。放課後、ファッションやブランドへの憧れを語り合ううち、ふたりは意気投合していく。レベッカやクロエ(クレア・ジュリアン)と一緒にナイトクラビングに出掛けたマークは、そこでニッキーとサムに出会う。写真を撮り、フェイスブックにアップする彼ら。マークは生まれて初めての親友、レベッカに夢中になっていった。インターネットを見て、パリス・ヒルトンがベガスでパーティーをすると知ったマークとレベッカは、パリスの自宅周辺を地図検索サービスなどで調べ上げ、彼女の家に侵入する。豪華な家の様子に圧倒されたふたりがそれを吹聴すると、ニッキーは言った。

 「泥棒したい!」

やがて、パリスがマイアミでパーティーと知り、今度はニッキーやサム、クロエを加えた5人で留守宅に押し入る。広いクローゼットを埋め尽くす服、靴、ジュエリー、サングラスの数々に目を輝かせ、邸宅に完備したクラブ・ルームではしゃぐ彼女たち。夢中になった5人はパリスの部屋に止まらず、オードリナ・パトリッジやミーガン・フォックス、オーランド・ブルームとミランダ・カー夫妻などセレブの予定を次々に調べ、留守宅への侵入を繰り返していく。しかし、その悪ふざけはそう長く続く筈もなかった…。


 この事件そのものは、日本でも報道されているので、知っている人もいるだろう。タイトル名は当時のロサンゼルス・タイムズ紙がこの窃盗団につけた名前で、“キラキラして奴ら”という意味である。


 これ、早い話が困ったチャンたちによる薄っぺらい犯罪劇。高価な私物が置いてあるのに、警備員も警報装置もないセレブたちと、そういう場所への窃盗に1度成功したことに味を占め、何度もやろうとする若者たち。セレブたちの慢心もイタイが、捕まっても反省の色ナシの窃盗団の方がかなりイタイ。


 セレブたちのゴージャスな華やかさと、その裏返しの虚しさ、今時の高校生ってこんなものなのかと、観ているこっちまで虚しくなってくる。


 若手注目の俳優たちが、窃盗団の面々を熱演しているが、その中でもエマ・ワトソンは、今までの優等生イメージをかなぐり捨てるような役を演じて新鮮だ。この前の「ウォールフラワー」を観た時も感じたが、大人の役に何とか脱皮しようと頑張っている感じがする。何とか子役女優が大人になるときによくある、脱ぎっぷりのいい役者にならずに(笑)、うまく成長してほしいところである。


私の評価…☆☆☆

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2014年1月 3日 (金)

カノジョは嘘を愛しすぎてる

カノジョは嘘を愛しすぎてる
カノジョは嘘を愛しすぎてる
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:小泉徳宏
原作:青木琴美「カノジョは嘘を愛しすぎてる」
音楽:岩崎太整
出演:佐藤健、大原櫻子、三浦翔平、窪田正孝、水田航生、浅香航大、谷村美月、相武紗季、反町隆史、吉沢亮 他


 《ヒロインの魅力につきる》


 累計300万部を超えるベストセラーとなっている青木琴美原作の少女マンガを実写映画化。


 同じ高校の同級生だった坂口瞬(三浦翔平)、大野薫(水田航生)、小笠原秋(佐藤健)、矢崎哲平(浅香航大)の4人で結成されたバンド「CRUDE PLAY」は、高校卒業と同時にメジャーデビューを果たすが、デビュー直前で小笠原秋が突如脱退、新メンバーとして1学年下の篠原心也(窪田正孝)が加入し、現在の音楽シーンではトップクラスの人気を誇っていた。


 一方、「CRUDE PLAY」脱退後、サウンドクリエーターとして活躍する秋は、今も彼らへの楽曲提供は続けているものの、ビジネスとしての音楽の世界に嫌気が差し、自分の現状にもつまらなさを感じていた。そんな中、秋は「CRUDE PLAY」の大ファンの女子高生・小枝理子(大原櫻子)に、気紛れで声をかける。秋の正体を知らぬまま、彼の鼻歌に聞き惚れ、秋自身にも一目惚れした理子。秋は、自分の正体を隠したまま、理子と付き合い始める。


 クラスメイトとバンドを組み、ボーカルとギターを担当している理子は、魅力的な声を持っていた。ある日、「CRUDE PLAY」の音楽プロデューサー・高樹総一郎(反町隆史)が、そんな理子の歌声に惚れ、彼女をスカウトする。やがて理子の夢の実現が近づくにつれ、秋と理子の嘘から始まった恋が大きく動きだしていく…。


 原作は未見だし、あまりこの手のものは観に行かないのだが、ヒロインの可愛さに、ついつい惹かれて観に行った(笑)。


 一応、調べた限りでは原作は現在も完結しておらず、続いているという事である。中途半端な形のラストなのは何でかなと思っていたが、なるほどそれなら、ああいう進行形の終わり方は分かる。ストーリーも、特に映画で描かなくてもなぁという程度のものだが、この映画の魅力はどこかというと、やはりヒロインと歌ということなのだろう。


 このヒロイン役を幸運にも射止めたのは、オーディションで選ばれた大原櫻子だ。彼女は選ばれた際すでにダンスの才能を認められ、芸能事務所に所属していたため、全くの新人というわけではなかったが、演技経験はゼロという事だった。ところが観てみると、演技もそこそこ上手いし、この映画では求められる歌唱力も抜群である。


 彼女自身がもう少し腕を磨けば、恐らくミュージカル女優としても、活躍できる可能性は十分あると思うし、もちろんこの映画がヒットすれば、続編も期待できるのではないかと思う。


 ちなみに彼女の父親は、「ぐるぐるナインティナイン」の「ゴチになります」のナレーションなどでお馴染みの林田尚親で、この人も元々は舞台俳優。なんだ、2世タレントだったのか(笑)。


私の評価…☆☆☆

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2014年1月 2日 (木)

明けましておめでとうございます

 明けましておめでとうございます。


 年末は、大晦日まで実は仕事をしておりまして、元日はHDに録り蓄めしておいたものを観たり、映画を観に行ったりしておりました。


 今年このブログに関してはまず、映画の感想で、遅れている分を取り戻して追いつけたら、後は映画を観たらなるべく早くここにアップするよう心がけたいなと思います。まずは早く追いつけるようにしたいですね。


 後は健康に気を付けて、自分のやりたいことを楽しめればいいかな、と思います。


 今年もよろしくお願いします。

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