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2014年3月

2014年3月26日 (水)

ホビット 竜に奪われた王国 3D

ホビット 竜に奪われた王国
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ピーター・ジャクソン
原作:J・R・R・トールキン「ホビットの冒険」
脚本:ピーター・ジャクソン 他
音楽:ハワード・ショア
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):マーティン・フリーマン(森川智之)、イアン・マッケラン(羽佐間道夫)、リチャード・アーミティッジ(東地宏樹)、ベネディクト・カンバーバッチ〔スマウグの声及びモーションキャプチャ〕(大友龍三郎)、オーランド・ブルーム(平川大輔)、エヴァンジェリン・リリー(甲斐田裕子)、ルーク・エヴァンズ(山路和弘)、リー・ペイス(森田順平)スティーヴン・フライ(銀河万丈)、グレアム・マクタヴィッシュ(玄田哲章)、ケン・ストット(稲垣隆史)、エイダン・ターナー(土田大)ディーン・オゴーマン(落合弘治)、マーク・ハドロウ(茶風林)、ジェド・ブロフィー(佐藤せつじ)、アダム・ブラウン(宮田幸季)、ジョン・カレン(小島敏彦)、ピーター・ハンブルトン(稲葉実)、ウィリアム・キルシャー、ジェームズ・ネスビット(平田広明)、スティーヴン・ハンター、ケイト・ブランシェット(塩田朋子)、ミカエル・パーシュブラント(磯辺勉)、シルヴェスター・マッコイ(野島昭生)、クレイグ・ホール
(櫻井トオル)、ライアン・ヘイジ(河本邦弘)、ジョン・ベル(三宅貴大)、マーク・ミッチソン(志村知幸)、マヌー・ベネット、ローレンス・マコール、ベン・ミッチェル(天田益男)、リチャード・ホワイトサイド、ダラス・ベーレント 他


 《大長編でも飽きさせないピーター・ジャクソン》


 ピーター・ジャクソン監督が手がける「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚3部作の第2作。


 魔法使いの灰色のガンダルフ(イアン・マッケラン)に誘われトーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)ら13人のドワーフ族戦士たちとともに、巨大な竜に奪われたドワーフの王国エレボールを取り戻す旅に出たホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)。王国を奪ったのは一頭の竜「スマウグ(ベネディクト・カンバーバッチ)」。行く手にあるものは全てに炎を吹きかけて破壊する、恐るべきスマウグだ。


 さらに、ビルボたちの旅を阻むものたちが次々と現れる。森で獰猛で巨大な蜘蛛の群れと戦い、エルフの牢獄に閉じ込められ、激流を下りながらオークと死闘を繰り広げ、辿り着いた湖の町では人間たちに捕まってしまう。そして、彼方にそびえるはなれ山に待つ最強の敵、スマウグ…。


 果たして彼らは竜のもとに辿り着き、王国を取り戻すことが出来るのか…?


 大体続き物の映画の2作目は、1作目よりもテンションが下がって落ち着いたものが多いが、本作は1作目よりもスピードやスリル感が増した。原作は後に書かれた「ロード・オブ・ザ・リング」と比べると、遥かにボリュームの少ない物だが、ピーター・ジャクソン監督はここに原作にはまだ登場しないはずのレゴラスや、映画版オリジナルキャラであるエルフの近衛隊長タウリエルを違和感なく登場させ、オリジナル部分を盛り込み「ロード・オブ・ザ・リング」とリンクさせることで、映画としてのボリュームアップをはかることに成功している。


 本作から次の最終章にかけての重要なキャラクターであるスマウグの声は、今旬の俳優であるベネディクト・カンバーバッチが演じているが、エフェクトがかかりまくっているため、最初は誰だかわからなかった(笑)。主役のマーティン・フリーマンが推薦したのかもしれないが、TVドラマ「シャーロック」のコンビである。共演シーンはさすがに息があっていた。


 音楽も「ロード・オブ・ザ・リング」と同じハワード・ショアということで、楽曲のいたる所に「ロード・オブ・ザ・リング」のテーマ曲の旋律が見え隠れしている。これは、「スターウォーズ」エピソード1〜3の時のジョン・ウィリアムスと同じやり方で、大ヒットした「ロード・オブ〜」3部作へ音楽的にも徐々に近づいていくことを実感させる。


 上映時間は2時間41分と、やっぱりこの監督らしい大長編なのだが、何せ冒険に次ぐ冒険、アクションまたアクション、危機また危機の連続で、全く飽きさせないし、絶妙なタイミングで、“次回に続く”となる。どうかこの興奮が冷めないうちに、最終章が観たいものだ。ちなみに映画冒頭に登場する“ニンジンをかじる男”は監督本人のカメオ出演。余裕を見せつけちゃってくれています。


私の評価…☆☆☆☆★

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2014年3月23日 (日)

銀の匙 Silver Spoon

銀の匙 Silver Spoon
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:吉田圭輔
原作:荒川弘「銀の匙 Silver Spoon」
脚本:吉田圭輔、高田亮
音楽:羽毛田丈史
主題歌:ゆず「ひだまり」
出演:中島健人、広瀬アリス、市川知宏、黒木華、上島竜兵、吹石一恵、西田尚美、吹越満、哀川翔、竹内力、石橋蓮司、中村獅童 他


 《食育映画+エンターテインメント》


 「鋼の錬金術師」で知られる荒川弘の漫画を、TVアニメ化に続き実写映画化。北海道の農業高校を舞台に酪農と青春を描いたエンターテインメント作。


 進学学校に通いながらも受験に失敗し、「寮があるから」という理由だけで逃げるように「大蝦夷農業学校」(通称:エゾノー)に入学した八軒〈はちけん〉勇吾(中島健人)。将来の目標や夢を抱く同級生の御影アキ(広瀬アリス)や駒場一郎(市川知宏)に劣等感を感じつつ、農業高校の生活に悪戦苦闘の日々を送っていた。


 酪農科学科では、ニワトリ、豚、牛など家畜の世話はもちろんの事、牛の搾乳や肛門に手を入れる直腸検査、豚のと畜(家畜等の動物を殺すこと)など経験したことの無いさまざまな実習があり、八軒は驚きを隠せないでいた。アキに誘われて入部した馬術部の起床時間はなんと朝4時。体育の授業の校内マラソンは敷地1周20キロ、思わず八軒は「こんな学校辞めたい… 」と弱音を漏らす。


 そんな折、サラリーマン家庭に育った八軒は、家畜の命に対する割り切れない思いを抱いていた。一際小さい子豚に「豚丼」と名付け可愛がる八軒だったが、酪農家出身の駒場やクラスメートと衝突する。


 ある日、八軒は担任の中島先生(中村獅童)と校長(上島竜兵)に打ち明ける。「夢とかそういうのもなくて…」。すると校長先生から思いがけない答えが返ってくる。

 「夢がない…それはいいですね」。

北海道の雄大な自然とニワトリ、豚、牛、馬、そして個性豊かな仲間たちに囲まれて常識を覆す農業高校の生活の中で、八軒は悩み戸惑いながらも次第に自分なりの答えを見つけ始める。


 そんな真面目で正直な八軒に新たな難題が立ちはだかる…。


 食育映画といえば、「ブタがいた教室」(2008年)等が有名だが、それらはドキュメンタリーが中心で、上映する劇場もどちらかというと単館系が多く、なかなか本来そういう事を考える機会を与えるべき子供たちが観られる形が少ないものだった。本作はドキュメンタリーではない創作物だが、食育教育としてもエンターテインメントとしても十分評価できる映画となっている。


 また、将来の夢を全く抱いていない主人公という設定も、まさに現代の社会を如実にあらわしている。映画はこの主人公の成長を描く青春映画なのだが、夢がないのは逆にいえば何にでも染められるのだから、いい事と説く、実に優しい映画である。校長役は上島竜兵で、原作の絵とはあまり似ていないのだが、作品の雰囲気には合っていた(アニメ版で校長の声を当てている三ツ矢雄二がそのままやってもよかった気もするが)。


 問題なのは、せっかくこういった考えさせられる良作の映画なのに、興行的にはいまひとつうまくいっていない点である。特に若い世代向けのキャスティングなのに、シネコンでも最初からキャパシティの大きいスクリーンではなく、小規模なスクリーンでの上映となっていて、客の入りは良くはない。若年世代に観てほしい映画なのに… 最近思うことだが、特にシネコンの興行形態を見ると、興行側が見てほしい映画と、映画ファンが観たい映画、それ以外の一般客が観たい映画というのが、それぞれ食い違っているような気がしてならないのだ。これは映画ファンでなくても観ておかなきゃと思う映画に限って、不入りにより2週間程度で公開規模縮小や打ち切りになっている映画が、このところ多いような気がする。この映画はそこまでにはならないような気もするが、これって果たして仕方のない事なのかな?


私の評価…☆☆☆★

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2014年3月19日 (水)

愛の渦

愛の渦
愛の渦
劇場:京都シネマ
監督・脚本・原作:三浦大輔(戯曲「愛の渦」より)
音楽:海田庄吾
出演:池松壮亮、門脇麦、滝藤賢一、中村映里子、新井浩文、三津谷葉子、駒木根隆介、赤堀セリ、柄本時生、信江勇、窪塚洋介、田中哲司 他


 《特異な場所で曝け出す、本当の自分》


 H相手と出会うための乱交パーティに集う人々の姿を描き、岸田國士戯曲賞に輝いた舞台劇を映画化。上映時間2時間3分の中で着衣シーンは僅か18分30秒、あとはみんな素裸(笑)という過激作。


 都会のあるマンションの一室で、参加した人同士で“合体”ができる乱交パーティが催されていた。男性2万円、女性1000円、カップルだと5000円の料金がかかるこのパーティーに、親から仕送りをもらっている引きこもりニート(池松壮亮)や地味な外見の女子大生(門脇麦)、ごく普通のサラリーマン(滝藤賢一)らが集まってくる。性欲を満たしたい彼らの本質が剥き出しになるような一夜が始まる…。


 タイトルやチラシ・ポスターのデザインから、変なソフトポルノ映画みたいなのを想像してしまうが、これは“裏風俗”という特異な設定を巧みに利用した群像劇である。


 都会に建つ、マンションの隠れた一室。そこに集まる男女は皆、腹にイチモツ… いや一物抱えた人たちばかり。普段それは隠しているが、それじゃストレスがたまってしまう。だったらここで全てを脱ぎ捨てて、本当の自分を曝け出してしまおうということなのである。ここに集まった人たちは最初、バスタオル一枚の姿になって部屋に入れられ、会話が進む。そこから意気投合してカップルが、別室に移動し、全てを曝け出す“行為”に及ぶわけである(ウ〜ン、表現がちょいと難しい)。相手をとっかえひっかえしながら、延々とそのシチュエーションが続くため、眠たくなってくるのだが、そんな時にブ男ブ女カップルがチン入、そこから一気にコメディ色が強くなった。


 人によっても、男女の違いによっても付き合い方は様々。特異なシチュエーションの中で曝け出されたものは果たして、自分の本当の姿なのか。とかくこの映画は、その“合体”シーンばかりが話題になっているが、そうではなくセリフのやりとりから見える人間ドラマを楽しむ映画なのである。


 ちなみにこれ、舞台版ではどういう演出だったのだろうか? 多分映画と舞台は別物であろう。映画版の演出をそのまま舞台でやってしまったら犯罪に引っ掛かるだろうからね。


私の評価…☆☆☆

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2014年3月18日 (火)

ラヴレース

ラヴレース
劇場:シネ・リーブル梅田
監督:ロバート・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
原作:エリック・ダンヴィル「The Complete Linda Lovelace」
音楽:スティーヴン・トラスク
出演:アマンダ・セイフライド、ピーター・サースガード、ハンク・アザリア、アダム・ブロディ、ボビー・カナヴェイル、ジェームズ・フランコ、デビ・メイザー、クリス・ノス、クロエ・セヴィニー、シャロン・ストーン、ジュノー・テンプル、ロバート・パトリック、エリック・ロバーツ、ウェス・ベントリー 他


 《伝説のポルノ女優とその運命》


 1972年に全米で公開され、史上最もヒットしたといわれるポルノ映画「ディープ・スロート」。その主演女優だったリンダ・ラヴレースの波乱に満ちた半生を描く。


 フロリダの小さな町に暮らすリンダ・ボアマン(アマンダ・セイフライド)は、敬虔なカトリック教徒の両親のもと厳しく育てられた。そんな生活にうんざりしていたリンダは、ある日、女友達と遊んだ帰りに地元でバーを営むチャック・トレイナー(ピーター・サースガード)と出会う。チャックが寄せる甘い言葉に酔い痴れた彼女は、すぐに彼と結婚。うぶなリンダにチャックは1つずつ性行為の手ほどきをしていった。当初甘い面を見せていたチャックだが、次第に汚い部分を見せ始める。バーでの売春容疑で逮捕され保釈金や多方面への借金を抱え金に困ったチャックは、リンダをポルノ映画に出演させようとする。こうして彼女はリンダ・ラヴレースという芸名でポルノ映画「ディープ・スロート」に主演。作品は1972年に全米公開され、成人映画用の劇場だけでなく一般の映画館でも上映、有名人やセレブ、女性たちも挙って観に行き、一大センセーションを巻き起こす。「プレイボーイ」編集長のヒュー・ヘフナー(ジェームズ・フランコ)やサミー・デイヴィス・Jr.からの賞賛を受け、リンダは性革命のシンボルとして一躍スターとなる。それから6年後、チャックと別れたリンダは自伝を出すために出版社を訪れる。メディアによって作り上げられたリンダ・ラヴレースという虚像の裏で、チャックから日常的に暴力を振るわれても逃げ出せず虐げられていた日々があったのだ。辛い過去と決別し、同じような苦しい思いをしている女性たちのために、リンダは当時のことを包み隠さず正直に語り始める…。


 その内容から全米でも公開が危ぶまれたいわくつきの映画なので、重たい気分になるのはある程度覚悟していたが、やはりこれが映画用に誇張されていないのなら、思った以上に壮絶な人生を歩んだ女性の話である。


 こういう映画のヒロイン役に、これまで清純なイメージの役が多かったアマンダ・セイフライドがキャスティングされているのは、ちょっと意外だが、ヌードも披露する体当たり演技で新境地を拓いている。後に確執を生むことになる母親をシャロン・ストーンが演じているが、廃れきった婆さんという役作りなのか、全然シャロン・ストーンに見えない。


 「ディープ・スロート」後のラヴレースは、芸能活動をすることもなくなり、次第にメディアから遠ざかっていく。そして、自分の体験から今度は“反ポルノ”の活動家として生きることとなっていくが、そこからの部分が殆ど語られないのは残念。ラストで触れられる、その後のリンダとチャックの運命のリンクにもちょっとビックリだった。


私の評価…☆☆☆

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2014年3月17日 (月)

魔女の宅急便(実写版)

魔女の宅急便(実写版)
魔女の宅急便(実写版)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:清水崇
脚本:奥寺佐渡子、清水崇
原作:角野栄子「魔女の宅急便」
音楽:岩代太郎
主題歌:倉木麻衣「Wake me up!」
出演:小芝風花、尾野真千子、広田亮平、山本浩司、新井浩文、吉田羊、寿美菜子(ジジの声)、YURI、LiLiCo(ラジオDJの声)、金澤美穂、浅野忠信、筒井道隆、宮沢りえ、井上琳水、須田琉雅、若山耀人、佐藤芽、小野田翔空、宮地眞理子、志賀廣太郎、角野栄子(ナレーション) 他


 《アニメ版ほどの躍動感はないが、まずまずの出来》


 スタジオジブリによる、宮崎駿監督のアニメ映画でも有名な原作を実写化。ただし、オリジナルな部分が多かったアニメ版のリメイクではなく、原作の1、2巻を基に映像化している。


 キキ(小芝風花)は魔女の母・コキリ(宮沢りえ)と普通の人間の父・オキノ(筒井道隆)の間に生まれた女の子。キキは、「13歳の満月の夜に旅立ち、魔女のいない町で1年間修業する」という古くからの決まりに従って「ひとり立ち」の旅に出ることに…。


 相棒の黒猫「ジジ(声:寿美菜子)」と一緒にほうきに乗って飛び立ったキキは、きれいな海に囲まれたコリコの町に辿り着く。キキは活気づく港町を一目見て気に入り、この地で修業することに決めたのだった…。


 キキの落ち着き先は、風車小屋に隣接した「グーチョキパン屋」。おいしいパンの香りに誘われたキキを迎えたのは、お店を切り盛りする心優しいおソノ(尾野真千子)とその主人・フクオ(山本浩司)。キキは母から教わった、「いつも笑い顔でね」の言葉を大切に、「ほうきに乗って空を飛ぶ」お届け屋を始める。


 初仕事は最悪! 少年・とんぼ(広田亮平)から頼まれて、意気揚々とお届け先へ向かうが、とんぼは空を飛ぶ研究のため、キキが飛んでいる所を見たかっただけだった。何の気なしに起こった出来事で2人の仲は一気に険悪に…。


 そんなある日、コリコの町で大事件が起こる。これを解決するためには、キキの力が必要なのだが、その時、キキは「ある出来事」がきっかけで空を飛べなくなっていた…。


 最初この映画の監督が、「呪怨」などの“Jホラー”の担い手・清水崇であると聞いたときは、人選間違っているんじゃないか? 成功させる気あるんかと思ったが、以外にも(と言っては失礼か)そこそこ楽しめる映画になっている。


 ただ、ツッコミどころがかなり多いのが戴けない。この映画、脚本は相米慎二監督の「お引越し」や、アニメ映画では「時をかける少女」、「サマーウォーズ」等をてがけている奥寺佐渡子なのだが、この人の脚本にしては荒すぎるのだ。


 まさか、やっつけ仕事でやったわけでもなかろうに、特にキャラの心情は説明不足な点が多く、またアニメではキキの魔法が使えなくなると、ジジと会話ができなくなっていたが、この実写版では魔法と関係なく普通に会話が成立しているというのも不自然である。


 そのジジに関しては、当然CGなのだが、何だかぬいぐるみを動かしている感が拭えない。さすがに「ナルニア国物語」のアスランのようなリアルさはいらないし、そんなもの東映の予算では作れないだろうが、東映は、あの大怪作実写版「デビルマン」からCG部門を独立させ、力を注いでいて、それがアニメでは「プリキュア」シリーズなどで花開いてきているのに、実写ではイマイチ乗り切れていない。動物の毛並みを表現するのはハリウッド映画のCGでも難しいのだが、動きのぎこちなさはどうにかしてほしかった。


 主演の小芝風花は、アニメ版のキキとはまたイメージが少し違う気がするが、身長155cmと小柄で可愛い。演技経験はまだ数本のTVドラマでのゲスト出演程度と少ないものの、オーディションで選ばれたとあって、かなり頑張っている。演技も悪くなく、見ていて気持ちがいい。まだ16歳で、これから経験を積んでいけば、10年、20年後が楽しみだ。


私の評価…☆☆☆★

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2014年3月13日 (木)

東京難民

東京難民
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:佐々部清
脚本:青島武
原作:福澤徹三「東京難民」
音楽:遠藤浩二
主題歌:高橋優「恋人」
出演:中村蒼、大塚千弘、青柳翔、山本美月、中尾明慶、金子ノブアキ、井上順、金井勇太、落合モトキ、田村三郎、岡村洋一、大谷ノブ彦(ダイノジ)、吹越満、福士誠治、津田寛治、小市慢太郎 他


 《若者だけではない。この国の者は誰だって“難民”になる可能性はある。》


 光文社の月刊誌「小説宝石」に、2007年11月から2011年1月まで連載されていた小説を映画化。ただし、設定を“現在”にしたため、連載終了時にはまだ発生していなかった東日本大震災のエピソードが挿入されるなど、小説とは一部ストーリーが異なっている。


 時枝修(中村蒼)は、どこにでもいる大学生。授業をサボったり合コンで盛り上がり、気楽な毎日を送っていた。だが… ある日突然大学を除籍される。生活費を工面していた父親が借金を抱えたまま失踪し、授業料が支払われていなかったのだ。当然家賃も支払われていないため修はアパートからも強制退去させられる。ネットカフェで過ごす、いわば「ネットカフェ難民」となった修。日払いのバイトでなんとか食いつないでいたものの、騙されて入ったホストクラブで高額の料金を突き付けられ、払いきれずにその店でホストとして働き始める。働くうちにホストの裏側を見てしまった修は、ホストクラブから抜け出せず、ついにはホームレスにまで転落してしまうのだ…。


 今の日本に根付いてしまっている格差社会。その歪みの中でもがく若者たちの姿を描く衝撃作。描くこと自体がタブー視される裏社会の姿に迫り、リアルに描くことで格差社会の真実を曝け出す。


 今の世の中、ちゃんとした職についていても、一歩道を踏み外せばそこはもう奈落の底。それはもう底無し沼の如く、そこに落ちてしまえば這い上がってくるのは至難の技で、殆どの人は社会の底辺にしがみついて生きていくしかない。それが格差社会の怖いところ。この映画の主人公はお人好しの優男。そう言えば聞こえは良いが、優し過ぎて騙される。何の蓄えも能力もないのに短絡的な考えで日雇いの仕事に手を出しては、すぐに上司とトラブったりして辞めてしまう、典型的なダメ人間である。


 原作は登場人物が多く、それらをいちいち描いていると、とても2時間程度には収まりきれないので、人物はある程度間引かれ、ホストクラブの場面とクライマックスのホームレスの場面にかなりの時間が割かれ、一番タブー視される可能性があるウリセン(所謂、ゲイ向け風俗)のボーイの仕事の場面は丸々カットされているが、衝撃度はそれでも十分だ。


 主演の中村蒼は、従来のイメージを覆すような役どころを好演しているが、それ以上にビックリしたのはヒロイン役の大塚千弘である。彼女は東宝シンデレラ・オーディション出身の女優(2000年・第5回・審査員特別賞受賞)で、舞台・ミュージカルへの出演が多く、TVドラマや映画でもどちらかというと清純なイメージの物が多かったのだが、本作ではちょっとしたきっかけでホストの主人公と知り合った結果、100万円の借金を背負わされ、看護士から吉原のソープ嬢へと転落人生を歩むことになる茜役を、ヌードも披露するという体当たりで熱演している。


 クライマックスのホームレスたちとの場面は、前述のようにここだけ原作とは少しストーリーが違うのだが、ある人物に東日本大震災に関するエピソードを入れ込むことによって、よりストーリーが深みを増すことに成功している。語弊があるかもしれないが、いろいろなキャラクターの中で、一番まともに見えるのがホームレスのおっちゃんたちというのは、なんと皮肉なことか。このおっちゃんたちの優しさに触れたことで、どん底に沈んだ主人公の心に僅かな光が射すところは、暗い話の中で唯一救われる場面であった。また、主人公に巻き込まれる形で“被害者”になってしまった人物たちの、その後の顛末も描かれ、それぞれ悲惨な生活となるのだが、その中で一番ましな生活を送っているのが、主人公にアブない仕事をやるきっかけを与えてしまったあの人物というのも、皮肉である。


 ところで、この映画は本来、レーティングが「R18+」になる内容のものだが、関係者の“特に高校生に観てほしい”との希望で「R15+」になった。だが、自分が観た回は日曜だったにも関わらず、学生や20代くらいの客はいなかった。「午前十時の映画祭」でも言えることだが、若い人に観てもらいたいとの思いで作られたもの(あるいは企画されたイベント)に、そういった人たちがあまり見に行っていない。これは悲しいことである。この映画は決して元気になれる映画ではない。ただ、観て損はしない。自分の心の中に教訓として残る映画である。


私の評価…☆☆☆☆★

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2014年3月11日 (火)

キック・アス/ジャスティス・フォーエバー

キック・アス/ジャスティス・フォーエバー
キック・アス/ジャスティス・フォーエバー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジェフ・ワドロウ
原作:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr.「Kick-Ass 2」、「Hit-Girl」
音楽:ヘンリー・ジャックマン、マシュー・マージェソン
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、ジム・キャリー、ドナルド・フェイソン、リンディ・ブース、クラーク・デューク、ロバート・エムズ、スティーヴン・マッキントッシュ、モニカ・ドーラン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、オルガ・カーカリナ、オーガスタス・プリュー、トム・ウー、アンディ・ナイマン、ダニエル・カルーヤ、ジョン・レグイザモ、エンゾ・シレンティ、モリス・チェストナット、ヤンシー・バトラー、リンジー・フォンセカ、クローディア・リー、ギャレット・M・ブラウン 他


 《ヒット・ガール=クロエちゃんは相変わらずキュートなのだが…》


 3年前に公開され、ヒロイン役の当時12歳だったクロエ・グレース・モレッツがブレイクするきっかけとなった「キック・アス」の続編。


 今度は「なりきり」じゃない本気のヒーローを目指すことに決めたデイヴ(アーロン・テイラー=ジョンソン)。元マフィアのスターズ・アンド・ストライプス大佐(ジム・キャリー)との出会いで、ヒーロー軍団「ジャスティス・フォーエバー」を結成する。


 一方、「マザー・ファッカー」(クリストファー・ミンツ=プラッセ)率いる悪党軍団が現れ、世は大混乱。だがミンディ(クロエ・グレース・モレッツ)は養父・マーカス(モリス・チェストナット)にヒーロー活動を禁じられ、普通の女の子として生きるため、「ヒット・ガール」を封印していた。悪を食い止めるため立ち上がる「キック・アス」!


 そしてヒット・ガールは再びバトル・フィールドへと戻ってくるのか? 目の前の悪は見逃せない! 今、世紀の大決戦の火蓋が切って落とされる!


 前作のヒットを受けて、作られたというところだろうが、テンションはそのままなれど、何だか子供のケンカをそのまま大人になってもやっているような感じで、ちっともノれない映画になってしまった。


 その上アクションのテンポも前作に比べ悪くなっている。前作で、キレッキレのアクションを見せていたクロエちゃんは、相変わらずキュートだが、体格が大きくなった分、アクションにキレが無くなった。もっともこれは役者が悪いわけではない。体重が増えればそうなるのは当たり前なので、スタッフがそういうふうに見えるような工夫をするべきなのだ。ジャッキー・チェンの映画みたいに、微速度撮影するなどして、前作のレベルに近づけるようにすればいいのである。前作と違ってメジャー系の配給会社がついたのだから、予算も結構あるはずなのに、これはスタッフの努力不足と言わざるをえないのではないか。


 また、それを意識しているのか分からないが、今回はミンディの成長物語が主軸となっており、ミンディの心理面を描くのに時間を割いているせいか、ヒット・ガールのアクション自体が少ない。もちろん、大人への階段を上っているのだから、そういう場面も必要だろうが、この映画シリーズはやっぱり主人公よりも、このヒロインの痛快な毒舌とアクションが売り物なんだから、もう少しヒット・ガールのアクションは入れるべきだった。


 現在、原作は3部構成となっており、映画も一応余韻を残したまま終わっているが、さて続編は作られるのか? ミンディがグッと大人っぽくなった姿は、見たいものだ。


私の評価…☆☆☆

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2014年3月 9日 (日)

【ぶんぱくヨリ道ノススメ3】劇場版スレイヤーズ

【ぶんぱくヨリ道ノススメ3】劇場版スレイヤーズ
劇場:京都文化博物館フィルムシアター
総監督・脚本・絵コンテ:やまざきかずお
監督:渡辺ひろし
原作:神坂一 あらいずみるい「スレイヤーズ すぺしゃる」
音楽:服部隆之
主題歌:林原めぐみ「MIDNIGHT BLUE」
声の出演:リナ・インバース…林原めぐみ、白蛇のナーガ…川村万梨阿、ラウディ=ガブリエフ…阪脩、ラウディ(少年時代)…高山みなみ、メリルーン…白鳥由里、温泉マスター…佐藤正治、ラゴス…若本規夫、ジョイロック…玄田哲章 他

※写真は公開当時のチラシ。1995年7月29日公開「角川アニメフェスティバル」。配給は東映で、同時上映は「はじまりの冒険者たち 〜レジェンド・オブ・クリスタニア〜」。


 《懐かしい冒険ファンタジーアニメ》


 1995年から2009年にかけて、小説からTVアニメ、劇場版、OVA、ドラマCDとメディアミックス展開された作品。今までにTVアニメシリーズは5作、劇場版も5作、OVAとCDドラマはそれぞれ2作作られている。今では珍しくなくなったライトノベルからの映像化で、TVアニメ版が長編小説から映像化しているのに対し、劇場版は短編からの映像化で、主人公以外のキャラクターがTVアニメシリーズとは異なっている。本作は劇場版第1作。


 「全温泉ファン憧れの的・ミプロス島温泉招待券(但しディスカウント)」を入手したナーガに誘われたリナ=インバースは、島へと向かう船に揺られていた。“約束の島”と呼ばれるそこは、過去と現在が交差するミステリアスな場所。だが、島に到着した2人を待っていたのは、クラゲに操られた怪しげな男たちだった。魔道士A、温泉マスターのジュリアーノ・デュビビェ、そしてイリュージョン・マスターのラゴス。彼らをお得意の魔法で倒したリナとナーガは、デュビビェを護送して町のお城へ向かう。そこで歓待を受けた2人は、王様のたっての願いで、エルンゴーシュの遺跡に住む魔物を退治する羽目になった。さらに、最近リナを悩ます夢の中の謎の男も、その遺跡へ行くように指示を出し始めたのである。そしてその男こそ、この島に何千年と生きてきた大賢者ラウディだったのだ。ラウディに胸を大きくする成長の温泉を教えてもらうことを条件に、ナーガを伴ってエルンゴーシュの遺跡へ赴くリナ。しかし、そこにいたのはジョイロックと名乗る小さなカエルだった。なめてかかる2人にジョイロックは強大なパワーをみせつけた。あわやというところでラウディに助けられたリナとナーガは、ラウディの哀しい過去の話を聞かされる。恋していたエルフの少女メリルーンと彼女の住む村を滅ぼしたジョイロック。まだ、幼かったラウディは、それを救えなかったことを悔い、ジョイロックを倒すチャンスを窺っていたという。再び3人の前に現れたジョイロックのパワーを利用して時の扉を開けたラウディは、リナを引き込んであの衝撃の日へタイムトリップするのだが…。


 京都文化博物館フィルムシアターが定期的に催す【ぶんぱくヨリ道ノススメ】は、毎回1か月間にわたって日替わりで、日本の青春映画の傑作を上映する企画で、今回で3回目。土曜と日曜はアニメ映画が上映されるのだが、その中にこの作品が入っていた。今回は劇場版の第1作と第2作を上映、その内の第1作を鑑賞した… って、この映画って青春映画だったのか(笑)! てっきり冒険ファンタジー&コメディだと思っていたのだが。


 いやぁ、しかし懐かしい! 自分はこのアニメ、TV版は第3作の「〜TRY」迄はDVDで観ているし(このアニメが放送されていたのはテレビ東京系 関西はテレビ大阪だったが京都はアナログ放送当時でも良視聴地域ではなく、視聴地域は限定的だった)、劇場版も梅田東映(だったと思うが)で何作か観ているが、まさかまたスクリーンで観られるとは思っていなかった。ちなみにTV版第4作は、第3作からかなり年月が経って深夜枠で放送されたため、第5作はCSのAT−Xでの放送だったため、共に観ていない。時間があったらネット配信ででも観ようかなと思っているが。


 TV版では、毎回食事のシーンでリナとTV版での相棒ガウリイが繰り広げるアドリブ劇が話題となったが、それは相手が違う劇場版でもしっかり踏襲しており、楽しませてくれる。魔法合戦のやり過ぎで、リナ側が勝っても1つの街が壊滅的なダメージを被る展開も、TV版を観ていた人にはお馴染みの展開だ。


 キャラの中では、TV版も含めた上で一番好きなのが、この劇場版シリーズの“白蛇のナーガ”様。高飛車で、他のキャラからはリナの「金魚のう●ち」呼ばわりされているのだが、主人公以上に大ボケキャラなので、何だか憎めないのである。


 このアニメはこれだけのシリーズをかさねても、まだ原作の一部を映像化したにすぎない。特にTV版の基となっている長編小説の方は、未だに第2部が映像化されておらず、配役されている声優さんたちが元気なうちに、何らかの形でやってほしいものだが、いかがなものか?


 ところで、この【ぶんぱくヨリ道ノススメ】、今回はこの「スレイヤーズ」の他に9日は「アキハバラ電脳組 2011年の夏休み」(1999年)、23日は「パプリカ」(2006年)がある。ひょっとして企画担当者がめぐ姉(林原めぐみのこと)のファンなのでは…。


私の評価…☆☆☆

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2014年3月 8日 (土)

第37回日本アカデミー賞速報

第37回日本アカデミー賞が発表された。主な受賞者および受賞作は次のとおり。

▼最優秀作品賞…「舟を編む」
▼最優秀アニメーション作品賞…「風立ちぬ」
▼最優秀監督賞…石井 裕也(「舟を編む」)
▼最優秀主演男優賞…松田 龍平「舟を編む」
▼最優秀主演女優賞…真木よう子「さよなら渓谷」
▼最優秀助演男優賞…リリー・フランキー「凶悪」「そして、父になる」
▼最優秀助演女優賞…真木よう子「そして、父になる」
▼新人俳優賞…忽那汐里(「許されざる者」「つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語」)、黒木華(「舟を編む」「草原の椅子」)、濱田ここね(「おしん」)、綾野剛(「横道世之介」「夏の終り」)、菅田将暉(「共喰い」)、星野源(「箱入り息子の恋」「地獄でなぜ悪い」)、吉岡竜輝(「少年H」)
▼最優秀外国映画賞…「レ・ミゼラブル」(東宝東和配給)
▼話題賞…[俳優部門]若林 正恭(オードリー)「ひまわりと子犬の7日間」[作品部門]「真夏の方程式」

※話題賞のみ、ニッポン放送「オールナイトニッポン」リスナーの投票で決定。


 今年はマスコミによっては混戦を予想するところもあったようだが、作品賞は大方の予想どおり、アメリカのアカデミー賞にも外国語映画賞の日本代表として持っていって、見事に落選した「舟を編む」だった。授賞式の前には、何やらデキレースを批判するような監督もいたようだが、受賞が1作品に固まらず適度にバラけている感じもする。批判する気持ちも分かるが、アメリカのも日本のも映画関係者が選ぶ賞なのだから、多少のやっかみや会員それぞれの思いもあるだろう。それ故、なかなか公正にはいかないのが難しいところなのだが。


 俳優部門で真木よう子が主演と助演の両方で最優秀賞を受賞の快挙。W受賞は日本アカデミー賞では過去18度あるが、女優賞では1979年の第2回で受賞した大竹しのぶ以来のこと。


 外国語映画では今年はやっぱりこれなのか、という感じで「レ・ミゼラブル」。公開は一昨年の暮れからだったので、もう結構経っているのだが、やっぱり感動する映画ってのは、いつまでも心の中に残っているものなんですな。

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2014年3月 5日 (水)

エージェント:ライアン

エージェント:ライアン
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ケネス・ブラナー
原作 キャラクター創造:トム・クランシー
音楽:パトリック・ドイル
出演:クリス・パイン、ケネス・ブラナー、キーラ・ナイトレイ、ケビン・コスナー、コルム・フィオール、デヴィット・ペイマー 他


 《この監督の演出にしては大味な展開》


 トム・クランシーが創造したキャラクター=ジャック・ライアンを主人公とした映画シリーズ5作目。ただし、前作「トータル・フィアーズ」がヒットしたものの、その続編企画が頓挫し、役職等の設定を変えてリブートしたものである。このためクランシーの小説を原作としておらず、ホセイン・アミニによるコンセプトを基に製作されたオリジナルストーリーだ。


 ジャック・ライアン(クリス・パイン)は、表向きはウォール街の投資銀行でコンプライアンスを務めているが、実は世界を動かす経済界の不審な資金の流れを探るアメリカ中央情報局(CIA)のアナリストだった。天才的な分析力と国際経済への深い知識を持つライアンをCIAに採用したのは上官のウィリアム・ハーパー(ケビン・コスナー)だ。ある日ライアンは、モスクワの投資会社「チェレヴィン・グループ」の不穏な動きに気付く。グループの持つアメリカ財政を左右するほどの巨大な外貨口座へのアクセスを拒否されたのだ。通常は、報告のみで任務完了だったが、今回は何故か現場経験の全く無い、デスクワークのライアンが現地に出向くべきだと主張するハーパー。


 チェレヴィン・グループに検査のアポを取り、モスクワの空港に降り立つライアンを迎えたボディガードが、ホテルで突然銃を向けてきた。ライアンは壮絶な死闘を制したが、人を初めて殺した事に激しく動揺し、CIA本部に電話で規定違反の指示を仰ぐのだった…。


 指定場所へ行くと、いつモスクワに入ったのか、ハーパーがいた。ライアンは彼の不審な態度に疑念を抱きながらも事態を報告。アメリカ経済破綻を狙う「チェレヴィン・グループ」代表ヴィクター・チェレヴィン(ケネス・ブラナー)の企みが成功すれば、世界は数週間で恐慌に陥るだろうと。ハーパーは、ライアンに拳銃を渡し、「君はもうただのアナリストではない。エージェントだ」と通告し、証拠を掴むよう指示するのだった…。


 ジャック・ライアンといえば、これまでアレック・ボールドウィンやハリソン・フォードが演じてきた事で、どちらかというと渋いキャラのイメージがあるのだが、今回はクリス・パインということで、良くいえば若さ溢れる、悪くいえば些かちょっと軽いキャラになってしまった感がある。まぁ、当初はリブートではなく続編企画のはずだったので、前作「トータル・フィアーズ」でライアンを演じたベン・アフレックのイメージに近づけようとしたのかもしれないが、原作にも無い“エピソード0”を描くことで、今までのシリーズとは全く違った感じの物になっている。


 監督は、シェークスピア劇俳優のケネス・ブラナーということだが、この人がというわりにはストーリーが大味である。たいした訓練も積んでいない主人公が、たかだか海兵隊出身という一言で敵を倒していったり、アメリカが善でロシアが敵という今時古臭い構図など、ご都合主義もいいとこだ。


 ただ、エンターテインメントとして見れば、展開はスピーディーだし、途中でダレる事無くテンポ良く見せきる点は面白い。祖国を信じて祖国に裏切られるチェレヴィンの姿を、もう少し深く掘り下げて描けば、なお良かったのかもしれない。


私の評価…☆☆☆★

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2014年3月 3日 (月)

第86回米アカデミー賞結果発表!

第86回アカデミー賞結果速報!
主な受賞結果です。

☆作品賞
「それでも夜は明ける」

☆主演男優賞
マシュー・マコノヒー(「ダラス・バイヤーズクラブ」)

☆主演女優賞
ケイト・ブランシェット(「ブルージャスミン」)

☆助演男優賞
ジャレット・レト(「ダラス・バイヤーズクラブ」)

☆助演女優賞
ルピタ・ニョンゴ(「それでも夜は明ける」)

☆監督賞
アルフォンソ・キュアロン(「ゼロ・グラビティ」)

☆長編アニメーション賞
「アナと雪の女王」

☆外国語映画賞
「グレート・ビューティー/追憶のローマ」(イタリア)

☆脚本賞
スパイク・ジョーンズ(「her/世界でひとつの彼女」)

☆脚色賞
「それでも夜は明ける」

☆美術賞
「華麗なるギャツビー」

☆撮影賞
「ゼロ・グラビティ」

☆衣裳デザイン賞
「華麗なるギャツビー」

☆編集賞
「ゼロ・グラビティ」

☆メイク・ヘアスタイリング賞
「ダラス・バイヤーズクラブ」

☆オリジナル作曲賞
スティーヴン・プライス(「ゼロ・グラビティ」)

☆オリジナル歌曲賞
イディナ・メンゼル“Let it go”「アナと雪の女王」

☆音響編集賞
「ゼロ・グラビティ」

☆録音賞
「ゼロ・グラビティ」

☆視覚効果賞
「ゼロ・グラビティ」

☆ドキュメンタリー賞
「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」

☆短編ドキュメンタリー賞
「The Lady in Number6」(原題)

☆短編実写映画賞
「Helium」(原題)

☆短編アニメーション賞
「Mr.Hubolt」(原題)


 上記作品賞から監督賞までの主要6部門は、愛読している映画雑誌「スクリーン」の予想が全て当たっているという、ある意味サプライズのない結果。日本では、ディカプリオが悲願の受賞なるかというところに注目が集まっていたが、残念ながら今回も獲れなかった。


 日本絡みの3作(長編アニメーション賞候補の「風立ちぬ」、短編アニメーション賞候補の「九十九」、長編ドキュメンタリー賞候補の「キューティー&ボクサー」)はいずれも受賞ならず。これは残念。


 それにしても、作品賞は地味な映画が獲っちゃったなぁ。幸い日本では今週末からの公開だが、お客さん、入るかな?

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土竜の唄 潜入捜査官 REIJI

土竜の唄潜入捜査官 REIJI
土竜の唄潜入捜査官 REIJI
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:三池崇史
脚本:宮藤官九郎
原作:高橋のぼる「土竜の唄」
音楽:遠藤浩二
主題歌:関ジャニ∞「キング オブ 男!」
出演:生田斗真、仲里依紗、堤真一、山田孝之、岡村隆史、上地雄輔、岩城滉一、大杉漣、斉木しげる、渡辺哲、伊吹吾朗、吹越満、遠藤憲一、彩也子、皆川猿時、的場浩司、佐藤寛子、南明奈、尾崎ナナ 他


 《男臭いおバカ暴走映画》


 小学館「ビッグコミックスピリッツ」に連載中の人気マンガを実写映画化。


 元・交番勤務の巡査、菊川玲二(生田斗真)。


 警察学校を史上最低の成績で卒業。月間の始末書枚数、ワースト記録樹立。だが、正義感は人一倍強く、誰にも遠慮することなくハッキリ物を言う、気高い心意気を持つ男。そして童貞。ある日、署長より突然クビを言い渡され、犯罪組織に潜入してターゲットを挙げる潜入捜査官、通称「モグラ」となり、合成麻薬「MDMA」の密売ルートを暴くべく、関東一円を地盤とする武闘派暴力団組織「数寄矢会」会長、轟周宝〈とどろき・しゅうほう〉(岩城滉一)を挙げることを命じられる。


 覚悟を決め、闇カジノ「虎ジャガー」に潜り込み、数寄矢会傘下の「阿湖義組」若頭、「クレイジー・パピヨン」こと日浦匡也〈ひうら・まさや〉(堤真一)に気に入られる玲二。しかし、渦巻く数寄矢会内部での権力闘争、そして関東進出を狙う日本最大の暴力団組織「蜂乃巣会」との抗争も勃発し、玲二は次から次へとピンチに陥る。

 「童貞のまま…死んでたまるかっ!」

果たして、玲二はビザに轟周宝を挙げ、モグラとしての任務を果たすことができるのか…?


 「ゼブラーマン」シリーズ以来、三池&宮藤3度目のタッグ作。全編おバカでエロな映画(笑)。


 冒頭からかなり暴走していて、ツカミはOKなのだが、予告編で散々流れているので鑑賞時点で新鮮味が無いのが痛い。ただ、それでも勢いで見せていくのがこの監督の演出。あとはもう何も考えることなく見て楽しめる。


 主人公の周りを個性派俳優で固めたせいもあるが、主役よりも脇役のほうが目立っている。特に、堤真一扮する日浦は完全に主役を食っており、原作では既に日浦を主役にしたスピンオフが作られているが、映像作品で作られてもよさそうな感じである。


 原作がまだ続いているということもあるが、映画では続編の可能性の余地を十分残してラストが描かれている。興行収入の面でも、とりあえず現時点で週末2日間の成績が2週連続で1位と、絶好調な滑り出しだ。任侠映画なのかおバカコメディなのか、悪く言えば中途半端だし、仲里依紗以外の女優たちが全く活躍しないのは、何でかなとも思うのだが、たまにゃあこんな映画を観るのも悪くない。続編かスピンオフ、できればキャストを変えずに作ってほしい。


私の評価…☆☆☆

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