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2014年3月23日 (日)

銀の匙 Silver Spoon

銀の匙 Silver Spoon
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:吉田圭輔
原作:荒川弘「銀の匙 Silver Spoon」
脚本:吉田圭輔、高田亮
音楽:羽毛田丈史
主題歌:ゆず「ひだまり」
出演:中島健人、広瀬アリス、市川知宏、黒木華、上島竜兵、吹石一恵、西田尚美、吹越満、哀川翔、竹内力、石橋蓮司、中村獅童 他


 《食育映画+エンターテインメント》


 「鋼の錬金術師」で知られる荒川弘の漫画を、TVアニメ化に続き実写映画化。北海道の農業高校を舞台に酪農と青春を描いたエンターテインメント作。


 進学学校に通いながらも受験に失敗し、「寮があるから」という理由だけで逃げるように「大蝦夷農業学校」(通称:エゾノー)に入学した八軒〈はちけん〉勇吾(中島健人)。将来の目標や夢を抱く同級生の御影アキ(広瀬アリス)や駒場一郎(市川知宏)に劣等感を感じつつ、農業高校の生活に悪戦苦闘の日々を送っていた。


 酪農科学科では、ニワトリ、豚、牛など家畜の世話はもちろんの事、牛の搾乳や肛門に手を入れる直腸検査、豚のと畜(家畜等の動物を殺すこと)など経験したことの無いさまざまな実習があり、八軒は驚きを隠せないでいた。アキに誘われて入部した馬術部の起床時間はなんと朝4時。体育の授業の校内マラソンは敷地1周20キロ、思わず八軒は「こんな学校辞めたい… 」と弱音を漏らす。


 そんな折、サラリーマン家庭に育った八軒は、家畜の命に対する割り切れない思いを抱いていた。一際小さい子豚に「豚丼」と名付け可愛がる八軒だったが、酪農家出身の駒場やクラスメートと衝突する。


 ある日、八軒は担任の中島先生(中村獅童)と校長(上島竜兵)に打ち明ける。「夢とかそういうのもなくて…」。すると校長先生から思いがけない答えが返ってくる。

 「夢がない…それはいいですね」。

北海道の雄大な自然とニワトリ、豚、牛、馬、そして個性豊かな仲間たちに囲まれて常識を覆す農業高校の生活の中で、八軒は悩み戸惑いながらも次第に自分なりの答えを見つけ始める。


 そんな真面目で正直な八軒に新たな難題が立ちはだかる…。


 食育映画といえば、「ブタがいた教室」(2008年)等が有名だが、それらはドキュメンタリーが中心で、上映する劇場もどちらかというと単館系が多く、なかなか本来そういう事を考える機会を与えるべき子供たちが観られる形が少ないものだった。本作はドキュメンタリーではない創作物だが、食育教育としてもエンターテインメントとしても十分評価できる映画となっている。


 また、将来の夢を全く抱いていない主人公という設定も、まさに現代の社会を如実にあらわしている。映画はこの主人公の成長を描く青春映画なのだが、夢がないのは逆にいえば何にでも染められるのだから、いい事と説く、実に優しい映画である。校長役は上島竜兵で、原作の絵とはあまり似ていないのだが、作品の雰囲気には合っていた(アニメ版で校長の声を当てている三ツ矢雄二がそのままやってもよかった気もするが)。


 問題なのは、せっかくこういった考えさせられる良作の映画なのに、興行的にはいまひとつうまくいっていない点である。特に若い世代向けのキャスティングなのに、シネコンでも最初からキャパシティの大きいスクリーンではなく、小規模なスクリーンでの上映となっていて、客の入りは良くはない。若年世代に観てほしい映画なのに… 最近思うことだが、特にシネコンの興行形態を見ると、興行側が見てほしい映画と、映画ファンが観たい映画、それ以外の一般客が観たい映画というのが、それぞれ食い違っているような気がしてならないのだ。これは映画ファンでなくても観ておかなきゃと思う映画に限って、不入りにより2週間程度で公開規模縮小や打ち切りになっている映画が、このところ多いような気がする。この映画はそこまでにはならないような気もするが、これって果たして仕方のない事なのかな?


私の評価…☆☆☆★

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