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2014年11月

2014年11月30日 (日)

ジャージー・ボーイズ

ジャージー・ボーイズ
劇場:MOVIX京都
監督:クリント・イーストウッド
脚本:マーシャル・ブリックマン、リック・エリス
製作:グレアム・キング 他
作詞:ボブ・クルー
作曲:ボブ・ゴーディオ
出演:ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーガン、ヴィンセント・ピアッツァ、マイケル・ラマンダ、クリストファー・ウォーケン、キャサリン・ナルドゥッチ、フレイヤ・ティングレイ、マイク・ドイル、ジョニー・カニツァロ、ドニー・カー、ルー・ヴォープ、ジェレミー・ルーク、ジョーイ・ルッソ、ジェームズ・マディオ、エリカ・ピッチニーニ、スティーヴ・シリッパ、アレクシス・クラウス、バリー・リヴイングストン、フィル・エイブラムス、アイアン・スコット・ルドルフ、マイルス・オーブリー、フランチェスカ・イーストウッド 他


 《舞台版を観たことのない人向き》


 1960年代中頃に世界規模で成功を収めたポップス・バンド、“フォー・シーズンズ”。この映画は、フォー・シーズンズの経歴を基に製作された、2006年のトニー賞受賞ミュージカルを映画化したものである。


 ニュージャージー州の貧しい地区に生まれたフランキー・ヴァリ(ジョン・ロイド・ヤング)、ボブ・ゴーディオ(エリック・バーガン)、ニック・マッシ(マイケル・ラマンダ)、トミー・デヴィート(ヴィンセント・ピアッツァ)。彼らが生まれたのは、犯罪が日常頻繁に起こっていたニュージャージーで最も貧しい地区。そこから抜け出すには、軍隊に入隊するか、ギャングになるか、スターになるかしかなかった…。


 金も、コネもない彼らだったが、神から与えられた歌声と、曲を作る才能、そして見事に息の合った完璧なハーモニーがあった。希望のない町に生まれた4人は、自分たちの音楽だけで夢のような成功を掴み取る。彼らは〈ザ・フォー・シーズンズ〉として、「シェリー」、「恋はヤセがまん」、「恋のハリキリ・ボーイ」、「悲しき朝焼け」、「悲しきラグ・ドール」、「バイ・バイ・ベイビー」、「愛はまぼろし」、「君の瞳に恋してる」といった数々の名曲をヒットさせ、音楽界に不滅の伝説を打ちたてていく。しかし、そのまばゆいばかりの栄光故に、裏切りと挫折、別れ、家族との軋轢といった不幸が彼らを襲う…。


 ミュージカルとイーストウッドとは、何も接点がない感じがするので、この話を聞いた時は、少々不安だったが、それは見てすぐに吹き飛んだ。実は、イーストウッドはこの企画の他にもう1つ、何度もリメイクされているミュージカル映画「スター誕生」を、ビヨンセ主演で再度リメイクするというものもあったのだが、肝心のビヨンセが妊娠してしまいスケジュール調整がつかず降板。代役は見つかったものの、その他のキャスティングが全く進まず、製作そのものが止まっている状態であり、当初は関わるはずではなかった(「アイアンマン」のジョン・ファブローが予定されていた)こちらを監督することになったのだ。


 音楽映画という括りでいえば、イーストウッドには「バード」という秀作があり、この監督の音楽センスはかなりのものということは分かるのだが、それはこの映画でも遺憾なく発揮されているといえる。ただ、あの“流浪の番組”のテーマ曲がこれと同じボブ・ゴーディオ作曲だったのは初めて知った(笑)。


 語り手をグループのメンバーで回していく手法や、観客に向かって語りかける手法、ラストシーンの群舞は、恐らく舞台版を踏襲しているのだろうが、映画としては斬新な一方で、これはたぶん舞台版の演出をそのまま映画に持ち込んだのだろう。そういう演出は悪くはないのだが、やはり映画は映画、舞台は舞台でそれぞれ違うものであって、映画は映画なりの演出があっても良かったのではないかと思う。古くは「サウンド・オブ・ミュージック」や「マイ・フェア・レディ」などのように、映画オリジナルの場面や歌曲があっても良かっただろう。本作でも舞台版未使用曲は使われているが、それは本編ではなくエンドロールなのだ。


 その辺のところが見透かされたのかどうかは分からないが、アメリカでは評論家の受けは悪くなかったものの、興行的には失敗した。こういう結果は、製作側にとっては悔しいだろうが、イーストウッドにはまた素晴らしい音楽映画を撮ってほしい。


私の評価…☆☆☆☆

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2014年11月24日 (月)

劇場版 零 〜ゼロ〜

劇場版零〜ゼロ〜
劇場版零〜ゼロ〜
劇場版零〜ゼロ〜
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:安里麻里
原案:零(ゲーム)
原作:大塚英志「零 〜ゼロ〜 女の子だけがかかる呪い」
音楽:林祐介
主題歌:JAMOSA「LOVE AIN'T EASY」
製作総指揮:角川暦彦
出演:中条あやみ、森川葵、小島藤子、美山加恋、萩原みのり、中村ゆり、浅香航大、中越典子、美保純 他


 《雑誌モデルを売り出すためだけの映画》


 2001年から発売されている、同名の人気ホラーゲームシリーズを基に書かれた小説を映画化。全寮制女学園を舞台に描かれる美少女ミステリー。


 閉塞感漂う山間の町にある全寮制女学園「聖日学園」。学園のカリスマ的存在であるアヤ(中条あやみ)が寄宿舎の部屋に籠もるようになってから数日後、生徒が次々と失踪する事件が発生する。姿を消した生徒たちに共通していたのは、アヤにそっくりな少女が写っている一枚の写真に接触し、アヤの「幻」に悩まされていたことだった。その「幻」は、生徒たちに耳元で囁きかける… 「お願い、私の呪いを解いて… 」。


 学園には、午前零時に、女の子だけにかかる呪いがあるという、古くからの言い伝えがあった。やがて失踪した生徒たちが水死体で発見される。その頃、アヤの「幻」を見るようになったミチ(森川葵)の前に本物のアヤが姿を現す。自分の「幻」の正体を突き止めたいアヤは、ミチと共に、呪いのおまじないを試そうとするが…。


 残念ながら、ホラーなのに全く怖くない映画。まぁ、それ故に「R指定」ではなく「G指定」なのだろう。舞台となった場所は不気味な感じが出ているが、話が殆ど盛り上がらないため、中盤までかなり退屈だ。


 キャスティングに関しても、演技力云々といったものはそっちのけで、雑誌「セブンティーン」専属の人気モデルを、ただ売り出したいためだけのもの。芝居経験のある小島藤子(リサ役)と美山加恋(イツキ役)に入れ替えた方が良かったのではないか。ただ、中条あやみはハーフモデルで身長も高く(169cm)、エキゾチックな美人で、どことなく不気味な存在感は醸し出していた。


 結局この映画は一昔前のアイドル映画のようなものと考えればいいだろう。前述のように盛り上がりのない展開ということは、脚本の出来もたいして良くなく、ゲームはやっていないが原作とは全く違う感じのものになっているのだろう。結局この映画は、これから売り出すモデルの顔見せ的な映画にすぎなかった。


私の評価…☆☆

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2014年11月23日 (日)

NY心霊捜査官

NY心霊捜査官
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:スコット・デリクソン
原作:ラルフ・サーキ「エクソシスト・コップ NY心霊事件ファイル」
製作:ジェリー・ブラッカイマー
音楽:クリストファー・ヤング
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):エリック・バナ(藤原啓治)、エドガー・ラミレス(白熊寛嗣)、オリヴィア・マン(藤貴子)、ショーン・ハリス(菅原雅芳)、ジョエル・マクヘイル(森川智之)、ルル・ウィルソン(伊藤かな恵) 他


 《心霊ではなく悪魔祓いの映画》


 現役のニューヨーク市警察の警察官で、霊能力者だともいわれているラルフ・サーキの手記を基に、「エミリー・ローズ」のスコット・デリクソン監督で映画化した異色の実録ホラー・サスペンス。


 ニューヨーク市警のラルフ・サーキ(エリック・バナ)は、動物園で子供をライオンの檻に投げ捨てた女性や妻に暴力を振るった男性を逮捕。2つは全く別の事件だと思われたが、どちらも犯人は何かに憑りつかれたような尋常でない様子であり、ラルフは捜査を進めるうちに彼にしか感じられない何かがあることに気付く。神父のジョー・メンドーサ(エドガー・ラミレス)からは、自分にしかない力を捜査に活かすよう助言される。それは、悪霊の姿を見、声を聞くことができる霊感だった。それぞれの事件現場に「INVOCAMUS」(呼び寄せる)という謎のメッセージが残されているのを目にし悪霊が事件に関与していることを確信したラルフは、霊感を使った心霊捜査に乗り出す。その一方で、魔の手はラルフの家族にまで伸びていた…。


 これはちょっと宗教色の強いホラー映画。しかもR-18指定ということで、かなりグロい映画である。最近のホラー映画の常套手段ともなっている、音でビビらせるシーンもかなりあるので、苦手な人にはお薦めしない。


 ただ、ホラーの要素を除けば、主人公の刑事と相棒の神父の凸凹コンビが良く、バディものの面白さというものも存分に盛り込まれている。不可解な謎が少しづつ繋がっていく様も見事だ。一応実話がモデルではあるが、娯楽作として製作されている以上は、虚実が混在しているはずである。どうやら神父は架空の設定らしく、そういった意味では相当アレンジされている部分もあるのではないかとは思うが、こういう事例も本当にあるんだなという感じはした。


私の評価…☆☆☆

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2014年11月20日 (木)

猿の惑星:新世紀(ライジング)

猿の惑星:<br />
 新世紀(ライジング)
猿の惑星:<br />
 新世紀(ライジング)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:マット・リーヴス
脚本:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー、マーク・ボンバック
原作・キャラクター創造:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
原作小説:ピエール・ブール「猿の惑星」
製作:ピーター・チャーニン 他
音楽:マイケル・ジアッキーノ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):
 〔エイプ〕
アンディ・サーキス(小原雅人)、トビー・ケベル(三宅健太)、ニック・サーストン(菅原雅芳)、テリー・ノタリー、カリン・コノヴァル(斎藤次郎)、ジュディ・グリア、ドック・ショウ、リー・ロス

 〔人間〕
ジェイソン・クラーク(宮内敦士)、ゲイリー・オールドマン(安原義人)、ケリー・ラッセル(佐古真弓)、コディ・スミット=マクフィー(河西健吾)、カーク・アセヴェド(咲野俊介)、ジョン・アイズ(江川央生)、エンリケ・ムルシアーノ(倉富亮)、キーア・オドネル(あべそういち)、ケヴィン・ランキン(綾部祐二)、ジョッコ・シムズ(白熊寛嗣)、ロンバルド・ボイアー(志村知幸)

 〔カメオ出演〕
バラク・オバマ大統領〈本人役・アーカイブ映像〉(咲野俊介)、ジェームズ・フランコ〈ビデオ映像〉(関智一)


 《猿の支配が始まろうとしている地球》


 1968年に公開された「猿の惑星」シリーズをリブートした2011年の映画「猿の惑星:創世記」の続編。


 高度な知能を獲得したカリスマ的な統率力を誇る猿のシーザー(アンディ・サーキス)が仲間を率いて、人類への反乱を起こしてから10年後の世界。遺伝子の進化、知能と言語の獲得により猿たちはさらに進化を遂げ、独自の文明を形成、森の奥に平和なコミュニティを築いていた。一方、10年前に自らが生み出したウイルスにより人類は90%が絶滅し、僅かな生存者グループは、荒廃した都市部の一角に身を潜め、希望なき日々を過ごしていた。


 そんなある日、人間たちがエネルギー資源を求めて森に足を踏み入れたことから、猿たちとの間に一触即発の事態が勃発。異なる種でありながらもお互いに家族や仲間を持ち、平和を望むシーザーと人間側のリーダー、マルコム(ジェイソン・クラーク)は和解の道を探るが、両陣営の対立は激化。共存かそれとも戦いか、最終決戦へのカウントダウンが刻まれるなか、シーザーとマルコムは種の存亡を懸けた重大な選択を迫られていくのだった…。


 前作も良かったが、今回は前作以上に素晴らしい仕上がりになっている。前作よりも猿目線での話になっているので、人間側のドラマはやや薄いが、現時点でオリジナル版の1作目に繋がっていくらしいということを考えると、こういう展開にも納得がいく。


 オリジナル版の猿は、第二次世界大戦時のアメリカ人から見た“某国”の軍人をイメージしたものだったが、今回の人間vs猿の構図は国対国と置き換えれば現代社会の縮図ともとれる形になっている。映画の撮影中のセリフに「猿は猿を殺さない」という言葉が出てくるが、この言葉は人間への皮肉と同時に、もう1つの重要な意味を持ち、シーザーが選択を迫られるラストへの伏線にもなるのだ。猿に支配されはじめた地球が描かれる本作。弥が上にも次回作が楽しみになってくるが、既に続編(完結編となるようだ)は2016年の公開がアナウンスされている。


 ところで、この監督のマット・リーヴスだが、本作の前には、「クローバーフィールド」や「モールス」等の作品がある。両作品とも過去作のオマージュやリメイクなのだが、本作を含めオリジナルにひけをとらないものを作る演出力は、さすがというほかない。そして、遂に主演という位置に上り詰めたアンディ・サーキスも存在感抜群だ。CG全盛の今、もうそろそろこういったパフォーマンスキャプチャーの俳優の演技も、認められないかなと思うのだが。賞レースにそういった部門があれば、彼が絶対獲るであろうといえる名演をみせている。


 勿論、その2016年公開予定の続編も、2人の続投が決まっているようなので、これはもうおおいに期待したい。


私の評価…☆☆☆☆★

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2014年11月18日 (火)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
劇場:MOVIX京都
監督:ジェームズ・ガン
脚本:ジェームズ・ガン、ニコール・パールマン
製作:ケヴィン・ファイギー
音楽:タイラー・ベイツ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):クリス・プラット(山寺宏一)、ゾーイ・サルダナ(朴ロ美)、デビッド・バウティスタ〔ドラックス・ザ・デストロイヤーの声〕(楠見尚己)、ヴィン・ディーゼル〔グルートの声〕(遠藤憲一)、ブラッドレイ・クーパー〔ロケットの声〕(加藤浩次)、リー・ペイス〔ロナン・ジ・アキューザーの声〕(白熊寛嗣)、マイケル・ルーカー〔ヨンドゥ・ウドンタの声〕(立木文彦)、カレン・ギラン〔ネビュラの声〕(森夏姫)、ジャイモン・フンスー〔コラスの声〕(乃村健次)、ジョン・C・ライリー(大滝寛)、グレン・クローズ(一柳みる)、ベニチオ・デル・トロ〔タニーリア・ティバンの声〕(石住昭彦) 他


 《はみ出し者たちが宇宙の危機を救う》


 マーベル・コミックスの同名のスーパー・ヒーローを題材として製作された映画。一連の「マーベル・シネマティック・ユニバース」に属するシリーズとしては10作目の映画である。


 9歳の時、何者かによって地球から宇宙に誘拐されたピーター・クイル(クリス・プラット)は20年後、宇宙をまたにかけるトレジャー・ハンターに成長していた。とことん運がないくせに、自らを「スター・ロード」と名乗る男。そんな彼がある日、惑星モラグの廃墟で謎の球体「オーブ」を発見した。換金のためにザンダー星のブローカーを訪ねるが、彼を待っていたのは、宇宙に暗躍する〈闇の存在〉が送り込んだ暗殺者・ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)だった。賞金稼ぎのアライグマ、ロケットと相棒の樹木型ヒューマノイド、グルードも加わって派手な戦いを繰り広げた彼らは、ザンダー星警察に逮捕されてしまう。投獄された4人が銀河一危険な刑務所で出会ったのは、狂暴な囚人・ドラックス。妻子を殺した犯人の仲間であるガモーラの命を狙うドラックスを、ピーターは制止。実はガモーラは〈闇の存在〉を裏切り、その支配から逃れようとしていたのだ。


 オーブを売って金を手に入れたいピーターとロケットたち。復讐に燃えるドラックス。それぞれ目的の異なる5人だったが、ロケットを中心に協力して脱獄。希少なものの収集家で、オーブに大金を払う「コレクター」と呼ばれる男に会うため、宇宙の果ての惑星ノーウェアへ向かう。そこでピーターたちは、コレクターから驚くべき秘密を聞く。「オーブを手にした者は、無限の力を得る」。その頃、5人の動きを察知した〈闇の存在〉が大軍を送り込んできた。奮闘虚しく敗れ、〈闇の存在〉の手に落ちるオーブ。彼らは、その力で宇宙の秩序を司るザンダー星を滅ぼし、銀河を混乱と滅亡に陥れようとしていたのだ。この時に及んで、それまで逃げることで生き延びてきたピーターは、何故か戦う覚悟を決める。それはチーム《ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー》誕生の瞬間だった。ヒーローとは縁遠い生活を送ってきた5人は、宇宙の存亡を賭けた最後の希望になるが…?


 最近のアメコミ実写映画は、「ダークナイト」のクリストファー・ノーランのおかげで、ダークかつハード化していたのだが、これは久々に思いっきりおバカな方向に振り切った映画。ちょっと古い'70年代テイストながら、監督のジェームズ・ガンがあのトロマ社出身ということもあってB級映画っぽいノリで、実に楽しい仕上がりとなっている。


 ある意味主人公よりも目立つ、ロケットとグルートの凸凹コンビは、「スターウォーズ」のC3POとR2−D2を彷彿とさせるし、作品全体もどことなく'70年代のSFっぽさを醸し出していて、40代以上の人にとっては懐かしく、また若い世代には前述のような、最近のSFにありがちな暗さがない、思いっきり能天気で派手なスペースオペラとして楽しめる。


 ちなみに、この映画は「マーベル・シネマティック・ユニバース」の一編ということなので、日本では来年7月4日公開予定の「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」と間接的にも繋がりがあることは確実なのだが、アメリカでの大ヒットを受けて続編の製作も決定した。アベンジャーズの構成員とのコラボも楽しみだが、本作のノリを引き継ぐなら、単体シリーズとしての次回作も期待して待つとしよう。


私の評価…☆☆☆☆

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2014年11月12日 (水)

〈新・午前十時の映画祭〉ニッポン無責任時代

〈新・午前十時の映画祭〉ニッポン無責任時代
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:古澤健吾
脚本:田波靖男、松木ひろし
音楽:神津善行
主題歌:植木等「無責任一代男」、「ハイ、それまでヨ」
出演:植木等、ハナ肇、谷啓、中島そのみ、重山規子、団令子、藤山陽子、峰健二(峰岸徹)、稲垣隆、田崎潤、由利徹、松村達雄、清水元、久慈あさみ、中北千枝子、犬塚弘、石橋エータロー、桜井センリ、安田伸 他


 《古き良き時代のサラリーマン喜劇》


 東宝とナベプロが1962年から71年にかけてクレージーキャッツのメンバー主演で製作した、所謂クレージー映画の記念すべき第1作。配給会社も予想していなかった大ヒットとなり、以降“無責任”や“日本一”など複数のシリーズがあるクレージー映画としては、1971年の最終作「日本一のショック男」まで、計30本作られる事になる。


 口八丁、手八丁の平均〔たいら・ひとし〕(植木等)は、バー「マドリッド」で太平洋酒乗っ取り話を小耳に挟んだ。太平洋酒の氏家社長(ハナ肇)に同郷の先輩の名を持ち出し、まんまと総務部勤務になった均の初仕事は、大株主富山商事の社長(松村達雄)を買収することだった。小切手一枚で見事に成功。新橋芸者まん丸(団令子)も彼の凄腕にイチコロで、係長に昇進と全く気楽な稼業である。


 しかし三日天下とはよくいったもの。乗っ取り男・黒田有人(田崎潤)が富山の持株を手に入れたと判って、均はたちまち会社をクビに。黒田の黒幕は山海食品社長大島良介(清水元)だが、彼の娘洋子(藤山陽子)はボーイ・フレンドの氏家孝作(峰健二)と駈け落ちをした。さて、均は新社長就任パーティで黒田に会ったが、余興と宴会の取り持ちの巧さから渉外部長に返り咲いた。ところで伝統ある太平洋酒が山海食品の子会社になるとは、太平側の社員にしてみれば無念な話である。


 一方、トントン拍子の均の下宿にマドリッドの女給京子(中島そのみ)、芸者まん丸、太平洋酒の女秘書愛子(重山規子)が押しかけ、恋の鞘当てを始めた。均は愛子の猛烈なキス攻めにフラフラである。


 その頃、大島邸を訪ねた黒田が令嬢洋子の結婚話を切り出したところ、彼女には氏家孝作という好きな相手がいると判った。均の次の仕事は、太平洋酒の商売仇である北海物産からホップの買い付けである。均は煮ても焼いても食えない北海の石狩社長(由利徹)を、桃色フィルムとお座敷ヌードで攻略したが、美人局の真似とはもってのほか、その上公金横流し、御乱行がバレてまたクビに。


 だが転んでもただでは起きない均は、洋子の縁談の事で大島と黒田が頭を痛めていると知るや洋子の居場所をタネに、氏家社長の復職を迫った。かくて二転三転、晴れてその日は氏家家と大島家の結婚式、タキシード姿で現れた均が北海物産の新社長になっていた…!


 1962年といえば、高度経済成長の真っ只中であり、当時“三種の神器”といわれたうちの1つであるテレビの普及率が50%近くまで上昇し、日本の映画が斜陽化し始める頃である。そんな中で、当時から業界トップだった東宝が放ったコメディ映画だ。


 この映画の面白さはやはり主人公のキャラクターによるところが大きいのではないだろうか。平均は、いまでいう“チャラ男”。でもタイトルに“無責任”とついていても、この主人公は決して無責任ではない。会社には無責任かもしれないが、人助けもするし自分がした行動にはしっかりと責任を持つ男である。そういったところに人間的な魅力があり、人気絶好調だった植木等が軽く演じる事で大ヒットにつながったのだろう。


 しかしまぁ、今と比べれば何て牧歌的な時代だったのだろう。僕はまだ生まれていないから、この時代の事は分からないが、

「サラリーマンは〜気楽な稼業と〜きたもんだ」

なんて、今言ったら張り倒されてしまうわ(笑)。

「人生で大事な事はタイミングにC調に無責任」

って、そりゃそうなんだけど… 実際C調に暮らせたらどれだけ楽しいか。


 ちなみにこの脚本は田波靖男が主演にフランキー堺を想定して書いた「無責任社員」がベースで、ちょうどいいタイミングで植木等で1本撮ってほしいと依頼がきて、脚本を提出したところGOサインが出たらしい。と、いうことは全然別キャストになる事も考えられたわけで、「無責任一代男」の歌詞を地でいくエピソードであり、実に大事なのはタイミングなのだな、と思った。


私の評価…☆☆☆☆★

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2014年11月11日 (火)

るろうに剣心 伝説の最期編

るろうに剣心 伝説の最期編
るろうに剣心 伝説の最期編
劇場:MOVIX京都
監督:大友啓史
脚本:藤井清美、大友啓史
原作:和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」
音楽:佐藤直紀
主題歌:ONE OK ROCK「Heartache」
出演:佐藤健、武井咲、伊勢谷友介、青木崇高、蒼井優、神木隆之介、小澤征悦、土屋太鳳、大八木凱斗、滝藤賢一、丸山智己、高橋メアリージュン、小市慢太郎、眞島秀和、福崎那由他、村田充、屋敷紘子、原勇弥、山田崇夫、山口航太、島津健太郎、小久保丈二、佐藤滋、江田結香、別府あゆみ、田中泯、不破万作、ほんこん、窪田正孝、長尾卓也、生津徹、坂東工、金原泰成、北代高士、仁科貴、坂本爽、ヨシダ朝、渡辺菜月、福山雅治、江口洋介、藤原竜也 他


 《面白いが、原作&アニメ版ファンとしては不満が残る》


 週刊少年ジャンプに掲載されていた人気漫画の実写映画化第3作。原作の中でも特に人気が高い「京都編」を二部に分け、その前編となる8月に公開された「京都大火編」から続く完結編。


 日本征服を狙う志々雄真実(藤原竜也)を阻止するため京都に辿り着いた剣心(佐藤健)は、志々雄一派に立ち向かうが、志々雄は甲鉄艦「煉獄」で東京へ攻め入ろうとしていた。志々雄に連れ去られた神谷薫(武井咲)を助けるために剣心は海へ飛び込み、一人岸へ打ち上げられたところを、師匠の比古清十郎(福山雅治)に拾われる。今の自分では志々雄を倒せない… 剣心は清十郎の奥義の伝授を懇願する。


 一方、剣心が生きていると知った志々雄は政府に圧力をかけ、剣心を人斬り時代の暗殺の罪で公開打ち首にするよう命じる。


 果たして、最大の危機に立たされた剣心は、最狂の敵に打ち勝ち、行方不明の薫と生きて再び会う事ができるのか…?


 一応前2作を観ているので、これも観なきゃと思って観たのだが、やはり原作を省略し過ぎていて、物足りないものがかなりあった。


 「京都編」は原作でもかなり長編で、アニメ版でも第29話〜62話まで34話分、つまり放送期間に当てはめれば3クール(約9か月)分かけて放送されたわけである。それを2作分とはいえ約5時間ちょいほどのものにまとめる事自体が無茶な話であり、最低この部分だけでも3部作として費やすべきである。


 「京都大火編」で書いたと思うが、1作目で本来なら描かれるはずの、四乃森蒼紫の部下である般若や火男などの隠密御庭番衆が丸々カットされたように、この2・3作目に関しては、志々雄配下の十本刀たちの描き方が雑である。さすがに蝙男の蝙也やゴム玉男の夷腕坊、身長840cmの不二とそれを操る小男・才槌はそれぞれが異形ゆえ、目立った登場の仕方をさせると、リアル感が無くなりファンタジー映画になってしまうため、一瞬だけ(しかもフツーの姿で)しか写らないが、志々雄のそばにいる方司と宗次郎はきっちり描かないといけないにしても、宇水と安慈、そして“男の娘”キャラの鎌足は3人とも瞬殺されるこっ酷い描かれ方である。この3人は原作やアニメでも結構出番が多いキャラだったので、もうちょっと実写版でも活躍させてほしかった。


 それと、尺の問題があるとはいえ、クライマックスの戦いも迫力はあるものの、じっくり描いてみせたアニメ版と見比べると、些か見劣りしてしまう。志々雄の秘技“紅蓮腕”などは、安全上の問題からなのか炎がさほど大きくならない。そして、あの終盤における1人:4人の構図は、原作やアニメでは志々雄が剣心らに深手を負わせ、最凶の悪役ぶりをみせるのだが、この実写版では、時間の短さが致命的で、4人が寄って集って志々雄を嬲りものにしているようにしか見えず(笑)、見方によっては滑稽に見えてしまう。


 3作を通じて、殺陣に香港映画のようなワイヤーアクションを持ち込むなど、新たな時代劇のエポック・メイキングとして、この映画は日本映画史に残っていくだろうし、今まで少なかった時代劇としての明治維新の描き方の成功例として、新たな道筋をつけたといっても過言ではないとは思うが、原作と違いすぎる展開も多かった(原作では蒼紫と戦っても死んでいない翁の設定など)ので、原作の内容を崩さない程度の脚色にしてほしかった。


私の評価…☆☆☆

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2014年11月 5日 (水)

舞妓はレディ

舞妓はレディ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:周防正行
音楽:周防義和
作詞:周防正行、種ともこ
振付:パパイヤ鈴木
主題歌:小春(上白石萌音)「舞妓はレディ」
出演:上白石萌音、富司純子、田畑智子、草刈民代、渡辺えり、竹中直人、長谷川博己、岸部一徳、高嶋政宏、小日向文世、濱田岳、中村久美、岩本多代、高橋長英、草村礼子、妻夫木聡、大原櫻子、松井珠理奈(SKE48)、武藤十夢(AKB48)、徳井優、田口浩正、彦麿呂、津川雅彦 他


 《名作映画のように仕上げた和製ミュージカル》


 「Shall we dance?」の周防正行監督が、約20年来あたためてきた企画を映画化。タイトルからも分かるように、“「マイ・フェア・レディ」風に”作った和製ミュージカル。


 京都にある「下八軒〈しもはちけん〉」は、小さいけれども歴史がある花街〈かがい〉。だが、舞妓が百春(田畑智子)ひとりしかいないのが悩みのタネ。しかもその百春も、舞妓になってもう10年が経とうとしていた。


 そんなある日、下八軒に「舞妓さんさになりてんだじゃぁ!」という少女・春子(上白石萌音)がやってきた。彼女が扉を叩いたのは、八軒小路の老舗のお茶屋「万寿楽〈ばんすらく〉」。唯一の舞妓の百春と、芸妓の豆春(渡辺えり)、里春(草刈民代)を抱えるこのお茶屋に春子がやってきたのは、百春のブログを見たからだった。


 新しい舞妓が欲しいとはいえ、コテコテの鹿児島弁と津軽弁を話す、何処の馬の骨ともわからない春子を引き取るわけにはいかず、万寿楽の女将・千春(富司純子)は彼女を追い返そうとする。だが、たまたまその場に居合わせた、言語学者の「センセ」こと京野(長谷川博己)が春子に興味を抱いたことから、彼女の運命は一転する。「春子の訛りでは舞妓は無理」という、万寿楽の客で老舗呉服屋の社長・北野(岸部一徳)に対し、京野は「絶対に春子の訛りを直してみせる」と宣言。「春子を一人前の舞妓にしたら、京野のお茶屋遊びの面倒を全て北野がみる」という約束を取り付ける。


 斯くして、その賭けのおかげで、春子は晴れて万寿楽の仕込み(見習い)になることに。しかし、仕込みになったからといって、すぐにお座敷にあがれるわけではない。春子を待ち受けていたのは、厳しい花街のしきたりと、唄や舞踊の稽古の日々。そして何より春子が苦戦したのは、訛りの矯正だった。


 先輩芸妓からは「いつになったら、ちゃんとできるの?」と責められる始末。ついには、京野の弟子・秋平(濱田岳)から「君には舞妓は似合わない」と、とどめを刺され、ショックを受ける。


 果たして春子は、一人前の舞妓になることができるのか? そして、春子が舞妓になりたい本当の理由とは…?


 このところ、社会派ドラマを手がける事が多かった周防監督が、久々に作ったエンターテインメント作。タイトルだけでなく、ストーリーも、舞台を京都の花街に変えただけで「マイ・フェア・レディ」そっくりに仕上げている。エンターテインメントだからといってもただ楽しむだけでなく、花街のしきたりなど舞妓の世界を学ぶHow toものとしても観ることができる。


 ただ、ミュージカル慣れした俳優ばかりではないためか、キャストによっては、歌の上手い下手の差がハッキリし過ぎていたのは、しょうがないとはいえ残念。主演の上白石萌音は、約3年前の東宝シンデレラ入賞者で映画は「だいじょうぶ3組」等に脇役で出演していたが、映画では本作で初主演。演技はまだまだ未知数なのに、歌まで大丈夫なのかと思っていたが、どうやらこの映画のオーディションが行われたのとほぼ同時期の2012年に、松平健主演で上演されたミュージカル「王様と私」に出演していたらしく、歌と踊りに関しては撮影前にかなりのレッスンを積んでいたようで、その成果が出ており上手かった。別の舞台作品では既に主役を演じているし、東宝は映画だけでなく舞台ミュージカルも手掛けているので、間違いなくこれから舞台出演のオファーもたくさん来るであろう。同時期の東宝シンデレラでグランプリを獲ったのは妹の萌歌の方だが、キャリアの方はこれで姉の方が先行した感がある。


 この映画は海外に持っていくのかどうかはわからないが、日本の文化を世界に伝える上で、公開するのを日本だけに留めておくのは、実に勿体ないような気がする。ヒットするかどうかは別にして、海外配給も視野に入れた方がいいのではないかとは思うが、関係者の方、どうであろうか?


私の評価…☆☆☆☆

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2014年11月 1日 (土)

リトル・フォレスト 夏/秋

リトル・フォレスト 夏・秋
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:森淳一
原作:五十嵐大介「リトル・フォレスト」
音楽:宮内優里
主題歌:FLOWER FLOWER(夏編「夏」・秋編「秋」)
出演:橋本愛、三浦貴大、松岡茉優、温水洋一、桐島かれん、岩手太郎(秋編のみ)、北上奈緒(秋編のみ)、佐藤さち子、千葉登喜代、小島康志(秋編のみ)、篠川桃音、照井麻友(秋編のみ)、南中将志(夏編のみ)、山形吉信(夏編のみ) 他


 《生きる、食べる、作る》


 五十嵐大介の同名コミックを実写映画化した人間ドラマ。故郷での自給自足の生活を通して、都会で失った自信や生きる力を取り戻していくヒロインの姿を、旬の食材を使った料理を通して描く。東北の四季を映し出した4部構成で2回に分けて公開する(「冬・春編」は来年2月公開予定)。


 都会に出たものの馴染めないでいたいち子(橋本愛)は、故郷である東北地方の小さな集落・小森に戻ってくる。山に囲まれた小森の周辺にはスーパーやコンビニは無いため、畑で農作物を作ったり、野山で季節のものを採ってきたりして、自給自足に近い生活をしなければならない。山の恵みを使って、夏にはグミジャムや岩魚の塩焼き、秋は胡桃ご飯や栗の渋皮煮などを作るいち子。勿論自然には厳しさもある。季節の移ろいを感じ、ふと立ち止まって自分自身と向き合いながら、いち子は美味しい物を食べて次の一歩を踏み出す勇気を得ていく…。


 この映画は一応原作付きではあるが、主人公のいち子を中心としたセミ・ドキュメンタリーっぽい作りである。全体を季節ごとの4章に分け、形としては前・後編として公開することとなっているせいか、この前編では殆どストーリーが進まない。なぜ主人公が都会から故郷に戻ってきたのか、なぜ母親が家を出ていったのかということを、伏線だけを描いておいて、結論は後編へと丸投げしてしまっている。


 ただ、田舎の風景は素晴らしいもので、料理などに興味が無くても、この映画の世界にすんなり入っていける。出てくる料理の数々もどれも美味しそうで、観ていると自然にお腹が空いてくる。何よりいいなと思うのは、画面上に出てくる料理を調理するほぼ全てを主演の橋本愛自らが、専門家の指導の下でやっている事である(手元のアップショットのみボディダブルを使っているが)。こうする事によって主人公の日常が、よりリアルに描けているからだ。画面で説明しきれない部分は、主人公自身のナレーションでカバーしていて、その部分が若干多めでちょっとダレるのが残念なのだが、後編の予告編も付いて、一応期待させられる作りには、なっているかなと思う。


私の評価…☆☆☆

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