« 2014年11月 | トップページ | 2015年1月 »

2014年12月

2014年12月31日 (水)

有頂天時代(1936年)

有頂天時代(1936<br />
 年)
劇場:プラネットプラスワン
監督:ジョージ・スティーヴンス
脚本:ハワード・リンゼイ、アラン・スコット
原作:アーウィン・S・ジェルシー
製作:パンドロ・S・バーマン
音楽:ジェローム・カーン
ダンス監督:ハーミズ・パン
出演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース、ヴィクター・ムーア、ヘレン・ブロデリック、エリック・ブローア、ベティ・ファーネス、ジョージ・メタクサ、ランダース・スティーヴンス、ジョン・ハリントン、ピエール・ワトキン 他


 《ダンスの黄金コンビによるミュージカルの快作》


 フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースという、映画史に輝く黄金コンビによる6度目の共演作。尚、表題に年号を付けたのは、同名タイトルで内容が異なるアメリカ映画(1930年公開)と、日本映画(1951年公開)があり、区別したためである。


 ラッキー(フレッド・アステア)はポップ一座の舞台でダンサーをしていたが、許嫁のマーガレット(ベティ・ファーネス)と結婚する事になった。ところがカジノに夢中になって結婚式の時間に遅れたため、マーガレットの父は怒って貯金が2万5千ドルできるまで結婚を許さぬと言い出す。そしてラッキーはニューヨークにやって来た。そこでひょんな事から舞踊学校の教師ペニー(ジンジャー・ロジャース)と知り合い素人のふりをして彼女の許に弟子入りした。彼は故意に不器用なふりをしたのでペニーは彼を叱り飛ばしたが、これが原因で校長は彼女をクビにした。するとラッキーは彼女に習ったといって素晴らしいタップを見せたので、校長は喜んで2人をチームとしてナイトクラブに出演させる。ポップ(ヴィクター・ムーア)も同じ学校に入っていて、彼が原因で受付けのメーベル(ヘレン・ブロデリック)がクビになる。ポップは彼の舞台衣装を買いに出たが、その金を賭博ですってしまう。その代わり燕尾服を着た酔いどれ紳士を連れてきたので、ラッキーは賭けをして服を巻き上げようとする。ところが紳士は連戦連勝、ラッキーは裸にされてしまう。これで出演は延期、彼はペニーに絶交を宣言されるがメーベルの取り成しで仲直りする。ところが今度はクラブのオーナーがインチキ野郎のレイモンド(ジョン・ハリントン)にバンドを取られてしまう。ラッキー、ポップ、メーベル、ペニーの4人はレイモンドに賭けを申し込んで大勝しバンドを取り戻し、出演のためのテストは大成功に。ラッキーの貯金はたちまち増えたが、今ではペニーを愛する彼は貯金が2万5千ドルに達しないよう苦心する。そんな時にペニーはポップからラッキーの婚約を聞いてしまい…。


 今年はどうやらこれが最後のアップになりそう。今年観た映画は107本。昨年より若干減った。今年前半は仕事が忙しかったし、後半は観たい映画が昨年ほどは無かったのも影響しているかもしれない。とりあえず100本超えはしたかったので、一応目標は達成した。来年も、100本は観たいなぁと思っている。で、結局、ここに感想を書くのは追いつけなかった。まだ、書いてないのが数本、ほぼ1か月遅れになっている(まぁ、それでも一時は2か月近く遅れていたからよく追いついた方だよなぁ)。なんとか早く追いつきたい。


 で、今年最後に観たのがコレ。プラネットプラスワンでの企画「シネスタディ」12月分の1本。ここはロードショー館ではなく、ウォーカー等の雑誌にも殆ど載っていない、大阪の中崎町というところにある、収容人数20人程の小さな映画館。今時珍しいフィルム上映である。通常ここは会員制で、会員ではない人は入れないが、「シネスタディ」他一部の企画は、京都や大阪の特定の単館系映画館に置いてあるチラシを持っていけば、一般客でも格安料金で鑑賞可能なのだ。ちなみに、ここで上映されるフィルムは殆どが16mmだ。


 この映画はDVDでも発売およびレンタルはされているが、やっぱりスクリーンで観られるなら、どうしても観たかった。アステアとロジャースのコンビの映画は10作あるが、これはその6作目。アステアはロジャースの他にもエレノア・パウエルやカラーになってからはシド・チャリシーなどと組んでいるが、やっぱりロジャースとのコンビが一番なのだろう。6作目ともなると、呼吸というか間合いもぴったりで、観ていて楽しいし気分がいい。


 一番の見所はアステアが珍しい黒塗り顔でハーレムを背景に踊る「ボージャングルズ・オブ・ハーレム」の場面。凝ったセットと影を使った効果で盛り上げる。ここの部分はニコニコ動画でも観ることができる。


 ちなみに1月にはこの「シネスタディ」で、同じアステア&ロジャース=コンビの最大のヒット作「トップ・ハット」が上映される。こちらもDVDは同じIVCから発売されているが、やはりできればスクリーンで観たいところだ。時間があれば観に行きたい。


私の評価…☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月29日 (月)

楽園追放 -Expelled from Paradise-

楽園追放-Expelled from Paradise-
楽園追放-Expelled from Paradise-
劇場:T・ジョイ京都
監督:水島精二
脚本:虚淵玄
原作:ニトロプラス、東映アニメーションによるオリジナル
音楽:NARASAKI
主題歌:ERISA「EONIAN ―イオニアン―」
声の出演:アンジェラ・バルザック…釘宮理恵、ディンゴ…三木眞一郎、フロンティアセッター…神谷浩史、クリスティン・ギラム…林原めぐみ、ヴェロニカ・クリコワ…高山みなみ、ヒルデ・トゥルバルト…三石琴乃、ディーヴァ保安局高官(3人)…稲葉実、江川央生、上村典子、イザーク…三宅健太、ラズロ…遠藤大智、3人の無法者…半田裕典、荒井聡太、金本涼輔、スクラップ屋…新井良平、アナウンス…森下由樹子、政府広報…劉セイラ、オペレーター…野口ゆり、浜辺の人々…小川慎太郎、小池万瑠美、アロンゾ・パーシー…古谷徹(友情出演) 他


 《正直期待していなかったが、これは快作!》


 「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄が脚本を、「機動戦士ガンダムOO」の水島精二が監督を務めたSFアニメ。意外だが、東映アニメーションにとっては初の劇場用フルCGアニメーションである。


 西暦2400年、ナノハザードにより廃墟と化した地球。人類の多くは地上を捨て、データとなって電脳世界ディーヴァで暮らすようになっていた。そんなある日、フロンティア・セッターと名乗る者による地上世界からのハッキングで、ディーヴァが異変に晒される。ディーヴァのシステム保安を担当する捜査官アンジェラ・バルザックは、生身の体・マテリアルボディを身にまとい、地上世界へと降り立つ。だが地上捜査官ディンゴと接触しようとするアンジェラを待ち受けていたのは、地上を跋扈するモンスター、サンドウォームの群れであった。アンジェラは機動外骨格スーツ・アーハンを起動、サンドウォームを迎え撃つ。荒廃した地上世界のどこかに潜むフロンティア・セッターを見つけ出すため、アンジェラとディンゴの、世界の謎に迫る旅が始まった…。


 これは正直あまり期待していなかったが、思わぬ拾い物である。この手のフルCGアニメは、既に他社が「アップルシード」等でやっている事であり、あの忌まわしき映画(笑)実写版「デビルマン」からCGアニメの技術を取り入れていた東映アニメーションとしては、“何を今更”な感もあるのだが、とにかく画面が美麗だし、メリハリも利いている。高速チェイスシーンもテンポがよく、何より見やすくて、目が疲れる事が一切無い。


 機械文明の発達に警鐘を鳴らすというテーマも、目新しくは無いもののきっちりと描けており、話の起承転結といったものが、はっきり明確に描かれているので、実に観ていて気持ちがいいし、観て損は無い。


 もちろん、ヒロイン・アンジェラが地上世界に降り立つ時に、パワーセーブ(だったっけ?)とかの理由で、ちょっとだけ幼く身長も縮めた形、つまり萌えキャラで現われるなど、アニメファンを意識した設定もあり、人気声優の林原めぐみや三石琴乃、高山みなみをチョイ役で登場させるという、豪華で贅沢な演出もあって、アニメファンと映画ファンの両方が楽しめる映画である。


私の評価…☆☆☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月25日 (木)

サボタージュ

サボタージュ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:デヴィッド・エアー
脚本:スキップ・ウッズ、デヴィッド・エアー
原作:アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」
製作:ビル・ブロック 他
音楽:デヴィッド・サーディ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):アーノルド・シュワルツェネッガー(玄田哲章)、サム・ワーシントン(高田延彦)、ミレイユ・イーノス(林真里花)、オリヴィア・ウィリアムズ(深見梨加)、テレンス・ハワード(丸山壮史)、ジョー・マンガニエロ(長島真祐)、ハロルド・ペリノー(田村真)、マーティン・ドノバン(各務立基)、マックス・マーティニ(小宮浩信〈三四郎〉)、ジョシュ・ホロウェイ(北村謙次)、ケヴィン・ヴァンス(野川雅史) 他


 《実は元ネタは名作 でもその名残は微塵も無し》


 珍しくトラウマを持った役を演じるシュワちゃんの主演最新作。


 麻薬取締局(DEA)のジョン・ウォートン(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、アメリカ国内外での麻薬戦争において幾多の功績を挙げ、「破壊屋」の異名を轟かせてきた伝説の捜査官。ジョンが隊長を務める特殊部隊には、副リーダー格のモンスター(サム・ワーシントン)を始め、凄腕で荒くれ揃いの部下8人が所属。向かうところ敵無しの最強チームは、今日もまた麻薬カルテルのアジトである要塞化された豪邸への奇襲を仕掛けようとしていた。


 しかし、この日の作戦にはもうひとつの隠された狙いがあった。カルテルが蓄えた巨額の闇資金2億ドルから1000万ドルの札束を掠め取り、チーム内で密かに山分けするという「完全犯罪」を遂行するつもりなのだ。あらかじめアジトに潜入していたチームの紅一点、リジー(ミレイユ・イーノス)の誘導によって内部に突入したチームは、激しい銃撃戦の末に敵を制圧。その最中にスモークが殉死したものの、作戦は全て思惑通りに完了したと思われた。ところが、退却時に回収する筈だった1000万ドルが忽然と消失。その不正行為を疑われたジョンは内務調査局の取り調べを受け、DEA内での地位と信用を失ってしまうのだ…。


 半年後、事務職に追いやられていたジョンはようやく処分を解かれ、チームの指揮権を取り戻した。すかさずジョンは気心の知れた部下たちに猛トレーニングを課して再出発を図るが、思わぬ悲劇が発生する。チーム再結成を祝った夜、パイロ(マックス・マーティニ)が自宅代わりのキャンピングカーもろとも列車にひかれて死亡してしまった。しかも、これはただの事故ではなかった。後日、別のメンバー、ネック(ジョシュ・ホロウェイ)が無惨に切り刻まれた死体に変わり果てて発見され、アトランタ市警の女性刑事キャロライン(オリヴィア・ウィリアムズ)が連続殺人事件として本格的な捜査を開始する。さらにチームを辞して山小屋にこもっていた元海兵隊員のトライポッド(ケヴィン・ヴァンス)までもが、謎の武装グループに襲撃されて絶命した。この冷酷非情な手口の連続殺人が、ジョンのチームに恨みを抱く何者かの犯行だということは疑いようがなかった。果たしてチームの皆殺しを目論む猟奇殺人鬼は、いったい何者なのか。そして消えた1000万ドルの大金はど
こにあるのか。ついに明らかになる驚愕の真相とは…。


 原作は、アガサ・クリスティの長編推理小説で、これまで戯曲化されたり、何度も映画化されているものである。中でも1945年のルネ・クレール監督・バリー・フィッツジェラルド主演版はよく知られている人気作なのだが、この「サボタージュ」は、登場人物が次々と消されていくというプロットだけを残して、後は全部変わってしまった。さらに原作は密室劇の傑作でもあるのだが、この映画の舞台は密室でもなくなっている。


 何でそんな有名な作品を跡形もない形に改変してしまったのか、よく分からないのだが、ストーリーも何もかも雑になっていて、どれもこれも話が中途半端。終盤、辻褄が合わなくなったのか、唐突に話を打ち切ろうとする展開にも、開いた口が塞がらない。


 それにしてもシュワちゃんは復帰してからというもの、今一つパッとしない。さすがに還暦を過ぎて、アクションに昔ほどのキレが無いのは確かだが、彼の場合はスタローンとは違って、コメディー等アクションとは違うジャンルのものでも似合うものはあるはずなのに。来年「ターミネーター」の新作が公開予定で、一応主演としてキャスティングされていて、この新作はコケた前作の設定を無かったことにして、新たなストーリーが展開されるということらしいが、自身の出世作となった役で、もう一花咲かせてほしいな。


私の評価…☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月24日 (水)

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション
エクスペンダブルズ3 ワールドミッション
劇場:MOVIX京都
監督:パトリック・ヒューズ
脚本:シルヴェスター・スタローン 他
原案:シルヴェスター・スタローン
原作・キャラクター創造:デイヴィッド・キャラハム
製作:アヴィ・ラーナー 他
音楽:ブライアン・タイラー
出演:シルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、アントニオ・バンデラス、ジェット・リー、ウェズリー・スナイプス、ドルフ・ラングレン、ケルシー・グラマー、ランディ・クートゥア、テリー・クルーズ、ケラン・ラッツ、ロンダ・ラウジー、グレン・パウエル、ビクター・オルティス・ロバート・ダヴィ、メル・ギブソン、ハリソン・フォード、アーノルド・シュワルツェネッガー 他


 《何人も出しゃいいってもんじゃない》


 最強の“消耗品軍団”シリーズ最新作。今度の敵は嘗ての仲間だ。


 最強の傭兵軍団〈エクスペンダブルズ〉を率いるバーニー(シルヴェスター・スタローン)は、CIAの作戦担当ドラマー(ハリソン・フォード)からあるミッションを言い渡される。それはかつて共にエクスペンダブルズを結成した仲間で、現在は悪の組織の大物ストーンバンクス(メル・ギブソン)を捕獲せよというものだった。


 ニューヨーク、モスクワ、ブカレスト、メキシコ、アフリカ…。世界各地でその攻防が繰り広げられる中、エクスペンダブルズの弱点を知り尽くしたストーンバンクスの力を見せつけられたバーニーは決して若くない仲間たちの身を案じる。やがてバーニーは、チームの解散を決定、若いメンバーと新たにチームを組み、任務を遂行することとなる。しかし、残されたエクスペンダブルズの元メンバーたちはただ黙って見てはいなかった。彼らのとった行動とは…? そして、CIAドラマーが隠し持つ驚愕の切り札とは…?


 “筋肉オヤジ祭り”映画も3作目ともなると、少々ネタ切れ感もあるし、荒唐無稽っぷりにも拍車がかかっているが、これは逆にそれを楽しむ映画であって、そういう意味ではそれに徹底した娯楽映画といえる。


 ただ、登場人物を節操もなく増やし過ぎたおかげで、前2作と比べてみてもストーリーが早々に破綻してしまい、何かゴチャゴチャしただけの映画に成り下がってしまった感がある。はっきり言って若手はあんなにいらなかったのではないか。オッサン連中だけでも個性的な奴らばっかりなのだから、それだけでも面白いものが作れたはずだ。


 今回の悪役はメル・ギブソンで、この人悪役でも格好いいのだが、ラストが呆気ない(笑)。そりゃ、腕っぷしではスタローンに適わないだろうが、あっさりし過ぎた。


 そして、ハリソン・フォードは「スター・ウォーズ」新作への出演を踏まえての出演だったらしい。なるほど、あのセリフはそのパロディーだったのか。隣に座っていたシュワちゃんが、チューバッカに見えてくる(笑)。


 この映画は前2作同様、出演者の過去作のパロディーがあちこちにちりばめられているので、それを知っている映画ファンは熱くなれると思う。知らないファンは、これを見てからその元ネタの映画をビデオ鑑賞してみてはいかがだろうか。


私の評価…☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月21日 (日)

美女と野獣(2014年・実写版)

美女と野獣(2014<br />
 年・実写版)
劇場:MOVIX京都
監督:クリストフ・ガンズ
脚本:クリストフ・ガンズ、サンドラ・ヴォ=アン
原作:「美女と野獣」
製作:リシャール・グランピエール 他
音楽:ピエール・アデノ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):レア・セドゥ(渋谷はるか)、ヴァンサン・カッセル(山路和弘)、アンドレ・デュソリエ、エドゥアルド・ノリエガ、ミリアム・シャルラン、オードレイ・ラミー、サラ・ジドロー、ジョナサン・ドマルジェ(小林親弘)、ニコラス・ゴブ、ルカ・メリエヴァ(須藤翔)、イボンヌ・カッターフェルト(甲斐田裕子) 他


 《ディズニー版をイメージする人は多分、戸惑うはず》


 ディズニーアニメなどで知られる、フランス民話を基にしたファンタジー。


 裕福な商人だった父が財宝を積んだ船を嵐で失い破産、娘のベル(レア・セドゥ)たちは都会の贅沢な暮らしに別れを告げ、田舎へと引っ越すことになった。母亡き後、我儘に育てられた3人の兄と2人の姉は田舎暮しに不満を募らせるが、ベルは家族が一緒にいるだけで幸せだった。


 そんなある日、船が一隻だけ見つかったという知らせが入り、父は喜び勇んで街へ駆けつけるが、借金のカタに船を奪われてしまう。失意の帰り道、吹雪に見舞われ死に瀕した彼は森の奥にたたずむ古城を発見。城の中に入ると、豪華な食事やワイン、そして家族が望んでいたドレスや宝飾品の山がそこにあった。主人の姿が見えない謎めいた城に命を助けられた商人は、愛しい末娘ベルが土産にと望んだ薔薇を庭に見つけ、思わず一輪折った途端、黒く大きな影が襲いかかる。

 「俺の一番大切なものを盗んだな、この恩知らず!」

と怒りに燃え叫ぶのは、見るも恐ろしい野獣(ヴァンサン・カッセル)だった。野獣は薔薇の代償に商人の命を要求し、1日だけ猶予を与えるが戻らなければ家族を順番に殺すと宣告する。帰宅後、父からその一部始終を打ち明けられたベルは、翌朝、自分のせいでパパまで失いたくないと意を決し、野獣が父に教えたという呪文を馬に囁く。すると森の木々が道を開き、馬に乗ったベルは城へと導かれるのだった。


 用意されていたドレスに身を包み、ディナーの席に着くと背後から野獣が忍び寄る。ベルは命を差し出す覚悟だったが、野獣が求めたのは夜の7時に必ず食卓に着くことだけだった。その夜、何かに誘われるように、ベルは全盛期を誇った頃の城と一人のプリンセス(イボンヌ・カッターフェルト)の夢を見る。翌朝、好奇心が恐怖に打ち勝ち、果てしなく広い領地を探険するベル。薔薇の庭にある哀しげな女性の彫像、それは夢に出てきたプリンセスでどうやら彼女は若くして亡くなったらしい。野獣の秘密を説き明かそうと決意したベルは、城の過去を紐解くにつれてプリンセスと彼女の最愛の王子との驚くべき運命の物語に夢中になっていく。


 一方、横柄な態度で命令する野獣が時折見せる悲しい瞳に心を惹かれ始めていくベル。果たして野獣は何者なのか? ついにその真相が明かされる時、ベルと野獣に思わぬ危険が迫るのだった…。


 フランスのお伽話をベースに作られた「美女と野獣」といえば、映画ならジャン・コクトー監督版やディズニーアニメが有名だが、今回の映画版は原作にも書かれていない野獣の過去を描く点が新機軸だ。


 監督は「ジェヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ、ということで今作も全編を通してロココ調の優美な世界観が描かれる。ダークファンタジーのような描かれ方は、ディズニーアニメの印象が強い人には違和感を感じるという人も多いだろうが、“ディズニーは民話を殺す”という云われ方があるように、あのアニメは原作を改変したものであり、オリジナル部分を除けばテイストはこちらの方が原作に近いだろう。お伽話というものは元来こういう怖い話の一面も持っているもので、こういうものこそ子供に見せるべきである。一応映倫の区分は「G」なので全年齢対応ではあるが、子供が来ている様子は、無かったな(笑)。


 ただ、キャスティングには少々難ありな感じがする。レア・セドゥはまだいいとしても、ヴァンサン・カッセルはとても王子には見えず、もう少し若手の俳優でもよかったのではないか? まぁ過去も描くわけだから、少々年齢をかさねないと不自然と考えられたのかもしれないが、つりあいがとれてないなとは思った。


私の評価…☆☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月17日 (水)

ヘラクレス(2014年版)

ヘラクレス(2014<br />
 年版)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ブレット・ラトナー
脚本:ライアン・J・コンダル、エヴァン・スピリオトポウロス
原作:スティーヴ・ムーア「Hercules: The Thracian Wars」
製作:ボー・フリン 他
音楽:フェルナンド・ベラスケス
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ドウェイン・ジョンソン(楠大典)、イアン・マクシェーン(辻親八)、ジョン・ハート(中博史)、ルーファス・シーウェル(高木渉)、アクセル・ヘニー(烏丸祐一)、イングリット・ボルゾ・ベルダル(林真里花)、リース・リッチー(平川大輔)、ジョセフ・ファインズ(桐本琢也)、トビアス・ザンテルマン(遠藤大智)、ピーター・ミュラン(石住昭彦)、レベッカ・ファーガソン(皆川純子)、アイザック・アンドリュース(阿久津秀寿)、イリーナ・シェイク(志田有彩) 他


 《神話ではなくロック様の筋肉バカ映画》


 人気アクションスター、ドウェイン・ジョンソンがギリシア神話の英雄、ヘラクレスに扮する映画。神話に名高い12の難業を、壮絶な戦いの末に成し遂げた彼の、その後の死闘を描く。


 神々の王・ゼウスと人間の女の間に生まれた半神半人の男・ヘラクレス(ドウェイン・ジョンソン)。神さえも恐れる超人的な怪力と人間の心を併せ持つ彼は、強さと優しさに満ち溢れた人物として世に知られていた。だが、自分の子どもの命を奪ったことで罪の意識に押し潰されそうになった彼は、苦しみ抜いた末、救いを得るために自らに12の試練を課す。


 多頭の蛇・ヒュドラ、不死身のライオン、巨大なイノシシであるエリュマントスなど、襲いかかる魔物や悪を、圧倒的な力で倒してゆくヘラクレス。そして彼は生ける伝説となる…。


 時は流れ、紀元前358年。ヘラクレスは金のためだけに戦う傭兵となって、預言者・アムピアラオス(イアン・マクシェーン)、戦略家・アウトリュコス(ルーファス・シーウェル)、狂暴な戦士・テュデウス(アクセル・ヘニー)、女戦士・アタランテ(イングリット・ボルゾ・ベルダル)、ヘラクレス伝説を広める甥のイオラオス(リース・リッチー)と共にギリシャ諸国を彷徨っていた。3年前まで、アテネのエウリュステウス王(ジョセフ・ファインズ)に仕えていたが、最愛の妻と子供たちを亡くし、その地を去ったのだ。後には、ヘラクレスが家族を殺したという噂が残った。


 ある時、ヘラクレスは、トラキアのコテュス王(ジョン・ハート)から、邪悪な戦士・レーソス(トビアス・ザンテルマン)率いる反乱軍から国を助けてくれと依頼される。高額な謝礼が目当てだったヘラクレスだったが、夜も眠らず負傷者を治療する王の娘・ユージニア(レベッカ・ファーガソン)、「ヘラクレスのような英雄になる」と誓う彼女の息子、そして戦いに苦しむ罪なき人々を見ているうちに、彼の中で何かが変わっていく…。


 題材がヘラクレスだからといって、神話的な話を期待する人には不向きな映画である。それもそのはず、この映画の原作はグラフィックノベル。だからというわけではないだろうが、'80年代にシュワちゃんが出演していた「コナン・ザ・グレート」に、どことなくテイストが似ている。


 で、その「コナン・ザ・グレート」がシュワちゃんありきの映画だったように、この映画はロック様の筋肉バカ映画(笑)。しかも、ちょっと過剰な演出もあるB級テイスト満載なので、これはもう小難しい考え抜きに、繰り広げられる超絶アクションを楽しむだけのもの。よく見りゃこの映画、「ラッシュアワー」シリーズの監督だった。それなら大味なのも当然だったのか。


私の評価…☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月15日 (月)

イコライザー

イコライザー
劇場:MOVIX京都
監督:アントワン・フークワ
脚本:リチャード・ウェンク
製作:デイヴィット・J・ブルームフィールド 他
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:デンゼル・ワシントン、マートン・ソーカス、クロエ・グレース・モレッツ、デヴィッド・ハーバー、ビル・プルマン、メリッサ・レオ 他


 《アメリカ版“必殺仕事人”》


 1984年から約5年間、全米で放映(日本でも1994年頃に東海地方などで深夜帯に放映)されたTVドラマ「ザ・シークレット・ハンター」の映画版リメイク。


 昼はホームセンターで真面目に働くマッコール(デンゼル・ワシントン)。元CIAのトップエージェントであったが、現在は静かに暮らしている。眠ることができない彼は深夜、近所のカフェで読書をするのを日課としていた。


 ある夜、そこで娼婦のテリー(クロエ・グレース・モレッツ)と出会う。そして本に関する他愛のない会話を交わす内に、彼女がロシアン・マフィアに酷い仕打ちを受けていることを知る。人生に夢さえ抱けず、傷つけられるテリーを助けるため、夜、マッコールはもう一つの「仕事」を遂行する。それは人々を苦しめる悪人を葬り、どんなトラブルも完全抹消すること。しかし、この「仕事」がきっかけとなり、ロシアン・マフィアがマッコールを追い詰めていくが…。


 TVドラマの映画版リメイクというものは、設定や展開が大雑把なものが多いが、この映画もそういう作り。でも、逆にそこを楽しめるようにしてある。


 日本の必殺シリーズのような殺しの美学も無く、殆ど瞬殺で味気ないものもあるし、主人公がいくらなんでもな強過ぎで、ピンチに陥る場面が無く、その分ストーリーに起伏が無くなり、悪役も弱っちいものに見えてしまう事で安っぽい映画になってしまってはいるが、デンゼル・ワシントンとクロエ・グレース・モレッツという二枚看板だけで、退屈せずに観られるのは、この二人がやはり“さすが”という事なのだろう。


 少女娼婦役というと、過去には「タクシー・ドライバー」のジョディ・フォスターが有名だが、クロエたんも大人っぽくなったけどどこか少女っぽさが残り、それが妖しい雰囲気を出していていい。ただ、ちょっと太ったね(笑)。二の腕なんかシーンによってはデンゼルより太く見えるし。役柄でそういうふうに見せているなら凄いなぁとも思うが、まぁ、育ち盛りだしね。ラストで素の姿に戻ったキュートな彼女を観られたので良かったデス。


私の評価…☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月13日 (土)

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所
劇場:T・ジョイ京都
監督:R・J・カトラー
原作:ゲイル・フォアマン「ミアの選択」
脚本:ショーナ・クロス
製作:アリソン・グリーンスパン
音楽:ヘイター・ペレイラ
出演:クロエ・グレース・モレッツ、ミレイユ・イーノス、ジョシュア・レナード、ジェイミー・ブラックリー、リアナ・リベラト、ステイシー・キーチ、ガブリエル・ローズ、ジェイコブ・デイヴィーズ、アリ・ミルナー、アイシャ・ハインズ、ローレン・リー・スミス、アダム・ソロモニアン、チェラー・ホースダル 他


 《珍しくフツーの女の子を演じたクロエたん》


 世界中の人々を感動させたベストセラー小説を映画化。交通事故で家族を失い自らも昏睡状態に陥ってしまった女子高生が、“生か死か”という究極の選択を迫られるまでの24時間を描く。


 17歳の高校生、ミア(クロエ・グレース・モレッツ)には、親友と呼べる友人と、付き合い始めて1年になるミュージシャンの彼氏がいる。将来の夢はチェロ奏者で、ジュリアード音楽院への入学を目指して猛練習中だ。ある雪の日、ミアと一家が乗った車に対向車が突っ込む事故が起き、ミアは一瞬にして家族を失う。病院のベッドの上で、昏睡状態のミアが目にしたのは、ベッドに横たわる自分の姿と、幸せだったこれまでの人生、そして彼女を死の淵から呼び戻そうとする人々の姿だった。


 いつもと変わりなく話しかけてくるお婆ちゃんと、「辛いなら頑張らなくてもいい」と言って泣くお爺ちゃん。親友のキムと、看護師の制止を振り切って最愛のアダム(ジェイミー・ブラックリー)も駆けつける。彼らがミアに語ったこととは? そして、ミアは何を見るのか? 事故からミアの決断までの24時間が始まる…。


 「キック・アス」での当たり役=ヒット・ガール以降、アクの強い役が多かったクロエ・グレース・モレッツが、今までの役とは正反対な等身大の少女を熱演している。10代の女性が将来や初恋に悩み成長していく展開はオーソドックスなものだが、この物語では始まって暫らくしてから事故が起き、その後は彼女から魂が分離してその魂が語り部になるという、ファンタジーの要素も取り入れている。


 それにしてもクロエはいい時期に、いいタイミングでこの役に巡り合えたと思う。彼女の役者としてのキャリアは10年ほどになる(5歳でデビューした当初はモデルだった)のだが、17歳ともなるとそろそろ大人の役に脱皮する足掛かりを作らなければいけない時期でもある。ところが、前述のとおり、「キック・アス」以降なかなかフツーの役柄を得ることができなかった。この映画は彼女にとってもそのイメージから抜け出す一歩なのである。あのヒット・ガールの女優がこんな繊細な演技もできるんだと、僕はそこに心を動かされた。ただし、この後に観る彼女の出演作で、彼女は少女娼婦というまたトンでもない役をやるのだが(笑)。


 そして、本作の見所はもう1つ。それは寡黙なお爺ちゃんが昏睡状態の孫娘に向かって優しく語りかける場面で、ここは涙腺の弱い人には要注意ポイントである。


 また雪景色や主人公の家族が集う家などの風景に、ベートーベン作曲「チェロソナタ」等クラシックの名曲や、ヒロインの相手役が同じ音楽学校で専攻しているのがロックという事で、ロックの人気曲のBGMが非常にマッチしていて美しい映画になっていた。今年一番泣ける映画である。


私の評価…☆☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月12日 (金)

〈新・午前十時の映画祭〉オズの魔法使

〈新・午前十時の映画祭〉オズの魔法使
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ヴィクター・フレミング
脚本:ノエル・ラングレー、フローレンス・ライアン、エドガー・アラン・ウルフ
原作:ライマン・フランク・ボーム「オズの魔法使い」
製作:マーヴィン・ルロイ
音楽:ハーバート・ストサート
出演:ジュディ・ガーランド、レイ・ボルジャー、ジャック・ヘイリー、バート・ラー、ビリー・バーク、マーガレット・ハミルトン、フランク・モーガン 他


(写真は地方公開でのチラシ 公開時期は不明)


 《ジュディ・ガーランドの出世作》


 1939年(日本では1954年)に公開されたアメリカのファンタジー・ミュージカル映画。当初は人気子役のシャーリー・テンプルを主演に据える予定だったが、映画会社のトラブルによりジュディ・ガーランドに交代。これを機にジュディはスターへと伸し上がっていく反面、薬物中毒により若死にするきっかけにもなってしまう。


 カンサスの農場に住む少女ドロシー(ジュディ・ガーランド)はある日愛犬トトが近所のグルチさんから虐められたといって泣きながら帰ってきたが、誰も相手にならないので、トトと家出して、田舎道を歩いていると家出を見破った占い師マーヴェル(フランク・モーガン)から伯母さんが心配して病気になったといわれて、家へ帰ると、折から大竜巻が襲来して農場は大騒ぎ。怖くなってベッドにうつ伏せになっていたところを、風で外れた窓が彼女の頭を強かに打った。ふと気がつくと、ドロシーは家もろとも大空高く吹き上げられ、やがてふわりと落ちたところはオズと呼ばれる国だった…。


 やっぱり75年も前のこういう映画をスクリーンで観られるというのは幸せなことである、ということを改めて感じる。同年のアメリカ映画の代表作に同じヴィクター・フレミング監督の「風と共に去りぬ」があるが、1939年といえばモノクロ映画からカラーへのちょうど転換期。カラー作品である「風と〜」は約390万ドルという、当時としては破格の製作費で作られたが、本作はテクニカラー(3本のモノクロフィルムを使って同時に撮影し後で重ねるという手法のため現在最新の技術を使って3D化することができ、今年そのバージョンがBlu-rayで発売された)で撮影されているためか、こちらも約278万ドルという高額な費用をかけて作られている。


 特撮技術こそ、今の映画と比べるとその差は歴然としているが、僕は今のCGよりも、こういう手作り感覚のある特撮の方が好きだ。特殊メイクもライオンのメイクが残念ということくらいで、あとはファンタジーな雰囲気をよく出している。


 しかし何といっても最大の魅力はジュディ・ガーランドなのではないだろうか? 映画会社のトラブルで大役が転がり込んできたとはいえ、実年齢より年下の役をキュートに演じている。彼女はこの後ミュージカル映画女優として人気を得ていくが、歌唱シーンの撮影前には当時ショービズの世界でまだ許されていたアンフェタミン(今でいう覚醒剤の一種)を服用して、ハイな気分になった上で歌っていたようで、徐々に薬に溺れていったというのは、本当に残念である。


 ちなみに、邦題に「い」が無いのは誤植なのではないかと思う人も多いだろうが、そうではない。実はこの原作自体、戦前のサイレント映画の時から何度も映画化されているもので、一説には、「い」と続編を意味する「II」を勘違いする人が続出するのではないかとの配慮から「い」が省かれたのではないかといわれているようだ(リバイバル上映のチラシなどには「い」が入っている)。当時の印刷技術の都合もあるとは思うのだが、そんな人、いるのか?


私の評価…☆☆☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月 9日 (火)

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:オリヴィエ・アダン
脚本:アラッシュ・アメル
原作:ジェフリー・ロビンソン「グレース・オブ・モナコ」
製作:ピエランジュ・ル・ポギャム 他
音楽:クリストファー・ガニング
出演:ニコール・キッドマン、ティム・ロス、フランク・ランジェラ、パーカー・ポージー、マイロ・ヴィンティミリア、デレク・ジャコビ、パス・ベガ、ジェラルディン・ソマーヴィル、ロバート・リンゼイ、ニコラス・ファレル、ロジャー・アシュトン=グリフィス、ジャンヌ・バリバール、イヴ・ジャック、オリヴィエ・ラブルダン、アンドレ・ペンヴルン、フィリップ・ダレンシー 他


 《実話が基というわりにはフィクション部分が多い》


 ハリウッド・スターからモナコ公妃となったグレース・ケリーが、存亡の危機に立たされた公国を救うために見せた「一世一代の大芝居」を描く。一応伝記映画だが、かなりの創作が入っているようだ。


 1956年、オスカー女優のグレース・ケリー(ニコール・キッドマン)は、モナコ大公レーニエ3世(ティム・ロス)と結婚。1961年12月、二人の子供に恵まれるも王室の中で孤立していたグレース。社交の場で女性が政治に意見するのは「アメリカ流」だと皮肉られ、夫のレーニエからも控えめでいることを望まれる。


 そんなある日、グレースの前に脚本を手にしたヒッチコック(ロジャー・アシュトン=グリフィス)が現れる。「マーニー」という新作映画の出演依頼に訪れたのだ。そんな中、モナコ公国に危機が降りかかる。アルジェリアの独立戦争で戦費が必要になったフランスが、無税の国モナコに移転したフランス企業から税金を徴収して支払うよう要求、「従わなければモナコをフランス領とする」と声明を出したのだ。もし戦争になれば、軍隊もない小国モナコは、一瞬で占領されてしまう…。


 愛する家族を守るため、そして宮殿生活で見失っていた自分を取り戻すため覚悟を決めたグレースは、自分にしかできない秘策を考えだす。外交儀礼の特訓を受けて、完璧な公妃の「役作り」に励み、フランス大統領シャルル・ド・ゴール(アンドレ・ペンヴルン)を含む各国の指導者を招いた「舞台」を用意する。


 果たしてグレースが自ら書いた「脚本」のクライマックスとなる、運命を握るスピーチとは…?


 これはもう、ニコール・キッドマンありきの映画。夫である国王の父との確執や、謎が多い自動車事故死には一切触れられていないが、一般人から他国の王室に嫁いだ、一人の女性の孤独や苦悩を描いた人間ドラマとなっている。


 冒頭から、グレースが運転する車が、曲がりくねった山道を猛スピードで走るという、グレースの死のシークエンスにも繋がる場面があるため、てっきり最期まで描くのかなと思ったら、モナコ公国の窮地を救ったところで終わった。王妃になってからのグレース・ケリーの生涯は、伏せられている部分も多いため、描けない事柄もあり(自動車事故では同乗していた子供が生還しており、真相はその子供が知っていると思われるが公表されていない)、フィクション部分も当然多くなるのはわかるが、この映画に関してはそれが詰め込みすぎて、掘り下げられておらず、印象が薄い。


 たとえ実話でなくても、オリジナル部分の描き方が、当時の社会情勢と照らし合わせて秀逸であれば、それなりに評価されたのだろうが、王室から批判を浴びているということは、恐らくそれが中途半端なのだろう。勿論、実話の映画化作品であっても、娯楽として見せるために、部分的には創作された話を少しだけ挿入するのは普通にあることだが、この映画はそのバランスを欠いてしまった。本人達に全然似ていないキャスティング(笑)は、意外と気にならなかったが、モナコ国王のキャラクター設定だけは、直した方が良かったのでは?


私の評価…☆☆☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月 3日 (水)

アンダー・ザ・スキン 種の捕食

アンダー・ザ・スキン 種の捕食
劇場:T・ジョイ京都
監督:ジョナサン・グレイザー
原作:ミッシェル・フェイバー「アンダー・ザ・スキン」
脚本:ウォルター・キャンベル、ジョナサン・グレイザー
製作:ジェームズ・ウィルソン 他
音楽:ミカ・レヴィ
出演:スカーレット・ヨハンソン、ジェレミー・マクウィリアムス、ジョー・スズラ、クリシュトフ・ハーディック、ポール・ブラニガン、アダム・ピアソン、マイケル・モアランド、デイヴ・アクトン、ジェシカ・マンス 他


 《久々にワケわからんSF映画を観た》


 「記憶の棘」(2004年 日本公開は2006年)以来9年ぶりとなる、ジョナサン・グレイザー監督の長編映画。男たちを誘惑していく地球外生命体が、障害のある男性との出会いをきっかけに、人間的な感情を抱いていく。


 スコットランドの街中で、次々と男たちが姿を消した。彼らは消える直前、一人の美女(スカーレット・ヨハンソン)に声をかけられていた。自らの妖艶さを武器に次々と男たちを誘惑する女、実は彼女は地球外生命体であった。初めは、慈悲の欠片も無く男たちを操っていたが、顔に障害を持つ男との出会いをきっかけに、人間的な感情を持つようになっていく。様々な男たちを求めながら、放浪の旅を続ける女に待ち受ける運命とは…。


 これはもう、キューブリックの映画のような、相当難解な映画。タイトルから、子役時代のミシェル・ウィリアムズが出ていた「スピーシーズ 種の起源」(1995年)のようなものを想起してしまうが、全く違うものであった。


 まぁ、得体の知れない者が男を誘惑し、性的関係を求めた挙げ句に餌食にしてしまうという展開自体は、見ていれば分かる事なのだが、セリフや音楽も最小限だし、映像以外でストーリーを説明できる要素もほぼ無いため、観ているこちら側の読解力や想像力が試される映画だ。


 加えて、この映画で主演のスカヨハは初のオールヌードを披露しているのだが(それを目当てに観に行った男どもも多いだろう)、「スペース・バンパイア」(1985年)の女バンパイア役のマチルダ・メイみたいにほぼ全編スッポンポンになるのかと思いきや、人間の姿で全裸になるのはほんの数シーンで、それも暗がりでよく見えない場面ばかりという、別にそれに期待していた訳ではないが、展開も単調だし観ていて面白いと思える部分が殆ど無く、途中で20分程だが居眠ってしまった。よくこれで商業映画として公開できるなと思うと共に、こんなのは単館系の映画館向きで、シネコンでかかるような映画ではないとも思った。原作をしっかり読み込んでいる人なら、なんとか堪えられるであろう。


私の評価…☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年12月 2日 (火)

記憶探偵と鍵のかかった少女

記憶探偵と鍵のかかった少女
劇場:MOVIX京都
監督:ホルヘ・ドラド
脚本:ガイ・ホームズ
原案:マーサ・ホームズ、ガイ・ホームズ
製作:ジャウム・コレット=セラ 他
出演:マーク・ストロング、タイッサ・ファーミガ、サスキア・リーヴス、リチャード・ディレイン、インディラ・ヴァルマ、ノア・テイラー、アルベルト・アンマン、ブライアン・コックス 他


 《天才少女による巧妙な記憶操作》


 アメリカとスペイン合作のサイコ・スリラー映画。他人の記憶に入り込める特殊能力を持つ探偵が、謎めいた依頼人の少女の記憶に隠された謎に迫る本格ミステリーだ。


 他人の記憶に潜入する能力を持つ「記憶探偵」のジョン・ワシントン(マーク・ストロング)。数多くの難事件を解決してきた彼のもとに、ある日、資産家夫妻からの依頼が入る。彼らの娘で、屋敷の自室で閉じこもる16歳の少女・アナ(タイッサ・ファーミガ)が絶食をしているという。彼女の記憶に潜入し、トラウマを解消してほしいという両親の頼みは、これまで数々の凶悪事件を解決してきたジョンにとって簡単な仕事のはずだった…。


 アナは大富豪グリーン家の美しき一人娘。実父はアナが生まれる前に亡くなっており、母親はその後再婚し、現在は継父と3人で森の奥深くに佇む屋敷に暮らしていた。


 アナはIQがずば抜けて高く、赤ん坊の頃から変わったところがあり、多くの問題を起こしてきたという。そのためか母親はアルコールに依存し、継父はアナを施設に入れようとしていた。寄宿舎で手首を切ったアナは、屋敷に連れ戻され、専属看護師による24時間体制の監視下に置かれていた。早速アナの記憶へ潜入したジョンはそこで、16歳の少女が経験するにはあまりにも衝撃的な出来事の数々を目の当たりにした。

〈実父の事故死〉、〈継父からの虐待〉、〈母親によってつけられた掌の傷〉、〈継父とメイドの不倫〉、〈教師による性的虐待〉、〈ルームメイトの殺人未遂事件〉…。

並外れて利発で繊細なアナは、深く傷ついていた。アナがジョンに心を開き、ようやく食事を摂ったのも束の間、看護師のジュディス(インディラ・ヴァルマ)が階段から転落して重傷を負うという事件が起こった。継父は、アナが彼女を突き落としたのだと言う。「私じゃない、継父が私を施設に入れるために仕組んだのよ。継父の狙いはママの財産。ジュディスは継父とデキている。信じてジョン。私の無実を晴らして。頼れるのはあなたしかいない…。」アナは涙ながらに無実を訴えた。


 ジョンは、事件の真相を探るため、アナの周囲で起きた過去の事件の関係者たちに話を聞いて回った。だが、彼らの証言はどれも、ジョンが「見た」記憶とは食い違っていた。アナがたった一人でこれらの事件を企てたというのだろうか? それとも彼女の周りの人全てが、アナを陥れようとしているのだろうか…?


 捜査を進めるうちにジョンは、黒ずくめの男から尾行されるようになり、ジョンの「記憶」と「現実」も混乱を来していく。果たしてジョンは、アナの記憶に隠された過去の秘密を見つけ出し、全ての真相に辿り着くことができるのか…?


 タイトルから筒井康隆の「パプリカ」のようなSF映画を想像してしまうが(「パプリカ」は夢探偵)、本作は地味なサスペンス映画。解けそうで解けない謎を追う展開は、ハラハラドキドキの連続なのだが、それも中盤まで。


 後半、その伏線が回収される段階で、脚本の詰めが甘いのか、殆ど読めてしまうのが痛い。結局は主人公が辿る少女アナの記憶が、実はそのアナによって殺人犯に仕立て上げられたジョンの記憶ということになるのだが、それをもう少しうまく見せられたら、というよりもうまく誤魔化せられたら、より怖いサスペンスになったのに。


 ヒロイン役のタイッサ・ファーミガは、「マイレージ・マイライフ」(2009年)でアカデミー助演女優賞にノミネートされたヴェラ・ファーミガの、21歳も年の離れた妹である。日本公開作ではエマ・ワトソンと共演した「ブリングリング」などがあるが、顔や雰囲気がなるほどよく似ている。姉が監督した映画に出演し、一緒に仕事をしたことで、女優の道へ進むことを決意したそうだが、その映画「ハイヤー・グラウンド」での演技が評価されているように、今後が楽しみな女優である。僕も彼女の吸い込まれそうな瞳にドキッとした。だから、男は騙されるんだろうな(笑)。


私の評価…☆☆☆★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2014年11月 | トップページ | 2015年1月 »