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2015年1月

2015年1月28日 (水)

キング・コング(1933年)

キング・コング(1933<br />
 年)
劇場:京都アスニー(京都市生涯学習総合センター)
監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シューザック
製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック
脚本:ジェームス・クリールマン、ルース・ローズ
製作:マーセル・デルガード
音楽:マックス・スタイナー
出演:フェイ・レイ、ロバート・アームストロング、ブルース・キャボット、フランク・ライチャー、サム・ハーディー、ノーブル・ジョンソン 他


 《戦前の映画とは思えない素晴らしい特撮》


 今はもう無いメジャー映画会社RKOの代表作。この会社は早くから経営不振だったが、本作の大ヒットで一時的に経営状態が持ち直した。すぐ同年に続編(「コングの復讐」)が製作され、1976年には舞台を製作当時の現代に変えてリメイク、そして2005年には「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督が、本作の時代など設定をそのままに、内容を大幅にボリュームアップさせてリメイクしている。


 カール・デンハム(ロバート・アームストロング)は猛獣映画の撮影で儲けている男。ある時、ノルウェーの帆船の船長から入手した秘密の楽園によって世界未知の島へ怪獣を撮影しに出かけた。デンハムの映画には女性が1人も出なかったので、色気がなさすぎるという評判だったが、今度の遠征撮影には、危うく倫落の淵に陥ろうとしていたアン・ダーロウ(フェイ・レイ)という美人を救い、彼女を主役として同伴することとなった。


 一行は数週間の航海の後、スマトラ島の西南遥かに、海図には記載されていない孤島を発見した。この島には髑髏の形をした山と大きな城壁があって、コングという巨大なゴリラが棲んでいると言われていた。コングは島の「ぬし」で、原住民たちは毎年一人の処女を生け贄として捧げる風習があった。


 そしてデンハム一行が上陸した時は、この祭典を行う時季に当たっていた。島の首長は美しいアンを見て、黄金の女であると喜び、コングに捧げるには絶好と、夜半船に忍び込んでアンを誘拐した。アンはかくて祭壇に縛り付けられ、コングに奪われた…。


 僕はこの「キングコング」は1976年版はTVで、2005年版は映画館で既に観ているが、元ネタとなる1933年版は今回初めて観た。2005年版も素晴らしい映画であったが、本作を観ていかに2005年版のピーター・ジャクソン監督が、この映画を愛していたかがよく分かる。


 実はその2005年版を観た時に、何でコングは今の時代に居もしない恐竜と戦っているんだろう? とか、思っていたのだが、本作にはしっかり出ていた(笑)。まぁ確かに、現代人が足を踏み入れた事が無い未知の島という設定であれば、何が出てきてもおかしくない。また、当時はターザン映画や猛獣を使った実写映画に人気があったようで、そういった意味では本作もその影響が大きかったのだろう。


 そして、本作におけるコングや巨大生物の動きは、ストップモーション・アニメという、所謂人形をちょっとずつ動かして1コマずつ撮影していく方法がとられていて、今のCGを見慣れてしまうと、些かぎこちない画に写ってしまうのだが、僕はこっちのほうが、人の手で作っている感じがして好きである。


 ちなみに、この「キング・コング」は現在、「コング:スカル・アイランド(原題)」というタイトルで、スピン・オフ企画が進められている。2017年公開予定ということなので、まだまだ先の話ではあるが、どうやら2005年版と同じドクロ島を舞台に、コングの起源を描く予定とか。監督はジョーダン・ヴォクト=ロバーツという、知らない人がやるようだが、主演は「マイティ・ソー」シリーズのロキ役で人気のトム・ヒドルストンが予定されているらしい。1976年版の続編である「キングコング2」(1986年)みたいなクソ映画にならなきゃいいけど…。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2015年1月27日 (火)

劇場版 進撃の巨人 前編 紅蓮の弓矢

劇場版進撃の巨人前編紅蓮の弓矢
劇場:T・ジョイ京都
監督:荒木哲郎
シリーズ構成:小林靖子
脚本:小林靖子、瀬古浩司、高木登
原作:諫山創「進撃の巨人」
音楽:澤野弘之
主題歌:Linked Horizon「紅蓮の座標」
エンディングテーマ:Mica Caldito & mpi & Mika Kobayashi「YAMANAIAME」
声の出演:エレン・イェーガー…梶裕貴、ミカサ・アッカーマン…石川由衣、アルミン・アルレルト…井上麻里奈、ライナー・ブラウン…細谷佳正、ベルトルト・フーバー…橋詰知久、アニ・レオンハート…嶋村侑、ジャン・キルシュタイン…谷山紀章、マルコ・ボット…逢坂良太、コニ・スプリンガー…下野紘、サシャ・ブラウス…小林ゆう、クリスタ・レンズ/ヒストリア・レイス…三上枝織、ユミル…藤田咲、エルヴィン・スミス…小野大輔、リヴァイ・アッカーマン…神谷浩史、ハンジ・ゾエ…朴ロ美、ミケ・ザカリアス…三宅健太 他


 《ほぼTV版そのまんま》


 2009年秋に雑誌連載が開始された諫山創の人気マンガ。2013年にTVアニメ化、2クールにわたって放送され、大ヒットしたそのアニメ版第1期の総集編を、前編と後編に分けて劇場公開する。本作はその前編。


 巨人が全てを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、高さ50メートルの巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた…。


 まだ見ぬ壁外の世界を夢見る10歳の少年エレン・イェーガー。彼は、仮初めの平和に満足し、外の世界へ出ることを諦めた人々に違和感を覚える。彼らを「家畜」と呼ぶエレンと、エレンを「異物」と感じる人々。だが、壁を越える超大型巨人の出現により、エレンの「夢」も人々の「平和」も、突如として崩れ去ってしまう…。


 TVアニメ版第1期(全25話)の第1話から13話までをまとめたもので、未公開シーンも入ってはいるものの、良くも悪くもTV版そのまんま(笑)。勿論、TV版そのものが高評価なので、演出など殆ど変えずに作られているのだろう。


 確かに、劇場用に音声が5.1chサラウンドにブローアップされて迫力は増しているが、TV版を見ている人には、TV版のダイジェストを見させられているだけ、という感じしか受け取られないと思うが、第2期の製作が決まったことによって、後編がその橋渡し的な演出および編集になる事はほぼ間違いなく、来年放送予定となる第2期にどう繋いでいくのか、原作からの変更点はでてくるのか、という意味で後編の公開(4月)が楽しみだ。


私の評価…☆☆☆☆

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2015年1月24日 (土)

フューリー

フューリー
フューリー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:デヴィッド・エアー
製作:ビル・ブロック 他
製作総指揮:ブラッド・ピット 他
音楽:スティーヴン・プライス
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ブラッド・ピット(堀内賢雄)、シャイア・ラブーフ(小松史法)、ローガン・ラーマン(梶裕貴)、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル(坂詰貴之)、ジェイソン・アイザックス、スコット・イーストウッド、ゼイヴィア・サミュエル、ブラッド・ウィリアム・ヘンケ、アナマリア・マリンカ、アリシア・フォン・リットベルクケヴィン・ヴァンクス、ブランコ・トモヴィッチ、イアン・ギャレット、ユージニア・カズミナ、ステラ・ストッカー 他


 《戦車版「U・ボート」?》


 第二次世界大戦末期、戦車を駆使して敵に立ち向かう5人の兵士たちの過酷なバトルを描く戦争ドラマ(物語自体は架空のもの)。必死に最後の抵抗を繰り広げるドイツ軍に、激しい怒りを意味する「フューリー」と名付けられた戦車で立ち向かう、米軍兵士5人の想像を絶する1日を映し出す。


 1945年4月、第二次世界大戦下。ナチス占領下のドイツに侵攻を進める連合軍の中にウォーダディー(ブラッド・ピット)と呼ばれる戦車部隊リーダーがいた。シャーマンM4中戦車「フューリー」を駆るウォーダディーのチームに、戦闘経験の一切ない新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が配置された。


 新人のノーマンは、想像を遥かに超えた戦場の凄惨な現実を目の当たりにしていく。やがて行く先々に隠れ潜むドイツ軍の奇襲を切り抜け進軍する「フューリー」の乗員たちは、世界最強の独軍ティーガー戦車との死闘、さらには敵の精鋭部隊300人をたった5人で迎え撃つという、絶望的なミッションに身を投じていくのだった…。


 冒頭に書いたようにこの映画のストーリーは架空の話なのだが、描写自体はかなりリアルなものだ。監督のデヴィッド・エアーは実際に米海軍に従軍していた事があるらしく、潜水艦と戦車という違いはあるものの、リアルな戦闘シーンに拘って作っている。


 主人公はブラピ扮するウォーダディなのだが、目線はあくまで間違って配属された新兵ノーマンであり、観客は彼の側からストーリーを追う形となるのだが、観ている途中で気付いた。1981年にドイツで製作された「U・ボート」という傑作映画があるのだが、あの映画の潜水艦を戦車に、従軍記者を新兵に変えたら描き方としてはソックリなのだ。あの映画はアメリカでも公開されているはずなので、この監督はそれを相当意識して作っているのは間違いない。


 リーダーが壮絶な死に様を見せるラストまで一緒なのだが、ここだけ描き方がそれまでとは異なっている。もしかすると、それは戦勝国(=アメリカ)と敗戦国(=ドイツ)で、“戦死”についての考え方や感覚の違いというものがあるのかもしれないが、敗戦国である日本人からすると、あのラストはどこかスッキリしない違和感がある。ラストで評価を落としちゃったねぇ。


私の評価…☆☆☆★

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2015年1月20日 (火)

インターステラー

インターステラー
インターステラー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン、ジョナサン・ノーラン
製作:エマ・トーマス 他
音楽:ハンス・ジマー
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):マシュー・マコノヒー(小原雅人)、アン・ハサウェイ(園崎未恵)、ケイシー・アフレック(加瀬康之)、ジェシカ・チャスティン(岡寛恵)、ウェス・ベントレー(小松史法)、マッケンジー・フォイ(諸星すみれ)、ジョン・リスゴー(福田信昭)、エレン・バースティン(沢田敏子)、ウィリアム・ディヴェイン(小島敏彦)、コレット・ウォルフ(合田絵利)、リーア・ケアンズ(鷄冠井美智子)、デヴィッド・ジャーシー(山岸治雄)、マーロン・サンダース、ティモシー・シャラメ(上村祐翔)、マット・デイモン(土田大)、マイケル・ケイン(有本欽隆) 他


 《五次元の世界のビジュアルは斬新だが、疲れた(笑)》


 「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督によるサイエンス・フィクション。


 劇的な環境の変化によって、地球の寿命は尽きかけていた。生きて帰れるか分からない、重大な使命を担う壮大な旅に選ばれたのは、まだ幼い娘を持つ元エンジニアの男・クーパー(マシュー・マコノヒー)と数少ないクルーのみだった。

 「どうしてパパが行くの?」

人類を救うために行くべきか、父親として残るべきか… しかし、彼に言えたのはただ一言、

「必ず帰ってくるよ…」

彼らは、居住可能な新たな惑星を探す為、前人未到の未開の地へと旅立つ。人類の限界を超える不可能にも思える市場最大のミッション。果たして彼らは、自らの使命を全うし、愛する家族の元へと生還することが出来るのか…?


 「インセプション」では空間をねじ曲げたノーラン監督が、今度は五次元の世界を描く。この監督の映画は大概難解で、長時間なのだが、今回もそうだ。


 それでも“家族愛”というテーマに焦点を絞れば、比較的見やすくなる気もするし、愛を科学的に説明する場面は考えさせられるのだが、如何せん上映時間が長過ぎて、中盤まで盛り上がる場面も殆ど無いため、観ていて非常に疲れる。俳優たちは皆、素晴らしい演技をしているのだが、物語や映像が壮大になり過ぎて霞んでしまった。映画で語られる理屈に納得できない人には不向きかも。


私の評価…☆☆☆★

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2015年1月16日 (金)

寄生獣 Part1

寄生獣 Part1
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:山崎貴
脚本:古沢良太、山崎貴
原作:岩明均「寄生獣」
音楽:佐藤直紀
主題歌:BUMP OF CHICKEN「パレード」
出演:染谷将太、阿部サダヲ、深津絵里、橋本愛、東出昌大、大森南朋、北村一輝、余貴美子、國村隼、浅野忠信、岩井秀人、山中崇、オクイシュウジ、池内万作、豊原功補、山谷花純 他


 《原作エピソードを最も適切な取捨選択でまとめて映像化》


 斬新な発想で人気を博した岩明均の漫画を2部構成で実写映画化したSFアクションの第1弾。完結編となる後編は2015年4月25日公開。


 普通な高校生・泉新一(染谷将太)は、未知の生物に右手を食われた。地球の生態系に突然現れたこの生物は通称・パラサイト、なんと人間を食料とする新種の寄生生物「人間の脳を食い、その人間の身体に寄生する知的生物」だった。新一を襲ったパラサイトは、脳を奪うのに失敗し、右手に寄生してしまった。動揺する新一をよそに、右手は人間の言語や文化を学び、自らを「ミギー(モーション・キャプチャー=阿部サダヲ)」と名乗り、新一に共同生活を持ちかけてきた。お互いが生き続けるためには、他に選択肢はない。勘の鋭い同級生・村野里美(橋本愛)に怪しまれながらも、なんとかいつも通りの日常を過ごそうとする新一。しかし、教師として赴任してきたパラサイト・田宮良子(深津絵里)にその正体を見破られてしまう。街中に潜み人間を喰らうパラサイト達との戦いを余儀なくされた新一とミギー。パラサイト達が一大ネットワークを形成しつつある中、人間たちもパラサイトへの反撃を始めようとしていた。地球に生存を許される種は、人間か? パラサイトか?


 約20年前に原作が刊行され、映画化の話もかなり前からあったのだが、約10年前にアメリカのニュー・ライン・シネマが映画化権を獲得していた関係で日本では映像化できなかった。だが企画が休止となり2013年にその契約期間が終了したため、東宝が映画化権を取得し、日本での映画化にこぎつけた。


 原作コミックは全10巻ということで、映画では前・後編の2作に収めるために、登場人物の整理やエピソードの順序を入れ替える等の脚色が行われているが、原作のテイストを損なわない程度に抑えられている。原作には描かれているある人物を消す事で、主人公の家庭環境が変わっているが、これがかえって主人公のトラウマや葛藤を浮き彫りにし、作り手側が見せたい部分を強調する事に成功している。


 あと、キャスティングもなかなかバランスがとれていて良い。漫画の絵とはあまり似ていないが、ホームドラマのようなものならともかく、こういったファンタジーなものは、キャラクターを似させる必要は無い。特に主役の染谷将太とミギーの声=阿部サダヲのコンビネーションが良く、殺伐としたストーリーの中で、一服の清涼感が漂う。


 残念ながら、作品の持つテーマ性の殆どが、4月公開の「完結編」へと持ち越されたが、本編終了後の予告編の作りがまたいい出来で、公開が待ち遠しい。


 ちなみに、実写版と同時進行で現在日テレ系を中心に深夜アニメが放送中だ。こちらの方が原作により近い形で描かれているので、見比べてみるのもいいだろう。こちらはミギーの声が人気声優の平野綾、つまり女性である。地上波ゆえの制約の都合もあるのかもしれないが、作品の捉え方の違いを見るのも面白いかもしれない。


私の評価…☆☆☆☆★

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2015年1月14日 (水)

トップ・ハット(1935年)

トップ・ハット(1935<br />
 年)
劇場:プラネットプラスワン
監督:マーク・サンドリッチ
脚本:ドワイト・テイラー、アラン・スコット
原作:ドワイト・テイラー
製作:パンドロ・S・バーマン
音楽:アーヴィング・バーリン、マックス・スタイナー
出演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース、エドワード・エヴァレット・ホートン、ヘレン・ブロデリック、エリック・ローズ、エリック・ブローア 他


 《とびっきりキュートなジンジャー・ロジャース》


 前年公開された「コンチネンタル」(1934年)の大ヒットにより、“マネー・メイキング・スター”となったアステアとロジャースのコンビ第4作。公開後はこの2人の共演作の中では最高の評価を得ており、興行的にも大成功を収めている。


 アメリカのレビュー・スター、ジェリー(フレッド・アステア)は、ロンドンの興行師ホレース(エドワード・エヴァレット・ホートン)の召還を受けて出演することとなり、ホレースの乞うままにホテルに彼と同室する。ヴェニスに滞在しているホレースの妻マッジ(ヘレン・ブロデリック)からジェリーと夫に週末に是非来い、会わせる友人がいると言ってきたので、ジェリーは愉快になり、歌って踊って大はしゃぎ。その部屋の真下の部屋に宿泊しているアメリカ娘のデール(ジンジャー・ロジャース)は、うるさいので憤慨して支配人に文句を言う。それでも効き目が無いので怒ったデールは寝巻き姿で抗議にやってくる。美しいデールの抗議に恐縮したジェリーは謝り、それに好感を抱いたデールの怒りはとけ、ジェリーの踊りのリズムを口ずさみながら眠った。翌日乗馬の稽古に出かけるデールが乗った馬車は御者に変装したジェリーが馭して行った。稽古の途中で雨にあいデールが音楽堂に避難すると御者姿のジェリーが駆けつけて歌と踊りでデールと親密になる。ホテルに帰ると彼女はヴェニスのマッジから週末に遊びにこい、との電報を受ける。そしてデールがマッジの夫の部屋の番号を聞いて訪ねると、そこにはジェリーがいたので彼女はジェリーがマッジの夫ホレースだと思い込み、せっかく恋を抱いていたのに悲観してしまう。ジェリーもホレースがヴェニスへ行くと、マッジが紹介する友人は実はデールだった。ところがその紹介ぶりがぞんざいだったので、デールはジェリーがマッジの夫だと確信してしまい、彼を避けようとする。それにも係わらず彼女はジェリーを熱愛しているのを感じて衣装屋のアルベルト(エリック・ローズ)と結婚する。それを知ったマッジはホレースが鈍感だからと叱りつける。それで今までの間違いが判ってジェリーはデールとゴンドラ遊びに出掛け、カーニヴァルのお祭り騒ぎにいきあわせ、2人はピッコリーノを踊り狂った。そして彼女とアルベルトの結婚はホレースの召使ベイツ(エリック・ブローア)が牧師に変装して仕切ったため無効である事が判った。かくてロンドンに帰った時デールをジュリーは舞台でのパートナーとしたばかりでなく、生涯のパートナーとした。


 「有頂天時代」の項でも触れたのだが、観ることができた。いやぁ、こういう映画をスクリーンで楽しむというのは、やっぱりハッピーな気分になる。


 この映画、お話自体はよくあるすれ違いもののコメディーで、「有頂天時代」同様他愛ないものなのだが、とにかくアーヴィング・バーリンによる楽曲と2人のダンスがすごくマッチしていて素晴らしい。


 中でも特にやはり“チーク・トゥ・チーク”とタイトル曲“トップ・ハット”の場面が良く、コミカルなのに上品で優雅なアステアは勿論最高なのだが、ジンジャー・ロジャースがもう、アステアじゃなくったって恋してしまうだろうってなくらい本当にキュート。僕はこの人がまだ無名の時に出演した「四十二番街」のDVDを持っているんだが、他の出演作も観てみたくなったナ。


 尚、この映画館は前にも書いたように古い映画の16mmフィルムを中心に上映する映画館である。本作もその形であったが、やはり戦前の映画という事もあって、少々傷んでいる部分もあり、前半部分にコマ落ちした個所が数か所あったからなのか、後から機械で打たれたっぽい字幕の信号がラスト近くで同期せず、1〜2秒ズレていた。仕方がない面があるのはわかってはいるが、ちょっと残念にも思った。


 余談だが、この舞台版が今年4月に宝塚歌劇で上演されることになった。梅田芸術劇場メインホールと赤坂ACTシアターで主演は朝夏まなとが務める。映画版はDVDが発売されているので、恐らく若干違うと思われる舞台演出と、見比べてみてはいかがだろうか。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2015年1月 7日 (水)

紙の月

紙の月
紙の月
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:吉田大八
脚本:早船歌江子
原作:角田光代「紙の月」
音楽:緑川徹
主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ「Femme Fatale」
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、小林聡美、近藤芳正、石橋蓮司、佐々木勝彦、天光眞弓、中原ひとみ、伊勢志摩 他


 《お金は魔物である、という事》


 原作者の角田光代が2012年に柴田錬三郎賞を受賞した同名タイトルの小説を映画化。宮沢りえにとっては「オリオン座からの招待状」(2007年)以来7年ぶりの映画主演作となる。


 バブル崩壊直後の1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子供には恵まれなかったものの夫・正文(田辺誠一)と穏やかな日々を送っていた。契約社員として外回りの仕事をする「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送っている梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。


 ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせたことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の彼との逢瀬を重ねるようになる。そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄った百貨店の化粧品売り場。支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、顧客からの預り金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりだった。学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する…。


 やがて横領する額は日増しにエスカレートしていく。上海に赴任するという商社勤務の夫には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな折、ベテラン事務員の隅が、銀行内で不自然な記録や書類の不備が続いていることを不審に感じ始めていた…。


 平凡な主婦が、若い男に貢いだ挙げ句に堕ちていくというストーリーは、よくありがちな話で、映画としての新鮮味は無いが、悪事に手を染めどんどん深みにハマっていくサマが見事に描かれている。最初は些細な過ちなのだが、それが成功してしまうと、次もうまくいくのではないか? バレないのではないか… というような心理が生まれてくる。特に“お金”の話となると、事と次第によってはとんでもない方向に話が転がっていくのだ。


 主演の宮沢りえは、その転落する主婦を見事に体現しているのだが、意外だったのは、小悪魔的な脇役の大島優子。役としてはシリアスなドラマの中でコメディー・リリーフという感じなのだが、主役を食うくらいの存在感がある。しかしこの人、「闇金ウシジマ君」からこの映画、そして2015年1月期フジテレビ系ドラマで、韓流ドラマの日本版リメイク「銭の戦争」と、何か“お金”絡みの作品が続きますな。


 破滅しても暗くないラストには、あまり共感できないし、スッキリともしないが、原作には無いオリジナルの登場人物を演じた大島優子と小林聡美、そして主演の宮沢りえ、1人の女性の内面を演じ分けたようなこの3人のバランスが良く、完成度の高い映画になったのは間違いないと思う。


私の評価…☆☆☆☆

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2015年1月 4日 (日)

神さまの言うとおり

神さまの言うとおり
神さまの言うとおり
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:三池崇史
脚本:八津弘幸
原作:金城宗幸・藤村緋二「神さまの言うとおり」
音楽:遠藤浩二
出演:福士蒼汰、山崎絋菜、渋谷将太、優希美青、入江甚儀山本涼介、萩原みのり、佐藤佐吉、池谷のぶえ、高島礼子、大森南朋、リリー・フランキー、神木隆之介 他

声の出演:ダルマ…トミーズ雅、招き猫…前田敦子、コケシタロウ…肥後克広(ダチョウ倶楽部)、コケシケンイチ…上島竜兵(ダチョウ倶楽部)、鬼コケシ…寺門ジモン(ダチョウ倶楽部)コケシハナコ…達依久子、コケシアケミ…柳沢三千代、シャケ…渡辺哲、白熊…山崎努、大&極小マトリョーシカ…水田わさび、中&小マトリョーシカ…小桜エツコ


 《目的がはっきり分からない不条理バイオレンス》


 何者かが仕掛けた謎のゲームに巻き込まれた高校生たちの姿を描く、人気コミック原作のサバイバルストーリー。


 16歳の高校生、高畑瞬(福士蒼汰)は、退屈な日常にうんざりしていた。ところがある日、学校に現れた「ダルマ」ぎ命を懸けたゲームの始まりを告げたことで、彼の運命は一変する。その幕開けとなる「第1のゲーム」は、動くと首が吹っ飛ぶ「ダルマさんが転んだ」。


 ゲーム終了後、クラスで唯一生き残った瞬は、教室を脱出して幼なじみの秋元いちか(山崎絋菜)と共に体育館へ向かう。生き残った他のクラスの生徒も集まった体育館に、「巨大招き猫」ぎ出現。そこで始まった「第2のゲーム」は、その首輪にあるバスケットゴールにシュートするというものだった。瞬といちかは協力して、招き猫の襲撃をかわしながらゲームに挑む。最終的にシュートを決めたのは、人を殺すことも厭わない狂暴な問題児、天谷武(神木隆之介)だった。


 同じ頃、世界中で発生しているこのゲームの様子が報道され、世間の人々は生き残った生徒たちを「神の子」と崇め始めていた…。


 気付くと無機質な部屋にいた瞬は、中学の同級生である高瀬翔子(優希美青)とも再会。「第3のゲーム」として、現れた4体の「コケシ」と一緒に「かごめかごめ」が始まる。知恵を絞って「後ろの正面」を言い当てた瞬は、翔子と共にいちかや天谷たちと合流、次のステージに進むため、7人でチームを結成するが…。


 これはわざわざ実写映画にしなくても、テレビの深夜アニメくらいで良かったのではないか? 本作は、「バトル・ロワイヤル」なんかと似たような“不条理デス・ゲーム”ものなのだが、何でこういうゲームをやる羽目になったのかという状況説明が一切無く、目的も不明瞭なため、観ている側も何が何だかワケの分からんまま、話が進行していく。三池監督らしいバイオレンス描写もふんだんに盛り込まれているが、人物描写が浅過ぎて、ちっとも後に残らない。


 もっともこれが、洒落のきいたブラック・コメディーならまだ観るに堪えることのできた映画だっただろうが、コメディーとしても中途半端。神木クンの怪演と作品の勢いだけで観せても、あまり面白くはない。終盤、人気アニメのネコキャラ(?)の声優2人(マトリョーシカが“ドラ○もん”と“ジ○ニャン”だ!)が夢の共演を果たしているが、それも何だかなぁという感じである。


 そして準主役ともいえるヒロインの山崎絋菜は、東宝シンデレラのモデル部門受賞者で、身長171cmと見栄えはいいのだが、少なくともこの映画に関してはあまり魅力的ではなく、バスケットボールのシーン以外にそのプロポーションを生かしきれていないのは残念であった。


私の評価…☆★

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2015年1月 3日 (土)

西遊記〜はじまりのはじまり〜

西遊記〜はじまりのはじまり〜
西遊記〜はじまりのはじまり〜
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:周星馳
共同監督:郭子健
脚本:周星馳、郭子健 他
製作:周星馳、江玉儀 他
音楽:黄百鳴
主題歌:舒淇「一生所愛」
エンディング・テーマ:「Gメン'75のテーマ」
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):文章(斎藤工)、舒淇(貫地谷しほり)、羅志祥(神谷浩史)、李尚正(台詞無し)、陳炳強(台詞無し)、葛行宇(山寺宏一)、程思寒(茶風林)、周秀娜(桜 稲垣早希) 他


 《イメージとは違うが楽しい「西遊記」前日譚》


 日本でもお馴染みの物語「西遊記」を「少林サッカー」のチャウ・シンチーが映画化。今回は玄奘(三蔵法師)が孫悟空らと出会うまでのオリジナルストーリー。


 妖怪が人間の言葉を奪い、跋扈する世界。若き妖怪ハンター・三蔵法師(文章=ウェン・ジャン)は、大いなるものに己を差し出すと固く心に誓い、妖怪退治に乗り出す。しかしそれは、苦難の連続だった。それでも水の妖怪や豚の妖怪、さらには妖怪の大王・孫悟空(葛行宇=ホアン・ボー)に立ち向かっていく。敵だった彼らを弟子として迎え入れることで、三蔵法師は本当の愛に気付き大きく成長する。そして4人は罪を償い人々を助けるために、天竺に向け旅に出るのだが…。


 果たして、妖怪との戦いやいかに…?


 久々にチャウ・シンチーらしいハチャメチャな娯楽作。この人、プロデュースのみの映画はあまりたいした事ないのだが、さすがに監督を任されると、ちゃんと魅せるモノを作る。


 ただ、同じ「西遊記」でも堺正章や香取慎吾が主演だった日本のテレビドラマと違い、こちらの映画はシンチーの映画としてもかなりシリアスな方で、所々にグロいシーンがあったり、お色気ネタもあったりと、大人向けのものになっている。冒頭のアノ場面はスピルバーグの映画のオマージュだろうが、いきなり子供が殺されるのには驚いた。


 一応、どの世代でも楽しめるとは思うが、「PG-12」指定で前述のようにグロさもあるので、子供に観せるのには考えなければいけないかもしれない。邦題には無いが原題には「降魔編」とあり、何やら続編を示唆するような形で“劇終”となるが、実際続編の構想はあるみたいなので、原作どおりになるのか、チャウ・シンチーらしいオリジナルになるのか分からないが、是非作ってほしい。


私の評価…☆☆☆★

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2015年1月 2日 (金)

今年もよろしくお願いします

 明けましておめでとうございます

 今年もよろしくお願いします


 昨年、観た映画の中で一番良かったのは、洋画はやはり「アナと雪の女王」。基になった童話“雪の女王”とは、全く違う話になってしまっているのだが、“姉妹愛”“人間愛”がそのディズニー流アレンジを通して描けていたと思う。邦画で良かったのは「Wood job!」かな。こちらも原作が少々アレンジされているが、ちゃらんぽらんな大学生が、都会を離れて、不純な動機とはいえ自立しようとしていく姿を描く。これと対極になるのが「東京難民」か。ちゃらんぽらんな大学生が主人公という点は「Wood job!」と同じだが、こちらは就職の道を一歩踏み外した事で運命が狂い、最終的にはホームレスになってしまう。一度失敗しても、やり直しが利いたのはもはや昔の話。今は二度と這い上がってこられないのである。


 今年は洋画の当たり年といわれ、話題作や大作が例年より多く公開される。シリーズものなら「ターミネーター」や「マッドマックス」の新作があるし、「007」や「スターウォーズ」の新作公開も今年の予定である。シリーズものでないものでも「チャーリー・モルデカイ」や実写版「シンデレラ」、「イントゥ・ザ・ウッズ」など、観たい映画がたくさんある。


 できれば、昨年観た本数の107本超えを目指したいが、とりあえず昨年観た映画でこのブログに感想を書いていないものがまだ数本あるので、とっとと追いつきたいです(笑)。

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