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2015年1月 7日 (水)

紙の月

紙の月
紙の月
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:吉田大八
脚本:早船歌江子
原作:角田光代「紙の月」
音楽:緑川徹
主題歌:ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ「Femme Fatale」
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、小林聡美、近藤芳正、石橋蓮司、佐々木勝彦、天光眞弓、中原ひとみ、伊勢志摩 他


 《お金は魔物である、という事》


 原作者の角田光代が2012年に柴田錬三郎賞を受賞した同名タイトルの小説を映画化。宮沢りえにとっては「オリオン座からの招待状」(2007年)以来7年ぶりの映画主演作となる。


 バブル崩壊直後の1994年。梅澤梨花(宮沢りえ)は、子供には恵まれなかったものの夫・正文(田辺誠一)と穏やかな日々を送っていた。契約社員として外回りの仕事をする「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上(近藤芳正)からも高評価。支店では、厳格なベテラン事務員の隅より子(小林聡美)や、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川恵子(大島優子)ら、様々な女性たちが梨花と共に働いている。だが一見、何不自由のない生活を送っている梨花であったが、自分への関心が薄く鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。


 ある夜、梨花の顧客で裕福な独居老人の平林(石橋蓮司)の家で一度顔を合わせたことのある孫の光太(池松壮亮)と再会した梨花は、何かに導かれるように大学生の彼との逢瀬を重ねるようになる。そんな中、外回りの帰り道にふと立ち寄った百貨店の化粧品売り場。支払い時にカードもなく、現金が足りないことに気づいた梨花が手を付けたのは、顧客からの預り金の内の1万円だった。銀行に戻る前にすぐに自分の銀行口座から1万円を引き出して袋に戻したが、これが全ての始まりだった。学費のために借金をしているという光太に梨花は「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」と200万を渡す。さらに顧客から預かった300万を自分の通帳に入れ、自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造する…。


 やがて横領する額は日増しにエスカレートしていく。上海に赴任するという商社勤務の夫には同行せず、梨花は光太と一緒に高級ホテルやマンションで贅沢な時間を過ごすが、光太の行動にも変化が現れ、ある日、光太が大学を辞めたことを告げられる。そんな折、ベテラン事務員の隅が、銀行内で不自然な記録や書類の不備が続いていることを不審に感じ始めていた…。


 平凡な主婦が、若い男に貢いだ挙げ句に堕ちていくというストーリーは、よくありがちな話で、映画としての新鮮味は無いが、悪事に手を染めどんどん深みにハマっていくサマが見事に描かれている。最初は些細な過ちなのだが、それが成功してしまうと、次もうまくいくのではないか? バレないのではないか… というような心理が生まれてくる。特に“お金”の話となると、事と次第によってはとんでもない方向に話が転がっていくのだ。


 主演の宮沢りえは、その転落する主婦を見事に体現しているのだが、意外だったのは、小悪魔的な脇役の大島優子。役としてはシリアスなドラマの中でコメディー・リリーフという感じなのだが、主役を食うくらいの存在感がある。しかしこの人、「闇金ウシジマ君」からこの映画、そして2015年1月期フジテレビ系ドラマで、韓流ドラマの日本版リメイク「銭の戦争」と、何か“お金”絡みの作品が続きますな。


 破滅しても暗くないラストには、あまり共感できないし、スッキリともしないが、原作には無いオリジナルの登場人物を演じた大島優子と小林聡美、そして主演の宮沢りえ、1人の女性の内面を演じ分けたようなこの3人のバランスが良く、完成度の高い映画になったのは間違いないと思う。


私の評価…☆☆☆☆

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