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2015年4月

2015年4月30日 (木)

ソロモンの偽証 前編・事件

ソロモンの偽証 前編・事件
ソロモンの偽証 前編・事件
劇場:MOVIX京都
監督:成島出
脚本:真辺克彦
原作:宮部みゆき「ソロモンの偽証」
製作総指揮:大角正
音楽:安川午朗
主題歌:U2「With or Without You」
エンディング・テーマ:「ADAGIO PER ARCHI E ORGANO IN SOL MINORE」(インストゥルメンタル)
出演:藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、清水尋也、富田望生、前田航基、望月歩、佐々木蔵之介、夏川結衣、永作博美、黒木華、田畑智子、余貴美子、松重豊、小日向文世、尾野真千子、西畑澪花、若林時英、西村成忠、加藤幹夫、石川新太、池谷のぶえ、塚地武雄、田中壮太郎、市川実和子、安藤玉恵、木下ほうか、宮川一朗太、津川雅彦 他


 《前編は、問題提起のみ》


 ベストセラー作家の宮部みゆきが、構想15年、執筆に9年をかけた現代ミステリー小説の最高傑作を、「八日目の蝉」のスタッフが映画化。原作は「事件」「決意」「法廷」の3部構成だが、映画では「決意」を前後に振り分け「事件」「裁判」の2部構成で製作された。このため、原作で描かれる一部の登場人物が整理され消されており、成人した後の主人公の職業が異なる等、若干の脚色がされている。


 記録的な大雪が降ったクリスマスの朝、ある中学校の校庭で2年生の男子生徒・柏木卓也(望月歩)が遺体となって発見される。転落死したと見られ学校と警察は自殺と断定するが、彼は殺されたという目撃者を名乗る者からの告発状が届き、波紋を呼ぶ。マスコミの報道が熱を帯び混乱が深まる中、犠牲者が1人、また1人と増えていった。生徒の1人・藤野涼子(藤野涼子)は保身ばかりを考える大人たちに見切りをつけ、死の真相を突き止めようと動き始める…。


 よくぞ、大ボリュームの原作を、ほぼ違和感なくまとめたなぁという感じである。最初、成人後のヒロインの職業が原作と違っているのを見た時は、この後どうなるのかなと思ったのだが、ストーリーを極力ナレーションで端折らずに進めるには、主人公を語り部にして、回想形式でやっていくより他になかったのかもしれない。原作では、国語の教師となって母校に赴任してくるのは、遺体の第一発見者である野田健一(映画では前田航基が演じている)だ。勿論この脚色は、地味なヒロインの主役としての位置付けを強調するのに成功しており、学生時代を演じる新人の藤野涼子(役名を芸名にしてデビュー!)のイメージ作りにも貢献しているといえよう。


 そして、後編に繋がる終わり方も絶妙だ。殆ど問題提起のみで、さあいよいよ校内裁判が始まるぞ! と、いう時に“後編に続く”となるのである。事件に振り回される人間たちのドラマが力強く描かれているので、長尺なわりには全く飽きがこない。期待感を煽り捲るエンドロール後の後編の予告編もよくできており、早く後編が観たい! という思いを掻き立てる映画であった。


私の評価…☆☆☆★

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2015年4月28日 (火)

幕が上がる

幕が上がる
劇場:梅田ブルク7
監督:本広克行
脚本:喜安浩平
原作:平田オリザ「幕が上がる」
製作:片山玲子、守屋圭一郎
音楽:管野祐悟
主題歌:ももいろクローバーZ「青春賦」
出演:ももいろクローバーZ(百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏)、黒木華、ムロツヨシ、志賀廣太郎、清水ミチコ 他


 《正直期待していなかったが》


 劇作家で演出家の平田オリザが2012年に発表した同名小説を「踊る大捜査線」シリーズの本広監督が映画化。人気アイドルグループ、ももいろクローバーZのメンバーが高校の演劇部員に扮し、新任の女性教師の赴任を機に全国大会を目指して奮闘する姿を描く青春ドラマ。


 地区予選敗退。最後の大会を終えた先輩たちに代わり、部長として富士ヶ丘高校の演劇部をまとめることになった高橋さおり(百田夏菜子)。「負けたらヤなの!」と部員の前で意気込むさおりだが、悩める日々が続く。どうやったら演技が上手くなれるの? 演目は何にすればいいの? 「わからないー!」


 そんな時、学校に新任の吉岡先生(黒木華)がやってきた。元学生演劇の女王だったらしい! 美人だけどちょっと変わったその先生は、地区大会すら勝ったことのない弱小演劇部の私たちに言った。

 「私は行きたいです。君たちと、全国に。行こうよ、全国!」

気迫に充ちたその一言で、彼女たちの人生は決まる。演目は「銀河鉄道の夜」、演出は部長のさおり。演じるのは、看板女優でお姫様キャラの「ユッコ(玉井詩織)」、黙っていれば可愛い「がるる(高城れに)」、一年後輩でしっかり者の「明美ちゃん(佐々木彩夏)」、そして演劇強豪校からのスーパー転校生「中西さん(有安杏果)」らの部員たち。吉岡先生と、頼りない顧問の溝口(ムロツヨシ)と共に、富士ヶ丘高校演劇部は、見たことも行ったこともない、無限の可能性に挑もうとしていた…。


 ももクロがメインの映画なので、アイドル映画のようなものを想定して観たのだが、いい意味で期待を裏切られた。今日の舞台演劇ではよく取り入れられる“メソッド演技”など、舞台での表現方法をそのまま使っているため、少々辛気臭さを感じる人もいるとは思うが、慣れてくると心地いい。


 同じ学生演劇を扱った映画に「櫻の園」(1990年、2008年〈リメイク版〉)という傑作があり、本作の他の評を見ても比較されていることが多い。まぁ、あの映画とは対極にあるような気もするのだが、青春映画として見れば、勝るとも劣らない感じに仕上がっていると思う。


 俳優の方に目を向ければ、正直ももクロのメンバーの演技は拙いが、3人の先生役俳優がカバーし、もり立てている。この3人、実は舞台経験が豊富なのだ。国語の先生役志賀廣太郎は平田オリザが主宰する劇団「青年団」の俳優だし、演劇部顧問のムロツヨシは本広監督作品の常連で、舞台出演だけでなく自ら出演する舞台の脚本や演出もてがける。


 そして、演劇部を手伝う吉岡先生役の黒木華は、元々学生演劇の経験者。今年のアカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞するなど、今一番ノリにノッている女優だが、本作でもメリハリの効いた演技が良く、この先生が登場すると一気にその場の雰囲気が変わり、物語が動きだすのは、見ていて非常に気持ち良かった。


 ちなみにエンドロールは、何かどこかで見たようなパターンだなと思っていたら、あの原田知世主演版「時をかける少女」のエンドロール部分へのオマージュなのだとか。あの映画とは少々意味合いが違うと思うのだが…。本広監督にとってのアイドル&青春映画は、やっぱりそれになるのかな?


私の評価…☆☆☆☆★

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2015年4月22日 (水)

イントゥ・ザ・ウッズ

イントゥ・ザ・ウッズ
イントゥ・ザ・ウッズ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ロブ・マーシャル
脚本:ジェームズ・ラパイン
原作:スティーヴン・ソンドハイム、ジェームズ・ラパイン
製作:ジョン・デルーカ 他
音楽:スティーヴン・ソンドハイム
出演:メリル・ストリープ、ジェームズ・コーデン、エミリー・ブラント、アナ・ケンドリック、クリス・パイン、クリスティーン・バランスキー、リラ・クロフォード、ダニエル・ハッスルストーン、トレイシー・ウルマン、マッケンジー・マウジー、ビリー・マグヌッセン、ジョニー・デップ 他


 《舞台出身のロブ・マーシャルは、やはりこういうスタイルのものが向いている》


 「シカゴ」のロブ・マーシャル監督が、スティーヴン・ソンドハイムのロングラン・ミュージカルを映画化。お伽話の主人公たちのその後を描いた、トニー賞受賞の人気ミュージカルを豪華キャストで描く。


 「子を授かりたければ、4つのアイテムを森から持ち帰るのだ…」

 魔女(メリル・ストリープ)にかけられた呪いを解きたいパン屋の夫婦(ジェームズ・コーデン、エミリー・ブラント)は、彼女に命令されて森へと向かう。持ち帰るべきは「赤い頭巾」「黄色い髪」「白い牛」「黄金の靴」。


 そして、時を同じくして、赤ずきん(リラ・クロフォード)が、ラプンツェル(マッケンジー・マウジー)が、ジャック(ジャックと豆の木=ダニエル・ハッスルストーン)が、シンデレラ(アナ・ケンドリック)が、それぞれの願いをかなえるために、森へとやってくる。また、魔女も、オオカミ(ジョニー・デップ)も、2人の王(クリス・パイン、ビリー・マグヌッセン)も、それぞれの欲望をかなえるために、森へとやってくる。パン屋の夫婦を通して、それぞれが出会い、願いをかなえ、すべてがハッピーエンドを迎えたかと思った瞬間、運命は彼らに思いもよらない難題を突き付ける。


 「本当の幸せとは?」「本当の自分とは?」「本当に自分が望んでいたものとは…」。


 この前から続いている、モバイルから更新後カテゴリーを設定すると写真が観られなくなる不具合が、まだ直っていないようなので、写真が消えないよう、当面カテゴリーを設定せず置いておくことにします。まぁ、殆どのカテゴリーが「映画・テレビ」なんだけど…。


 舞台版の初演が今から約30年前ということで、決して新しい作品ではないのだが、楽しく観させてもらった。お伽話の主人公たちは、ハッピーエンドのその後、どうなったのか。本当の願いは何だったのか。この物語はそんなお伽話のウラを描く。


 前半は、それぞれのキャラクターたちのおなじみの話が展開される。それぞれが独立している話をよくこれだけ違和感なく繋げてあるなと思うが、後半あることがきっかけで、このお伽の世界が崩れていく。


 舞台版は未見だが、どうやら舞台版では脇役キャラが死んでいく描写が結構あるらしい。やはりディズニーはそういった描写は嫌うのか、映画版ではそういったものは殆ど描かれていない。「赤ずきん」の悪役オオカミでさえ、お婆さんを助けるために腹を裂かれる場面は、直接的には描かれていなかった。オオカミ役のジョニー・デップも出番は10分ほど。ファンはがっかりしたのではないか。


 ちなみに監督のロブ・マーシャルは、元々舞台作品の振り付け師である。映画では舞台作品ではない「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」を監督し酷評されたが、アカデミー賞を受賞したミュージカルの傑作「CHICAGO」(2002年)では、舞台演出をほぼそのまま映画で使っていたので、やはりこういうスタイルのものに携わった方が、高い評価に結び付くのだと思う。


私の評価…☆☆☆☆

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2015年4月14日 (火)

はじまりのうた

\"はじまりのうた\"
\"はじまりのうた\"
劇場:京都シネマ
監督・脚本:ジョン・カーニー
製作:ジャド・アパトウ 他
音楽:グレッグ・アレクサンダー
出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、アダム・レビーン、ジェームズ・コーデン、ヘイリー・スタインフェルド、モス・デフ、カレン・ピットマン、ポール・ロメロ、キャサリン・キーナー、アンドリュー・セロン、エド・レニンガー 他


 《キーラ・ナイトレイの新たな魅力》


 「ONCE ダブリンの街角で」で世界的に注目を集めたジョン・カーニー監督の最新作。音楽が繋ぐ出会いと運命を描き、失意のヒロインに扮したキーラ・ナイトレイがギターを片手にその歌声を初披露する。


 ニューヨーク。シンガーソ\ングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、同じミュージシャンの恋人・デイブ(アダム・レビーン)に裏切られ、失意のままライブハウスで歌っていた。そこに偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)はグレタの才能\に惚れ、彼女にデビューの話を持ちかける。ところが、その録音はニューヨークの街角で行うという。セントラルパークやチャイナタウン、橋の下、路地裏、ビルの屋上、地下鉄のホームなど、グレタのゲリラレコーディングは続いていくが、この無謀な企画が小さな奇跡を起こし始める。やがてアルバムが完成したその日、誰も予\想できなかった最高のはじまりが待っていた…。


 今年はこういう“音楽”が1つのテーマになっている良作の映画が多い。邦画の「くちびるに歌を」にしてもそうだが、映画の内容にも雰囲気にも合った音楽は、自然と人の心に染みてくる。


 心に傷を負った主人公グレタとダン。この2人が偶然に出会うところから感動的で、この2人が自分達の音楽を通して、新たな一歩を踏み出す姿が非常に爽やかに描かれている。また、ほぼ全編を通して何らかの音楽が流れているため、ミュージカルではないものの、音楽劇としても楽しめる。


 デモCDの製作に於いて、スタジオ録音でもライブ録音でもない、“青空”レコーディングという発想も面白いなと思ったが、キーラ・ナイトレイが、あんなにキュートな歌声の持ち主だとは思わなかった。しかもそこそこ上手くてビックリである。彼女と音楽といえば、出演作がミュージカル化したり(出世作でもある「ベッカムに恋をして」)、舞台に出演オファーがあったり(「マイ・フェア・レディ」結局実現せず)という事はあったが、本人が歌うという事は今まで無かった。今後は、もしかしたらミュージカル映画等にオファーがくるかもしれないし、本来は歌手であるアダム・レビーンもこの映画で役者としての道が開けたかもしれない。微かな希望の光が見えるラストも良く、元気になれる映画である。


私の評価…☆☆☆☆

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2015年4月11日 (土)

写真がちゃんとアップできない!

 これってトラブルなのだろうか?


 実はこの@niftyのココログ。3月末に大規模なメンテナンスがあったのだが、その際、仕様が若干変わったのか、こちらがいつもと同じやり方で投稿しようとすると、写真がちゃんとアップされない事象が度々おきている。


 僕は携帯のメール機能\を使ってブログに投稿しているのだが、このやり方だとカテゴリーが選択できず、ブログに載せた上で編集という形をとってカテゴリーを決め、再度載せるのだが、この編集段階で画像変換に失敗するのか、チラシ画像が表\示できなくなってしまうのだ。


 原因がわからないため、こちら側からはどうしようもなく、困っている次第。


 勿論、カテゴリーを決めないなら、編集しなくてもいいわけなので、それだと写真はそのまま表\示されるとは思うが、そんな中途半端な事はしたくない。困ったことに、常になっている訳ではなく、「くちびるに歌を」の項のように、変換に成功している事もあるので、余計にタチが悪い(笑)。


 暫らくはカテゴリーを区別せずにおくか、画像無しでやり過ごすしかないのかなぁ。やりにくくなった事だけは、事実のようだ。

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2015年4月10日 (金)

唐山大地震

\"唐山大地震\"
\"唐山大地震\"
劇場:塚口サンサン劇場
監督:馮小剛
脚本:蘇小衛
原作:チャン・リン「唐山大地震」
音楽:王黎光
主題歌:王菲「心經」
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):徐帆(高島雅羅)、張静初(相武紗季)、李晨(佐藤拓也)、張子楓(芦田愛菜)、張家駿(磯辺蒼太)、陸毅(戸谷公人)、張国強(佳月大人)、王子文(楠見藍子)、楊立新(紺野相龍)、呂中(安芸けい子)、詠梅(友近)、劉莉莉、陳道明(佐々木勝彦)、陳瑾(水野ゆふ) 他

※吹替版キャストは4年前の試写会時と同じもの。今回当初は字幕版のみの公開予\定だったが、多くの劇場スタッフの熱意により、一部の劇場で吹替版も上映されることになった。

 《巨大地震によって引き裂かれた家族の運命》

 20世紀最大の地震被害といわれる、唐山地震をモチーフに描いた小説「唐山大地震」(原題「余震」)を映画化。監督は中国のスピルバーグと呼ばれる馮小剛(フォン・シャオガン)で、中国では2010年7月に公開され中国映画歴代1位の興収記録となった。日本では当初、2011年3月26日に公開予\定だったが、公開直前の3月11日に東日本大震災が発生し、公開延期となっていた。

 1976年7月28日。唐山市に住む家族を未曾\有の大地震が襲う。父は家に取り残された2人の子供(張子楓=チャン・ツイフォン、張家駿=チャン・ジアージュン)を助けようと家に飛び込むが、建物が倒壊し命を落としてしまう。翌朝、一人絶望の淵にいる母親(徐帆=シュイ・ファン)の元に、子供たちが瓦礫の下で奇跡的に息をしている事が伝えられる。

 「両方の子供を救って…。」

と救助を懇願する母親。だが時間は迫り、救出できるのは片方だけだという、あまりにも過酷な選択に迫られる。

 「息子を…」

泣き崩れる母親。そして、その消え入るような声は娘の耳にも届いていた。

 時は流れ、娘の死を思い続けながら母親は生きていた。そして絶望的な状況から奇跡的に生き延びていた娘(張静初=チャン・チンチュー)も養父母の元、成長していたのだ。

 今、32年の時を経て、親子の運命が大きく動きだす…。

 4年前の震災で、公開延期になっていた映画は、公表\されているものだけでも十\数本ほどあったと思うが、その殆どは、数か月から1年程で劇場公開されたり、最悪でもDVDスルーされるなど、何らかの形で封印が解かれ日の目を浴びる事ができた。恐らく最後まで残っていたのは、この映画なのではないか。通常このような形で公開時期を逃してしまうと、完全封印されてしまう事が多く、ここはDVDスルーではなく封切に踏み切った関係者に拍手を送りたい。

 さて、なぜこの映画が封印されていたのかというと、やはり地震そのものを描いた部分があるからで、そこに割いた時間は短いものの、映画の冒頭には唐山地震、クライマックスにはその32年後に起こる四川地震が、随所にCGを使いながらもかなりリアルな描写で描かれている。

 だが、この映画はディザスター映画ではない。地震によって引き裂かれた家族の喪失と再生の物語であり、究極の選択の末に娘を助けなかった母と、隻腕となりながらも助けられた弟、奇跡的に死体置き場で蘇生し母親に見捨てられたと思っている娘の3人を軸に、壮大な人間ドラマが繰り広げられる。

 唐山地震と四川大地震の映像が、あまりにもインパクト大なため、その人間ドラマの部分がやや冗長な感があるが、しっかりと作り込んでいるため飽きてくるような事はない。さり気なくその32年間の中国における高度成長を、そのドラマ部分に織り込んでいるし、主人公の母や養父母は言わば時代に取り残されていく古い時代の、そして主人公とその弟は新しい中国の象徴として描いているのも興味深い。

 残念なのは、松竹系で拡大公開予\定だった4年前と違い、今回は全国約20スクリーン(現時点 今後増える可能\性あり)での限定公開となってしまった事。実はこの映画、中国初のIMAX方式で製作された映画なのだが、日本では殆どの劇場で35mmフィルムでの上映となっている。もしかしたら今、フィルムのプロジェクターが残っている映画館が少なくなっているのかもしれないが、前述のとおりこの映画はスペクタクルを楽しむ映画ではない。逆に被災者を勇気づける映画であると思うので、もう少し多くの映画館で公開してほしいものだ。

私の評価…☆☆☆☆★

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2015年4月 6日 (月)

くちびるに歌を

くちびるに歌を
くちびるに歌を
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:三木孝浩
脚本:持地佑季子、登米裕一
原作:中田永一「くちびるに歌を」
音楽:松谷卓
主題歌:アンジェラ・アキ「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」
出演:新垣結衣、木村文乃、桐谷健太、恒松祐里、下田翔大、葵わかな、柴田杏花、山口まゆ、佐野勇斗、室井響、朝倉ふゆな、植田日向、高橋奈々、狩野見恭兵、三浦翔哉、渡辺大知、眞島秀和、石田ひかり(特別出演)、木村多江、小木茂光、角替和枝、井川比佐志、鈴木亮平(声の出演)、前川清(声の出演) 他

 《笑わないガッキーは新鮮》

 2008年の全国学校音楽コンクールの課題曲となった「手紙 拝啓 十五の君へ」。その作者であるアンジェラ・アキが全国の中学生に会いに行き対話をするというテレビのドキュメンタリー番組から発想を得た同名小説を実写版「アオハライド」の監督で映画化。

 長崎県の五島列島にある中五島中学校。産休に入る音楽教師(木村文乃)の代理として、数年ぶりに故郷に戻った柏木ユリ(新垣結衣)。東京でピアニストとして活躍していたという美人の柏木に興奮する生徒たちをよそに、柏木はなぜか冷たい態度で頑なにピアノを弾こうとしない。嫌々ながら合唱部の顧問を引き受けた柏木は、もともと女子だけの合唱部に男子を入部させ、混声での全国コンクール出場を決めてしまい、合唱部の部員たちは大混乱する。

 コンクールの課題曲は「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」。柏木は部員たちに15年後の自分へ手紙を書くよう言う。そこには、普段明るく見せていてもそれぞれ悩みや苦しみを抱え、だからこそ仲間とひとつになって歌う合唱に救いを求める生徒たちの姿があった。遠ざかっていたピアノにも生徒たちにも向き合うようになっていく柏木。そして迎えた本番当日、ある事件が起きる…。

 このところ、音楽を1つのテーマにした実写やアニメが多いが、これはその中でも爽やかな感動が残る映画だ。

 日々の生活の中で、様々な問題や悩みを抱え、生きる意味さえ失おうとしている生徒たちと、過去に最愛の人を事故で失ってしまったトラウマから逃れられず傷ついてきたヒロインとの真っ直ぐなぶつかり合いに、心を動かされる。

 自分が学生だった頃と、今とでは教育問題が変わっているとは思うが、昔は「金八先生」などに代表されるように、生徒の家庭にまである程度介入して、いじめ等の問題を解決しようとする先生も少なくなかった。先日、ある新聞記事を読んだのだが、今はそれが殆どできなくなっていて、その分、その子が発するSOSが感じ取れなくなっているのではないか、だから殺人事件にまで発展するのではないか、と書かれていた。確かにそれは一理あり、昔は例えばいじめがあったとしても、先生たちが何らかの形で介入することによって歯止めがかかり、死に関わるような最悪な事態は回避できていたのだ。この映画ではさすがにいじめ問題は描かれないが、生徒たちと真剣に向き合う事で、自分のトラウマも克服していくという、どこか今の社会で失われてしまいつつある人間ドラマが描かれている。こんな先生…いや、こんな人がそばにいたらなぁなんて、ちょっと思った。

 そして、何といっても劇中流れる音楽がいい。アンジェラ・アキのテーマ曲は勿論だが、音楽担当に映画「いま、会いにゆきます」(2004年)やTV番組「大改造!!ビフォーアフター」の松谷卓を起用しているのは、多分ベストな選択だと思う。

 再びキャストに話を移すと、いつもはガッキースマイルと呼ばれる笑顔がキュートな新垣結衣が、それを封印し、いつになくシリアスな演技をしているのが新鮮に写る。恒松祐里や葵わかなといった生徒役のキャストもオーディションで選ばれただけあって、演技だけでなく合唱も素晴らしい。クライマックスの合唱シーンは「スウィングガールズ」(2004年)を観た時と似たような感覚があり、ハーモニーの素晴らしさに鳥肌が立った。

私の評価…☆☆☆☆★

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2015年4月 1日 (水)

リトル・フォレスト 冬・春

\\\"リトル・フォレスト 冬・春\\\"
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:森淳一
原作:五十\嵐大介「リトル・フォレスト」
音楽:宮内優里
主題歌:FLOWER FLOWER(冬編「冬」・春編「春」)
出演:橋本愛、三浦貴大、松岡茉優、温水洋一、桐島かれん、イアン・ムーア(冬編のみ)岩手太郎(春編のみ)、北上奈緒、佐藤さち子、千葉登喜代、小島康志(冬編のみ)、篠川桃音、照井麻友(冬編のみ)、栗原吾郎(冬編のみ)、坂場元(冬編のみ)、渡辺佑太朗(冬編のみ) 他


 《殆ど進まないストーリーなのに、なぜか見入ってしまう》


 五十\嵐大介の同名コミックを実写映画化した人間ドラマ。故郷での自給自足の生活を通して、都会で失った自信や生きる力を取り戻していくヒロインの姿を、旬の食材を使った料理を通して描く。東北の四季を映し出した4部構\\\成で2回に分けて公開するもので、本作はその後半2部作だ(「夏・秋編」は昨年8月公開)。


 秋の終わりに、5年前の雪の日に突然姿を消した母・福子(桐島かれん)から1通の手紙が届き、いち子(橋本愛)は今までやこれからの自分を思い、心が揺れ始める。そうした日々の中でも季節は巡り、雪解けとともに春の足音も近づいてくる。来年もここにいるかどうかわからなくなったいち子は、春一番で作付けするジャガイモを今年は植えるかどうか迷うが…。


 前回同様、セミ・ドキュメンタリーっぽい作りで、いち子が作る料理が実に美味しそうで、観ていると非常にお腹が空いてくる(笑)。


 前回の2部作ではストーリーが殆ど進展せず、大部分の伏線がこの後半2部作へと丸投げにされていて、当然今回はこれが回収されていくのだが、相変わらず話の進み具合はスローテンポだ。それでもついつい見入ってしまうのは、前作でも見られた東北の景色の素晴らしさと、橋本愛が劇中で実際に調理している料理がいかにも美味しそうに写っているからであろう。


 伏線の回収が最も加速するのは、ラストの「春」編で、都会の生活に違和感を感じ故郷に戻ってきた主人公が、果たしてこのままの生活でいいのか、あるいはまた都会に戻った方がいいのか、といった葛藤が描かれ、ここで初めて周りの親友役である三浦貴大や松岡茉優らの役割が大きくなってくるのだが、さてヒロインはどちらを選択するのかは見てのお楽しみとしておこう。クライマックスの村おこし(?)の踊りも、なんだかほのぼのとしていて、僕は楽しめた。


私の評価…☆☆☆★

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