« リトル・フォレスト 冬・春 | トップページ | 唐山大地震 »

2015年4月 6日 (月)

くちびるに歌を

くちびるに歌を
くちびるに歌を
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:三木孝浩
脚本:持地佑季子、登米裕一
原作:中田永一「くちびるに歌を」
音楽:松谷卓
主題歌:アンジェラ・アキ「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」
出演:新垣結衣、木村文乃、桐谷健太、恒松祐里、下田翔大、葵わかな、柴田杏花、山口まゆ、佐野勇斗、室井響、朝倉ふゆな、植田日向、高橋奈々、狩野見恭兵、三浦翔哉、渡辺大知、眞島秀和、石田ひかり(特別出演)、木村多江、小木茂光、角替和枝、井川比佐志、鈴木亮平(声の出演)、前川清(声の出演) 他

 《笑わないガッキーは新鮮》

 2008年の全国学校音楽コンクールの課題曲となった「手紙 拝啓 十五の君へ」。その作者であるアンジェラ・アキが全国の中学生に会いに行き対話をするというテレビのドキュメンタリー番組から発想を得た同名小説を実写版「アオハライド」の監督で映画化。

 長崎県の五島列島にある中五島中学校。産休に入る音楽教師(木村文乃)の代理として、数年ぶりに故郷に戻った柏木ユリ(新垣結衣)。東京でピアニストとして活躍していたという美人の柏木に興奮する生徒たちをよそに、柏木はなぜか冷たい態度で頑なにピアノを弾こうとしない。嫌々ながら合唱部の顧問を引き受けた柏木は、もともと女子だけの合唱部に男子を入部させ、混声での全国コンクール出場を決めてしまい、合唱部の部員たちは大混乱する。

 コンクールの課題曲は「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」。柏木は部員たちに15年後の自分へ手紙を書くよう言う。そこには、普段明るく見せていてもそれぞれ悩みや苦しみを抱え、だからこそ仲間とひとつになって歌う合唱に救いを求める生徒たちの姿があった。遠ざかっていたピアノにも生徒たちにも向き合うようになっていく柏木。そして迎えた本番当日、ある事件が起きる…。

 このところ、音楽を1つのテーマにした実写やアニメが多いが、これはその中でも爽やかな感動が残る映画だ。

 日々の生活の中で、様々な問題や悩みを抱え、生きる意味さえ失おうとしている生徒たちと、過去に最愛の人を事故で失ってしまったトラウマから逃れられず傷ついてきたヒロインとの真っ直ぐなぶつかり合いに、心を動かされる。

 自分が学生だった頃と、今とでは教育問題が変わっているとは思うが、昔は「金八先生」などに代表されるように、生徒の家庭にまである程度介入して、いじめ等の問題を解決しようとする先生も少なくなかった。先日、ある新聞記事を読んだのだが、今はそれが殆どできなくなっていて、その分、その子が発するSOSが感じ取れなくなっているのではないか、だから殺人事件にまで発展するのではないか、と書かれていた。確かにそれは一理あり、昔は例えばいじめがあったとしても、先生たちが何らかの形で介入することによって歯止めがかかり、死に関わるような最悪な事態は回避できていたのだ。この映画ではさすがにいじめ問題は描かれないが、生徒たちと真剣に向き合う事で、自分のトラウマも克服していくという、どこか今の社会で失われてしまいつつある人間ドラマが描かれている。こんな先生…いや、こんな人がそばにいたらなぁなんて、ちょっと思った。

 そして、何といっても劇中流れる音楽がいい。アンジェラ・アキのテーマ曲は勿論だが、音楽担当に映画「いま、会いにゆきます」(2004年)やTV番組「大改造!!ビフォーアフター」の松谷卓を起用しているのは、多分ベストな選択だと思う。

 再びキャストに話を移すと、いつもはガッキースマイルと呼ばれる笑顔がキュートな新垣結衣が、それを封印し、いつになくシリアスな演技をしているのが新鮮に写る。恒松祐里や葵わかなといった生徒役のキャストもオーディションで選ばれただけあって、演技だけでなく合唱も素晴らしい。クライマックスの合唱シーンは「スウィングガールズ」(2004年)を観た時と似たような感覚があり、ハーモニーの素晴らしさに鳥肌が立った。

私の評価…☆☆☆☆★

|

« リトル・フォレスト 冬・春 | トップページ | 唐山大地震 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: くちびるに歌を:

« リトル・フォレスト 冬・春 | トップページ | 唐山大地震 »