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2015年7月

2015年7月31日 (金)

ラスト5イヤーズ

ラスト5イヤーズ
ラスト5イヤーズ
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作:ジェイソン・ロバート・ブラウンの舞台ミュージカル「ラスト5イヤーズ」
製作:リチャード・ラグラヴェネーズ 他
音楽:ジェイソン・ロバート・ブラウン
出演:アナ・ケンドリック、ジェレミー・ジョーダン、ナタリー・ネップ、タマラ・ミンツ、カサンドラ・インマン、チャーリー・ビヴォナ、アレックス・ステビンツ、リリー・ラグラヴェネーズ 他


 《映画的なスケールには物足りない》


 2001年に「タイム」誌が選ぶベストショー10に選ばれ、オフ・ブロードウェイで大ヒットしたミュージカルを、「P.S.アイラヴユー」の監督が映画化。キャリアに悩む女優の卵と若くして成功した小説家という一組のカップルのすれ違う思いを描くラブ・ストーリー。2人が共に過ごした5年の月日を女性側からは別れから出会いに向けて遡り、逆に男性側からは出会いから別れに向けて綴ることで、愛する喜びと悲しみを浮き立たせる。


 ニューヨーク。ブロードウェイの舞台に立つことを夢見る女優の卵キャシー(アナ・ケンドリック)と小説家を志すジェイミー(ジェレミー・ジョーダン)は、恋に落ちる。愛し合い、共に夢に向かっていく二人。しかしいつしか二人の思いはすれ違っていく…。


 オフ・ブロードウェイということは、元々の舞台劇そのものが、わりとこじんまりしたものだと想像がつくのだが、それをほぼそのまま映画化したものである。最近は舞台劇の映画化作品の公開も多いが、たいていそういったものは、舞台では味わえない映画独特の脚色が加えられ、スケールアップするのだが、この映画にはそういった工夫がなされている部分が全く無く、凡庸なラブストーリーになってしまった。


 話の内容だって男女の出会いと別れというものは、それだけでは既に手垢のついたものだし、双方の側から心象を語るのも珍しくはない。勿論、主演の2人はブロードウェイ出身ということもあって、歌もお芝居も上手いし、舞台版が評価されているだけあって演出も悪くはないと思うが、もう少し映画的な見せ方を考えて、作ってほしかった。


私の評価…☆☆☆

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2015年7月29日 (水)

映画 ビリギャル

映画 ビリギャル
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:土井裕泰
脚本:橋本裕志
原作:坪田信貴「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」
音楽:瀬川英史
主題歌:サンボマスター「可能性」
劇中歌:Saku「START ME UP」
出演:有村架純、伊藤淳史、野村周平、松井愛莉、蔵下穂波、阿部菜渚美、矢島健一、中村靖日、峯村リエ、安田顕、大内田悠平、奥田こころ、吉田羊、田中哲司、あがた森魚、金子海音 他


 《結果はわかっているので緊張感はなし》


 素行不良で何度も停学を経験したヒロインが、塾の講師と運命的な出会いを果たし、仲間に支えられながら、慶応大学合格という大きな目標に挑む実話を基に書かれ、ベストセラーとなった書籍を、有村架純主演で映画化した青春ストーリー。


 名古屋の女子校に通う工藤さやか(有村架純)は、勉強は一切せず友達と朝まで遊びながら過ごす毎日。このままでは大学への内部進学すら危ういと心配した母・ああちゃん(吉田羊)は、さやかに塾へ通うことを提案する。金髪パーマ、厚化粧、耳にはピアス、極端に短いミニスカートにヘソ出しルックというギャル全開の姿で入塾面接に現れたさやかに一瞬面食らう教師の坪田(伊藤淳史)。しかし、見た目は派手でも素直な性格だとすぐに気付いた坪田は、さやかと打ち解け、慶応大学への受験合格を約束するのだった。


 ところが当のさやかの成績は偏差値30の学年ビリ。学力テストをしても聖徳太子を「せいとくたこさん」と読み、高校2年生にして小学4年生の学力しかない。そんな彼女の教室大爆笑の珍解答の連続にも「君の発想は天才級だね」と坪田は褒めるのだった。どうやって生きてきたのか理解できないほど知識の欠如を抱えるさやかであったが、坪田だけはこの愛すべきアホぶりの中に凄い可能性が秘められていると踏んだのだ。当初はノリで慶応大学合格という目標を掲げたさやかは、当然、絶望的な高い壁に何度もぶち当たる。だがやがて自分のために必死になる坪田の姿を見てガッカリさせないために、そして愛情を注ぎ応援してくれる母のために、さやかファンの不良少年・森玲司(野村周平)の励まし、ギャル仲間の友情にも支えられ、さやかは本気で勉強に取り組むようになっていく。


 果たして、ビリギャル・さやかは慶応大学に受かるのか…?


 主題歌がサンボマスターだし、先生役が伊藤淳史なので、何だか「電車男」みたいなノリを勝手に想像していた(伊藤淳史版「電車男」はTVドラマなのだが)が、いい意味で予想を裏切ってくれた。


 成功することが最初からわかっているものなので、ハラハラドキドキ感はほぼ無いのだが、周りからどれだけ「無理だ」と言われても、負けずひた向きに頑張っていくヒロインの姿がとても爽やかで気持ちいい。


 まぁ、一部を除いた周りのほぼ全ての人間が主人公に協力的なのは、ちょっと出来すぎなような気がするし、映画的な脚色も多分にあるのだろうが、その周囲の支えがあって、大学合格という奇跡がおきる。観る前は正直“バカ映画”の域を出ないものだと思っていたが、意外にも感動できたいい映画だった。


私の評価…☆☆☆★

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2015年7月 8日 (水)

脳内ポイズンベリー

脳内ポイズンベリー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:佐藤祐市
脚本:相沢友子
原作:水城せとな「脳内ポイズンベリー」
音楽:井筒昭雄
主題歌:クリープハイプ「愛の点滅」
出演:真木よう子、西島秀俊、神木隆之介、吉田羊、桜田ひより、浅野和之、古川雄輝、成河、岡本玲、野波麻帆 他


 《「インサイド・ヘッド」と見比べてみるか》


 嘗て集英社の少女マンガ雑誌「コーラス」(現・「Cocohana」)に不定期連載されていた(今年5月号で連載終了)、水城せとなの漫画を実写化。


 櫻井いちこ(真木よう子)は、会社を辞め、恋人もなく、根無し草のような日々を送るアラサー女子。ある日いちこは、気になっている年下男子・早乙女(古川雄輝)に駅で偶然遭遇する。運命の再会にときめくいちこだったが、頭の中はパニック状態。いちこの脳内では、「話しかけよう」「覚えてるわけないって!」「過去、男性にアプローチしたデータはないので… 」「ドキドキする!」と〈脳内会議〉が始まり、頭の中がしっちゃかめっちゃかに!


 理性を担当する会議の議長(西島秀俊)は、ポジティブ(神木隆之介)、ネガティブ(吉田羊)、記憶(浅野和之)、衝動(桜田ひより)によってカオス化した脳内会議をまとめ、無事にいちこを「幸せ」へと導くことができるのか…?


 このところ硬派な役のイメージが強かった真木よう子が、優柔不断でグダグダなアラサー女子というのが新鮮。優柔不断だからこそ、脳内でいろんな感情が働きだし“脳内会議”をおっぱじめる、という事だが、最終的には本能(真木よう子=二役)が出てきて、結局本能が勝ってしまう、というのは、まぁ当たり前っちゃあ当たり前なのだが、この感情のキャスティングが絶妙で面白い。


 特にポジティブ役の神木隆之介のはじけっぷりとネガティブ役の吉田羊の、掛け合い漫才のような台詞の応酬が見ていて楽しく、この部分は見応えがあったが、あとはいたって平凡な出来。


私の評価…☆☆☆

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2015年7月 1日 (水)

シンデレラ

シンデレラ
劇場:MOVIX京都
監督:ケネス・ブラナー
脚本:クリス・ワイツ
原作:シャルル・ペロー「シンデレラ」
製作:サイモン・キンバーグ 他
音楽:パトリック・ドイル
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):リリー・ジェームズ(高畑充希)、ケイト・ブランシェット(塩田朋子)、リチャード・マッデン(城田優)、ヘレナ・ボナム=カーター(朴ろ美)、ノンソー・アノジー(乃村健次)、ステラン・スカルスガルド(広瀬彰勇)、ソフィー・マクシェラ(新谷真弓)、ホリデイ・グレインジャー(加藤忍)、デレク・ジャコビ(糸博)、アレックス・マックイーン(落合弘治)、ベン・チャップリン(畠中洋)、ヘイリー・アトウェル(園崎未恵)、エロイーズ・ウェブ(財前咲来)、ポール・ハンター(をはり万造)、ロブ・ブライドン(烏丸祐一)、ケイティ・ウエスト(高橋里枝)、トム・エデン(多田野曜平)、ギャレス・メイソン(田中英樹)、ジャナ・ペレス(合田絵利)、リチャード・マッケーブ(後藤光祐)、マイケル・ジェン(荒井勇樹) 他

〈同時上映〉短編アニメ「アナと雪の女王 エルサのサプライズ」


 《グリム童話の“シンデレラ”が元ネタの「イントゥ・ザ・ウッズ」と見比べ、違いを楽しむ》


 1950年(日本では1952年)に公開されたディズニーアニメを実写化。


 幼くして母(ヘイリー・アトウェル)を亡くしたエラ(リリー・ジェームズ)は、悲しみにくれながらも母の「辛いことがあっても勇気と優しさを忘れないで」という教えを守り、ピュアな心を持つ女性へと成長していた。


 ある日、仕事で家を留守にすることが多い貿易商の父(ベン・チャップリン)はエラのためを思い再婚を決意。エラは継母(ケイト・ブランシェット)とその連れ子の娘、ドリゼラ(ソフィー・マクシェラ)とアナスタシア(ホリデイ・グレインジャー)を快く迎え入れる。だが継母は夫がエラにかける愛情に嫉妬し、エラの若さや美しさを不愉快に思っていた。そんな折、エラの父が事故で突然帰らぬ人となる。継母と娘姉妹はエラに山のような仕事を言いつけ、屋根裏部屋に追いやられたエラは召使同然の扱いを受ける。寒さに耐えきれず居間の暖炉の前で眠り、翌朝、顔に灰をつけたまま働くエラを姉妹は「灰塗れのエラ=シンデレラ」と呼んで大笑い。それまでじっと耐えてきたエラは溢れる涙を抑えきれず、家を飛び出し、森へと馬を走らせる。そんなエラに声をかけたのは「キット」と名乗る青年(リチャード・マッデン)だった。城で働いているという彼と話すうちにエラはいつのまにか笑顔を取り戻し、初めて自分を理解してくれる人に出会えたエラはキットに好意を抱き始める
…。


 一方、国王(デレク・ジャコビ)は城で息子のキットを待ち構えていた。国と息子の将来を案じた王は政略結婚を勧めるが、キットはエラのことが忘れられない。そこでエラを探すために国中のあらゆる未婚女性を招待して舞踏会を開き、そこから妃を選ぶことを約束する。招待状はエラの家にも届き、ドリゼラとアナスタシアは有頂天。エラは、亡き母のドレスを着て自分も連れて行ってほしいと頼むが、継母と姉妹はエラのドレスを引きちぎり、彼女を置いて舞踏会へ出かけていく。エラが希望を捨てかけたその時、みすぼらしい身なりをした老女が現れ、エラが優しくミルクを差し出すと、老女は妖精に姿を変える。彼女は夢を叶えてくれるフェアリー・ゴッドマザー(ヘレナ・ボナム=カーター)であった。魔法の杖を振るいカボチャを馬車に、ネズミを馬に、トカゲを御者に仕立て、エラの破れたドレスを美しいドレスに変え、光り輝くガラスの靴を与える。「魔法が続くのは12時まで。さぁ、楽しんでおいで… 」城に到着したエラは、そこで初めてキットが王子であることを
知る。夢のようなひとときを過ごし、お互いの気持ちを確かめあう二人だったが、そのとき12時を告げる鐘の音が…。


 最近は、自社製作アニメに現代的な解釈を加えて実写化していることが多かったディズニーだが、今回は65年前のアニメ版をほぼ忠実に実写化している。


 それもそのはず、今作の監督はケネス・ブラナー。シェイクスピア作品などその世界観を守りながら忠実に描く監督である。シャルル・ペロー版は日本でもよく知られているので、目新しさは皆無だが、その分安心して観られるものである。


 ところで、“シンデレラもの”といえば、今年はもう一作、「イントゥ・ザ・ウッズ」が先に公開されているが、その「イントゥ・ザ・ウッズ」のシンデレラの部分と、本作とでは話の内容が少し違うということをお気付きだろうか。例えば靴の材質の違い(金とガラス)とか、継母の娘に靴を無理矢理履かせる時の行動(指や踵の切断かあっさり諦めるかの違い)とか、細かい違いがある。ネットのいろんな評を見ていると、「イントゥ〜」の方に異を唱える人がいたりするのだが、それは大間違いである。


 実は、シンデレラの話自体が1つのものではなく、世界中にいろんなバリエーションのあるものが残されており、たまたま日本で知られていて、ディズニーアニメが採用しているのが、子供にも読み聞かせやすいシャルル・ペロー版なのだ。「イントゥ・ザ・ウッズ」では原話(G・バジーレ著「ペンタメローネ」より“チェネレントラ”)に近いとされる、グリム童話の「アシェンプテル(灰かぶり姫)」を、他のエピソードと合わせられるように少々アレンジして採用しているのだろう。こちらは日本ではあまり知られていないので、異質な感じがするのである。そういう事を知ってから2つの映画を見比べると、また違った見方ができて面白い。似たような話は中国などにもあるらしいので、今度また“中国版シンデレラ”みたいな映像作品でもあったら、見てみたいような気もするが、その時はまた新たなシンデレラ像が、イメージされるのかも知れないね。


私の評価…☆☆☆☆★

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