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2015年8月

2015年8月26日 (水)

トゥモローランド

トゥモローランド
劇場:MOVIX京都
監督:ブラッド・バード
脚本:デイモン・リンデロフ、ブラッド・バード
原案:デイモン・リンデロフ、ブラッド・バード、ジェフ・ジェンセン
製作:ブラッド・バード 他
音楽:マイケル・ジアッチーノ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジョージ・クルーニー(磯部勉)、ヒュー・ローリー(木下裕之)、ブリット・ロバートソン(志田未来)、ラフィー・キャシディ(松浦愛弓)、ティム・マッグロウ(咲野俊介)、キャスリン・ハーン(藤貴子)、キーガン=マイケル・キー(森川智之)、トーマス・ロビンソン(西田光貴)、ピアース・ガニォン(藤村真優)、マシュー・マッカアル(津田健次郎)、ジュディ・グリア(原島梢) 他


 《未来は自らの手で変えるもの》


 もしもディズニーランドにあるアトラクション“トゥモローランド”が、ウォルト・ディズニーの夢を隠すカモフラージュだったら? というアイデアに基づくアドベンチャー映画。


 17歳のケイシー(ブリット・ロバートソン)はある日、彼女の持ち物に見慣れぬピンバッジが紛れ込んでいるのに気付く。それは、彼女が夢見た世界へのチケットだった。ピンバッジに触れると、ケイシーは忽ちにしてテクノロジーの発達した未知なる世界に誘われる。果たして、ここは未来なのか? だが、バッテリー切れと同時に、ケイシーは見慣れた世界へと引き戻されていた。


 必死で夢の世界へと戻ろうとするケイシーの前に現れたのは、ピンバッジを彼女の荷物に紛れ込ませたと言う、謎の少女・アテナ(ラフィー・キャシディ)だった。その世界の名は「トゥモローランド」。再び訪れたいのならば、フランク・ウォーカー(ジョージ・クルーニー)という男を訪ねるようにとアテナは誘う。アテナが人類の未来を託した2人の人間、それこそがケイシーとフランクだった… だがそれは、壮大な冒険の始まりに過ぎなかったのだ…。


 「トゥモローランド」は、ディズニーランドのアトラクションの名前でもあるので、観に行った人は少々面食らったかもしれないが、本作はそのアトラクションを映画化したものではない。ディズニー社の倉庫に眠っていた資料と、ウォルト・ディズニーの生前の夢を基に創作された話であり、中には都市伝説化したしたものも組み合わせて映画にしたものである。


 悪く言えば継ぎ接ぎだらけの話なので、ストーリーもほぼ破綻してしまっており、ディズニー映画としては難解なものになってしまった。プロットなど、もう少し整理できていれば、分かり易いストーリー展開になった可能性があるだけに、その点は残念ではある。


 役者に関しては申し分ない。ジョージ・クルーニーもブリット・ロバートソンもいいのだが、何といっても美少女=ラフィー・キャシディちゃんに注目。美しいだけでなく演技も上手なこの娘を見ただけで、ストーリーなんかどうでもよくなっちゃった(笑)。


私の評価…☆☆☆

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2015年8月22日 (土)

ピッチ・パーフェクト

ピッチ・パーフェクト
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジェイソン・ムーア
脚本:ケイ・キャノン
原作:ミッキー・ラプキン「Pitch Perfect: The Quest for Collegiate A Cappella Glory」
製作:ポール・ブルックス、マックス・ハンデルマン、エリザベス・バンクス
音楽:クリストフ・ベック、マーク・キリアン
出演:アナ・ケンドリック、アンナ・キャンプ、ブリタニー・スノウ、レベル・ウィルソン、アレクシス・ナップ、エスター・ディーン、ハナ・メイ・リー、スカイラー・アスティン、ベン・プラット、アダム・ディヴァイン、ジョン・マイケル・ヒギンズ、エリザベス・バンクス 他


 《少々下品だがカッコイイ! 元気になれる音楽コメディ》


 アメリカでは2012年9月に公開され、僅か335の映画館での限定公開ながら、週末3日間の興収が520万ドルを超える大ヒットを記録した青春ドラマが、ようやく日本に上陸。


 バーデン大学の女性アカペラ・グループ「バーデン・ベラーズ」は、念願の全国大学アカペラ選手権出場を果たす。しかし、ソロを任されたオーブリー(アンナ・キャンプ)が緊張のあまりパフォーマンス中に会場に向かって嘔吐するという悲劇で幕を閉じた。


 4か月後、バーデン大学にベッカ(アナ・ケンドリック)が入学する。しかし音楽プロデューサーになるのが夢のベッカは進学する気は無く、同大の教授である父親の説得に折れただけだった。両親の離婚で心を閉ざした娘と仲良くしようと頑張る父親だが、ベッカは常に素っ気ない。大学生活に何の期待もしていないベッカは新入生勧誘ウィークでグループの新リーダーとなったオーブリーと親友・クロエ(ブリタニー・スノウ)に声をかけられるが、「興味が無い」と入部を断る。部活にも授業にも興味が持てないベッカの唯一の楽しみは、大学ラジオ局でのバイトだ。CD整理という退屈な仕事だが、彼女がマッシュアップして作った音楽をイケメンDJにラジオで流してもらえたら夢の第一歩になる。偶然にも入学初日に声をかけてきた人懐っこい青年・ジェシー(スカイラー・アスティン)も同じバイトで、彼がベッカに好意を抱いているのは一目瞭然だった。


 ベッカが授業にも出ずに音楽作りばかりしているのを心配した父は、「積極的に大学生活に参加してほしい。1年後に中退の気持ちが変わらなかったら、ロサンゼルス行きを許可する」と提案。シャワー中の鼻歌をクロエに聞かれ、歌唱力を絶賛されたベッカは、「タスマニア1の歌姫」を自称するファット・エイミー(レベル・ウィルソン)やエロすぎるステイシー(アレクシス・ナップ)、レズビアンのシンシア(エスター・ディーン)らとともに「ベラーズ」に入部する。なんとバイト仲間のジェシーもバンパー率いる男性アカペラ・グループ「トレブルメーカーズ」に入部し、二人はいわばライバルとなる。


 オーブリーによる厳しい特訓が始まり、ベッカたちは歌の練習は勿論振り付けや有酸素運動でも不評だった古臭い曲ばかりで挑むが、地区予選では辛うじて2位に滑り込めた。ところが大会後、優勝した「トレブルメーカーズ」とOBの喧嘩に巻き込まれたベッカは警察に逮捕されるハメに。その夜、警察署前で待っていた父からロサンゼルス行きの支援をやめると伝えられたベッカは、父に連絡したジェシーを責め、いい感じになりかけていた二人の関係は気まずくなる。


 一方、全国大会進出を狙う「ベラーズ」の練習にはますます熱が入る。音楽に詳しいベッカは、新しい曲や斬新なアレンジにトライすることを提案するが、伝統に固執するオーブリーは聞く耳を持たない。地区大会で他大学のグループ「フットノーツ」が会場を沸かせるのを見たベッカは、「ベラーズ」のパフォーマンスが観客を退屈させていると見て取り、咄嗟のアドリブで曲調を変える。しかしベッカの努力も虚しくグループは第3位となり、決勝進出の機会を失うのだった…。


 このところ、2〜3年前にアメリカでヒットした映画が、ようやく日本で公開というケースが増えている。ちょうどその時期は、日本のインディペンデント系の配給会社が、相次いで倒産した時で、もしかするとその時に新たな配給会社が決まらずお蔵入りになっていたものが、やっと日の目を浴びているのかもしれない(本作も、今回日本での配給は、武蔵野エンターテイメントという聞き慣れない会社が担当している)が、遅れていてもスクリーンで観られるのなら、映画ファンとして嬉しい限りだ。本作の場合、3年前は主演のアナ・ケンドリック他、出演者の殆どが名前が知られていなかったということもあるかもしれない。


 この映画、ガールズムービーにしては少々下品なところもあるが、アカペラの面白さに惹き付けられる。冒頭のユニバーサルスタジオのロゴのBGMからアカペラになっているのには笑ってしまったが、久々にサントラを買いたくなったほど、'80sヒッツを中心とした楽曲が素晴らしい。映画の中では「ブレックファスト・クラブ」がリスペクトされているが、その「ブレックファスト・クラブ」といえば、当時“ブラッド・パック”と呼ばれた若手人気俳優たちの中の2人であるエミリオ・エステベスやアリー・シーディ、そしてジョン・ヒューズ監督映画のヒロインといえばこの人モリー・リングウォルドといった錚々たる俳優が共演した、'80年代の青春映画を代表する作品であり、この映画を観て当時を懐かしむ人も多いだろう。


 アナ・ケンドリックは元々ブロードウェイ出身の女優なので、歌が上手いのは勿論だが、アメリカ人にしては身長が低く(157cm)、愛らしいルックスという事もあってか、実年齢(現在30歳)より若い役を演じる事が多い。僕は「マイレージ・マイライフ」(2009年)という映画で見た時(その1年前に「トワイライト」があったが、脇役だったこともありその時は全く注目していなかった)に、また可愛らしくて演技の上手い人が出てきたなと思っていたが、恐らくこの映画の大ヒットによりブレイクしたことで、日本でも今年公開された「イントゥ・ザ・ウッズ」のシンデレラ役を射止めたのだろう。実はこの映画、既に続編が作られていて、今年全米で1作目を超える大ヒットを記録し、秋には日本での公開も予定されている。そして第3作の製作も決定した。続編には「トゥルー・グリッド」の美少女ヘイリー・スタインフェルドなど新メンバーがいるらしい。まだ予告編を見ていないが、本作とほぼ同じチェーンで公開されるようで、非常に楽しみである。


私の評価…☆☆☆☆

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2015年8月16日 (日)

パイレーツ

パイレーツ
劇場:T・ジョイ京都
監督:イ・ソクフン
脚本:チョン・ソンイル、チェン・イヨン
原作:チョン・ソンイル
製作:カン・ミンギュ
音楽:ファン・サンジュン
出演:キム・ナムギル、ソン・イェジン、ユ・ヘジン、イ・ギョンヨン、キム・テウ、オ・ダルス、パク・チョルミン、ソルリ、イ・イギョン、シン・ジョングン  他


 《単純明快で気軽に楽しめる》


 朝鮮建国の証しである「国璽」が10年間所在不明だったという史実を、独創的な解釈を加えて描くアクションアドベンチャー。


 朝鮮建国前夜。明の皇帝から朝鮮建国の証しである印「国璽(こくじ)」が贈られた。しかし使節船が鯨と衝突し、国璽が鯨に飲まれてしまう。王権の象徴が行方不明となり朝廷は大混乱。海には一攫千金を狙う山賊や海を知り尽くした海賊、命を賭け国璽を探す水軍が集まり、消えた鯨を追って火花を散らす。


 これはもう、単純に頭ン中カラッポにして楽しめる娯楽大作だ。


 朝鮮建国の時、その重要な証しとなる国璽が約10年間行方不明だったのは、紛れもない史実だが、その謎に大胆な仮設(つまり“映画的なウソ”)をでっちあげて描いたのが本作である。


 国璽を飲み込んでしまった鯨をめぐって、海賊と山賊、そこに国軍までもが入り乱れる争いになるのだが、それぞれの役割分担として主に山賊がコメディ・パート、海賊がシリアス・パート、国軍が悪役というふうにきっちり別れているため、話も分かりやすく楽しい。


 アクション映画初出演のソン・イェジン(「私の頭の中の消しゴム」等)が、カッコよくアクションを決めるという、意外な一面を見ることもできるし、少々大味なところもあるが、アクション映画として見せるには、十分許容範囲。日本での宣伝量が物足りず、公開規模が小さかったのは残念だが、久々に観た韓国映画としては面白かった。


私の評価…☆☆☆

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2015年8月12日 (水)

チャッピー

チャッピー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ニール・ブロムカンプ
原作:ニール・ブロムカンプ「Tetra Vaal」
製作:サイモン・キンバーグ
音楽:ハンス・ジマー
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):シャールト・コプリー〔チャッピーの声とモーションキャプチャ〕(川島得愛)、デーヴ・パテール(羽多野渉)、ニンジャ〔ダイ・アントワード〕(高木渉)、ヨ=ランディ・ヴィッサー〔ダイ・アントワード〕(新谷真弓)、ホセ・パブロ・カンティージョ(江川央生)、ヒュー・ジャックマン(山路和弘)、シガニー・ウィーバー(幸田直子)、ブランドン・オーレット、ジョニー・K・セレマ、アンダーソン・クーパー 他


 《人間味溢れるロボットの誕生》


 「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督が、2004年に発表した短編映画を長編化。日本公開版では、レーティングの「PG12」区分で上映するため、ソニー・ピクチャーズが委託された編集権に基づいて、独自に場面をカットしたものが公開された(9月リリース予定のBlu-rayとDVDはUS劇場公開版と同様の“アンレイテッドバージョン”となる)。


 2016年、犯罪多発都市、南アフリカ・ヨハネスブルグ。ロボット開発者のディオンは、学習機能を備えた「AI(人工知能)」を搭載した世界でただ一体のロボットを極秘で製作した。


 「チャッピー」と名付けられたそのロボットを起動させると、まるで子供のように純粋な状態であった。だが、チャッピーはディオンとともにストリートギャングにさらわれ、そのAIにはギャングによって生きるための術が叩き込まれていく。そんな中、加速度的に成長するAIは彼自身のバッテリーが残り5日間しかないことを知り、さらに死への恐怖をも感じるようになっていく。やがて、ただ生きることを目的としたチャッピーは人知を超えた行動を起こし始めるが…。


 話自体は結構荒唐無稽で、ツッコミどころもあるのだが、作品のテーマは人でもロボットでも見た目で区別してはいけないという事。大人の都合で生み出されたチャッピーは、警察仕様というだけで、様々な迫害を受け、その結果、ギャングの道へ足を踏み入れていってしまう。


 これまで映画等で描かれていたロボットは、どれだけ進化してもしょせんは“人間に近い機械”だったのだが、ここで描かれるロボットは人間そのもの。勿論それは単にCGで描いているのではなく、モーションキャプチャーによって人間の動きを取り入れているからだが、外見が人間でないもので、人間的なものを表現するには、これが一番だったのだろう。ラストは賛否両論あるだろうが、非現実的なようで、実は近い将来有り得なくもないと考えると、切なくも少し怖く感じた。


私の評価…☆☆☆☆

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2015年8月 9日 (日)

メイズ・ランナー

メイズ・ランナー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ウェス・ボール
脚本:ノア・オッペンハイム 他
原作:ジェームズ・ダシュナー「メイズ・ランナー」
製作:マーティ・ボーウェン 他
音楽:ジョン・パエザーノ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ディラン・オブライエン(畠中祐)、ウィル・ポールター(浪川大輔)、カヤ・スコデラーリオ(能登麻美子)、トーマス・ブローディ・サングスター(山下大輝)、アムル・アミーン(松田健一郎)、キー・ホン・リー(井上剛)、ブレイク・クーパー(村瀬歩)、パトリシア・クラークソン(榊原良子) 他


 《迷路の冒険・序章》


 全米で160万部以上を売り上げるベストセラーを記録した、ヤングアダルト向けSFスリラー小説を映画化。小説が三部作構成(現在はこれにプラスして前日譚が2作執筆されている)なので、映画も三部作で公開される。


 高い壁に囲まれた巨大な迷路への扉は、朝になると開き、夜が訪れる前に閉じられる。夜の間、迷路はその構造を変化させ、二度と同じ道順は出現しない…。


 そんな謎の迷路に囲まれたエリアに、月に一度、生活物資とともに新しい「ランナー」が送り込まれてくる。記憶を失い、辛うじて自分の名前だけを思い出すランナーたちは、コミュニティを形成。選ばれた数名が迷路の構造を調べ、この地からの脱出方を探していた。だが迷路の扉が閉まる夜までに戻らなければ、彼らに命の保証はない。


 生き残るため、迷路の謎を説き明かすため、トーマス(ディラン・オブライエン)たちの空前のサバイバルが始まった…。


 最近は「ハンガー・ゲーム」や「ダイバージェント」など、異世界に放り込まれた若者が、現状を打破するために戦う映画が多く公開されているが、これもその1本といえよう。ヤングアダルト小説は、日本でいえばラノベ、つまりライトノベルにあたるもので、このところ日本ではそのラノベ原作のTVアニメや映画が多く作られているが、今後は洋画でもそういうものが増えるかもしれない。


 この映画の異世界は巨大な迷路。一瞬「進撃の巨人」のパクリかとも思ったのだが、ここに送られてくるのは少年たちばかりで、コミュニティが形成されており、留まって平和的に暮らしたい者と、脱出し元の世界に戻りたいと思う者とで対立がおきている。そこにプラスして、誰が何のためにこの迷路を作ったのかという謎や、その裏にある陰謀が見え隠れする展開となっていくのだが、いかんせん大きい話の1/3が描かれているにすぎないためか、殆どの謎が解決せず「第2章」に丸投げになってしまうのだ。


 男しかいない集団の中に、突然女性が送り込まれてくる事によって謎が増え、一方で謎の解決の糸口になっていくというふうに、ストーリーに変化がついていくのが楽しいが、迷路を乗り越え次なる“アトラクション”がお目見えしたところで、次回に続く。確か次はこの秋公開だっけ? この1本だけではとても評価しにくいから、とりあえずこれも3本観てから総合的な評価をしようかな、と思う。


私の評価…☆☆☆★

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2015年8月 5日 (水)

駆込み女と駆出し男

駆込み女と駆出し男
駆込み女と駆出し男
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:原田眞人
原案:井上ひさし「東慶寺花だより」
製作:榎望 他
製作総指揮:大角正
音楽:富貴晴美
出演:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、松岡哲永、陽月華、キムラ緑子、木場勝己、神野三鈴、武田真治、北村有起哉、橋本じゅん、山崎一、麿赤兒、中村嘉葎雄、樹木希林、堤真一、山崎努、大鳥れい、赤間麻里子、玄里、でんでん、井之上隆志、宮本裕子、中村育二、松本若菜 他


 《この時代の女性の気持ちがよく伝わる》


 井上ひさしの時代小説を原案に、江戸時代の離婚事情を綴る、コミカルな時代劇。


 質素倹約令が発令され、庶民の暮らしに暗い影が差し込めた江戸時代後期。鎌倉には離縁を求める女たちが駆込んでくる幕府公認の縁切寺、東慶寺があった。但し、駆込めばすぐに入れる訳ではない。門前で意思表示をした後に、まずは御用宿で聞き取り調査が行われるのだ。戯作者に憧れる見習い医師の信次郎(大泉洋)は、そんな救いを求める女たちの身柄を預かる御用宿・柏屋に居候することに。知れば知る程女たちの別れの事情は様々。柏屋の主人・源兵衛(樹木希林)と共に離縁調停人よろしく、口八丁手八丁、奇抜なアイデアと戦術で男と女のもつれた糸を解き放ち、ワケあり女たちの人生再出発を手助けしていくが、ある日、二人の女が東慶寺に駆け込んできて…。


 井上ひさし氏の舞台劇はまだ観たことがなく、正直自分向けの映画ではないなと思って、あまり期待していなかったが、面白かった。


 江戸時代にこういう駆込み寺みたいなものがあった事は知っていたが、どういった仕組みでそれが成り立っていたとかは知らなかったので、その点が興味深かったし、今よりも厳しい男尊女卑の世で、生きる女性たちの逞しさも上手く表現されている。


 だからというわけではないが、主役の大泉洋よりも、物語の軸となる2人の女性に、どうしても肩入れしたくなるのだが、僕はじょご役の戸田恵梨香が上手いなぁと思った。確かに満島ひかり演じるお吟と堀切屋のエピソードも粋ですごくいい話なのだが、夫に虐げられ顔に醜いケロイドまで残され男性不信にまでなっていたじょごが、信次郎と出会い、顔の傷だけでなく心の傷跡まで癒してくれた信次郎に心を開くという、この明と暗の演じ分けが上手く描けていると思った。この映画は全体的に同一画面で2人以上の長セリフの応酬が多く、時間も2時間23分とかなり長尺なため、集中して観ているとかなり疲れるのだが、最後の最後できっちり癒される、後味のいい映画だった。


私の評価…☆☆☆☆

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