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2016年1月

2016年1月31日 (日)

ガールズ&パンツァー 劇場版

ガールズ&パンツァー 劇場版
ガールズ&パンツァー 劇場版
劇場:T・ジョイ京都
監督:水島努
脚本:吉田玲子
キャラクター原案:島田フミカネ
音楽:浜口史郎
主題歌:Choucho「piece of youth」
イメージソング:Choucho「GloryStory」
声の出演:西住みほ…渕上舞、武部沙織…茅野愛衣、五十鈴華…尾崎真実、秋山優花里…中上育実、冷泉麻子…井口裕香、角谷杏…福圓美里、小山柚子…高橋美佳子、河嶋桃…植田佳奈、磯辺典子…菊地美香 他、TVアニメ版キャスト&キャラクター総出演


 《派手にドンパチやっているだけだが、何故かメチャクチャ面白い!》


 戦車を使った武道=戦車道が、華道や茶道と並び大和撫子の嗜みとされている世界を描き、ミリタリーと萌え要素を併せ持った大ヒットアニメの劇場版。実在する茨城県の大洗町を舞台に、女子高生たちの青春を緻密な戦車描写とともに綴っていくTVアニメの後日談で、戦車道のない高校に転校したはずが、戦車道全国大会に出場するはめになる主人公と個性豊かな仲間たちが繰り広げる物語。


 学校の存続をかけた第63回戦車道全国高校生大会で優勝し、平穏な日常を取り戻した大洗女子学園の面々。大洗町で開催されたエキシビジョンマッチでは知波単学園とチームを組み、戦いを通して他校の選手たちと友情を育む。そんな時、生徒会長の杏が急用で学園艦に呼び戻された。大洗女子のメンバーたちは不穏な動きに息を飲む。


 最近のアニメ映画は、深夜のTV放送からの映画化が多く、その放送を観ていないと展開がさっぱり掴めない“一見さんお断わり”ものも多いのだが、この映画は全くそんな心配なし(笑)。勿論、TV版のその後の話なので、TV版のあらすじくらいは分かっておいた方が、すんなり世界観に入っていけるとは思うが、廃校寸前の学校を救うために部活を立ち上げるという、某アニメそっくりの設定と、「エクスペンダブルズ」ばりのハチャメチャなドンパチを、戦車でやっているという事を頭に入れておけば、かなり楽しめる。実在する戦車をTV版以上に緻密な描写で描いているのも、ミリタリーヲタクにはたまらないだろう。ちなみに僕はミリタリーヲタクではないが、TV版を観ているので、楽しく観させてもらった。


 勿論、アニメとはいえ実際にある町を破壊しまくったり、戦車内は特殊なシールドで守られていて、実弾で攻撃され大破しても死者がでない設定はどうなのか? とも思うが、あくまで娯楽作とわりきって観れば、そんな事はどうでもよくなってくる。


 それにしてもこの映画、シナリオ作りからアフレコまで大変だっただろう。何せTV版だけでも非常にキャラクターが多いのに、それを全員登場させた上に、新キャラまでいるのである。主要なキャラを演じる声優だけでも20名を超すアニメ映画なんて、そうそうあるもんじゃない。しかも日本のアニメ業界では当たり前の事だが、何人かは複数のキャラクターを同時に演じているのだ。まぁ、実写のオールスターキャスト映画ほど、キャリアに上下関係があるとは思えないので、出演部分の配分を考えたシナリオにはなっていないとは思うが(実写の場合はこれでトラブる事が多い)、決められた時間の中でこれだけのキャラクターを登場させるのは、大変な作業なのである。しかも、声優さんのアドリブも含めて、適度にギャグも入っており、緩急のつけ方も巧い。ストーリーはほぼ7割方、戦車で破壊活動をやっているだけ(笑)なのだが、シナリオの完成度が高く演出も冴えていれば、“一見さん”が観てもちゃんと楽しめる映画ができるのである。


私の評価…☆☆☆☆★

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2016年1月30日 (土)

ミケランジェロ・プロジェクト

ミケランジェロ・プロジェクト
ミケランジェロ・プロジェクト
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本・製作:ジョージ・クルーニー
共同脚本・共同製作:グラント・ヘスロヴ
原作:ロバート・M・エドゼル、ブレッド・ウィッター「ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争」
製作総指揮:バーバラ・ホール
音楽:フェドン・パパマイケル
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジョージ・クルーニー(郷田ほづみ)、マット・デイモン(咲野俊介)、ケイト・ブランシェット(工藤静香)、ビル・マーレイ(江原正士)、ジョン・グッドマン(楠見尚己)、ヒュー・ボネヴィル(沢木郁也)、ボブ・バラバン(田中亮一)、ジャン・デュジャルダン(森田順平)、ディミトリー・レオニダス(柿原徹也)、ユストゥス・フォン・ドホナーニ(鈴木清信)、サム・ヘイゼルダイン(広瀬彰勇)、マイルス・ジャップ(石住昭彦)、ミヒャエル・ブランドナー(遠藤純一)、マイケル・ダルトン(伊藤和晃)、クリスチャン・ロドスカ(小島敏彦)、アレクサンドル・デスプラ(高宮俊介) 他

(注:チラシ上は20世紀FOX配給予定版、下はプレシディオ配給版。吹替版の声優は20世紀FOX配給で予定されていた時のもの。プレシディオ配給では公開規模縮小の影響で吹替版の公開はしていないが、海外版DVDには収録されており、国内版DVDにも収録される予定。)


 《アノ名作っぽく作りたい気持ちは分かるが》


 第2次大戦末期のヨーロッパで、ナチスに強奪された美術品を奪還するという使命を受けた美術分野の専門家チームの活躍を描く。当初は2014年中に公開される予定だったが、全米での公開延期と、20世紀FOXによる日本での配給権放棄の影響で、2015年秋まで待たなければならなかった。


 第2次世界大戦が激化する中、ヨーロッパ各国に侵攻したドイツ軍が、大量の美術品略奪を重ねていた。危機感を募らせたハーバード大学付属美術館の館長フランク・ストークスは、ルーズベルト大統領を説得。歴史的建造物や美術品を守る特殊チーム「モニュメンツ・メン」を結成する。そのメンバーは、リーダーのストークス以下、メトロポリタン美術館で中世美術を管理するジェームズ・グレンジャー、建築家リチャード・キャンベル、彫刻家ウォルター・ガーフィールド、ユダヤ系フランス人美術商ジャン・クロード・クレモントら7人。略奪された美術品の追跡、発掘、保護を使命としてヨーロッパへ旅立った彼らは1944年7月、フランスのノルマンディー海岸に到着する。だが、激戦を終えたばかりの連合軍から十分なサポートは期待できない。やむなく2〜3人ずつに分かれてヨーロッパ各地へ移動し、別々に任務を遂行することとなる。様々な困難を乗り越え、着実に成果を挙げていくモニュメンツ・メン。ストークスたちは、パリで美術品略奪に懇話ってシュ
タールという男から重要な地図を奪取。坑道に隠されていた数多くの美術品を発見する。パリを訪れたグレンジャーは、クレール・シモーヌという女性の信頼を得て、ナチが運びだした何千点もの美術品の台帳とそれらの運び先の情報を入手。その一方で、2人のメンバーが命を落としていた。やがてドイツに集結したモニュメンツ・メンは、最大の隠し場所と見られる場所に向けて決死の行動を起こす。果たして、そこには消息不明となったミケランジェロの作品も隠されているのか?


 だがその行く手には、横槍を入れてきたソ連軍の影がちらつき、ヒトラーの自殺によって全てを破壊しようとするナチの脅威が待ち受けていた…。


 一応実話が基になってはいるが、映画用にかなり脚色された部分も多いらしく、映画関係者や当時のことに詳しい人たちからは批判を浴びている。アメリカや日本で公開が延期となったのも、製作上の遅れとかワザとオスカー狙いで遅らせるといったものではなく、盗まれた美術品の返還に関するデリケートな問題があったのが原因といわれていて、この辺はちょっと仕方ないのかなぁと思った。


 それにしても戦争映画は、題材によってリアルに描けばいいのか、コミカルに描けばいいのか線引が難しい。この映画は、史実をエンターテインメントとして描いた傑作「大脱走」(1963年/ジョン・スタージェス監督)へのオマージュが、エンドロールなどに見られるが、シリアスさとコミカルさのどちらも中途半端で、今一つノれない。失敗が許されないミッションという共通点はあるが、「大脱走」は仲間を集めるプロセスから丁寧に描いていたのに対して、こちらは最初からある程度仲間が揃っているところから始まったために、キャラクターに深みが出ず、ストーリーも薄っぺらいものになってしまった。7人それぞれにスポットを当てる場面がもう少しあれば、評価も高くなっただろう。


私の評価…☆☆☆

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2016年1月27日 (水)

エベレスト 3D

エベレスト 3D
エベレスト 3D
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:バルタザール・コルマウクル
脚本:ウィリアム・ニコルソン、サイモン・ボーファイ
製作:ティム・ビーヴァン 他
音楽:ダリオ・マリアネッリ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジェイソン・クラーク(小山力也)、ジョシュ・ブローリン(堀内賢雄)、ロビン・ライト(山像かおり)、エミリー・ワトソン(佐々木優子)、キーラ・ナイトレイ(弓場沙織)、サム・ワーシントン(杉田智和)、ジェィク・ギレンホール(山寺宏一) 他


 《天災か、それとも人災なのか?》


 1996年5月に起こったエベレスト登山史上最悪の遭難事故を描く。人間が生存できないとされる死の領域“デス・ゾーン”で生き残りをかけた戦いに挑む登山家たちの姿。


 登山家の夢である世界最高峰エベレスト登頂を目指すツアーに、様々な山で経験を積んだ者たちが集結。頂上に向け出発するが、道具の不備や参加者の体調不良などが重なり予定よりも下山が大幅にずれ込んでしまう。さらに天候が急変し、人間が生存できないとされる標高8000メートルを超える地帯、デスゾーンで離れ離れに。酸欠の中、自然の猛威が彼らを襲う…。


 この映画は表向きは娯楽映画だが、実際に起きた事故を描き、エベレストだけではない全ての山への商業登山に警鐘を鳴らす映画である。様々な国から集まった登山家たちによる群像劇で、過剰な演出を避ける形でドラマは淡々と進むため、リアルで終始一貫して緊迫感が漂う。


 前半こそ、話がスローテンポで緊張が緩和する部分もあるのだが、登山家たちの意見の対立や、身勝手な行動からトラブルを招き、惨劇へと繋がっていく様は、自然の脅威と同時に引き際を見極められない人間の愚かさやエゴといったものを浮き彫りにしていく。


 惜しいのは、せっかく3Dで公開しているのに、3Dの効果が殆ど得られていない事である。勿論、実際に現地でロケしているので、映像の迫力は申し分ないのだが、これなら2Dでも言いたい事は十分伝わるはずだ。映画の中でIMAXのスタッフが描かれているのは、事故当時IMAX隊による記録映画が製作されていたからで、彼らはこの事故の救助活動に参加し、約2週間後に登頂と撮影を成功させ、完成した作品の中でこの事故にも触れている。この作品は、日本でも1998年に何らかの媒体で公開されているようなので、観た人もいるかもしれないが、今回のこの映画もIMAX版が製作されているのは、何とも奇妙な縁である。


私の評価…☆☆☆★

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2016年1月26日 (火)

PAN ネバーランド、夢のはじまり

PAN ネバーランド、夢のはじまり
PAN ネバーランド、夢のはじまり
PAN ネバーランド、夢のはじまり
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョー・ライト
脚本:ジェイソン・フックス
原作:ジェームス・マシュー・バリー「ピーター・パン」
製作:グレッグ・バーランティ 他
音楽:ジョン・パウエル
主題歌(日本語吹き替え版):松田聖子「永遠のもっと果てまで」
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):リーヴァイ・ミラー(山田瑛瑠)、ヒュー・ジャックマン(内田直哉)、ギャレット・ヘドランド(成宮寛貴)、ルーニー・マーラ(水川あさみ)、ノンソー・アノジー(楠見尚己)、アマンダ・サイフリッド(坂本真綾)、キャシー・バーク(磯辺万沙子)、ルイス・マクドゥーガル(西田光貴)、カーラ・デルヴィーニュ、ナ・テジョー(横山太一)、ジャック・チャールズ(小室正幸) 他


 《前日譚としては、かなり楽しめるのだが》


 ディズニー映画としても知られるピーター・パンの秘められた過去を描くファンタジー。


 ロンドンの孤児院で暮らす少年ピーター(リーヴァイ・ミラー)は、ある日、地下室で古い手紙を見つける。「ピーター、愛しているわ。別の世界で必ず会えると約束する」と書かれたその手紙は、運命によって赤ん坊のピーターから引き離された若き母(アマンダ・サイフリッド)が残したものだった。母に会いたい想いを募らせたピーターは、ある夜、現れた空飛ぶ海賊船にさらわれ、ネバーランドへと旅立つ。そこは夢のようにカラフルな世界だったが、冷酷な海賊・黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)が支配する世界だった。ピーターは自身も知らない出生の秘密のため、黒ひげから命を狙われる身となる。絶体絶命のピーターは、自由を求める陽気な若者フック(ギャレット・ヘドランド)や、この地の民たちのプリンセスで、黒ひげの脅威と戦うタイガー・リリー(ルーニー・マーラ)と出会う。タイガー・リリーは、ピーターが探す母の手がかりを知っていた。彼らは黒ひげ率いる海賊たちの追撃をかわし、共に困難を乗り越えていく。ピーターは母に会うことができるのか?


 そしてネバーランドの運命を握る、ピーターの出生の秘密とは…?


 あまりにも有名な原作から前日譚を想像して描いた、所謂“ビギニングもの”だが、本来敵であるはずのフックと出会った頃は仲が良かった設定や、タイガー・リリーとの出会いなどの意外性があって楽しめる。ヒュー・ジャックマンが怪演する黒ひげも、怖いようでどこかユーモラスだ。


 ラストまで見ると、このまま「ピーター・パン」本編に繋ぐにはどう考えてもエピソードが足りず、シリーズ化前提で作っているのが見え見えなのだが、残念ながら本国ではキャスティングに関する批判が影響したのか、興行的にはズッコケてしまった。タイガー・リリーは本来、設定上はネイティブ・アメリカンなのだが、白人であるルーニー・マーラが選ばれたことに批判が集まっていたようで、それが少なからず影響している事は間違いないだろう。もっとも、ディズニーアニメ版でも同様の事があり、配給元のワーナーからすれば、それを踏襲しているだけに過ぎないのだが。続編は、よほどの事がない限り作られる事は無いだろう。


私の評価…☆☆☆★

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2016年1月20日 (水)

アクトレス 〜女たちの舞台〜

アクトレス 〜女たちの舞台〜
劇場:京都シネマ
監督・脚本:オリヴィエ・アサヤス
製作:シャルル・ジリベール
特別協力:シャネル
出演:ジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ、ラース・アイディンガー、ジョニー・フリン、アンゲラ・ヴィンクラー、ハンス・ツィシュラー 他


 《残酷な時の流れと過去の自分に向き合うヒロイン》


 煌びやかな世界を渡り歩いてきた女優の光と影を、スイスの大自然を捉えた美しい映像や、シャネルの衣裳、壮大なクラシック音楽とともに描く人間ドラマ。


 スター街道を歩んできた女優マリア(ジュリエット・ビノシュ)は、マネージャーのヴァレンティーヌ(クリステン・スチュワート)と二人三脚で日々仕事に取り組んでいた。彼女が日の目を見るきっかけとなった作品がリメイクされることになり、彼女のもとに出演話が入ってくる。しかしオファーされたのは嘗て演じた若き美女シグリッド役ではなく、シグリッドに翻弄される中年の上司ヘレナ役。主演はハリウッド映画で活躍する新進の女優ジョアン(クロエ・グレース・モレッツ)に決まっていた…。


 落ち目の舞台俳優が主役で、業界の内幕ものという点は、アレッサンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「バードマン」と同じだが、あちらがブラック・コメディだったのに対してこちらはどことなくシリアス調。話自体も地味なので、ついつい睡魔が襲ってくる(笑)。


 それでも大好きなクロエちゃんが出ているので、頑張ってみるのだが、彼女は映画の後半からしか出てこない。勿論、そこからはジュリエット、クリステンそしてクロエちゃんの演技合戦という形にはなるのだが、この3人の中ではクリステン・スチュワートの演技が見事。この映画はフランス・スイス・ドイツ合作だが、フランスのアカデミー賞にあたるセザール賞助演女優賞をアメリカ人女優として史上初の受賞となったことも頷ける。


 ちなみに、劇中劇のタイトルになっている「マローヤの蛇」は、映画の中でも描かれるアルプスで、美しい雲海の名称である。映画ではものすごく残酷な“時の流れ”が描かれるのだが、これはその象徴で、その非情さに抗わず、今の自分を受け入れようとする主人公の姿に重なるところは印象的だ。


私の評価…☆☆☆★

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2016年1月19日 (火)

図書館戦争 THE LAST MISSION

図書館戦争 THE LAST MISSION
図書館戦争 THE LAST MISSION
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:佐藤信介
脚本:野木亜紀子
原作:有川浩「図書館戦争」シリーズ
プロデューサー:辻本珠子
音楽:高見優
出演:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼太、西田尚美、橋本じゅん、相島一之、栗山千明(特別出演)、石坂浩二、テイ龍進、浪岡一喜、阿部丈二、増田修一朗、松本若菜、井坂俊哉、生島勇輝、春日井静奈、やべけんじ、相澤一成、土屋太鳳、中村蒼、中原丈雄、相築あきこ、松坂桃李、小村比呂、鈴木達央、手塚とおる、デビット伊東、二階堂智、螢雪次朗 他


 《ストーリーは実写向きではないのでは?》


 人気作家・有川浩のベストセラー小説の実写映画化第2弾。前作のキャストが再登板し、図書隊壊滅を目論む男の陰謀に立ち向かう。


 近未来の日本。国家による思想検閲やメディア規制が広まるのに対抗し、読書の自由を守るために図書館の自衛組織「図書隊」が結成される。読みたい本を取り上げられそうになったところを図書隊隊員に助けてもらった笠原郁(榮倉奈々)は、その隊員に憧れ自ら図書隊に入隊。特殊部隊タスクフォースに所属され、非常に厳しい教官・堂上篤(岡田准一)や上官の小牧幹久(田中圭)、手塚光(福士蒼太)や柴崎麻子(栗山千明)といった同期の仲間らとともに過酷な訓練と図書館業務にあたっていた。


 ある日堂上らのもとに、1冊しか現存していない自由の象徴である「図書館法規要覧」が展示される「芸術の祭典」の会場警備をするよう指令が下る。しかしこれは図書隊を解散させ社会を正そうとする手塚の兄・慧(松坂桃李)が仕組んだ罠で、検閲実行部隊「良化隊」による急襲を受け、為す術もなく1人、また1人と凶弾に倒れていくタスクフォース達。堂上たちは無事に本を、仲間たちを守りきれるのか…?


 これはやっぱり前作もそうだったが、設定に無理がありすぎる。アニメならまだしも実写となると、話自体が浮きまくっているような気がする。


 なので、慧が仕掛けた罠によって図書隊が危機に陥るミステリーよりも、郁と堂上の恋愛に焦点をあてて観た方が楽しめるのではないか。この2人の不器用な恋愛は見ていてもどかしいけど面白い。タイトルを見ると一応これで完結なのだろうが、本当にコレでいいの? 原作では最終的に結婚するはずなので、そこまで描いてもいいと思うんだけど。


私の評価…☆☆☆

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2016年1月17日 (日)

メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮

メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ウェス・ボール
脚本:T・S・ノーリン
原作:ジェームズ・ダシュナー「メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮」
製作:マーティ・ボーウェン 他
音楽:ジョン・パエザーノ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ディラン・オブライエン(畠中祐)、カヤ・スコデラーリオ(能登麻美子)、トーマス・ブローディ・サングスター(山下大輝)、キー・ホン・リー(井上剛)、パトリシア・クラークソン(榊原良子)、リリ・テイラー(藤貴子) 他


 《3部作の第2作の宿命…その2》


 全世界55か国でNo.1ヒットを記録、日本でもヒットした映画の続編。原作が3部構成となっているため、映画も3部作構想となっている。3作目となる次作は北米で2017年公開予定。


 巨大迷路を攻略し、出口を見つけたトーマス(ディラン・オブライエン)やテレサ(カヤ・スコデラーリオ)、ニュート(トーマス・ブローディ・サングスター)たち。外の世界で、自分たちを迷路に送り込み、操っていたのが「WCKD(ウィケッド)」という組織であることを知る。


 トーマスたちが身柄を保護された施設には、すでに多くの若者たちがいた。実は他にも迷路が存在し、それをサバイブした者が集められていたのだ。やがてトーマスは、若者の1人、エリスから、驚愕の事実を聞く。保護されたと思われたこの施設こそ、WCKDの人体実験施設で、ここにいる者たちは、その材料に使われる運命にあると…。


 命の危険を察したトーマスは、テレサ、ニュート、ミンホ(キー・ホン・リー)、エリスらとともに、施設から脱走。しかし建物の外には、太陽に灼きつくされ、全てが崩壊した砂漠のような光景がどこまでも広がっていた。迫りくるWCKDの捜索隊に、新たな敵。両者の攻撃や追跡を必死に逃れながら、WCKDに対抗する「ライト・アーム」という集団が潜んでいるという山をめざす。しかし、あちこちに仕掛けられた攻略不能のトラップ=罠。新たな仲間との友情と裏切り、深まる謎、そして衝撃の犠牲…。


 焦土と化した終末世界でのサバイバルには、どんな意味が? 走り続けるトーマスが知る禁断の事実とは?


 これも3部作の真ん中なので、どうしても中途半端な感は否めないが、話が単純明快な分、「ダイバージェントNEO」と比べれば、はるかにマシな映画である。


 前作は、閉塞感漂う巨大迷路が舞台だったが、そこから脱出し外へ出たので、行動範囲が格段に広くなり、砂漠と廃墟でゾンビやWCKDから逃げ回るため、迷路ではない。邦題は「メイズ・ランナー2」がメイン・タイトルだが、原題はこれがサブ・タイトルの方になっている。


 謎の組織WCKDの真の目的がはっきり明かされないイライラ感は、どうしても残ってしまうが、世界観が徐々に明らかになり、主人公自身の役割もはっきりしてくる。前作のような、日によってルートが変わる迷路の面白さは無くなったが、次々とシチュエーションが変化し、先の読めないジェットコースターのような展開は楽しいし、恐らく次の最終章は、さらにそれが加速していくだろうから、これはもう大いに期待したい。


私の評価…☆☆☆

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2016年1月16日 (土)

ダイバージェントNEO

ダイバージェントNEO
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ロベルト・シュヴェンケ
脚本:ブライアン・ダフィールド、アキヴァ・ゴールズマン
原作:ヴェロニカ・ロス「ダイバージェント2 叛乱者」
製作:ダグラス・ウィック 他
製作総指揮:ニール・バーガー
音楽:ジョセフ・トラパニーズ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):シャイリーン・ウッドリー(坂本真綾)、テオ・ジェームズ(鈴木達央)、オクタヴィア・スペンサー(高山みなみ)、ジェイ・コートニー(高瀬右光)、レイ・スティーブンソン(菅生隆之)、ゾーイ・クラヴィッツ(志田有彩)、マイルズ・テラー(後藤ヒロキ)、アンセル・エルゴート(細谷佳正)、マギー・Q(加藤有生子)、ナオミ・ワッツ、ケイト・ウィンスレット(田中敦子)、メキ・ファイファー、ダニエル・デイ・キム、キーナン・ロンズデール、アシュレイ・ジャッド、トニー・ゴールドウィン、スーキー・ウォーターハウス、ジャネット・マクティア、ローサ・サラザール、エムジェイ・アンソニー、ジョニー・ウェストン 他


 《3部作の第2作の宿命》


 ヴェロニカ・ロスのベストセラー小説をシャイリーン・ウッドリー主演で3部作として映画化したSFアクションの第2作。人類が性格別に分けられた5つの共同体で生きる近未来の地球を舞台に、そのどれにも属さない“異端者(ダイバージェント)”と判定されたヒロインが自らの運命と戦う姿を描く。


 最終戦争から150年後。人々は性格診断テスト屋により「勇敢」「無欲」「高潔」「平和」「博学」という5つの何れかの共同体に分類されその管理下に置かれていた。しかしトリス(シャイリーン・ウッドリー)は何れにも属さない「異端者=ダイバージェント」であると診断される。異端者は秩序を脅かす危険分子とみなされており、「博学」の権力者・ジェニーン(ケイト・ウィンスレット)は彼女の排斥に動きだす。様々な困難に直面しながらも、愛する人々を守ろうと立ち向かっていくトリス。彼女の両親が死守しようとしジェニーンに奪われたある箱には、異端者とこの世界にまつわる重大な秘密が隠されていた…。


 殆どの映画に於いて、最初から3部作として作られている物の第2作は、3作目への繋ぎとしての役割しか持たないので、一部の例外(「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」等)を除いて、評価が落ちる。


 この映画もそんな1本で、派閥の創始者が記録した未来へのメッセージが入った箱をめぐる、細々とした話が続くだけで、終盤までたいした見所が無い。ラストシーンで大きな動きがあるが、今までの謎が解決し敵役が排除されたと思ったら、また新たな謎と敵が出てきたよ、ってだけ。


 最近の他の3部作同様、この映画も第3部は前・後編に分かれるようだが、日本ではイマイチ興行が成功しているように思えず(角川のプロモーションもどこか消極的)、3作目がちゃんと公開されるのか心配。この2作目でさえ1作目の時より公開規模がかなり縮小されているのだから、スクリーン数が減らされるのは間違いない。できるだけ最後までスクリーンで観たいのだが、果たしてどうなるか。


私の評価…☆☆★

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2016年1月14日 (木)

〈新・午前十時の映画祭〉グレン・ミラー物語(1954 年)

〈新・午前十時の映画祭〉グレン・ミラー物語(1954<br />
 年)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:アンソニー・マン
脚本:ヴァレンタイン・デイヴィス、オスカー・ブロドニー
製作:アーロン・ローゼンバーグ
音楽:ジョセフ・ガーシェンソン
音楽監督:ヘンリー・マンシーニ
出演:ジェームズ・ステュアート、ジューン・アリソン、ハリー・モーガン、チャールズ・ドレイク、ジョージ・トビアス、バートン・マクレーン、ルイ・アームストロング、ベン・ポラック、ジーン・クルーパ 他


 《幸せなムードが醸し出された音楽映画の傑作》


 スウィング・ジャズの創始、グレン・ミラーの伝記的映画。名曲の誕生秘話とともに、妻ヘレンとのラブ・ロマンスを交え、作曲家として名声を博しながらも、突然の飛行機事故で亡くなるまでを描く。


 若いトロンボーン奏者グレン・ミラー(ジェームズ・ステュアート)は、新しい音楽を創りだす悲願を抱き、苦しい生活を忍んでいた。彼の親友のピアノ奏者チャミー(ヘンリー・モーガン)さえも、グレンの目的に疑いを持つようになったが、グレンのアレンジした楽曲がベン・ポラック(本人出演)の耳に留まり、ポラックの編曲助手として採用され彼の楽団と共に演奏ツアーに出た。


 デンバーに来た時、グレンは学生時代のガールフレンドのヘレン(ジューン・アリソン)に電話をかけ、真夜中に彼女を訪れた。彼はヘレンとは2年間も音信不通であったが、彼女を彼の両親の家へ朝食に連れ出した。彼の唐突なやり方にヘレンも初めは逆らったが、次第に彼に惹かれるようになった。だが、グレンが彼女に求愛しようとした時、チャミーが現われ、グレンを仕事に連れ去ってしまう。大衆音楽に新しい音色を入れようと努力を続けるグレンは、楽団斡旋屋のドン・ヘインズに認められたのを機にポラックの許を去り、2年間編曲に専念したが成功せず、この原因はヘレンのいない事だと悟った。


 彼は直ちに長距離電話でヘレンを呼び結婚を申し込む。式はニューヨークの小さな教会で挙げられた。このヘレンのすすめでグレンは本格的に作曲の勉強をはじめる。まとまった貯金ができた時、ヘレンはグレンに自分の楽団を組織する事を勧めた。6か月後ボストンに出演する事になったが、事故のため楽団は解散せざるをえなくなり、妊娠中のヘレンも流産し入院してしまう。一家の苦境を知ったボストンのポール・ルーム経営者シュリプマンは、グレンに1000ドルを提供して楽団を再編させ、ポール・ルームに出演させた。その時偶然、トランペット奏者が唇を切ったので、彼のスコアをクラリネットに書き替えて演奏させたところ、これが計らずもグレン・ミラー・サウンドの誕生となり、未来への光明が開けた。


 やがて長男が生まれ、演奏も大当りが続き、レコードもヒット。ハリウッドからも招かれるという、絶頂の最中に第二次世界大戦が勃発する。グレンは志願して空軍に入り、戦債と兵員募集のための演奏を続け、ヨーロッパ戦線へ慰問旅行に出かけた。クリスマスの日にはパリから米国向けに特別放送をすることになり、その番組でヘレンたちに呼びかけようと決めるのだが…。


 映画100年の歴史には、名コンビといわれた俳優たちがいる。まず、戦前から戦後におけるミュージカル&ダンス映画で、10作ほど共演しているフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース。1970年代以降だと現時点で4度共演しているロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープがパッと思い浮かぶが、この映画のジェームズ・ステュアートとジューン・アリソンも、その代表格だ。ジェームズ・ステュアートは「アメリカの良心」、ジューン・アリソンは「隣のお嬢さん」などと呼ばれ、共に当時の“古き良きアメリカ”を体現していたように思うのだが、映画でも3度共演している。


 そんな2人の共演だから、伝記もののこの映画も実にハートフル。実在の人物の最期まで描くため、最終的には悲劇を迎えるが、誠実さと直向きな2人の魅力が相まって、何とも幸せなムードが全編に醸し出されている。


 また、グレン・ミラーといえば、アメリカの第2の国歌ともいわれて親しまれている「ムーンライト・セレナーデ」や「茶色の小瓶」、「イン・ザ・ムード」等の名曲で知られているが、そんな名曲がどのような経緯で誕生したかが丁寧に描かれていて、聴き心地もいい。正に古き良き音楽映画、名作の1本である。


私の評価…☆☆☆☆

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2016年1月12日 (火)

ピッチ・パーフェクト2

ピッチ・パーフェクト2
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:エリザベス・バンクス
脚本:カイ・キャノン
原作:カイ・キャノン「Characters created」、ミッキー・ラプキン「Pitch Perfect: The Quest for Collegiate A Cappella Glory」
製作:エリザベス・バンクス 他
音楽:マーク・マザーズボー
出演:アナ・ケンドリック、レベル・ウィルソン、ヘイリー・ステインフェルド、ブリタニー・スノウ、アレクシス・ナップ、ハナ・メイ・リー、エスター・ディーン、クリッシー・フィット、ケリー・ジャッキー、シェルリー・レグナー、スカイラー・アスティン、アダム・ディヴァイン、ケイティ・セーガル、アンナ・キャンプ、ベン・プラット、ビルヒッテ・ヒオート・ソレンセン、フルラ・ボーグ、ジョン・マイケル・ヒギンズ、エリザベス・バンクス、スヌープ・ドッグ、デヴィッド・クロスブレイク・シェルトン、クリスティーナ・アギレラ、ファレル、アダム・レヴィーン、ペンタトニックス 他


 《いい意味で、2匹目のドジョウ》


 全米で2012年(日本公開は2015年)に公開され、大ヒットを記録した青春映画の続編。既に「3」の製作もアナウンスされている。


 ベッカ(アナ・ケンドリック)たち女子大生のアカペラチーム「バーデン・ベラーズ」が全米大会で初優勝してから3年。ところが、チームはスキャンダルを起こし、今では大会出場禁止の処分を受けていた。新メンバーとしてエミリー(ヘイリー・ステインフェルド)が加わり、ようやく一度だけ名誉挽回のチャンスが与えられたものの、勝利に対するプレッシャーや卒業後の進路に対する不安などから、みんなの心はバラバラ。そんな時、ドイツから史上最強のライバル、ダス・サウンド・マシーン(=DSM)が現れ、ベラーズは窮地に追い込まれてしまう。だが彼女たちは、逆境に負けない強さを持っていた。それぞれが試練を乗り越え、熱い友情のパワーと持ち前の負けん気で自分たちの声を見つけ、世界のステージを目指してゆく…。


 基本的に「1」を観ていることが前提で話が進むので、前作の予習復習は必須。でも、やっていることやパターンは殆ど一緒(笑)。ただ、全米大会が世界大会へとグレードアップし、下ネタおよび差別ネタ満載でキャラクターのビッチぶりもアップした。


 前作から3年経ったことで、主役のベッカは上級生になり、前作のベッカの役割は、新入りのエミリーに引き継がれる。今回はベッカを始めとするメンバーたちのベラーズからの巣立ちと、世代交代がテーマなのだ。だからなのか、単なるおバカ映画に終わらず、将来のことに悩むベッカらの普遍的な悩みだとか友情なんかもさり気なく盛り込まれている。このあたりはやはり女性監督ならではの演出なのだろう。ちなみに、監督のエリザベス・バンクスは本来は女優であり、前作に引き続き本作にも出演している。


 そして、やはりこの映画の魅力は何といっても多様なジャンルの音楽が楽しめるところだ。前作同様、中盤の見せ所となる音楽バトル“リフ・オフ”は、見せ方としては前作より劣るものの、楽曲は今回も見事にハマっている。


 一応、主役はアナ・ケンドリック扮するベッカだが、今回影の主役といっていいのが、ファット・エイミーだ。演じるレベル・ウィルソンが出てくるだけでも可笑しいのだが、いろんな意味で最初から最後までブッ飛んでいた。本作で殆どのメンバーは卒業してしまうだろうから、3作目はメンバーががらっと変わるだろうけど、今回のオーブリーのようにファット・エイミーはOGとして出てくれると嬉しいのだが、果たして、どうなるか。


私の評価…☆☆☆★

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2016年1月 6日 (水)

マイ・インターン

マイ・インターン
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ
製作:ナンシー・マイヤーズ、スザンヌ・ファーウェル
製作総指揮:セリア・コスタス
音楽:セオドア・シャピロ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ロバート・デ・ニーロ(野島昭生)、アン・ハサウェイ(園崎未恵)、レネ・ルッソ(幸田直子)、アンダーズ・ホーム(川島得愛)、クリスティーナ・シェラー(槙乃萌美)、ジョジョ・クシュナー(佐野仁香) 他


 《若者と高齢者、アメリカと日本での捉え方の違い》


 ニューヨークのファッション業界を舞台に、オンラインサイトのCEOとして働くキャリアウーマンが、40歳年上のアシスタントとの出会いを機に成長していく姿を描く人間ドラマ。「プラダを着た悪魔」(2006年)ではファッション業界でキャリアアップしていくヒロインを演じたアン・ハサウェイが、今度はファッションサイトの社長を演じるということで、あたかも「プラダ〜」のヒロインのその後を描くような物語。


 華やかなファッション業界で成功し、結婚してプライベートも充実、現代女性の理想の人生を送るジュールズ(アン・ハサウェイ)。そんな彼女の部下にシニア・インターンのベン(ロバート・デ・ニーロ)が雇われる。最初は40歳も年上のベンに何かとイラつくジュールズだが、いつしか彼の的確な助言に頼るように。彼の「豊かな人生経験」が彼女のどんな難問にもアドバイスを用意し、彼の「シンプルな生き方」はジュールズを変えていく…。


 そんな時、ジュールズは思わぬ危機を迎え、大きな選択を迫られることに…!


 この映画は若い世代と高齢者が理想的な形で共存する社会を描く、まぁちょっと出来すぎた現代のお伽話。だが、この映画から考えさせられることや学ぶことはたくさんある。ヒロインは柔軟な思考で動く女社長だが、頑張りすぎると周囲が見えなくなる。一方、シニア・インターンのベンは、責任感を持って誠実に仕事をこなす人物で、人生経験豊かな年配の男。性格が真逆の設定は、“バディもの”コメディの定番で、本作にもその世代間ギャップを、ヒロインではなくベンの目線で描いている。


 この映画、やけにベン目線の部分が多いと思ったら、そのわけはタイトルにあった。邦題は「マイ・インターン」なのだが、実は原題は「THE INTERN」。そう、本来はベンが主役の話なのだ。本国版と日本版の予告編を見比べてみても、それがよく分かるのが面白い。恐らく日本ではアン・ハサウェイを主演として上映した方が、若者をターゲットにできるし興行面で成功すると考えられたのだろう。実際その読みは当たっていて、ヒットしているのだが、やはりこれは年配の人に観てほしい映画。若い世代との付き合い方を考える、1つのヒントになる映画なのである。


私の評価…☆☆☆★

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2016年1月 5日 (火)

ファンタスティック・フォー(2 015年)

ファンタスティック・フォー(2<br />
 015年)
ファンタスティック・フォー(2<br />
 015年)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ジョシュ・トランク
共同脚本:ジェレミー・スレイター、サイモン・キンバーグ
原作:スタン・リー、ジャック・カービー「アルティメット・ファンタスティック・フォー」
製作:サイモン・キンバーグ 他
製作総指揮:ケヴィン・フェイグ
音楽:マルコ・ベルトラミ、フィリップ・グラス
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):マイルズ・テラー(木村昴)、マイケル・B・ジョーダン(櫻井トオル)、ケイト・マーラー(堀北真希)、ジェイミー・ベル〔ベン・グリム/ザ・シング〕(遠藤純/ゴリ<ガレッジセール>)、トビー・ケベル(阪口周平)、レグ・E・キャシー(土師孝也)、ティム・ブレイク(てらそままさき) 他


 《監督&プロデューサーの不仲が生んだ、悲惨な映画》


 2005年に製作された、「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」をリブートした映画。


 発明オタクの少年リード・リチャーズは、小学校5年で同級生のベン・グリムとともに物質転送装置の発明をしていたが、周囲からはただの空想だと思われていた。それから7年後、装置の転送成功がバクスター財団のストーム博士(レグ・E・キャシー)の目にとまり、財団の学生研究員にスカウトされる。


 財団の施設には、博士の養女スー(ケイト・マーラー)、息子のジョニー(マイケル・B・ジョーダン)、そして同じく物質転送装置の研究を続けるビクター(トビー・ケベル)がいた。ついに本格的な転送装置が完成し、異次元空間「プラネット・ゼロ」に転送された、リード(マイルズ・テラー)、ジョニー、ビクター、そしてベン(ジェイミー・ベル)。しかし、ビクターが行方不明になるアクシデントが勃発。3人は何とか地球に帰還するが、装置を操作していたスーも含め、異次元のパワーにより不思議な能力を身につけてしまう。


 秘密軍事施設に移送された4人だが、リードは施設を脱走し、ベンは軍の秘密兵器として戦場へ、それぞれがパワーに戸惑い4人はバラバラになってしまうのだった…。


 何で今更リブートしたのか、よくわからない。2005年と07年に作られたティム・ストーリー監督版とは作風も雰囲気もガラッと変わった。


 実は、タイトルは同じ「ファンタスティック・フォー」でも前作とは原作が違う。ティム・ストーリー監督版は原作もオリジナル版のファンタスティック・フォーなのだが、今回は「アルティメット・ファンタスティック・フォー」といって2000年から設定を一新したシリーズを原作としている。これはサム・ライミ監督版「スパイダーマン」に対する「アメイジング・スパイダーマン」でも同じだったのだが、「アメイジング・スパイダーマン」はさほど違和感はなかった。それに対してこの映画は、設定やら何から何まで前作とは全く違った物という印象を受ける。


 それでも、変身能力が備わる前までは丁寧な描写で楽しめるのだが、その後が酷い。一番盛り上がるハズのクライマックスが、粗い描写になってしまえば、客もついてこられないし、まるで話数が1回カットされた民放ドラマの最終回みたいで、見ていられない。


 さらに最悪なのは、プロデューサーと監督が不仲だったということである。役者同士ならともかく、製作側の2トップがソレなのだから、現場にいい空気が流れるはずがない。当初は3Dで公開されるはずだったものができなくなるなど、トラブル続きでもあったらしく、そんな状態ではいい作品なんてできっこないのである。それでも一応、2017年に続編企画が予定されている。恐らくキャストやスタッフの一部は入れ替わるだろう。仕切り直しに失敗した作品が、どう“ファンタスティック”に変わるか、注目したい。


私の評価…☆

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2016年1月 3日 (日)

屍者の帝国

屍者の帝国
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:牧原亮太郎
脚本:瀬古浩司、後藤みどり、山本幸治
原作:伊藤計劃、円城塔
音楽:池瀬広
主題歌:EGOIST「Door」
声の出演:ジョン・H・ワトソン…細谷佳正、フライデー…村瀬歩、フレデリック・ギュスターヴ・バーナビー…楠大典、ハダリー・リリス…花澤香菜、ニコライ・クラソートキン…山下大輝、アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフ…三木眞一郎、山澤静吾…斉藤次郎、ユリシーズ・シンプソン・グラント…石井康嗣、マニーペニー…桑島法子、トーマス・エジソン…武田幸史、シャーロック・ホームズ…高杉義充、M…大塚明夫、ザ・ワン…菅生隆之、ナレーション…二又一成 他


 《アニメ版「進撃の巨人」スタッフの手腕が冴える映画》


 2009年に34歳で夭折した小説家・伊藤計劃の作品をアニメ映画化する“Project Itoh”の第1弾。伊藤が遺した未刊の原稿を、親友の円城塔が書き継ぎ完成させた長編を基に、オリジナルで映画化。


 19世紀末のロンドン。技術進歩により死体を蘇らせることに成功、屍者を労働力に充てていた。英国政府の秘密組織ウォルシンガム機関に呼ばれた医学生ジョン・ワトソンは、100年前にヴィクター・フランケンシュタイン博士が遺した「ヴィクターの手記」を探すよう密命を受ける。その書には、生者同様に意志を持つオリジナルの屍者ザ・ワンを生み出した技術が記されているらしい。ワトソンは新型の屍者を率いて叛乱を起こしたロシア帝国軍従軍司祭である屍者技術者アレクセイ・カラマーゾフが姿を消したアフガニスタン奥地へ向かうことに。カラマーゾフが新型の製造にあたり「ヴィクターの日記」に記された技法を用いたことが十分考えられた。すべての行動を記録する屍者フライデーを伴い、ワトソンの旅が始まる…。


 壮大なスケールのダーク・ファンタジー映画。人類の生と死や尊厳が描かれるため、やや難解ではあるが、とりあえず原作未読でも楽しめるようにはなっている。フランケンシュタインや、シャーロック・ホームズといった、有名な小説のキャラクターが出てくるため、そっちの話を知っていたらなお、面白いかもしれない。アニメ版「進撃の巨人」のスタッフが携わっているので、映像のクオリティーは高く、多少ツッコミどころはあるものの、あまり気にせず観ることができた。


 ただ、折角この後「虐殺器官」「ハーモニー」と、それぞれ独立した伊藤計劃原作の映画化作品が観られるはずだったのに、「虐殺器官」は、その1作のみを製作した会社の倒産で、現時点では観られない状態になっているのは残念としかいいようがない。スタッフやキャストにギャラが払えてからの倒産なら、何とか公開できるのだろうが未払いらしく、公開の目処が立っていないようである。このため「ハーモニー」が順番を繰り上げて公開されたが、「虐殺器官」も早く解決して公開されることを望む。


私の評価…☆☆☆☆

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2016年1月 2日 (土)

クリード チャンプを継ぐ男

クリード チャンプを継ぐ男
クリード チャンプを継ぐ男
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ライアン・クーグラー
製作総指揮:ニコラス・スターン
製作:シルヴェスター・スタローン 他
音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルヴェスター・スタローン、テッサ・トンプソン、アンソニー・ベリュー、グレアム・マクタヴィッシュ、フィリシア・ラシャド、アンドレ・ウォード 他


 《出涸らしだって、悪くない!》


 人気映画「ロッキー」シリーズで、前作「ロッキー・ザ・ファイナル」以来約9年ぶりの続編。通算7作目にして初のスピンオフ作品。


 アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)の父親は世界的に有名なボクシングのヘビー級チャンピオンだったアポロ・クリードだが、彼が生まれる前に死んでしまったため、父のことを何も知らない。それでも、明らかにアドニスにはボクシングの才能が受け継がれていた。アドニスは、父がタフな無名のボクサー、ロッキー・バルボア(シルヴェスター・スタローン)と死闘を繰り広げた伝説の戦いの地フィラデルフィアへ向かう。


 フィラデルフィアに着いたアドニスは、ロッキーを捜し出し、トレーナーになるよう頼む。ロッキーは、ボクシングからは完全に手を引いたと断るが、嘗ての宿敵で、後に親友となったアポロと同じ強さと決意をアドニスの中に見出し、トレーナーを引き受ける。若いボクサーを鍛え始めるロッキーを味方につけたアドニスは、タイトル戦への切符を手に入れるが…。


 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。という事で、早速元日に観に行った映画のレビューです。


 「ロッキー」シリーズも前作できれいに終わって、もう続く事はないだろうと思っていたのだが、まさかこういう形で続くとは思っていなかった。


 どこから引っ張りだしてきたのか、今度はロッキーの宿敵にして最高の親友だったアポロの息子が主役。最愛のエイドリアンやミッキー、ポーリーも亡くし、ボクシングに意欲を無くしたロッキーは、1作目の老トレーナー=ミッキーのような役回りとなる。


 過去作の栄光を台無しにする出涸らしのような企画にも思えるが、いざ観てみると、中身は悪くない。基本は若手ボクサーの成長物語なのだが、在りし日の親友以上の素質がその息子にあるのを見抜いたロッキーが、初期の悪性リンパ種と闘いながら、生きる希望を取り戻していく復活物語に見事に仕上がっている。


 「1」と「2」の試合シーンや「3」でのトレーニング場面など、シリーズを知る者にとっては懐かしい場面が随所に盛り込まれ、息子の試合前に母親からのある“贈り物”が届けられる場面は、胸に込み上げてくるものがあるし、人間ドラマとしてはシリーズ屈指の仕上がりになっている。


 特に、ロッキー役のスタローンが今回はいつになく素晴らしい演技を見せている。大体、この人を含めシュワルツェネッガーなどの肉体派俳優は、どんな映画に出たところで、アカデミー賞のウラで行われるラズベリー賞のような最低男優賞に選ばれるのが常なのだ。ところが今回は、彼にこんな演技力があったのかと正直驚いた。それくらい、いい感じに枯れたロッキーを演じきっている。現時点でゴールデン・グローブ賞の有力候補になっているようだが、勢いに乗ってオスカー像も獲ってほしい。


 この映画大コケはしていないものの、アメリカでは平凡な興収成績に終わったため、続編製作の話はあるものの、できるかどうかは微妙なところ。いい引き継がれ方をしているので、作られたらまた観に行きたい。


私の評価…☆☆☆☆★

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