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2016年3月

2016年3月30日 (水)

さらば あぶない刑事

さらば あぶない刑事
さらば あぶない刑事
劇場:T・ジョイ京都
監督:村川透
脚本:柏原寛司
音楽:安部潤
主題歌:舘ひろし「冷たい太陽 Final Version」
出演:舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル、ベンガル、山西道広、長谷部香苗、衣笠拳次、伊藤洋三郎、木の実ナナ、小林捻侍、菜々緒、吉川晃司、夕輝壽太、吉沢亮、入江甚儀、片桐竜次、須藤正裕、一ノ瀬ワタル、LiLiCo、宮下順子、池田努、松浦慎一郎、中条静夫(アーカイブ出演) 他


 《昭和テイストな刑事ドラマの終焉》


 人気テレビドラマ「あぶない刑事」劇場版シリーズ第7作。前作の「まだまだあぶない刑事」から約11年ぶりの新作で、シリーズ最終作となる。当初は前作が完結編となるはずだったが、2006年より刊行されたDVDマガジンの売り上げが好調だったため、新作の制作が決まった。


 横浜港署捜査課のタカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭兵)の両刑事は定年退職を5日後に控え、同課課長となった町田透(仲村トオル)の心配をよそに銀星会の残党で今では新興やくざ・闘竜会の幹部である伊能を追い彼が仕切るブラックマーケットに踏み込む。そして2人の友人である嘗て少年課に勤めていた神奈川県警重要物保管所所長・真山薫(浅野温子)は、IT企業社長との結婚を決め浮かれていた。そんな中伊能が殺され。各国マフィアの危うい均衡が崩れてしまう。タカとユージはキョウイチ・ガルシア(吉川晃司)率いる中南米の犯罪組織BOBに目をつける。あらゆる犯罪に手を染め獰猛なまでの力で抗争相手を壊滅させてきた彼らが、遂に横浜に進出してきた。嘗て自分が更正させた元不良グループのリーダー川澄(吉沢亮)がこの事件に関与している事を知ったユージが動き出す一方、タカの恋人・夏海(菜々緒)がアメリカ領事館に務めていた頃にガルシアと接点を持っていた事が判明する。BOBは押収された危険ドラッグを奪い
返そうと港署重要物保管庫を襲撃。事件が拡がりを見せる中、タカとユージは嘗てない凶悪な敵を相手に刑事人生最後の闘いに向かっていく…。


 TV放送から30年。主役のお二人は還暦を過ぎているが、放送開始当初からキャラが一切ブレておらず、元気に走り回っている姿を観るだけでも嬉しい映画だ。今回は本当に(?)ラストということで、山西道広やベンガルといった定年組も顔を見せる。さすがにシリーズ初期を支えた“ハルさん(故・秋山武史)”のアーカイブ出演は無かったが、在りし日のタヌキ課長の姿をラストに見た瞬間、自分自身も30年前に戻ったかのような、懐かしい思いがした。


 ストーリーはツッコミどころ満載で荒唐無稽だが、それが逆にこのシリーズらしいところでもある。最近作ではロケット弾などの無茶なCGが目立っていたが、今回はさすがにそれは無し。かなりの部分でリアルファイトに拘ったことで、完結編に相応しいものになった。


 最近は刑事ドラマ自体がリアル路線や人情ベースのものとなり、この「あぶデカ」のような拳銃ドンパチシーンてんこもりのドラマなんてまず見られない。同じ東映制作の「相棒」などで、見かけることはあってもこんな派手なものではない。僕にとっては楽しかった昭和テイストの刑事ドラマは、この映画でもって終焉を迎えたと言っていいだろう。


 退職後の鷹山と大下の姿がエピローグで流れるが、これ、スピンオフ狙いかな(笑)?


私の評価…☆☆☆☆

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2016年3月27日 (日)

シンドバッド 魔法のランプと動く島

シンドバッド 魔法のランプと動く島
劇場:イオンシネマ京都桂川
監督:宮下新平
シリーズ構成:川崎ヒロユキ
脚本:早船歌江子
音楽:大野宏明
主題歌:whiteeeen「ポケット」
出演:シンドバッド…村中知、サナ…田辺桃子、ナジブ…宮澤正 青山穣、ラザック船長…鹿賀丈史、アリ…永澤菜教 他


 《3連作中間部分の宿命》


 船乗りを夢見る少年シンドバッドが仲間たちと共に不思議な冒険を繰り広げる、日本アニメーション創立40周年記念、劇場オリジナルアニメ3部作の第2弾。完結編となる第3作は5月に第1作と2作のダイジェスト付きで上映が決定した。


 伝説の魔法族の姫である少女サナは、世界中に散り散りになった仲間を探す旅をしていた。そんな彼女を助けるためシンドバッドはバハル号の船員アリや仲間たちと共に魔法族を求めて大海原に乗り出していく。ところが、嵐でバハル号が損傷、その修理のため近くの島に立ち寄ることになり、シンドバッドたちはボートで島に上陸する。そんな中、サナは仲間が残したという神聖な力を司る謎のランプの力を感じ、シンドバッドとサナ、アリ、そしてお猿のミミはランプの捜査に乗り出す。すると水の上を走る青い馬や、船ほどもある巨大な足跡に遭遇。さらに大地が振動していることに気付くが、謎を追い奥へと進むシンドバッドたちはバハル号とはぐれてしまう。やがて島全体が動き始め、サナを狙うダールの魔の手が迫ってくる…。


 やはり3作連続で作っているような作品の2作目は、殆どどんなものでもそうなのだが、質もテンションも1作目より下がってしまう。せっかくアニメーション製作の老舗会社の記念作品なのだから、あまりショボいものにはしてほしくない。1作目は「世界名作劇場」っぽい雰囲気もあり、僕の世代はドンピシャに当てはまるので楽しめたが、1作目も本作も映画としては物足りないのは確かで、この内容と上映時間であれば、無理して映画で公開する必要は無い。それよりも、BSフジででもいいから「世界名作劇場」シリーズの復活を望みたい。実は地上波でのシリーズ終了後、2000年代に入ってBSフジで新シリーズが放送されていたが、現在は放送枠が無くなってしまっている。今の子供たちはこういうアニメには見向きもしないのかもしれないが、それが事実ならなんとも寂しい話だ。とにかくこうなったら最後まで付き合うから、完結編はファンが納得して楽しめるものにしてほしい。


私の評価…☆★

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2016年3月26日 (土)

道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUM ENTARY of NMB48

道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUM<br />
 ENTARY of NMB48
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:舩橋淳
プロデューサー:秋元康
出演:NMB48 他
ナビゲーター:須藤凜々花(NMB48)
ナレーション:萩原聖人


 《秋葉原や栄とは異なる難波の戦略》


 AKB48の姉妹グループとして結成以来、着実にファンを増やしてきたグループのメンバーたちが抱える葛藤や悩みを映し出す。


 “アイドル不毛の地”と呼ばれ続けてきた大阪で、2010年に誕生した女性アイドルグループNMB48。リリースされたシングル13枚のうち11枚、そして2枚のアルバムがオリコンチャート1位を獲得する。難波にある専用劇場での観覧倍率は20倍以上。地元の大阪城ホールだけでなく、東京・日本武道館2DAYSも超満員にするほどの人気である。だがそんな輝かしい記録はNMB48という日本一泥臭いアイドルグループを表現するほんの小さな一面でしかない。NMB48の代表として華々しい活躍を見せ、知名度は48グループの中でもトップレベルの山本彩。かたや同じ初期メンバーでありながら、一度も選抜メンバーにさえ選ばれず“劇場職人”と呼ばれる沖田彩華。人気の手応えに自信を漲らせる白間美瑠と、自信を失い自らを追い詰めていく矢倉楓子による次世代エース争い。そして、異例の大抜擢を受けた新人・須藤凜々花を襲うセンターの魔物…。従来のアイドルたちが隠し続けてきた泥臭さや汗に塗れた人間臭さを隠そうともせず、不
格好でも夢にしがみつき、泣いてもがいて勝ち取ってきた浪速のオンナたちの闘争の記録。


 AKB、SKEに続くNMB初のドキュメンタリー。2010年秋の結成から15年夏頃迄を取り上げて描いていく。同じ舞台でも吉本などの完成されたものを見慣れた関西の客に対し、これから完成あるいは成熟させていくチームを見せていく戦略など、AKBやSKEとはまた違った売り出し方をして成功させていくのだが、その成長していくグループのなかで、選抜メンバーを目指して生き残ろうとする者たちの苦悩や葛藤を凝縮して描いている。


 NMBにとって欠かせないメンバーは山本彩と渡辺美優紀の2トップだが、人物の面では本作はそこに続く3番目の椅子を狙うメンバーの争いと、3年前の秋にグループのドラフト会議により編入し、現在人気急上昇中の須藤凜々花を中心に構成されている。気になったのは、みるきーこと渡辺美優紀があまり目立った描かれ方をされていない事だ。まぁ、りりぽん(須藤凜々花)にどうしても注目がいくのは仕方ないとしても、少し雑な扱われ方をされてないか? みるきーはつい先頃、卒業(時期は未定)を公表したようだが、グループを支えてきた2トップの片割れが抜けてしまうのは、下が育ってきているとはいえ、まだ少し早いような気もする。


 その一方で、映画の中でのりりぽんの“立ち位置”にも注目だろう。彼女はまだ新人のような立場なのだろうが、この映画ではナビゲーターのような役割を担っている。これは先輩たちを差し置いての大抜擢でもあり、それだけ期待されている証拠でもある。結構ソロでバラエティー番組にも出ているようなので、上手く育てばグループの中でもいいポジションに定着するだろう。グループのリーダーを脅かす存在になってくれば、面白いと思うのは僕だけではないはずだ。このところAKB関連のドキュメンタリーは、年々話題性が乏しくなり、面白みに欠けていたのだが、さすがに監督が変われば見方も変わり面白かった。


私の評価…☆☆☆☆

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2016年3月23日 (水)

残穢〈ざんえ〉- 住んではいけない部屋-

残穢〈ざんえ〉-<br />
 住んではいけない部屋-
残穢〈ざんえ〉-<br />
 住んではいけない部屋-
劇場:MOVIX京都
監督:中村義洋
脚本:鈴木謙一
製作:松井智 他
製作総指揮:藤岡修
音楽:安川午朗
主題歌:和楽器バンド「Strong Fate」
出演:竹内結子、橋本愛、滝藤賢一、佐々木蔵之介、坂口健太郎、山下容莉枝、渋谷謙人、成田凌、吉澤健、不破万作、上田耕一 他


 《今までに無かった、ミステリー風味のJホラー》


 第26回山本周五郎賞に輝いた小野不由美の小説を「白ゆき姫殺人事件」の中村義洋監督が映画化。奇妙な“音”がするという女子大生の住人からの投書を受け、謎を解くためにマンションとその周辺を調査することになった5人。その部屋の“過去”にはいったい何があったのか? 触れてはいけない驚愕の真実がそこに待っている…。


 小説家である「私(竹内結子)」のもとに、女子大生の久保さん(橋本愛)という読者から、1通の手紙が届く。

 「今住んでいる部屋で、奇妙な“音”がするんです」

好奇心を抑えられず、調査を開始する「私」と久保さん。すると、そのマンションの過去の住人たちが、引っ越し先で、自殺や心中、殺人など、数々の事件を引き起こしていた事実が浮かび上がる。彼らはなぜ、“音”のするその“部屋”ではなく、別々の“場所”で、不幸な末路を辿ったのか…。


 「私」と久保さんは、作家の平岡芳明(佐々木蔵之介)、心霊マニアの青年・三澤徹夫(坂口健太郎)、そして「私」の夫・直人(滝藤賢一)らの協力を得て、遂に数十年の時を経た、壮大なる戦慄の真相に辿り着く。


 だがそれは、新たなる事件の序章に過ぎなかったのだ…。


 これは映画化が決まった時に原作を読んでいて、読み終えた時に思ったことが1つ。それは、こんな地味なものが映画らしいものになるのかということだったが、映画の方は大筋は変わらないものの、大胆なアレンジがされており、ワンパターンで食傷気味になっていた最近のJホラーとは少し違う、ミステリー風味のホラーに仕上がっていた。


 主人公である実話怪談の作家の元に、住んでいる部屋で奇妙な音がするという投稿が届き、投稿主である女子大生と一緒に原因を調べていくと、その場所や過去に住んでいた人物の怪しい出来事が次々と判明していくという、その過程をドキュメンタリータッチで描いたのが原作であり、映画でもそのあたりは忠実になぞっているのだが、映画には原作に無い不気味な住職が登場。正直原作はそれほど怖くない話だったが、映画ではこの住職の登場によって一気に怖さが倍増する。しかもこの役をやっているのが、普通の役でも顔だけでインパクトがある(失礼)上田耕一なのだ。この人はラストシーンにも出てきて強烈な印象を与える。


 タイトルに使われた“残穢”とは、その土地に残された“穢れ”を意味し、その土地に関わった者が残穢によって次々と汚されていく。「呪怨」の加椰子や「リング」の貞子のような実態化したものにいきなり汚されるのではなく、実態の無い過去の因縁めいたものに汚され、その汚された者が転居する事で転居先にもそれが伝染していくというのは、今までのJホラーには無かった新機軸。映画のような賃貸住宅に住んでいない人でも、観れば自宅の土地の過去を調べてみたくなるだろう。


私の評価…☆☆☆☆

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2016年3月17日 (木)

ザ・ウォーク

ザ・ウォーク
ザ・ウォーク
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ロバート・ゼメキス
共同脚本:クリストファー・ブラウン
原作:フィリップ・プティ「マン・オン・ワイヤー」
製作:トム・ロスマン 他
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジョセフ・ゴードン=レヴィット(内田夕夜)、ベン・キングズレー(麦人)、シャルロット・ルボン(渋谷はるか)、クレマン・シボニー、ジェームズ・バッジ・デール、セザール・ドンボーイ、ベン・シュワルツ、ベネディクト・サミュエル、スティーヴ・ヴァレンタイン 他


 《WTCへの鎮魂歌》


 フランス生まれのフィリップ・プティが1974年、当時世界一の高さを誇ったニューヨークのワールド・トレード・センターの2つのビルの間にワイヤーロープを張り、命綱なしの空中闊歩に挑戦したという実話を映画化。


 8歳の時、故郷フランスで「世界一の綱渡り一座」と呼ばれるサーカス団「白い悪魔たち」の妙技に魅せられたフィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、独学でトレーニングを積み、「白い悪魔たち」の門を叩く。ところが、座長のパパ・ルディ(ベン・キングズレー)と決裂する。


 1973年。パリで大道芸人として綱渡りを披露していたフィリップは、雑誌の記事で世界最高層のワールド・トレード・センタービル建設中のニュースを知り、衝撃を受ける。このツインタワーの屋上と屋上の間にワイヤーを架けて歩く…。


 危険極まりない違法行為ながら、その夢に囚われた彼は、実現に向かって走り始めるのだった…。


 この映画、話自体はとても地味で、映画的なものではない。ただ、最後まで観ていると、今はもう無いワールド・トレード・センタービルに捧げられたレクイエムとなる映画であることが分かる。


 何といっても、後半の綱渡り場面の映像が凄い。実はこの部分、実際にプティ本人が実行した当時の映像は写真があるのみで、動画は残されていない。それは映画でも描かれているとおり、ルイスがムービーカメラを用意する前に警察が来て、逃げざるを得なかったためで、ここをスクリーンで魅せるためには、相当な演出力が必要なのだが、恐らく限られた資料等をもとに、よくぞここまでと言いたくなるような想像力で、見事に描ききっている。


 ラストシーンで美しく輝くワールド・トレード・センタービル。この挑戦でプティが手に入れた無期限切符も、今となってはもう意味のないものに。その事実が空しく心に響く。


私の評価…☆☆☆☆★

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2016年3月12日 (土)

イット・フォローズ

イット・フォローズ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本・製作:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
製作総指揮:ジョシュア・アストラカン
音楽:リチャード・ブリーランド
出演:マイカ・モンロー、キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾヴァット、オリヴィア・ルッカルディ、リリー・セーペ、ベイリー・スプリー、ローレン・バス 他


 《どこかちょっと80年代っぽい面白ホラー映画》


 奇抜なアイデアが評判を呼び、各国の映画祭で賞に輝いたホラー。人に乗り移り、死に至らしめる謎の存在“it=それ”の恐怖から逃げ延びようとするヒロインの姿を描く。


 19歳の女性ジェイ(マイカ・モンロー)が男友達と関係を持ったところ、彼に車椅子に縛り付けられ、あるものをうつしたと告げられる。それは、うつされた者にしか見えない何かがゆっくりと近づいてきて、それに捕まれば死が待ち受けているという恐ろしいものだった。また、誰かと肉体関係を持つとその恐怖を相手にうつすことができるが、その相手が死ぬと自分に戻ってくるという。ジェイはいつ何処で現れ彼女を追うか知れぬ謎の恐怖に苛まれていく…。


 これはここ数年では一番面白い洋画ホラーなのではないか。他人から見ると何に怯えているかわからないのに、当人にはハッキリと見え、しかも捕まれば殺されるという展開が斬新だ。そして、その謎の「それ」は、速い動きの化け物でもゾンビのようにノロノロしたものでもない。人間などに化けながらフツーに歩いてくるのである。暫らく見ていると、「それ」は常に画面の中央から手前に向かって歩いてくるので、観ている側には分かりやすいのだが、かなり不気味だ。終始、このパターンが続くため最後まで半端ない緊迫感が続く。


 街も寂れていればホラーの舞台としてはうってつけで、少し前までは、そういう映画にはテキサスなんかが選ばれたりしていた(「テキサス・チェーンソー」等)が、本作のロケ地は、先頃経済破綻したデトロイト。ここには人が住んでいる一角もあるのだが、その他は殆ど廃墟と化しているらしく、破綻前と後がまだ同居しているような土地で撮影することによって、独特な雰囲気を醸すことに成功している。


 また、そのロケ地を街が格安で提供したことにより、本作の製作費は日本円に換算して約2億円という、(日本映画でこの値段ならそこそこの大作になるのだが)ハリウッド映画としては超低予算に抑えることができ、しかもそれが評判を呼んで製作費の数倍の収入を得るという、何とも天晴れなコストパフォーマンスの(笑)映画なのだ。


 BGMもシンセサイザーを使った安っぽい電子音楽なのだが、これもまた'80年代にダリオ・アルジェントの映画(「サスペリア」等)で音楽を手がけたゴブリンっぽくて、緊張感を盛り立てる。


 というわけで、ここまで書くとホラー映画は苦手という人には不向きに聞こえるが、最初の犠牲者以外にグロい場面は無く、逃れる方法の設定から一種のおバカ青春映画とも言える映画であり、本作のヒロイン役マイカ・モンローはこれをきっかけにブレイクしそうな気配である。日本でも今年4月に公開されるクロエ・グレース・モレッツ主演の「フィフス・ウェイブ」や、夏公開予定の「インディペンデンス・デイ:リサージェンス」(資料では役名にホイットモアと書かれているので前作の大統領の孫娘なのかな?)に出演しており、要注目の女優だ。


私の評価…☆☆☆☆

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2016年3月 8日 (火)

クリムゾン・ピーク

クリムゾン・ピーク
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
共同脚本:マシュー・ロビンズ
製作:ジョン・ジャッシニ
音楽:フェルナンド・ベラスケス
出演:ミア・ワシコウスカ、トム・ヒドルストン、ジェシカ・チャスティン、チャーリー・ハナム、ジム・ビーヴァー、バーン・ゴーマン、レスリー・ホープ、ソフィア・ウェルズ、ダグ・ジョーンズ、ハビエル・ボテット 他


 《この監督のゴシックホラーとしては凡作》


 恐ろしくも幻想的な世界観の作品が多いギレルモ・デル・トロ監督・脚本によるゴシックホラー。山頂にそびえる謎多き広大な屋敷を舞台に、そこにやってきたヒロインが体験する恐怖を描く。


 幽霊を見ることができるイーディス(ミア・ワシコウスカ)が初めて見たのは10歳のとき、死んだ母親の霊だった。イーディスはやがてトーマス(トム・ヒドルストン)と恋に落ち、彼女の父親の不可解な死をきっかけに結婚する。2人は、トーマスの姉ルシール(ジェシカ・チャスティン)と一緒に暮らすことになる。住むのは、冬になると地表に露出した赤粘土が雪を赤く染めることから、“クリムゾン・ピーク”と名付けられた山頂にある広大な屋敷だった。イーディスが新たな生活に慣れるにつれ、深紅の亡霊たちが現れ、「クリムゾン・ピークに気をつけろ」と警告する。亡霊たちの言葉の意味とは? そして、この屋敷の秘密とは…?


 ギレルモ・デル・トロ監督が作るホラー映画は、「パンズ・ラビリンス」に代表されるように、怪奇且つ幻想的で美しい世界が描かれるのだが、これは今一つ出来が悪い。


 舞台となる朽ち果てた古い屋敷や、怪しげな姉弟、屋敷の秘密や亡霊たちの警告といった怪奇ムードは満載なのだが、何故か恐怖感が殆ど感じられないのだ。主人公の母親の霊が結構重要なポイントになるはずなのだが、このキャラが全くといっていいほど活かしきれていないのである。ヒロインをめぐるトーマスとアランの恋愛バトルもやや中途半端だ。


 ただ、映像はやはりこの監督らしい仕上がりで美しく、ミア・ワシコウスカとトム・ヒドルストン、ジェシカ・チャスティンのアンサンブルは、キャスティングの妙もあってバランスがとれている。このため、最後まで飽きずに観られるのが救いである。


私の評価…☆☆☆

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2016年3月 6日 (日)

【未体験ゾーンの映画たち2016 】血まみれスケバンチェーンソー

【未体験ゾーンの映画たち2016<br />
 】血まみれスケバンチェーンソー
劇場:シネ・リーブル梅田
監督:山口洋輝
脚本:福原充則
原作:三家本礼「血まみれスケバンチェーンソー」
音楽:倉堀正彦
出演:内田理央、山地まり、佐藤聖羅、玉城裕規、奥田佳弥子、西村禮、阿部恍沙穂、中村誠治郎 他


 《無駄な台詞が多過ぎる》


 三家本礼のスプラッターコミックを映画化。自分の帝国を築こうとする少女が同級生たちを改造。襲いかかってくる同級生たちに、スケバン女学生が自前のチェーンソーを振り回し立ち向かっていく。


 うぐいす学園に通う鋸村ギーコ(内田理央)は、解体業の家に生まれた天涯孤独の無頼派スケバン。一方、彼女の同級生・碧井ネロ(山地まり)は破天荒な言動のために周囲から孤立していた。やがてネロはマッド・サイエンティストのような才能を活用し、クラスメイトたちを次々に改造。自分の帝国を築き上げていく。追試を受けるために学校に向かうギーコの前に、ネロの刺客として爆谷さゆり(佐藤聖羅)が出現、襲いかかるさゆりをギーコは間一髪で自前のチェーンソーを使って撃退する。しかし今度は、もともとは女生徒だったがネロにより性別まで変えられた怨憎(玉城裕規)ら忍者部一同が襲撃。怨憎の姿を見てギーコは笑い転げてしまうが、能力アップした怨憎を相手に苦戦する。さらに忍者部隊にチェーンソーを壊されてしまう。さらに忍者部隊にチェーンソーを壊されてしまう。次々に押し寄せるネロの刺客たち。ギーコの戦いの行く末は…。


 うーん、なんだかなぁ(笑)。久々の低予算丸出し&グロ映画。映画自体の時間の長さは76分しかないのに、変に長く感じるのはなぜだろう?


 この映画、始まってから登場人物が喋る台詞の大洪水なのである。要するに台詞が多くて雑なのだ。本来なら画で説明できなければならない部分まで台詞で説明してしまっているために、無駄な台詞が多いのである。こういうものを“説明台詞”というのだが、この説明台詞は、脚本家がやってはいけない“禁じ手”であり、入れるにしても最小限に止めないといけない。だが、この映画は限度を超えている。


 これは恐らく脚本家が未熟なのだろう。僕は以前、映画のシナリオの勉強をしていた事があるからわかるのだが、この脚本家はシナリオを殆ど書いた事が無いのではないか。説明台詞やナレーションが多い脚本は、映像化すると退屈なものになりやすい、悪い脚本なのだ。


 内田理央ちゃんのスケバン姿は格好良いし、“オシリーオ”と呼ばれているとおり、パンチラ(ヒロインの下着は設定上フンドシである)など、サービスカットも所々あるが、少しずつ売れてきているのだから、もうそろそろ仕事選べよ! って言いたくなった(笑)。


私の評価…☆☆

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2016年3月 4日 (金)

第39回日本アカデミー賞速報

2015年度・第39回日本アカデミー賞結果速報!
主な受賞結果です。


▼最優秀作品賞…「海街diary」

▼最優秀アニメーション賞…「バケモノの子」

▼最優秀監督賞…是枝 裕和「海街diary」

▼最優秀主演男優賞…二宮 和也「母と暮せば」

▼最優秀主演女優賞…安藤サクラ「百円の恋」

▼最優秀助演男優賞…本木 雅弘「日本のいちばん長い日」

▼最優秀助演女優賞…黒木 華「母と暮せば」

▼新人俳優賞…有村 架純「映画 ビリギャル」、土屋 太鳳「orange -オレンジ-」、広瀬 すず「海街diary」、藤野 涼子「ソロモンの偽証 前編・事件/後編・裁判」、篠原 篤「恋人たち」、野田洋次郎「トイレのピエタ」、山崎 賢人「orange -オレンジ-」、「ヒロイン失格」、山田 涼介「映画 暗殺教室」

▼最優秀外国映画賞…「アメリカン・スナイパー」(ワーナー・ブラザース配給)

▼オールナイトニッポン話題賞

作品部門…「バクマン。」
俳優部門…ももいろクローバーZ「幕が上がる」


 「海街diary」は他にもいろいろ賞を獲っているので、まぁ順当といえばそうなのかもしれない。これが最多部門獲得といっても4部門なので、今回は結構1作品に偏ることなく選ばれているのではないか。個人的には黒木華さんは好きな女優の1人なので、2年連続の受賞おめでとうございます! ですね。

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