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2016年7月

2016年7月30日 (土)

マネーモンスター

マネーモンスター
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョディ・フォスター
脚本:ジェイミー・リンデン 他
原案・共同脚本:アラン・ディ・フィオーレ、ジム・カウフ
製作:ダニエル・ダビッキ
音楽:ドミニク・ルイス
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジョージ・クルーニー(小山力也)、ジュリア・ロバーツ(深見梨加)、ジャック・オコンネル(花輪英司)、ドミニク・ウェスト(中根徹)、カトリーナ・バルフ(恒松あゆみ)、ジャンカルロ・エスポジート(田中正彦)、クリストファー・デナム(中村章吾)、レニー・ヴェニート(野川雅史)、クリス・バウアー(蓮岳大)、デニス・ボウトシカリス、エミリー・ミード、コンドーラ・ラシャド、アーロン・ヨー 他


  〈描かれる事件が、映画としては小さい〉


 生中継のテレビ番組をジャックした犯人と司会者や番組関係者とのやりとりが緊迫感あふれる映像とともにつづられる、ジョージ・クルーニー主演のサスペンス。


 リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)は財テク番組『マネーモンスター』のパーソナリティを務め、巧みな話術と軽妙なパフォーマンスを織り交ぜながら、株価予想や視聴者へのアドバイスで番組の看板スターとなっていた。いつもの通り、リーがディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を無視して、ノリのいいアドリブで視聴者ウケを狙っていた生放送の最中、彼の背後に一人の男が現れる。その男、カイル(ジャック・オコンネル)は完全にテレビ画面にフレーム・インし、拳銃でリーを脅す。番組で語られた株式情報を鵜呑みにして全財産を失ったというカイルは、復讐のためリーを人質にとり、自分を嵌めた株式のカラクリを生放送内で明らかにしろとパティに指示するのだ…。


 本来は、オスカーを2度受賞している女優のジョディ・フォスターだが、近年は監督としても評価されている。この映画でも、それは手堅く発揮されているが、描かれている事件やサスペンスは意外とちっぽけで、ストーリー展開も少々拙速気味。確かに99分という上映時間はコンパクトではあるが、ならばもう少しテーマを明確に示して、テンポよく進ませればよかった。


私の評価…☆☆☆

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2016年7月27日 (水)

若葉のころ

若葉のころ
劇場:みなみ会館
監督・原案:ジョウ・グータイ
脚本:ユアン・チュンチュン
出演:ルゥルゥ・チェン、リッチー・レン、シー・チー・ティエン、シャオ・ユーウェイ、アンダーソン・チェン、アリッサ・チア 他


  〈台湾製'80年代青春ノスタルジー〉


 ビージーズの名曲『若葉のころ』をモチーフに30年の時を超えた純愛を綴る台湾映画。


 台北に住む17歳の女子高生バイ(ルゥルゥ・チェン)は、離婚した母と祖母との3人暮らし。高校生活を満喫していた彼女であったが、最近、親友ウエンと男友達イエとの関係に心を痛めていた。そんなある日、母のワン(アリッサ・チア)が交通事故で意識不明の重体となってしまう。悲しみに暮れる中、バイは母のパソコンから偶然、初恋の相手リン(リッチー・レン)に宛てた未送信メールを発見。そこには、自分と同じ17歳だったころの思い出が切々と綴られていた。遠い日の母の青春に思いを馳せるバイは、母に代わって「会いたい」とリンにメールを送る……。30年前の1982年。ワン(ルゥルゥ・チェン二役)とリンは、高校の英語スピーチコンテストで優勝を争ったことから、お互いを意識し合う存在となっていた。惜しくも2位に甘んじたリンは、ある日、英語担当の教師からビージーズの『若葉のころ』の歌詞を中国語に翻訳する課題を出される。リンはこれをチャンスとばかり、ワンへの思いを言葉に託し『若葉のころ』のレコードと一緒に、訳した歌詞を彼女に渡す。だが数日後、リンがある事件を引き起こし、二人は離れ離れになってしまう…。


 「若葉のころ」といえば、映画「小さな恋のメロディー」や、1996年に放送された堂本剛主演のTVドラマ「若葉のころ」のテーマソングとして有名な、ビージーズの名曲だが、今度は台湾で、この曲をモチーフにした、珠玉の青春映画が誕生した。


 この映画は、ヒロインの母親が、青春時代に置き忘れたままとなっている叶わなかった切ない初恋の残像を、時を経て今度は当時の母と同じ年頃になった娘が追いかけるという、ノスタルジック且つ感動的な映画である。


 1982年の母の17歳の初恋と2013年の17歳のヒロイン少女の初恋が交錯し、奇しくも同じ道を歩もうとする、甘いようでちょっぴりほろ苦い青春が、ビージーズの「若葉のころ」のメロディーに乗せて紡がれて行く。


 ヒロインとその若き日の母を演じるルゥルゥ・チェンが可愛い。監督のジョウ・グータイは、元々台湾の人気アーティストのMVを撮ってきた人なので、柔らかい光と雨を駆使した映像が、ノスタルジックな'80年代の雰囲気を充分に醸し出していて、その時点で懐メロになっていたはずのテーマ曲(ビージーズの「若葉のころ」がリリースされたのは1969年)とも、ぴったりとハマっていた。


 久々にちょっとホロッとさせられた映画。自分も学生時代に好きだった人がいるので、思わず会いたくなっちゃった。


私の評価…☆☆☆★

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2016年7月22日 (金)

デッドプール

デッドプール
デッドプール
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ティム・ミラー
脚本:レット・リース、ポール・ワーニック
原作:ファビアン・ニシーザ、ロブ・ライフェルド
製作:ローレン・シュラー・ドナー
音楽:ジャンキーXL
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ライアン・レイノルズ(加瀬康之)、モリーナ・バッカリン(林真里花)、エド・スクライン(浜田賢二)、T・J・ミラー(佐藤せつじ)、ジーナ・カラーノ(行成とあ)、レスリー・アガムズ、ブリアナ・ヒルデブランド(嶋村侑)、ステファン・カピチッチ(木村雅史)、カラン・ソーニ(影平隆一)、ジェド・リース、ロブ・ヘイター 他


  〈今までにない、過激なアメコミヒーロー〉


 型破りな言動で人気のヒーロー、デッドプールの活躍を描くアクション。怪しい組織の人体実験によって不死の肉体を手に入れた主人公の戦いをユーモアたっぷりに映し出す。


 タクシーに乗って目的地へ急ぐ、全身、赤いコスチュームの男。彼は運転手に、自分の名前を「デッドプール」だと告げる。到着したのはハイウェイの上だった。デッドプールは、そこで宿敵への復讐を果たそうとしていたのだ…。


 そこからさかのぼること2年。

ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、かつて特殊部隊の有能な傭兵だったが、第一線を引退。好き勝手に悪い奴をこらしめ、金を稼ぐという、ヒーロー気取りの生活をしていた。


 そんなウェイドが一夜の相手として知り合ったのが、娼婦のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)。最初のベッドインがあまりに「完璧」だったため、彼らは一年間の同居を経て、結婚を決意する。幸福な未来が待ち受けると思ったのも束の間、ウェイドは原因不明の痛みに襲われ、全身にガンが転移していると診断されてしまった。余命は、あとわずかとなり…。


 激しく落ち込むウェイドに声をかけてきた男がいた。末期ガンが治せると聞かされたウェイドは、その男の誘いで、ある施設へ連れて来られる。そこでは余命宣告された者たちに人体実験がほどこされ、肉体を改造された被験者が、戦闘マシンとなって売られる、という恐ろしいプロジェクトが進んでいた。


 施設を仕切っていたエイジャックス(エド・スクライン)は自らも無敵の肉体を手に入れており、ウェイドにさまざまな実験を課して、彼を改造していく。やがて、どんな攻撃を受けても回復できる肉体を手にするウェイド。しかし怒りが収まらない彼は、エイジャックスと激しく戦った末に施設から逃亡する。


 実験のために、顔を含めて全身の皮膚がただれたウェイドは、ヴァネッサに素顔を見せる勇気がない。ボロボロの顔を隠すため、自らマスクを作った彼は、自分を「デッドプール」と名付け、エイジャックスを探すことにした。元の肉体に戻してもらい、もう一度、ヴァネッサと幸せな生活を送りたい…。


 ウェイド=デッドプールは強い感情に突き動かされ、エイジャックスへの手がかりを見つけては、次々とその場で敵を倒していくのだった…。


 アメコミの中でも異色のヒーローであるデッドプール。能天気で無責任、おまけに下ネタ全開のマシンガン・トークと、およそヒーローとは程遠いキャラなのだが、このところややパターン化しつつあったヒーローものとしては、逆に新鮮に見えた。


 このキャラ、本来は「X-MEN」シリーズのキャラで、実際「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」にも同じライアン・レイノルズがこの役で出演(但し設定は異なる)している。云わば本作は「X-MEN」シリーズのスピンオフであり、途中から「X-MEN」のキャラも参戦してくる。アメコミや映画ネタが満載で、映画ファンにとっては飽きの来ない映画だが、同じライアン・レイノルズ主演でDCコミック作品を映画化した「グリーンランタン」まで揶揄している(しかも本人が)のには笑った。


 そして、どこまでふざけているのか分からないが、現時点で決まっていない続編まで示唆して映画は終わる(そのラストも映画「フェリスはある朝突然に」のパロディ)。基本的にはR15なので中学生以下は観られないが、1980年代の音楽がふんだんに使われているので、30代以上のおっさん向きかも。


私の評価…☆☆☆★

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2016年7月17日 (日)

スノーホワイト/氷の王国

スノーホワイト/氷の王国
スノーホワイト/氷の王国
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:セドリック・ニコラス=トロイアン
脚本:クレイグ・メイジン、エヴァン・スピリオトプラス
原作:グリム兄弟「白雪姫」
製作:ジョー・ロス
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):クリス・ヘムズワース(杉田智和)、シャーリーズ・セロン(田中敦子)、エミリー・ブラント(水樹奈々)、ジェシカ・チャスティン(朴ろ美)、ニック・フロスト(茶風林)、ロブ・ブライドン(落合弘治)、シェリダン・スミス(松本梨香)、アレクサンドラ・ローチ(武田華)、ソープ・ディリス(長谷川俊介)、サム・ヘーゼルダイン(西凜太朗)、サム・クラフリン(浪川大輔)、ソフィ・クックソン(朝井彩加)、フレッド・タタショア(大塚明夫)、コリン・モーガン(青木強)、マデリン・ウォーラル(森史絵) 他
ナレーター:リーアム・ニーソン(石塚運昇)


  〈なぜこんな企画で作ったのか?〉


 グリム童話の名作「白雪姫」に大胆なアレンジを加え、大ヒットしたアクション・アドベンチャーの続編。一度は滅ぼされたラヴェンナ女王と、その妹の氷の女王フレイヤによる恐ろしい陰謀に立ち向かう戦士たちの物語がつづられる。


 スノーホワイトと、ハンターのエリック(クリス・ヘムズワース)の剣によってラヴェンナ女王(シャーリーズ・セロン)が滅ぼされた。姉・ラヴェンナの死を知ったフレイヤ女王(エミリー・ブラント)は、氷の王国軍を集結させスノーホワイトの王国にあった魔法の鏡を自分の元に奪い去ってくるように命じる。フレイヤは、自身の魔力と鏡の魔力を掛け合わせてラヴェンナを蘇らせ、姉妹の魔力で世界を永遠に暗黒の力で覆い尽くそうとしていた。そんなフレイヤの恐ろしい計画に気付いたエリックは、その陰謀を阻止するためかつて自分の故郷でもあった氷の王国に戻り、鏡を破壊しようと試みる。だがそこに現れたのは、死んだはずの最愛の女性・サラ(ジェシカ・チャスティン)であった…。


 これはもう、何でこんなものを作ったんだろう? としか言えない駄作。前作がそれなりに良かったんだから、そこで止めときゃ良かったのに。いくらブームになったとはいえ、「白雪姫」の話に無理矢理「雪の女王」をブチ込む事はないだろう。


 元々、本作は前作の監督・主演コンビで作られるはずだったのだが、この二人の間に不倫が発覚。これをきっかけに、キャストやスタッフの交代が相次ぐ事となる。企画段階からトラブルが続く、そんな映画は成功した試しがない。案の定、本国では大コケはしなかったものの酷評の嵐で、これは作る必要性が全くなかった映画である。


私の評価…☆

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2016年7月14日 (木)

亜人 第2部 ―衝突―

亜人 第2部 ―衝突―
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:安藤裕章
総監督:瀬下寛之
脚本:瀬古浩司、猪原健太、熊谷純
原作:桜井画門「亜人」
音楽:菅野祐悟
主題歌:LAMP IN TERREN「innocence」
声の出演:永井圭…宮野真守、海斗…細谷佳正、戸崎優…櫻井孝宏、下村泉…小松未可子、曽我部…鈴村健一、田中功次…平川大輔、佐藤…大塚芳忠、奥山真澄…吉野裕行、高橋…野川雅史、ゲン…藤巻大悟、中野攻…福山潤、秋山礼二…小山力也、中村慎也…梶裕貴、琴吹武…斉藤壮馬、圭と慧理子の母…沢海陽子、慧理子…洲崎綾 他


  〈肝心な部分はまだ明かされない。三部作中間部分の宿命?〉


 不死の新人類“亜人”とそれを追う日本国政府との戦いを描き、人気を博した桜井画門の同名コミックを3部作としてアニメ映画化するプロジェクトの第2弾。


 17年前、アフリカで神の兵と呼ばれた不死身の兵士が米軍によって拿捕された。それは世界で初めて“亜人”の存在が実証された瞬間であった。亜人は病死、事故死等どのような状況下で死亡しようとも即座に身体を再生し、完璧な状態で復活する。それはまさに人類の夢であり、その利用価値は無限に考えられた。その後、亜人は世界で46体、日本では2体が確認。だが、死ななければ分からないという亜人はその性質上、発見が難しく、世界にはもっと多くの亜人がいると推測された。そんな中、高校生の永井圭は、下校中トラックに追突され死亡。しかし、直後に蘇生を果たす。国内3例目の亜人であることが判明した圭は、警察及び亜人管理委員会、さらには賞金を狙うすべての人間から追われる身となってしまう。山奥へと逃げ込んだ圭は、幼なじみの少年・海斗の力を借り、緊急配備が敷かれた警察の包囲網を突破、さらなる逃走を図る。同じころ、日本国の管理下にあった2例目の亜人・田中が“帽子”と呼ばれる男の幇助により脱走。彼らは直ちに人類へのテロ活動を開始する。亜人管理委員会の責任者・戸崎は、永井圭の捕獲と、亜人たちが起こしたテロ行為の鎮圧に奔走。やがて、手がかりとなる圭の妹・永井慧理子に目を付けるが、すでにそこには人類への復讐を誓う別の亜人とIBMと呼ばれる謎の黒い物体が侵入していた…。


 第1部が非常に面白かったので観たのだが、やはりそのテンションをそのまま引き継いでいて、第2部も存分に楽しめる。


 “死なない”というだけで迫害され、理不尽な人体実験にさらされてきた“亜人”。同じ亜人でも、ある者は静かに生きることを望み、またある者は武器をとって人類に牙をむこうとする。それぞれの思惑が交錯する中で、亜人管理委員会の戸崎も、自身の命運を賭けて亜人達との戦いに挑んでいく。アクションも見応えがあるし、テンポもいい。だが、肝心な部分となるはずの人間が亜人を敵視する理由がまだ分からないまま終わったので、恐らくそれが描かれるであろう第3部が楽しみだ。


私の評価…☆☆☆★

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2016年7月 7日 (木)

ちはやふる - 下の句-

ちはやふる - 下の句-
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:小泉徳宏
原作:末次由紀「ちはやふる」
製作:中山良夫 他
音楽:横山克
主題歌:Perfume「FLASH」
出演:広瀬すず、野村周平、真剣佑、上白石萌音、矢本悠馬、森永悠希、清水尋也、坂口涼太郎、松岡茉優、松田美由紀、國村隼、広瀬アリス 他


  〈登場人物を整理しまとまりが良くなった後編〉


 テレビアニメにもなった末次由紀の人気コミックを2部作として映画化した青春ドラマの後編。


 千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は幼なじみ。いつも一緒にかるたで遊んでいたが、家の事情で新が引っ越し、離れ離れになってしまう。高校に入学した千早は、新にもう一度会いたい一心で、再会した太一と一緒に「瑞沢高校競技かるた部」を作る。創部1年目ながら、エース千早の活躍と抜群のチームワークで何とか強豪・北央学園に勝利。都大会優勝を成し遂げた。そして舞台はいよいよ全国大会へ…。


 新に東京都大会優勝を報告する千早に、思わぬ新の告白

「かるたはもうやらん…。」

ショックを受ける千早だが、全国大会へ向けて仲間たちと懸命に練習に励む。そんな中、千早は、同級生ながら最強のクイーンと呼ばれる若宮詩暢(松岡茉優)の存在を知る。全国大会の個人戦で詩暢と対決する可能性がある。


 新に「強くなったな」って言われたい、詩暢に勝てばもう一度新とかるたを取れるかもしれない…。

「クイーンに勝ちたい!新に会いたい!」

千早の気持ちは次第に詩暢にとらわれ、競技かるた部の仲間たちから離れていってしまう。


 そして、そんな千早の目を覚まさせようとする太一。千早、太一、新の気持ちが少しずつすれ違っていく…。


 「~上の句」と同じテンションや視点では、二部構成にする意味がないと感じたのか、この「~下の句」ではやや視点を変え、太一の目線から千早と新が中心の話にシフトする。そして、新とも交流がある詩暢がいよいよ登場となることで、より個々のキャラクターの性格やかるたへのそれぞれの思いが浮き彫りになっている。


 原作は読んでいないが、原作に登場する脇役キャラは大幅にカットされているらしく、原作ファンの不満は拭えないだろう。ただ、長い原作を、上下合わせて四時間弱の尺度にしようとすれば、どうしてもエピソードの取捨選択は必要で、それによる登場人物の整理も仕方ないところ。その点でこの映画は、まず中心となる人物を千早、太一、新、そして詩織に絞り込んだことで、それぞれの人物に対する思いと、かるたに対する思いを見事にシンクロさせて描いている。


 ただ、新と詩織の関係など、細かい点で描ききれていない部分は確かにある。更なる続編が決まった事は嬉しいのだが、原作からカットしてしまった部分や、変更された設定がどう影響するのか、気になるところだ。


私の評価…☆☆☆☆★

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2016年7月 4日 (月)

シンドバッド 完結編

シンドバッド 完結編
劇場:イオンシネマ京都桂川
監督:宮下新平、堂山卓見(宮下新平の死去による)
脚本:早船歌江子、川崎ヒロユキ
原案:「アラビアンナイト」
音楽:大野宏明
主題歌:whiteeeen「ポケット」
挿入歌:薬師丸ひろ子「わたりどり」
声の出演:シンドバッド…村中知、サナ…田辺桃子、アリ…永澤菜教、ナジブ…宮澤正、ラザック船長…鹿賀丈史、ガリブ…石田彰、ダール…青山穣、ラティーファ…薬師丸ひろ子 他


  〈わざわざ三部作にしなくてもよかったのでは?〉


 『シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島』と『シンドバッド 魔法のランプと動く島』のダイジェスト版に完全新作のエピソードを加えた長編アニメ。


 木馬に乗った少女サナが空から落ちてきた。伝説の魔法族の姫であるサナは、世界中に散り散りになった仲間を探す旅をしていた。そんな彼女を助けるため、シンドバッドはバハル号の船員アリや仲間たちと共に魔法族を求めて大海原に乗り出していく。だが行く先々で不思議な出来事に遭遇するシンドバッドたち。秘密のベールに隠された島、水の上を走る謎の青い馬、巨人、動く島、そして魔法のランプ…。そんな中、目的のためには手段を選ばない冷酷な男、ガリプがサナの行方を執拗に追いかける。やがて辿り着いた“真昼の夜”の中に浮かび上がる“不思議の門”。世界を変える恐るべき秘密が遂に明らかになる…。


 嘗て、フジテレビ系で放送されていた「世界名作劇場」シリーズ等を製作している、日本アニメーションの創立40周年記念作品で、三部作で描かれるその完結編。とはいっても前半は先に公開された第1・2話のダイジェストで、新作部分はちょっとだけ。それで入場料金は前売り券なしの通常料金(1・2話はそれぞれ特別料金1000円)というのは、少し酷いような気もする。


 監督が製作途中で体調を崩され亡くなられている影響もあるので、仕方ないのかもしれないが、これだったら無理に三部に分けずとも、「完結編」のこの1本で十分良かったのではないか。勿論、製作費回収のための料金設定なのだろうが、これでは客(特に子供)が寄り付くまい。内容的にはとてもいい映画なので、内容以外の面で不入りだったのなら、非常に残念なことだ。成功したら、TV化することもできただろうが、多分無理だろう。


私の評価…☆☆★

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2016年7月 2日 (土)

ヘイル・シーザー

ヘイル・シーザー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本・製作:ジョエル&イーサン・コーエン
共同製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
音楽:カーター・バーウェル
出演:ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、レイフ・ファインズ、アルデン・エーデンライク、ジョナ・ヒル、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、チャニング・テイタム、アリソン・ビル、ウェイン・ナイト、クリストファー・ランバート、フレッド・メラメッド、パトリック・フィッシュラー、デヴィット・クラムホルツ、フィッシャー・スティーヴンス、クランシー・ブラウン 他


  〈映画好きによる、映画好きのための映画〉


 ヒット作を連発するジョエル&イーサン・コーエン兄弟が手がけたコミカルなサスペンス。1950年代のハリウッドを舞台に、スター俳優の誘拐事件を巡る騒動が描かれる。


 1950年代、ハリウッドが“夢”を作り世界中に贈り届けていた時代。スタジオの命運を賭けた史上空前のスペクタクル超大作「ヘイル、シーザー!」の撮影が始まっていた。だがその撮影中、主演俳優であり世界的大スターのウィットロック(ジョージ・クルーニー)が何者かに誘拐されてしまう。スタジオが大混乱に陥る中、事件解決への白羽の矢を立てられたのは貧乏くじばかりを引いている“スタジオの何でも屋”エディ(ジョシュ・ブローリン)だった。お色気たっぷりの若手女優(スカーレット・ヨハンソン)や、みんなの憧れのミュージカルスター(チャニング・テイタム)、演技がどヘタなアクション俳優(アルデン・エーレンライク)など撮影中の個性溢れるスターたちを巻き込みながら、エディは難事件に挑んでゆくが…。


 僕は昔のミュージカル映画なんか結構好きなので、この映画は予告編からちょっと気になっていたのだが、観てみるとやっぱり思ったとおりだった。


 この映画、ジョッシュ・ブローリンが好演する主人公=エディ・マニックスは、劇中ではキャピトル映画制作部のおエライさんだが、実はMGMのスタジオ・エグゼクティブだった同姓同名の人がモデル。’50年代のMGMといえば、ミュージカル映画史上初のアカデミー作品賞を受賞した「巴里のアメリカ人」(1951年)など、正に“MGMミュージカル”花盛りといった時代で、本作の中にも、当時のMGMミュージカルにオマージュを捧げた場面がたくさん登場する。


 なんといっても分かりやすいのはディアナだろう。演じるスカーレット・ヨハンソンは、現代のセックス・シンボルと言われているが、当時の女優で水着といえば、やっぱり“水着の女王”エスター・ウィリアムズ。もともと水泳選手で、MGMのアクア・ミュージカル(水中レヴュー)映画で華麗な水中ショーを披露し、人気を博した女優だ。他にも水兵姿でタップを極めるチャニング・テイタムは、どことなくジーン・ケリーっぽいし、カウボーイのアルデン・エーデンライクは「アニーよ、銃をとれ!」などのハワード・キールっぽい。


 映画自体は架空の話だが、描かれている小ネタはどれも実話をアレンジしたものなので、当時の映画事情やMGMミュージカルを知っていないと、本作を観ても多分置いてきぼりを食らうだろう。MGMミュージカルを知らない人は、本作を観る前に最低でもMGMミュージカル・アンソロジー映画「ザッツ・エンターテイメント」シリーズを観ておくことをオススメする。


私の評価…☆☆☆★

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