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2016年8月

2016年8月31日 (水)

インデペンデンス・デイ:リサージェンス

インデペンデンス・デイ:リサージェンス
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ニコラス・ライト 他
原案:ディーン・デブリン 他
製作:ディーン・デブリン 他
音楽:ハラルド・クローサー、トーマス・ワンカー
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):リアム・ヘムズワース(藤原竜也)、ジェフ・ゴールドブラム(大塚芳忠)、ジェシー・T・ユーシャー(前野智昭)、ビル・プルマン(安原義人)、マイカ・モンロー(坂本真綾)、セーラ・ウォード(山口由里子)、ウィリアム・フィクナー(立木文彦)、ジャド・ハーシュ(清川元夢)、ブレント・スパイナー(掛川裕彦)、パトリック・セント・エスプリト(蜂須賀智隆)、ヴィヴィカ・A・フォックス(渡辺美佐)、アンジェラベイビー(小松未可子)、シャルロット・ゲンズブール(林原めぐみ)、デオビア・オパレイ(乃村健次)、ニコラス・ライト(松本忍)、トラヴィス・トーブ(石田彰)、チン・ハン(上田燿司)、ベンガ・アキナベ(白熊寛嗣)、ジョン・ストーレー(星野充昭)、ジョーイ・キング(潘めぐみ)、ジェナ・パーディ(御沓優子) 他


  〈大味映画王エメリッヒが、久々にやらかした!〉


 人類と地球に襲来した異星人との戦いを圧倒的なスペクタクル描写で描き、世界中で大ヒットを記録したSFパニック作の20年ぶりとなる続編。


 人類がエイリアンとの壮絶な死闘に勝利してから20年。30億の尊い命を失った人類は、新たな襲来に備えるため、エイリアンの宇宙船のテクノロジーを基に、地球防衛システムを構築していた。そして迎えた2016年7月。エイリアンが残した宇宙船が、20年の時を経て密かに覚醒。地球に仲間を呼び寄せるSOS信号を発信し始める。ほどなくして地球に現れたエイリアンは、想像を遥かに超える進化と巨大化を遂げていた。重力すらも自在に操るそのパワーの前に、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ドバイといった世界の主要都市は、なすすべもなく壊滅。敵の猛攻撃に晒され、防衛システムを無力化された人類は、たちまち滅亡の危機に直面する...。


 最近は、結構真面な作品を作っていたエメリッヒ監督が、久々にやらかした大味な作品。まぁ、前作もそうだったんだから、今回もそうなるのは、当たり前か。


 そういうモノなので、ストーリーなんか、はっきりいってどうでもよく、ただただ破壊の限りを尽くす映像を楽しむ映画である。


 タイトルの“リサージェンス”とは、一度中断していたものを再開する、という意味があり、1作目のオリジナル・キャストが老体に鞭打って頑張っている。撮影スケジュールの都合上、前作で主役を張っていたウィル・スミスが、スクリーンに登場しない(「スーサイド・スクワッド」の撮影と重なってしまった)のは、些か寂しいのだが、元大統領や天才エンジニア、さらにはあの博士の復活と、まさにやりたい放題の展開には唖然とさせられた。


 そして、最近のハリウッド映画には中国資本が入ってきているので、やたらと中国人(或いは中国系アメリカ人)俳優の名前がキャスティングされる事が多いのだが、本作でもそれはかなり露骨である。ただ本作には、ファッションモデルや女優として日本でも人気があるアンジェラベイビーが出ているので、ファンは要チェックといったところか。


私の評価…☆☆☆

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2016年8月25日 (木)

〈午前十時の映画祭7〉 ポセイドン・アドベンチャー(1972年)

〈午前十時の映画祭7〉 ポセイドン・アドベンチャー(1972年)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ロナルド・ニーム
脚本:スターリング・シリファント、ウェンデル・メイズ
原作:ポール・ギャリコ「ポセイドン・アドベンチャー」
製作:アーウィン・アレン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
主題歌:モーリン・マクガバン「モーニング・アフター」
出演:ジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン、レッド・バトンズ、キャロル・リンレー、ロディー・マクドウォール、ステラ・スティーヴンス、シェリー・ウィンタース、ジャック・アルバートソン、パメラ・スー・マーティン、エリック・シーア、レスリー・ニールセン、アーサー・オコンネル、シーラ・マシューズ 他


  〈'70年代ディザスター・ムービーの傑作〉


 1400名の乗客を乗せてニューヨークからギリシャに向かう豪華客船が32メートルの大津波に襲われ転覆爆破し、生き残った船客が超人的な勇気で脱出をこころみる姿を描く。第42回(1972年度)アカデミー賞歌曲賞、特別業績賞(視覚効果)受賞。


 81000トンの豪華客船ポセイドン号が、ギリシャに向かうためにニューヨーク港を出たのは12月末だった。船長(レスリー・ニールセン)は最初から船の重心が高いことに気づいていた。バラスト(底荷)をしていないので、船体の上部が重く、大波を喰うと転覆する恐れもあり、スピードを出すことも危険だったが、船主の代表はそれを認めなかった。ポセイドン号が地中海に入ったとき、地震観測所から、クレタ島南西130マイル沖合いで海底地震があったという電報が入った。それから間もなく大津波がおしよせポセイドン号は一瞬にして転覆した。船体の上部が海底に没し、船底が海面に現われたのである。折から新年を祝うパーティが大食堂で催されており、集まった船客たちのほとんどが生命を失うという大惨事だった。乗客の1人であるフランク・スコット牧師(ジーン・ハックマン)は、大混乱が鎮まると奇跡的に助かった人々と共に脱出を試みた。ニューヨークの刑事であるマイク・ロゴ(アーネスト・ボーグナイン)その妻で元売春婦だったリンダ(ステラ・スティーヴンス)、雑貨商のジェームズ・マーティン(レッド・バトンズ)、中年夫婦マニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)とベル(シェリー・ウィンタース)、歌手のノニー・バリー(キャロル・リンレイ)、17歳のスーザン・シェルビー(パメラ・スー・マーティン)と10歳になるその弟のロビン(エリック・シーア)そして船のボーイ、エーカーズ(ロディ・マクドウォール)の9人がスコットに従うことになり、あとの生存者は、救急隊がくるまでじっとしていた方がいいという事務長の意見をとった。スコット牧師は、かすかながら船内にともる電気があるうちに、船の竜骨、つまり海面に1番近い所にたどりつき、そこで待機していれば助かるかもしれないと判断したのだ。上部に進むためには大クリスマス・ツリーを逆によじ登っていかなければならない。10人が登り終わったとき、スコット牧師の意見が正しかったことが証明された。キッチンボイラーが爆発して、残った人々を流してしまったのだ…。


 3年前のこの映画祭で「タワーリング・インフェルノ」(1974年)が上映された時、“この映画を上映するのなら「ポセイドン・アドベンチャー」も”と思っていた。なぜなら、「タワーリング~」は、この映画の成功なくしては、できなかった映画であり、この映画が、'70年代のディザスター・ムービー=ブームの先駆けとなった映画だからである。


 ただ、この映画は海難パニックものであり、転覆する原因が海底地震による大津波であるため、震災後はとても上映できる状況ではなかったのだろう。だから、TV放映では何度も観たこの映画が、まさかスクリーンで観られる日が来るとは、夢にも思わなかった。


 '70年代のディザスター・ムービーには、殆どのものに共通して、中身の濃い人間ドラマが描かれている。この映画もその1つで、単なるアクションだけでなく、大惨事を自らの力で乗り越える勇気を描き、その結果として積極的な爽快感が生まれてくる。また、「卒業」の項で書いたが、クライマックスの展開を観てもわかるとおり、反キリスト映画とも捉える事ができ、バッド・エンドではないものの、当時ブームとなっていたアメリカン・ニューシネマの特徴が出ている映画でもある。人気作ゆえに、2006年にリメイクされた(「ポセイドン」ウォルフガング・ペーターゼン監督/カート・ラッセル主演)が、そちらはアクション主体で人間ドラマが省かれた駄作であった。


 さて、他にも'70年代を代表するディザスター・ムービーは、観たいものがたくさんあるが、さすがに「大地震」(1974年/マーク・ロブソン監督/チャールトン・ヘストン主演)は無理だろうなぁ。でも、大ヒットした「エアポート」シリーズの1作目「大空港」(1970年/ジョージ・シートン監督/バート・ランカスター主演)は観たいねぇ!


私の評価…☆☆☆☆☆

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2016年8月24日 (水)

存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48

存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:石原真
企画:秋元康
監督補・編集:藤原道仁
製作:吉成夏子 他
主題歌:AKB48「あの日の自分」
出演:AKB48グループ 他


  〈AKB48結成10周年記念企画?〉


 昨年、結成10周年を迎えた、国民的人気を誇るアイドルグループ、AKB48。その活動に迫ったドキュメンタリーの第5弾。


 今回は、『NHK 紅白歌合戦』の参加12回を数える元NHKの名物プロデューサー、石原真を監督に抜擢。AKB48をブレイク前から追い続け、長年見守り続けてきた人物ゆえにメンバーやスタッフの信頼も厚く、今まで石原だけがカメラを回すことを許された現場も数多く存在してきた。本作では、そんな監督自ら撮り続けて来た“石原カメラ”による秘蔵映像の数々を公開。これまで伏せられてきた裏の現場映像も解禁される。女性アイドルグループとして数々の記録を塗り替えて来た AKB48の10周年。初代総監督・高橋みなみの卒業と横山由依新体制への移行の裏で起きた涙のドラマとは? HKT48指原莉乃 VS NMB48山本彩など姉妹グループの台頭、新グループ NGT48の誕生、そしてライバル乃木坂46の大躍進など、移りゆく時代とAKB48はどう戦うのか?さらにメインストリームを走るメンバー以外にも密着。インドネシアでもっとも有名な日本人タレントの1人として活躍する者や、焼き肉店のオーナー社長として奮闘する者など、特異な成功者の実像にも迫る。


 前作がつまらなかったので、もうそろそろこのシリーズを観るのも“卒業”しようかなぁ、と思っていたが、ついつい観てしまった。


 今回は、監督の石原氏自身がナレーションも担当。AKBグループだけでなく、他の人気アイドル・グループの仕掛人であるつんく♂や、ももクロのマネージャーにも、“アイドルグループの今後”という切り口で、インタビューを敢行しているのが、今までに無かった新しいところか。そして、グループを卒業してから意外な職に就き、成功をおさめている元メンバーの姿を追う事もやっていて、今までのこのシリーズとは少し違った切り口で、今や国民的とまでいわれるようになったアイドルグループの実像に迫っている。


 ただ、企画としてはもうそろそろ頭打ちになってきた感じがする。創成期のメンバーが、ほぼ抜けてしまったという事もあるが、よほど特別な事でもない限り、次は観る気がしない。


私の評価…☆☆★

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2016年8月13日 (土)

ブルックリン

ブルックリン
ブルックリン
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジョン・クローリー
脚本:ニック・ホーンビィ
原作:コルム・トビーン「Brooklyn」
製作:アマンダ・ポージー 他
音楽:マイケル・ブルック
出演:シアーシャ・ローナン、エモリー・コーエン、ドーナル・グリーソン、ジム・ブロードベント、ジュリー・ウォルターズ、ブリッド・ブレナン、フィオナ・グラスコット、ジェシカ・バレ、エイリーン・オイギンス、ジェン・マレー、エミリー・ベット・リッカーズ、イブ・マックリン、ノラ=ジェーン・ヌーン 他


  〈保守的な時代に活路を見出だした、美しき女性〉


 1950年代を舞台に、アイルランドの田舎町からニューヨークへと移住した女性の波乱の生涯を描くヒューマンドラマ。姉の勧めでニューヨークへ渡り、人生を横臥するヒロインを、『つぐない』(2007年)で13歳という史上7番目の若さでアカデミー助演女優賞にノミネートされ注目を集めたシアーシャ・ローナンが演じる。


 1950年代。アイルランドの小さな町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、美人でキャリアウーマンの姉とは対照的に大人しく目立たない存在だった。しかし彼女の将来を案じた姉の勧めでエイリシュはニューヨークへ渡米することを決める。だがそこは生まれ育った小さな町とはあまりに違う生活。ブルックリンの高級デパートでの仕事には慣れず、下宿先の同郷の女性たちは既に洗練されて会話もままならない。激しいホームシックに陥り、アイルランドから届く姉の手紙を読み返し涙に暮れるエイリシュの様子を見かねて、同郷の神父(ジム・ブロードベント)はブルックリン大学の会計士コースを受講するよう勧める。やがて学ぶ喜びを知り、少しずつ前向きになっていくエイリシュ。そんな中、あるパーティーでイタリア系移民のトニー(エモリー・コーエン)と出会った彼女は、毎週大学に迎えに来る彼の誠実さに少しずつ心を開いていく。最新の水着に身を包み、コニーアイランドでトニーと過ごすエイリシュは、いまや洗練されたニューヨーカーになっていた。ところがある日、故郷から突然の悲報が届き、エイリシュはアイルランドへ帰郷する。そんな彼女を待ち受けていたのは、トニーとは正反対のジム(ドーナル・グリーソン)との再会、そしてもう一つの幸せな人生であった…。


 設定上は、60年も昔の女性のサクセスストーリーだが、故郷を離れ新しい人生を切り開こうとするヒロインの姿は、現代でも共感を得ることができるだろう。穏やかで閉鎖的なアイルランドと、努力次第で夢が実現するニューヨーク。対照的なこの二つの都市を舞台に、内向的だったヒロインが、みるみる前向きになって美しく成長していく。


 ストーリーはいたってシンプル。ほぼ予定調和なのだが、ヒロインを中心とした人間ドラマはしっかりと描きこまれている。殆ど出ずっぱりとなるシアーシャ・ローナンの演技が素晴らしい。彼女は約9年前に公開された「つぐない」で、主演のキーラ・ナイトレイを翻弄する子供を演じて、アカデミー賞候補になったのだが、本作ではシャイなエイリッシュが洗練されていくプロセスや、ニューヨークの活力を知ったからこそ分かる故郷の美しさを、言葉だけではなく、仕草や表情で巧みに演じている。また、彼女のチャームポイントは、その澄んだ蒼い瞳だと思うのだが、9年前に「つぐない」を観た時もかなり印象的だった。本作ではさらに目力が加わり、さらに惹き込まれる。


 また、映画全般で効果的に使われている緑色は、アイルランドのナショナルカラーである。故郷を離れる時のコートや、海水浴デートでの水着、そしてクライマックスのカーディガンなどが印象的だが、これは異国の地にいても、決して故郷の魂を忘れないという、ヒロインの強い意志の象徴なのだろう。清々しい気分になれる映画だ。


私の評価…☆☆☆☆★

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2016年8月11日 (木)

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅
アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジェームズ・ボビン
脚本:リンダ・ウールヴァートン
原案:ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」
製作:ティム・バートン 他
音楽:ダニー・エルフマン
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジョニー・デップ(平田広明)、ミア・ワシコウスカ(安藤瞳)、ヘレナ・ボナム=カーター(朴璐美)、アン・ハサウェイ(深田恭子)、サシャ・バロン・コーエン(滝藤賢一)、リス・エヴァンス(吉見一豊)、マット・ルーカス(小形満)、リンゼイ・ダンカン(一柳みる)、レオ・ビル(間宮康弘)、ジェラルディン・ジェームズ(宮寺智子)、アンドリュー・スコット、リチャード・アーミティッジ(田中美央)、エド・スベリーアス(下崎紘史)、アラン・リックマン(土師孝也)、ティモシー・スポール(廣田行生)ポール・ホワイトハウス(大川透)、スティーヴン・フライ(茶風林) 他


  〈没個性的で魅力ナシな映画〉


 「不思議の国のアリス」のその後を描き、大ヒットを記録した『アリス・イン・ワンダーランド』のシリーズ第2弾。悲しい過去に心を奪われたマッドハッターを救うため、時間をさかのぼるアリスの冒険がつづられる。


 美しく成長したアリス(ミア・ワシコウスカ)は、父の形見のワンダー号の船長として、3年に渡る大航海を成功させてロンドンに戻ってきた。だが、彼女を待ち受けていたのは、父の愛した船を手放すという厳しい現実。途方に暮れる彼女の前に、突然、青い蝶アブソレム(声=アラン・リックマン)が現れ、友だちのマッドハッター(ジョニー・デップ)の危機を告げるのだった。アリスはハッターを救うため、鏡を通りぬけてワンダーランドへ。


 そこには、死んだはずの家族の帰りを待ち続けるハッターがいた。白の女王(アン・ハサウェイ)らは、ハッターの家族を蘇らせるため、アリスに過去を変えてほしいと頼む。そのためには、時間の番人「タイム(サシャ・バロン・コーエン)」が持つ、時を操れる<クロノスフィア>が必要だった。クロノスフィアを盗んだアリスは、タイムの追跡を逃れながらワンダーランドの時間をさかのぼり、仲間たちの「子供時代」へ。


 だが、アリスは知らなかった。それがワンダーランドの「はじまり」の真実を知る、禁断の時間の旅となることを…。


 大ヒットした「アリス・イン・ワンダーランド」の待望の続編。だが、ティム・バートンは製作にまわり、「ザ・マペッツ」のジェームズ・ボビン監督がメガホンをとっている。前から何度も書いているが、続編ものの場合、監督が変わると作風が変わるため、失敗作になってしまう事が多い。本作も、ティム・バートンがかろうじて製作に関わったことで、前作の世界観はそのまま楽しめるが、キャラクターの個性が全く感じられなくなってしまい、前作ほどの魅力が無くなってしまった。


 何せ、マッド・ハッターが終始暗いし、悪役を演じれば主役を食うくらいの怪演が持ち味のサシャ・バロン・コーエンもおとなしめで、その“タイム”自身が弱っちいから全然楽しくない。


 ただ、サイドストーリーはそこそこ面白い。特に、紅白女王姉妹の仲違いのきっかけエピソードは、実に他愛ないものではあるが、逆にいえば真から憎み合っているのではないということ。姉妹だから言い易いこともあれば、言い難いこともあるんだよね。ということを端的に表していて、非常に興味深い場面だった。


 映画としてはダメダメだが、前作では無名の新人だったミア・ワシコウスカの、女優としての成長が垣間見える。それと同時に、もう6年も経ってしまったのかという、月日の経つ早さにも驚いた映画であった。


私の評価…☆☆

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2016年8月10日 (水)

ダーク・プレイス

ダーク・プレイス
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ジル・パケ=ブランネール
原作:ギリアン・フリン「冥闇」
製作:トビン・アームブラスト
音楽:BT、グレゴリー・トリッピ
出演:シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、クロエ・グレース・モレッツ、クリスティーナ・ヘンドリックス、コリー・ストール、タイ・シェリダン 他


  〈“心の闇”が問いかけるもの〉


 『ゴーン・ガール』の原作者ギリアン・フリンによるミステリー小説「冥闇」を映画化。幼いころに一家惨殺事件から生き延びた女性が、家族を襲った事件の真相を追ううちに驚がくの真実にたどり着く姿を描く。


 1985年、カンザス州の田舎町。母親とその娘二人が惨殺される事件が発生。家の壁には悪魔崇拝を示唆する血文字が残されていた。犯人として逮捕されたのは15歳の長男ベン。生き残った8歳の末っ子リビーが、兄の犯行を目撃したと証言したため、ベンは終身刑を宣告された…。


 28年後。殺人事件の遺族として世間から同情を受け、支援金や自伝出版で食いつないできたリビー(シャーリーズ・セロン)だったが、定職もなく、孤独な生活を送る日々。そんな彼女に“殺人クラブ”という団体から連絡が届く。過去の有名な殺人事件を検証するそのクラブは、重要な証言者としてリビーに会いたがっていた。兄の事件の真相が迷宮入りするまで、残り21日。“殺人クラブ”ではタイムリミットが迫る事件について語れば謝礼を支払うという。生活に困窮していたリビーは、クラブのメンバーであるライル(ニコラス・ホルト)が申し出た報酬に目がくらみ、出席を決意。ベンの無罪を主張するクラブを怪しみつつ、リビーは生活のために嫌々ながらもあの忌まわしき28年前の事件を振り返ることになる。


 刑務所を訪れたリビーは、久しぶりにベン(コリー・ストール)と再会。彼の手首には女性の名のタトゥーがあった。やがてリビーの脳裏には、徐々に過去の記憶が蘇る。当時、ヘビメタ好きで悪魔崇拝に傾倒していたベンは家族の中でも浮いた存在だった。さらに彼には、近所の少女に性的イタズラをしたという疑いが持ち上がっていた。ベンにはディオンドラ(クロエ=グレース・モレッツ)という年上の恋人がいて、妊娠が発覚した彼女はベンと一緒に町を出ようと心に決めていた。一方、リビーの両親は、彼女が2歳のときに離婚。だが父親は、たびたび金の無心に来ては、母親のパティ(クリスティナ・ヘンドリックス)を悩ませていた。家が農場とはいえ、女手ひとつで4人の子供たちを育てるパティも経済的に困窮。自宅が差し押さえを迫られたうえ、嫌疑を受けるベンのために弁護士の費用が必要だった。そんな状況であの夜、惨劇が起こったのだ。ライルに背中を押されたリビーは、かつてベンがイタズラをしたというクリシーと会い、殺された姉の日記を読み返し、忘れかけた記憶をたぐり寄せていく。あの夜、自宅で何が起こり、自分は何を目撃したのか。


 そんな中、事件以来、行方知れずだった父親の居場所を突き止めたリビーは、衝撃の事実へ一歩、また一歩と近づいていく…。


 幼い時、心に深い傷を負ったヒロイン。この映画はそのヒロインが、過去の呪縛から解放されていく姿を追っていく。そのため終始暗い雰囲気の中で話が進んでいく。


 その上で、多くの人間関係が交錯し、時間軸も結構行ったり来たりで、少々ややこしい。最初のうちは、誰の言っている事が真実で、何が嘘なのかも分からず難解である。勿論、自分の兄を「犯人」呼ばわりした幼きヒロインの心の闇や、当時の母や兄を取り巻く複雑な環境など、人間の持つ醜い部分も垣間見え、現代社会にも通じる問題作といえる。


 ところで、今回もクロエたんは“悪女”な役だ。まぁ、純なヒロインから悪まで演じられるのは、役者として上手い証拠でもあるが、彼女も今年で19歳。顔は相変わらずキュートなのだが、体型はあまりスマートとはいえないので、何とか脱がずに大人の役への脱皮を図っているのだろう。でも、ファンとしては「ヒューゴの不思議な発明」の頃のような、純なヒロイン役もそろそろ観てみたい(本作は2015年製作。日本では「フィフス・ウェイブ」と公開順が逆)。最新の情報では、どうやらディズニーアニメで有名な「リトル・マーメイド」の実写映画版で、ヒロイン=アリエル役に選ばれているようである。但し、配給はディズニーではなくユニバーサル映画で、内容も原作に近くダークなものになるらしい。何だか気になるけど、楽しみだ。


私の評価…☆☆★

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2016年8月 6日 (土)

夏美のホタル

夏美のホタル
夏美のホタル
劇場:イオンシネマ京都桂川
監督:廣木隆一
脚本:片岡翔、港岳彦
原作:森沢明夫「夏美のホタル」
製作:松本行司 他
音楽:石橋英子
出演:有村架純、工藤阿須加、渕上泰史、村上虹郎、中村優子、小林薫、光石研、吉行和子 他


  〈静かなひと夏の、心温まる成長物語〉


 『ふしぎな岬の物語』の原作者・森沢明夫の小説を、有村架純主演で映画化した人間ドラマ。将来や恋人との関係に不安を抱く少女が、見知らぬ土地で出会った人々とのふれあいを通して、亡き父親の思いを受け止め、成長していく姿を描く。


 写真家になる夢を持ちながらも、将来への漠然とした不安を抱える河合夏美(有村架純)は、煮え切らない態度をとる恋人・相羽慎吾(工藤阿須加)との付き合いに少々イラ立ち気味。そんな夏のある日、亡き父の形見のバイクに跨り、一緒にホタルを見た森へ向かう。カメラを手にした夏美はテントを張り、木々の緑が眩しい森の風景を撮りながらホタルを待とうと考える。買い物に立ち寄った黄色い看板のよろず屋「たけ屋」は、ヤスエ(吉行和子)さんと「地蔵さん」と呼ばれる息子の恵三(光石研)が営んでいた。夏美に、空いている部屋があるから泊まっていけと勧める2人。その親切に甘えて、店の手伝いをしながらしばらく厄介になることを決める。やがて、夏美を追ってやって来た慎吾も一緒に居候することに。地蔵さんの友人、雲月(小林薫)の不遜な態度は腹立たしかったものの、近所の子供たちと川えびやテンカラ釣りを楽しみながら過ぎてゆく穏やかな日々。ところがある日、地蔵さんが倒れて入院。そして夏美は、地蔵さんが別れた家族との間に埋められない溝を抱えて、長い間苦しんできたことを知る。地蔵さんのために出来ることがないかと考えた夏美が取った行動とは…。


 映画公開前のインタビューで、有村架純本人が言っていた通り、たいへん静かな映画。原作小説の舞台が千葉県の房総半島ということで、映画も一部を除きほぼ現地で撮影されているらしいのだが、養老渓谷とみられる川のシーンなど、田舎だからこその美しい風景に癒される。


 ストーリーは、人生の岐路に立たされた主人公が、思いがけずふと訪れた父との思い出の地で、亡き父の本当の愛情を知り、一回りも二回りも成長していく姿が、静かで穏やかに描かれていくという、およそ映画的とはいえない地味な話で(笑)、音楽も少なめ。有村架純のファンでもなければ、多分鑑賞中に寝てしまう人も多いだろう。自分はなんとか最後までもったし、最後はこれまた静かな感動に包まれるのだが、癒し系の映画としては、よかったのではないかな。


私の評価…☆☆☆

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2016年8月 4日 (木)

クリーピー 偽りの隣人

クリーピー 偽りの隣人
クリーピー 偽りの隣人
劇場:MOVIX京都
監督:黒沢清
脚本:黒沢清、池田千尋
原作:前川裕「クリーピー」
音楽:羽深由理
出演:西島秀俊、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之、藤野涼子、戸田昌宏、馬場徹、最所美咲、笹野高史 他


  〈あんな隣人、本当にいたら怖すぎる〉


 第15回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕の小説を、黒沢清監督が映画化したサスペンス・スリラー。


 元刑事で現在は犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、かつて同僚だった刑事・野上(東出昌大)から、6年前に発生した一家失踪事件の分析を依頼される。しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどり調査を進めても核心にはたどりつけずにいた。


 一方、高倉が愛する妻・康子(竹内結子)と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。病弱な妻(最所美咲)と中学生の娘・澪(藤野涼子)をもつ人の良さそうな主人・西野(香川照之)との何気ない会話に高倉夫妻は翻弄され、困惑する。そんなある日、澪が告げた言葉に高倉は驚愕する。

 「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です…」。

未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係が繋がり、高倉夫妻の平穏な日常が崩れてゆく。そして康子の身に「深い闇」が迫っていた…。


 タイトルの“クリーピー”とは、気味が悪いとか、身の毛がよだつという意味があるが、まさにこれはそれを体現する映画だ。不気味な雰囲気の中で、ありふれた幸せな日常が、徐々に狂気の事件へと変わっていく様子が、秀逸に現されていく。


 一見、何の繋がりも無さそうな、一家失踪事件と奇妙な隣人の西野家。だが、それが徐々にリンクしていく様が怖くて面白い。終盤の展開が、やや雑になってしまうのが残念だが、映画の中で重要な軸となる康子を演じる竹内結子と、何といっても西野役=香川照之の怪演が功を奏し、ホラーの名手、黒沢清監督らしい映画となった。


私の評価…☆☆☆☆

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2016年8月 3日 (水)

貞子vs伽椰子

貞子vs伽椰子
貞子vs伽椰子
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:白石晃士
原作:山本清史「貞子vs伽椰子」(ノベライズ)
製作:堀内大志 他
音楽:遠藤浩二
主題歌:聖飢魔II「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」
出演:山本美月、玉城ティナ、佐津川愛美、菊地麻衣、田中美里、甲本雅裕、安藤政信、堂免一るこ、芝本麟太郎、遠藤留奈、七海エリー 他


  〈途中までは、よかったのに〉


 『リング』シリーズの貞子と『呪怨』シリーズの伽椰子という、最恐ヒロインの共演が実現した驚愕のホラー。


 女子大生の有里(山本美月)は、見たら2日後に必ず死ぬという「呪いのビデオ」を手にする。親友の夏美(佐津川愛美)がビデオの不気味な映像を見てしまったため、有里は都市伝説の研究家でもある大学教授・森繁(甲本雅裕)を訪ねる。しかし、悪霊祓いの最中におぞましい惨劇が勃発。そこに霊能界の異端児・常盤経蔵(安藤政信)と、経蔵の相棒で生まれながら強い霊感を持つ盲目の少女・珠緒(菊地麻衣)がやってくる…。


 女子高生の鈴花(玉城ティナ)は、足を踏み入れた者は生きて戻れないという「呪いの家」の向かいに引っ越して来る。ある夜、鈴花が向かいの家をうかがっていると、行方不明になった小学生の姿を目撃する。居ても立ってもいられなくなった鈴花は、呪いの家へ向かう。やがて鈴花は恐る恐る内部に足を踏み入れ、彼女の悲鳴を聞いて駆け付けた両親もろとも、この家に棲みつく伽椰子(遠藤留奈)と俊雄(芝本麟太郎)に襲われる…。


 2つの呪いを解くために、経蔵は貞子(七海エリー)と伽椰子を激突させ、同時消滅させるという驚くべき計画を立てる。有里と鈴花に呪いの家で呪いのビデオを見るという恐るべき作戦を指示するが、それは想像を絶する戦慄の事態の始まりだった…。


 嘗てハリウッド映画にも、配給会社の枠を超えた「ジェイソンvsフレディ」(ジェイソンはパラマウント ※日本ではワーナー、フレディはニュー・ライン・シネマ)なるものがあったが、まさか権利関係の複雑な邦画で同様の企画が立ち上がるとは!


 ただただ怖がらせるだけでは、面白くない。その点に於ては、両者の過去作をしっかりリスペクトしていて楽しめるが、ストーリーが進むにつれ、収拾がつかなくなったのか、はたまた予算が無くなったのか、とんでもない尻切れトンボで終わってしまった。人気キャラだし、両者とも死なせたくない(いや、既に死んでいるか)のは分かるが、あんなラストでは拍子抜け。ある程度ちゃんとした決着を観たかった。


私の評価…☆☆★

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