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2016年11月

2016年11月29日 (火)

バースデーカード

バースデーカード
バースデーカード
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:吉田康弘
製作幹事:東映、朝日放送
音楽:きだしゅんすけ
出演:橋本愛、宮﨑あおい、ユースケ・サンタマリア、須賀健太、中村蒼、木村多江、谷原章介、安藤玉恵、黒田大輔、清水伸、田中圭、洞口依子、篠川桃音、湯川ひな、日向丈、松浦祐也、小林博、加藤明子、上田剛彦、浦川泰幸、富山えり子、大津尋葵、齋賀正和 他


  〈亡き母から娘への、10年にわたる“遺言”〉


 橋本愛と宮﨑あおいが共演し、母娘の愛を描く人間ドラマ。


 21世紀のキに、子どもと書いて紀子(橋本愛)。いま、この時代に、確かに私という人間が存在した、という意味を込め、パパ・宗一郎(ユースケ・サンタマリア)が付けてくれた名前です。


 幼いころ、紀子(幼少期=篠川桃音)は泣き虫で引っ込み思案だったが、そんな彼女をいつも励ましてくれたのは母・芳恵(宮﨑あおい)だった。いつも家族をあたたかく見守る芳恵は病魔におかされ、死期が迫っていた。紀子の10歳の誕生日、芳恵は紀子と紀子の弟・正男(須賀健太)が20歳になるまで毎年手紙を送ると約束する。そしてついに芳恵は天国へ。


 翌年、紀子の11歳の誕生日、本当に芳恵から手紙が届く。以来、毎年届けられる母からの手紙は、紀子にたくさんの出会いと大切なものを贈っていった。そして20歳を迎え受け取った最後の手紙には、小学校のクイズ大会で勇気を出せず一問も答えられなくて落ち込んでいた紀子が母に投げかけた質問の答えが書かれていた。紀子は、10年前のあの日をやり直そうと決心。そんな紀子に、母からの思いがけないプレゼントが用意されていた…。


 この秋公開の映画は、この映画の他にも“余命宣告モノ”が多いような気がするが、この映画は如何にもな“お涙頂戴”的な要素は少なく、母の死に直面した家族の関係と、そこからの子供の成長が、重くなりすぎないように、努めて明るく描かれている。


 残された娘への愛情を、年1通のバースデーカードに残して託す母と、それを受け止め、ちょっぴり反抗しつつも成長していく娘の話は、非情に丁寧で優しいのだが、少々小綺麗に作られて現実感が薄らいだのは残念。大阪の朝日放送が製作に関わっている関係で、テレビ番組「アタック25」の歴代司会者(初代=故・児玉清、二代目=浦川泰幸アナウンサー、三代目=谷原章介)が揃い踏みするのも、何だか番宣っぽい感じがした。


 出演者は皆好演。でも、やっぱり母役の宮﨑あおいは見事。あんな素敵なお母さんがいたら、いいよねと思わせてくれる。それにこたえる橋本愛もイメージ通りのキャスティングでいい。ラストシーンの姿は、本当に綺麗であった。


私の評価…☆☆☆

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2016年11月26日 (土)

イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~

イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~
劇場:京都シネマ
監督:スティーグ・ビョークマン
製作:スティナ・ガーデル
音楽:マイケル・ナイマン
出演:イザベラ・ロッセリーニ、イングリッド・ロッセリーニ、ロベルト・ロッセリーニ、ピア・リンドストローム、ジョア・フィオレラ・マリアーニ、リヴ・ウルマン、シガニー・ウィーヴァー、ジャニーン・ベシンガー、アリシア・ヴィキャンデル 他


  〈大女優の知られざる私生活〉


 イングリッド・バーグマンの生誕100周年を記念し、2015年にカンヌ国際映画祭でプレミア上映されたドキュメンタリー作品。イングリッドと同じくスウェーデン出身の女優アリシア・ヴィキャンデルがナレーションを務める。


 「別離」でアメリカ映画に進出し、「カサブランカ」などに出演。「ガス燈」と「追想」でアカデミー賞主演女優賞を、「オリエント急行殺人事件」で助演女優賞を受賞し、ハリウッド黄金期の中でも一際輝く才能を見せた大女優イングリッド・バーグマン。聖女のイメージを持たれていた一方で、不倫騒動や3度の結婚などスキャンダラスな私生活から悪女のレッテルを貼られ、一時はアメリカ映画から離れざるをえなくなるまでになった。それにも関わらず死後も人々を魅了してやまない彼女の軌跡を、彼女が肌身離さず持ち歩いたカメラに収められていたスチールや日記、手紙とプライベート映像、そして彼女の子どもたちへのインタビューを交えて辿っていく。


 まず、これだけたくさんのホームムービーが残っているということに驚く。このプライベート映像には、母と娘が無邪気に戯れている姿が観られるのだが、実際にはバーグマンにとっては女優業が最優先だったらしく、プライベートでは子どもたちに相当辛い思いをさせていたことについて、子どもたち自身が語っているのがとても興味深い。


 勿論、自身が出演した往年の名作や、世間を騒がせたスキャンダルの事も大いに語られるが、大部分はプライベートの彼女の事であり、そこに現されるのは女優でもなく、母親でもない一人の人間バーグマンの姿。それは彼女が演じたジャンヌダルクのように、強く美しく、自由で清々しい。


 映画のなかでは、彼女が遺した4人の子供達へのインタビューも敢行される。その中でも、特に母親と顔がソックリで、同じ道を歩む三女の女優イザベラ・ロッセリーニには、やはり母親と同じ遺伝子というものを、強く感じる。僕は「ワイアット・アープ」(1994年/ケビン・コスナー主演)以降、姿を見ていなかったが、とても還暦過ぎ(現在64歳)とは思えない程、若々しく感じた。


 それにしても、若き日のシガニー・ウィーヴァーが、イングリッド・バーグマンと舞台で共演していたのは、知らなかったなぁ。


私の評価…☆☆☆

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2016年11月24日 (木)

グッドモーニングショー

グッドモーニングショー
グッドモーニングショー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:君塚良一
製作:石原隆、市川南
音楽:村松崇継
出演:中井貴一、長澤まさみ、志田未来、時任三郎、吉田羊、濱田岳、松重豊、池内博之、林遣都、梶原善、木南晴夏、大東駿介、折井あゆみ、森脇英理子、小谷早弥花、東亜優、遠山俊也、小木茂光、上野なつひ、大西礼芳、志野リュウ、水谷あつし、弥尋、山田望叶 他


  〈コメディー版「マネー・モンスター」?〉


 中井貴一が次から次へと降りかかる災難に翻弄されるワイドショーのキャスターを演じ、その波乱の一日を描くコメディ。


 澄田真吾(中井貴一)は、朝のワイドショー「グッドモーニングショー」のメインキャスター。かつて報道番組のエースキャスターだったが、ある震災現場からの現場リポートが世間から非難を浴びて番組を降板。以来、現場からのリポートが怖くてできなくなり、同期入社のプロデューサー・石山聡(時任三郎)に拾われ今に至っている。


 ある日、いつものように深夜3時に起床した澄田は息子と妻・明美(吉田羊)の言い争いに巻き込まれる。逃げるようにテレビ局に向かう途中、今度はサブキャスターの小川圭子(長澤まさみ)から連絡が入り、二人の交際を今日の生放送で発表しようと迫られる。彼女は澄田と付き合っていると勘違いしているらしい。さらに石山からは番組の打ち切りが告げられ、新番組への登板もないことも伝えられ、踏んだり蹴ったりの事態に意気消沈するばかり。そんな中、都内のカフェに銃を持った男(濱田岳)が人質を取って立てこもっているという速報が飛び込んでくる。芸能ゴシップや政治汚職、行列スイーツ特集を押しのけ、立てこもり事件をトップのネタに番組はスタートするが、その直後、立てこもった犯人が、澄田を現場に呼べと要求していることが分かる。現場での過去のトラウマもあり困惑して拒否する澄田だったが、警察からの依頼を受けた石山からの命令、番組視聴率のため、そして圭子の暴露から逃げ出したいために澄田は現場へと向かうのだった。やがて、防弾チョッキにカメラとマイクを仕込ませたワイドショーのキャスターが、銃と爆弾を持った犯人と向き合うという前代未聞の生放送が始まる…。


 これも面白いけど、何か今イチだなぁ。君塚氏は、今じゃ脚本家としての方が有名だが、元々はバラエティー番組の放送作家。特に欽ちゃんこと萩本欽一とは師弟関係にあり、今でも「仮装大賞」には、構成作家として名を連ねている。つまり、テレビ局の舞台裏には詳しいはずで、本作ではそれを分かりやすくコメディーとして描いている。


 生放送中に社会への不満を持つ人間が立て籠り事件を起こし、テレビ局の面々が翻弄されつつ巧妙に利用しながら、自らの仕事をこなしていくという構図は、今年公開された米映画「マネー・モンスター」と酷似しているが、あちらに比べるとメッセージ性が薄く、緊迫感にも欠ける。ただ、“業界もの”としてのテーマの伝わりやすさは、こちらの方が上手く描けている。中井貴一や長澤まさみら主要人物が、しっかりキャラ立ちしているのもいい。


 惜しいのは、主人公の家庭問題など、やや詰め込み過ぎの感があることだ。確かに、シリアスな部分も少しはあった方が、コメディーとしては引き立つのだが、少々雑多な感じがした。もう少しシンプルにまとめられれば、さらに面白かったかもしれない。


私の評価…☆☆☆

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2016年11月22日 (火)

ジェイソン・ボーン

ジェイソン・ボーン
ジェイソン・ボーン
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ポール・グリーングラス
共同脚本:クリストファー・ラウズ
原作(キャラクター創造):ロバート・ラドラム
製作:フランク・マーシャル 他
製作総指揮:クリストファー・ラウズ
音楽:ジョン・パウエル、デヴィット・バックリー
出演:マット・デイモン、トミー・リー・ジョーンズ、アリシア・ヴィキャンデル、ヴァンサン・カッセル、ジュリア・スタイルズ、リズ・アーメッド、アトー・エッサンドー、スコット・シェパード、ビル・キャンプ、ヴィツェンツ・キーファー、グレッグ・ヘンリー、スティーヴン・クンケン 他


  〈9年経って変わったものと、変わらないパターン〉


 マット・デイモンが最強の暗殺者、ジェイソン・ボーンを演じたシリーズ前3作の流れを継ぐサスペンスアクション。すべての記憶を取り戻したはずのボーンが、自身の家族を巡る謎や、新たな敵に挑む姿を描く。


 CIAの極秘プログラム「トレッドストーン計画」によって生み出された暗殺者ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)。記憶を取り戻した彼が消息を絶ち何年もの歳月が経過したある日、世間から姿を消して生活していたボーンの元にCIAの元同僚であるニッキ―(ジュリア・スタイルズ)が現れる。彼女は、CIAが世界中の情報を監視・操作する事を目的とした極秘プログラムが始動したという情報を告げ、さらにボーンの過去にまつわる衝撃的な真実を明かす。


 それはボーンにとって新たな戦いの始まりを意味していた。ボーンは再び姿を現し、追跡を任されたCIAエージェントのリー(アリシア・ヴィキャンデル)は、彼が最も求めているものを提供すれば、再度CIA側に取り込めるのではないかと考え始める。しかし「史上最も危険な兵器」であるボーンは、追跡者が想像すらできないある目的を持って動いていた…。


 面白いけど、旧3部作と比べるとかなり劣化した。ボーン対CIAの構図も変わらず、やっている事もほぼ同じでは新鮮味も無い。


 確かに、9年も経てばCIAにも人事異動があるだろうし、ヒロインだって若手に交代させた方が、興行的にはいいのかも知れない。その意味では今回、終始仏頂面の新ヒロイン=アリシア・ヴィキャンデルは、結構いい味出しているのだが、反面マット・デイモンがちょっと老けて見えたし、結果、旧ヒロインのニッキーより微妙な立ち位置になっちゃった。


 そして、このシリーズはスタイリッシュなカーアクションも見もの、のはずなのだが、これも今回はやや雑だ。まぁ、相手が装甲車だからそう見えても仕方ないのかもしれないが、もうちょっといい見せ方は無かったのか。


 総じて今回は期待外れだったが、それでもあのエンディング・テーマを聞くと、次を期待してしまう。一応、世界的にヒットしているようだし、マット・デイモンが老けないうちに作ってほしい。


私の評価…☆☆☆★

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2016年11月20日 (日)

高慢と偏見とゾンビ

高慢と偏見とゾンビ
劇場:TOHOシネマズ梅田
監督・脚本:バー・スティアーズ
原作:ジェーン・オースティン、セス・グレアム=スミス「高慢と偏見とゾンビ」
製作:エイリーン・ケシシアン 他
音楽:フェルナンド・ベラスケス
出演:リリー・ジェームズ、サム・ライリー、ジャック・ヒューストン、ベラ・ヒースコート、ダグラス・ブース、マット・スミス、チャールズ・ダンス、レナ・ヘディ 他


  〈古典文学にゾンビを混ぜた怪作〉


 ジェーン・オースティンによる恋愛小説の金字塔「高慢と偏見」をウイルスが原因によるゾンビがはびこる終末世界に置き換え、ベストセラーとなった小説を映画化したアクション。


 18世紀末、イギリス。謎のウイルスが蔓延し、感染した者はゾンビとなって人々を襲っていた。片田舎で暮らすベネット家の5人姉妹は得意のカンフーでゾンビと戦う毎日だが、姉妹の母親は娘たちを早くお金持ちと結婚させなければと焦っていた。


 そんな時、近所に資産家のビングリー(ダグラス・ブース)が引っ越してきて、友人の大富豪で高潔な騎士・ダーシー(サム・ライリー)も出入りするようになる。折しも舞踏会が開かれ、ビングリーとベネット家の長女・ジェイン(ベラ・ヒースコート)はひと目で恋におちる。一方、次女のエリザベス(リリー・ジェームズ)はダーシーの高慢な態度に腹を立てながら、彼のことが気になって仕方ない。ダーシーも戦う姿が勇ましい彼女に惹かれていくが、身分の違いを乗り越えることができないでいた。


 ところが突然、ビングリーがジェインを置いてロンドンへ帰ってしまう。ダーシーが二人を引き裂いたと聞いたエリザベスは激怒し、ダーシーが一世一代の決意で臨んだプロポーズを拒絶してしまう。そんな中、遂に人類とゾンビの最終戦争が始まり、エリザベスとダーシーは共に戦うことに。果たして、すれ違う恋と、人類滅亡の行方は...。


 英国古典文学の傑作に、ゾンビ・ホラーを掛け合わせた怪作。一見おふざけかと思いきや、意外とマッチしていて面白い。しかも、元ネタの小説の筋立ても、殆ど変えずにゾンビを溶け込ませているので、ほぼ何の違和感もなく映画の世界に入っていける。


 このところ、アクション映画などでも結構、女性の活躍が目立っているが、本作も登場する女性の殆どが戦士である。ゾンビとの戦争が続いているという設定なので、すぐにゾンビと戦えるよう準備と武術を日々訓練しており、太腿からサーベルを取り出す際のセクシーさがたまらない。次々とゾンビを倒していく姿に惚れ惚れしてしまう。比べて男性陣は些か影が薄い。


 本作は基本的には、元ネタ好きな人向けの映画だとは思うが、あのキーラ・ナイトレイ主演の「プライドと偏見」(2006年)を観た人なら、そのパロディだと思って観れば、充分楽しめる映画である。後に何にも残らないけど。


私の評価…☆☆☆★

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2016年11月19日 (土)

CUTIE HONEY -TEARS-

CUTIE HONEY -TEARS-
CUTIE HONEY -TEARS-
劇場:イオンシネマ京都桂川
監督:A.T.、ヒグチリョウ
脚本:中澤圭規、田中靖彦
原作:永井豪「キューティーハニー」
音楽:北里玲二
主題歌:西内まりや「BELIEVE」
出演:西内まりや、三浦貴大、石田ニコル、高岡奏輔、永瀬匡、今井れん、エリック・ジェイコブセン、深柄比菜、仁科貴、倉野章子、笹野高史、岩城滉一 他


  〈名作SF映画の設定をパクっただけの凡作〉


 女性型アンドロイド、如月ハニーと彼女を狙う犯罪組織パンサークローとの戦いを描き、人気を博した永井豪原作のセクシーアクションを基にしたSFドラマ。


 AIに支配された漆黒の世界…。街は富裕層の暮らす上層階と貧困層の暮らす下層階に分けられていた。下層の人々は、快適な生活を維持する為に垂れ流される、上層階からの汚染物質が生み出す有害な雨の中で生活していた。そんなある時、下層階に、1体の美しいアンドロイド・如月瞳(西内まりや)が上層階から落下してくる。彼女は、自分の生みの親である如月博士(岩城滉一)の実の娘の記憶を移植された感情を持ったアンドロイドであった。下層階で生まれ育った上層階の新聞記者である早見青児(三浦貴大)、そして下層階のレジスタンスである浦木一仁(高岡奏輔)、清瀬由紀子(今井れん)、木村龍太(永瀬匡)たちとの出会いをきっかけに、運命の歯車が回り始めた如月。向かうは世界を支配する感情を持たない新型アンドロイド「ジル(石田ニコル)」。人類最大の危機に、人々を守るために如月が下した衝撃の決意とは…?


 これはもう、原作からキャラクターを借りただけの大改(怪?)作。一応、舞台設定が近未来の某所というような事になっているが、なんだか「ブレードランナー」(1982年)の世界観と、コリン・ファレル主演版「トータル・リコール」(2012年)の舞台設定を、そのままパクっているだけ。ストーリーもシリアス展開にしたためか、ハニーの性格も原作とまるっきり違って、暗い。


 まぁ、最近のアメコミ実写映画が、ディストピアな世界観に変貌して、そこそこ成功しているので、東映もその流れに乗ろうとしたのだろうが、やはり変えるにも程度というものがあり、ここまでやってしまうと最早「キューティーハニー」とは全く違う別物だ。どうせ近未来SFにするのなら、過去に4度アニメ化された中で、舞台が「バットマン」のゴッサムシティーのような世界になっていた、OVAの「新キューティーハニー」を実写化してくれた方が良かった(変身時に全てが丸見えになってしまうが…)。


 そもそも、何故今更? てな感じで、よくこんな企画が通ったなと思う。これは、アニメ化作品でさえ必ずしも成功しているものではないのである(第1作と第3作「~F(フラッシュ)」のTV版は最終回まで描かれたが、実質打ち切り。第2作のOVA版「新~」は製作会社倒産で全12話の予定が8話で打ち切り。第4作「Re:キューティーハニー」は佐藤江梨子主演の実写映画版のアニメパートを再利用した代物)。そう考えれば、無理やりキューティーハニーにしなくても、別のオリジナル企画でやれば、もう少しまともな物ができたはずである。


 シスター・ジル役の石田ニコルも、確かにあのメイクで人間型アンドロイドという設定なら、アニメ版に雰囲気が似てなくも無いが、なんだか可愛い過ぎて(笑)悪役っぽくない。声にエフェクトがかかっていれば、まだマシだったかも。まだまだ書きたいことはたくさんあるが、永井豪原作ものは、一部を除いて実写化には不向き。恐らくもう、手を付ける勇気ある者は、出てこないだろう。


私の評価…☆☆

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2016年11月18日 (金)

少女

少女
少女
劇場:T・ジョイ京都
監督・脚本:三島有紀子
共同脚本:松井香奈
原作:湊かなえ「少女」
音楽:平本正宏
主題歌:GLIM SPANKY「闇に目を凝らせば」
出演:本田翼、山本美月、稲垣吾郎、児嶋一哉(アンジャッシュ)、真剣佑、佐藤玲、菅原大吉、川上麻衣子、銀粉蝶、白川和子 他


  〈ヒロイン2人の演技は悪くないが…。〉


 湊かなえのベストセラーを、本田翼&山本美月主演で映画化したミステリアスなドラマ。17歳という多感な時期を迎えた2人の女子高生の姿を通し、それぞれが抱える闇や“死”にまつわる禁断の世界を映し出す。


 夏休み、高校2年生の桜井由紀(本田翼)は小児科病棟でボランティアをしていた。夏休みに入る少し前、転校生の滝沢紫織(佐藤玲)が「親友の死体を見たことがある」と少し自慢げに話していたのを聞いて、言い知れぬ違和感とわずかな羨ましさを覚えたのだ。由紀は、詩織よりも強く死の瞬間を目撃したい、そのときを誰よりもおもしろく演出したいと考え、残酷にも短い生命を終えようとしている少年たちと仲良くなり、自らの思いを遂げようとしていた。


 一方、由紀の親友である草野敦子(山本美月)も、由紀には内緒で老人ホームのボランティアに出かけていた。陰湿ないじめのせいで生きる気力を失いかけていた敦子は、人が死ぬ瞬間を見れば生きる勇気を持てるのではないかと期待していたのだ…。


 一応、テーマは“因果応報”なんだろうけど、今一つしっくりこない。恐らく原作の持つ膨大な情報量を捌ききれていないのか、あるいはエピソードの取捨選択を間違っているのかのどちらかだろう。登場人物の誰もが心の傷と罪を背負っているのも、最近の邦画によくある展開で、特に目新しさが無いし、軸になる主役2人の葛藤が解消される過程も不明瞭である。


 主演2人の演技は、特に悪くは無いと思うが、本田翼が演じる由紀は、シークエンスによってキャラが変わり過ぎる。役者としての技量も関係するかもしれないが、恐らく“順撮り”をしていない弊害の方が大きいのではないか。確かに、映画やTVドラマは撮影スケジュールの都合もあり、ストーリー通りに撮影する“順撮り”をしないのが普通である。ただ、やはりこういった複雑な感情や展開を要するものに関しては、ある程度順撮りをした方が、役者にとっても編集する側にとっても、やり易かったのではなかったのだろうか。遺書として随所に登場する演劇的な演出も、物語の中では浮いている感じだ。原作のテイストを活かしきれていない映画である。


私の評価…☆☆★

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2016年11月15日 (火)

映画 聲の形

映画 聲の形
映画 聲の形
劇場:MOVIX京都
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
原作:大今良時「聲の形」
音楽:牛尾憲輔
主題歌:aiko「恋をしたのは」
声の出演:石田将也…入野自由(小学生時代…松岡茉優)、西宮硝子…早見沙織、植野直花…金子有希、佐原みよこ…石川由依、川井みき…潘めぐみ、島田一旗…西谷亮(小学生時代…小島幸子)、広瀬啓祐…増本拓也(小学生時代…武田華)、竹内…小松史法、永束友宏…小野賢章、真柴智…豊永利行、西宮結絃…悠木碧、石田美也子…ゆきのさつき将也の姉…濱口綾乃、石田マリア…鎌田英怜奈、西宮八重子…平松晶子、西宮いと…谷育子、ペドロ…綿貫竜之介 他


  〈もどかしくて、切ない。でも心揺さぶる。〉


 「週刊少年マガジン」に連載され、数々の賞に輝いた、大今良時の人気コミックを、京都アニメーションが劇場アニメ化したハートフルストーリー。ガキ大将の少年と、耳の不自由な少女が出会い、様々な体験を通して成長していく姿を描く。


 退屈を何よりも嫌うガキ大将の小学生・石田将也は、転校してきた西宮硝子に無邪気に好奇心を抱く。彼女が来たことで退屈から解放されるが、硝子とのある出来事をきっかけに周囲から孤立してしまう。それから五年が経ち、二人はそれぞれ別の場所で高校生になっていた。あの出来事から殻に閉じこもっていた将也は、硝子の元を訪れる。


 今、大ヒットしているアニメ映画と言えば「君の名は。」だが、実はその影に隠れる形で、ヒットしているアニメ映画がある。それがこの映画だ。公開当初、スクリーン数は「君の名は。」の半分ほど(約120スクリーン)だったが、地道に集客を伸ばし、現時点で観客動員160万人突破、興収も21億円を超えた。


 映画のポスターやチラシを見れば、そのビジュアルからどこかほのぼのとした青春映画を想像させるが、冒頭から小学生の将也が聾唖の硝子を苛める場面があり、その苛めに加担していた将也の友人らが今度は将也を苛め、ダークサイドに陥れていくという、結構ハードな展開である。


 ところが、そこから時が流れ、過去に硝子を苛めた将也はそれを悔い、別の高校に進学した硝子と友達になろうとする。ここからはラブストーリーになっていくわけだが、それだけではなく主役二人の旧友たちや新しい友人たちの、思春期の感情や心理を描く群像劇へと変わっていくのである。耳が聞こえない硝子は思いを懸命に伝えようとするのだが、健常者であるはずの周りの者たちもまた、思いを伝える難しさを知ることになる。


 一見美しい物語に見えるのだが、底に流れる暗さと惨めさに、正直観ていて辛くなる。だが、そういう人生の暗さと向き合わず生きてきた人の方が、恐らく少ないのではないか。将也が失ったものを必死で取り返そうともがく姿、そしてそれに懸命にこたえようとする硝子の姿は、あまりにももどかしく切ない。


 ヒロインが聾唖者という事や、主人公がいじめられっ子で引きこもりという設定が関係しているのか、制約の厳しい地上波TV等での宣伝はあまり見かけないが、そんな中でのこの興行収入成績は立派といっていいだろう。11月からは上映する映画館が減るどころか、逆に増えている。「君の名は。」は既に“年越し興行”がほぼ確定的だが、本作も恐らくそうなるだろう。あの映画も確かに良作だが、こういう映画こそ、幅広い年齢層に観てほしい映画である。


私の評価…☆☆☆☆★

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2016年11月 8日 (火)

真田十勇士

真田十勇士
真田十勇士
劇場:MOVIX京都
監督:堤幸彦
脚本:マキノノゾミ、鈴木哲也
製作:大角正 他
製作総指揮:中山良夫
音楽:ガブリエル・ロベルト
主題歌:松任谷由実「残火」
出演:中村勘九郎、松坂桃李、大島優子、永山絢斗、高橋光臣、駿河太郎、村井良大、荒井敦史、望月歩、青木健、加藤和樹、石垣佑磨、伊武雅刀、佐藤二朗、奥田達士、渡辺慎一郎、松平健、加藤雅也、大竹しのぶ 他

ナレーション…松平定知


  〈堤ワールド全開の痛快時代劇〉


 天下の名将として知られる真田幸村が実は腰抜けの武将だったら?という仮想で描かれるユニークな戦国ドラマ。同名タイトルの舞台版を映画化。


 関ヶ原の戦いから14年。天下統一を目前にした徳川家康(松平健)と、復権を狙う豊臣家の対立が深まっていた戦国の世で、「天下に並ぶ者なし」の名将として、世間から尊敬を集めていた男、真田幸村(加藤雅也)。しかし実はこの幸村、その男前な容貌と、偶発的な幸運の連続によって勝ちを拾ってきただけの、気弱な「腰抜け男」だったのだ。


 実像と虚像の違いに悩んでいた幸村はある時、猿飛佐助(中村勘九郎)と運命的に出会う。忍者の里から飛び出してドデカいことを成し遂げたいと思っていた佐助は、幸村を担いで「本物の天下一の英雄に仕立て上げようじゃないか!」と、同じ抜け忍の霧隠才蔵(松坂桃李)を筆頭に一癖も二癖もある十人の男たちを集め、世にいう『真田十勇士』を誕生させる。


 亡き秀吉の妻・淀殿(大竹しのぶ)に呼び寄せられた幸村、そして十勇士たちは、またたく間に徳川との最終決戦の最前線に立つこととなった。戦国最後にして最大の戦い、徳川対豊臣の「大坂の陣」がついに幕を開ける…。


 これはもう、歴史でおもいっきり遊んじゃっている映画。冒頭、この舞台版ではじっくり時間をかけて人物紹介をする部分が、アニメで簡潔に済まされるところから、堤幸彦ワールド全開で、好き嫌いが分かれそうだが、いざ本編が始まると、ギャグありアクションありの痛快時代劇となっている。特にアクションは、集団での斬り合いに関しては、2010年公開の「十三人の刺客」以降、ここまで激しいものは観ていなかったので、これはもう久々に楽しめた。


 ただ、エンドロールの最中にマンガで展開するエピローグは蛇足。あの部分も確か、舞台版には無かったはずで、どうせ付け足すならミュージカル映画版「オペラ座の怪人」(2004年)の、映画オリジナルで付け足されたエピローグ場面のように、もうちょっと印象に残るものにしてほしかった。


私の評価…☆☆☆★

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2016年11月 1日 (火)

ハドソン川の奇跡

ハドソン川の奇跡
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:クリント・イーストウッド
脚本:トッド・コマーニキ
原作:チェスリー・サレンバーガー、ジェフリー・ザスロー『機長、究極の決断「ハドソン川」の奇跡』
製作:クリント・イーストウッド 他
製作総指揮:キップ・ネルソン 他
音楽:クリスチャン・ジェイコブ、ザ・ティアニー・サットン・バンド
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):トム・ハンクス(立川三貴)、アーロン・エッカート(ふくまつ進紗)、ローラ・リニー(高松雅羅)、マイク・オマリー、ジェイミー・シェリダン、アンナ・ガン、ホルト・マッキャラニー、ケイティ・クーリック、ジェフ・コーバー、クリス・バウアー、アン・キューザック、ヴァレリー・マハフェイ、マックス・アドラー、サム・ハンティントン、オータム・リーザー、ジェフリー・ノードリング、マイケル・ラパポート 他


  〈エンターテインメントには不向きな題材〉


 制御不能になった機体をハドソン川に不時着させ、乗客乗員全員を救ったサレンバーガー機長の実話を、クリント・イーストウッド監督&トム・ハンクス主演で映画化したヒューマンドラマ。


 2009年1月15日、極寒のニューヨーク。160万人が暮らすマンハッタン上空850メートルで突如、航空機事故が発生。全エンジンが完全停止し、制御不能となった旅客機が高速で墜落を始める。サレンバーガー機長(トム・ハンクス)の必至の操縦により、70トンの機体は目の前を流れるハドソン川に着水。「乗員乗客155名全員無事」という奇跡の生還を果たした。着水後も、浸水する機内から乗客の避難を指揮した機長は、国民的英雄として称賛を浴びる。だが、その裏側では、彼の判断を巡って、国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われた。


本当に不時着以外の選択肢はなかったのか?

それは乗客たちを命の危機にさらす無謀な判断ではなかったのか?


 エンジンの一つは生きていて、空港に引き返すことができたのではないかという国家運輸安全委員会の厳しい査問だった…。


 良く言えば無駄のない出来。だが、これは題材としては、エンターテインメント映画には不向きなように思う。というのも、機長・副機長とも人間的にも人格的にも“いい人”なため、疑惑が浮上しても、そんなはず無いだろうと思えてしまう。事故を追及するという、本来の仕事を全うしようとする国家運輸安全委員会のメンバーを悪役扱いにするのも、無理があり過ぎる。


 また、事故そのものをありのままに描いているためか、ストーリーに起伏がない。“緊張と緩和”の差があまり無いのだ。ドキュメンタリーとして観るなら、これでもいいのだが、やはりエンターテインメントとして見れば物足りない。巧みな編集により約90分にまとめられているが、映画独特の緊張感を持続させるには、こうする他なかったのだろう。


私の評価…☆☆☆★

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