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2017年2月

2017年2月27日 (月)

第89回アカデミー賞結果速報!

2016年度・第89回アカデミー賞結果速報!
主な受賞結果です。

☆作品賞
「ムーンライト」

☆主演男優賞
ケイシー・アフレック(「マンチェスター・バイ・ザ・シー」)

☆主演女優賞
エマ・ストーン(「ラ・ラ・ランド」)

☆助演男優賞
マハーシャラ・アリ(「ムーンライト」)

☆助演女優賞
ビオラ・デイビス(「Fences」)

☆監督賞
デイミアン・チャゼル(「ラ・ラ・ランド」)

☆長編アニメ賞
「ズートピア」

☆外国語映画賞
「セールスマン」(イラン)

☆脚本賞
ケネス・ロナーガン(「マンチェスター・バイ・ザ・シー」)

☆脚色賞
バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー(「ムーンライト」)

☆美術賞
「ラ・ラ・ランド」

☆撮影賞
リヌス・サンドグレン(「ラ・ラ・ランド」)

☆衣裳デザイン賞
コリーン・アトウッド(「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」)

☆編集賞
ジョン・ギルバート(「ハクソー・リッジ」)

☆メイクアップ&ヘアスタイリング賞
「スーサイド・スクワッド」

☆作曲賞
ジャスティン・ハーウィッツ(「ラ・ラ・ランド」)

☆オリジナル歌曲賞
“City of Stars”「ラ・ラ・ランド」

☆音響編集賞
「メッセージ」

☆録音賞
「ハクソー・リッジ」

☆視覚効果賞
「ジャングル・ブック」

☆ドキュメンタリー賞
「O.J.:メイド・イン・アメリカ(原題)」

☆ドキュメンタリー短編賞
「ホワイト・ヘルメット シリア民間防衛隊」

☆実写短編賞
「合唱」

☆アニメ短編賞
「ひな鳥の冒険」


 作品賞は、何と大逆転で「ムーンライト」に決定!


 当初はプレゼンターのウォーレン・ベイティが「ラ・ラ・ランド」と発表したが、何故か手違いで主演女優賞の名前が刻印された封筒が手渡されていた。そして、デイミアン・チャゼル監督ら「ラ・ラ・ランド」陣営が登壇した後に訂正さるという、前代未聞の結末となった。勿論、「ムーンライト」もオスカー前哨戦で幾つかの賞を獲っているので、有力視はされていたが、ここ2年程、アカデミー賞の中で話題となっていた、黒人などの人種的マイノリティの問題が、多分に影響しているのは間違いないだろう。とはいえ、「ラ・ラ・ランド」は6部門を制覇(「ムーンライト」は3部門)と圧勝だったのは間違いない。先週末から日本でも上映が始まったが、興行にどう結びつくか、楽しみである。


 なお、長編アニメーション賞は「ズートピア」、短編の方は「ひな鳥の冒険」と、共にディズニー作品(「ひな鳥の冒険」はピクサー製作)が前評判通りの栄冠。スタジオジブリが製作したマイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督作「レッドタートル ある島の物語」は、残念ながら受賞できなかった。

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2017年2月23日 (木)

沈黙 ―サイレンス―

沈黙 ―サイレンス―
沈黙 ―サイレンス―
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:マーティン・スコセッシ
共同脚本:ジェイ・コックス
製作:アーウィン・ウィンクラー 他
音楽:キム・アレン・クルーゲ、キャスリン・クルーゲ
出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライヴァー、キーラン・ハインズ、浅野忠信、リッチ・グラフ、塚本晋也、窪塚洋介、笈田ヨシ、イッセー尾形、加瀬亮、小松菜奈、洞口依子、美知枝、江藤漢斉リーアム・ニーソン 他


  〈こういう映画はそれなりの覚悟を持って観ることが必要〉


 17世紀の日本におけるキリシタン弾圧をポルトガル人司祭の目を通して描いた遠藤周作の小説を、巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化。


 17世紀。江戸初期頃の日本では、幕府により厳しいキリシタン弾圧が行われていた。日本での布教活動に情熱を注いでいた高名な宣教師フェレイラ(リーアム・ニーソン)が捕らえられ棄教したとの報に接した弟子ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)は、日本人キチジロー(窪塚洋介)の手引きでマカオ経由で長崎に潜入。そこでは、想像を絶する光景が広がっていた。弾圧の目をかいくぐった隠れキリシタンたちの現状も目の当たりにする。幕府は一層取締りを強化、キチジローの裏切りに遭い、ロドリゴたちも捕らえられてしまう。頑なに信心を曲げないロドリゴに対し、長崎奉行は彼のために犠牲になる人々を突き付ける。信仰を貫くべきか、棄教し目の前の人々の命を守るべきか。追い詰められ自身の弱さを実感したロドリゴは、選択を迫られる…。


 スコセッシ監督の映画はどの作品もかなりの長尺なのだが、この映画も2時間40分もの大作である。宗教弾圧を描いているため内容はかなり重く、加えて日米の宗教感の違いもあるため、その辺のところをちゃんと理解していないと、恐らく解らない事だらけになるのではないか。それがあるから、この映画は日本でもアメリカでもそれほどヒットしていないのではないのか。それに、BGMを極力排した事で、映画自体も静かなものになっている。まぁ、この監督は見せ方が上手いので、僕自身寝てしまう事は無かったが。


 勿論、今なお信仰の違いが世界中で争いの火種になっていて、その互いの宗教を理解できないまでも、否定や弾圧などすることのない社会にしなければならないという、作品を通して言いたい事は分かるのだが、重苦しい雰囲気のまま3時間近くを過ごすのは、さすがにキツかった。


私の評価…☆☆☆

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2017年2月20日 (月)

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

ミス・ペレグリンと奇妙な仲間たち
劇場:TOHOシネマズ梅田
監督:ティム・バートン
脚本:ジェーン・ゴールドマン
原作:ランサム・リグズ「ハヤブサが守る家」
製作:ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング
音楽:マイク・ハイアム、マシュー・マージェソン
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):エヴァ・グリーン(朴璐美)、エイサ・バターフィールド(宮野真守)、クリス・オダウド(小形満)、アリソン・ジャニー(土井美加)、ルパート・エヴェレット(郷田ほづみ)、テレンス・スタンプ(稲垣隆史)、エラ・パーネル(花澤香菜)、ジュディ・デンチ(谷育子)、サミュエル・L・ジャクソン(玄田哲章) 他


  〈この監督お得意のダーク・ファンタジー〉


 謎めいた島を訪れた少年が体験する奇妙な出来事を描いたベストセラー小説を、ティム・バートン監督が実写映画化したダーク・ファンタジー。


 フロリダで生まれ育ったジェイク(エイサ・バターフィールド)は、周囲に馴染めない孤独な少年。そんな彼の唯一の理解者である祖父(テレンス・スタンプ)が、謎めいた死を遂げる。祖父の遺言に従って小さな島を訪れたジェイクは、森の奥で古びた屋敷を発見。そこには、美しくも厳格なミス・ペレグリン(エヴァ・グリーン)と奇妙な子どもたちが住んでいた。やがて彼らと心を通わせ、夢のような時間を過ごしたジェイクは、自らに宿ったある「力」に気づく。しかもなぜか、彼らは毎日、1940年の9月3日を繰り返していたのだ。ジェイクがその事実と理由を知った頃、目に見えない脅威が屋敷に迫っていた…。


 以前からバートン監督は、「シザーハンズ」等で異形の者の悲しみや苦しみを描いていたが、本作もそれに当たる。「X-MEN」のような設定にバートン監督お得意のダーク・ファンタジーの要素を加えたような映画である。


 異形であるが故に迫害を恐れ、“ループ”と呼ばれる安全な1日の中で永遠に暮らす子供達と、平凡で退屈な毎日から抜け出し、祖父の遺言に導かれループへとやって来た主人公。その主人公には、ホローガストと呼ばれる者の脅威から子供たちを守る使命と、そのために欠かせない能力が備わっていた。人とは違う容姿や能力を持った時、ありのままの自分で生きるのか、それとも人と同じであることを追い求めた結果、我を忘れた異形の怪物へと変わってしまうのか。自分らしくあることが如何に大切かということが、この悲しい対比の中に現されていく。


 宣伝通り、バートン史上最も奇妙で不思議なファンタジーだが、ただ怖がらせるだけでなく、ジェイクに仄かな恋心を抱く空中浮揚少女エマの、かなうはずの無い切ないラブストーリーがあったりと、大人も楽しめるファンタジー映画である。


私の評価…☆☆☆☆

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2017年2月17日 (金)

虐殺器官

虐殺器官
虐殺器官
虐殺器官
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:村瀬修功
原作:伊藤計劃
キャラクター原案:redjuice
音楽:池頼広
アニメーション制作:ジェノスタジオ
制作:Project Itoh
主題歌:EGOIST「リローデッド」
声の出演:クラヴィス・シェパード…中村悠一、ウィリアムズ…三上哲、アレックス…梶裕貴、リーランド…石川界人、ルツィア・シュクロウポヴァ…小林沙苗、院内総務…土師孝也、ルーシャス…桐本拓哉、ロックウェル…大塚明夫、ジョン・ポール…櫻井孝宏 他


 〈やっと日の目を浴びる問題作〉


 2009年に34歳で夭折した小説家・伊藤計劃の作品をアニメ映画化する“Project Itoh”の「ハーモニー」に続く第3弾。当初は3作作られる作品の第2作の予定だったが、製作会社「マングローブ」の倒産により、中断を余儀なくされた。そして、新たに「ジェノスタジオ」が、スタッフ全員を引き入れる形で製作を継続し、ほぼ作り直す形で完成。予定より1年3か月遅れて日の目を浴びる事になった。


 アメリカではテロの脅威に対抗すべく徹底的に情報管理される一方、その他の各地では紛争が激化。各紛争地を渡り歩く米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉のもとに、紛争の気配が漂い始めるとともに現れ泥沼化に陥るといつの間にか姿を消す元言語学者ジョン・ポールについて調査するよう指令が下る。彼は何を目的にその地に現れるのか、謎に包まれていた。ジョンがチェコに潜伏しているとの情報を掴んだクラヴィスは『虐殺の王』と呼ばれる彼の追跡を開始するが、そこには驚くべき真実が待ち受けていた…。


 製作会社のトラブルで、映画の製作そのものが中断されたと聞いたときは、最悪お蔵入りになるかと思っていたが、ようやく完成し公開にこぎ着けた。自分としては、とりあえず3作品全部観たかったので嬉しい。


 本作はアニメだが、R15指定というだけあって、アクションや戦闘シーン等に過激な描写が目立つ。舞台となるのは、テロによる虐殺の嵐が吹き荒れる世界。米軍特殊部隊大尉の主人公クラヴィスが、“虐殺の王”と呼ばれる謎の男を追跡するというもので、リアル感たっぷりな演出となっており、現実的な怖い部分もかなりある映画になった。


 特に、ひたすらロボットのように感情を抑圧し戦闘という仕事にのみ、任務をこなしていく米軍特殊部隊は、自国を守る為の任務ならば、女や子供も容赦なく殺してしまうという残虐非道ぶりなのだが、こういうことが描かれるのが、今の社会情勢と符合してきている気がして怖い。本作唯一のヒロインでさえ、普通に会話をしていた直後のシーンでこの世から強制退場させられるのである。いやはや、怖い世の中だ。


 しかし、残念なのはやはり公開延期により、作品の持つ意味の捉え方が変わってしまったことだろう。原作を大幅に改変したり、端折ったりしているせいもあるのだが、前述のとおり本作は本来、第2作目として公開される筈だったものである。3作品各々直接の繋がりは無い。ただ、当初の公開順で観るときっちり時系列通りとなり、作り手側のメッセージがより明確に現される事になっていたと思うのだが。「ハーモニー」を1年前に観た時は、正直あまり面白くなかったが、それはその「ハーモニー」自体が本作と関連が深かったためなので、やはり製作会社倒産というトラブルがかなり影響しているのは悔やまれる。


私の評価…☆☆☆★

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2017年2月14日 (火)

マグニフィセント・セブン

マグニフィセント・セブン
マグニフィセント・セブン
劇場:MOVIX京都
監督:アントワーン・フークア
脚本:ニック・ピゾラット、リチャード・ウェンク
原作:黒澤明、橋本忍、小国英雄「七人の侍」
製作:ロジャー・バーンボーム、トッド・ブラック
製作総指揮:ブルース・バーマン
音楽:ジェームズ・ホーナー、サイモン・フラングレン
エンディング・テーマ:エルマー・バーンスタイン「荒野の七人」のテーマ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):デンゼル・ワシントン(大塚明夫)、クリス・プラット(三上哲)、イーサン・ホーク(宮本充)、ヴィンセント・ドノフリオ、イ・ビョンホン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、マーティン・センズメアー、ヘイリー・ベネット、ピーター・サースガード、ルーク・グライムス、マット・ボマー、ジョナサン・ジョス、キャム・ギガンデット、ショーン・ブリジャース、ビリー・スローター、ヴィニー・ジョーンズ(カメオ出演) 他


  〈オリジナル版とはかなり違うが、随所にリスペクトを感じる〉


 名作「荒野の七人」をアントワン・フークア監督がリメイクした西部劇。金目当てに集められた7人のアウトローが悪党との戦いを通して、何かに目覚めていく姿をド派手なアクションシーンとともに描き出す。


 冷酷非道な悪漢バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)に支配された町で、彼に家族を殺されたエマ(ヘイリー・ベネット)は賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)、ギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)など荒れ果てた大地にやってきた<ワケありのアウトロー7人>を雇って正義のための復讐を依頼する。


 最初は小遣い稼ぎのために集められたプロフェッショナルな即席集団だったが、圧倒的な人数と武器を誇る敵を前に一歩もひるむことなく拳銃、斧、ナイフ、弓矢などそれぞれの武器を手に命がけの戦いに挑んでいく…。


 一応、原題は「荒野の七人」と同じで、大まかな流れも踏襲しているが、舞台はメキシコからアメリカに変わり、設定も大幅に変わっている。


 ここ最近のハリウッド映画がそうであるように、本作も集められる7人の人種は多様で、アクションもド派手。その代わり人間ドラマが薄くなってしまったのは残念だ。まぁ、前半のガンファイトはクール且つコミカルで楽しいし、クライマックスのボーグ軍団との最終決戦は、拳銃は勿論のこと、ナイフや弓矢などで工夫された戦法で応戦するという、まさに手に汗握る迫力で、アクション映画としての醍醐味はたっぷり味わえる。


 ただ、終盤に突如出てくるサムの過去にはちょっと疑問。あれではそこまで正統派の西部劇だったのが、その部分だけマカロニ・ウエスタンになってしまうではないか。タイトル通りの気高いとか崇高なというものとは少し違ってくるので、そこだけは違和感がある。オリジナル版を知っている人なら尚更だろう。


 それでも、エンドロールで流れる「荒野の七人」のテーマを聴くと、“良い映画観た”感一杯になる。劇中に流れるスコアは全く異なるメロディだが、よく聴いてみると「荒野の七人」のテーマのリズムが随所に盛り込まれており、リスペクトを感じさせる。だが、残念なことにこれが、一昨年に飛行機事故で亡くなったジェームズ・ホーナーのラストワークとなってしまった。スケールの大きい西部劇として、十分楽しめる映画といってもいいだろう。


私の評価…☆☆☆★

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2017年2月 9日 (木)

ドクター・ストレンジ

ドクター・ストレンジ
ドクター・ストレンジ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:スコット・デリクソン
共同脚本:ジョン・スペイツ、C・ロバート・カージル
原作:スタン・リー、スティーヴ・デッコ「ドクター・ストレンジ」
製作:ケヴィン・ファイギ
製作総指揮:ルイス・デスポジート 他
音楽:マイケル・ジアッチーノ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ベネディクト・カンバーバッヂ(三上哲)、キウェテル・イジョフォー(小野大輔)、レイチェル・マクアダムス(松下奈緒)、ベネディクト・ウォン(田中美央)、マイケル・スタールバーグ(志村知幸)、ベンジャミン・ブラット(根本泰彦)、スコット・アドキンス(祐仙勇)、マッツ・ミケルセン(井上和彦)、ティルダ・スウィントン(樋口可南子) 他


  〈一度挫折したヒーローの再生物語〉


 元天才外科医の魔術師という異色のヒーロー、ドクター・ストレンジをベネディクト・カンバーバッチが演じるアクション。人智を超えた力を手に入れた主人公が世界を滅亡から救うために強大な敵に立ち向かっていく姿が描かれる。


 上から目線の天才外科医ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッヂ)。突然の交通事故により、神の手を失った彼を甦らせたのは…魔術。指導者エンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)のもと、過酷な修行をかさね人智を超えた力を手にしたストレンジだったが、世界を破滅へと導く闇の魔術の存在を知ったとき、彼は壮絶な魔術の戦いに巻きこまれてゆく。しかし、「人を決して傷つけない」医者としての信念が、敵であってもその命を奪うことをためらわせる。彼は、いかにして闇の魔術に立ち向かい、人々の命を救うのか? ドクター・ストレンジにしかできない、常識も次元も超えた戦いが始まる。


 やっぱり、“マーベル・シネマティック・ユニバース”に入る映画は、クオリティも高いし、観ていて非常に面白い。


 だが、本作は今までの「アベンジャーズ」シリーズに出てきたヒーローものとは、ひと味もふた味も違う。今回の舞台となるのは精神世界であり、ビルや道などがグニャグニャ曲がって変化する。以前、似たような映像効果を狙った「インセプション」(2010年)という映画があったが、あちらは夢だったのに対し、こちらはインナースペース、つまり内なる宇宙で、それも自らの意識が影響する。このためか、「インセプション」よりも複雑な映像となり、IMAX 3Dで観た自分はかなり酔ってしまった(笑)。


 そして、映像表現ばかりが注目される映画はどうしてもドラマ部分が蔑ろになりがちだが、本作はドラマも挫折したヒーローの再生物語として、見応えあるものとなっており、これにカンバーバッヂが見事にハマっている。


 尚、本作は前述のとおり「ドクター・ストレンジ」単品としての他に、“マーベル・シネマティック・ユニバース”つまり「アベンジャーズ」シリーズへと繋がる側面を持つ。このため、本編終了後のエンドロール途中とその後に、お約束の2段オチがあるので、最後の最後まで席を立たないように。


私の評価…☆☆☆☆★

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2017年2月 5日 (日)

ザ・コンサルタント

ザ・コンサルタント
ザ・コンサルタント
劇場:ユナイテッドシネマ大津
監督:ギャヴィン・オコナー
脚本:ビル・ドゥビューク
製作:マーク・ウィリアムズ、リネット・ハウエル・テイラー
製作総指揮:ギャヴィン・オコナー 他
音楽:マーク・アイシャム
出演:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル、ジェフリー・タンバー、シンシア・アダイ=ロビンソン、ジョン・リスゴー、ジーン・スマート、アンディ・アンバーガー、アリソン・ライト、ジェイソン・デイヴィス、ロバート・C・トレヴァイラー、メアリー・クラフト、セス・リー、ジェイク・プレスリー、イジー・フェネック 他


  〈表と裏、2つの顔を持つ異色のヒーロー〉


 冴えない会計士と裏社会の殺し屋という2つの顔をもつ男が、犯罪組織や企業の不正を暴いていく様を描くサスペンスアクション。


 田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)に舞い込んだ大企業からの財務調査依頼。彼は重大な不正を見つけるが、なぜか依頼は一方的に打ち切られてしまう。その日から、何者かに命を狙われるウルフ。実は彼は、麻薬カルテル、武器商人、殺し屋、マネーロンダリングの達人など、世界で最も危険な顧客を抱える「裏社会の掃除屋」でもあった。


 年収1000万ドル、天才的頭脳を持ち、最強のファイターで命中率100%のスナイパー。本籍・本名・私生活、そのすべてが謎に包まれた会計コンサルタントは、アメリカ政府やマフィア、一流企業に追われながら危険な仕事に身を投じる。アメリカ政府も彼の存在に目をつけ、身元を洗うが、名前は偽名、本籍・私生活も不明、すべてが謎に包まれたウルフの正体は掴めない。


 大企業の不正を暴き、マフィアと違法な取引を重ね、国に追われてまで危険な仕事に手を出す、この男の真の目的は…?


 これも邦題に違和感がある映画(笑)。本作の原題は「The Accountant」で、主人公のオモテの職業である“会計士”を意味するのだが、邦題の“Consultant”だと“顧問”だとか“相談役”といった、より広い意味になってしまう。


 本作の前半は、主人公の為人や会計士の仕事が描かれるため、専門用語等も飛び交ったりして、知らない人には少々退屈に思えるかも知れない。結構ご都合主義的なところもあり、人によっては興ざめしてしまう人もいるだろう。


 だが、後半はその前半に散りばめられた伏線が、見事なまでに回収されていく。異形の能力ゆえに苦悩した主人公の人生と、謎の組織の正体、危険な仕事に身を投じるウルフの真の目的などが、徐々に企業の不正の真実と結びついていく展開が無理なく盛り込まれ、テンポもよく面白い。脇役があまり活躍しないのが難点ではあるが、既にDCコミックからコミック化されているということで続編の構想があるらしいという事なので、もし続編の企画にGOサインが出れば、今回と同じ配役でやってほしいし、是非観たいと思う。


私の評価…☆☆☆★

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2017年2月 3日 (金)

天使にショパンの歌声を

天使にショパンの歌声を
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:レア・プール
原案・共同脚本:マリー・ヴィアン
製作:リズ・ラフォンティーヌ、フランソワ・トレンブレイ
音楽:フランソワ・ドンピエール

出演:セリーヌ・ボニアー、リサンドル・メナール、ディアーヌ・ラヴァリー、ヴァレリー・ブレイズ、ピエレット・ロビタイユ、マリー・ティフォ、マリー=フランス・ランベール、アンドレ・ラシャベル、エリザベス・ギャニオン、ジルベール・スコット 他


  〈美しい映画だが、邦題が内容に合っていない〉


 '60年代のカナダ・ケベックを舞台に音楽によって伝統と歴史に立ち向かう女性たちの姿を映し出すヒューマンドラマ。


 1960年代。カナダ・ケベックの白銀の世界に佇む小さな寄宿学校。そこは音楽教育に力を入れ、コンクール優勝者も輩出する立派な名門校だった。だが、修道院による運営が見直され、採算の合わない音楽学校は閉鎖の危機に直面する。校長オーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)は抵抗し、音楽の力で世論を動かす秘策を考える。そんななか、転校して来た姪のアリス(ライサンダー・メナード)に、オーギュスティーヌは天性のピアニストの才能を見出す。しかし、孤独で心を閉ざしたアリスは一筋縄ではいかない問題児であった。オーギュスティーヌはアリスに音楽の素晴らしさを教えようとするのだが…。


 音楽の名門校が廃校の危機を音楽の力で乗り切ろうとするヒューマン・ドラマ、と聞くと、なんだかアニメ「ラブライブ」のような話を想像してしまうが、本作の舞台は1960年代のカナダ。雪深い土地にあるカトリック系の寄宿学校である。教育など多くのものが近代化へと変革していくなか、この学校にも確実にその波は押し寄せてきて、そこにいる女性たちも因習や大きい権力に立ち向かわざるを得なくなる。この時代といえば、アメリカを中心とするウーマン・リヴの影響を色濃く受けた、第二次フェミニズムの時期でもあり、世界的にも女性解放運動が盛んであったが、やはり女性の社会進出などには、様々な困難が立ちはだかった。勿論、この学校の修道女である先生や生徒のなかにも“改革派”と“保守派”がいて、対立していく。だが、生徒たちはこの変化に対応しながら生きていて、大人たちに力を与えるのである。


 ちなみに、この映画は邦題が「天使にショパンの歌声を」となっているが、この邦題だと生徒側をフィーチャーする形となり、かなり違和感がある。原題は「LA PASSION D'AUGUSTINE(マザーオーギュスティーヌの情熱)」、そう、これは舞台となった学校の校長から見た話であり、一人の女性の改革活動を描いた秀作なのである。勿論、生徒側にも重要な人物はいて、それが校長の姪っ子アリスであり、変化の時代の象徴として描かれるのだが。アリスがクラシックのピアノ曲をジャズ風にアレンジして弾く場面があるが、これは古き良き時代からの脱却と、新しい価値観の受容の中で、譜面に情熱と感情を融合させた答えなのである。確かに、原題直訳の邦題では地味過ぎて、日本では客足が向かないかも知れないが、かといってあの大ヒット作「天使にラブソングを」(1992年)を丸パクリしたかのような邦題では、センスが疑われるといわれても仕方がないゾ。


私の評価…☆☆☆★

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2017年2月 2日 (木)

ネオン・デーモン

ネオン・デーモン
劇場:大阪ステーションシティシネマ
監督・脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン
共同脚本:メアリー・ロウズ、ポリー・ステンハム
製作総指揮:クリストフ・ランゲ 他
音楽:クリフ・マルティネス
出演:エル・ファニング、キアヌ・リーヴス、カール・グルスマン、クリスティーナ・ヘンドリッジ、ジェナ・マローン、ベラ・ヒースコート、アビー・リー 他


  〈独特な感覚のグロホラー映画〉


 モデル業界の光と闇を描く、ニコラス・ウィンディング・レフン監督によるサスペンス。


 16歳のジェシー(エル・ファニング)は、誰もが目を奪われる特別な美しさに恵まれていた。トップモデルになる夢を叶えるために、田舎町からロスへとやって来た彼女は、すぐに一流デザイナーやカメラマンの心をとらえチャンスをつかむ。そんなジェシーに異常な嫉妬心を燃やすライバルたちは、彼女を引きずりおろそうとする。やがて、ジェシーも自身の中の激しい野心を目覚めさせ、永遠の美のためなら悪魔に魂も売り渡すファッション界の邪悪な毒に染まっていく…。


 これはちょっと、のっけから悪趣味全開の変態ホラーなので、人によって好き嫌いが分かれるだろう。ホラーといっても、スプラッターのような、所謂直接的な怖さを描くのではなく、人間の心、つまり内面的な怖さを描いたものだ。ラストだけは、かなりグロいが…。


 レフン監督は、ライアン・ゴズリング主演の「ドライヴ」(2011年)でも、その独特な色彩感覚の映像で観客を魅了したが、本作でもそれは遺憾なく発揮されている。原色バリバリの画にチープなシンセサイザーの音楽は、どこか70年代の低予算ホラーを思わせるのだが、その雰囲気の中でヒロインがダークサイドに誘われていくさま、そして最後に訪れる驚きの運命は強烈である。


 ヒロインを演じるのは「マレフィセント」(2014年)で“眠れる森の美女”を演じたエル・ファニング。天才子役だったダコタ・ファニングの妹としても有名で、お姉さんよりも10cm以上身長が高い175cmの美女だ。彼女自身はそれほど身体の線が細くないので、あまりモデルっぽくは見えないが、非常に繊細で説得力ある演技を見せる。ジェナ・マローンやキアヌ・リーヴスら脇役の怪演も、不気味さをより一層際立たせており、見物である。


 尚、本作は現在公開されていない地域も多く、地元=京都では京都シネマにて3月4日からの公開。待ちきれなくて(笑)大阪で観ちゃった。


私の評価…☆☆☆

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