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2017年3月

2017年3月31日 (金)

お嬢さん

お嬢さん
お嬢さん
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:パク・チャヌク
共同脚本:チャン・ソギョン
原作:サラ・ウォーターズ「荊の城」
製作:パク・チャヌク、シド・リム
製作総指揮:マイキー・リー
音楽:チョ・ヨンウク
出演:キム・ミニ、キム・テリ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン、キム・ヘスク、ムン・ソリ 他


  〈辿々しい日本語演技が何とも珍妙で、サスペンスなのに笑える〉


 「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督によるエロティックサスペンス。韓国では成人映画に指定されるほどの過激なエロス描写が綴られる。


 1939年、日本統治下の朝鮮半島。世間とは隔絶した辺鄙な土地に建ち、膨大な蔵書に囲まれた豪邸から一歩も出ずに支配的な叔父(チョ・ジヌン)と暮らす華族令嬢・秀子(キム・ミニ)。ある日、秀子のもとへ新しいメイドの珠子こと孤児の少女スッキ(キム・テリ)がやって来る。実はスラム街で詐欺グループに育てられたスッキは、秀子の莫大な財産を狙う“伯爵”と呼ばれる詐欺師=藤原(ハ・ジョンウ)の手先だった。伯爵はスッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、彼女を精神病院に入れて財産を奪うという計画を企てていたのだ。計画は順調に進むが、スッキは美しく孤独な秀子に惹かれ、秀子も献身的なスッキに心を開き、二人は身も心も愛し合うようになってゆく…。


 パク・チャヌクといえば、エロスとバイオレンスがお得意の監督だが、本作はこれに加えてなんとも可笑しくて怪しげな日本と日本語が描かれる。


 R-18指定なので、かなり際どい場面があると思っていたが、男女が絡まる場面や濡れ場は無く、女性同士が全裸で絡む場面が2か所あるだけで、さほどハードなものではない。終盤にちょっとキツい指切り場面はあるが、バイオレンスよりもどこか少し退廃的なエロスと、美しい映像で彩られた映画である。


 片言の日本語も、日本人目線だとどこか滑稽なのだが、こういう倒錯した世界やバイオレンスなどキツい描写がある映画の場合は場を和らげる。特にメインの女優2人が喋る日本語は可愛らしく聴こえ、後に復讐劇となっていく暗い話のなかで、独特の雰囲気を醸し出していた。


 しかし、韓国で成人映画に指定されたのは後付けの話だとしても、そんな映画に約12億円もかけているとは!? いやはや、日本では考えられない話である。


私の評価…☆☆☆★

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2017年3月23日 (木)

素晴らしきかな、人生

素晴らしきかな、人生
劇場:MOVIX京都
監督:デヴィッド・フランケル
脚本:アラン・ローブ
製作:バード・ドロス 他
製作総指揮:マイケル・ベダーマン 他
音楽:セオドア・シャピロ
出演:ウィル・スミス、ケイト・ウィンスレット、キーラ・ナイトレイ、ヘレン・ミレン、エドワード・ノートン、マイケル・ペーニャ、ナオミ・ハリス、ジェイコブ・ラティモア、エンリケ・ムルシアーノ、アン・ダウド 他


  〈あの名作とは全く違う凡作〉


 3人の男女との出会いを通し、深い喪失感から立ち直っていく男を描く、ウィル・スミス主演の人間ドラマ。


 ニューヨークにある広告代理店の代表を務めるハワード(ウィル・スミス)は、最愛の人を亡くしてしまい、深い喪失感から立ち直れずにいた。落ち込んで仕事も手につかない様子に、同僚たちからも心配されていた。そんな彼の前に、ある日3人の奇妙な舞台俳優(ヘレン・ミレン、キーラ・ナイトレイ、ジェイコブ・ラティモア)が現れる。不可思議な言動をハワードに投げかけるも年代も性別も異なる3人。しかし、その出会いによってハワードに徐々に変化が…。


 話の内容は別として、一体全体何でこんな邦題を付けたのか、このタイトルを付けた日本の配給会社の担当者のセンスを疑いたい。この邦題だと1946年に製作された、フランク・キャプラ監督の名作「素晴らしき哉、人生!」(ジェームズ・ステュアート主演 日本公開は1954年)のリメイクかと思う人も多いだろうが、全くの別物なのだ。


 ただ、話として似ている部分も無くはない。映画の中で「愛」、「死」、「時間」という抽象概念を演じる俳優が、フランク・キャプラ版でいう“見習い天使”だと考えれば、展開は似てくるのでこのタイトルにしたのだろう。実際、スタッフやキャスト達も意識はしていたようである。


 ストーリー自体も傷ついた男の再生話なので、そこはいい。だが、主人公を救うプランの展開が、あまりにも都合が良すぎてドン引きしてしまう。恐らく、上映時間の都合もあるのだろうが、ここはもう一捻り欲しかった。


 因みに、本作の原題は「COLLATERAL BEAUTY」で、映画の中のセリフでは“幸せのオマケ”と訳されていた。やはり「素晴らしきかな、人生」では違和感がある。いっそのこと、「ポケット一杯の幸福」で良かったんじゃね? いや、それだとまたキャプラ監督の別の映画(1961年/グレン・フォード主演)になるか…。


私の評価…☆☆

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2017年3月22日 (水)

トリプルX:再起動

トリプルX:再起動
トリプルX:再起動
トリプルX:再起動
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:D・J・カルーソー
脚本:F・スコット・フレイジャー
原案:リッチ・ウィルクス
製作:ヴィン・ディーゼル、ジョー・ロス
音楽:ブライアン・タイラー
出演:ヴィン・ディーゼル、ドニー・イェン、ディーピカー・パードゥコーン、ルビー・ローズ、トニー・ジャー、クリス・ウー、ニーナ・ドブレフ、ロリー・マッキャン、トニ・コレット、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・ビスピン、ネイマール 他


  〈再々起動は多分… もう無いかな〉


 ヴィン・ディーゼルがXスポーツのカリスマにしてアメリカ国家安全保障局の極秘エージェント、“トリプルX”ことザンダー・ケイジを演じる人気アクションシリーズの第3弾。


 世間から身を隠していたエクストリーム・スポーツ界のカリスマ、ザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)。政府の極秘エージェントとなった彼は、制御不能になった軍事兵器“パンドラの箱”を奪回するため、ずば抜けたスキルを持つ仲間を集めて新たなチームを結成。世界各国の最高権力者たちをターゲットにした世界壊滅の陰謀に立ち向かう。だが、彼らの前に最強の敵ジャン(ドニー・イェン)が立ち塞がる…。


 シリーズ第3弾とはいえ、第1作から15年、ヴィン・ディーゼルの降板で大コケした第2作から12年たっているのに、何で今さら復活したのか不思議である。


 ただ、大ヒットした第1作を配給したのは、ソニー・ピクチャーズ傘下のコロムビア映画で、当時どうしても「007」シリーズの権利関係を取りたがっていたソニー・ピクチャーズが、本気になって製作した映画だったので、“アメリカの不良版”007といった感じで面白かったのだが、2作目の失敗で興味を失ったのか、今回は配給がパラマウント映画に変わった。


 これが影響しているのかどうかは分からないが、本作は第1作ほどの面白味は無い。ヴィンちゃん自身も1作目の時は30代半ばで、アクションにも切れがあったのだが、今回は50歳近いオッサンが無理して身体を動かしているようにしか見えず、どう観てもCGに頼りすぎなのだ。それに、ヴィンちゃんよりも年上(全然そんなふうに見えないが)のドニー・イェンの方が、生身のアクションをやっていて、若々しく写ってみえる。因みに、第2作で主演をはったアイス・キューブもちょっとだけ出ているので、その2作目のネタも描かれているはずなのだが、全くヒットしてないので多分誰も分からないだろう(笑)。


 映画としてのノリは、「ワイルド・スピード」シリーズとそう変わらないので、その手の映画が好きならある程度は楽しめるのだが、続編はもう望まなくてもいいかなという感じである。


私の評価…☆☆

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2017年3月19日 (日)

この世界の片隅に

この世界の片隅に
この世界の片隅に
この世界の片隅に
この世界の片隅に
劇場:ユナイテッドシネマ大津
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代「この世界の片隅に」
製作:真木太郎
製作総指揮:丸山正雄
音楽:コトリンゴ
オープニングテーマ:コトリンゴ「悲しくてやりきれない」(ザ・フォーク・クルセダーズのカバー)
主題歌:コトリンゴ「みぎてのうた」
エンディングテーマ:コトリンゴ「たんぽぽ」
声の出演:北條すず…のん(能年玲奈)、北條周作…細谷佳正、黒村晴美…稲葉菜月、黒村径子…尾身美詞、水原哲…小野大輔、浦野すみ…潘めぐみ、北條円太郎…牛山茂、北條サン…新谷真弓、白木リン…岩井七世、八木菜緒(文化放送アナウンサー)、澁谷天外(特別出演) 他


 〈人々の幸せな日常を踏み躙る戦争の酷さ〉


 第2次大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向いて生きていく女性=すずの日常を描いた、こうの史代の同名漫画をアニメ映画化した人間ドラマ。


 昭和19年、18歳の少女・すずは生まれ故郷の広島市江波を離れ、日本一の軍港のある街・呉に嫁いできた。戦争が進み様々な物が不足していく中、すずは工夫をこらして食事を作っていく。やがて日本海軍の根拠地であるため呉は何度も空襲に遭い、いつも庭先から眺めていた軍艦が燃え、街は破壊され灰燼に帰していく。すずが大切に思っていた身近なものたちが奪われていくが、日々の営みは続く。そして昭和20年の夏を迎え…。


 昨年秋から公開され、各方面から大絶賛の嵐となり、現在も全国のいたるところで公開されている映画を、やっと観た。


 戦争で広島が絡むとなると、大体が原爆などによる悲惨な話なんだろうなということを想像してしまうが、この映画はその原爆投下前が描かれるのが殆どということもあってか、そういった暗さは表に出してはいない。話の内容はいたってシンプルで、ストーリーの進行も淡々としたものなのだが、不思議とその世界観にどんどん引き込まれていく。物語の本筋は、すずと周作が心を通わせ愛を育み夫婦になっていく話なのだが、戦争という暴力がその幸せを容赦なく踏み躙る。普遍的な日常を丁寧に描いている事で、逆にヒロインの身体まで痛めつけてしまう戦争の酷さを浮き彫りにしている。


 主人公のすずはおっとりとした性格で、それが災いして時々小事件を巻き起こしたりするのが微笑ましいのだが、演じるのんこと能年玲奈の声がまさにピッタリで、恐らく本作は彼女の当たり役になるのではないか。独立騒動で所属事務所の逆鱗に触れたのか、この映画のPRはできてもなかなか、のんが表に出てくる事ができないようだが、作品だけでなく、のんだけでなく出演している声優が評価されてもいいように思うのだが。また、このアニメ化の数年前にTVドラマ化(北川景子主演/2011年8月5日に日本テレビ系列で「終戦ドラマスペシャル」として放送)されており、こちらもDVD化されているので見比べてみるのもいいだろう。


 それにしても、昨年の後半から邦画はアニメの秀作が続々と公開され、素晴らしい興行成績と評価を得ている。中でもやはり本作と「君の名は。」、そして「聲の形」は突出していて、日本のアニメ業界に於いてもちょっと珍しい年になっているのではないか。「聲の形」は上映がほぼ終了したが、本作と「君の名は。」は映画館側が飽きるまで上映を続けるらしく、このままいけば「千と千尋の神隠し」以来、久々の1年間ロングランという可能性もある。どこまで興行を延ばせるか、注目だ。


私の評価…☆☆☆☆★

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2017年3月 7日 (火)

一週間フレンズ。

一週間フレンズ。
一週間フレンズ。
劇場:MOVIX京都
監督:村上正典
脚本:泉澤陽子
原作:葉月抹茶「一週間フレンズ。」
製作:武田功 他
製作総指揮:大角正
音楽:やまだ豊
主題歌:スキマスイッチ「奏(かなで) for 一週間フレンズ。」
出演:川口春奈、山崎賢人、松尾太陽、上杉柊平、高橋春織、古畑星夏、‪‪伊藤沙莉、甲本雅裕、国生さゆり、岡田圭右(ますだおかだ)、岩瀬亮、戸次重幸 他

声の出演:山谷祥生(卒業式のアナウンスの声)、雨宮天(校内アナウンスの声)


  〈この手の映画のなかでは、まずまず良いほう〉


 高校生のせつない愛を描き、テレビアニメや舞台にもなった葉月抹茶の人気コミックを、川口春奈&山崎賢人主演で映画化したラブストーリー。


 高校2年生の長谷祐樹(山崎賢人)は、初めて出会った日から心惹かれていた同級生・藤宮香織(川口春奈)に、思い切って「友達になってください」と声をかける。だが香織は必死で祐樹を拒む。実は彼女には、友達のことを一週間で忘れてしまうという記憶障害があったのだ。それでも香織のそばにいたいと願う祐樹は、毎週月曜日、香織の記憶がリセットされるたびに会いに行く。やがて二人は交換日記を始め、少しずつ距離を縮めていく。そんなある日、香織の過去を知る中学時代の同級生・九条一(上杉柊平)が転入してくる…。


 こういう映画は殆どの場合、公開されても一部の年齢層にしかウケず、さほどヒットしないものが多いのだが、これは意外にも一部ウケには止まっておらず、スマッシュヒットしている。


 原作やTVアニメ版とはストーリーが若干違うようだが、登場人物がキャラ立ちしていて分かり易い。また、漫画やアニメと違って、実写は幾分かリアルに描いた方がいい場合があり、高校生活の中で長谷と藤宮が全く離れない原作よりも、本作のように一旦離れる展開を、それもさりげなく描いた事で、実写映画としては真面なものになったと思う。


 ただ、高校1年の途中から卒業までを2時間で描くのは無理があり、3年目を重点的に描いたのはいいものの、2年の終わりまでがダイジェストのような感じになってしまったのは、しょうがないとはいえ、もう少し何とかならなかったのか。まぁ、仮に前・後編に分けたとしても、妙に間延びするだけだったかもしれないし、どうしようもなかったのかも知れないが。そこがもう少しまとまっていれば、更に良かったかも知れない。


私の評価…☆☆☆★

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2017年3月 4日 (土)

第40回日本アカデミー賞速報

2016年度・第40回日本アカデミー賞結果速報!
主な受賞結果です。


▼最優秀作品賞…「シン・ゴジラ」

▼最優秀アニメーション賞…「この世界の片隅に」

▼最優秀監督賞…庵野 秀明、樋口 真嗣「シン・ゴジラ」

▼最優秀主演男優賞…佐藤浩市「64 -ロクヨン- 前編」

▼最優秀主演女優賞…宮沢 りえ「湯を沸かすほどの熱い愛」

▼最優秀助演男優賞…妻夫木 聡「怒り」

▼最優秀助演女優賞…杉咲花「湯を沸かすほどの熱い愛」

▼新人俳優賞…杉咲 花「湯を沸かすほどの熱い愛」、高畑 充希「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」、橋本 環奈「セーラー服と機関銃 ー卒業ー」、岩田 剛典「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」、坂口 健太郎「64-ロクヨン-前編」「64-ロクヨン-後編」、佐久本 宝「怒り」、千葉 雄大「殿、利息でござる!」、真剣佑「ちはやふる - 上の句 -」「ちはやふる - 下の句 -」

▼最優秀外国映画賞…「ハドソン川の奇跡」(ワーナー・ブラザース配給)

▼オールナイトニッポン話題賞

作品部門…「君の名は。」
俳優部門…岩田 剛典「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」


 ごめんなさい。本当は昨日のうちに仕上げてupするつもりだったのだけど、何かの不具合で保存したこの分の文章データがほぼ吹っ飛んでしまい、やり直せざるを得ませんでした。


 今年は何と「シン・ゴジラ」が7部門を制覇! まぁ、作品賞と監督賞以外は全部技術賞なのだが(笑)。でも、こういうどちらかといえばおカタい賞で、「シン・ゴジラ」のような特撮娯楽作品が受賞するのは、かなり珍しいことではないか。僕もこの映画は、ちょくちょくノミネートされる三谷幸喜の映画のように(失礼!)てっきり“噛ませ犬”だとばかり思っていたのだが。確かに社会的メッセージもさりげなく、ストーリーに盛り込んで描いてはいるが、恐らく殆どの人はそれに気付かず、純粋に娯楽映画として観ているはずなのだ。


 また、最多ノミネートだった「怒り」は、妻夫木聡の助演男優賞受賞のみに止まった。自分は観ていないが、見るからに暗い映画は好まれなかったのかな? 宮崎あおいと広瀬すずは、主演と助演の両方にノミネートされていたので、恐らく票が割れたのだろう。


 最優秀アニメーション賞は、有力視されていた「君の名は。」ではなく、「この世界の片隅に」。戦争映画なのに、暗い雰囲気は一切無く、ノホホンとしていて明るい快作だ。ここら辺は保守的な賞らしいなぁと思った。

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2017年3月 2日 (木)

マリアンヌ

マリアンヌ
マリアンヌ
マリアンヌ
劇場:MOVIX京都
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:スティーヴン・ナイト
製作:グレアム・キング 他
製作総指揮:スティーヴン・ナイト 他
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、リジー・キャプラン、マシュー・グッド、ジャレッド・ハリス、アントン・レッサー、アウグスト・ディール、カミーユ・コタン、シャーロット・ホープ、マリオン・ベイリー、サイモン・マクバーニー 他


  〈この監督の映画としては物足りない〉


 第2次世界大戦下という激動の時代を舞台に男女の愛を描く、ブラッド・ピット主演のラブストーリー。極秘ミッションを共にし、愛を育んでいく極秘諜報員の男とフランス軍の女レジスタンスの運命が描かれる。


 1942年、カサブランカ。マックス(ブラッド・ピット)とマリアンヌ(マリオン・コティヤール)はこの地で出会った。極秘諜報員とフランス軍レジスタンス。決して交わることのない人生を歩んでいた2人を、ある重大なミッションが引き合わせる。それは、夫婦を装い、敵の裏をかいてドイツ軍大使を狙うという作戦だった。そして迎えた終戦。ロンドンで再会した2人は、決して人に言えない“ある秘密”を抱えていた…。


 監督がロバート・ゼメキスなので、まず安心して観られるのだが、この映画、本題に入るのが後半からで、二人の出会いや暗殺作戦を描く前半部分が凡庸である。


 特に、主人公であるはずのブラピのキャラクターに感情移入がし辛く、ストーリーも予想通りの展開になっていくので、面白味に欠ける。戦争映画でもあるので、反戦メッセージみたいなものも描かれているはずなのだが、恐らく気付く人は少ないのではないか。


 勿論、全体的にはドラマとして普通に楽しめるのだが、ロバート・ゼメキスの映画としては、やや物足りない出来である。


私の評価…☆☆☆

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2017年3月 1日 (水)

〈午前十時の映画祭7〉 奇跡の人(1962年)

〈午前十時の映画祭7〉 奇跡の人(1962年)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:アーサー・ペン
原作・脚本:ウィリアム・ギブスン「The Miracle Worker」
製作:フレッド・コー
音楽:ローレンス・ローゼンタール
出演:アン・バンクロフト、パティ・デューク、ヴィクター・ジョリー、インガー・スヴェンソン、アンドリュー・プライン、キャスリーン・カムジス、ビア・リチャーズ 他


  〈“奇跡の人”とはヘレンではなく、サリヴァンの事なのかも〉


 実話を基に、三重苦のヘレン・ケラー女史がサリバン教師によって人生に光明を見い出すまでの苦闘を描く。原作は、アン・サリヴァンの記録を基にウィリアム・ギブスンが書き下ろした戯曲で、1959年に舞台化された。その舞台が好評だったため、同じキャストで映画化されたものが本作である。


 1880年代後半、ケラー家では7歳のヘレン(パティ・デューク)の色も音もない、感触だけを頼りに生きている姿に、大きな悩みを持っていた。そこで、盲学校に依頼してその卒業生アニー(アン・バンクロフト)が少女の教育に来てくれることに。ところが、ここから彼女の苦闘が始まる。手でアルファベットを綴る方法、行儀の躾け、だがヘレンのそれは強制の結果でしかないことに気づき、深刻な懐疑に包まれた。ただ、何かを求めて成長しようとするヘレンの気持ちに支えられ、夫妻に自分とヘレンの2人だけにしてくれるよう頼み、肉親の同情と憐れみの生涯を説いた。ケラー家の離れの小屋で2週間、アニーは与えられた猶予に全力を尽くした。アニーを嫌うヘレンもやがて慣れ、食事、散歩、手の綴りも上手くなった。2週間は過ぎ、あと1週間をケラー氏(ヴィクター・ジョリー)に頼んだが、家に連れ帰ってしまう。家に帰った少女を再び甘やかすに違いない肉親たちを前に、アニーは自分の無力感をかみしめた。夕食の帰宅祝の席、家に帰ったことを知ったヘレンは2人だけの生活の時とは逆にあえて手掴みで食べ、水差しを倒す。家族たちの反応を探ろうとする少女の本能的な計算がそこに感じられたのだが、アニーが今日は特別と引き留める母親(インガ・スウェンスン)をふりきって、ヘレンを井戸に引きずり出し、こぼした水を水差しに汲ませると…。


 いやぁ、この映画もスクリーンで観られるとは思わなかった。DVDソフトは持っているのだが、正直嬉しい。


 日本でも、古くは有馬稲子(初演時のアニー・サリヴァン役)や、大竹しのぶらの出演で知られる大変有名な戯曲なのだが、やはり本家本元は息もピッタリで、話自体は地味なものなのに、観る者を惹き付けさせる。公開翌年の4月8日に行われた第35回アカデミー賞では、主演女優賞(アン・バンクロフト)と助演女優賞(パティ・デューク)でW受賞したのも納得である。ストーリーの方も、子供の障がい者ということで、どうしても甘やかしてみてしまう親がいるなかで、それは間違いなのだということを、自らも弱視であるサリヴァン先生が体現する勇気が、やればできるということを教えてくれる。さすがにクライマックスの「water」のくだりは創作らしい(ヘレンが喋れるようになったのはもっと後の事のようだ)が。


 ところで、日本では前述のように舞台で度々演じられていて、つい最近では3年前にアニー役=木南晴夏、ヘレン役=高畑充希で公演があったが、嘗て鈴木杏が両方の役をやった事がある(2003年版でヘレン役、2009年版でアニー役)。本作でヘレンを演じたパティ・デュークも、この後1979年に製作されたTVドラマ版ではアニーを演じていた(ヘレン役は「大草原の小さな家」のヒロイン=ローラ役で人気だったメリッサ・ギルバート)。自分はテレビで観た事があるのだが、こちらのバージョンもソフト化されているので、レンタル店などで見かけたら是非観てほしい。残念ながら昨年亡くなられた(享年69歳)が、アン・バンクロフトと共に、記憶に残る名優である。


私の評価…☆☆☆☆★

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