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2017年5月

2017年5月31日 (水)

美女と野獣(2017年)

美女と野獣(2017年)
美女と野獣(2017年)
美女と野獣(2017年)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ビル・コンドン
脚本:スティーヴン・チョボスキー、エヴァン・スピリオトポウロス
製作:デヴィッド・ホバーマン、トッド・リーバーマン
製作総指揮:ジェフリー・シルヴァー、トーマス・シューマカー、ドン・ハーン
音楽:アラン・メンケン
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):エマ・ワトソン(昆夏美)、ダン・スティーヴンス(山崎育三郎)、ルーク・エヴァンズ(吉原光夫)、ケヴィン・クライン(村井國夫)、ジョシュ・ギャッド(藤井隆)、ユアン・マクレガー(成河)、イアン・マッケラン(小倉久寛)、エマ・トンプソン(岩崎宏美)、ネイサン・マック(池田優斗)、オードラ・マクドナルド(濱田めぐみ)、スタンリー・トゥッチ(松澤重雄)、ググ・バサ=ロー(島田歌穂)、ハティ・モラハン(戸田恵子)、ヘイドン・グワイン(RICO)、ジェラード・ホラン(安崎求)、エイドリアン・シラー(福沢良一)、レイ・フィアロン(田中美央)、トーマス・パッデン(広田勇二)、ゾーイ・レイニー(大地葉)、アレクシス・ロワゾン(根本泰彦) 他


  〈単なるリメイクではない“完璧版”〉


 1991年に製作されたディズニーアニメ「美女と野獣」の実写リメイク映画化作品。主題歌もアニメ版の「ビューティー・アンド・ザ・ビースト〜美女と野獣」が使用され、アリアナ・グランデとジョン・レジェンドがカバーしている。アニメ版で主題歌を歌ったセリーヌ・ディオンはエンディングで「How Does a Moment Last Forever」(時は永遠に)を歌っている。配給先と制作が共にディズニーの実写作品は、本作が初めてである。


 ある時、ひとりの美しい王子(ダン・スティーヴンス)が、魔女の呪いによって醜い野獣の姿に変えられてしまう。魔女が残した一輪のバラの花びらがすべて散る前に、誰かを心から愛し、愛されることができなければ永遠に人間には戻れない。呪われた城の中で希望を失いかけていた野獣と城の住人たちの孤独な日々に変化をもたらしたのは、美しい村の娘ベル(エマ・ワトソン)であった。聡明で進歩的な考えを持つベルは、閉鎖的な村人たちになじめず傷つくこともあったが、それでも人と違うことを受け入れ、かけがえのない自分を信じていた。一方、野獣は人と違う外見に縛られ、本当の自分の価値を見出せずにいた。そんな二人が出会い、やがて惹かれ合っていくのだが…。


 アニメーションとして初めてアカデミー作品賞にノミネートされたディズニーアニメ不朽の名作を実写映画化したもので、ストーリーはアニメ版とほぼ同じなのだが、単にリメイクしたのではなく、キャラクターを掘り下げたり、ミュージカル場面を大幅に増量したりと、かなりボリュームアップ且つブラッシュアップした快作である。


 元々90分弱しかないアニメ版に約46分ものストーリーを追加させると、大抵中弛みする部分が出てきたりするのだが、本作にはそれが一切無い。監督のビル・コンドンは「シカゴ」(2002年)の脚本や「ドリームガールズ」(2006年)の監督・脚本等ミュージカルを得意とする人で、本作でもそれはいかんなく発揮されている。本来はフランスの民話なので、日本でも公開され記憶に新しい2014年のクリストフ・ガンズ監督版(ベル…レア・セドゥ、野獣…ヴァンサン・カッセル)等、幾度か実写化されているが、本作はアニメ版は勿論、1946年のジャン・コクトー監督版へのリスペクトが、アニメ版には無いシークエンスで見られる。


 ミュージカル部分も素晴らしく、ストーリーが掘り下げられた分曲も増えているが、イメージやリズムを崩すことなく挿入されているため、アニメ版を観ていた人でも違和感はほぼ無いのではないか。特に、ポールルームでのダンスシーンは、アニメ以上に流麗で綺羅びやか。自分はIMAXで観たのだが、音も生音に近いような感じで、まるで生の舞台を観ているような感覚になった。


 ところで、一部の国で問題視されたガストンの相方ル・フウの同性愛描写だが、余程注目して観ていないと分からないくらい、相当マイルド。まぁ、宗教団体が目くじら立てるのは仕方ないにしても、マレーシアのように上映禁止にしなくてもよいのでは(もうひとつの国ロシアでは16禁に)?


私の評価…☆☆☆☆☆

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2017年5月22日 (月)

名探偵コナン から紅の恋歌(からくれないのラブレター)

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:静野孔文
脚本:大倉崇裕
原作:青山剛昌「名探偵コナン」
音楽:大野克夫
主題歌:倉木麻衣「渡月橋 〜君 想ふ〜」
声の出演:江戸川コナン…高山みなみ、毛利蘭…山崎和佳奈、毛利小五郎…小山力也、服部平次…堀川りょう/比嘉久美子(少年時代)、遠山和葉…宮村優子、工藤新一…山口勝平、灰原哀…林原めぐみ、円谷光彦…大谷育江、吉田歩美…岩居由希子、小嶋元太…高木渉、阿笠博士…緒方賢一、鈴木園子…松井菜桜子、服部平蔵…山路和弘、服部静華…勝生真沙子、遠山銀四郎…てらそままさき、大滝悟郎…若本規夫、綾小路文麿…置鮎龍太郎、京極真…檜山修之、大岡紅葉…ゆきのさつき、伊織無我…小野大輔、枚本未来子…吉岡里帆、関根康史…宮川大輔、阿知波研介…阪脩、海江田藤伍…石井康嗣、名頃鹿雄…一条和矢、阿知波皐月…𠮷田美保、矢島俊弥…石川英郎 他

  〈シリアスな前作から謎解きに回帰〉

 少年探偵・江戸川コナンの活躍を描いた劇場版アニメシリーズ第21作。コナンと西の名探偵・服部平次が大阪のテレビ局での爆破事件と京都で起きた殺人事件の謎を解決すべく、奮闘する姿がつづられる。原作では既に描かれていた平次の婚約者を語る新キャラクター、大岡紅葉がアニメ版で初登場する。

 大阪のシンボル・日売テレビで爆破事件が発生する。その時、日本の百人一首会を牽引する皐月会が開催する皐月杯の会見収録が行われており、突如の事態に局内は混乱する。崩壊していくビルの中に、西の名探偵・服部平次とその幼馴染・遠山和葉だけが取り残されるが、間一髪の所で駆け付けたコナンが無事救出する。まるでテロのような事件だが、犯行声明もなく犯人の目的もわからない不可解な状況に、コナンと平次は違和感を覚える。爆破騒動の最中、コナンたちは平次の婚約者だと言い張る競技かるたの高校生チャンピオン・大岡紅葉という女性と出会う。ひょんなことから和葉は平次を懸けて紅葉と百人一首の勝負をすることになり、実力者である平次の母・静華のもとで特訓を始める。時を同じくして京都・嵐山の日本家屋で、皐月杯の優勝者が殺される。その時、殺害現場のモニターに紅葉の姿が映し出されていた。そして被害者の周りには、数多のかるた札が散らばっていた。大阪府警・京都府警とともにふたつの事件に関係する皐月会の捜査を始めるコナンと平次。すると、百人一首にまつわる共通点を持つ謎が捜査線上に次々と浮かび上がる。ふたつの事件がひとつに繋がるとき、運命の歯車が加速し始める…。

 前作は20作記念で、黒の組織とFBIが対峙する、アクションに比重を置いた、どちらかというとハードな展開だったが、今作は謎解きに回帰した。また、脚本を小説「福家警部補シリーズ」等の推理作家・大倉崇裕が担当。この人、コナンのテレビ版の脚本も何度か書かれているようだが、劇場版は初めてである。

 いつものことながら、やはりこのシリーズは面白い。今回も、重力無視のお約束アクションはあるものの、謎解きを結構最後の方まで引っ張るので、そういう“ご都合主義”的な部分が目立っておらず、最後まで楽しめる。

 競技かるたを題材にし、登場人物の感情を、そのかるたの中の恋愛の句に重ね合わせたことで、どうしても「ちはやふる」とネタが被ってしまう感じがするが(映像作品はどっちもアニメ・実写共に日テレ系なので問題ないと思う)、新キャラを出して話を広げるあたり、まだまだ続いていくのかな、という感じである。和葉のライバル(?)大岡紅葉は、これからもたびたびテレビ版に登場するらしいので、三角関係に発展するのかどうか、今後の展開に注目である。

 そしてラストには、これもおなじみ次回作の製作決定告知が。安室透(古谷徹)の声が聞こえるということは、FBIが絡む話になるのかな? シリーズ初期からメインライターを務められた古内一成氏が亡くなられたのは残念(エンドロールで追悼されている)だが、シリーズはイメージを変えることなく続いてほしいものである。

私の評価…☆☆☆☆★

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2017年5月20日 (土)

ReLIFE リライフ

ReLIFE リライフ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:古澤健
脚本:阿相クミコ
原作:夜宵草「ReLIFE」
製作:中西一雄
音楽:林祐介
主題歌:井上苑子「メッセージ」
エンディングテーマ:井上苑子と海崎新太(中川大志)「さくら」
出演:中川大志、平祐奈、高杉真宙、池田エライザ、岡崎紗絵、千葉雄大、市川実日子、夏奈、水崎綾女 他


  〈突出して良くも悪くもない平凡な映画〉


 漫画アプリcomicoにて人気連載中で、アニメや舞台化もされた夜宵草原作のSF青春ストーリーを、中川大志&平祐奈主演で実写映画化。


 海崎新太(中川大志)は大学院を卒業後にある会社に就職したものの、3ヶ月で退職。なかなか新たな就職先が見つからず、コンビニでバイトをしていた。ある日、リライフ研究所所員を名乗る夜明了(千葉雄大)という男から、人生をやり直さないかと持ちかけられる。それは、薬で外見を若返らせて1年間高校生活を送るという実験で、海崎にその被験者になるよう提案してきた。半ば投げやりに薬を飲んだ海崎は、中身は27歳のまま再び高校に通い始める。そこでかけがえのない仲間たちと出会っていく海崎。やがて不器用ながら一生懸命な日代(平祐奈)に恋心を抱くようになるが、実際には彼女は10歳も年下であり、実験が終われば記憶も消えてしまうため、葛藤していく…。


 映画としては、突出して良い出来というものではなく、かといってそう悪くもない、平々凡々な映画。アラサーでニートという負け組の青年が、姿だけ若返って高校生活を送るという、一種のタイムリープのような話自体、別に目新しいものではないし、仕事での人間関係でトラウマを抱えた主人公が、学生に戻り恋や友情を再び体験し、今の若者に感化されて変わっていくストーリーもフツーのものである。


 ただ、ネガティブからポジティブ・シンキングに変わっていく展開は悪いものではないし、原作が続いている関係でオリジナルの結末となったその締め方が良い。学園ドラマということもあり、旬の若手俳優が挙って出演しているが、中でもキーポイントとなる、ちょっと変わった女子高生を演じる平祐奈が絶妙なコメディ・リリーフにもなっていて良かった。


私の評価…☆☆☆

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2017年5月18日 (木)

グレートウォール

グレートウォール
グレートウォール
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:張芸謀
脚本:カルロ・バーナード、ダグ・ミロ、トニー・ギルロイ
原案:マックス・ブルックス、エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコビッツ
製作:トーマス・タル 他
製作総指揮:ジリアン・シェア 他
音楽:ラミン・ジャヴァディ

出演:マット・デイモン、景甜、ペドロ・パスカル、ウィレム・デフォー、劉德華、鹿晗、張涵予、王俊凱、陳學冬、鄭甲斐、彭于晏、林更新、黄軒 他


  〈ストーリーは大味だが、ビジュアルは美麗〉


 約1700年かけて作られた人類史上最大の建造物と言われる万里の長城。その建造の真の目的が明かされる、チャン・イーモウ監督によるファンタジックなアドベンチャー。


 金や名声のために世界中を旅する傭兵ウィリアム(マット・デイモン)は、20数名の部隊とともに半年に及ぶ旅の末、ようやくシルクロードの中国国境近くにまでたどり着く。だが部隊は砂漠地帯で馬賊の襲撃を受け、多くが命を落としてしまう。真夜中、闇に身を隠していた部隊は謎の獣に襲われる。ウィリアムがとっさに剣を手にし、その獣の手首を切り落として退散させるものの生き残ったのはウィリアムとトバール(ペドロ・パスカル)だけだった。翌日、再び馬賊に追われた二人は、荒れ果てた大地をひたすら馬で駆け抜け、やがて彼らの目の前に長く、巨大な城壁が現れる。その城壁こそ万里の長城であった。馬賊が後方に迫るなか、二人は武器を捨て、長城防衛の命を受ける禁軍に降伏することを選択。長城の前線基地ではウィリアムらの処分を決める会議が開かれる。即刻処刑すべきという武将たちの声が大勢を占めたが、戦略を司るワン(劉德華=アンディ・ラウ)はウィリアムが持っていた獣の手に興味を示し、彼らの利用価値を示して処刑を思いとどまらせる。ワンは、ウィリアムを襲った獣の正体は二千年前から60年に一度現れ、幾度となく中国を襲ってきた伝説の怪物、饕餮(とうてつ)であり、万里の長城が築かれた最大の要因であることを明かす。饕餮が長城を超えて都に迫れば国の滅亡が避けられないばかりか、人類すべてが食いつくされてしまう。饕餮の大襲来を止めようと、都を守る禁軍の全部隊が万里の長城に集結していた。やがて饕餮の襲来を知らせる狼煙が一斉に上がる。巨大な地響きとともに遥か山々の向こうから何千、何万もの饕餮の大群が長城めがけて怒涛のごとく押し寄せてきた。訓練され統率のとれた禁軍の各部隊は、女性司令官リン隊長(景甜=ジン・ティエン)を筆頭におぞましい怪物たちに向けて様々な攻撃を開始。弓の名手であるウィリアムも戦いに加わり、禁軍は饕餮の襲撃の第一波をやり過ごすことに成功する。戦いを終えたウィリアムのもとにバラード(ウィレム・デフォー)という西洋人が現れる。彼は武将たちに英語とラテン語を教える傍ら、中国で発明された黒色火薬を盗み出そうと画策していた。欧州ではまだ入手不可能だったこの火薬を手に入れようと多くの者たちが中国に派遣されていたが、国は火薬やその調合方法を最高機密として国外への持ち出しを固く禁じていた。ウィリアムもこの火薬を欲していたことを知ったバラードは協力関係を持ちかけるが、ウィリアムはその提案を拒否。彼は、禁軍の戦いを目の当たりにし、その気高い自己犠牲の精神に心動かされ、自分の目的のためでなく世界を守るために戦うことを決意していた…。


 様々な伝説がある万里の長城。本作はその伝説の1つを映像化した中国とアメリカの合作である。アメリカでは大コケしたものの日本ではヒットしている「ゴースト・イン・ザ・シェル」同様、本作もマイノリティの問題からアメリカでは大コケ、ところが中国では大ヒット。今後このような形は増えていくように思われる。


 まぁ、典型的なwhite saviorものであるため、それがアメリカでの批判の的となったようだが、気にするのはアメリカ人だけで、他国の人はさほど気にしないのかもしれない。チャン・イーモウの映画は大作になるほど大味になるが、本作もツッコミどころは満載。ドラマとしては深みもないが、ビジュアルが美麗なのがこの監督らしいところだ。長城を守る禁軍の精鋭部隊は役割ごとに色分けされ、それぞれがアクロバティックな戦いを繰り広げるのだが、中でも青い甲冑で戦う女性が中心の鶴軍による、まるでシルク・ドゥ・ソレイユのような空中戦法には度肝を抜かれた。


 役者では、ジン・ティエンに注目。中国の人気女優で、ジャッキー・チェン主演の「ポリスストーリー/レジェンド」(2013年)ではジャッキーの娘を演じていた。先に公開された「キングコング/髑髏島の巨神」では、全編に出ていながら殆ど目立たないガイド役だった。本作では、美しい女戦士を好演していて、アクションもいけると証明してみせた。次回作は菊地凛子が再びヒロインを演じる「パシフィック・リム」の続編(原題:「Pacific Rim: Uprising」)、ということは、これからハリウッドに軸足を移していくのだろうか? 今後が楽しみな女優である。


私の評価…☆☆☆★

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2017年5月12日 (金)

GHOST IN THE SHELL ゴースト・イン・ザ・シェル

GHOST IN THE SHELL ゴースト・イン・ザ・シェル
GHOST IN THE SHELL ゴースト・イン・ザ・シェル
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ルパート・サンダース
脚本:ジェイミー・モス、ウィリアム・ウィーラー、アーレン・クルーガー
原作:士郎正宗「攻殻機動隊」
製作:アヴィ・アラッド 他
製作総指揮: 石川光久 他
音楽:クリント・マンセル、ローン・バルフェ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):スカーレット・ヨハンソン(田中敦子)、ピルー・アスベック(大塚明夫)、ビートたけし、ジュリエット・ビノシュ(山像かおり)、マイケル・ピット(小山力也)、チン・ハン(山寺宏一)、ダヌーシャ・サマル(山賀晴代)、ラザルス・ラトゥーエル(仲野裕)、泉原豊、ピーター・フェルディナンド(てらそままさき)、アナマリア・マリンカ(加納千秋)、ダニエル・ヘンシャル(坂詰貴之)、桃井かおり(大西多摩恵)、山本香織(内野恵理子)、福島リラ、ピート・テオ(蜂須賀智隆)、マイケル・ウィンコット〈カメオ出演〉(広田みのる) 他


  〈アニメの実写版としては頑張っている方だ〉


 押井守監督などによってアニメ化されてきた士郎正宗の人気コミックを、スカーレット・ヨハンソン主演でハリウッドで実写映画化したSFアクション。


 世界でただ一人、脳以外は全身義体の世界最強の少佐(スカーレット・ヨハンソン)率いるエリート捜査組織「公安9課」は、ハンカ・ロボティックスの推し進めるサイバー・テクノロジーを狙うサイバーテロ組織と対峙。しかし、捜査を進めるうちに事件は少佐の脳に僅かに残された過去の記憶へと繋がり、彼女の隠された過去を呼び覚ますのだった。「私は誰だったのか...」やがて、彼女の存在をも揺るがす衝撃の展開へと発展していく…。


 海外にもファンが多い、「攻殻機動隊」の劇場用アニメ第1作を基に実写化したもので、随処に押井守へのリスペクトが感じられるのだが、少佐のキャラクター変更が影響したのか、作品のテーマが変わってしまったので、アニメ版からのファンは少々違和感を感じるのではないか。


 逆に言えば、アニメ版を全く観ていない人や、観ていてもそれほど意識していない人は、結構楽しめるかもしれない。というのも、この手の映画としては悪くなく、むしろ大健闘しているからで、素子を演じるスカヨハも、ハリウッド・スターが演じるなら間違いのない選択だと思う。マイノリティの問題でうるさく言う連中もいたようだが、近未来のような設定を考えれば、外国人寄りの顔立ちをした日本人がいてもおかしくないわけで、この問題で批判的な評が続出した影響か、アメリカで興行的にコケてしまったのは、残念としかいいようがない。だが、とにかくアニメに負けない位の圧倒的なスケールで描かれる近未来世界の映像は美しく、アニメの名シーンもきっちり再現しているので、アニメ版にハマるきっかけを作るには、むしろピッタリな映画ではないかと思った。


私の評価…☆☆☆

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2017年5月 6日 (土)

〈午前十時の映画祭8〉 アメリ(2001年)

〈午前十時の映画祭8〉 アメリ(2001年)
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ
共同脚本:ギョーム・ローラン
製作:クロディー・オサール
音楽:ヤン・ティルセン
出演:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、セルジュ・マーリン、ジャメル・ドゥブーズ、ヨランド・モロー、クレア・モーリア、ドミニク・ピノン、クロディルデ・モレ、リュファス、イザベル・ナンティ、アータス・デ・ペンクアン、アンドレ・デュソリエ(ナレーター) 他


  〈映画の内容よりオドレイ・トトゥの魅力にハマった〉


 フランスで社会現象的な大ヒットを飛ばしたファンタジー。日本でもヒットし、映画に出てくるデザートの“クレームブリュレ”がブームに。


 少女の頃から空想の世界で遊ぶのが好きだった22歳のアメリ(オドレイ・トトゥ)。古いアパートで一人暮らししながらモンマルトルのカフェで働く彼女は、他人を少しだけ幸せにするお節介を焼くのが楽しみ。そんなある日、遊園地のお化け屋敷とセックスショップで働く不思議な青年ニノ(マチュー・カソヴィッツ)に出会う。彼の、スピード写真のブース周辺に捨てられた写真をストックしたアルバムを拾ったアメリは、悪戯を仕掛けようとするうち、ニノに恋してしまう。しかし内気なアメリは恋に真正面から向き合うことができず、かくれんぼのような駆け引きが続くのだが…。


 このブログでも何度か書いているが、自分はフランス映画があまり好きではない。それは初めてスクリーンで観たフランス映画(「愛人 ラマン」)が凄く辛気臭くてつまらない映画だったからで、それ以降殆ど観ないのだが、たまにチラシやポスターのデザインに惹かれて観に行く事もある。この映画もその1つで、オドレイ・トトゥの魅力に取り憑かれたかのように、観に行った記憶がある。


 フランス映画に多いパターンの1つに、ナレーションを極端に多用するということがあるのだが、この映画も前半はそういう面があり、観ているこっちを辟易させてしまう。ナレーションは本来、演技や映像処理で説明しきれない部分を補うためだけのものであり、これを多用するような脚本は、評価が低いのだ。前半は非常に退屈である。


 ところが、後半はナレーションが殆ど無く、独特な雰囲気でストーリーが進む。それと同時にヒロインの魅力も花開いていく仕掛けなのだが、このヒロインがかなりの変わり者。終始このヒロイン目線で話が進むため、やや理解不能な点もあるのだが、気付けばその魅力の虜になっていた。


 でも、オドレイ・トトゥはせっかく人気が出たのに、出演作の日本公開が少ないのが悲しい。最近の「Éternité」(2016年/トラン・アン・ユン監督)も限定公開みたいな感じだったし。こういうポップな感じのフランス映画も、年に数作でもいいから全国公開してほしいところである。


私の評価…☆☆☆★

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2017年5月 5日 (金)

ホワイトリリー

ホワイトリリー
劇場:みなみ会館
監督:中田秀夫
脚本:加藤淳也、三宅隆太
製作:由里敬三
音楽:坂本秀一
出演:飛鳥凛、山口香緒里、町井祥真、西川カナコ、三上市朗、鎌倉太郎、伊藤こうこ、榎本由希、松山尚子、はやしだみき 他


  〈ロマンポルノって、こんなもの?〉


 限られた予算の中、“10分に1回の濡れ場があれば、内容は自由”というスタイルで、70年代以降に日活が製作した成人映画のレーベル“日活ロマンポルノ”。その45周年を記念し、5人の映画監督がロマンポルノに挑んだプロジェクトの1作。


 陶芸家志望のはるか(飛鳥凛)は、閑静な住宅街で陶芸教室を開く有名陶芸家・登紀子(山口香緒里)の住み込み弟子。師匠の身の回りの世話をするだけでなく、2人は特別な関係にあった。ところがある日、登紀子が有名陶芸家の息子である悟(町井祥真)を新弟子として迎え入れ、強引に住み込ませた挙句、関係を強要するようになった事から、3人の関係は暴走していく。


 この映画はその特性上、特に薦めるものではないが、一応観たものなので、書いておく。


 タイトルの「ホワイトリリー」とは“白ユリ”のことで、いうまでもなくこれは女性の同性愛を指す。日活ロマンポルノは旧作も全然観たことが無かったが、今回のリブート企画5作品の中では本作が、“同性愛もの”としては王道らしい。


 “ポルノ”として公開する限り、結構過激な性描写でもあるのかな、と思っていたが、意外にも普通のものだった。しかし、これでいいのか? いかに低予算とはいえ、これでは安っぽいメロドラマではないか(それが狙いなのかもしれないが)。女優さんたちは、それなりに良い感じなのに、もうちょっと脚本が練れていれば、見栄えも良くなったと思うだけに残念な映画だった。


 ただ、これはあくまでロマンポルノ復活の狼煙。定期的に製作を続けなければ、意味がない。そう言えば、7年前にも「ロマンポルノRETURNS」なる企画で、過去の代表作2作品を、現代風にアレンジしリメイクしたものが上映され、好評ならシリーズ化するはずだったらしいのだが、それは事実上頓挫したということがあった。それ故、今回は失敗できないはずである。過去のロマンポルノは新しい映画監督や女優の発掘に一役買っているので、できれば製作を続けてほしいものだ。


私の評価…☆☆☆

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2017年5月 4日 (木)

暗黒女子

暗黒女子
暗黒女子
劇場:T・ジョイ京都
監督:耶雲哉治
脚本:岡田麿里
原作:秋吉理香子「暗黒女子」
プロデューサー:大畑利久
音楽:山下宏明
主題歌:Charisma.com「#hashdark」
出演:清水富美加、飯豊まりえ、清野菜名、玉城ティナ、小島梨里杏、平祐奈、千葉雄大、升毅 他


  〈文字通り“後味は悪い”が、そこそこ面白い〉


 読んでイヤな気持ちになるミステリー“イヤミス”というジャンルで人気となった秋吉理香子の小説を映画化。


 セレブ女子高生たちが通う聖母マリア女子高等学院で、ある日、一人の生徒が謎の死を遂げる。学院の経営者の娘で、全校生徒の憧れの的だった白石いつみ(飯豊まりえ)が、校舎の屋上から落下したのだ。しかし、自殺か他殺か、事故なのかもわからない。しばらくして、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したという噂が広まる。サークルの会長を引き継いだいつみの親友・澄川小百合(清水富美加)は、部員が自作の物語を朗読する定例会を開く。今回のテーマは「いつみの死」だった。会員はそれぞれを「犯人」と告発する作品を発表する。5つの動機と結末を持つ5つの物語が語られる。果たしてこのなかに真実はあるのだろうか…?


 学園内で起こった美少女転落死事件の真相をめぐり、5人のサークル仲間がそれぞれ違う犯人と犯行動機を語り、やがてその先の真実に辿り着く。ようするにこれは「羅生門」の形式をアレンジしたもので、その5つのエピソードは確かに見応えはあるのだが、冒頭の“闇鍋”のシークエンスから清水扮する小百合が怪しく、誰が一番“暗黒”なのかがある程度想像がついてしまう。


 そして、そのエピソードが終わった後の“驚愕のラスト24分”。それまでのミステリー仕立てから怒涛のホラー展開に。前半の5つのエピソードの中には、少々退屈なものもあるのだが、その全てはここへ向けた伏線で、大事な要素でもあるので、しっかりと観ておかなければならないのだが、前半からの清水富美加の怪演が、きっちりここで実を結ぶ仕掛けにもなっている。まさか、これが元であの騒動になったのかとは思いたくないが(多分、直接的原因は今夏公開予定の「東京喰種」だろう)、清純派で売っていた女優の新たな一面が垣間見えたような気がした。


私の評価…☆☆☆

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