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2017年7月

2017年7月30日 (日)

レイルロード・タイガー

レイルロード・タイガー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:丁晟
共同脚本:何可可
原作:刘知侠「铁道游击队」
音楽:捞仔
出演:成龍、房祖名、黃子韜、王凱、王大陸、桑平、吴永伦、徐帆、柳海龙、池内博之、矢野浩二、劉德華、鄔禎琳 他


  〈ジャッキー・チェン主演の抗日映画〉


 1941年の中国を舞台に、日本軍に立ち向かうゲリラ隊、レイルロード・タイガースの活躍を描くジャッキー・チェン主演のアクション。ジャッキーの息子、ジェイシー・チェンや、彼らの作戦を妨害しようとする敵のリーダー役で池内博之が出演。


 1941年、中国。天津と南京を結ぶ列車内では、多くの中国人乗客に混じって、完全武装した日本軍が警備を行なっていた。その列車を襲撃したのが、変装して乗り込んでいたマー(ジャッキー・チェン)率いる25名のゲリラ部隊“レイルロード・タイガース”だった。乗客とともに食料を華麗に奪い去った彼らの名前は、たちまち街中に響き渡る。そしてある日、日本軍に大きなダメージを与えるため、マーは韓荘大橋と呼ばれる重要な橋の破壊を計画する。しかし、そこは何百人もの日本兵が守る警戒厳重な場所。部下と共に、見つからないように巧みに橋に接近するマーだったが…。


 これは所謂、“抗日映画”というヤツであるが、こういう映画にも、ジャッキー・チェンら中国の人気俳優が名を連ねるようになってきた。それだけ映画における中国市場の存在感が増してきている。本作の原作は、本国では何度も映像化されているもので、今回は多少アレンジされているらしいが、どこかの国の古いプロパガンダ映画を観ているようで、日本人としては非常に不愉快極まりないものである。


 ジャッキー・チェンも体を張ったアクションは卒業宣言したとおり、本作では列車強奪のギミック中心。還暦過ぎちゃってるので、体が動けるのを観られるだけでも嬉しいのだが、やはり全盛期の彼の映画を知っていると、衰えを感じずにいられないのはちょっと寂しい。


 そんな中、悪の軍人役の池内博之が、めちゃくちゃ楽しそうに悪役を演じていていい。このコミカルな悪役のお陰で、辛うじて娯楽映画としての体裁は保たれた。まぁ、こんな抗日映画なんてものは、余程の映画好きしか観に行かないだろう。昔から香港映画は東宝がよく配給していたとはいえ、シネコンで観られたのは恐らく奇跡だと思う。


私の評価…☆☆

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2017年7月29日 (土)

LOGAN/ローガン

LOGAN/ローガン
LOGAN/ローガン
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:ジェームズ・マンゴールド
共同脚本:マイケル・グリーン、スコット・フランク
原案:デヴィッド・ジェームズ・ケリー、ジェームズ・マンゴールド
原作:マーク・ミラー、スティーブ・マクニーブン「オールドマン・ローガン」
製作:ハッチ・パーカー 他
音楽:マルコ・ベルトラミ
主題歌:ジョニー・キャッシュ「The Man Comes Around」
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ヒュー・ジャックマン(山路和弘)、パトリック・スチュワート(麦人)、ダフネ・キーン(鈴木梨央)、ボイド・ホルブルック(小川輝晃)、スティーヴン・マーチャント(川島得愛)、エリザベス・ロドリゲス(田野めぐみ)、リチャード・E・グラント(水内清光)、エリク・ラ・サル(天田益男) 他


  〈そして… 新たなる希望へ〉


 ウルヴァリンの名で知られる「X-MEN」のメンバー、ローガンの生きざまを描く、ヒュー・ジャックマン主演のSFアクション。ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンとプロフェッサーX役のパトリック・スチュワートが同役を演じるのは、これが最後となる。治癒能力を失い、生身の人間になったローガンが、絶滅の危機にあるミュータントの唯一の希望となる少女を守るため、強大な敵に戦いを挑んでいく。


 近未来。ミュータントはほぼ絶滅してしまい、優れた治癒能力を持っていたローガン(ヒュー・ジャックマン)も今やその力を失いつつあった。そんな彼に年老いたチャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)から最後のミッションが託される。それは、絶滅の危機に瀕したミュータントに残された唯一の希望である少女ローラ(ダフネ・キーン)を守ることだった。強大な武装組織の襲撃を逃れながら荒れ果てた地を行く3人。その先には、想像しえぬ運命が待ち受けていた…。


 これは今までの同シリーズとは雰囲気や展開が全く異なるので、ファンの間でも賛否が分かれるのではないか? 「ウルヴァリン」としての前作「~SAMURAI」からも、「X-MEN」シリーズの前作「~アポカリプス」からも、時代はかなり進んだ設定になっており、痴呆が進んでしまったチャールズ(プロフェッサーX)を、全盛期を過ぎたウルヴァリンが介護しているといった、ある意味ショッキングな場面が出てくる。ヒーローの殆どが死に絶えているという、ディストピアな世界観というのも、これまでのものとは大きく違っている。


 もっとも、原作となっている「オールドマン・ローガン」をそのまま映像化すると、今までの「X-MEN」シリーズから「オールドマン~」までの中で映像化されていないものもあり整合性を欠くため、かなり脚色されているようだが、最後の力を振り絞り、ミュータントの最後の希望となるであろう少女=ローラを守り、戦い続けていくウルヴァリンの壮絶な勇姿は、正直痛々しくもあるが、正にラストを飾るに相応しいものになっている。


 ローラ/X23役のダフネ・キーンも凛々しい面構えで良い。一応原作では、ウルヴァリンの想いをしっかり受け継ぎ二代目となっていくのだが、本当にこの小さな女優は美人の売れっ子に成長して、近い将来別の役になってでも「X-MEN」シリーズに登場しそうな感じがする。


 そう、実は「X-MEN」シリーズ自体はまだまだ続くのだ。若き日のプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)らの活躍を描く、「~ファースト・ジェネレーション」シリーズの4作目「X-Men: Dark Phoenix(原題 来年秋、全米公開予定)」が控えている。これからもスピンオフや前日譚、そして次世代編も作られるだろう。なんだか「スタートレック」みたいで、気が遠くなりそうだが、生きている限り、観ていたいシリーズである。


私の評価…☆☆☆★

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2017年7月20日 (木)

封神伝奇 -バトル・オブ・ゴッド-

封神伝奇 -バトル・オブ・ゴッド-
劇場:シネマート心斎橋
監督:許安
脚本:張炭、張志光、孫子榮
原作:「封神演義」
製作:向華強、葉偉信
主題歌:蕭敬騰「无痛的痛苦」
出演:李連杰、梁家輝、范冰冰、黃曉明、女艺人、古天樂、文章、向佐、許晴、安志杰、祖鋒、孫建魁、李子雄 他


  〈荒唐無稽でツッコミどころ満載だが、楽しい!〉


 中国古典小説「封神演義」を「イップ・マン」シリーズ監督のウィルソン・イップ製作で映画化。


 古代中国、殷の時代末期。殷朝第三十代の王・紂王(梁家輝=レオン・カーファイ)は慢心で女神を怒らせたため、九尾の狐が化けた美女・妲己(范冰冰=ファン・ビンビン)に魅了される。操られるままに暴政を行う紂王は周辺地域への侵略を開始する。さらに魑魅魍魎たちが人間界を跋扈し、まさに乱世が始まろうとしていた。仙界最強の道士にして周の軍師・姜子牙(李連杰=ジェット・リー)は事態を重く見て、楊ぜん〈ようぜん〉(黃曉明=ホァン・シャオミン)、ナタ(文章=ウェン・ジャン)、雷(安志杰=ジャッキー・ヒョン)らを遣わし、阻止しようと試みる。一方、妲己も既に謀略を張り巡らしており、神と魔の戦いの火蓋が切って落とされる。


 「封神演義」といえば、日本でもアニメやテレビゲーム等で知られる、虚実混交のファンタジー物語である。それの実写映画化ということで、CG満載のオールスター共演映画となったのだが、実はこれ、今年度の中国版ラジー賞(最低映画賞)と呼ばれる「金掃箒(金のほうき)奨」受賞作である。


 ストーリーが荒唐無稽過ぎるのは、実際の「封神演義」がそうなので、仕方ないのだが、本作の場合、所謂ハリウッドのCG満載ファンタジーなんかと比べても質の低いCGのオンパレードなのである。その上、展開も異常に早く、訳のわからないうちにどんどん進むから堪らない。勿論、大筋を知っていれば、何とかついていけるのだが、かなり苦痛に思う人もいるだろう。


 しかもこの映画、元々長い原作なので、続編ありきで作っているようで、さあこれから妲己を倒しに行くぞという、一番盛り上がる場面で終わってしまうのだ。はて、こんな評価を得た今、続編なんて作られる気運はあるのだろうか? いや、作られたとしても日本で公開あるいはDVD等でリリースされる事はできるのだろうか? 非常に不安だ。


 役者の方に目を向けると、美人女優ファン・ビンビンが、2006年に別プロジェクトで製作されたTVドラマ版に引き続き悪女=妲己役を好演。やはりこの人にはこういう時代物が、よく似合う。ただ、妲己は実在の人物ながら、「封神演義」では九尾狐(きゅうびこ)の妖怪として描かれるため、顔と手足の一部以外はCGだったのだが。そして、なんといっても久しぶりにジェット・リーの姿が観られるのだ。彼は甲状腺の病気を抱えているので、薬が心臓に影響を与える関係で激しいアクションができないのだが、本作ではCGの力を借りているものの、可能な範囲でのアクションをみせる彼が観られるのである。残念ながら東京と大阪での上映は終わってしまったが、もしかすると地方での上映はあるかもしれないし、9月6日(予定)にはDVDレンタルも開始されるので、ファンは待つべし!


私の評価…☆☆☆

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2017年7月15日 (土)

22年目の告白 -私が殺人犯です-

22年目の告白 -私が殺人犯です-
22年目の告白 -私が殺人犯です-
劇場:MOVIX京都
監督:入江悠
脚本:平田研也、入江悠
原案:韓国映画「殺人の告白」(2012年)より
製作:北島直明、小出真佐樹
製作総指揮:門屋大輔、安藤親広
音楽:横山克
主題歌:感覚ピエロ「疑問疑答」
出演:藤原竜也、伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈、竜星涼、早乙女太一、平田満、岩松了、岩城滉一、仲村トオル 他


  〈この時期、このタイミングだからこそできたリメイク〉


 2012年の韓国映画「殺人の告白」の日本版リメイク。オリジナル版は、韓国史上最初の連続殺人として有名な“華城連続殺人事件”をモチーフにして製作された「殺人の追憶」(2003年)にインスピレーションを得て製作されている。


 かつて5人の命が奪われ、未解決のまま時効を迎えた凄惨な連続殺人事件。その犯人が、事件から22年後、突然自ら名乗り出てくる。盛大に開かれた記者会見場に現れたのは、自身の告白本を手に、不敵な笑みを浮かべる曾根崎雅人(藤原竜也)という男だった。素顔をカメラの前にさらし、肉声で殺人を告白する曾根崎の登場にネットは熱狂。賛否両論を巻き起こしつつ、その告白本はベストセラーとなる。曾根崎の派手な行動は、それだけでは終わらなかった。マスコミを伴った被害者遺族への謝罪、執念深く事件を追い続ける刑事・牧村(伊藤英明)への挑発、そしてサイン会まで…。彼の行動のすべてがあらゆるメディアを通じて発信され、SNSで拡散してゆく。だがそれは、日本中を巻き込んだ新たな事件の始まりだった…。日本中を釘付けにした告白の行方は? やがて事件は意外な展開を見せるが…。


 韓国映画の日本版リメイクというと、「怪しい彼女」(2016年)ぐらいしかヒットしていないような気がするが、久々に面白い映画が出てきた。ただ、基本的にオリジナル版を踏襲しているようだが、日本と韓国では当然刑法が違うため、日本の刑法や倫理に則した構成になっている。


 その中でもやはり一番の違いは、やはり2010年の刑法改正が盛り込まれていることだろう。それをきっかけに日本では、死刑に相当する殺人に関しては、時効が適用されなくなった。と、同時にその適用・不適用の境目となる1995年がどうしてもクローズアップされることとなる。この年は、年明け早々に“阪神淡路大震災”が起き、その約2か月後には“地下鉄サリン事件”が起こるなど、日本人にとって忘れることのできないことがいくつも起こった年である。映画はこの時代の澱んだ空気感をざらついた映像で巧みに写し出すことで、設定の改変もスムーズに話の中に落とし込んだ。


 それに、現実の日本ではその2年後に起きた“神戸連続児童殺傷事件”、世にいう“酒鬼薔薇事件”の犯人、通称・少年Aが本を出版したということもあり、冒頭で曾根崎が本の出版会見を行う場面の描き込みは、SNSでの拡散や、抗議デモなど現実に起こり得るパニックをかなり徹底して描きこんでいる。全体的に見ても、37回も改稿されたといわれる脚本は、練りに練り上げられており、ラストのどんでん返しに繋がる伏線の張り方も見事。そのラストが描き足りない感じがあるのが残念ではあるが、かなりよくまとまった映画になっている。


私の評価…☆☆☆☆

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2017年7月 5日 (水)

美しい星

美しい星
美しい星
美しい星
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:吉田大八
共同脚本:甲斐聖太郎
原作:三島由紀夫「美しい星」
製作:依田巽、藤島ジュリーK. 他
音楽:渡邊琢磨
劇中曲:若葉竜也、樋井明日香「金星」
出演:リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、羽場裕一、友利恵、川島潤哉、板橋駿谷、坂口辰平、春田純一、武藤心平、若葉竜也、樋井明日香、藤原季節、赤間麻里子 他


  〈ワケわからんけど面白い〉


 三島由紀夫の異色SF小説を「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が、舞台を現代に変えて大胆に映画化した人間ドラマ。ある日突然、異星人として覚醒した一家が地球を救おうと奮闘する姿を描く。


 当たらないテレビ気象予報士の父・重一郎(リリー・フランキー)、フリーターで自転車便のメッセンジャーをしている息子・一雄(亀梨和也)、美人すぎて周囲から浮いている女子大生の娘・暁子(橋本愛)、心の空虚を持て余す主婦の母・伊余子(中嶋朋子)の4人家族の大杉家。彼らはある日突然、火星人、水星人、金星人、地球人として覚醒し、“美しい星・地球”を救う使命を託される。目覚めた彼らは奮闘を重ねるが、世間を巻き込む騒動を引き起こし、傷ついていく。そんな一家の前に現れたひとりの男が、地球に救う価値などあるのかと問いかける。


 原作は、今から50年以上前に発表されたもので、当時の世相等を反映して核戦争の恐怖等をテーマに書かれていたものだが、さすがにそれをそのまま描いてしまっては、時代感覚としてはズレているためか、本作では設定を現代に置き換え、原作に於ける終末思想も、核戦争ではなく地球温暖化や爆発的な人口増加というタイムリーな設定に置き換えられている。


 正直、どう感想を書いていいかも分からないくらい、難解でワケわからん映画(笑)。ひょんなことから、家族全員が“火星人”“水星人”“金星人”に覚醒し、それぞれのアプローチから地球の未来を憂う…ということなのだが、シネコンよりも単館系向きといえば分かりやすいだろうか。


 地球人が、自分達の価値観が絶対という思い上がりで築き上げてきたこの地球
。それに対し客観的にそれを見守ってきた“異星人”が覚醒した時に、各々の星の価値観と照らし合わせて地球の未来をどう導いていこうとするか。難解なテーマを出来るだけコミカル且つシュールにまとめた映画だ。


 原作者自身がヘンテコなものと形容しただけあって、観たこちらも頭のなかは“?”だらけ。それでもリリー・フランキーのクネクネした動きや、橋本愛が見せる変な祈りのポーズは、それだけでも何処か可笑しく、ワケのわからない面白さが伝わってくる。何とも形容し難い映画である。


私の評価…☆☆☆

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