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2017年10月24日 (火)

三度目の殺人

三度目の殺人
三度目の殺人
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本・原案・編集:是枝裕和
製作:小川晋一、原田知明、依田巽
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、斉藤由貴、吉田鋼太郎、満島真之介、松岡依都美、市川実日子、橋爪功 他


  〈司法へのアンチテーゼ〉


 「そして父になる」の監督・主演コンビが再びタッグを組んだサスペンス。裁判で勝つためなら真実は二の次と割り切っていた弁護士が、担当した殺人事件の闇にはまっていく姿を描く。


 勝利にこだわる弁護士・重盛(福山雅治)はやむを得ず、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を担当することになる。解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴された三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。重盛は、どうにか無期懲役に持ち込もうと調査を開始する。三隅は会う度に供述を変え、動機が希薄なことに重盛は違和感を覚える。やがて重盛が三隅と被害者の娘・咲江(広瀬すず)の接点にたどりつくと、それまでと異なる事実が浮かび上がっていく…。


 この映画は、今までにあまりないタイプの心理サスペンスであると共に、これまでホームドラマが多かった是枝監督の新境地ともいえる映画なのではないか。


 福山演じる勝つことにこだわる弁護士は、2度目の殺人を犯した男の弁護を通じて、真実を追求しようと姿を変えていく。それに対し役所広司が扮する殺人犯・三隅は、接見のたびに供述が変わり動機もわからないまま。本当にも、嘘のにも見える役所広司の演技はやはり上手い。


 それと、さもしい司法へのアンチテーゼが示されている感じがする。要するに、法廷は真実を追究する場所なのか、否、利害の調整するところではないのかとか、人が人を裁くことは不完全なものではないかとか。しかし本作は最後まで明快な答えにたどり着くような展開はしない。むしろその逆で、最初に真実があるように見せかけて、見終わる頃に多くの謎や問いが残る。そう、これは人間の心の持つ深い闇や、社会の歪み、司法制度の問題を、最後まで観客に問いかける映画なのである。


 被害者の一人娘を演じる広瀬すずの、いつもとは違う抑えた演技がとても印象的。やっぱりこの娘は、最近の若手の中では演技が上手いなぁと思う。すずの母役の斉藤由貴が愛人関係を問われる場面は、奇しくも現実とリンクしていて、ちょっと笑えた。


私の評価…☆☆☆☆

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