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2017年12月30日 (土)

彼女が目覚めるその日まで

彼女が目覚めるその日まで
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:ジェラルド・バレット
原作:スザンナ・キャラハン「脳に棲む魔物」
製作:AJ・ディクス、シャーリーズ・セロン 他
製作総指揮:リサ・ウォロフスキー、ダニエル・ハモンド
音楽:ジョン・パエザーノ
出演:クロエ・グレース・モレッツ、トーマス・マン、キャリー=アン・モス、リチャード・アーミティッジ、ジェニー・スレイト、タイラー・ペリー、アレックス・ザハラ、ジェン・マクレーン=アンガス、ケン・トレンブレット、ナヴィド・ネガーバン、ロバート・モロニー、アガム・ダーシ、ジャネット・キダー、ヴィンセント・ゲイル 他


  〈諦めずに病と闘った信念とその奇跡〉


 ある日突然、感情がコントロールできなくなる原因不明の病に侵された若き新聞記者が、両親と恋人の支えによって人生を取り戻していくさまを描く、クロエ・グレース・モレッツ主演の人間ドラマ。原作は、2009年に抗NMDA受容体脳炎に侵されたニューヨーク・ポスト紙の記者スザンナ・キャラハンが自らの闘病を綴ったノンフィクション。


 ニューヨーク・ポスト紙に勤める21歳の若手記者スザンナ・キャハラン(クロエ・グレース・モレッツ)は、いつか一面を飾るとの夢を掲げ仕事に励んでいる。プライベート面でもミュージシャンの恋人スティーヴン(トーマス・マン)との交際を始め、公私ともに順調だった。しかし物忘れが酷くなり、大切な取材で大失態を犯す始末。さらに幻覚や幻聴に悩まされるため不眠に陥り、全身が痙攣する激しい発作を起こすまでに。それでも検査で異常は見つからず、日に日に混乱し会話もできなくなったスザンナを精神病院へ転院させるよう勧める医師たち。スザンナの瞳の奥の叫びを感じていた両親とスティーヴンは決して諦めずに彼女を支える…。


 今年最後の映画鑑賞(と、いうことでこの“感想文ブログ”もやっと追いついた!)である。今年、映画館で鑑賞した映画は107本。昨年より1本少ないが、別に記録を作りたかったわけではないので、3桁になった時点で満足である。そんな今年最後の映画鑑賞は、自分が今、若手の中で最も好きな女優の主演作で締めてみた。


 本作は、「エクソシスト」のモデルとなった少年も典型的な症例を持っていたという病に苛まれ、自分を失っていく主人公をクロエ・グレース・モレッツが熱演した、衝撃と感動の注目作である。


 偶然に同日公開となった邦画「8年越しの花嫁」も、本作と同じ「抗NMDA受容体脳炎」という、2007年に正式に名付けられた奇病が描かれているのだが、あちらが所謂“お涙頂戴”ものの美談になっているのに対し、本作はモデルとなった記者本人が、同じ病を患っている患者への道標となるべく書き起こした小説が基になっている。この病気が認定されるまでは、「エクソシスト病」だとか精神疾患、果ては“悪魔が取り憑いた”とまで思われていたものなので、特に病気か何かも分からない前半は、常に“死”を予感させる怖い映画になっている。


 主演のクロエ・グレース・モレッツが本当に素晴らしい。病に蝕まれていくことで、次第に幻聴や幻覚に怯え、感情がコントロールできなくなり最終的には人格が崩壊したように見えるという、彼女のキャリアの中でも恐らく最高難度の役を、渾身の姿で演じきっている。狂気に苦しむ彼女の演技は、観ているこちらまで辛さが伝わってくるのである。最後まで回復を信じて支え続ける両親役のリチャード・アーミティッジ(「ホビット」シリーズ)とキャリー=アン・モス(「マトリックス」シリーズ)も良い。


 医療や死生観の考え方がかなりドライなのには驚いたが、これも日本とアメリカとの考え方の差なんだろうな、と思った。


私の評価…☆☆☆☆

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